JPH11310864A - コーティング層との密着性に優れた銅箔 - Google Patents
コーティング層との密着性に優れた銅箔Info
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- JPH11310864A JPH11310864A JP10119172A JP11917298A JPH11310864A JP H11310864 A JPH11310864 A JP H11310864A JP 10119172 A JP10119172 A JP 10119172A JP 11917298 A JP11917298 A JP 11917298A JP H11310864 A JPH11310864 A JP H11310864A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 炭素などの活物質に樹脂を加えたコーティン
グなどの、銅箔表面との親和力が元々乏しいコーティン
グと銅箔表面との密着性を向上させた銅箔を提供する。 【解決手段】 箔表面にコーティング層を設けて使用
される銅箔において、銅箔表面に銅の酸化物皮膜を有す
るとともに、X 線回折法により測定した際の、銅箔の20
0 面と220 面との結晶方位の積分強度比率(200)/(220)
を0.3 以上とすることである。
グなどの、銅箔表面との親和力が元々乏しいコーティン
グと銅箔表面との密着性を向上させた銅箔を提供する。 【解決手段】 箔表面にコーティング層を設けて使用
される銅箔において、銅箔表面に銅の酸化物皮膜を有す
るとともに、X 線回折法により測定した際の、銅箔の20
0 面と220 面との結晶方位の積分強度比率(200)/(220)
を0.3 以上とすることである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にリチウムイオ
ン二次電池陰極などに使用される、炭素や樹脂など、銅
箔表面との親和力の低い物質をコーティングした銅箔に
関するものである。
ン二次電池陰極などに使用される、炭素や樹脂など、銅
箔表面との親和力の低い物質をコーティングした銅箔に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】銅箔は、周知の通り、電池用など電気・
電子分野で広く使用されている。今、電池として、リチ
ウムイオン二次電池の場合を例にとると、この電池は、
その陰極に炭素などを表面にコーティングした銅箔を使
用している。より具体的には、人工的に製造された炭素
や天然産の炭素などの電極活物質粉末に、PVDF等のフッ
素系樹脂をバインダーとして加え、これらを有機溶剤で
混練したものを、圧延により製造された銅箔表面にコー
ティングして用いている。
電子分野で広く使用されている。今、電池として、リチ
ウムイオン二次電池の場合を例にとると、この電池は、
その陰極に炭素などを表面にコーティングした銅箔を使
用している。より具体的には、人工的に製造された炭素
や天然産の炭素などの電極活物質粉末に、PVDF等のフッ
素系樹脂をバインダーとして加え、これらを有機溶剤で
混練したものを、圧延により製造された銅箔表面にコー
ティングして用いている。
【0003】この炭素としては、人工的に製造された炭
素よりは、天然産の炭素の方が陰極性能が高い。このた
めに、リチウムイオン二次電池などの陰極としては、天
然産の炭素の方の必要性が高い。
素よりは、天然産の炭素の方が陰極性能が高い。このた
めに、リチウムイオン二次電池などの陰極としては、天
然産の炭素の方の必要性が高い。
【0004】しかし、炭素自体は比較的不活性であり、
銅などの金属表面との親和力が乏しく、また人工的に製
造された炭素よりは、天然産の炭素の方がより親和力に
乏しい。更に、前記炭素のバインダーとして加えるフッ
素系樹脂なども比較的不活性であり、銅などの金属表面
との親和力が乏しい。したがって、前記炭素などの電極
活物質に樹脂を加えたコーティングは、総合的にも銅箔
表面との親和力が乏しく、銅箔表面との密着性が低い。
このため、このコーティング層を設けた銅箔を陰極用に
巻回などの加工を施して使用した場合、あるいは施さな
くても、銅箔表面からコーティング層が剥離、欠落し
て、初期に設定した電極性能が出ない、あるいは電池の
製造工程における陰極の取り扱いにも支障をきたす、と
いう問題がある。また、炭素の厚膜化が困難であり、電
極性能乃至性能の向上に限界がある。更に、炭素と銅箔
表面との密着不良により、集電体である炭素と銅箔との
抵抗の増加や、電極機能の低下を招いたり、陰極として
の耐久性や寿命にも問題がある。
銅などの金属表面との親和力が乏しく、また人工的に製
造された炭素よりは、天然産の炭素の方がより親和力に
乏しい。更に、前記炭素のバインダーとして加えるフッ
素系樹脂なども比較的不活性であり、銅などの金属表面
との親和力が乏しい。したがって、前記炭素などの電極
活物質に樹脂を加えたコーティングは、総合的にも銅箔
表面との親和力が乏しく、銅箔表面との密着性が低い。
このため、このコーティング層を設けた銅箔を陰極用に
巻回などの加工を施して使用した場合、あるいは施さな
くても、銅箔表面からコーティング層が剥離、欠落し
て、初期に設定した電極性能が出ない、あるいは電池の
製造工程における陰極の取り扱いにも支障をきたす、と
いう問題がある。また、炭素の厚膜化が困難であり、電
極性能乃至性能の向上に限界がある。更に、炭素と銅箔
表面との密着不良により、集電体である炭素と銅箔との
抵抗の増加や、電極機能の低下を招いたり、陰極として
の耐久性や寿命にも問題がある。
【0005】このため、この銅箔と炭素等の電極活物質
と電極金属との密着性を向上させる技術が、従来から種
々提案されている。この内、例えば、特開昭51−136535
号、特開昭63−121263号、特開平06−140045号、特開平
06−260168号、特開平07−192767号公報には、液体ホー
ニング加工、丸穴加工、エメリー紙で擦る、エッチング
などの適宜の手段により、電極金属の表面を粗面化乃至
凹凸化して、電極活物質と電極金属との密着性を向上さ
せる技術が提案されている。
と電極金属との密着性を向上させる技術が、従来から種
々提案されている。この内、例えば、特開昭51−136535
号、特開昭63−121263号、特開平06−140045号、特開平
06−260168号、特開平07−192767号公報には、液体ホー
ニング加工、丸穴加工、エメリー紙で擦る、エッチング
などの適宜の手段により、電極金属の表面を粗面化乃至
凹凸化して、電極活物質と電極金属との密着性を向上さ
せる技術が提案されている。
【0006】また、電池の電極分野や、電磁波シール
ド、フレキシブル印刷などで用いる銅箔表面の合成樹脂
フィルムの銅箔との密着性を向上させる技術も提案され
ている。例えば、特開平06−212375号公報などには、銅
箔を不活性ガス雰囲気下または真空下で180 ℃以上の温
度で加熱処理して、銅箔表面に付着している圧延油を除
去し、銅箔表面の水濡れ性を改善する技術が提案されて
いる。特開平06−299384号公報などには、銅箔を石油系
溶剤で洗浄して銅箔表面に付着している圧延油を除去
し、銅箔表面の水濡れ性を改善する技術が提案されてい
る。また、特開平07−201332号公報などには、銅箔表面
にアゾール系誘導体とソルピタン系誘導体の皮膜を設け
て、銅箔表面の水濡れ性を改善する技術が提案されてい
る。
ド、フレキシブル印刷などで用いる銅箔表面の合成樹脂
フィルムの銅箔との密着性を向上させる技術も提案され
ている。例えば、特開平06−212375号公報などには、銅
箔を不活性ガス雰囲気下または真空下で180 ℃以上の温
度で加熱処理して、銅箔表面に付着している圧延油を除
去し、銅箔表面の水濡れ性を改善する技術が提案されて
いる。特開平06−299384号公報などには、銅箔を石油系
溶剤で洗浄して銅箔表面に付着している圧延油を除去
し、銅箔表面の水濡れ性を改善する技術が提案されてい
る。また、特開平07−201332号公報などには、銅箔表面
にアゾール系誘導体とソルピタン系誘導体の皮膜を設け
て、銅箔表面の水濡れ性を改善する技術が提案されてい
る。
【0007】更に、特開平07−109558号公報などには、
銅箔を酸素の存在下において80℃以上の温度で加熱し
て、銅箔表面に100 〜1500オングストロームの厚さの酸
化皮膜層を形成して、電池の電極分野や、電磁波シール
ド、フレキシブル印刷などで用いる銅箔表面の合成樹脂
フィルムの、銅箔との密着性を向上させる技術も提案さ
れている。
銅箔を酸素の存在下において80℃以上の温度で加熱し
て、銅箔表面に100 〜1500オングストロームの厚さの酸
化皮膜層を形成して、電池の電極分野や、電磁波シール
ド、フレキシブル印刷などで用いる銅箔表面の合成樹脂
フィルムの、銅箔との密着性を向上させる技術も提案さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記特開昭51
−136535号公報などのように、電極金属の表面を粗面化
乃至凹凸化する技術は、極く薄い厚みを有する銅箔表面
を、電極活物質との密着性が実質的に向上するだけ粗面
化乃至凹凸化する加工自体に困難や難しさがある。ま
た、粗面化乃至凹凸化の程度が大きくなるほど、銅箔に
対する他の要求特性として、特に折曲強度などの銅箔の
使用強度を低下させ、却って電極としての耐久性や寿命
を劣化させる。
−136535号公報などのように、電極金属の表面を粗面化
乃至凹凸化する技術は、極く薄い厚みを有する銅箔表面
を、電極活物質との密着性が実質的に向上するだけ粗面
化乃至凹凸化する加工自体に困難や難しさがある。ま
た、粗面化乃至凹凸化の程度が大きくなるほど、銅箔に
対する他の要求特性として、特に折曲強度などの銅箔の
使用強度を低下させ、却って電極としての耐久性や寿命
を劣化させる。
【0009】また、前記特開平06−212375号公報などの
ように、銅箔を加熱乃至洗浄して、銅箔表面に付着して
いる圧延油を除去し、銅箔表面の水濡れ性を改善する技
術は、元々それなりの接着力を有する樹脂フィルムとの
密着性の向上には、それを妨害していた圧延油を除くた
めに効果があるかもしれない。しかし、本発明が特に問
題とする炭素などの活物質に樹脂を加えたコーティング
などの、銅箔表面との親和力が元々乏しいコーティング
に対しては、前記銅箔表面に付着している圧延油を除去
し、銅箔表面の水濡れ性を改善した程度では、銅箔表面
との密着性を向上させることはできない。
ように、銅箔を加熱乃至洗浄して、銅箔表面に付着して
いる圧延油を除去し、銅箔表面の水濡れ性を改善する技
術は、元々それなりの接着力を有する樹脂フィルムとの
密着性の向上には、それを妨害していた圧延油を除くた
めに効果があるかもしれない。しかし、本発明が特に問
題とする炭素などの活物質に樹脂を加えたコーティング
などの、銅箔表面との親和力が元々乏しいコーティング
に対しては、前記銅箔表面に付着している圧延油を除去
し、銅箔表面の水濡れ性を改善した程度では、銅箔表面
との密着性を向上させることはできない。
【0010】更に、本発明者らは、前記特開平07−1095
58号公報などのように、箔を酸素の存在下において80℃
以上の温度で加熱して、銅箔表面に100 〜1500オングス
トロームの厚さの酸化皮膜層を形成する方法では、この
従来技術が対象とする合成樹脂フィルムよりも、更に銅
箔表面との親和力が乏しく、銅箔表面との密着性が低
い、炭素などの電極活物質に樹脂を加えたコーティング
には効果が出ないことを知見した。即ち、銅箔に前記酸
化皮膜層を形成し、炭素などの電極活物質に樹脂を加え
たコーティング層を設けた銅箔を陰極用に巻回などの加
工を施して使用した場合、銅箔表面からコーティング層
が剥離、欠落する問題が生じた。
58号公報などのように、箔を酸素の存在下において80℃
以上の温度で加熱して、銅箔表面に100 〜1500オングス
トロームの厚さの酸化皮膜層を形成する方法では、この
従来技術が対象とする合成樹脂フィルムよりも、更に銅
箔表面との親和力が乏しく、銅箔表面との密着性が低
い、炭素などの電極活物質に樹脂を加えたコーティング
には効果が出ないことを知見した。即ち、銅箔に前記酸
化皮膜層を形成し、炭素などの電極活物質に樹脂を加え
たコーティング層を設けた銅箔を陰極用に巻回などの加
工を施して使用した場合、銅箔表面からコーティング層
が剥離、欠落する問題が生じた。
【0011】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、炭素などの活物質に樹脂を
加えたコーティングなどの、銅箔表面との親和力が元々
乏しいコーティングと銅箔表面との密着性を向上させた
銅箔を提供しようとするものである。
ものであって、その目的は、炭素などの活物質に樹脂を
加えたコーティングなどの、銅箔表面との親和力が元々
乏しいコーティングと銅箔表面との密着性を向上させた
銅箔を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明コーティング層との密着性に優れた銅箔の要
旨は、箔表面にコーティング層を設けて使用される銅箔
において、銅箔表面に銅の酸化物皮膜を有するととも
に、X 線回折法により測定した際の、銅箔の200面と220
面との結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を0.3 以
上とすることである。
に、本発明コーティング層との密着性に優れた銅箔の要
旨は、箔表面にコーティング層を設けて使用される銅箔
において、銅箔表面に銅の酸化物皮膜を有するととも
に、X 線回折法により測定した際の、銅箔の200面と220
面との結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を0.3 以
上とすることである。
【0013】熱間圧延、冷間圧延および最終焼鈍などを
経て製造される銅箔は、陰極などととして使用されるま
でに、焼鈍などの熱処理工程あるいは製造工程の雰囲気
中で、銅箔表面に銅の酸化物皮膜が必然的に生成する。
この銅の酸化物皮膜は、通常においては、焼鈍などの熱
処理工程あるいは製造工程の雰囲気中で生成するに拘ら
ず、前記した従来技術の通り、炭素などとの密着性を有
しない。しかし、本発明者は、銅箔の側の特定の結晶方
位の存在比率が、銅箔表面の酸化物皮膜の炭素などのコ
ーティング層との密着性を大きく左右し、この特定の結
晶方位の存在比率が特定の範囲の際に、コーティング層
との密着性が著しく改善されることを知見した。
経て製造される銅箔は、陰極などととして使用されるま
でに、焼鈍などの熱処理工程あるいは製造工程の雰囲気
中で、銅箔表面に銅の酸化物皮膜が必然的に生成する。
この銅の酸化物皮膜は、通常においては、焼鈍などの熱
処理工程あるいは製造工程の雰囲気中で生成するに拘ら
ず、前記した従来技術の通り、炭素などとの密着性を有
しない。しかし、本発明者は、銅箔の側の特定の結晶方
位の存在比率が、銅箔表面の酸化物皮膜の炭素などのコ
ーティング層との密着性を大きく左右し、この特定の結
晶方位の存在比率が特定の範囲の際に、コーティング層
との密着性が著しく改善されることを知見した。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明における銅箔の各要件の意
義について、以下に説明する。
義について、以下に説明する。
【0015】まず、本発明において、銅箔にコーティン
グされる物質の種類は、特に銅箔表面との親和力が乏し
いコーティングを対象とし、電池の陰極として、人工
的に製造された炭素や天然産の炭素などの炭素などの電
極活物質粉末に、PVDF等のフッ素系樹脂をバインダーと
して加えたコーティング層や、電磁波シールド、フレ
キシブル印刷用の合成樹脂フィルムなどコーティング層
などが例示される。
グされる物質の種類は、特に銅箔表面との親和力が乏し
いコーティングを対象とし、電池の陰極として、人工
的に製造された炭素や天然産の炭素などの炭素などの電
極活物質粉末に、PVDF等のフッ素系樹脂をバインダーと
して加えたコーティング層や、電磁波シールド、フレ
キシブル印刷用の合成樹脂フィルムなどコーティング層
などが例示される。
【0016】また、本発明で達成すべきコーティング層
の銅箔との密着性とは、前記の用途では、電池の陰極
としてコーティング層を設けた銅箔を、陰極用に巻回な
どの加工を施して使用した場合、あるいは施さなくて
も、銅箔表面から前記炭素などが剥離、欠落しないとい
う後述する実施例のレベルである。即ち、このレベルの
密着性向上が達成できた場合、前記の炭素よりも銅箔
表面との親和力が比較的高い前記電磁波シールド、フレ
キシブル印刷用の合成樹脂フィルムなどの密着性の向上
は必然的に達成される。
の銅箔との密着性とは、前記の用途では、電池の陰極
としてコーティング層を設けた銅箔を、陰極用に巻回な
どの加工を施して使用した場合、あるいは施さなくて
も、銅箔表面から前記炭素などが剥離、欠落しないとい
う後述する実施例のレベルである。即ち、このレベルの
密着性向上が達成できた場合、前記の炭素よりも銅箔
表面との親和力が比較的高い前記電磁波シールド、フレ
キシブル印刷用の合成樹脂フィルムなどの密着性の向上
は必然的に達成される。
【0017】このレベルの密着性を達成するために、本
発明では、前記した通り、銅箔のX線回折法により測定
した際の、銅箔の200 面と220 面との結晶方位の積分強
度比率(200)/(220) を0.3 以上とする。
発明では、前記した通り、銅箔のX線回折法により測定
した際の、銅箔の200 面と220 面との結晶方位の積分強
度比率(200)/(220) を0.3 以上とする。
【0018】銅箔の200 面と220 面との結晶方位の積分
強度比率(200)/(220) は、銅の酸化物皮膜の親和力を左
右するとともに、銅箔表面 (銅の酸化物皮膜の最表面)
との炭素などのコーティング層との密着性を大きく左右
する。この理由は、銅箔の200 面が、220 面に比して銅
の原子密度が約1.4 倍ある( 単位面積当たり) ことによ
るものと推察される。即ち、銅箔表面の銅の酸化物はエ
ピタキシー成長の傾向があり、この点、銅箔表面に銅の
原子密度が高い200 面が存在すれば、この銅箔表面の銅
の原子に対応して生成する酸化物(酸化皮膜中)の酸素
の原子密度も高くなる。このため、酸化皮膜中の酸素の
存在比率が高くなり、この酸素はM-OH、M-O として酸化
皮膜中に存在して極性が高いために、炭素などのコーテ
ィング物質との結合ポイント (活性点) として作用し、
この結果、銅箔表面 (銅の酸化物皮膜の最表面) との、
炭素などのコーティング層との密着性が向上するものと
推察される。したがって、この銅箔の200 面と220 面と
の結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を0.3 以上とし
て、銅箔の200 面の存在比率を高めれば、銅箔表面と銅
箔表面との親和力の乏しいコーティング層との密着性が
著しく改善される。なお、銅箔は10〜20μmと薄いもの
であるので、後述する好ましい製造方法によれば、箔の
内部乃至表面を問わず、200 面の存在比率が同様に高く
なる( 結晶方位の積分強度比率(200)/(220) は同じとな
る。
強度比率(200)/(220) は、銅の酸化物皮膜の親和力を左
右するとともに、銅箔表面 (銅の酸化物皮膜の最表面)
との炭素などのコーティング層との密着性を大きく左右
する。この理由は、銅箔の200 面が、220 面に比して銅
の原子密度が約1.4 倍ある( 単位面積当たり) ことによ
るものと推察される。即ち、銅箔表面の銅の酸化物はエ
ピタキシー成長の傾向があり、この点、銅箔表面に銅の
原子密度が高い200 面が存在すれば、この銅箔表面の銅
の原子に対応して生成する酸化物(酸化皮膜中)の酸素
の原子密度も高くなる。このため、酸化皮膜中の酸素の
存在比率が高くなり、この酸素はM-OH、M-O として酸化
皮膜中に存在して極性が高いために、炭素などのコーテ
ィング物質との結合ポイント (活性点) として作用し、
この結果、銅箔表面 (銅の酸化物皮膜の最表面) との、
炭素などのコーティング層との密着性が向上するものと
推察される。したがって、この銅箔の200 面と220 面と
の結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を0.3 以上とし
て、銅箔の200 面の存在比率を高めれば、銅箔表面と銅
箔表面との親和力の乏しいコーティング層との密着性が
著しく改善される。なお、銅箔は10〜20μmと薄いもの
であるので、後述する好ましい製造方法によれば、箔の
内部乃至表面を問わず、200 面の存在比率が同様に高く
なる( 結晶方位の積分強度比率(200)/(220) は同じとな
る。
【0019】これに対し、銅箔の200 面と220 面との結
晶方位の積分強度比率(200)/(220)が0.3 未満では、銅
箔表面に、銅の原子密度が220 面よりも低い200 が多く
存在することになり、この銅箔表面の銅の原子に対応し
て生成する酸化物(酸化皮膜中)の酸素の原子密度も低
くなる。このため、酸化皮膜中の酸素の存在比率が低く
なるため。この結果、銅箔の酸化物皮膜の親和力が低下
するとともに、銅箔表面 (銅の酸化物皮膜の最表面) と
の炭素などのコーティング層との密着性が著しく低下す
る。
晶方位の積分強度比率(200)/(220)が0.3 未満では、銅
箔表面に、銅の原子密度が220 面よりも低い200 が多く
存在することになり、この銅箔表面の銅の原子に対応し
て生成する酸化物(酸化皮膜中)の酸素の原子密度も低
くなる。このため、酸化皮膜中の酸素の存在比率が低く
なるため。この結果、銅箔の酸化物皮膜の親和力が低下
するとともに、銅箔表面 (銅の酸化物皮膜の最表面) と
の炭素などのコーティング層との密着性が著しく低下す
る。
【0020】銅箔の200 面乃至220 面などの結晶方位を
支配する銅箔の製造工程における支配因子は最終焼鈍前
後の冷間圧延率である。このうち、最終焼鈍前の冷間圧
延率は特に大きな因子である。通常の銅箔の製造工程で
は、この冷間圧延率が、例えば20% と低いため、このよ
うな場合には、必然的に銅箔の200 面の存在比が低くな
って、前記200 面と220 面との結晶方位の積分強度比率
(200)/(220) が0.3 未満となる。この点は、前記特開平
07−109558号公報なども同様であって、必然的に銅の酸
化物皮膜の親和力が低下するとともに、銅箔表面 (銅の
酸化物皮膜の最表面) との炭素などのコーティング層と
の密着性が著しく低下する。
支配する銅箔の製造工程における支配因子は最終焼鈍前
後の冷間圧延率である。このうち、最終焼鈍前の冷間圧
延率は特に大きな因子である。通常の銅箔の製造工程で
は、この冷間圧延率が、例えば20% と低いため、このよ
うな場合には、必然的に銅箔の200 面の存在比が低くな
って、前記200 面と220 面との結晶方位の積分強度比率
(200)/(220) が0.3 未満となる。この点は、前記特開平
07−109558号公報なども同様であって、必然的に銅の酸
化物皮膜の親和力が低下するとともに、銅箔表面 (銅の
酸化物皮膜の最表面) との炭素などのコーティング層と
の密着性が著しく低下する。
【0021】したがって、前記特開平07−109558号公報
などの従来技術では、そのコーティング対象とする合成
樹脂フィルムに対する銅箔の密着性は改善されるかもし
れないが、この合成樹脂フィルムよりも銅箔表面との親
和力が乏しく、銅箔表面との密着性が低い、炭素などの
電極活物質に樹脂を加えたコーティングとの密着性改善
の効果までは向上されない。即ち、銅箔に前記酸化皮膜
層を形成し、炭素などの電極活物質に樹脂を加えたコー
ティング層を設けた銅箔を陰極用に巻回などの加工を施
して使用した場合、銅箔表面からコーティング層が剥
離、欠落する問題が生じる。
などの従来技術では、そのコーティング対象とする合成
樹脂フィルムに対する銅箔の密着性は改善されるかもし
れないが、この合成樹脂フィルムよりも銅箔表面との親
和力が乏しく、銅箔表面との密着性が低い、炭素などの
電極活物質に樹脂を加えたコーティングとの密着性改善
の効果までは向上されない。即ち、銅箔に前記酸化皮膜
層を形成し、炭素などの電極活物質に樹脂を加えたコー
ティング層を設けた銅箔を陰極用に巻回などの加工を施
して使用した場合、銅箔表面からコーティング層が剥
離、欠落する問題が生じる。
【0022】銅の酸化物皮膜の厚みは2000オングストロ
ーム以下とするのが好ましい。銅の酸化物皮膜は、銅箔
の熱処理などの製造工程において必然的に形成される
が、銅の酸化物皮膜があまり薄すぎても、コーティング
層の銅箔表面との密着性向上効果が低くなるので、好ま
しくは20オングストローム以上とするのが好ましい。ま
た、一方銅の酸化物皮膜をあまり厚くする必要はなく、
前記銅箔の熱処理などの条件下では、生成する酸化物皮
膜の厚みにもおのずと限界がある。したがって、銅の酸
化物皮膜の厚みの好ましい範囲は、20〜2000オングスト
ロームである。
ーム以下とするのが好ましい。銅の酸化物皮膜は、銅箔
の熱処理などの製造工程において必然的に形成される
が、銅の酸化物皮膜があまり薄すぎても、コーティング
層の銅箔表面との密着性向上効果が低くなるので、好ま
しくは20オングストローム以上とするのが好ましい。ま
た、一方銅の酸化物皮膜をあまり厚くする必要はなく、
前記銅箔の熱処理などの条件下では、生成する酸化物皮
膜の厚みにもおのずと限界がある。したがって、銅の酸
化物皮膜の厚みの好ましい範囲は、20〜2000オングスト
ロームである。
【0023】また、本発明で規定する銅箔の200 面と22
0 面との結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を測定す
るための、X 線回折法の条件は、θ/2θの測定方法でタ
ーゲットとしてCuを用い、チューブボルテージ(Tube Vo
ltage)を40kv、チューブカレント(Tube Current)を50m
A、スタートアングル(Start angle) を40°、スタート
アングル(Stop angle)を 140°とし、200 面と220 面と
の各々の結晶方位の積分強度を求め、これに基づいて両
者の比率(200)/(220) を求める。なお、銅箔は前記した
通り、箔の内部乃至表面を問わず、200 面の存在比率が
同様に高くなる(結晶方位の積分強度比率(200)/(220)
は同じとなるので、X 線回折を行う部分は、銅箔の内部
乃至表面を問わない。
0 面との結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を測定す
るための、X 線回折法の条件は、θ/2θの測定方法でタ
ーゲットとしてCuを用い、チューブボルテージ(Tube Vo
ltage)を40kv、チューブカレント(Tube Current)を50m
A、スタートアングル(Start angle) を40°、スタート
アングル(Stop angle)を 140°とし、200 面と220 面と
の各々の結晶方位の積分強度を求め、これに基づいて両
者の比率(200)/(220) を求める。なお、銅箔は前記した
通り、箔の内部乃至表面を問わず、200 面の存在比率が
同様に高くなる(結晶方位の積分強度比率(200)/(220)
は同じとなるので、X 線回折を行う部分は、銅箔の内部
乃至表面を問わない。
【0024】本発明における、銅箔の200 面と220 面と
の結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を支配するの
は、銅箔の製造工程の、熱間圧延−冷間圧延−最終焼鈍
−冷間圧延における、最終焼鈍前後の冷間圧延率および
最終焼鈍温度などである。したがって、銅箔の200 面と
220 面との結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を0.3
以上とする方法としては、好ましくは、最終焼鈍前の冷
間圧延率を20% 以上、最終焼鈍温度を400 ℃以上、最終
焼鈍温度後の冷間圧延率を99% 以下とすることが好まし
い。これを外れる条件で製造した場合、銅箔の200 面の
存在比率を安定的に高めることが難しい。
の結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を支配するの
は、銅箔の製造工程の、熱間圧延−冷間圧延−最終焼鈍
−冷間圧延における、最終焼鈍前後の冷間圧延率および
最終焼鈍温度などである。したがって、銅箔の200 面と
220 面との結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を0.3
以上とする方法としては、好ましくは、最終焼鈍前の冷
間圧延率を20% 以上、最終焼鈍温度を400 ℃以上、最終
焼鈍温度後の冷間圧延率を99% 以下とすることが好まし
い。これを外れる条件で製造した場合、銅箔の200 面の
存在比率を安定的に高めることが難しい。
【0025】また、本発明において、銅箔表面の銅の酸
化物皮膜を形成する方法としては、前記した通常の箔の
製造工程における、最終焼鈍などの熱処理を、この加熱
処理に充てても良く、また別工程にて加熱処理などを行
って或いは放置することにより自然酸化させて生成して
も良い。しかし、熱処理により銅の酸化物皮膜を形成さ
せる場合にの加熱温度と時間については、高温乃至長時
間とならぬよう注意すべきである。加熱温度と時間が高
温乃至長時間となった場合、銅箔の200 面を多くして、
酸化皮膜中の酸素の存在比率を高めようとしているにも
かかわらず、酸素の存在比率が低い酸化物皮膜が生じや
すくなり、銅の酸化物皮膜の親和力が低下する。
化物皮膜を形成する方法としては、前記した通常の箔の
製造工程における、最終焼鈍などの熱処理を、この加熱
処理に充てても良く、また別工程にて加熱処理などを行
って或いは放置することにより自然酸化させて生成して
も良い。しかし、熱処理により銅の酸化物皮膜を形成さ
せる場合にの加熱温度と時間については、高温乃至長時
間とならぬよう注意すべきである。加熱温度と時間が高
温乃至長時間となった場合、銅箔の200 面を多くして、
酸化皮膜中の酸素の存在比率を高めようとしているにも
かかわらず、酸素の存在比率が低い酸化物皮膜が生じや
すくなり、銅の酸化物皮膜の親和力が低下する。
【0026】したがって、銅箔表面の銅の酸化物皮膜を
形成する条件としては、種々の加熱条件にもよるため、
一概には言いにくいが、好ましくは、60〜150 ℃の温度
で1分以下の加熱時間とする。また、酸化工程として
は、銅箔を、酸、アルカリで洗浄および水洗などの前処
理を適宜施した後、銅箔を大気中などの空気乃至酸素の
存在下で加熱処理する。
形成する条件としては、種々の加熱条件にもよるため、
一概には言いにくいが、好ましくは、60〜150 ℃の温度
で1分以下の加熱時間とする。また、酸化工程として
は、銅箔を、酸、アルカリで洗浄および水洗などの前処
理を適宜施した後、銅箔を大気中などの空気乃至酸素の
存在下で加熱処理する。
【0027】本発明に用いる銅箔の種類は、用途によっ
て適宜選択され公知の銅箔が適宜使用される。例えば、
リチウムイオン二次電池陰極用には、銅箔として、他に
曲げ性などの特性が必要であるため、タフピッチ銅、電
解銅などを使用することが好ましい。
て適宜選択され公知の銅箔が適宜使用される。例えば、
リチウムイオン二次電池陰極用には、銅箔として、他に
曲げ性などの特性が必要であるため、タフピッチ銅、電
解銅などを使用することが好ましい。
【0028】
【実施例1】次に、本発明成形方法の実施例を説明す
る。銅の鋳塊を均熱処理後、終了温度500 ℃で熱間圧延
し、次いで銅箔の結晶方位を支配する冷間圧延および最
終焼鈍の各工程の条件を、最終焼鈍前の冷間圧延率を10
〜95% 、最終焼鈍温度を400 ℃以上、最終焼鈍後の冷間
圧延率を10〜99% の範囲で変化させ、銅箔の200 面と22
0 面との結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を種々変
えた15μm 厚みのタフピッチ銅箔を得た。そして、この
銅箔から、幅が5cm で長さが7cm の長方形の銅箔試験片
を製作した。これらの銅箔試験片を、市販の炭化水素系
有機溶剤で洗浄して圧延油などの汚れを除去し、200 面
と220 面との結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を前
記X 線回折測定条件により測定した。この結果を表1 に
示す。
る。銅の鋳塊を均熱処理後、終了温度500 ℃で熱間圧延
し、次いで銅箔の結晶方位を支配する冷間圧延および最
終焼鈍の各工程の条件を、最終焼鈍前の冷間圧延率を10
〜95% 、最終焼鈍温度を400 ℃以上、最終焼鈍後の冷間
圧延率を10〜99% の範囲で変化させ、銅箔の200 面と22
0 面との結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を種々変
えた15μm 厚みのタフピッチ銅箔を得た。そして、この
銅箔から、幅が5cm で長さが7cm の長方形の銅箔試験片
を製作した。これらの銅箔試験片を、市販の炭化水素系
有機溶剤で洗浄して圧延油などの汚れを除去し、200 面
と220 面との結晶方位の積分強度比率(200)/(220) を前
記X 線回折測定条件により測定した。この結果を表1 に
示す。
【0029】そして、これら結晶方位の積分強度比率(2
00)/(220) が異なる銅箔試験片 (前記洗浄を施した)
を、炭化水素系有機溶剤にて洗浄した後、90℃×30秒の
同一条件で乾燥すると同時に酸化皮膜を生成させ、銅の
酸化物皮膜を銅箔表面に設けた密着性評価用試験片とし
た。なお、これら密着性評価用試験片の銅の酸化物皮膜
の膜厚をESCAにより測定した結果を表1 に示す。
00)/(220) が異なる銅箔試験片 (前記洗浄を施した)
を、炭化水素系有機溶剤にて洗浄した後、90℃×30秒の
同一条件で乾燥すると同時に酸化皮膜を生成させ、銅の
酸化物皮膜を銅箔表面に設けた密着性評価用試験片とし
た。なお、これら密着性評価用試験片の銅の酸化物皮膜
の膜厚をESCAにより測定した結果を表1 に示す。
【0030】更に、市販のリチウムイオン二次電池陰極
用炭素 (天然黒鉛、サイズ: 10〜40μm)を、バインダー
として市販のPVDF樹脂と、炭素:PVDF=9:1(wt比) を混合
して、溶剤である市販のn −メチルピロリドンを更に混
ぜて混練した。そしてこの混練液をバーコーターにて、
0.02g/1.69cm2(乾燥後重量) の量を、前記密着性評価用
試験片表面に塗り、130 ℃で3 分間乾燥して、コーティ
ング箔を得た。
用炭素 (天然黒鉛、サイズ: 10〜40μm)を、バインダー
として市販のPVDF樹脂と、炭素:PVDF=9:1(wt比) を混合
して、溶剤である市販のn −メチルピロリドンを更に混
ぜて混練した。そしてこの混練液をバーコーターにて、
0.02g/1.69cm2(乾燥後重量) の量を、前記密着性評価用
試験片表面に塗り、130 ℃で3 分間乾燥して、コーティ
ング箔を得た。
【0031】そして、リチウムイオン二次電池陰極用途
に要求される密着性のレベルを模擬して、このコーティ
ング箔のコーティング表面にセロハンテープを貼りつけ
た後、テープ上よりテフロンロールで圧着したのち、テ
ープを剥離した。コーティングと銅箔表面の密着性評価
は、テープを剥離した領域内において、単位面積(13×1
3mm=1.69cm2) 当たりの炭素残量( テープにて剥離せず
銅箔表面に残留している炭素量) を測定した。この試験
は、各々の例について10サンプルを行い、これらの銅箔
表面の炭素残量の平均が0.002g以上のものを◎、0.001
〜0.002gのものを○、0.001g未満のものを×として評価
した。これらの結果も表1 に示す。なお本剥離試験は、
リチウムイオン二次電池陰極用途の実際の使用中の剥離
性のレベルに比較して、約10倍厳しい条件であるため、
通常では付着した炭素の概ね90%以上 (0.018g/1.69cm2
以上) が剥離する。したがって、銅箔表面の炭素残量の
平均が0.002g以上であれば、炭素の耐剥離性 (密着性)
が非常に優れていると言える。
に要求される密着性のレベルを模擬して、このコーティ
ング箔のコーティング表面にセロハンテープを貼りつけ
た後、テープ上よりテフロンロールで圧着したのち、テ
ープを剥離した。コーティングと銅箔表面の密着性評価
は、テープを剥離した領域内において、単位面積(13×1
3mm=1.69cm2) 当たりの炭素残量( テープにて剥離せず
銅箔表面に残留している炭素量) を測定した。この試験
は、各々の例について10サンプルを行い、これらの銅箔
表面の炭素残量の平均が0.002g以上のものを◎、0.001
〜0.002gのものを○、0.001g未満のものを×として評価
した。これらの結果も表1 に示す。なお本剥離試験は、
リチウムイオン二次電池陰極用途の実際の使用中の剥離
性のレベルに比較して、約10倍厳しい条件であるため、
通常では付着した炭素の概ね90%以上 (0.018g/1.69cm2
以上) が剥離する。したがって、銅箔表面の炭素残量の
平均が0.002g以上であれば、炭素の耐剥離性 (密着性)
が非常に優れていると言える。
【0032】表1 から分かる通り、結晶方位の積分強度
比率(200)/(220) が0.3 以上を満足する発明例No.1〜5
は、炭素残量が多く、密着性が良いのに対し、結晶方位
の積分強度比率(200)/(220) が0.3 未満である比較例N
o.6〜8 は、いずれも炭素残量が少なく密着性が劣る。
また、発明例同士の比較において、結晶方位の積分強度
比率(200)/(220) が1.0 以上とより高い発明例No.2、4
は、1.0 未満の他の発明例に比して密着性のレベルがよ
り高くなっている。したがって、これらの事実から、本
発明要件の臨界的な意義や好ましい条件の意義が裏付け
られる。
比率(200)/(220) が0.3 以上を満足する発明例No.1〜5
は、炭素残量が多く、密着性が良いのに対し、結晶方位
の積分強度比率(200)/(220) が0.3 未満である比較例N
o.6〜8 は、いずれも炭素残量が少なく密着性が劣る。
また、発明例同士の比較において、結晶方位の積分強度
比率(200)/(220) が1.0 以上とより高い発明例No.2、4
は、1.0 未満の他の発明例に比して密着性のレベルがよ
り高くなっている。したがって、これらの事実から、本
発明要件の臨界的な意義や好ましい条件の意義が裏付け
られる。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、炭素などの活物質に樹
脂を加えたコーティングなどの、銅箔表面との親和力が
元々乏しいコーティングと銅箔表面との密着性を向上さ
せた銅箔を提供することができる。銅箔との親和力が乏
しいコーティングを施した銅箔の用途を拡げることがで
きる点で、多大な工業的価値を有するものである。
脂を加えたコーティングなどの、銅箔表面との親和力が
元々乏しいコーティングと銅箔表面との密着性を向上さ
せた銅箔を提供することができる。銅箔との親和力が乏
しいコーティングを施した銅箔の用途を拡げることがで
きる点で、多大な工業的価値を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 601 C22F 1/00 601 622 622 661 661C 680 680 685 685Z 686 686Z
Claims (8)
- 【請求項1】 箔表面にコーティング層を設けて使用さ
れる銅箔において、銅箔表面に銅の酸化物皮膜を有する
とともに、X 線回折法により測定した際の、銅箔の200
面と220 面との結晶方位の積分強度比率(200)/(220) が
0.3 以上であることを特徴とするコーティング層との密
着性に優れた銅箔。 - 【請求項2】 前記銅箔の200 面と220 面との結晶方位
の積分強度比率(200)/(220) が1.0 以上である請求項1
に記載のコーティング層との密着性に優れた銅箔。 - 【請求項3】前記銅の酸化物皮膜の厚さが20〜2000オン
グストロームである請求項1または2に記載のコーティ
ング層との密着性に優れた銅箔。 - 【請求項4】 前記コーティング層が電極活物質を含む
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコーティング層
との密着性に優れた銅箔。 - 【請求項5】 前記電極活物質が炭素粉を含む請求項4
に記載のコーティング層との密着性に優れた銅箔。 - 【請求項6】 前記炭素粉が天然炭素である請求項5に
記載のコーティング層との密着性に優れた銅箔。 - 【請求項7】 前記銅箔の用途が電池用である請求項1
乃至6のいずれか1項に記載のコーティング層との密着
性に優れた銅箔。 - 【請求項8】 前記銅箔の用途がリチウムイオン二次電
池陰極用である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の
コーティング層との密着性に優れた銅箔。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10119172A JPH11310864A (ja) | 1998-04-28 | 1998-04-28 | コーティング層との密着性に優れた銅箔 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10119172A JPH11310864A (ja) | 1998-04-28 | 1998-04-28 | コーティング層との密着性に優れた銅箔 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11310864A true JPH11310864A (ja) | 1999-11-09 |
Family
ID=14754704
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10119172A Withdrawn JPH11310864A (ja) | 1998-04-28 | 1998-04-28 | コーティング層との密着性に優れた銅箔 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11310864A (ja) |
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003041194A1 (en) * | 2001-11-07 | 2003-05-15 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Negative electrode current collector, negative electrode using the same, and nonaqueous electrolytic secondary cell |
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KR100650488B1 (ko) * | 2004-06-18 | 2006-11-29 | 쯔루미소다 가부시끼가이샤 | 구리 도금 재료 및 구리 도금 방법 |
JP2007134272A (ja) * | 2005-11-14 | 2007-05-31 | Sony Corp | 集電体、負極および電池 |
CN1327016C (zh) * | 2002-05-14 | 2007-07-18 | 同和矿业株式会社 | 具有改善的冲压冲制性能的铜基合金及其制备方法 |
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JP2011058992A (ja) * | 2009-09-11 | 2011-03-24 | Toyota Motor Corp | 圧延銅箔の熱履歴測定方法 |
JP2012129136A (ja) * | 2010-12-17 | 2012-07-05 | Hitachi Cable Ltd | リチウムイオン二次電池用銅箔及びその製造方法 |
JP2012201965A (ja) * | 2011-03-28 | 2012-10-22 | Jx Nippon Mining & Metals Corp | 銅箔及びそれを用いた二次電池 |
JP2019140058A (ja) * | 2018-02-15 | 2019-08-22 | Tdk株式会社 | 負極及びリチウム二次電池 |
CN116569355A (zh) * | 2020-11-02 | 2023-08-08 | 特拉沃特科技株式会社 | 锂二次电池 |
-
1998
- 1998-04-28 JP JP10119172A patent/JPH11310864A/ja not_active Withdrawn
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US7150942B2 (en) | 2001-11-07 | 2006-12-19 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Negative electrode current collector, negative electrode using the same, and non-aqueous electrolytic secondary cell |
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