JP2013249603A - 制耐振ブレースおよび制耐振方法並びに制耐振部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】補強工事を簡易迅速に行え、耐震性とともに制振性をも向上させることが可能であり、既存の建築物でも安価に取り付けられる制耐振ブレースおよび制耐振方法並びに制耐振部材を提供する。
【解決手段】制耐振ブレース10は、ワイヤブレース11,12を有している。ワイヤブレース11,12は、ねじり索部の長さ方向両側に回動装着部材21が固定されている。ねじり索部20は、小索部がより合わされている。制耐振ブレース10は、ワイヤブレース11,12それぞれのねじり索部が交差した状態で、それぞれの回動装着部材21の挿通孔に締結具を挿通することによって、躯体1に回動可能に装着される。
【選択図】図1

Description

本発明は、木造建築物、軽量鉄骨建築物といった建築物の強度を高め、かつ建築物に加わる振動を抑制する制耐振ブレースおよび制耐振方法並びに制耐振部材に関する。
木や軽量鉄骨等を用いた建築物は、地震や強風、車両の走行等による外力を受けるとその外力に応じて振動する。こうした振動から建築物を守るため、従来、数多くの技術が提案されている。特に、我国では、地震の発生する可能性が高い。そのため、地震による振動から建築物を守り、被害を少しでも小さくするため、数多くの技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、隣接する柱の間に筋交いが固定される構造において、土台と柱とが固定されている角部と、筋交いとの間に、弾性体を挟んだ金具を取り付けて耐震性および制震性を高める技術が開示されている。
また、特許文献2では、緩衝スプリングを備えた2本の制震部材を斜めに交差させて隣接する柱の間に固定し、かつ2本の制震部材の交差する部分に連結部材を取り付けた構造が開示されている。
さらに、特許文献3,4では、交差させた2本の金属棒状筋交い、補強金具および補強プレートを隣接する柱、梁および土台に固定した構造が開示されている。
特開2010−189833号公報 特開2007−16538号公報 特開2010−7454号公報 特開2010−84515号公報
上述した特許文献1〜4に開示されている従来技術では、隣接する柱の間に斜め交差状に筋交い等を固定して、建築物の強度を高めている。
しかし、いずれの従来技術も、隣接する柱の間に筋交い等を固定しなければならないため、次のような課題があった。
特許文献1、4等に開示されている筋交いは、隣接する2本の柱の間に斜め交差状態で配置され、その上で、その2本の柱か、梁および土台に固定されるため、柱よりも長い長さが必要とされる。したがって、各従来技術では、補強工事を行うとき、補強しようとする建築物のある現場まで、筋交いを長さの長いままで運ばねばならない。そのため、筋交いの運搬作業に手間がかかり、補強工事を簡易迅速に行えなかった。
しかも、住宅密集地のように、隣接する建築物との距離が十分に確保されていないときは、現場まで持ち込めたとしても、筋交いで隣接する建築物を破損することがないように細心の注意を要するため、筋交いの取付け作業に大変手間がかかるという課題もある。
一方、特許文献3,4に開示されている技術では、金属棒状の筋交いが用いられている。こうした筋交いは、建築物の強度を上げて耐震性を高める作用はあるものの、長さが不変であるから、建築物に加わる振動を吸収することはできない。したがって、特許文献3,4に開示されている技術では、建築物の制振性を向上させることはできない。また、金属棒状の筋交いは、長さが不変であるがゆえに巨大な振動が瞬時に加わったときに柱や梁などから外れてしまうおそれがあり、そうなると、耐震性さえも損なれてしまう。
そして、耐震性を高めて建築物の強度を向上させても、建築物に加わる振動そのものが軽減されるわけではないので、建築物の中に置かれている家具等の転倒や破損といった影響が発生するおそれは避けられない。
この点、特許文献1に開示されている従来技術では、弾性体を挟んだ金具を取り付けることで、耐震性と制振性の向上を狙っている。
しかし、この技術では、2つの金具が弾性体を介して取り付けられているから、巨大な振動が瞬時に加わったときに金具同士が離れてしまうおそれが高く、したがって、建築物の強度そのものを十分に向上させることは困難である。
しかも、2つの金具を隣接する柱同士の間の側面に固定しなければならないから、既存の木造家屋に取り付けるようとするときは、いったん、外壁を取り外さなければならない。そのため、この技術では、既存の建築物への取付け作業に大変な手間を要してしまい、取付け作業の費用が高額になりがちである。
その一方、特許文献2に開示されている従来技術も、特許文献1に開示されている従来技術と同様、既存の建築物への取付け作業に手間を要し、取付け作業の費用が高額になりがちである。しかも、緩衝スプリングが長さ方向にだけ伸縮するよう、動きが規制されているため、その規制された方向とは異なる方向の振動を十分に吸収できないおそれがある。
以上のように従来技術では、補強工事を簡易迅速に行うことが難しく、しかも、耐震性とともに制振性を向上させることが困難であり、既存の建築物に取り付けるには費用がかかるという課題があった。
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、補強工事を簡易迅速に行えるとともに、耐震性とともに制振性をも向上させることが可能であり、既存の建築物でも安価に取り付けられる制耐振ブレースおよび制耐振方法並びに制耐振部材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、複数の小索部がより合わされたねじり索部の長さ方向両側に、長さ調節部を備えた回動装着部材が固定されている第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースを有し、回動装着部材は、締結具の挿通孔が形成され、第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースそれぞれのねじり索部が交差した状態で、それぞれの回動装着部材の挿通孔に締結具を挿通することによって、建築物の躯体に回動可能に装着される制耐振ブレースを特徴とする。
この制耐振ブレースでは、第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースが、躯体の動きを抑制するとともに、それぞれのねじり索部が複数の小索部のより合わせであることによって、荷重がかかったときに擦れ合い、摩擦熱を発生する。
また、上記制耐振ブレースは、第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースそれぞれのねじり索部を1つに結束する結束部材を更に有することが好ましい。
この制耐振ブレースの場合、第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースそれぞれの傾斜状態がかわっても、結束部材によってそれぞれのねじり索部が1つに結束される。
さらに、上記制耐振ブレースの場合、第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースは、それぞれ躯体に固定されるベースプレートを備えた固定部材を有し、その固定部材は、躯体を構成する柱または梁の対向する2つの側面の間隔に応じた距離を隔てて対向配置され、かつその2つの側面に接する2つの対向端部を備えた割れ止め部材を有し、ベースプレートに締結具の挿通孔が形成されていることが好ましい。
この制耐振ブレースでは、割れ止め部材の2つの対向端部で挟み込みながら固定部材が躯体に固定される。
さらにまた、上記制耐振ブレースの場合、固定部材は、躯体の外側に配置される外壁材の厚さに応じた高さを有し、かつ割れ止め部材の外側に固定されている位置調節部を更に有することが好ましい。
固定部材が位置調節部を有すると、回動装着部材の装着位置が位置調節部の高さの分だけ外側にずれるようになる。
さらに、上記制耐振ブレースの場合、第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースは、鋼索の中間部分が1または2以上の折り返し部になり、かつその折り返し部以外の部分が概ね均等な長さになるように折り曲げ、その折り返し部以外の部分がそれぞれ小索部になるようにして形成されているようにすることができる。
また、回動装着部材は、ねじり索部が挿入される挿入孔の他端部にねじ溝が形成されたカシメ金具と、そのねじ溝にかみ合うスタッドボルトと、そのスタッドボルトの挿通孔を備えたボルト装着部および締結具の挿通孔が形成された回動部が一体になった回動プレートとを有し、カシメ金具およびスタッドボルトが長さ調節部を構成しているようにすることができる。
そして、本発明は、複数の小索部をより合わせるねじり索部の形成と、長さ調節部を備えた回動装着部材の固定とを行うことによって第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースを形成し、ねじり索部を交差させた状態で、第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースの回動装着部材をすべて建築物の躯体に装着し、かつ第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースの緊張状態が決められた大きさに達するように長さ調節部による第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースの長さ調節を行う制耐振方法を提供する。
上記制耐振方法は、第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースを躯体に装着する前にそれぞれのねじり索部を結束部材に挿通することによって、第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースの交差する部分を1つに結束することが好ましい。
また、躯体が木造建築物であるときは、躯体を構成する柱または梁の対向する2つの側面の間隔に応じた距離を隔てて対向配置され、かつその2つの側面に接する2つの対向端部を備えた割れ止め部材を有する固定部材を、その2つの対向端部が2つの側面に接するように柱または梁に固定することによって柱または梁の割れ止めを行い、その後、固定部材の外側から回動装着部材を躯体に装着することが好ましい。
さらに、本発明は、複数の小索部がより合わされたねじり索部の長さ方向両側に、長さ調節部を備えた回動装着部材が固定されている索状ブレースと、建築物の躯体に固定されるベースプレートを備えた固定部材とを有し、回動装着部材は、締結具の挿通孔が形成され、固定部材は、躯体を構成する柱または梁の対向する2つの側面の間隔に応じた距離を隔てて対向配置され、かつその2つの側面に接する2つの対向端部を備えた割れ止め部材を有し、ベースプレートに締結具の挿通孔が形成されている制耐振部材を提供する。
上記制耐振部材の場合、索状ブレースは、鋼索の中間部分が1または2以上の折り返し部になり、かつその折り返し部以外の部分が概ね均等な長さになるように折り曲げ、その折り返し部以外の部分がそれぞれ小索部になるようにして形成されていることが好ましい。
以上詳述したように、本発明によれば、補強工事を簡易迅速に行えるとともに、耐震性とともに制振性をも向上させることが可能であり、既存の建築物でも安価に取り付けられる制耐振ブレースおよび制耐振方法並びに制耐振部材が得られる。
本発明の第1の実施の形態に係る制耐振ブレースおよび制耐振ブレースが装着されている躯体の要部を示す正面図である。 図1のaで囲まれた部分を拡大した正面図である。 図1のbで囲まれた部分を拡大した正面図である。 図1の4−4線断面図である。 ねじり索部の要部を示す正面図である。 固定部材の平面図である。 固定部材の正面図である。 図6の8−8線断面図である。 固定部材の筒状アジャスタの斜視図である。 (a)はより合わせ前の小索部、カシメ金具およびスタッドボルトを示す正面図、(b)は変形例に係るより合わせ前の小索部、カシメ金具およびスタッドボルトを示す正面図、(c)は別の変形例に係るより合わせ前の小索部、カシメ金具およびスタッドボルトを示す正面図である。 (a)は、左向きの横揺れが発生する前と、発生した後の躯体を模式的に示した図、図11(b)は、左向きの横揺れが発生する前と、発生した後のワイヤブレースを模式的に示した図である。 変形例にかかる固定部材の平面図である。 変形例にかかる固定部材の正面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る制耐振ブレースおよび制耐振ブレースが装着されている躯体の要部を示す正面図である。 ワイヤブレースの要部および結束リングを示す正面図である。 (a)は、本発明の第1の実施の形態に係る制耐振ブレースにおいて、躯体に左向きの横揺れが発生したときのワイヤブレースを模式的に示した側面図、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る制耐振ブレースにおいて、躯体に左向きの横揺れが発生したときのワイヤブレースを模式的に示した側面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る制耐振ブレースおよび制耐振ブレースが装着されている躯体の要部を示す正面図である。 図17のcで囲まれた部分を拡大した正面図である。 図17のdで囲まれた部分を拡大した正面図である。 図17の20−20線断面図である。 (a)は変形例にかかる結束部材の斜視図、(b)は結束部材の平面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
第1の実施の形態
(制耐振ブレースの構成)
図面を参照して本発明の第1の実施の形態に係る制耐振ブレースの構成について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る制耐振ブレース10および制耐振ブレース10が装着されている躯体1の要部を示す正面図、図2は図1のaで囲まれた部分を拡大した正面図、図3は図1のbで囲まれた部分を拡大した正面図、図4は図1の4−4線断面図である。
本発明では、躯体1の補強工事にあたり、2つのワイヤをより合わせることでワイヤブレース11を得て、さらにワイヤブレース12を得て、それらが筋交いのような斜め交差状態で躯体1に装着される制耐振ブレース10を用いている。そのため、本発明では、金属棒状の筋交いを用いる場合に比べて補強工事を簡易迅速に行える。そのうえ、躯体1の耐震性だけでなく、制振性も向上させることができるし、既存の木造家屋でも補強工事が安価に行える。
図1に示した躯体1は、基礎2と、その上に固定された土台3と、柱4および梁5を有し、木造軸組工法によって建てられた木造建築物の構造体をなしている。本実施の形態では、既存の木造家屋を想定しているので、躯体1の外側には図4に示すように外壁材6が配置されている。ただし、図示の都合上、図1〜図3では、その外壁材6の図示を省略している。
そして、図1に示すように、制耐振ブレース10は2つのワイヤブレース11,12を有している。
ワイヤブレース11,12は、それぞれ本発明に係る第1の索状ブレース、第2の索状ブレースであって、図2〜図4に示すように、双方とも、ねじり索部20と、その長さ方向両側に固定された回動装着部材21,21とを有している。また、ワイヤブレース11,12は、固定部材30を有している。ワイヤブレース11,12は、それぞれ本発明における制耐振部材に相当している。
ここで、ねじり索部20について、図5と、図10(a)とを参照して説明する。図5は、ねじり索部20の要部を示す正面図、図10(a)は、より合わせ前の小索部20a,20b、後述するカシメ金具22およびスタッドボルト23を示す正面図である。
図示したねじり索部20は、図10(a)に示すように、鋼索(ワイヤ)をその中間部分が折り返し部20dになり、かつ折り返し部20d以外の部分が概ね均等な長さになるように折り曲げて形成されている。この場合、折り返し部20d以外の部分が小索部20a,20bになるようにしている。
そして、小索部20a,20bをねじり荷重を加えながら適度により合わせ、その両者を図5に示すように互いに螺旋状に絡み合わせることによって、ねじり索部20が形成されている。
ねじり索部20では、2つの小索部20a,20bがより合わされているが、2つの小索部20a,20bの間にはごくわずかな隙間20cが残されている。また、ねじり索部20は、両側を保持するなどしてねじり荷重が加えられている状態で小索部20a,20bが螺旋状に絡み合っているが、ねじり荷重を除くと、螺旋状の絡み合いを解消して元の小索部20a,20bに戻ろうとする性質(ねじり弾性)を有している。
そして、ワイヤブレース11,12では、ねじり索部20の端部20e,20eが後述するカシメ金具22に挿入され、カシメ金具22に固定されている。図10(a)には図示されていないが、折り返し部20dにも、カシメ金具22が固定されている。
続いて、回動装着部材21について、図2〜図4を参照して説明する。回動装着部材21は、図2〜図4に示すように、カシメ金具22と、スタッドボルト23と、回動プレート24とを有している。
カシメ金具22は、長さ方向の一端部にねじり索部20が挿入される挿入孔が形成されている。その挿入孔にねじり索部20の一方の端部が挿入されたあと、カシメられることにより、カシメ金具22がねじり索部20に固定されている(図10(a)参照)。また、カシメ金具22の長さ方向の他端部には、筒状の孔部が形成され、その内側面にねじ溝22aが形成されている。
スタッドボルト23は、カシメ金具22のねじ溝22aにかみ合う雄ネジが側面の長さ方向全体に形成されている。その雄ネジをねじ溝22aにかみ合わせながらスタッドボルト23がカシメ金具22の孔部に挿入されている。
回動プレート24は、図2に示すように、ボルト装着部24aと、回動部24bとを有し、その双方が概ね直交状に一体となったL字状の金具である。ボルト装着部24aは、スタッドボルト23の挿通孔24aaが形成されている。回動部24bは、本発明における締結具としての装着ボルト49の挿通孔24bbが形成されている。
そして、回動装着部材21では、スタッドボルト23をカシメ金具22にねじ込むことで両者を連結することができる。その際、スタッドボルト23のカシメ金具22へのねじ込み加減を変えることで、カシメ金具22の外に出ているスタッドボルト23の長さを変えられるので、カシメ金具22およびスタッドボルト23が本発明における長さ調節部を構成している。
続いて、固定部材30について、図2、図4に加え、図6〜図9を参照して説明する。図6は固定部材30の平面図、図7は固定部材30の正面図、図8は図6の8−8線断面図、図9は固定部材30の筒状アジャスタ33の斜視図である。
固定部材30は、図2等に示すように、ベースプレート31と、割れ止め部材32と、筒状アジャスタ33とを有し、これらが一体化されたものである。
図2、6,7に示すように、ベースプレート31は柱4の側面の幅に応じた直径を有する円板状の板材であり、その中心に装着ボルト49の挿通孔31cが形成されている。このベースプレート31は、図2に示すように、2本のコーチボルト45、45を用いて柱4の側面に固定される。
割れ止め部材32は、図2、6、7に示すように、矩形板部32aと、その長さ方向両端部に形成された対向端部32b、32bとを有し、これらが一体化されたものである。
矩形板部32aは、長手辺の幅w32がベースプレート31の直径に応じた大きさを有する矩形状の金属板である。矩形板部32aは、長手方向の中央に装着ボルト49の挿通孔32cが形成されている。
対向端部32b、32bは、矩形板部32aに直交している。対向端部32b、32bは、柱4の対向する2つの側面(ベースプレート31の固定される側面につながる2つの側面、対向2側面ともいう)の間隔に応じた距離を隔てて向かい合わせに配置(対向配置ともいう)され、かつその対向2側面に接する平板状に形成されている。
この割れ止め部材32の矩形板部32aの内側の表面がベースプレート31に固定されている。
筒状アジャスタ33は、本発明における位置調節部であって、特に図6、図9に詳しく示すように、円筒状の部材である。筒状アジャスタ33は、図4に示すように、外壁材6の厚さに応じた高さを有している。筒状アジャスタ33は、後述する突出部33b、33bを矩形板部32aの側面に係止させた状態で、矩形板部32aの外側に固定されているため、割れ止め部材32への固定状態が安定している。
筒状アジャスタ33では、円筒部33aの直径が矩形板部32aの短手方向の幅よりも幾分大きい。また、図7、図9に詳しく示すように、円筒部33aの下端に突出部33b、33bが形成されている。突出部33b、33bは矩形板部32aの短手方向の幅に応じた距離を隔てて対向配置され、かつ矩形板部32aの側面に係止し得るように形成されている。突出部33b、33bの高さが矩形板部32aの厚さに対応している。
(制耐振ブレースの施工方法)
次に、制耐振ブレースを用いた本発明における制耐振方法について、制耐振ブレース10を躯体1に装着する場合を例にとって説明する。
まず、前述した構造を有する2つのワイヤブレース11、ワイヤブレース12を形成する。
この場合、補強工事が必要とされる柱4,4の間に斜めに配置される筋交いの長さを割り出し、その長さの概ね2倍の長さを有するワイヤ(以下「ブレース用ワイヤ」という)を用意する。その際、例えば、リール等に巻き上げられた長尺のワイヤを施工現場まで運びこみ、それを所望の長さに切断することによってブレース用ワイヤを用意することができる。
そして、用意したブレース用ワイヤを図10(a)に示したように、折り返し部20dで折り曲げて2つ折りにする。それから、その2つ折りにしたブレース用ワイヤにねじり荷重を加えながら小索部20a,20bを適度により合わせ、小索部20a,20bを互いに螺旋状に絡み合わせることによって、ねじり索部20を形成する。
その後、ねじり索部20の端部20e,20eと、折り返し部20dとにそれぞれカシメ金具22を挿入し、その双方のカシメ金具22をそれぞれカシメることにより、ねじり索部20の両側にカシメ金具22、22を固定する。また、小索部20a,20bの両側にそれぞれカシメ金具22、22を固定した後、小索部20a,20bをより合わせてねじり索部20を形成してもよい。
次に、カシメ金具22,22の双方について、スタッドボルト23をねじ込む。また、ナットを挿通後、そのそれぞれのスタッドボルト23を回動プレート24におけるボルト装着部24aの挿通孔24aaに挿通する。さらに、スタッドボルト23にナットを通して、ボルト装着部24aを両側からナットで挟むようにして、スタッドボルト23を回動プレート24に連結する。こうして、ワイヤブレース11,12が形成される。
続いて、ワイヤブレース11,12が固定される柱4の側面に固定部材30を固定する。この場合、まず、躯体1の外側に外壁材6が配置されているので、固定部材30の固定に先立ち、外壁材6のうちの固定部材30を固定しようとする部分に、くり抜き孔6aを形成する(図4参照)。
そのくり抜き孔6aの外側から固定部材30を外壁材6の内側に納めて、柱4の側面にコーチボルト45,45を用いてベースプレート31を固定する。この場合、柱4は木造なので、柱4にコーチボルト45,45を打ち込むと、柱4がひび割れを起こすおそれがある。この柱4のひび割れを防止するため、次のようにして、固定部材30を用いて柱4の割れ止めを行う。
この場合、柱4の側面にベースプレート31を押さえ付けたまま、柱4の対向2側面に接するように、対向端部32b、32bによって柱4を挟み込み、その状態のまま、木ネジ46、46を打ち込むことによって、割れ止め部材32を柱4に固定する。その後、コーチボルト45,45を打ち込み、ベースプレート31を柱4に固定する。
続いて、ワイヤブレース11,12について、一方の回動装着部材21を固定部材30の外側から柱4に装着し、他方の回動装着部材21を基礎用ベースプレート47の外側から基礎2に装着する。基礎用ベースプレート47は、図3に示すように、基礎2の所望の位置にアンカーボルト48,48を用いて固定する。
この場合、まず、ワイヤブレース11について、2つの回動装着部材21のどちらか一方を躯体1に装着する。例えば、図2に示すように、筒状アジャスタ33の上に回動部24bを重ねた上で、その挿通孔24bbに装着ボルト49を挿通する。装着ボルト49は、筒状アジャスタ33とベースプレート31の挿通孔31cにも挿通させた上で柱4の側面に打ち込む。
外壁材6にはある程度の厚みがあるため、外壁材6の外側から躯体1に部材を装着するときは、その部材を外壁材6の厚みの分だけ奥側に納めなければならない。そういう場合でも、ワイヤブレース11,12を外壁材6の外側に配置できるようにするため、固定部材30に筒状アジャスタ33が固定されている。筒状アジャスタ33によって、回動装着部材21の装着位置を柱4の表面から外壁材6の厚みの分だけ外側にずらすことができる。
次に、もう一方の回動装着部材21を隣接する柱4の下方に位置する基礎用ベースプレート47まで導いてワイヤブレース11の長さを確認する。それから、回動部24bを基礎用ベースプレート47の外側に置き、装着ボルト49を挿通孔24bbに挿通させた上で、基礎用ベースプレート47の外側から基礎2の側面に打ち込む。こうして、ワイヤブレース11を躯体1に仮装着した状態が得られる。
ワイヤブレース12についても、ワイヤブレース11と同様の手順で躯体1に対して仮装着する。この場合、ワイヤブレース12はワイヤブレース11の外側に配置し、ワイヤブレース11、12双方のねじり索部20,20を斜めに交差させた状態でワイヤブレース12を仮装着する。
その後、ワイヤブレース11,12の緊張状態が決められた大きさに達しているかどうかを確認する。そして、緊張状態が決められた大きさに達していればワイヤブレース11,12の装着が完了し、制耐振ブレース10の躯体1への装着が完了する。
ワイヤブレース11,12の緊張状態が決められた大きさに達していないときは、長さ調節部によってワイヤブレース11,12の長さ調節を行う。これは、スタッドボルト23を回してカシメ金具22へのねじ込み加減を変えることによって行う。カシメ金具22へのねじ込み加減を変えることにより、カシメ金具22の外に出ているスタッドボルト23の長さが変わるため、一対の回動プレート24の間に架け渡されている部分の長さが変わる。また、回動プレート24に対するスタッドボルト23のねじ込み位置を動かしても、回動プレート24の間に架け渡されている部分の長さを変えることができる。
ワイヤブレース11,12の長さ調節を行うことによって、ワイヤブレース11,12の緊張状態を調節し、緊張状態が決められた大きさに達するようにすることができる。緊張状態が決められた大きさに達していれば、制耐振ブレース10の装着が完了する。
(制耐振ブレースの動作内容および作用効果)
続いて以上の構成を有する制耐振ブレース10の動作内容について説明する。
ここで、制耐振ブレース10を装着した躯体1に対し、地震等に伴う横揺れが発生したとする。その横揺れに伴い、柱4,4に傾きが発生したとすると、斜め交差状態で装着されているワイヤブレース11,12に荷重がかかり、その少なくとも一方が長さ方向に引き伸ばされる。
しかし、ワイヤブレース11,12は、緊張状態を保つように装着されているので、傾きが発生しないように、または傾きが大きくならないように、柱4,4の動きを抑制する。
また、ワイヤブレース11,12の両側の回動装着部材21が装着ボルト49により装着され、装着ボルト49の回りに回動プレート24が回動する。そのため、柱4,4の傾きに応じてワイヤブレース11,12の傾斜状態が変化する。仮に、ワイヤブレース11,12の傾斜状態が不変だとすると、柱4や基礎2のうちのワイヤブレース11,12が装着されている個所に荷重が集中してしまうが、回動プレート24が回動することによって、荷重を逃がすことができる。
以上のように、ワイヤブレース11,12が柱4,4の動きを抑制することにより、躯体1の横揺れに抵抗する力が増し、躯体1の強度が向上する。そのため、制耐振ブレース10によって、躯体1の耐震性を向上させることができる。
しかも、ワイヤブレース11,12は、ねじり索部20を有するため、金属棒状の筋交いでは得られない次のような作用効果をも奏する。
図5に示したように、ねじり索部20は微妙な隙間20cを有している。そのため、ワイヤブレース11,12に荷重がかかり、これらが長さ方向に引き伸ばされると、小索部20a,20b同士が激しく擦れ合い、小索部20a,20bが摩擦熱を発生する。地震により、躯体1の振動する方向が小刻みに変化すると、ワイヤブレース11,12に対する荷重のかかり方も小刻みに変化し、小索部20a,20b同士がより激しく擦れ合う。そのため、ワイヤブレース11,12がより大きな摩擦熱を発生する。
したがって、ワイヤブレース11,12は加えられた外力を熱に変換する熱変換機能を有している。このような熱変換機能により、ワイヤブレース11,12のねじり索部20が外力に応じた熱を発生することで、躯体1に加わる振動のエネルギーがワイヤブレース11,12によって吸収される。
また、ワイヤブレース11,12と金属棒状の筋交いとを比べると、双方の太さ(断面積)がほぼ同じであっても、ワイヤブレース11,12の表面積が金属棒状筋交いの20倍にもなる。
さらに、ワイヤブレース11,12では、小索部20a,20b同士の摩擦だけでなく、小索部20a,20bを構成している多数の針金同士の摩擦もある。そのため、これらの摩擦によって、ワイヤブレース11,12の長さ方向の引っ張り強度が著しく高まり、太さがほぼ同じ金属棒状筋交いに比べて引っ張り強度が5倍にもなる。したがって、制耐振ブレース10を用いると、金属棒状筋交いを用いる場合よりも耐震性を向上させることができる。
このように、躯体1に加わる振動のエネルギーを制耐振ブレース10が吸収する。そのため、制耐振ブレース10の装着により、躯体1の耐震性だけでなく、制振性も向上させることができる。
以上のような制耐振ブレース10は、ワイヤブレース11,12を有している。ワイヤブレース11,12は、あたかも金属棒状の筋交いのように斜交差状態で躯体1に装着されるが、いずれも、小索部20a,20bをより合わせたねじり索部20が主体となっている。
金属棒状の筋交いを用いる場合は、その筋交いを長さの長いままで躯体1の建築現場まで運ばねばならない。そのため、筋交いの運搬作業に手間がかかり、補強工事を簡易迅速に行うことが難しい。特に、躯体1と、隣接する建築物との距離が十分に確保されていないときは、筋交いで隣接する建築物を破損することがないように、最新の注意を要するため、筋交いの取付け作業にも大変手間がかかる。
しかし、制耐振ブレース10を用いる場合は、リール等巻き取られた長尺のワイヤを現場まで運べばよく、金属棒状の長い筋交いを現場まで運ぶ必要がない。そのため、制耐振ブレース10を用いるときは、従来よりも運搬作業を簡易迅速に行うことができる。また、取付け作業も、金属棒状の筋交いの場合のような手間がかからないから、簡易迅速に行える。
また、ワイヤブレース11,12は、ねじり索部20を主体として形成され、変形し長さが変わる。そのため、躯体1に巨大な振動が瞬時に加わっても、ワイヤブレース11,12の変形によって躯体1に粘りを発生させることができ、柱や梁に対する装着状態を強固に保持することができる。そのため、金属棒状の筋交いを用いる場合に比べて、耐震性をより向上させることができる。
さらに、外壁材6の一部をくり抜くことで制耐振ブレース10を装着することができるため、補強工事の際に外壁材6を取り外す必要がない。そのため、制耐振ブレース10は既存の木造家屋でも安価に装着することができる。
以上のように、制耐振ブレース10は、補強工事を簡易迅速に行うことができるだけでなく、耐震性とともに制振性を十分に向上させることが可能である。しかも、既存の建築物でも安価に装着することができる。
特に、制耐振ブレース10は固定部材30を有している。固定部材30は割れ止め部材32を有している。木造家屋の柱や梁にボルト等を打ち込むと、柱や梁がひび割れを起こすおそれがある。
しかし、制耐振ブレース10は割れ止め部材32により、そのようなひび割れを防止しながら装着することができる。そのため、制耐振ブレース10は、特に既存の木造家屋の耐震性および制振性を向上させるのに極めて好適である。
(変形例1)
続いて制耐振ブレースの変形例について、図10(b)、図10(c)を参照して説明する。図10(b)は変形例に係るより合わせ前のワイヤ41,42、カシメ金具22およびスタッドボルト23を示す正面図である。図10(c)は別の変形例に係るより合わせ前の小索部20a,20b,20g、カシメ金具22およびスタッドボルト23を示す正面図である。
前述した制耐振ブレース10では、鋼索を2つ折りにしてねじり索部20を形成していた。制耐振ブレース10は次のようなねじり索部40をワイヤブレース11,12としてもよい。ねじり索部40は、図10(b)に示すように、予め、所望の長さに切断された2本のワイヤ41,42をより合わせて形成されている。このようなねじり索部40を主体としたワイヤブレース11,12でも、前述のねじり索部20を主体としたワイヤブレース11,12と同様の作用効果を奏することができる。
また、図10(c)に示すように、鋼索を3つ折りにしてねじり索部20を形成してもよい。すなわち、折り返し部20dとともに折り返し部20hを形成することによって、小索部20a,20bとともに小索部20gを形成し、3つの小索部20a,20b,20gを適度により合わせてねじり索部20を形成してもよい。こうすると、3本の小索部20a,20b,20gのより合わせによって、ねじり索部20が形成されるので、ワイヤブレース11,12をより丈夫にすることができ、躯体1の耐震性および制振性をより向上させることができる。
(変形例2)
続いて、固定部材の変形例について、図12、図13を参照して説明する。図12は変形例にかかる固定部材130の平面図、図13は固定部材130の正面図である。
前述した固定部材30はベースプレート31と、割れ止め部材32と、筒状アジャスタ33とを有していたが、固定部材130は割れ止め部材132と、筒状アジャスタ133とを有している。
割れ止め部材132は柱4の側面の幅に応じた幅を有する矩形板部132aを有している。矩形板部132aは、中心に装着ボルト49の挿通孔132cが形成され、幅方向両側に対向端部32b、32bと同様の対向端部132b、132bが形成されている。
筒状アジャスタ133は、円筒状の部材であり、矩形板部132aの外側に固定されている。
割れ止め部材132では、矩形板部132aと、対向端部132b、132bとが一体化されている。そのため、前述した割れ止め部材32と同様に、対向端部132b、132bによって柱4を挟み込むことにより、柱4のひび割れを防止することができる。しかも、矩形板部132aを柱4の側面に固定することができるので、矩形板部132aが固定部材30におけるベースプレート31の役割をなしている。そのため、割れ止め部材132は本発明における割れ止め部材に対応するだけでなく、本発明におけるベースプレートにも対応している。
前述の固定部材30は、ベースプレート31、割れ止め部材32、筒状アジャスタ33の3つの部材が一体化されていたが、固定部材130は、割れ止め部材132と、筒状アジャスタ133の2つの部材で構成されている。そのため、固定部材130は、構造が簡易なので、固定部材30よりも製造コストが安価になり、取り扱いも容易になる。したがって、固定部材130を用いることによって、補強工事がより安価に行える。
第2の実施の形態
次に、図14〜図15を参照して本発明の第2の実施の形態に係る制耐振ブレースについて説明する。図14は本発明の第2の実施の形態に係る制耐振ブレース50および制耐振ブレース50が装着されている躯体1の要部を示す正面図である。図15は、ワイヤブレース11,12の要部および結束リング55を示す正面図である。
制耐振ブレース50は、前述した制耐振ブレース10と比較して、結束リング55を有する点で相違しているが、他の点では一致している。
制耐振ブレース50では、躯体1の横揺れ発生時に、ワイヤブレース12が外向きに膨らむことを結束リング55によって抑制することができる。
結束リング55は本発明における結束部材に相当している。この結束リング55は金属やプラスチック等からなる円環状の部材である。その直径は、ワイヤブレース11の直径(ねじり索部20の直径)と、ワイヤブレース12の直径(ねじり索部20の直径)とを加えた大きさ(直径和という)よりも幾分大きい。
結束リング55の直径がワイヤブレース11、12の直径和と同じ大きさであれば、ワイヤブレース11、12を両方とも結束リング55に挿通することができる。
しかし、ワイヤブレース11,12にはそれぞれある程度の太さがある。そのため、ワイヤブレース11,12を斜めに交差させると、ワイヤブレース11の最も外側の部分から、ワイヤブレース12の最も外側の部分までの間隔が広がり、直径和よりも大きくなる。したがって、結束リング55の直径をワイヤブレース11、12の直径和よりも大きくする必要がある。
また、制耐振ブレース10が躯体1に装着された時点でワイヤブレース11,12が斜めに交差しているが、ワイヤブレース11,12にはそれぞれある程度の太さがある。そのため、図15に示すように、ワイヤブレース11,12の交差している箇所(交差ポイント)111には、上下方向の幅w111がある。
結束リング55の直径が大きすぎると、制耐振ブレース50が躯体1に装着された際、結束リング55がこの幅w111の範囲からはずれてしまう。そのため、結束リング55は、制耐振ブレース50が躯体1に装着された時点で交差ポイント111の範囲内にとどまるように、直径が設定されている。
以上のような結束リング55は、ワイヤブレース11,12を挿通することによって、ねじり索部20を1つに結束することができる。
ここで、図11を参照しながら制耐振ブレース10が装着された躯体1に横揺れが発生した場合を考える。ここで、図11(a)は、左向きの横揺れが発生する前と、発生した後の躯体1を模式的に示した図、図11(b)は、左向きの横揺れが発生する前と、発生した後のワイヤブレース11,12を模式的に示した図である。
例えば、図11(a)に示すように、躯体1に左向きf方向の大きな横揺れが発生したとする。すると、柱4がf方向に大きく傾き、柱4Aのように斜めになる。柱4にはワイヤブレース11,12が装着されている。そのため、柱4につれてワイヤブレース11,12の傾斜が変わり、例えば、図11(b)に示すように、ワイヤブレース11,12がそれぞれワイヤブレース11A,12Aのようになる。
この場合、ワイヤブレース11は水平方向に近づくため、長さ方向に引き伸ばされる。これに対し、ワイヤブレース12は垂直方向に近づくため、その両端に固定されている回動装着部材21、21の間隔が狭まる。
すると、ワイヤブレース12はワイヤブレース11の手前側に配置されているので、図16(a)に示すように、ワイヤブレース12が手前側に膨らみ、ワイヤブレース11との間にw12の隙間ができる。
しかし、結束リング55によって2つのねじり索部20を1つに結束しておけば、躯体1に横揺れが発生しても、図16(b)に示すように、ワイヤブレース12の膨らみを防止できる。
このように、制耐振ブレース50では、躯体1の横揺れ発生時におけるワイヤブレース12の膨らみを結束リング55によって抑制することができる。
(変形例)
続いて結束部材の変形例について、図21を参照して説明する。図21(a)は変形例にかかる結束部材65の斜視図、図21(b)は結束部材65の平面図である。
結束部材65は、結束パイプ61,62を有している。結束パイプ61,62は金属やプラスチック等からなる円筒であって、それぞれワイヤブレース11,12のねじり索部20に応じた孔部61a,62aが軸方向にそって全体に形成されている。長さは前述のw111よりも幾分大きい大きさである。
結束パイプ61,62はその長さ方向中間部分の側面に回動軸63が挿通されている。結束パイプ61,62は回動軸63を中心に回動可能な状態で一体化されている。
以上のような結束部材65は、ワイヤブレース11,12をそれぞれ結束パイプ61,62に挿通することによって、ねじり索部20を1つに結束することができる。しかも、結束パイプ61,62は、回動軸63によって回動可能な状態で一体化されているから、ワイヤブレース11,12の傾斜状態に応じて、交わり方が変わる。
仮に、結束パイプの交わり方が固定されていたとすると、ワイヤブレース11,12の傾斜状態が変わったときに、結束部材が破損するおそれがあるが、結束部材65では、その恐れは皆無である。
そのため、前述の結束リング55を有する場合と同様、結束部材65を有する場合も、躯体1の横揺れ発生時におけるワイヤブレース12の膨らみを抑制することができる。
第3の実施の形態
次に、図17〜図20を参照して本発明の第3の実施の形態に係る制耐振ブレースについて説明する。図17は本発明の第3の実施の形態に係る制耐振ブレース60および制耐振ブレース60が装着されている躯体61の要部を示す正面図である。図18は図17のcで囲まれた部分を拡大した正面図、図19は図17のdで囲まれた部分を拡大した正面図、図20は図17の20−20線断面図である。
前述した実施の形態では、既存の木造家屋について、その外壁材6の外側に制耐振ブレース10を装着する場合を想定していた。本実施の形態では、木造家屋を新築する際、外壁材を装着する前の躯体61に制耐振ブレース60を装着する場合を想定している。または、既存の木造家屋において、躯体のみを残して他を取り壊し、新たに外壁材を装着する等の大幅なリフォームを行う際、外壁材を装着する前の躯体61に制耐振ブレース60を装着する場合を想定している。
制耐振ブレース60は、制耐振ブレース10と比較して、ワイヤブレース11,12の代わりにワイヤブレース13,14と、結束リング55を有する点で相違している。ワイヤブレース13,14は、ワイヤブレース11,12と比較して、固定部材30を有していない点で相違しているが、そのほかの点では一致している。
制耐振ブレース10では、躯体1に対して直に装着されていたが、制耐振ブレース60は、躯体61に直に装着されるのではなく、筋交い金具39に対して回動自在に装着されている。
筋交い金具39は、土台3、隣接する柱4および梁5の内側に配置され、これらの内側の側面に固定されている。躯体61では、土台3、隣接する柱4および梁5によって囲まれる空間70を想定できるが、その空間70の四隅に筋交い金具39が配置されている。
筋交い金具39は、L字板部39aと、三角板部39bとを有している。L字板部39aは、土台3、柱4または梁5の側面の幅に応じた幅を有する矩形板を折り曲げるなどして形成され、2つの矩形板が直交状に交差した構造を有している。三角板部39bは、L字板部39aを構成する2つの矩形板によって囲まれた角部および2つの矩形板に固定されている。三角板部39bは、装着ボルト49の挿通孔39bbが形成されている。
筋交い金具39は、土台3および梁5に対して、コーチボルト45および木ネジ46を用いて固定されている。また、柱4に対して、貫通ボルト38および木ネジ46を用いて固定されている。
そして、ワイヤブレース11、12は、回動プレート24の挿通孔24bbと、三角板部39bの挿通孔39bbとに装着ボルト49を挿通した上で、ナットを嵌めることによって、筋交い金具39に対して回動可能に装着することができる。その際、結束リング55をねじり索部20に挿通させてからワイヤブレース11、12を筋交い金具39に装着する。筋交い金具39が躯体61に固定されているので、筋交い金具39への装着で、制耐振ブレース60の装着が完了する。なお、図17〜図20に示されていないが、外壁材は制耐振ブレース60の外側に取り付けられる。
以上のように、制耐振ブレース60は、制耐振ブレース10と同様、躯体61の耐震性と、制振性とをともに向上させることができる。また、運搬作業を簡易迅速に行うことができるし、制耐振ブレース60の取付け作業も簡易迅速に行える。木造家屋を新築する場合であれば、外壁材を取り付ける前に装着することによって、取付け作業の費用を安価に抑えることもできる。
しかも、結束リング55によって、ねじり索部20を1つに結束することができるので、躯体61の横揺れ発生時にワイヤブレース12が膨らむことを抑制することができる。
制耐振ブレース60のように、制耐振ブレースが外壁材の内側に配置されているときは、ワイヤブレース12が膨らむと、外側に配置される外壁材を破損させたり、傷付けたりするおそれがある。
しかし、制耐振ブレース60では、結束リング55によって、ねじり索部20を1つに結束しているので、横揺れが発生したときにワイヤブレース12が膨らむことがなく、外壁材を破損させたり、傷付けたりするおそれもない。
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
以上の実施の形態では、木造軸組工法によって建てられた木造建築物の躯体を例にとって説明しているが、本発明は、枠組壁工法、木質パネル工法といった別の工法で建てられた木造建築物にも適用できる。また、本発明は鉄骨を用いた建築物や、鉄筋コンクリートを用いた建築物にも適用することができる。
そのほか、筒状アジャスタ33,133を円筒状の部材としているが、角形の筒状の部材にしてもよい。結束リング55を円環状の部材としているが、角形環状の部材にしてもよい。
本発明を適用することにより、制耐振ブレースおよび制耐振方法並びに制耐振部材において、補強工事を簡易迅速に行えるとともに、耐震性とともに制振性をも向上させることが可能であり、既存の建築物でも安価に取り付けられるようになる。
1,61…躯体、2…基礎、3…土台、4…柱、5…梁、6…外壁材、10,50,60…制耐振ブレース、11,12,13,14…ワイヤブレース、20…ねじり索部、20a,20b,20g…小索部、20d,20h…折り返し部、21…回動装着部材、22…カシメ金具、23…スタッドボルト、24…回動プレート、24a…ボルト装着部、24b…回動部、24aa,24bb,31c,32c,132c…挿通孔,30,130…固定部材、31…ベースプレート、32,132…割れ止め部材、32b,132b…対向端部、33,133…筒状アジャスタ、55…結束リング、65…結束部材。

Claims (11)

  1. 複数の小索部がより合わされたねじり索部の長さ方向両側に、長さ調節部を備えた回動装着部材が固定されている第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースを有し、
    前記回動装着部材は、締結具の挿通孔が形成され、
    前記第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースそれぞれの前記ねじり索部が交差した状態で、それぞれの前記回動装着部材の前記挿通孔に前記締結具を挿通することによって、建築物の躯体に回動可能に装着される制耐振ブレース。
  2. 前記第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースそれぞれの前記ねじり索部を1つに結束する結束部材を更に有する請求項1記載の制耐振ブレース。
  3. 前記第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースは、それぞれ前記躯体に固定されるベースプレートを備えた固定部材を有し、
    該固定部材は、前記躯体を構成する柱または梁の対向する2つの側面の間隔に応じた距離を隔てて対向配置され、かつ該2つの側面に接する2つの対向端部を備えた割れ止め部材を有し、
    前記ベースプレートに前記締結具の挿通孔が形成されている請求項1または2記載の制耐振ブレース。
  4. 前記固定部材は、前記躯体の外側に配置される外壁材の厚さに応じた高さを有し、かつ前記割れ止め部材の外側に固定されている位置調節部を更に有する請求項3記載の制耐振ブレース。
  5. 前記第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースは、鋼索の中間部分が1または2以上の折り返し部になり、かつ該折り返し部以外の部分が概ね均等な長さになるように折り曲げ、該折り返し部以外の部分がそれぞれ前記小索部になるようにして形成されている請求項1〜4のいずれか一項記載の制耐振ブレース。
  6. 前記回動装着部材は、前記ねじり索部が挿入される挿入孔の他端部にねじ溝が形成されたカシメ金具と、該ねじ溝にかみ合うスタッドボルトと、該スタッドボルトの挿通孔を備えたボルト装着部および前記締結具の挿通孔が形成された回動部が一体になった回動プレートとを有し、
    前記カシメ金具およびスタッドボルトが前記長さ調節部を構成している請求項1〜5のいずれか一項記載の制耐振ブレース。
  7. 複数の小索部をより合わせるねじり索部の形成と、長さ調節部を備えた回動装着部材の固定とを行うことによって第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースを形成し、
    前記ねじり索部を交差させた状態で、前記第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースの前記回動装着部材をすべて建築物の躯体に装着し、かつ前記第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースの緊張状態が決められた大きさに達するように前記長さ調節部による前記第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースの長さ調節を行う制耐振方法。
  8. 前記第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースを前記躯体に装着する前にそれぞれの前記ねじり索部を結束部材に挿通することによって、前記第1の索状ブレースおよび第2の索状ブレースの交差する部分を1つに結束する請求項7記載の制耐振方法。
  9. 前記躯体が木造建築物であるときは、前記躯体を構成する柱または梁の対向する2つの側面の間隔に応じた距離を隔てて対向配置され、かつ該2つの側面に接する2つの対向端部を備えた割れ止め部材を有する固定部材を、該2つの対向端部が前記2つの側面に接するように前記柱または梁に固定することによって前記柱または梁の割れ止めを行い、その後、前記固定部材の外側から前記回動装着部材を前記躯体に装着する請求項7または8記載の制耐振方法。
  10. 複数の小索部がより合わされたねじり索部の長さ方向両側に、長さ調節部を備えた回動装着部材が固定されている索状ブレースと、建築物の躯体に固定されるベースプレートを備えた固定部材とを有し、
    前記回動装着部材は、締結具の挿通孔が形成され、
    前記固定部材は、前記躯体を構成する柱または梁の対向する2つの側面の間隔に応じた距離を隔てて対向配置され、かつ該2つの側面に接する2つの対向端部を備えた割れ止め部材を有し、
    前記ベースプレートに前記締結具の挿通孔が形成されている制耐振部材。
  11. 前記索状ブレースは、鋼索の中間部分が1または2以上の折り返し部になり、かつ該折り返し部以外の部分が概ね均等な長さになるように折り曲げ、該折り返し部以外の部分がそれぞれ前記小索部になるようにして形成されている請求項10記載の制耐振部材。
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