JPH11310016A - 安全タイヤとリムとの組立体 - Google Patents

安全タイヤとリムとの組立体

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JPH11310016A
JPH11310016A JP10121413A JP12141398A JPH11310016A JP H11310016 A JPH11310016 A JP H11310016A JP 10121413 A JP10121413 A JP 10121413A JP 12141398 A JP12141398 A JP 12141398A JP H11310016 A JPH11310016 A JP H11310016A
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inner liner
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    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C17/00Tyres characterised by means enabling restricted operation in damaged or deflated condition; Accessories therefor
    • B60C17/0009Tyres characterised by means enabling restricted operation in damaged or deflated condition; Accessories therefor comprising sidewall rubber inserts, e.g. crescent shaped inserts

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ランフラット耐久性に優れる安全タイヤとリ
ムとの組立体を提供する。 【解決手段】 最内側カーカスプライ内面に対をなす断
面三日月状の補強ゴム層と、補強ゴム層の内側で一対の
ビード部相互間にわたるインナーライナゴムとを有し、
タイヤのハンプ部のインナーライナゴムが1.3mm 以下の
ゲージを有し、タイヤとリムとの組立体に酸素分圧が15
%以下の気体を充てんして成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、安全タイヤとリ
ムとの組立体、より詳細にはラジアルスチールコードカ
ーカスプライ構成をもつ空気入り安全タイヤとリムとの
組立体に関し、特に、一般耐久性とランフラット耐久性
とを同時に向上させた軽量な安全タイヤとリムとの組立
体に関する。
【0002】
【従来の技術】まず空気入りタイヤで内圧が大気圧乃至
大気圧に近いパンク(フラット)状態で所定距離を安全
に走行可能な安全タイヤとして、図4に荷重負荷の下で
破線で示す通常の内圧充てんからフラット走行となっ
た、実線で示すタイヤ21及びリム15の左半断面を示
すように、ビード部22からサイドウォール部23を経
てトレッド部24端に至る間の最内側カーカスプライ2
6(1プライで示す)の内面に、対をなす断面三日月状
の補強ゴム層29を配置し、サイドウォール部23を重
点としたタイヤ補強が良く知られている。この種の補強
ゴム層29を配置したタイヤ21は荷重負担は比較的軽
く、乗心地を重視する、例えば乗用車用としてそれなり
の評価を受けている。
【0003】補強ゴム層29はタイヤ半径方向外側端が
ベルト27端部に相当する位置まで延び、タイヤ半径方
向内側端はビードコア25外周面近傍位置まで延びるタ
イプが一般である。このタイプのタイヤ21は転動中に
パンクしてフラット状態になると、補強ゴム層29で補
強したサイドウォール部23の剛性により負荷荷重の大
部分を支持し、車両速度を多少遅くすることが余儀なく
されるものの、所定距離をフラット走行可能である。し
かし以下に述べるようにランフラット耐久性が十分とは
いえない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】乗用車用タイヤの荷重
負担は比較的軽いとはいえ、大型乗用車になるとタイヤ
1本当りの負荷荷重は500kgf 前後に及ぶ。このよう
な負荷荷重の下でのフラット走行では、サイドウォール
部23の撓曲変形量δは著しく大きく、通常の空気圧充
てん転動時における動荷重の数倍に及ぶ動荷重がタイヤ
に加えられるのでサイドウォール部23は完全な座屈状
態を呈し、この座屈状態を多数回繰り返さなければなら
ない。ここにいう撓曲変形量δとは図4に示すようにリ
ム径ラインRLから測った断面高さSHからの量をい
う。
【0005】その結果、ビード部22はリム15の湾曲
したフランジ15Fに強く押圧され、フラット走行を続
けるとリム15のフランジ15Fとビード部22内に配
設した高硬度ビードフィラーゴム30との間に挟まれた
外皮ゴムとカーカスプライ26の折返し部とが高温度に
なり、カーカスプライ26のコードがナイロンコードの
場合はコードが外皮ゴムと共に熱により溶けたり破断し
たりする。この種の故障発生によりフラット走行継続が
不可能となり、そこまでいかずとも故障部位の修理は無
理であり、結局タイヤ21は廃棄せざるを得ない。
【0006】また安全タイヤ21をフラット状態の下で
荷重を負荷させる、いわゆるランフラット条件で走行さ
せると、タイヤ21の構成部材内部の温度は200℃以
上の高温度に達するので、耐熱性に優れ、上記の溶融、
破断故障に対し抵抗性を有するポリエステルコード又は
レーヨンコードをカーカスプライに適用していてもコー
ドと被覆ゴムとの間の接着界面で剥離故障が生じ、結局
ランフラット耐久性が不十分となる。
【0007】そこでランフラット耐久性を向上させるた
めの有効手段として、フラット状態での曲げ剛性が上記
のような有機繊維コードに比し格段に高く、従ってサイ
ドウォール部23の撓曲変形量δをより一層低減させる
ことができ、その結果ビード部22のリム15のフラン
ジ15Fに対する押圧力の格段の低下と、それに伴うビ
ード部22の低温度化が可能なスチールコードをカーカ
ス26のプライに用いることが試みられている。
【0008】しかしカーカス26のプライにスチールコ
ードを用いる安全タイヤ21は、その他の汎用タイヤに
は存在しない一対の補強ゴム層29を有している上、有
機繊維コードに比し重量が重いスチールコード適用によ
り汎用タイヤに比し一層のタイヤ重量増加を招く不利も
合わせもつことになる。その一方でタイヤには地球環境
保全を意図した車両の燃費向上に寄与すること、換言す
ればより一層の軽量化が強く求められているのが現状で
ある。
【0009】またスチールコードを用いたカーカス26
のプライでは、スチールコードの耐腐食性、耐疲労性が
低下し、その結果タイヤ21の耐CBU性(CBU=Co
rd Breaking-Up、コード切れのこと)が低下するとうい
う欠点があるが、これはタイヤ21内部へ充てんした所
定内圧をもつ空気中の酸素がインナーライナゴム28な
どのゴムからタイヤ21内部へ浸透し、浸透した空気中
の酸素がスチールコードの素線をアッタクし、酸素劣化
させ、腐食させることから生じることが多い。チューブ
レスタイヤ21のインナーライナゴム28にはゲージが
約1.5mmと厚い、空気不透過性に優れるハロゲン化
ブチルゴム乃至ブチルゴムを適用するのが一般である
が、これは寧ろタイヤ21の内圧低下防止を主眼とする
もので上記のスチールコードの酸素劣化、腐食には必ず
しも十分な対策とはなっていず、却ってタイヤ21の重
量増加を招き、現状には適合しない。
【0010】従ってこの発明の請求項1〜6に記載した
発明は、最内側カーカスに対をなす補強ゴム層を有し、
かつカーカスプライにスチールコードを適用するタイヤ
を前提とし、十分なランフラット耐久性を備えた上で、
カーカスプライの耐CBU性を向上させると共にタイヤ
を軽量化させた、安全タイヤとリムとの組立体の提供を
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の請求項1に記載した発明は、一対のビー
ド部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール
部に連なるトレッド部とを有し、これら各部を補強する
1プライ以上のラジアル配列スチールコードのゴム被覆
になるカーカスと、該カーカスの外周でトレッド部を強
化する2層以上のゴム被覆になるスチールコード交差層
のベルトとを備え、ビード部からサイドウォール部を経
てトレッド部に至る間の最内側カーカスプライの内面に
対をなす断面三日月状の補強ゴム層と、該補強ゴム層の
内側で一対のビード部相互間にわたり延びるインナーラ
イナゴムとを有する安全タイヤとリムとの組立体におい
て、上記タイヤのハンプ部におけるインナーライナゴム
が1.3mm以下のゲージを有し、上記組立体に酸素分
圧が15%以下の気体を充てんして成ることを特徴とす
る安全タイヤとリムとの組立体である。
【0012】上記リムとはJATMA YEAR BO
OK(1998年版、以下JATMA規格という)に記
載されている適用リムを指し、より具体的にはJATM
A規格にてタイヤ種類、タイヤサイズ毎の「適用リムの
表」に記載されているリム種類、リムサイズに従うもの
とする。
【0013】この発明の請求項1に記載した発明を発展
させた実施形態は、請求項2に記載した発明のように、
ハンプ部におけるインナーライナゴムのゲージが1.0
mm以下であるタイヤとリムとの組立体に酸素分圧が5
%以下の気体を充てんした安全タイヤとリムとの組立体
であり、さらに一層の発展の実施形態は、請求項3に記
載した発明のように、ハンプ部におけるインナーライナ
ゴムのゲージが0〜0.5mmの範囲内にあるタイヤと
リムとの組立体に酸素分圧が3%以下の気体を充てんし
た安全タイヤとリムとの組立体である。
【0014】請求項3に記載した発明に関しては、請求
項4に記載した発明のように、インナーライナゴムがブ
チルゴム及びハロゲン化ブチルゴムの少なくとも一方の
ゴム成分を有すること、又は請求項5に記載した発明の
ように、インナーライナゴムが天然ゴムを主成分とする
ゴム成分を有すること、のいずれもが適合する。
【0015】ここに上記した充てん気体の酸素分圧を1
5%以下、5%以下及び3%以下にする手段は、通常の
空気の酸素分圧が20%前後であるから、通常の空気に
酸素以外の不活性ガス、例えば窒素ガスを添加して酸素
分圧を調整した加圧気体をタイヤとリムとの組立体に充
てんするのは当然として、予めこれら酸素分圧を調整し
た気体を蓄えた高圧ガスボンベなどを使用する他、予め
上記組立体に必要な内圧に至らない範囲で加圧空気を充
てんし、その後必要な内圧に至るまで加圧窒素ガスを充
てんすること、又はその逆を行うこと、のいずれでも良
い。
【0016】この発明の請求項1〜5に記載した発明全
般にわたり実際上、請求項6に記載した発明のように、
カーカスプライのスチールコードは、その各素線が35
00MPa以上の引張強さを有すると共に0.12〜
0.25mmの範囲内の素線径を有することが適合す
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態例を図
1及び図2に基づきに詳細に説明する。図1は、安全タ
イヤとリムとの組立体の左半断面図であり、図2は、図
1に示す組立体の要部拡大断面図である。
【0018】図1において、安全タイヤ1は一対のビー
ド部2(片側のみ示す)と、一対のサイドウォール部3
(片側のみ示す)と、両サイドウォール部3に連なるト
レッド部4とを有し、これら各部2〜4を補強するカー
カス6と、カーカス6の外周でトレッド部4を強化する
ベルト7とを備える。
【0019】カーカス6は1プライ以上、図示例は2プ
ライのラジアル配列スチールコードのゴム被覆になるカ
ーカスプライ(以下プライという)6−1、6−2を有
する。この例のプライ6−1、6−2は共にビードコア
5の周りをタイヤ内側から外側へ向け巻上げた折返し部
を有する、いわゆる2プライ同時折返し構造を有する。
図示は省略したが最内側プライ6−1が折返し部を有す
る、いわゆるターンアッププライとし、外側プライ6−
2は内側プライ6−1をその折返し部と共に外包みし、
タイヤ半径方向内側終端をビードコア5近傍に位置させ
る、いわゆるダウンプライとし、カーカス6をアップ−
ダウン構成とすることもできる。またカーカス6が1プ
ライのときはターンアッププライとする。
【0020】ベルト7は2層以上、図示れい2層のゴム
被覆になるスチールコード交差層7−1、7−2を有す
る。このコード交差層7−1、7−2とはタイヤ赤道面
Eを挟んで隣接層のコードが互いに交差するスチールコ
ード配列になることをいう。タイヤ1の内面は一対のビ
ード部2相互間にわたり延びるインナーライナゴム8を
備え、またカーカス6の最内側プライ、ここではプライ
6−1の内面に対をなす断面三日月状の補強ゴム層9
(片側のみ示す)をインナーライナゴム8の外側に備え
る。なおビードコア5外周面からタイヤ1の半径方向外
側に向けて延び、カーカス6の外側プライ6−2とその
折返し部に沿って硬質ビードフィラーゴム10を配置す
る。
【0021】次にタイヤ1のハンプ部Hから外側プライ
6−2の外側表面へ下ろした法線VL上にて測ったイン
ナーライナゴム8のゲージGiは1.3mm以下とす
る。このことは法線VL上のゲージGiを基準としてイ
ンナーライナゴム8のゲージ分布を特定したものであっ
て、一点のみのゲージGiを特定するものではなく、対
をなす補強ゴム層9の少なくともタイヤ半径方向内側終
端相互間にてインナーライナゴム8のゲージが1.3m
m以下であることを意味する。
【0022】上記の構成になるタイヤ1とリム15との
組立体に充てんされている加圧気体の酸素分圧は15%
以下とするものである。この酸素分圧を得るには先に触
れたように普通の空気に不活性ガスを混合するが、不活
性ガスとしては入手が容易でかつ低コストの窒素ガスが
適合する。ゲージGiが1.3mm以下のインナーライ
ナゴム8にはハロゲン化ブチルゴム又はブチルゴムと天
然ゴムとのブレンドのいずれかを適用する。
【0023】酸素分圧を15%以下とすることでインナ
ーライナゴム8の厚さを1.3mm以下とすることが、
タイヤ1の構成部材内部へ浸透する酸素量の減少を保持
した上で可能となり、インナーライナゴム8の厚さを
1.3mm以下とすることによりタイヤ1の重量を低減
させることができ、しかもフラット走行時におけるイン
ナーライナゴム8の発熱量を大幅に低減させることがで
き、ランフラット耐久性を向上させることができるので
ある。
【0024】また酸素分圧が15%を超えるとスチール
コードの耐酸素腐食性が急速に低下し、カーカス6のプ
ライ6−1、6−2のスチールコードの耐腐食疲労性改
善効果が見られず、スチールコードとゴムとの接着劣化
が生じるので不可であり、しかもインナーライナゴム8
のゲージGiを1.3mm以下にできず、これは単にタ
イヤ1の軽量化を損なうばかりかフラット走行時のイン
ナーライナゴム8の発熱量を増し、ランフラット耐久性
低下を招くので不可である。
【0025】カーカス6のプライ6−1、6−2にはス
チールコードを適用するものとし、このスチールコード
は以下に述べる要件を満たすことが好ましい。 (1)コード構造(素線径を除く)は1×n(n=2〜
7)、1+n(n=4〜8)、2+n(n=5〜9)、
ただしnは整数(自然数)であること。 (2)素線径は0.12〜0.25mmの範囲内である
こと。 (3)素線は3500MPa以上の引張強さを有し、高
強力スチールコードとすること。
【0026】(i)高強力スチールコードをプライ6−
1、6−2に適用することにより、荷重負荷の下でのラ
ンフラットタイヤ1のサイドウォール部3の曲げ剛性を
向上させることができ、これにより撓曲変形量δ(図4
参照)の大幅低減が可能となり、タイヤ1の高温度化を
阻止しランフラット耐久性を向上させることができる。 (ii) スチールコードの切断時全伸び(%)の値を大き
くすること、望ましくは切断時全伸び3.5%以上、よ
り望ましくは4.0%以上とすることができ、これによ
りタイヤ1のフラット走行時のスチールコードの耐圧縮
疲労性を顕著に向上させることが可能となり、なぜなら
各素線自体の変形で圧縮入力を吸収することが可能とな
るからであり、その結果ランフラット耐久性を向上させ
ることができる。
【0027】スチールコードの切断時全伸びを上記のよ
うにするためには、例えば、スチール素線のダイス引き
抜きにより伸線した後にブルーイング処理を施すことに
より、破断伸びが3.5%以上である素線を用いること
が有利である。具体的には、所定の減面率で複数回、例
えば3回に分けて伸線した後、メッキ処理を行い、次い
で、例えば380〜430℃で数秒から数十秒程度の時
間保持するブルーイング処理を施す。ブルーイング処理
した素線を1本又は複数本撚り合わせてなるスチールコ
ード(例えば1+n、1×n構造)でもよいし、複数回
伸線後メッキ処理を行い最終伸線した素線を1本又は複
数本撚り合わせたスチールコードをブルーイング処理す
るのでもよい。ブルーイング処理の後に酸処理をするこ
とで接着性を高めることもできる。
【0028】(iii)酸素分圧を15%以下とすること
で、タイヤ1の構成部材内部へ浸透する酸素量が減少す
るので、スチールコードの耐酸素腐食性を向上させるこ
とができ、通常内圧充てん状態で長時間使用してもスチ
ールコードの切断荷重の低下を最小限度に抑え込むこと
が可能となり、その結果上記(ii)項で述べた、タイヤ1
のフラット走行時のスチールコードの優れた耐圧縮疲労
性を保持することができ、ランフラット耐久性向上を保
持し続けることができ、
【0029】ここにスチールコードの各素線の引張強さ
が3500MPa未満ではサイドウォール部3の高い曲
げ剛性が得られず、素線径が0.12mm未満ではスチ
ールコード製造に際し素線の伸線性が悪く、3500M
Pa以上の引張強さをもつ素線を得ることができずに高
い切断荷重をもつス高強力スチールコードを実現するこ
とができない一方、0.25mmを超えると素線の耐圧
縮疲労性が低下する。よって望ましい素線径は0.12
〜0.25mmの範囲内である。
【0030】またコード構造のnがそれぞれ上限値を超
えるとスチールコードとしたとき素線の配列が崩れ易く
なり、その結果スチールコード内部へのゴムの浸透が不
十分となり、各素線周りにゴム不在部分が存在し、スチ
ールコードとゴムとの耐接着性低下を招く上、サイドウ
ォール部3の撓曲変形での耐圧縮疲労性が低下するので
不利である。
【0031】さらに酸素分圧を5%以下にすると、イン
ナーライナゴム8のゲージGiを1.0mm以下とする
ことができ、これにより先に述べた効果を更に一層向上
させることに貢献する。また酸素分圧を3%以下にすれ
ば、インナーライナゴム8のゲージGiを0〜0.5m
mの範囲内まで薄く乃至ゼロとしてもカーカス6のプラ
イ6−1、6−2のスチールコードの耐腐食疲労性を硬
度なレベルまで改善することができ、発熱量が高いハロ
ゲン化ブチルゴム又はブチルゴムのインナーライナゴム
8への適用量を著しく低減することでランフラット耐久
性を高度に高めることができる。
【0032】また酸素分圧を3%以下ではインナーライ
ナゴム8のゴムを発熱量がハロゲン化ブチルゴム又はブ
チルゴムに比し著しく小さな天然ゴムを主成分とするこ
とができ、ランフラット耐久性の向上はより一層顕著な
ものとなる。それ以外にも天然ゴムはハロゲン化ブチル
ゴム又はブチルゴムに比しより低コストであるからタイ
ヤ1のコスト低減に寄与し、タイヤ1の製造に当り成形
作業性が大幅に向上するなど二次的効果を得ることもで
きる。
【0033】なおカーカス6のプライ6−1、6−2の
スチールコード打込数は25〜50本/5cmであるの
が望ましく、より望ましくは30〜45本/5cmであ
る。
【0034】
【実施例】乗用車用ラジアルプライタイヤ1は、サイズ
が225/60R16であり、図1に示す構成に従い、
カーカス6のプライ6−1、6−2にはコード構造が1
×5×0.16であるスチールコードを適用して打込数
は38本/5cmとし、ベルト7のスチールコード層7
−1、7−2にはコード構造が1×3×0.30である
スチールコードを適用した。インナーライナゴム8のゴ
ム分はブチルゴム65部、天然ゴム35部とした。タイ
ヤ1をその適用リム15のうちの許容リム7JJ(−1
6)に組み付けて組立体とした。
【0035】実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれの
組立体に対する充てん気体の圧力は2.0kgf/cm2
し、この組立体を、JATMA YEAR BOOK
(1998年版)の空気圧−荷重負荷能力対応表に記載
されている空気圧2.0kgf/cm2に対応する荷重負荷能
力675kg(質量)に相当する荷重675kgf の負荷の
下、実車により20万km実地走行させ、以下の耐腐食
疲労性及び接着性を比較評価した。実施例1〜5の酸素
分圧の調整には窒素ガスを用いた。
【0036】(1)耐腐食疲労性:実地走行終了後のタ
イヤのカーカス6のプライ6−1、6−2から取り出し
たゴム付きスチールコード16を、図3のスチールコー
ドの試験装置の概要を示す側面図に示すように、3個の
直径40mmの回転自在なプーリー17に掛け、固定プ
ーリー19を介し新品ゴム付きスチールコード切断荷重
の10%に相当する錘20に引張荷重をかけ、プーリー
19を左右に20cm移動させてコード16に繰り返し
曲げひずみを与えることによりゴム付きスチールコード
16を疲労破断させ、破断に至る繰り返し数を10本の
ゴム付きスチールコード16につき測定し、測定した1
0本の繰り返し数の平均値を耐腐食疲労性とした。耐腐
食疲労性は比較例1の繰り返し数の平均値を100とす
る指数にてあらわすものとし、値は大なるほど耐腐食疲
労性が良いことを示す。
【0037】(2)接着性:実地走行終了後のタイヤの
カーカス6のプライ6−1、6−2から4本のスチール
コードを剥離させて取り出し、取り出したスチールコー
ドに残留しているゴム付き量が最も多い部分でのゴム付
き状態を、比較例1のゴム付き状態と比較評価した。評
価結果は比較例1のゴム付き状態を100とする指数に
てあらわすものとし、値は大なるほど接着性が良いこと
を示す。
【0038】(3)発熱耐久性:次に新品タイヤとリム
との組立体を充てん気体圧2.0kgf/cm2 、速度60k
m/hの下、初期荷重675kgf からのステップロード
(荷重を段階的に増加させる試験方法)条件でドラムに
よる発熱耐久性テストを実施した。発熱によるタイヤ故
障が発生するまでに走行した距離(km)を測定し、結
果は比較例1を100とする指数にてあらわすものと
し、値は大なるほど発熱耐久性が良いことを示す。以上
の(1)〜(3)項の結果を、酸素分圧(%)及びイン
ナーライナゴム8のゲージGi(mm)と共に表1に示
す。
【0039】
【表1】
【0040】表1から、タイヤとリムとの組立体につい
て、実施例1〜5は比較例1〜3との対比で耐腐食疲労
性、接着性及び発熱耐久性全般にわたり優れていること
が分かり、このことはとりもなおさずランフラット耐久
性に優れていることをあらわす。個別でみれば、 (a)実施例1は、比較例1に対し酸素分圧を20%か
ら15%にすることで実地走行後における耐腐食疲労
性、接着性が向上し、実施例2〜4は、インナーライナ
ゴム8のゲージGiを比較例1対比薄くすることで発熱
耐久性も向上することを示している。 (b)また酸素分圧を5%にした実施例3は、インナー
ライナゴム8を用いずとも耐腐食疲労性及び接着性の双
方が比較例1対比で向上し、発熱耐久性は大幅向上が達
成されることを示し、これはタイヤの軽量化と共に作業
性向上とコストダウンとの双方に大きく貢献しているこ
とが分かる。 (c)酸素分圧ゼロの実施例4、5は、耐腐食疲労性及
び接着性の双方が比較例1対比で大幅に向上し、発熱耐
久性も同時に向上することを示している。
【0041】
【発明の効果】この発明の請求項1〜6に記載した発明
によれば、最内側カーカスに対をなす補強ゴム層を有
し、かつカーカスプライにスチールコードを適用するタ
イヤとして、優れスたスチールコードの耐腐食疲労性及
び接着性を備えると共に十分な発熱耐久性を発揮し、こ
れらの諸性能と強い正相関を有するランフラット耐久性
が大幅に向上し、併せてカーカスプライの耐CBU性も
向上させ得る、より軽量で、より低コストで、より高い
生産性の安全タイヤとリムとの組立体を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態例における安全タイヤと
リムとの組立体の左半断面図である。
【図2】図1に示す要部断面図である。
【図3】ゴム付きスチールコードの試験装置の概要を示
す側面図である。
【図4】安全タイヤとリムとの組立体のフラット走行時
の左半断面図である。
【符号の説明】
1 安全タイヤ 2 ビード部 3 サイドウォール部 4 トレッド部 5 ビードコア 6 カーカス 6−1 内側カーカスプライ 6−2 外側カーカスプライ 7 ベルト 7−1、7−2 スチールコード交差層 8 インナーライナゴム 9 補強ゴム層 10 ビードフィラーゴム 15 適用リム 15F 適用リムのフランジ E タイヤ赤道面 H ハンプ VL ハンプから外側カーカスプライへの法線 Gi 法線VL上のインナーライナゴムのゲージ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B60C 9/00 B60C 9/00 J 9/08 9/08 Z 25/00 25/00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のビード部及び一対のサイドウォー
    ル部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有
    し、これら各部を補強する1プライ以上のラジアル配列
    スチールコードのゴム被覆になるカーカスと、該カーカ
    スの外周でトレッド部を強化する2層以上のゴム被覆に
    なるスチールコード交差層のベルトとを備え、ビード部
    からサイドウォール部を経てトレッド部に至る間の最内
    側カーカスプライの内面に対をなす断面三日月状の補強
    ゴム層と、該補強ゴム層の内側で一対のビード部相互間
    にわたり延びるインナーライナゴムとを有する安全タイ
    ヤとリムとの組立体において、 上記タイヤのハンプ部におけるインナーライナゴムが
    1.3mm以下のゲージを有し、上記組立体に酸素分圧
    が15%以下の気体を充てんして成ることを特徴とする
    安全タイヤとリムとの組立体。
  2. 【請求項2】 ハンプ部におけるインナーライナゴムの
    ゲージが1.0mm以下であるタイヤとリムとの組立体
    に酸素分圧が5%以下の気体を充てんして成る請求項1
    に記載した安全タイヤとリムとの組立体。
  3. 【請求項3】 ハンプ部におけるインナーライナゴムの
    ゲージが0〜0.5mmの範囲内にあるタイヤとリムと
    の組立体に酸素分圧が3%以下の気体を充てんして成る
    請求項1に記載した安全タイヤとリムとの組立体。
  4. 【請求項4】 インナーライナゴムがブチルゴム及びハ
    ロゲン化ブチルゴムの少なくとも一方のゴム成分を有す
    る請求項3に記載したタイヤとリムとの組立体。
  5. 【請求項5】 インナーライナゴムが天然ゴムを主成分
    とするゴム成分を有する請求項3に記載した安全タイヤ
    とリムとの組立体。
  6. 【請求項6】 カーカスプライのスチールコードは、そ
    の各素線が3500MPa以上の引張強さを有すると共
    に0.12〜0.25mmの範囲内の素線径を有する請
    求項1〜5に記載した安全タイヤとリムとの組立体。
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