JPH11302822A - コーティング層との密着性に優れた銅箔 - Google Patents

コーティング層との密着性に優れた銅箔

Info

Publication number
JPH11302822A
JPH11302822A JP10114931A JP11493198A JPH11302822A JP H11302822 A JPH11302822 A JP H11302822A JP 10114931 A JP10114931 A JP 10114931A JP 11493198 A JP11493198 A JP 11493198A JP H11302822 A JPH11302822 A JP H11302822A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper foil
copper
adhesion
oxide film
coating layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10114931A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumihiro Sato
文博 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP10114931A priority Critical patent/JPH11302822A/ja
Publication of JPH11302822A publication Critical patent/JPH11302822A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素などの活物質に樹脂を加えたコーティン
グなどの、銅箔表面との親和力が元々乏しいコーティン
グと銅箔表面との密着性を向上させた銅箔を提供する。 【解決手段】 箔表面にコーティング層を設けて使用さ
れる銅箔において、銅箔表面に銅の酸化物皮膜を有する
とともに、この銅の酸化物皮膜の最表面の酸素と銅との
原子比が、X 線光電子分光分析により測定した際のO1
軌道の狭域光電子スペクトル強度 (O)とCu2p3 軌道の狭
域光電子スペクトル強度 (Cu) との比(O/Cu)で0.5 〜2.
5 の範囲にあることを特徴とするコーティング層との密
着性に優れた銅箔とすることである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にリチウムイオ
ン二次電池陰極などに使用される、炭素や樹脂など、銅
箔表面との親和力の低い物質をコーティングした銅箔に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】銅箔は、周知の通り、電池用など電気・
電子分野で広く使用されている。今、電池として、リチ
ウムイオン二次電池の場合を例にとると、この電池は、
その陰極に炭素などを表面にコーティングした銅箔を使
用している。より具体的には、人工的に製造された炭素
や天然産の炭素などの電極活物質粉末に、PVDF等のフッ
素系樹脂をバインダーとして加え、これらを有機溶剤で
混練したものを、圧延により製造された銅箔表面にコー
ティングして用いている。
【0003】この炭素としては、人工的に製造された炭
素よりは、天然産の炭素の方が陰極性能が高い。このた
めに、リチウムイオン二次電池などの陰極としては、天
然産の炭素の方の必要性が高い。
【0004】しかし、炭素自体は比較的不活性であり、
銅などの金属表面との親和力が乏しく、また人工的に製
造された炭素よりは、天然産の炭素の方がより親和力に
乏しい。更に、前記炭素のバインダーとして加えるフッ
素系樹脂なども比較的不活性であり、銅などの金属表面
との親和力が乏しい。したがって、前記炭素などの電極
活物質に樹脂を加えたコーティングは、総合的にも銅箔
表面との親和力が乏しく、銅箔表面との密着性が低い。
このため、このコーティング層を設けた銅箔を陰極用に
巻回などの加工を施して使用した場合、あるいは施さな
くても、銅箔表面からコーティング層が剥離、欠落し
て、初期に設定した電極性能が出ない、あるいは電池の
製造工程における陰極の取り扱いにも支障をきたす、と
いう問題がある。また、炭素の厚膜化が困難であり、電
極性能乃至性能の向上に限界がある。更に、炭素と銅箔
表面との密着不良により、集電体である炭素と銅箔との
抵抗の増加や、電極機能の低下を招いたり、陰極として
の耐久性や寿命にも問題がある。
【0005】このため、この銅箔と炭素等の電極活物質
と電極金属との密着性を向上させる技術が、従来から種
々提案されている。この内、例えば、特開昭51−136535
号、特開昭63−121263号、特開平06−140045号、特開平
06−260168号、特開平07−192767号公報には、液体ホー
ニング加工、丸穴加工、エメリー紙で擦る、エッチング
などの適宜の手段により、電極金属の表面を粗面化乃至
凹凸化して、電極活物質と電極金属との密着性を向上さ
せる技術が提案されている。
【0006】また、電池の電極分野や、電磁波シール
ド、フレキシブル印刷などで用いる銅箔表面の合成樹脂
フィルムの銅箔との密着性を向上させる技術も提案され
ている。例えば、特開平06−212375号公報などには、銅
箔を不活性ガス雰囲気下または真空下で180 ℃以上の温
度で加熱処理して、銅箔表面に付着している圧延油を除
去し、銅箔表面の水濡れ性を改善する技術が提案されて
いる。特開平06−299384号公報などには、銅箔を石油系
溶剤で洗浄して銅箔表面に付着している圧延油を除去
し、銅箔表面の水濡れ性を改善する技術が提案されてい
る。また、特開平07−201332号公報などには、銅箔表面
にアゾール系誘導体とソルピタン系誘導体の皮膜を設け
て、銅箔表面の水濡れ性を改善する技術が提案されてい
る。
【0007】更に、特開平07−109558号公報などには、
銅箔を酸素の存在下において80℃以上の温度で加熱し
て、銅箔表面に100 〜1500オングストロームの厚さの酸
化皮膜層を形成して、電池の電極分野や、電磁波シール
ド、フレキシブル印刷などで用いる銅箔表面の合成樹脂
フィルムの、銅箔との密着性を向上させる技術も提案さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記特開昭51
−136535号公報などのように、電極金属の表面を粗面化
乃至凹凸化する技術は、極く薄い厚みを有する銅箔表面
を、電極活物質との密着性が実質的に向上するだけ粗面
化乃至凹凸化する加工自体に困難や難しさがある。ま
た、粗面化乃至凹凸化の程度が大きくなるほど、銅箔に
対する他の要求特性として、特に折曲強度などの銅箔の
使用強度を低下させ、却って電極としての耐久性や寿命
を劣化させる。
【0009】また、前記特開平06−212375号公報などの
ように、銅箔を加熱乃至洗浄して、銅箔表面に付着して
いる圧延油を除去し、銅箔表面の水濡れ性を改善する技
術は、元々それなりの接着力を有する樹脂フィルムとの
密着性の向上には、それを妨害していた圧延油を除くた
めに効果があるかもしれない。しかし、本発明が特に問
題とする炭素などの活物質に樹脂を加えたコーティング
などの、銅箔表面との親和力が元々乏しいコーティング
に対しては、前記銅箔表面に付着している圧延油を除去
し、銅箔表面の水濡れ性を改善した程度では、銅箔表面
との密着性を向上させることはできない。
【0010】更に、本発明者らは、前記特開平07−1095
58号公報などのように、箔を酸素の存在下において80℃
以上の温度で加熱して、銅箔表面に100 〜1500オングス
トロームの厚さの酸化皮膜層を形成する方法では、この
従来技術が対象とする合成樹脂フィルムよりも、更に銅
箔表面との親和力が乏しく、銅箔表面との密着性が低
い、炭素などの電極活物質に樹脂を加えたコーティング
には効果が出ないことを知見した。即ち、銅箔に前記酸
化皮膜層を形成し、炭素などの電極活物質に樹脂を加え
たコーティング層を設けた銅箔を陰極用に巻回などの加
工を施して使用した場合、銅箔表面からコーティング層
が剥離、欠落する問題が生じた。
【0011】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、炭素などの活物質に樹脂を
加えたコーティングなどの、銅箔表面との親和力が元々
乏しいコーティングと銅箔表面との密着性を向上させた
銅箔を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明コーティング層との密着性に優れた銅箔の要
旨は、箔表面にコーティング層を設けて使用される銅箔
において、銅箔表面に銅の酸化物皮膜を有するととも
に、この銅の酸化物皮膜の最表面の酸素と銅との原子比
が、X 線光電子分光分析により測定した際のO1s軌道の
狭域光電子スペクトル強度 (O)とCu2p3 軌道の狭域光電
子スペクトル強度 (Cu) との比(O/Cu)を0.5 〜2.5 の範
囲とすることである。
【0013】熱間圧延、冷間圧延および最終焼鈍などを
経て製造される銅箔は、陰極などととして使用されるま
でに、焼鈍などの熱処理工程あるいは製造工程の雰囲気
中で、銅箔表面に銅の酸化物皮膜が必然的に生成する。
この銅の酸化物皮膜は、通常においては、焼鈍などの熱
処理工程あるいは製造工程の雰囲気中で生成するに拘ら
ず、前記した従来技術の通り、炭素などとの密着性を有
しない。しかし、本発明者は、銅の酸化物皮膜の最表面
の酸素と銅との存在比が、炭素などのコーティング層と
の密着性を大きく左右し、この酸素と銅との存在比が特
定の割合の際に、コーティング層との密着性が著しく改
善されることを知見した。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明における銅箔の各要件の意
義について、以下に説明する。
【0015】まず、本発明において、銅箔にコーティン
グされる物質の種類は、特に銅箔表面との親和力が乏し
いコーティングを対象とし、電池の陰極として、人工
的に製造された炭素や天然産の炭素などの炭素などの電
極活物質粉末に、PVDF等のフッ素系樹脂をバインダーと
して加えたコーティング層や、電磁波シールド、フレ
キシブル印刷用の合成樹脂フィルムなどコーティング層
などが例示される。
【0016】また、本発明で達成すべきコーティング層
の銅箔との密着性とは、前記の用途では、電池の陰極
としてコーティング層を設けた銅箔を、陰極用に巻回な
どの加工を施して使用した場合、あるいは施さなくて
も、銅箔表面から前記炭素などが剥離、欠落しないとい
う後述する実施例のレベルである。即ち、このレベルの
密着性向上が達成できた場合、前記の炭素よりも銅箔
表面との親和力が比較的高い前記電磁波シールド、フレ
キシブル印刷用の合成樹脂フィルムなどの密着性の向上
は必然的に達成される。
【0017】このレベルの密着性を達成するために、本
発明では、銅箔表面の銅の酸化物皮膜の最表面の酸素と
銅との存在比を、銅の酸化物皮膜の最表面の酸素と銅と
の原子比で規定し、この原子比を、X 線光電子分光分析
により測定した際のO1s軌道の狭域光電子スペクトル強
度 (O)とCu2p3 軌道の狭域光電子スペクトル強度 (Cu)
との比(O/Cu)で規定する。そして、このO/Cuを0.5 〜2.
5 の範囲とする。
【0018】前記した通り、銅箔表面の銅の酸化物皮膜
の最表面の酸素と銅との存在比が、銅の酸化物皮膜の親
和力を左右するとともに、銅箔表面 (銅の酸化物皮膜の
最表面) との炭素などのコーティング層との密着性を大
きく左右する。この酸素と銅との存在比が前記光電子ス
ペクトル強度比で0.5 〜2.5 の範囲であれば、銅箔表面
(銅の酸化物皮膜の最表面) と銅箔表面との親和力の乏
しいコーティング層との密着性が著しく改善される。
【0019】これに対し、酸素と銅との存在比が前記光
電子スペクトル強度比で0.5 未満では、酸化物皮膜中の
酸素の存在比が低くなりすぎる。また一方、酸素と銅と
の存在比が前記光電子スペクトル強度比で2.5 を越えて
も酸化物皮膜中の酸素の存在比が高くなりすぎる。この
結果、これらいずれの場合も銅の酸化物皮膜の親和力が
低下するとともに、銅箔表面 (銅の酸化物皮膜の最表
面) との炭素などのコーティング層との密着性が著しく
低下する
【0020】通常の銅箔の製造工程における酸化物皮膜
ができやすい乃至酸化物皮膜生成を決定づける最終焼鈍
などの熱処理では、その条件が、例えば200 ℃以上の高
温あるいはこれよりも低温でも例えば1 分以上の長時間
となる。そして、このような場合には、必然的に酸化物
皮膜中の酸素の存在比が高くなって、前記光電子スペク
トル強度比が2.5 を越えることととなり、銅の酸化物皮
膜の親和力が低下するとともに、銅箔表面 (銅の酸化物
皮膜の最表面) との炭素などのコーティング層との密着
性が著しく低下する。
【0021】また、前記特開平07−109558号公報などの
ように、箔を酸素の存在下において80℃以上の温度で加
熱して、銅箔表面に100 〜1500オングストロームの厚さ
の酸化皮膜層を形成する方法では、加熱処理条件が100
℃までは1 〜25時間、100 〜200 ℃では5 〜50分など
と、比較的高温で長時間の加熱を行っている。このた
め、得られる酸化皮膜層は、必然的に酸化物皮膜中の酸
素の存在比が高くなって、前記光電子スペクトル強度比
が2.5 を越えることととなり、銅の酸化物皮膜の親和力
が低下するとともに、銅箔表面 (銅の酸化物皮膜の最表
面) との炭素などのコーティング層との密着性が著しく
低下する。
【0022】したがって、前記従来技術が対象とする合
成樹脂フィルムに対する銅箔の密着性は改善されるかも
しれないが、この合成樹脂フィルムよりも銅箔表面との
親和力が乏しく、銅箔表面との密着性が低い炭素などの
電極活物質に樹脂を加えたコーティングとの密着性改善
の効果は出ない。即ち、銅箔に前記酸化皮膜層を形成
し、炭素などの電極活物質に樹脂を加えたコーティング
層を設けた銅箔を陰極用に巻回などの加工を施して使用
した場合、銅箔表面からコーティング層が剥離、欠落す
る問題が生じる。
【0023】更に、銅の酸化物皮膜の厚みが厚くなりす
ぎた場合にも、銅の酸化物皮膜の最表面の酸素の存在比
が高くなり、前記光電子スペクトル強度比で2.5 を越え
る可能性がある。このため、銅の酸化物皮膜の厚みは20
00オングストローム以下とするのが好ましい。一方、銅
の酸化物皮膜があまり薄すぎても、コーティング層の銅
箔表面との密着性向上効果が低くなるので、好ましくは
20オングストローム以上とするのが好ましい。したがっ
て、銅の酸化物皮膜の厚みの好ましい範囲は、20〜2000
オングストロームである。
【0024】銅箔表面の銅の酸化物皮膜の最表面の酸素
と銅との存在比とは、酸素と銅との原子比であり、本発
明では、この酸素と銅との原子比を、X 線光電子分光法
(X-Ray Photoeiectron Spectroscopy:XPS 法、あるいは
エスカ(ESCA)とも言う) により酸素と銅との光電子スペ
クトル強度比、より具体的には、O1s軌道の狭域光電子
スペクトル強度 (O)とCu2p3 軌道の狭域光電子スペクト
ル強度 (Cu) との比として定量する。これらの光電子ス
ペクトル強度は、酸素と銅各々の光電子スペクトルの面
積 (各々の狭域光電子スペクトルのベースラインとスペ
クトルピークによって画定される範囲) に、個々のX 線
光電子分光分析装置により決まる酸素と銅各々の感度係
数 (例えば後述する実施例で用いた装置の場合、Cuは3.
547 、Oは0.711)を乗じることにより比較的簡便に求め
ることができる。そして、このXPS 法により酸素と銅と
の原子比 (スペクトル強度比) を測定する場合の条件
は、測定部位は銅箔の酸化物皮膜の最表面とし、X 線源
としてMgK αを用いるとともに、X 線検出角度を45°と
する。そして、この条件により測定される酸素と銅の各
々のX 線光電子スペクトルの強度から光電子スペクトル
強度比を求めて、本発明範囲内か否かを評価判別する。
【0025】本発明における、銅箔表面の銅の酸化物皮
膜の最表面の酸素と銅との存在比を、前記酸化物皮膜の
最表面の酸素と銅との光電子スペクトル強度比で0.5 〜
2.5の範囲とする方法としては、銅箔を、酸、アルカリ
で洗浄および水洗などの前処理を適宜施した後、銅箔を
大気中などの空気乃至酸素の存在下で加熱処理する。前
記した通常の箔の製造工程における、最終焼鈍などの熱
処理を、この加熱処理に充てても良いが、加熱温度と時
間については、前記した通り、高温乃至長時間とならぬ
よう注意すべきである。この点、種々の加熱条件にもよ
り、一概には言いにくいが、好ましくは、60〜150 ℃の
温度で1 分以下の加熱時間とする。また、前記光電子ス
ペクトル強度比を調整するその他の方法として、銅箔を
酸、アルカリで洗浄および水洗する際に、これら水溶液
乃至水に炭酸塩や珪酸塩を含有させることが挙げられ
る。これらの塩の添加条件は、個々の設備や処理条件に
より適宜選択される。なお、大気中に銅箔を放置して自
然酸化させるのみでは、特に好ましい膜厚条件や皮膜の
緻密さの点で、本発明のコーティング層との密着性の良
い酸化皮膜は得にくい。また、銅箔の銅の酸化物皮膜の
最表面の酸素と銅との存在比は、銅箔表面の状況や前処
理条件などの銅箔製造工程や条件により種々影響を受け
るため、前記加熱処理条件だけでは一義的に決められな
い部分がある。したがって、再現性良く一定範囲の前記
存在比を得るためには、個々の銅箔製造工程において最
適工程条件を各々選択していく必要がある。
【0026】本発明に用いる銅箔の種類は、用途によっ
て適宜選択され公知の銅箔が適宜使用される。例えば、
リチウムイオン二次電池陰極用には、銅箔として、他に
曲げ性などの特性が必要であるため、タフピッチ銅、電
解銅などを使用することが好ましい。
【0027】
【実施例1】次に、本発明成形方法の実施例を説明す
る。冷間圧延によって得た、15μm 厚みのタフピッチ銅
箔から、幅が5cm で長さが7cm の長方形の銅箔試験片を
製作した。この銅箔試験片を、市販の炭化水素系有機溶
剤で洗浄して圧延油などの汚れを除去し、表1 に示す条
件にて前処理および加熱処理を行い、銅の酸化物皮膜を
銅箔表面に設け、密着性評価用試験片とした。
【0028】そして、これら密着性評価用試験片の銅の
酸化物皮膜最表面を、X 線光電子分光分析により測定
し、O1s軌道の狭域光電子スペクトル強度 (O)とCu2p3
軌道の狭域光電子スペクトル強度 (Cu) から、光電子ス
ペクトル強度比(O/Cu)を求めた。これらの結果も表1 に
示す。なお、X 線光電子分光分析の測定は、パーキン・
エルマー社製のPHI 5400MCを使用し、X 線源としてMg K
α(400W)分析エリア1.1mm φ、検出器と試料面のなす角
45°にて行った。このXPS 法により酸素と銅との光電子
スペクトル強度比を測定する場合の条件は、測定部位は
銅箔の酸化物皮膜の最表面とし、X 線源としてMgK αを
用いるとともに、X 線検出角度を45°とした。
【0029】また、市販のリチウムイオン二次電池陰極
用炭素 (天然黒鉛、サイズ: 10〜40μm)を、バインダー
として市販のPVDF樹脂と、炭素:PVDF=9:1(wt比) を混合
して、溶剤である市販のn −メチルピロリドンを更に混
ぜて混練した。そしてこの混練液をバーコーターにて、
0.02g/1.69cm2(乾燥後重量) の量を密着性評価用試験片
表面に塗り、130 ℃で3 分間乾燥して、コーティング箔
を得た。
【0030】そして、リチウムイオン二次電池陰極用途
に要求される密着性のレベルを模擬して、このコーティ
ング箔のコーティング表面にセロハンテープを貼りつけ
た後、テープ上よりテフロンロールで圧着したのち、テ
ープを剥離した。コーティングと銅箔表面の密着性評価
は、テープを剥離した領域内において、単位面積(13×1
3mm=1.69cm2) 当たりの炭素残量( テープにて剥離せず
銅箔表面に残留している炭素量) を測定した。この試験
は、各々の例について10サンプルを行い、これらの銅箔
表面の炭素残量の平均が0.002g以上のものを◎、0.001
〜0.002gのものを○、0.001g未満のものを×として評価
した。これらの結果も表1 に示す。なお本剥離試験は、
リチウムイオン二次電池陰極用途の実際の使用中の剥離
性のレベルに比較して、約10倍厳しい条件であるため、
通常では付着した炭素の概ね90%以上 (0.018g/1.69cm2
以上) が剥離する。したがって、銅箔表面の炭素残量の
平均が0.002g以上であれば、炭素の耐剥離性 (密着性)
が非常に優れていると言える。
【0031】表1 から分かる通り、前記光電子スペクト
ル強度比(O/Cu)が0.5 〜2.5 を満足する発明例No.1〜7
は、炭素残量が多く密着性が良い( ◎乃至○) 。これに
対し、加熱酸化条件が200 ℃以上の高温となっている比
較例No.10 あるいは長時間となっている比較例No.8は、
光電子スペクトル強度比が2.5 を越えており、炭素残量
が少なく密着性が劣る (×) 。また、逆に前記O/Cuが0.
5 を下限に外れる比較例No.9、11においても、炭素残量
が少なく密着性が劣る (×) 。更に、発明例同士の比較
において、前記(O/Cu)が0.5 〜2.5 の上限および下限に
近い発明例No.1、No.5は、他の発明例に比して密着性の
レベルが低くなっている。なお、本実施例では主として
炭素との密着性を評価しているが、この発明例の密着性
によれば、炭素よりも銅箔表面との親和力が高い合成樹
脂フィルムだけのコーティングとの密着性改善効果も必
然的に向上させることができる。したがって、これらの
事実から、本発明要件の臨界的な意義や好ましい条件の
意義が裏付けられる。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、炭素などの活物質に樹
脂を加えたコーティングなどの、銅箔表面との親和力が
元々乏しいコーティングと銅箔表面との密着性を向上さ
せた銅箔を提供することができる。したがって、銅箔と
の親和力が乏しいコーティングを施した銅箔の用途を拡
げることができる点で、多大な工業的価値を有するもの
である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 箔表面にコーティング層を設けて使用さ
    れる銅箔において、銅箔表面に銅の酸化物皮膜を有する
    とともに、この銅の酸化物皮膜の最表面の酸素と銅との
    原子比が、X 線光電子分光分析により測定した際のO1
    軌道の狭域光電子スペクトル強度 (O)とCu2p3 軌道の狭
    域光電子スペクトル強度 (Cu) との比(O/Cu)で0.5 〜2.
    5 の範囲にあることを特徴とするコーティング層との密
    着性に優れた銅箔。
  2. 【請求項2】前記銅の酸化物皮膜の厚さが20〜2000オン
    グストロームである請求項1に記載のコーティング層と
    の密着性に優れた銅箔。
  3. 【請求項3】 前記コーティング層が電極活物質を含む
    請求項1または2に記載のコーティング層との密着性に
    優れた銅箔。
  4. 【請求項4】 前記電極活物質が炭素粉を含む請求項3
    に記載のコーティング層との密着性に優れた銅箔。
  5. 【請求項5】 前記炭素粉が天然炭素である請求項4に
    記載のコーティング層との密着性に優れた銅箔。
  6. 【請求項6】 前記銅箔の用途が電池用である請求項1
    乃至5のいずれか1項に記載のコーティング層との密着
    性に優れた銅箔。
  7. 【請求項7】 前記銅箔の用途がリチウムイオン二次電
    池陰極用である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の
    コーティング層との密着性に優れた銅箔。
JP10114931A 1998-04-24 1998-04-24 コーティング層との密着性に優れた銅箔 Withdrawn JPH11302822A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10114931A JPH11302822A (ja) 1998-04-24 1998-04-24 コーティング層との密着性に優れた銅箔

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10114931A JPH11302822A (ja) 1998-04-24 1998-04-24 コーティング層との密着性に優れた銅箔

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11302822A true JPH11302822A (ja) 1999-11-02

Family

ID=14650216

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10114931A Withdrawn JPH11302822A (ja) 1998-04-24 1998-04-24 コーティング層との密着性に優れた銅箔

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11302822A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003041194A1 (en) * 2001-11-07 2003-05-15 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Negative electrode current collector, negative electrode using the same, and nonaqueous electrolytic secondary cell
US20110033711A1 (en) * 2007-12-14 2011-02-10 Denso Corporation Resin-metal bonded article and method for producing the same
CN107302092A (zh) * 2016-04-14 2017-10-27 丰田自动车株式会社 集电体、电池以及它们的制造方法
CN111690957A (zh) * 2019-08-12 2020-09-22 长春石油化学股份有限公司 经表面处理铜箔

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003041194A1 (en) * 2001-11-07 2003-05-15 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Negative electrode current collector, negative electrode using the same, and nonaqueous electrolytic secondary cell
US7150942B2 (en) 2001-11-07 2006-12-19 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Negative electrode current collector, negative electrode using the same, and non-aqueous electrolytic secondary cell
US20110033711A1 (en) * 2007-12-14 2011-02-10 Denso Corporation Resin-metal bonded article and method for producing the same
US8394503B2 (en) * 2007-12-14 2013-03-12 Toadenka Corporation Resin-metal bonded article and method for producing the same
CN107302092A (zh) * 2016-04-14 2017-10-27 丰田自动车株式会社 集电体、电池以及它们的制造方法
CN107302092B (zh) * 2016-04-14 2020-04-24 丰田自动车株式会社 集电体、电池以及它们的制造方法
CN111690957A (zh) * 2019-08-12 2020-09-22 长春石油化学股份有限公司 经表面处理铜箔
CN111690957B (zh) * 2019-08-12 2021-12-07 长春石油化学股份有限公司 经表面处理铜箔

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106463739B (zh) 燃料电池用间隔件材及其制造方法
EP0935300B1 (en) Method for manufacturing electrode for battery
KR101472865B1 (ko) 탄소피복 알루미늄재 및 그 제조방법
JP5625141B1 (ja) リチウムイオン二次電池負極集電体用銅箔
US7095603B2 (en) Electrode for an energy storage device
WO2010086961A1 (ja) 炭素被覆アルミニウム材とその製造方法
JP2010021589A (ja) コンデンサ陰極用箔およびその製造方法
WO2007013508A1 (ja) 電極用チタン材
EP2925089B1 (en) Substrate for flexible devices and method for producing same
KR20180040754A (ko) 핸들링이 용이한 전해동박, 그것을 포함하는 전극, 그것을 포함하는 이차전지, 및 그것의 제조방법
KR101828880B1 (ko) 리튬 이온 2차 전지용 표면 처리 전해 동박, 이것을 이용한 리튬 이온 2차 전지용 전극 및 리튬 이온 2차 전지
JP2010126801A (ja) 錫被覆アルミニウム材料
JP7008128B2 (ja) 電解銅箔、その製造方法及びそれを含む高容量Li二次電池用陰極
JP6737683B2 (ja) 燃料電池用カーボンコートセパレータ材の製造方法
KR20180090532A (ko) 주름 및 말림이 최소화된 고강도 전해동박, 그것을 포함하는 전극, 그것을 포함하는 이차전지, 및 그것의 제조방법
JPH11310864A (ja) コーティング層との密着性に優れた銅箔
TW201834303A (zh) 具有改進的黏附力的銅箔、包含其之電極、包含其之二次電池及其製造方法
JPH11302822A (ja) コーティング層との密着性に優れた銅箔
JP6637867B2 (ja) 燃料電池用カーボンコートセパレータ材の製造方法
CN108060382A (zh) 一种提高锌铝镁合金镀层钢板胶粘性能的方法
JP2000045059A (ja) 水濡れ性に優れた銅箔
JP4156293B2 (ja) 導電性プレコートアルミニウム合金板
JP6943782B2 (ja) セパレータ材の製造方法
JPH11293444A (ja) コーティング層との密着性に優れた銅箔
JP7248514B2 (ja) 燃料電池用セパレータ材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050307

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060919

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20060919