JPH11308736A - 区画貫通部の延焼防止構造 - Google Patents

区画貫通部の延焼防止構造

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JPH11308736A
JPH11308736A JP10131338A JP13133898A JPH11308736A JP H11308736 A JPH11308736 A JP H11308736A JP 10131338 A JP10131338 A JP 10131338A JP 13133898 A JP13133898 A JP 13133898A JP H11308736 A JPH11308736 A JP H11308736A
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JP
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filler
fire
hole
silicate
spread
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JP10131338A
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Inventor
Son Yoshigata
遜 吉形
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Nitto Kasei Co Ltd
Original Assignee
Nitto Kasei Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】充填作業が容易に行え、しかも、延焼を確実に
防止できるものであって、ダイオキシンや塩素ガスを発
生する恐れのない区画貫通部における延焼防止構造を提
供する。 【解決手段】区画壁1に穿設された貫通孔11と、貫通
孔11に挿通されたケーブル線や管等の挿通部材2…2
と、貫通孔11内に充填された充填材3とを備えてい
る。充填材3は、加熱により体積を膨張し得る耐熱性の
熱膨張性材料と、バインダーとしての珪酸塩、金属水和
物を含む増量剤とを包含させ、パテ状を呈するものから
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、建築構造物や船
舶等における壁、床等の区画壁に穿設された貫通孔に、
ケーブル線、電線類、或いは各種のダクト、金属管、樹
脂管、冷媒管等の各種管類等を挿通させた区画貫通部に
おける延焼防止構造の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、建築構造物の壁、床等の区画
壁に穿設された貫通孔に、ケーブル線、電線類、或いは
各種のダクト、管類、樹脂管、冷媒管等の挿通部材を挿
通させた区画貫通部においては、延焼を防止するための
処置が採られており、例えば図5に示すような延焼防止
構造が広く知られている。この従来の延焼防止構造は、
ケーブル線等の挿通部材bを挿通させた区画壁aの貫通
孔a1内に、耐火性充填材としてロックウールcを充填
し、カルシウム板e、eで押さえ、それらをビス等で固
定するとともに、カルシウム板e、eの挿通孔e1、e
1及びカルシウム板eと区画壁aとの隙間に、塩化ゴム
や塩化樹脂等を用いた可燃性の有機質材料からなる耐熱
シール材d…dを配することにより、貫通孔a1の隙間
を塞ぐようにしたものである。しかし、ロックウールc
を充填するため、充填する際にロックウールcが肌に付
着してカユミが生じ、又、ガラス細片が飛散して環境が
悪化する。しかも、ロックウールcを相当な量、圧縮し
て詰め込まなければならず、充填作業に時間を要すると
とともに、充填作業に熟練を要し、ロックウールcの充
填の仕方によっては延焼を確実に防止できない場合があ
る。又、耐熱シール材d、dが、塩化ゴムや塩化樹脂等
を用いた可燃性の有機質材料から構成しているために、
火災に際してケーブル線等の被覆部材とともに燃えるの
で、厚さを厚くしておかなければならず、作業に時間を
要するとともに、不経済的なものになっている。又、塩
化ゴムや塩化樹脂等の有機質材料を使用しているため、
火災に際して人体に有害なダイオキシンや塩素ガスを発
生するという課題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は、以上の実
情に鑑み提案されたもので、充填作業が容易に行え、し
かも、延焼を確実に防止できるものであって、ダイオキ
シンや塩素ガスを発生する恐れのない区画貫通部におけ
る延焼防止構造を提供することを第1の目的とする。
【0004】本願発明は、充填材を不燃性の無機質材料
から構成し、充填厚さを薄くでき、充填作業が容易に行
え、しかも、経済的なものにできる区画貫通部における
延焼防止構造を提供することを第2の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明は、以下の特徴
を有する区画貫通部における延焼防止構造を提供するこ
とにより上記課題を解決する。本願第1の延焼防止構造
に係る発明は、壁、床等の区画壁1に穿設された貫通孔
11と、貫通孔11内に挿通されたケーブル線、管、冷
媒管等の挿通部材2と、貫通孔11内に充填された充填
材3とを備える。この充填材3は、加熱により体積を膨
張し得る耐熱性の熱膨張性材料を包含し、且つ、パテ状
を呈するものからなる。
【0006】本願第2の延焼防止構造に係る発明は、
壁、床等の区画壁1に穿設された貫通孔11と、貫通孔
11内に挿通されたケーブル線、管、冷媒管等の挿通部
材2と、貫通孔11内に充填された充填材3とを備え
る。この充填材3は、珪酸塩と、増量剤とを含有し、且
つ、パテ状を呈するものからなる。
【0007】本願第3の延焼防止構造に係る発明は、
壁、床等の区画壁1に穿設された貫通孔11と、貫通孔
11内に挿通されたケーブル線、管、冷媒管等の挿通部
材2と、貫通孔11内に充填された充填材3とを備え
る。充填材3は、熱膨張性材料と、珪酸塩と、増量剤と
を含有し、且つ、パテ状を呈するものからなる。
【0008】本願第4の延焼防止構造に係る発明は、本
願第3の発明に係る充填材3が金属水和物を含むものか
らなる。
【0009】以上のように構成された本願第1の発明に
おいては、充填材3を、加熱により体積を膨張し得る耐
熱性の熱膨張性材料を包含し、且つ、パテ状を呈するも
のから構成したものとする。こうすることにより、貫通
孔11への充填材3の充填を容易なものにでき、経験の
無い者でも簡単に作業を行うことができる。塩化ゴムや
塩化樹脂を一切使用せずに済み、人体に有害なダイオキ
シンや塩素ガスの発生のおそれの無いものにできる。一
方、火災に際しては、熱膨張性材料が貫通孔11内に膨
張して貫通孔11内を遮断し火が通るのを防止できると
ともに、挿通部材2…2間に隙間が形成されている場合
でも充填材3が膨張に際してその隙間に入り込んで行
き、又、挿通部材2における外周を覆った被覆材が燃焼
して空洞ができても被覆材の燃焼時の熱で充填材3が熱
膨張を起こして挿通部材2を強く押圧して延焼を確実に
防止できる。
【0010】本願第2の延焼防止構造に係る発明におい
ては、充填材3を、珪酸塩と、増量剤とを含有し、且
つ、パテ状を呈するものから構成したものとする。こう
することにより、貫通孔11への充填材3の充填を容易
なものにでき、経験の無い者でも簡単に作業を行うこと
ができる。又、火災が発生して充填材3が加熱される
と、珪酸塩から水が放出されて周部の温度を下げ、これ
により、より効率的に延焼を防止できる。
【0011】本願第3の延焼防止構造に係る発明におい
ては、バインダーとして珪酸塩を用いるため、時間の経
過によって乾燥して表面側から徐々に硬化し、その結
果、充填材3の内部は、硬化した表面によって蓋をされ
たと同様の状態にできる。そして、火災が発生し、充填
材3が加熱されると充填材3に含有した熱膨張性材料が
体積膨張するが、その際、例えば塩化ゴム系のものをバ
インダーとして熱膨張性材料を含む充填剤を用いた場合
は、表面及び内部が乾燥硬化しないために、上方側をそ
のままにしておくと、熱膨張性材料が加熱によって膨張
する際、規制のない上方側に膨張が進行してしまい、そ
の結果、径内側の挿通部材2…2をあまり強く押圧でき
ない。従って、塩化ゴム系のものをバインダーとして熱
膨張性材料を含む充填剤を用いた場合には、上方側に膨
張が逃げないように別途に蓋を設けて規制しておくこと
が必須となるが、本実施形態の充填材3では、別途に蓋
を設けなくても、上述のように充填材3の表面側が乾燥
硬化して蓋と同様の役目をし、膨張に際して径内側に膨
張して貫通孔11内を遮断し火が通るのを防止できると
ともに、挿通部材2…2間に隙間が形成されている場合
でも充填材3が膨張に際してその隙間に入り込んで行
き、又、挿通部材2における外周を覆った被覆材が燃焼
して空洞ができても被覆材の燃焼時の熱で充填材3が熱
膨張を起こして挿通部材2を強く押圧して延焼を防止で
きる。従って、蓋や耐熱シール材を不要とし、単に充填
材3を充填すれば良く、作業をより短時間で行え、しか
も経済的なものにできる。又、従来の耐熱シール材のよ
うに可燃性の有機質材料を使用したものを用いた場合に
は、ケーブル、管、冷媒管等の被覆材と一緒に延焼を起
こすとともに、充填厚さを厚くしておかなければなら
ず、充填作業に時間を要し、しかも不経済なものになる
が、本願第3実施形態では、完全な不燃性の無機質材料
のみで充填材3を構成することができ、充填材3が加熱
されても全く燃焼することがなく、延焼を確実に防止で
きるとともに、充填厚さを薄くでき、充填作業を容易な
ものにでき、しかも経済的なものにできる。また、珪酸
塩から水が放出されて周部の温度を下げることができ
る。これにより、熱膨張性材料による膨張と珪酸塩によ
る水の放出とで、より効率的に延焼を防止できる。
【0012】本願第4の延焼防止構造に係る発明におい
ては、増量材に金属水和物を含むものとすることによ
り、上記本願第3発明の作用に加え、珪酸塩のみならず
に金属水和物からも水が放出されて周部の温度を下げる
ことができる。これにより、熱膨張性材料による膨張と
珪酸塩及び金属水和物による水の放出とで、一層効率的
に延焼を防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図を基に本願発明の一実施
例を具体的に説明する。図1は、本願発明の一実施形態
の区画貫通部における延焼防止構造の断面説明図であ
る。
【0014】本願発明の区画貫通部における延焼防止構
造は、区画壁1に穿設された貫通孔11と、貫通孔11
に挿通されたケーブル線、管、冷媒管等の挿通部材2…
2と、貫通孔11内に充填された充填材3とを備えてい
る。
【0015】本実施形態の充填材3は、加熱により体積
を膨張し得る耐熱性の熱膨張性材料と、バインダーと、
無機質の増量剤とを包含してパテ状を呈するものであ
る。
【0016】熱膨張性材料としては、膨張黒鉛を例示で
き、この膨張黒鉛単独でも充分な効果を発揮できるが、
ガス化体を樹脂で包み込んでカプセル化したマイクロカ
プセル膨張体、アゾ系ガス化体、蛭石、粒状珪酸塩、粒
状塩化カルシウム等から選択される一種又は二種以上の
膨張剤を配合したものを使用できる。これらは、膨張黒
鉛の膨張する温度よりも低温で膨張し得るもので、これ
らを膨張黒鉛と共に配合しておくことで、膨張黒鉛の膨
張に先立って膨張させることができる。又、ガス化体を
樹脂で包み込んでカプセル化したマイクロカプセル膨張
体、アゾ系ガス化体等を熱膨張性材料に配合しておけ
ば、充填材3の比重を軽くでき、充填材3の軽量化を図
ることも可能となる。
【0017】この熱膨張性材料の配合量は、全体の3〜
70重量%程度が好ましく、3重量%以下になると、全
体としての膨張率が小さくなって膨張に際してケーブル
線同士間の隙間に入り難くなる。一方、70重量%以上
になると、膨張が過多になり、粉化し易くなってしま
い、膨張に伴いケーブル線を押圧できなくなるおそれが
生じる。
【0018】バインダーとしては、例えば珪酸塩(例え
ばNaO・nSiO2 X 2 OやNa2 O・SiO2
・9H2 Oの化学式で示されるもの)を挙げることがで
きるが、他のものを使用することも可能である。バイン
ダーとして珪酸塩を使用して充填材3に含ませておけ
ば、火災に際して充填材3の温度が上昇すると、下記の
化1に示すように珪酸塩が水分を放出して周囲の温度を
下げることができる点で好適である。
【0019】
【化1】
【0020】ただし、この珪酸塩は、その性質上、PH
11以上であるため、上記の膨張黒鉛と共に配合する蛭
石、粒状珪酸塩、塩化カルシウム等は、反応硬化するお
それがあり、長期保存が困難になる恐れがある。そこ
で、珪酸塩による反応を抑制するために、膨張黒鉛に配
合する蛭石、粒状珪酸塩、塩化カルシウム等を、合成ゴ
ム溶液、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、その他の合成樹
脂、或いは脂肪酸等でコーティングして耐水処理してお
くのが好ましい。
【0021】このバインダーの配合量は、全体の7〜7
5重量%程度である。7重量%以下になると、バインダ
ーとして機能し難くなってしまい、75重量%以上にな
るとパテ状にならなくなってしまう。
【0022】増量剤としては、タルク、クレー、珪砂
粉、コーティング処理した炭酸カルシウム等のフィラ
ー、金属水和物等から選択される一種又は二種以上を使
用できる。この増量剤の配合量は、全体の5〜85重量
%程度であり、この範囲外では、パテ状にし難くなる。
【0023】又、増量剤として金属水和物を単独又は他
のものと併用して使用するようにすれば、火災に際し
て、上記の珪酸塩と共に金属水和物から水分を放出させ
て周囲の温度を下げることができ、好ましいものにでき
る。ただし、増量剤として金属水和物を含まないものを
使用することも可能である。この金属水和物としては、
水酸化アルミニウム(Al(OH)3 )、カルシウム・
アルミネート水和物(例えば3CaO・Al2 3 ・6
2 Oの化学式で示されるもの)等が挙げられ、これら
は、下記の化2及び化3に示すように加熱に際して水を
放出することができる。
【0024】
【化2】
【0025】
【化3】
【0026】そして、粉乃至粒状の熱膨張性材料と、バ
インダーと、金属水和物を含む無機質の増量剤とを、上
記配合量で混合することにより、粉乃至粒状の熱膨張性
材料の分散したパテ状を呈する本実施形態の充填材3を
得ることができる。このようにして得られた本実施形態
の充填材3は、4〜10倍程度の体積膨張を起こすこと
ができる。尚、この熱膨張性材料を包含する充填材3
は、熱膨張性材料の体積膨張によって、全体の体積が2
倍以上膨張できるようにしたものであれば良い。又、4
倍程度以上膨張できるようにしておけばケーブル間に隙
間があるような場合でも加熱に伴う膨張に際してその隙
間に確実に入り込ませることができる点で好ましい。
【0027】この充填材3は、次のようにしてケーブル
線、管、冷媒管等の挿通部材2…2の挿通された区画壁
1の貫通孔11に充填される。まず、挿通部材2…2の
挿通された区画壁1の貫通孔11に、充填材受け具4を
装着する。この充填材受け具4は、充填材3を受けるた
めのもので、この実施形態では、図2に示すものが用い
られている。詳しくは、この充填材受け具4は、左右対
称形状をなす一対の棒状体41、41と、一対の半円板
状の受け部材42、42とから構成されている。棒状体
41、41各々は、上端側に折り曲げ成形された引っ掛
け片41aを、下端側に折り曲げ成形された受け部材受
け片41bを夫々備えている。一方、受け部材42、4
2各々は、中央部に挿通部材2…2の挿通させるための
半円形状の挿通孔43を備え、挿通孔43と左端外周と
の間に、棒状体41の受け部材受け片41bを挿通可能
に形成された嵌挿孔44、を夫々備えている。そして、
棒状体41、41各々の受け部材受け片41b、41b
が受け部材42の嵌挿孔44、44に通されることによ
り、両者が組み付けられ、その状態から棒状体41、4
1各々の引っ掛け片41a、41aが、区画壁1におけ
る貫通孔11の周部に支持されることにより、二つの半
円板状の受け部材42、42が1枚の円板状になり、貫
通孔11内に入れられた状態で区画壁1に支持され、こ
れにより、図1に示すように受け部材42、42上に充
填材受容部45が形成される。
【0028】そして、このようにして充填材受け具4を
装着した後、充填材3を充填する。その際、充填材3が
パテ状を呈するため、単に充填材受容部45に入れて行
けば良く、経験の無い者でも簡単に作業を行うことがで
きる。以上で、充填作業が完了する。
【0029】このようにして充填されたパテ状の充填材
3は、バインダーとして珪酸塩を用いるため、時間の経
過によって乾燥して表面側から徐々に硬化し、その結
果、充填材3の内部は、硬化した表面によって蓋をされ
たと同様の状態にできる。そして、火災が発生し、充填
材3が加熱されると充填材3に含有した熱膨張性材料が
体積膨張するが、その際、例えば塩化ゴム系のものをバ
インダーとして熱膨張性材料を含む充填剤を用いた場合
は、表面及び内部が乾燥硬化しないために、上方側をそ
のままにしておくと、熱膨張性材料が加熱によって膨張
する際、規制のない上方側に膨張が進行してしまい、そ
の結果、径内側の挿通部材2…2をあまり強く押圧でき
ない。従って、塩化ゴム系のものをバインダーとして熱
膨張性材料を含む充填剤を用いた場合には、上方側に膨
張が逃げないように別途に蓋を設けて規制しておくこと
が必須となるが、本実施形態の充填材3では、別途に蓋
を設けなくても、上述のように充填材3の上部側が蓋と
同様の役目をし、上部側への逃げがないために膨張に際
して径内側に膨張して貫通孔11内を遮断し火が通るの
を防止できるとともに、挿通部材2…2間に隙間が形成
されている場合でも充填材3が膨張に際してその隙間に
入り込んで行き、又、挿通部材2における外周を覆った
被覆材が燃焼して空洞ができるが、この被覆材の燃焼時
の熱で充填材3が熱膨張を起こして挿通部材2を強く押
圧して延焼を防止できる。従って、別途に蓋を設けるよ
うなことを不要とし、単に充填材3を充填すれば良く、
作業を短時間で行え、しかも経済的なものにできる。
又、塩化ゴムや塩化樹脂を一切使用しないため、人体に
有害なダイオキシンや塩素ガスの発生のおそれの無いも
のにできる。
【0030】又、本実施形態の充填材3には、バインダ
ーとしての珪酸塩を包含させているとともに、金属水和
物を包含させているため、火災に際して充填材3の温度
が上昇すると、珪酸塩及び金属水和物から水が放出さ
れ、この水によって周囲の温度を下げることができる。
又、本実施形態の充填材3は、珪酸塩が長時間の放置に
よって水分が少なくなって内部まで固化した場合でも、
熱により膨張できるとともに、金属水和物から確実に水
を放出できる。従って、珪酸塩や金属水和物を包含させ
ることにより、熱膨張性材料の体積膨張と相まって、よ
り確実に延焼を防止でき、充填材3の厚さを薄くするこ
とも可能となり、充填作業を、より簡単なものにできる
とともに、より一層経済的なものにできる。又、本実施
形態の充填材3は、表面のみならず内部まで固化した場
合でも、固化前と同様に加熱に伴い熱膨張性材料が膨張
させることができるものである。
【0031】更に、塩化ゴムや塩化樹脂を有する従来の
耐熱シール材は可燃性の有機質材料を使用するため、ケ
ーブル、管、冷媒管等の被覆材と一緒に燃焼して延焼を
起こすが、本実施形態の充填材3は、無機質材料のみの
組成のため、完全に不燃であり、被覆材が燃焼を起こし
ても充填材3は燃焼せず、この点からも、確実に延焼を
防止でき、充填材3の厚さを薄くすることも可能とな
り、充填作業を、より簡単なものにできるとともに、よ
り一層経済的なものにできるものである。
【0032】又、本実施形態の充填材3に、例えば発泡
スチロール等の発泡体を配合するようにしても良い。こ
のような発泡体を配合しておくことにより、充填材3の
比重を軽くでき、充填材3の軽量化を図ることができ
る。
【0033】次に、充填材3の他の実施形態について説
明する。他の実施形態の充填材3は、先の実施形態のも
のと同様にパテ状を呈したものであるが、この充填材3
は、珪酸塩と、無機質の増量剤とを包含したものであ
る。
【0034】増量剤は、先の実施形態で説明したものと
同様のものを使用できる。又、珪酸塩と増量剤との配合
割合は、増量剤に対して珪酸塩が35〜50重量%程度
が好ましい。珪酸塩は、冬には硬くなり、夏には柔らか
くなるので、50重量%程度以上になると夏、べちゃべ
ちゃになり、35重量%程度以下になると冬、硬くなり
すぎ、いずれも充填作業が困難になってしまう。
【0035】この実施形態の充填材3の充填方法は、先
の実施形態のものと同様であり、充填材受け具4を用い
て充填する。この場合も、充填材3がパテ状を呈するた
め、単に充填材受け具4の充填材受容部45に入れて行
けば良く、経験の無い者でも簡単に作業を行うことがで
きる。尚、この充填材3の充填後の構造は、図1に示し
た先の実施形態のものと同じになる。
【0036】そして、この実施形態の充填材3は、火災
に際し、先の実施形態のもののように熱膨張性材料を包
含していないため膨張しないが、充填材3の温度が上昇
すると、珪酸塩から水を放出させることができ、この水
によって貫通孔11内の温度を下げ、延焼を確実に防止
できる。
【0037】尚、この実施形態では、珪酸塩と、無機質
の増量剤とを包含したものとしているが、先の第1実施
形態で説明したように金属水和物を包含させるようにし
ても良く、こうすることにより、充填材3の温度の上昇
に伴い、金属水和物からも水分を放出でき、より確実に
周部の温度を下げて延焼を防止できる。
【0038】又、本願発明の延焼防止構造における貫通
孔に挿通させる挿通部材2は、ケーブル線、電線類、或
いは各種のダクト、金属管、樹脂管、冷媒管に限定され
ず、例えば船舶に使用される導波管等の建築構造物や船
舶等における壁、床等の区画壁を通す種々のものに適応
できる。
【0039】
【実施例】
【0040】実施例1
【0041】粉乃至粒状の熱膨張性材料7重量%と、バ
インダーとしての珪酸塩40重量%と、増量剤として、
珪砂粉43重量%及び金属水和物としての水酸化アルミ
ニウム10重量%とを混合することにより、粉乃至粒状
の熱膨張性材料の分散したパテ状を呈する充填材3を得
た。そして、この充填材3を、図1に示すように挿通部
材2…2の挿通された区画壁1の貫通孔11に、充填材
受け具4を介して充填した後、火災試験を行い、温度を
測定したので、その結果を図3に示す。この試験は、図
4に示すように充填材3の上端と挿通部材2との境界部
における挿通部材2に熱電対100を設けておき、図3
中の温度上昇曲線101のように区画壁1の下方側を区
画して温度を120分で1010°Cまで上げ、その温
度上昇に際し、1分間ごとに挿通部材2の温度を測定す
ることにより行った。又、この試験を、3回行い、各試
験の挿通部材2の温度測定値を、NO.1、NO.2、
NO.3としてグラフに表した。その結果、挿通部材2
の温度は、50分前後から上昇度合いが低くなった。し
かも、周囲の温度が1010°Cまで上がったにも関わ
らず、挿通部材2の最高温度が237°Cまでに抑えら
れた。これらは、珪酸塩や金属水和物からの水の放出に
よるものと考えられる。又、この試験の結果、区画壁1
の上方側への延焼は全く無かった。試験終了後、充填材
3は、5倍程度の体積膨張を起こしていた。
【0042】実施例2
【0043】粉乃至粒状の熱膨張性材料10重量%と、
バインダーとしての珪酸塩43重量%と、増量剤として
のクレー47重量%とを混合することにより、粉乃至粒
状の熱膨張性材料の分散したパテ状を呈する充填材3を
得た。そして、この充填材3を、上記実施例1と同様
に、挿通部材2…2の挿通された区画壁1の貫通孔11
に、充填材受け具4を介して充填した後、火災試験を行
ったが、区画壁1の上方側への延焼は全く無かった。
尚、試験終了後、この充填材3は、6倍程度の体積膨張
を起こしていた。
【0044】実施例3
【0045】珪酸塩50重量%と、増量剤としての炭酸
カルシウム50重量%とでパテ状を呈する充填材3を得
た。そして、この充填材3を、上記実施例1と同様に、
挿通部材2…2の挿通された区画壁1の貫通孔11に、
充填材受け具4を介して充填した後、火災試験を行った
が、区画壁1の上方側への延焼は全く無かった。
【0046】
【発明の効果】以上、本願第1の発明は、貫通孔11へ
の充填材3の充填を容易なものにでき、経験の無い者で
も簡単に作業を行うことができる。しかも、塩化ゴムや
塩化樹脂を一切使用せずに済み、人体に有害なダイオキ
シンや塩素ガスの発生のおそれの無いものにでき、作業
者の安全を図ることができる。
【0047】本願第2の延焼防止構造に係る発明は、貫
通孔11への充填材3の充填を容易なものにでき、経験
の無い者でも簡単に作業を行うことができる。又、火災
が発生して充填材3が加熱されると、珪酸塩から水が放
出されて周部の温度を下げ、これにより、より効率的に
延焼を防止できる。
【0048】本願第3の延焼防止構造に係る発明は、バ
インダーとして珪酸塩を用いるため、充填材3の表面側
が乾燥硬化して蓋と同様の役目をし、熱膨張性材料の膨
張に際して径内側に膨張して貫通孔11内を遮断し火が
通るのを防止できるとともに、挿通部材2…2間に隙間
が形成されている場合でも充填材3が膨張に際してその
隙間に入り込んで行き、又、挿通部材2における外周を
覆った被覆材が燃焼して空洞ができても被覆材の燃焼時
の熱で充填材3が熱膨張を起こして挿通部材2を強く押
圧して延焼を防止できる。従って、蓋や耐熱シール材を
不要とし、単に充填材3を充填すれば良く、作業をより
短時間で行え、しかも経済的なものにできる。又、従来
の耐熱シール材のように可燃性の有機質材料を使用した
ものを用いた場合には、ケーブル、管、冷媒管等の被覆
材と一緒に延焼を起こすとともに、充填厚さを厚くして
おかなければならず、充填作業に時間を要し、しかも不
経済なものになるが、本願第3発明では、完全な不燃性
の無機質材料のみで充填材3を構成することができ、充
填材3が加熱されても全く燃焼することがなく、延焼を
確実に防止できるとともに、充填厚さを薄くでき、充填
作業を容易なものにでき、しかも経済的なものにでき
る。更に、充填材3が加熱されると、珪酸塩から水が放
出されて周部の温度を下げることができる。これによ
り、熱膨張性材料による膨張と珪酸塩による水の放出と
で、より効率的に延焼を防止できる。
【0049】本願第4の延焼防止構造に係る発明は、火
災が発生して充填材3が加熱されると、熱膨張性材料が
膨張して挿通部材2…2を強く押圧するとともに、珪酸
塩及び金属水和物から水が放出されて周部の温度を下げ
ることができる。これにより、熱膨張性材料による膨張
と珪酸塩及び金属水和物による水の放出とで、一層効率
的に延焼を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態の区画貫通部における延
焼防止構造の断面説明図である。
【図2】本願発明の充填材を充填する際に使用する一実
施形態の充填材受け具の斜視図である。
【図3】本願発明の区画貫通部における延焼防止構造を
火災試験した際の挿通部材の温度測定値をグラフにした
図である。
【図4】火災試験に際して温度を測定した位置を示す説
明図である。
【図5】従来の区画貫通部における延焼防止構造の断面
説明図である。
【符号の説明】
1 区画壁 2 挿通部材 3 充填材 4 充填材受け具 11 貫通孔

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】壁、床等の区画壁(1) に穿設された貫通孔
    (11)と、貫通孔(11)内に挿通されたケーブル線、管、冷
    媒管等の挿通部材(2) と、貫通孔(11)内に充填された充
    填材(3) とを備え、 この充填材(3) が、加熱により体積を膨張し得る耐熱性
    の熱膨張性材料を包含し、且つ、パテ状を呈するものか
    らなることを特徴とする区画貫通部における延焼防止構
    造。
  2. 【請求項2】壁、床等の区画壁(1) に穿設された貫通孔
    (11)と、貫通孔(11)内に挿通されたケーブル線、管、冷
    媒管等の挿通部材(2) と、貫通孔(11)内に充填された充
    填材(3) とを備え、 この充填材(3) が、珪酸塩と、増量剤とを含有し、且
    つ、パテ状を呈するものからなることを特徴とする区画
    貫通部における延焼防止構造。
  3. 【請求項3】壁、床等の区画壁(1) に穿設された貫通孔
    (11)と、貫通孔(11)内に挿通されたケーブル線、管、冷
    媒管等の挿通部材(2) と、貫通孔(11)内に充填された充
    填材(3) とを備え、 充填材(3) が、熱膨張性材料と、珪酸塩と、増量剤とを
    含有し、且つ、パテ状を呈するものからなることを特徴
    とする区画貫通部における延焼防止構造。
  4. 【請求項4】増量剤が、金属水和物を含むものであるこ
    とを特徴とする請求項3記載の区画貫通部における延焼
    防止構造。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011151937A1 (ja) * 2010-06-04 2011-12-08 株式会社古河テクノマテリアル 船舶の防火構造体、防火構造体の施工方法および仮防火構造体に対するケーブルの追加・撤去・交換方法
JP2013060543A (ja) * 2011-09-14 2013-04-04 Furukawa Techno Material Co Ltd 硬化型耐火性パテ組成物、そのジオポリマー反応の遅延方法、その長期保管性向上方法

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