JPH11310955A - 高履歴減衰型ブレース - Google Patents

高履歴減衰型ブレース

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JPH11310955A
JPH11310955A JP10136132A JP13613298A JPH11310955A JP H11310955 A JPH11310955 A JP H11310955A JP 10136132 A JP10136132 A JP 10136132A JP 13613298 A JP13613298 A JP 13613298A JP H11310955 A JPH11310955 A JP H11310955A
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hole
absorbing mechanism
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Hajime Ouchi
一 大内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】圧縮力による座屈を懸念することなく、しかも
スリップ型履歴を呈する材料であっても高い履歴減衰を
確保する。 【解決手段】本発明に係る高履歴減衰型ブレース1は、
所定の弾塑性履歴特性を有するブレース本体2と、該ブ
レース本体に接続された塑性変形吸収機構3とからな
り、該塑性変形吸収機構は、ブレース本体2の挿入方向
への移動を許容するとともにブレース本体2の引出し方
向への移動を拘束するようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐震性が要求され
る部位、特に地震時に生じる変形が比較的大きな部位に
使用される高履歴減衰型ブレースに関する。
【0002】
【従来の技術】建築あるいは土木分野においては、木
造、鉄骨造、RC造等の構造形式に関わらずブレース材
が広く使用されており、地震時において水平力が作用す
る面内、特に鉛直面内に交差状態で配置されるのが一般
的である。
【0003】このように鉛直面内に交差状態でブレース
材を配置すると、該鉛直面が耐震壁となって構造物全体
の耐震性が改善されることは従来からよく知られている
ところである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、交差状態で配
置された2つのブレース材には、地震力による圧縮荷重
と引張荷重とが交互に作用し、それに伴って圧縮変形と
引張変形とが繰り返し生じることとなるが、例えば鋼材
をブレース材として使用する場合、ブレース材がスリッ
プ型の履歴性状、すなわち降伏点を越える荷重が作用し
た後は、そのときに生じた塑性変形を上回る変形が生じ
ない限り、ブレース材は弾性挙動を示さず、その結果、
スリップ型履歴性状を持つブレース材の履歴減衰では、
吸収できる地震エネルギーの大きさにもおのずと限界が
あるという問題を生じていた。
【0005】また、ブレース材は、圧縮力が作用したと
きに座屈し、引張降伏とも相まって耐力低下や場合によ
っては破断を招くことがあるという本質的な課題を抱え
ており、このような事態を回避すべく、ともすれば経済
性を無視して断面を大きくせざるを得ないという問題も
生じていた。
【0006】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、スリップ型履歴を呈する材料であっても高い
履歴減衰を確保可能でかつ圧縮力による座屈を懸念する
必要もない高履歴減衰型ブレースを提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る高履歴減衰型ブレースは請求項1に記
載したように、所定の弾塑性履歴特性を有するブレース
本体と該ブレース本体に接続された塑性変形吸収機構と
からなり、該塑性変形吸収機構は、前記ブレース本体の
挿入方向への移動を許容するとともに前記ブレース本体
の引出し方向への移動を拘束するようになっているもの
である。
【0008】また、本発明に係る高履歴減衰型ブレース
は、前記塑性変形吸収機構を、前記ブレース本体が挿通
される貫通孔が形成されたケーシングと、前記ブレース
本体を挟み込んだ状態にて前記貫通孔に嵌め込まれるく
さび部材と、該くさび部材を前記貫通孔に押し込む軸方
向弾性部材とから構成したものである。
【0009】また、本発明に係る高履歴減衰型ブレース
は、前記塑性変形吸収機構を、前記ブレース本体が挿通
される貫通孔が形成されたケーシングと、該貫通孔に挿
通された前記ブレース本体の端部に螺合されたナット部
材と、該ナット部材を前記ケーシングとの隙間がなくな
るように回転させる回転方向弾性部材とから構成したも
のである。
【0010】本発明に係る高履歴減衰型ブレースにおい
ては、ブレース本体に圧縮力が作用したときには該ブレ
ース本体が塑性変形吸収機構内に挿入される。したがっ
て、ブレース本体に圧縮力が生じて座屈するおそれはな
い。
【0011】一方、ブレース本体に引張力が作用したと
きには、塑性変形吸収機構によって引出し方向への移動
が拘束されるので、ブレース本体には引張応力が発生し
地震時水平力に抵抗する。
【0012】ここで、ブレース本体は、引張降伏後に塑
性変形が進行するので、引張力が作用しなくなった後で
も永久ひずみとして残留し、その分全長が長くなるが、
かかる塑性変形分は、逆方向すなわち圧縮側への移動の
際、ブレース本体が塑性変形吸収機構内に挿入されるこ
とによって吸収され、圧縮から引張に移行する次のサイ
クルでは、塑性変形による伸びを含んだ状態でブレース
本体が引張力を受けることとなる。
【0013】すなわち、ブレース材を両端固定としてい
た従来の構造では、引張力によって塑性変形を生じた
後、いったん圧縮力をうけて再び引張力が作用するとき
にブレース材のひずみが当初の塑性変形に達するまで履
歴特性曲線で言えばε軸上をそのまま右に移動する、す
なわち応力が生じていない状態でひずみだけが進行し、
その間引張力を負担することができないという欠点があ
ったが、本発明では、ブレース本体は、引張力が作用す
ると同時に引張力を負担することができる。
【0014】ブレース本体の材質は任意であるが、降伏
後の伸びが大きい材料、例えばSS鋼材を使用するのが
よい。
【0015】塑性変形吸収機構をどのように構成するか
は任意であり、要するにブレース本体の挿入方向への移
動を許容するとともにブレース本体の引出し方向への移
動を拘束するようになっていれば足りるが、具体的に
は、ブレース本体が挿通される貫通孔が形成されたケー
シングと、ブレース本体を挟み込んだ状態にて貫通孔に
嵌め込まれるくさび部材と、該くさび部材を貫通孔に押
し込む軸方向弾性部材とから構成することが考えられ
る。
【0016】かかる構成においては、ブレース本体に圧
縮力が作用したとき、くさび部材によるブレース本体の
定着作用が解除され、ブレース本体が塑性変形吸収機構
内に挿入される。一方、くさび部材は、軸方向弾性部材
によって貫通孔に押し込まれる方向の力を常時受けてい
るので、ブレース本体に引張力が作用したとき、かかる
押込み力によってブレース本体をしっかりと貫通孔に定
着し、ブレース本体の引出し方向への移動を拘束する。
【0017】また、ブレース本体が挿通される貫通孔が
形成されたケーシングと、該貫通孔に挿通されたブレー
ス本体の端部に螺合されたナット部材と、該ナット部材
をケーシングとの隙間がなくなるように回転させる回転
方向弾性部材とから構成するようにしてもよい。
【0018】かかる構成においては、ブレース本体に圧
縮力が作用したとき、ブレース本体はそのまま塑性変形
吸収機構内に挿入されるが、ナット部材が、回転方向弾
性部材の作用によってケーシングとの隙間がなくなる方
向に回転される力を常時受けているので、ブレース本体
が挿入されることによってケーシングとの間に隙間が生
じても、回転方向弾性部材によって即座にナット部材が
ブレース本体にねじ込まれ、結局、ナット部材とケーシ
ングとの間は常に隙間がない状態に維持される。
【0019】したがって、ブレース本体に引張力が作用
したとき、該ブレース本体に螺合されたナット部材は、
即座にケーシングに係止されてブレース本体の引出し方
向への移動を拘束する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る高履歴減衰型
ブレースの実施の形態について、添付図面を参照して説
明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等につい
ては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0021】(第1実施形態)図1は、本実施形態に係
る高履歴減衰型ブレースを示した全体図、図2は、該ブ
レースを構成する塑性変形吸収機構の縦断面図、横断面
図及びその作用を示した縦断面図である。これらの図で
わかるように、本実施形態に係る高履歴減衰型ブレース
1は、所定の弾塑性履歴特性を有するブレース本体2
と、該ブレース本体に接続された塑性変形吸収機構3
と、該塑性変形吸収機構の反対側にて固定されたブレー
ス本体4とから構成してある。
【0022】ブレース本体2は、降伏点を越えてからの
塑性伸びが大きな鋼材、例えばSS400、SS54
0、SM570などの鋼材を用いるのがよい。なお、ブ
レース本体4については、ブレース本体2と同様の材質
で構成してもよいが、特に伸び特性に優れた材質を選択
する必要はない。
【0023】塑性変形吸収機構3は、図2(a)でよくわ
かるようにブレース本体2が挿通される貫通孔11が形
成されたケーシング12と、ブレース本体2を挟み込ん
だ状態にて貫通孔11の円錐凹面に当接されるようにし
て該貫通孔内に嵌め込まれる円錐状のくさび部材13
と、該くさび部材を貫通孔11に押し込む軸方向弾性部
材としてのコイルバネ14とからなり、円錐状のくさび
部材13は、図2(b)に示すように、3つのくさび片1
3a、13b及び13cから構成してある。かかるくさ
び部材13は、例えばPC鋼線を定着させるためのくさ
び部材を参考として製作することができる。
【0024】塑性変形吸収機構3においては、ブレース
本体2に同図(c)の矢印に示すような圧縮力が作用した
とき、くさび部材13によるブレース本体2の定着作用
が解除され、ブレース本体2は、コイルバネ14に抵抗
しながら塑性変形吸収機構3内に挿入される。
【0025】一方、くさび部材13は、コイルバネ14
によって貫通孔11に押し込まれる方向の力を常時受け
ているので、ブレース本体2に作用する力が圧縮力から
引張力に反転したときには、反転と同時にコイルバネ1
4による押込み力によって貫通孔11に嵌め込まれる。
そして、同図(a)に示したようにブレース本体2をしっ
かりと貫通孔11に定着し、ブレース本体2の引出し方
向への移動を拘束する。
【0026】このように、塑性変形吸収機構3は、引張
力によって生じたブレース本体2の塑性変形をそのつど
吸収することとなるので、図2(a)に示した長さLにつ
いては、ブレース本体2の降伏後の伸び能力に対応して
適宜設定すればよい。例えば、SS400ならば17%
を越える伸びが期待できるので、ブレース本体2の全長
にかかる伸び率を乗じて実際の伸び長さを算出し、該伸
び長さを図2(a)に示した長さLとすればよい。
【0027】図3は、本実施形態に係る高履歴減衰型ブ
レース1を橋脚のRC架構21に適用した例を示した図
であり、ブレース本体2の端部については定着具22で
RC架構21の上部に定着してあり、ブレース本体4の
端部についてはRC架構21の脚部に固定してある。そ
して、同図でいえば、橋軸直交方向に沿って同図矢印に
示す地震時水平力が作用したとき、左上から右下に配置
した方の高履歴減衰型ブレース1においては、ブレース
本体2に圧縮力が作用し、該ブレース本体は塑性変形吸
収機構3内に挿入される。したがって、ブレース本体2
に圧縮力が生じて座屈するおそれはない。
【0028】一方、逆方向の地震時水平力が作用したと
き、ブレース本体2には引張力が作用するが、塑性変形
吸収機構3によって引出し方向への移動が拘束されるの
で、ブレース本体2には引張応力が発生し地震時水平力
に抵抗する。
【0029】ここで、ブレース本体2は、引張降伏後に
塑性変形が進行するので、引張力が作用しなくなった後
でも永久ひずみとして残留し、その分全長が長くなる
が、かかる塑性変形分は、逆方向すなわち圧縮側への移
動の際、ブレース本体2が塑性変形吸収機構3内に挿入
されることによって吸収され、圧縮から引張に移行する
次のサイクルでは、塑性変形による伸びを含んだ状態で
ブレース本体2が引張力を受けることとなる。
【0030】これを図4に示す応力―ひずみ履歴曲線で
説明すると、ブレース材を両端固定としていた従来の場
合(同図(a))では、引張力によってブレース材が塑性
変形を生じた後(A点)、いったん圧縮力をうけて圧縮
座屈を生じ再び引張力に反転する時点ではいまだB点に
あり、ブレース材のひずみが当初の塑性変形に達するま
で、すなわちC点に到達するまでそのまままε軸上を右
に移動し、その間引張力を負担することができない。し
たがって、1回目のサイクルにおいては、同図のハッチ
ング部分に相当する面積だけブレース材の履歴減衰を期
待することができるが、次のサイクルでは、1回目のサ
イクルで生じた塑性変形を上回る分だけしか、履歴減衰
を得ることができない。そのため、繰り返し波状的に襲
ってくる地震に対しては、履歴減衰によるエネルギー吸
収はほとんど期待できない。
【0031】一方、本実施形態では、同図(b)に示すよ
うに、引張力によってブレース材が塑性変形を生じた後
(A点)、圧縮力が作用している間は、ブレース本体2
が塑性変形吸収機構3内に挿入されて圧縮応力が発生し
ないため、塑性変形がそのまま残留し、次のサイクルで
引張力が作用し始めるのはC点からとなる。そして、R
C架構21のせん断変形角が1回目のサイクルと同様で
あっても、履歴曲線は、C→A´→C´→A″と移行し
て1サイクル目と同様の履歴減衰を期待することが可能
であり、2サイクル目以降についても、履歴ループは右
方向にシフトしながらそのつど確実に地震エネルギーを
吸収していく。
【0032】これを架構全体のせん断変形角と水平力と
の関係に注目して描いたのが図5であり、横軸には、R
C架構21のせん断変形角γを右方向にせん断変形した
場合を正としてとってあり、縦軸には、水平力を右方向
を正としてとってある。なお、地震荷重としては、1サ
イクル目で生じるせん断変形角を基準変形角とし、2、
3、4・・・サイクル目が順次基準変形角の2、3、4
・・・倍となる場合を想定した。
【0033】ここで、左下から右上に向けて配置した高
履歴減衰型ブレース1(以下、右ブレースとよぶ)にお
いては、同図(a)に示すように、地震時水平力が右方向
に作用したとき、引張力を受けて一定の降伏応力下で塑
性変形を生じ、地震時水平力が反対側に作用したときに
は、上述したようにブレース本体2には圧縮応力は生じ
ないので、γ軸上をそのまま左に移動する。この間、ブ
レース本体2は塑性変形吸収機構3内に挿入され続ける
こととなる。そして、RC架構21の変位方向が左から
右に振れたと同時に、くさび部材13及びコイルバネ1
4の作用でブレース本体2には引張力が即座に作用し、
履歴曲線上をA→Bと移行する。以下、同様に履歴ルー
プを描くが、地震による変形角が1サイクルごとに2
倍、3倍、4倍と大きくなっていくのを想定しているの
で、それに伴って履歴ループの幅も大きくなっていく。
【0034】同様に、左上から右下に向けて配置した高
履歴減衰型ブレース1(以下、左ブレースとよぶ)は、
同図(b)に示すように、地震時水平力が右方向に作用し
たとき、ブレース本体2には圧縮応力は生じないので、
原点からγ軸上をそのまま右に移動する。この間、ブレ
ース本体2は塑性変形吸収機構3内に挿入され続けるこ
ととなる。そして、地震力が反対方向に作用したとき、
くさび部材13及びコイルバネ14の作用でブレース本
体2には引張力が即座に作用し、履歴曲線上をA´→B
´→C´と移行する。なお、左ブレースでは、架構全体
の水平力に寄与する引張力の水平成分は、右ブレースと
は逆方向になるので、その履歴ループは負側に描いてあ
る。
【0035】これら右ブレース及び左ブレースの履歴曲
線に同図(c)に示すRC架構21の履歴曲線を重ね合わ
せたものが同図(d)である。同図(d)からは、高履歴減衰
型ブレース1、1及びRC架構21を組み合わせること
によって、全体として非常に履歴減衰が大きく、言い換
えれば地震エネルギー吸収に優れた構造となっているこ
とがわかる。
【0036】以上説明したように、本実施形態に係る高
履歴減衰型ブレース1によれば、ブレース本体2に圧縮
力が作用するときにはこれを塑性変形吸収機構3内に挿
入することによってブレース本体2に圧縮応力が発生し
ないようにするとともに、ブレース本体2に引張力が作
用するときにはブレース本体2がすでに塑性変形分だけ
伸びた状態で該ブレース本体をくさび部材13及びコイ
ルバネ14で拘束して引張力を負担させるようにしたの
で、従来のブレースに比べ、履歴減衰性能が格段に向上
し、振動エネルギー吸収の高い耐震性に優れた架構を構
築することが可能となる。
【0037】具体的に説明すると、例えば橋脚の構造設
計を行う際、大地震に対して架構の部材角が5%程度ま
で変形することを前提とした変位設計を行うことも考え
られるが、この場合、ブレースもそれに応じて数%程度
伸びることになる。したがって、降伏後の伸びが17%
を越えるSS400、同じく13%を越えるSS54
0、同じく19%を越えるSM570などの鋼材をブレ
ース本体2として用いて本実施形態の高履歴減衰型ブレ
ース1を構成すれば、数回の大地震まで十分な耐震性を
維持することが可能となる。また、ブレース本体2の伸
びに余裕がなくなった後でも、定着部22を取り外して
古いブレース本体2を撤去し、しかる後に新しいブレー
ス本体2を取り付けて定着部22で適宜緊張することに
より、大地震後の復旧や修理を簡単に行うことができ
る。
【0038】また、ブレース本体2に圧縮応力が生じな
いので、座屈が生じなくなる。そのため、従来のように
経済性を無視してまで大断面のブレースを使用する必要
がなくなる。むしろ、大地震時においては上述したよう
に、ブレース本体2を積極的に塑性変形させる必要があ
るので、ブレースの断面は自ずと小さくなる。
【0039】本実施形態では、ブレース本体4を高履歴
減衰型ブレース1の構成要素としたが、かかるブレース
本体4は必須の構成要素ではなく、塑性変形吸収機構3
をRC架構21に直接固定するようにしてもよい。
【0040】また、本実施形態では、高履歴減衰型ブレ
ース1を橋脚のRC架構21に適用した例を説明した
が、どのような部位に用いるかは任意であり、橋脚に代
えて建築構造物の耐震壁に採用してもよいし、RC架構
でなく鉄骨架構に採用してもよい。また、鉛直面内に限
定されるものではなく、鉛直軸線回りのねじれ振動が卓
越する構造物においては、本実施形態の高履歴減衰型ブ
レースを水平面内に配置してもよい。
【0041】また、本実施形態では、ブレース本体2を
円形断面の鋼材としたが、その材質や断面形状は任意で
あり、例えばブレース本体を矩形断面とし、その上面及
び下面に一対のくさび部材を嵌め込む構成としてもよ
い。
【0042】(第2実施形態)次に、第2実施形態につ
いて説明する。なお、上述の実施形態と実質的に同一の
部品等については同一の符号を付してその説明を省略す
る。
【0043】図6は、第2実施形態に係る高履歴減衰型
ブレース31を示したものである。同図でわかるよう
に、本実施形態に係る高履歴減衰型ブレース31も第1
実施形態と同様、ブレース本体2と、該ブレース本体に
接続された塑性変形吸収機構33と、該塑性変形吸収機
構の反対側にて固定されたブレース本体4とから構成し
てある。
【0044】ここで、塑性変形吸収機構33は、同図に
示すようにブレース本体2が挿通される貫通孔34が形
成されたケーシング35と、該貫通孔に挿通されたブレ
ース本体の端部に螺合されたナット部材36と、該ナッ
ト部材をケーシングとの隙間がなくなるように回転させ
る回転方向弾性部材としての二重コイルバネ37、37
とから構成してある。
【0045】かかる構成においては、ブレース本体2に
圧縮力が作用したとき、ブレース本体2はそのまま塑性
変形吸収機構33内に挿入されるが、ナット部材36
は、同図(b)に示すように、二重コイルバネ37、37
の作用によってケーシング35との隙間がなくなる方
向、すなわち同図矢印方向に回転される力を常時受けて
いるので、ブレース本体2が挿入されることによってケ
ーシング35との間に隙間が生じても、二重コイルバネ
37、37によって即座にナット部材36がブレース本
体2にねじ込まれ、結局、ナット部材36とケーシング
35との間は常に隙間がない状態に維持される。また、
二重コイルバネ37、37とすることによってナット部
材36にはトルクだけが作用するので、ブレース本体2
への螺合がスムーズに行われる。
【0046】したがって、ブレース本体2に引張力が作
用したとき、該ブレース本体に螺合されたナット部材3
6が引張力の発生と同時にケーシング35に係止され、
かかるナット部材36とケーシング35との係止作用に
よって、ブレース本体2の引出し方向への移動が拘束さ
れる。
【0047】このように、塑性変形吸収機構33は、引
張力によって生じたブレース本体2の塑性変形をそのつ
ど吸収することとなるので、図6(a)に示した長さLに
ついては、ブレース本体2の降伏後の伸び能力に対応し
て適宜設定すればよい。例えば、SS400ならば17
%を越える伸びが期待できるので、ブレース本体2の全
長にかかる伸び率を乗じて実際の伸び長さを算出し、該
伸び長さを図6(a)に示した長さLとすればよい。な
お、二重コイルバネ37、37についても、かかる長さ
Lだけナット部材33をねじ込むことができるように適
宜構成しておく。
【0048】本実施形態に係る高履歴減衰型ブレース3
1においても、第1実施形態と同様、ブレース本体2に
圧縮力が作用するときにはこれを塑性変形吸収機構33
内に挿入することによってブレース本体2に圧縮応力が
発生しないようにするとともに、ブレース本体2に引張
力が作用するときにはブレース本体2がすでに塑性変形
分だけ伸びた状態で該ブレース本体をナット部材36で
拘束して引張力を負担させるようにしたので、従来のブ
レースに比べ履歴減衰が格段に向上する。そのため、か
かる高履歴減衰型ブレース31を用いることによって、
振動エネルギー吸収の高い耐震性に優れた架構を構築す
ることが可能となる。また、ブレース本体2に圧縮応力
が生じないので座屈を懸念する必要がなくなる。
【0049】なお、その他の作用効果やRC架構21と
組み合わせた場合の作用効果については、上述の実施形
態とほぼ同様であるので、その説明についてはここでは
省略する。
【0050】本実施形態では、回転方向弾性部材として
二重コイルバネ37、37を用いたが、かかる回転方向
弾性部材は、ナット部材36に回転方向の力を与えるこ
とができるのであればどのような構成でもよく、二重コ
イルバネに代えて三重、四重でもよいし、スムーズにト
ルクを作用させることができるのであれば一重でもよ
い。さらに言えば、回転方向弾性部材をそもそもコイル
バネで構成する必要はなく、例えば鋼尺の巻取りリール
に使われているような渦巻き状バネをケーシングとナッ
トとの間に取り付けるようにしてもよい。
【0051】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の高履歴減衰
型ブレースによれば、ブレース本体に圧縮力が作用する
ときにはこれを塑性変形吸収機構内に挿入することによ
ってブレース本体に圧縮応力が発生しないようにすると
ともに、ブレース本体に引張力が作用するときにはブレ
ース本体がすでに塑性変形だけ伸びた状態で該ブレース
本体の引出し方向移動を拘束して引張力を負担させるよ
うにしたので、従来のブレースに比べて履歴減衰が格段
に向上し、耐震性に優れた架構を構築することが可能と
なる。また、ブレース本体に圧縮応力が生じないので座
屈を懸念する必要がなくなる。
【0052】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る高履歴減衰型ブレースを示
した全体図。
【図2】第1実施形態に係る高履歴減衰型ブレースの塑
性変形吸収機構を示した図であり、(a)は縦断面図、(b)
はA―A線に沿う横断面図、(c)は作用を示した縦断面
図。
【図3】第1実施形態に係る高履歴減衰型ブレースをR
C架構21に適用した様子を示した全体図。
【図4】第1実施形態に係る高履歴減衰型ブレースの作
用を説明したグラフであり、(a)は従来型のブレースに
おける履歴特性、(b)は本実施形態に係る高履歴減衰型
ブレースの履歴特性。
【図5】第1実施形態に係る高履歴減衰型ブレースをR
C架構21に適用した場合の作用を説明したグラフであ
り、(a)、(b)はそれぞれ右ブレース、左ブレースの履歴
特性、(c)はRC架構21の履歴特性、(d)はそれらを組
み合わせたときの全体の履歴特性。
【図6】第2実施形態に係る高履歴減衰型ブレース31
を示した図であり、(a)は縦断面図、(b)はB―B線に沿
う横断面図。
【符号の説明】
1、31 高履歴減衰型ブレース 2 ブレース本体 3、33 塑性変形吸収機構 11 貫通孔 12、35 ケーシング 13 くさび部材 14 コイルバネ(軸方向弾性
部材) 36 ナット部材 37 二重コイルバネ(回転方
向弾性部材)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の弾塑性履歴特性を有するブレース
    本体と該ブレース本体に接続された塑性変形吸収機構と
    からなり、該塑性変形吸収機構は、前記ブレース本体の
    挿入方向への移動を許容するとともに前記ブレース本体
    の引出し方向への移動を拘束するようになっていること
    を特徴とする高履歴減衰型ブレース。
  2. 【請求項2】 前記塑性変形吸収機構を、前記ブレース
    本体が挿通される貫通孔が形成されたケーシングと、前
    記ブレース本体を挟み込んだ状態にて前記貫通孔に嵌め
    込まれるくさび部材と、該くさび部材を前記貫通孔に押
    し込む軸方向弾性部材とから構成した請求項1記載の高
    履歴減衰型ブレース。
  3. 【請求項3】 前記塑性変形吸収機構を、前記ブレース
    本体が挿通される貫通孔が形成されたケーシングと、該
    貫通孔に挿通された前記ブレース本体の端部に螺合され
    たナット部材と、該ナット部材を前記ケーシングとの隙
    間がなくなるように回転させる回転方向弾性部材とから
    構成した請求項1記載の高履歴減衰型ブレース。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002348954A (ja) * 2001-05-25 2002-12-04 Daiwa House Ind Co Ltd ブレース構造
JP2011202366A (ja) * 2010-03-24 2011-10-13 Bridgestone Corp 筋交い及び耐震構造
KR101341170B1 (ko) * 2012-03-28 2013-12-13 오영근 조적식 벽체용 쐐기식 내진 보강 구조물 및 이를 이용한 내진 보강 공법

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