JP4312280B2 - 安全タイヤとリムとの組立体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、安全タイヤとリムとの組立体、より詳細にはラジアルスチールコードカーカスプライ構成をもつ空気入り安全タイヤとリムとの組立体に関し、特に、一般耐久性とランフラット耐久性とを同時に向上させた軽量な安全タイヤとリムとの組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず空気入りタイヤで内圧が大気圧乃至大気圧に近いパンク(フラット)状態で所定距離を安全に走行可能な安全タイヤとして、図4に荷重負荷の下で破線で示す通常の内圧充てんからフラット走行となった、実線で示すタイヤ21及びリム15の左半断面を示すように、ビード部22からサイドウォール部23を経てトレッド部24端に至る間の最内側カーカスプライ26(1プライで示す)の内面に、対をなす断面三日月状の補強ゴム層29を配置し、サイドウォール部23を重点としたタイヤ補強が良く知られている。この種の補強ゴム層29を配置したタイヤ21は荷重負担は比較的軽く、乗心地を重視する、例えば乗用車用としてそれなりの評価を受けている。
【0003】
補強ゴム層29はタイヤ半径方向外側端がベルト27端部に相当する位置まで延び、タイヤ半径方向内側端はビードコア25外周面近傍位置まで延びるタイプが一般である。このタイプのタイヤ21は転動中にパンクしてフラット状態になると、補強ゴム層29で補強したサイドウォール部23の剛性により負荷荷重の大部分を支持し、車両速度を多少遅くすることが余儀なくされるものの、所定距離をフラット走行可能である。しかし以下に述べるようにランフラット耐久性が十分とはいえない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
乗用車用タイヤの荷重負担は比較的軽いとはいえ、大型乗用車になるとタイヤ1本当りの負荷荷重は500kgf 前後に及ぶ。このような負荷荷重の下でのフラット走行では、サイドウォール部23の撓曲変形量δは著しく大きく、通常の空気圧充てん転動時における動荷重の数倍に及ぶ動荷重がタイヤに加えられるのでサイドウォール部23は完全な座屈状態を呈し、この座屈状態を多数回繰り返さなければならない。ここにいう撓曲変形量δとは図4に示すようにリム径ラインRLから測った断面高さSHからの量をいう。
【0005】
その結果、ビード部22はリム15の湾曲したフランジ15Fに強く押圧され、フラット走行を続けるとリム15のフランジ15Fとビード部22内に配設した高硬度ビードフィラーゴム30との間に挟まれた外皮ゴムとカーカスプライ26の折返し部とが高温度になり、カーカスプライ26のコードがナイロンコードの場合はコードが外皮ゴムと共に熱により溶けたり破断したりする。この種の故障発生によりフラット走行継続が不可能となり、そこまでいかずとも故障部位の修理は無理であり、結局タイヤ21は廃棄せざるを得ない。
【0006】
また安全タイヤ21をフラット状態の下で荷重を負荷させる、いわゆるランフラット条件で走行させると、タイヤ21の構成部材内部の温度は200℃以上の高温度に達するので、耐熱性に優れ、上記の溶融、破断故障に対し抵抗性を有するポリエステルコード又はレーヨンコードをカーカスプライに適用していてもコードと被覆ゴムとの間の接着界面で剥離故障が生じ、結局ランフラット耐久性が不十分となる。
【0007】
そこでランフラット耐久性を向上させるための有効手段として、フラット状態での曲げ剛性が上記のような有機繊維コードに比し格段に高く、従ってサイドウォール部23の撓曲変形量δをより一層低減させることができ、その結果ビード部22のリム15のフランジ15Fに対する押圧力の格段の低下と、それに伴うビード部22の低温度化が可能なスチールコードをカーカス26のプライに用いることが試みられている。
【0008】
しかしカーカス26のプライにスチールコードを用いる安全タイヤ21は、その他の汎用タイヤには存在しない一対の補強ゴム層29を有している上、有機繊維コードに比し重量が重いスチールコード適用により汎用タイヤに比し一層のタイヤ重量増加を招く不利も合わせもつことになる。その一方でタイヤには地球環境保全を意図した車両の燃費向上に寄与すること、換言すればより一層の軽量化が強く求められているのが現状である。
【0009】
またスチールコードを用いたカーカス26のプライでは、スチールコードの耐腐食性、耐疲労性が低下し、その結果タイヤ21の耐CBU性(CBU=Cord Breaking-Up、コード切れのこと)が低下するとういう欠点があるが、これはタイヤ21内部へ充てんした所定内圧をもつ空気中の酸素がインナーライナゴム28などのゴムからタイヤ21内部へ浸透し、浸透した空気中の酸素がスチールコードの素線をアッタクし、酸素劣化させ、腐食させることから生じることが多い。チューブレスタイヤ21のインナーライナゴム28にはゲージが約1.5mmと厚い、空気不透過性に優れるハロゲン化ブチルゴム乃至ブチルゴムを適用するのが一般であるが、これは寧ろタイヤ21の内圧低下防止を主眼とするもので上記のスチールコードの酸素劣化、腐食には必ずしも十分な対策とはなっていず、却ってタイヤ21の重量増加を招き、現状には適合しない。
【0010】
従ってこの出願の請求項1〜5に記載した発明は、最内側カーカスに対をなす補強ゴム層を有し、かつカーカスプライにスチールコードを適用するタイヤを前提とし、十分なランフラット耐久性を備えた上で、カーカスプライの耐CBU性を向上させると共にタイヤを軽量化させた、安全タイヤとリムとの組立体の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この出願の請求項1に記載した発明は、一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、これら各部を補強する1プライ以上のラジアル配列スチールコードのゴム被覆になるカーカスと、該カーカスの外周でトレッド部を強化する2層以上のゴム被覆になるスチールコード交差層のベルトとを備え、ビード部からサイドウォール部を経てトレッド部に至る間の最内側カーカスプライの内面に対をなす断面三日月状の補強ゴム層と、該補強ゴム層の内側で一対のビード部相互間にわたり延びるインナーライナゴムとを有する安全タイヤとリムとの組立体において、
上記タイヤのハンプ部におけるインナーライナゴムが1.3mm以下のゲージを有し、上記組立体に酸素分圧が15%以下の気体を充てんして成り、カーカスプライのスチールコードは、その各素線が3500MPa以上の引張強さを有すると共に0.12〜0.25mmの範囲内の素線径を有し、そのスチールコードの切断時全伸びが3.5%以上であることを特徴とする安全タイヤとリムとの組立体である。
【0012】
上記リムとはJATMA YEAR BOOK(1998年版、以下JATMA規格という)に記載されている適用リムを指し、より具体的にはJATMA規格にてタイヤ種類、タイヤサイズ毎の「適用リムの表」に記載されているリム種類、リムサイズに従うものとする。
【0013】
この出願の請求項1に記載した発明を発展させた実施形態は、請求項2に記載した発明のように、ハンプ部におけるインナーライナゴムのゲージが1.0mm以下であるタイヤとリムとの組立体に酸素分圧が5%以下の気体を充てんした安全タイヤとリムとの組立体であり、さらに一層の発展の実施形態は、請求項3に記載した発明のように、ハンプ部におけるインナーライナゴムのゲージが0〜0.5mmの範囲内にあるタイヤとリムとの組立体に酸素分圧が3%以下の気体を充てんした安全タイヤとリムとの組立体である。
【0014】
請求項3に記載した発明に関しては、請求項4に記載した発明のように、インナーライナゴムがブチルゴム及びハロゲン化ブチルゴムの少なくとも一方のゴム成分を有すること、又は請求項5に記載した発明のように、インナーライナゴムが天然ゴムを主成分とするゴム成分を有すること、のいずれもが適合する。
【0015】
ここに上記した充てん気体の酸素分圧を15%以下、5%以下及び3%以下にする手段は、通常の空気の酸素分圧が20%前後であるから、通常の空気に酸素以外の不活性ガス、例えば窒素ガスを添加して酸素分圧を調整した加圧気体をタイヤとリムとの組立体に充てんするのは当然として、予めこれら酸素分圧を調整した気体を蓄えた高圧ガスボンベなどを使用する他、予め上記組立体に必要な内圧に至らない範囲で加圧空気を充てんし、その後必要な内圧に至るまで加圧窒素ガスを充てんすること、又はその逆を行うこと、のいずれでも良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態例を図1及び図2に基づいて詳細に説明する。
図1は、安全タイヤとリムとの組立体の左半断面図であり、
図2は、図1に示す組立体の要部拡大断面図である。
【0018】
図1において、安全タイヤ1は一対のビード部2(片側のみ示す)と、一対のサイドウォール部3(片側のみ示す)と、両サイドウォール部3に連なるトレッド部4とを有し、これら各部2〜4を補強するカーカス6と、カーカス6の外周でトレッド部4を強化するベルト7とを備える。
【0019】
カーカス6は1プライ以上、図示例は2プライのラジアル配列スチールコードのゴム被覆になるカーカスプライ(以下プライという)6−1、6−2を有する。この例のプライ6−1、6−2は共にビードコア5の周りをタイヤ内側から外側へ向け巻上げた折返し部を有する、いわゆる2プライ同時折返し構造を有する。図示は省略したが最内側プライ6−1が折返し部を有する、いわゆるターンアッププライとし、外側プライ6−2は内側プライ6−1をその折返し部と共に外包みし、タイヤ半径方向内側終端をビードコア5近傍に位置させる、いわゆるダウンプライとし、カーカス6をアップ−ダウン構成とすることもできる。またカーカス6が1プライのときはターンアッププライとする。
【0020】
ベルト7は2層以上、図示例は2層のゴム被覆になるスチールコード交差層7−1、7−2を有する。このコード交差層7−1、7−2とは、タイヤ赤道面Eを挟んで隣接層のコードが互いに交差するスチールコード配列になることをいう。タイヤ1の内面は一対のビード部2相互間にわたり延びるインナーライナゴム8を備え、またカーカス6の最内側プライ、ここではプライ6−1の内面に対をなす断面三日月状の補強ゴム層9(片側のみ示す)をインナーライナゴム8の外側に備える。なおビードコア5外周面からタイヤ1の半径方向外側に向けて延び、カーカス6の外側プライ6−2とその折返し部に沿って硬質ビードフィラーゴム10を配置する。
【0021】
次にタイヤ1のハンプ部Hから外側プライ6−2の外側表面へ下ろした法線VL上にて測ったインナーライナゴム8のゲージGiは1.3mm以下とする。このことは法線VL上のゲージGiを基準としてインナーライナゴム8のゲージ分布を特定したものであって、一点のみのゲージGiを特定するものではなく、対をなす補強ゴム層9の少なくともタイヤ半径方向内側終端相互間にてインナーライナゴム8のゲージが1.3mm以下であることを意味する。
【0022】
上記の構成になるタイヤ1とリム15との組立体に充てんされている加圧気体の酸素分圧は15%以下とするものである。この酸素分圧を得るには先に触れたように普通の空気に不活性ガスを混合するが、不活性ガスとしては入手が容易でかつ低コストの窒素ガスが適合する。ゲージGiが1.3mm以下のインナーライナゴム8にはハロゲン化ブチルゴム又はブチルゴムと天然ゴムとのブレンドのいずれかを適用する。
【0023】
酸素分圧を15%以下とすることで、インナーライナゴム8の厚さを1.3mm以下とすることが、タイヤ1の構成部材内部へ浸透する酸素量の減少を保持した上で可能となり、インナーライナゴム8の厚さを1.3mm以下とすることによりタイヤ1の重量を低減させることができ、しかもフラット走行時におけるインナーライナゴム8の発熱量を大幅に低減させることができ、ランフラット耐久性を向上させることができるのである。
【0024】
また酸素分圧が15%を超えるとスチールコードの耐酸素腐食性が急速に低下し、カーカス6のプライ6−1、6−2のスチールコードの耐腐食疲労性改善効果が見られず、スチールコードとゴムとの接着劣化が生じるので不可であり、しかもインナーライナゴム8のゲージGiを1.3mm以下にできず、これは単にタイヤ1の軽量化を損なうばかりかフラット走行時のインナーライナゴム8の発熱量を増し、ランフラット耐久性低下を招くので不可である。
【0025】
カーカス6のプライ6−1、6−2にはスチールコードを適用するものとし、このスチールコードは以下に述べる要件を満たすことが好ましい。
(1)コード構造(素線径を除く)は1×n(n=2〜7)、1+n(n=4〜8)、2+n(n=5〜9)、ただしnは整数(自然数)であること。
(2)素線径は0.12〜0.25mmの範囲内であること。
(3)素線は3500MPa以上の引張強さを有し、高強力スチールコードとすること。
【0026】
(i)高強力スチールコードをプライ6−1、6−2に適用することにより、荷重負荷の下でのランフラットタイヤ1のサイドウォール部3の曲げ剛性を高めることができ、これにより撓曲変形量δ(図4参照)の大幅低減が可能となり、タイヤ1の高温度化を阻止しランフラット耐久性を向上させることができる。
(ii) スチールコードの切断時全伸び(%)の値を大きくすること、望ましくは切断時全伸び3.5%以上、より望ましくは4.0%以上とすることができ、これによりタイヤ1のフラット走行時のスチールコードの耐圧縮疲労性を顕著に向上させることが可能となり、なぜなら各素線自体の変形で圧縮入力を吸収することが可能となるからであり、その結果ランフラット耐久性を向上させることができる。
【0027】
スチールコードの切断時全伸びを上記のようにするためには、例えば、スチール素線のダイス引き抜きにより伸線した後にブルーイング処理を施すことにより、破断伸びが3.5%以上である素線を用いることが有利である。具体的には、所定の減面率で複数回、例えば3回に分けて伸線した後、メッキ処理を行い、次いで、例えば380〜430℃で数秒から数十秒程度の時間保持するブルーイング処理を施す。ブルーイング処理した素線を1本又は複数本撚り合わせてなるスチールコード(例えば1+n、1×n構造)でもよいし、複数回伸線後メッキ処理を行い最終伸線した素線を1本又は複数本撚り合わせたスチールコードをブルーイング処理するのでもよい。ブルーイング処理の後に酸処理をすることで接着性を高めることもできる。
【0028】
(iii)酸素分圧を15%以下とすることで、タイヤ1の構成部材内部へ浸透する酸素量が減少するので、スチールコードの耐酸素腐食性を向上させることができ、通常内圧充てん状態で長時間使用してもスチールコードの切断荷重の低下を最小限度に抑え込むことが可能となり、その結果上記(ii)項で述べた、タイヤ1のフラット走行時のスチールコードの優れた耐圧縮疲労性を保持することができ、ランフラット耐久性向上を保持し続けることができ、
【0029】
ここにスチールコードの各素線の引張強さが3500MPa未満ではサイドウォール部3の高い曲げ剛性が得られず、素線径が0.12mm未満ではスチールコード製造に際し素線の伸線性が悪く、3500MPa以上の引張強さをもつ素線を得ることができずに高い切断荷重をもつ高強力スチールコードを実現することができない一方、0.25mmを超えると素線の耐圧縮疲労性が低下する。よって望ましい素線径は0.12〜0.25mmの範囲内である。
【0030】
またコード構造のnがそれぞれ上限値を超えるとスチールコードとしたとき素線の配列が崩れ易くなり、その結果スチールコード内部へのゴムの浸透が不十分となり、各素線周りにゴム不在部分が存在し、スチールコードとゴムとの耐接着性低下を招く上、サイドウォール部3の撓曲変形での耐圧縮疲労性が低下するので不利である。
【0031】
さらに酸素分圧を5%以下にすると、インナーライナゴム8のゲージGiを1.0mm以下とすることができ、これにより先に述べた効果を更に一層向上させることに貢献する。また酸素分圧を3%以下にすれば、インナーライナゴム8のゲージGiを0〜0.5mmの範囲内まで薄く乃至ゼロとしてもカーカス6のプライ6−1、6−2のスチールコードの耐腐食疲労性を高度なレベルまで改善することができ、発熱量が高いハロゲン化ブチルゴム又はブチルゴムのインナーライナゴム8への適用量を著しく低減することでランフラット耐久性を高度に高めることができる。
【0032】
また酸素分圧を3%以下ではインナーライナゴム8のゴムを発熱量がハロゲン化ブチルゴム又はブチルゴムに比し著しく小さな天然ゴムを主成分とすることができ、ランフラット耐久性の向上はより一層顕著なものとなる。それ以外にも天然ゴムはハロゲン化ブチルゴム又はブチルゴムに比しより低コストであるからタイヤ1のコスト低減に寄与し、タイヤ1の製造に当り成形作業性が大幅に向上するなど二次的効果を得ることもできる。
【0033】
なおカーカス6のプライ6−1、6−2のスチールコード打込数は25〜50本/5cmであるのが望ましく、より望ましくは30〜45本/5cmである。
【0034】
【実施例】
乗用車用ラジアルプライタイヤ1は、サイズが225/60R16であり、図1に示す構成に従い、カーカス6のプライ6−1、6−2にはコード構造が1×5×0.16であるスチールコードを適用して打込数は38本/5cmとし、ベルト7のスチールコード層7−1、7−2にはコード構造が1×3×0.30であるスチールコードを適用した。インナーライナゴム8のゴム分はブチルゴム65部、天然ゴム35部とした。タイヤ1をその適用リム15のうちの許容リム7JJ(−16)に組み付けて組立体とした。
【0035】
実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれの組立体に対する充てん気体の圧力は2.0kgf/cm2 とし、この組立体を、JATMA YEAR BOOK(1998年版)の空気圧−荷重負荷能力対応表に記載されている空気圧2.0kgf/cm2 に対応する荷重負荷能力675kg(質量)に相当する荷重675kgf の負荷の下、実車により20万km実地走行させ、以下の耐腐食疲労性及び接着性を比較評価した。実施例1〜5の酸素分圧の調整には窒素ガスを用いた。
【0036】
(1)耐腐食疲労性:
実地走行終了後のタイヤのカーカス6のプライ6−1、6−2から取り出したゴム付きスチールコード16を、図3のスチールコードの試験装置の概要を示す側面図に示すように、3個の直径40mmの回転自在なプーリー17に掛け、固定プーリー19を介し新品ゴム付きスチールコード切断荷重の10%に相当する錘20に引張荷重をかけ、プーリー19を左右に20cm移動させてコード16に繰り返し曲げひずみを与えることによりゴム付きスチールコード16を疲労破断させ、破断に至る繰り返し数を10本のゴム付きスチールコード16につき測定し、測定した10本の繰り返し数の平均値を耐腐食疲労性とした。耐腐食疲労性は比較例1の繰り返し数の平均値を100とする指数にてあらわすものとし、値は大なるほど耐腐食疲労性が良いことを示す。
【0037】
(2)接着性:
実地走行終了後のタイヤのカーカス6のプライ6−1、6−2から4本のスチールコードを剥離させて取り出し、取り出したスチールコードに残留しているゴム付き量が最も多い部分でのゴム付き状態を、比較例1のゴム付き状態と比較評価した。評価結果は比較例1のゴム付き状態を100とする指数にてあらわすものとし、値は大なるほど接着性が良いことを示す。
【0038】
(3)発熱耐久性:
次に新品タイヤとリムとの組立体を充てん気体圧2.0kgf/cm2 、速度60km/hの下、初期荷重675kgf からのステップロード(荷重を段階的に増加させる試験方法)条件でドラムによる発熱耐久性テストを実施した。発熱によるタイヤ故障が発生するまでに走行した距離(km)を測定し、結果は比較例1を100とする指数にてあらわすものとし、値は大なるほど発熱耐久性が良いことを示す。以上の(1)〜(3)項の結果を、酸素分圧(%)及びインナーライナゴム8のゲージGi(mm)と共に表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1から、タイヤとリムとの組立体について、実施例1〜5は比較例1〜3との対比で耐腐食疲労性、接着性及び発熱耐久性全般にわたり優れていることが分かり、このことはとりもなおさずランフラット耐久性に優れていることをあらわす。個別でみれば、
(a)実施例1は、比較例1に対し酸素分圧を20%から15%にすることで実地走行後における耐腐食疲労性、接着性が向上し、実施例2〜4は、インナーライナゴム8のゲージGiを比較例1対比薄くすることで発熱耐久性も向上することを示している。
(b)また酸素分圧を5%にした実施例3は、インナーライナゴム8を用いずとも耐腐食疲労性及び接着性の双方が比較例1対比で向上し、発熱耐久性は大幅向上が達成されることを示し、これはタイヤの軽量化と共に作業性向上とコストダウンとの双方に大きく貢献していることが分かる。
(c)酸素分圧ゼロの実施例4、5は、耐腐食疲労性及び接着性の双方が比較例1対比で大幅に向上し、発熱耐久性も同時に向上することを示している。
【0041】
【発明の効果】
この出願の請求項1〜5に記載した発明によれば、最内側カーカスに対をなす補強ゴム層を有し、かつカーカスプライにスチールコードを適用するタイヤとして、優れたスチールコードの耐腐食疲労性及び接着性を備えると共に十分な発熱耐久性を発揮し、これらの諸性能と強い正相関を有するランフラット耐久性が大幅に向上し、併せてカーカスプライの耐CBU性も向上させ得る、より軽量で、より低コストで、より高い生産性の安全タイヤとリムとの組立体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態例における安全タイヤとリムとの組立体の左半断面図である。
【図2】図1に示す要部断面図である。
【図3】ゴム付きスチールコードの試験装置の概要を示す側面図である。
【図4】安全タイヤとリムとの組立体のフラット走行時の左半断面図である。
【符号の説明】
1 安全タイヤ
2 ビード部
3 サイドウォール部
4 トレッド部
5 ビードコア
6 カーカス
6−1 内側カーカスプライ
6−2 外側カーカスプライ
7 ベルト
7−1、7−2 スチールコード交差層
8 インナーライナゴム
9 補強ゴム層
10 ビードフィラーゴム
15 適用リム
15F 適用リムのフランジ
E タイヤ赤道面
H ハンプ
VL ハンプから外側カーカスプライへの法線
Gi 法線VL上のインナーライナゴムのゲージ
Claims (5)
- 一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、これら各部を補強する1プライ以上のラジアル配列スチールコードのゴム被覆になるカーカスと、該カーカスの外周でトレッド部を強化する2層以上のゴム被覆になるスチールコード交差層のベルトとを備え、ビード部からサイドウォール部を経てトレッド部に至る間の最内側カーカスプライの内面に対をなす断面三日月状の補強ゴム層と、該補強ゴム層の内側で一対のビード部相互間にわたり延びるインナーライナゴムとを有する安全タイヤとリムとの組立体において、
上記タイヤのハンプ部におけるインナーライナゴムが1.3mm以下のゲージを有し、上記組立体に酸素分圧が15%以下の気体を充てんして成り、カーカスプライのスチールコードは、その各素線が3500MPa以上の引張強さを有すると共に0.12〜0.25mmの範囲内の素線径を有し、そのスチールコードの切断時全伸びが3.5%以上であることを特徴とする安全タイヤとリムとの組立体。 - ハンプ部におけるインナーライナゴムのゲージが1.0mm以下であるタイヤとリムとの組立体に酸素分圧が5%以下の気体を充てんして成る請求項1に記載した安全タイヤとリムとの組立体。
- ハンプ部におけるインナーライナゴムのゲージが0〜0.5mmの範囲内にあるタイヤとリムとの組立体に酸素分圧が3%以下の気体を充てんして成る請求項1に記載した安全タイヤとリムとの組立体。
- インナーライナゴムがブチルゴム及びハロゲン化ブチルゴムの少なくとも一方のゴム成分を有する請求項3に記載したタイヤとリムとの組立体。
- インナーライナゴムが天然ゴムを主成分とするゴム成分を有する請求項3に記載した安全タイヤとリムとの組立体。
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