JPH1130770A - 磁気光学素子及びその製造方法 - Google Patents

磁気光学素子及びその製造方法

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JPH1130770A
JPH1130770A JP15497297A JP15497297A JPH1130770A JP H1130770 A JPH1130770 A JP H1130770A JP 15497297 A JP15497297 A JP 15497297A JP 15497297 A JP15497297 A JP 15497297A JP H1130770 A JPH1130770 A JP H1130770A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一般的な磁気光学材料を用いながら、大きな
ファラデー回転角が得られ、大面積化が容易でディスプ
レイに適した磁気光学素子を提供する。 【解決手段】 透明磁性層2と、屈折率の異なる2種類
の多数の透明誘電体膜9a,9bが交互に積層されて透
明磁性層2を挾む一対の多層膜3,4とを備えた構造と
することで、入射した光を多層膜3,4中で多重反射さ
せてその光のエネルギーを透明磁性層2に蓄えさせる局
在化現象を生じさせ、透明磁性層2の磁気光学効果を増
大させて、ファラデー回転角を増大させる。加えて、多
層膜3,4の外面には一対の偏光子7,8を配設するこ
とで、コントラストの高い画像表示を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディスプレイへの
応用に適した磁気光学素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気光学効果(ファラデー効
果ないしは磁気光学カー効果)を示す磁性体は、例え
ば、光磁気ディスクに利用されて情報の書込み・再生が
可能とされている。この他、磁気光学効果を示す透明磁
性体を用いこの透明磁性体に対して磁気ヘッドを用いて
画像の書込みを行い、光を照射させることでファラデー
回転の有無により画像を表示させるディスプレイへの応
用も検討されている。
【0003】ここに、磁気光学効果は、右及び左円偏光
によって起こされる電子遷移の差異から生ずることが知
られている。この差異を大きくして磁気光学効果を増大
させる試みが、文献「磁気光学効果を大きくするための
指針」(日本応用磁気学会誌,Vol.8.No.5,1984 p.366
〜370)(文献1とする)等により報告されている。
【0004】第1の試みとして、Baフェライトを用い
た場合に、BaFe1219中のFeをCoによって置換
する方法がある(例えば、“Proc.Int.Symp.on Opt
icalMemory.1987 Japanese Journal of Applied P
hysics,Vol.26(1987)Supplement 26-4 pp23〜26”中
の“Ba-Ferrite Magneto-optical Recording Medi
a” 参照…文献2とする)。この方法の場合、Coの置
換量にもよるが、ファラデー効果が数倍増大することが
確認されている。
【0005】第2の試みとして、同様に元素置換法であ
るが、鉄ガーネットの希土類イオンの一部をBi(3
+)イオンで置換する方法がある(文献1中のp.368参
照)。この方法の場合も、ファラデー回転角が増大する
ことが知られている。加えて、可視域の吸収率が殆ど増
加しないため、ディスプレイにおけるコントラスト向上
には都合がよい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、第1のCo
置換方法による場合、文献2中にも記載されているよう
に、効果が増大する波長域は700〜800nmであり、
ディスプレイとして必要な波長域500〜700nm(5
00〜600nm位が人間の目で最も感じる波長域であ
る)では殆ど効果がないものである。また、エピタキシ
ャル成長法を用いて製造するため、基板が制約を受ける
とか、基板温度が600℃以上と異常に高温であること
が必要とされる、といった不都合もある。
【0007】第2のBi(3+)イオン置換法による場
合、ファラデー回転角が増加する波長域が520nm付近
で好都合であるが、製造プロセスで要求される基板温度
が600℃以上といった高温であり、大きな面積のもの
を作製するのは困難で、ディスプレイへの適用化を図る
上では好ましくない。
【0008】また、Baフェライトの場合のファラデー
回転角は1°/μm位、Bi置換ガーネットの場合のフ
ァラデー回転角は6°/μm位である。ディスプレイへ
の適用を考えた場合、ファラデー回転角はできるだけ大
きい方がコントラストがよく、上記の6°/μm位では
コントラスト1程度であるので、ディスプレイ用として
はファラデー回転角10°/μm以上、できれば20°
/μm以上あることが好ましい。従って、従来法ではフ
ァラデー回転角の増大効果が不十分である。
【0009】一方、第2の方法におけるBi置換ガーネ
ットの場合、薄膜としてではなく、共沈法により作製し
た平均粒径1000Å以下の粉末を用いて製造すること
ができる。この場合、結着剤と基板とが必要となるが、
素子作製時には高温とする必要がなく、均一塗布さえ可
能であれば大面積化も可能である。しかし、薄膜による
場合に比して、結着剤の分だけ単位厚み当りのファラデ
ー回転角が減少し、かつ、粉末は1000Å以下の粒径
とすると光の透過率はよいが薄膜の場合よりも光の散乱
による透過率の減少は避けられない。
【0010】一般論としても、何れの磁性体の場合も、
その層厚を厚くすれば、ファラデー回転角は増大する
が、光の透過率が低下するため、薄くて(つまり、透過
率がよくて)大きなファラデー回転角が得られる磁気光
学素子が望まれる。
【0011】そこで、本発明は、一般的な磁気光学材料
を用いながら、大きなファラデー回転角を得ることがで
き、大面積化等を容易に図れ、ディスプレイへの適用に
適した磁気光学素子を提供することを目的とする。
【0012】さらには、ファラデー回転角を増大させる
構造が簡単に得られる磁気光学素子及びその製造方法を
提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の磁
気光学素子は、透明磁性層と、屈折率の異なる2種類の
多数の透明誘電体膜が交互に積層されて前記透明磁性層
を挾む一対の多層膜と、これらの多層膜の外面に配設さ
れた一対の偏光子とを備えた。従って、透明磁性層が透
明誘電体膜による一対の多層膜により挾まれた構造とな
っているので、入射した光は多層膜中で多重反射が生じ
てその光のエネルギーが多層膜間の透明磁性層に蓄えら
れる局在化現象が生ずる。即ち、屈折率の異なる2種類
の透明誘電体膜による多層膜の中心にさらに異なる屈折
率の物質層(透明磁性層)を配置すると、中心の物質層
に光が局在化する現象が生ずる。この結果、透明磁性層
の磁気光学効果が増大し、ファラデー回転角が増大する
ことになる。加えて、多層膜の外面には一対の偏光子が
配設されているので、コントラストの高い画像表示が可
能となる。この際、元素置換等を利用した特殊な透明磁
性層を用いる必要がなく通常の透明磁性材料でよく、基
板温度も特に高温にする必要がなく、大面積化も容易で
ある。
【0014】請求項2記載の発明の磁気光学素子は、透
明磁性層と、屈折率の異なる2種類の多数の透明誘電体
膜が交互に積層されて前記透明磁性層の一面側に配設さ
れた多層膜と、この多層膜の外面に配設された偏光子
と、前記透明磁性層の他面側に配設された反射層とを備
えた。従って、請求項1記載の発明の場合と同様に磁気
光学効果の増大及びコントラストの高い画像表示が可能
となるが、多層膜側から透明磁性層に向けて入射した光
は反射層で反射されて再び透明磁性層及び多層膜を経て
出射するので、ファラデー回転角の増大効果が倍増され
る。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の磁気光学素子において、透明磁性層は、平均粒径1
000Å以下の磁性体の超微粒子と結合剤とにより形成
されている。従って、透明磁性層を薄く形成できその透
明性が向上するとともに、多層膜との接触面の状態が滑
らかとなって空気等の入り込みにくい界面構造となり光
のロスがなくなるため、光を局在化させるための光閉じ
込めが確実となり、ファラデー回転角の増大を簡単かつ
確実に実現できる。
【0016】請求項4記載の発明は、請求項1,2又は
3記載の磁気光学素子において、透明磁性層は、多層膜
に垂直な方向に磁気異方性を有する磁性材料により形成
されている。従って、光とスピンとが平行なときにファ
ラデー効果が生ずるので、多層膜に垂直な方向に磁気異
方性を有する磁性材料を用いて透明磁性層を形成するこ
とにより、画像情報に基づき透明磁性層に書込みを行っ
た場合に大きなファラデー回転角が得られ、良好なる表
示を行える。
【0017】請求項5記載の発明の磁気光学素子の製造
方法は、透明基板上に屈折率の異なる2種類の多数の透
明誘電体膜を交互に積層させて第1の多層膜を形成する
成膜工程と、この第1の多層膜上に透明磁性層を形成す
る成膜工程と、この透明磁性層上に屈折率の異なる2種
類の多数の透明誘電体膜を交互に積層させて第2の多層
膜を形成する成膜工程とを連続的に行った後、前記透明
基板及び前記第2の多層膜の外面に各々偏光子を貼付す
るようにした。従って、第1の多層膜、透明磁性層及び
第2の多層膜の成膜工程が連続的に行われるので、透明
磁性層と多層膜との界面に空気等が全く入り込むことな
く積層構造を成膜でき、光を局在化させるための光閉じ
込め構造の作製が確実となり、ファラデー回転角の増大
を簡単に実現できる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の第一の実施の形態を図1
に基づいて説明する。本実施の形態の磁気光学素子1
は、透明磁性層2を中心として、この透明磁性層2を一
対の多層膜3,4、一対の透明基板5,6、及び、一対
の偏光子7,8で挾んだサンドイッチ構造として形成さ
れている。前記多層膜3,4は、各々屈折率の異なる2
種類の多数の透明誘電体膜9a,9bを交互に積層させ
た構造体として形成されている。
【0019】このような構成の磁気光学素子1によれ
ば、透明磁性層2が一対の多層膜3,4により挾まれた
構造となっているので、磁気光学素子1中に入射した光
は多層膜3,4中で多重反射が生じてその光のエネルギ
ーが中心の透明磁性層2に蓄えられる局在化現象が生ず
る。即ち、屈折率の異なる2種類の透明誘電体膜9a,
9bによる多層膜3,4の中心にさらに異なる屈折率の
透明磁性層2を配置すると、中心の透明磁性層2に光が
局在化する現象が生ずる。この結果、透明磁性層2の磁
気光学効果が増大し、ファラデー回転角が増大すること
になる。加えて、多層膜3,4の外面には一対の偏光子
7,8が配設されているので、コントラストの高い画像
表示が可能となる。
【0020】ここに、透明磁性層2の材料としては従来
一般に用いられている磁気光学効果を示す透明磁性材料
でよいが、例えば、平均粒径1000Å以下の磁性体の
超微粒子と結合剤とにより形成することが好ましい。こ
のような平均粒径1000Å以下の磁性体の超微粒子と
しては、例えば、Fe,Co,Ni、又は、これらの合
金の超微粒子、或いは、希土類鉄ガーネットの超微粒子
などを用いることができる。コバルトフェライト、Ba
フェライト等の酸化物の超微粒子や、FeBO3 ,Fe
3 ,YFeO3 ,NdFeO3 等の複屈折性の大きな
材料であっても、超微粒子であれば利用可能である。こ
の他、MnBi,MnCuBi,PtCo等の超微粒子
も利用可能である。平均粒径1000Å以下の超微粒子
を用いれば、この透明磁性層2の両面に配設される多層
膜3,4との接触面は非常に滑らかとなり、かつ、透明
磁性層2自体を薄く作製できその透明性が向上する。特
に、希土類鉄ガーネットの超微粒子を用いれば、逆磁歪
効果により多層膜3,4に垂直な方向(積層方向)に磁
気異方性を持たせることができ、ディスプレイに適用し
た場合、大きなファラデー回転角が得られて好ましい。
即ち、光の方向と透明磁性層2に磁気ヘッド(図示せ
ず)により磁気的に記録されたスピンの方向とが平行な
ときに大きなファラデー効果が生ずるためである。
【0021】また、多層膜3,4用の透明誘電体膜9
a,9bとしては、特に制約を受けず、Al23,Mg
O,BeO,Y23 ,SnO2 ,InO3 ,SiO
2 ,ZnO,TiO2 等の材料を適宜用い得るが、最も
一般的なTiO2 とSiO2 の組合せでもよい。積層す
る層数は、10〜50層程度がよい。透明基板5,6と
しては石英基板等が用いられる。
【0022】偏光子7,8の偏光面は、一方の偏光面を
回転することにより、最もコントラストの付く方位に設
定される。
【0023】本発明の第二の実施の形態を図2及び図3
に基づいて説明する。前記実施の形態で示した部分と同
一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する(以下
の実施の形態でも同様とする)。本実施の形態では、片
方の多層膜4、透明基板6及び偏光子8に代えて、反射
層10及び基板11が透明磁性層2の片面に積層された
磁気光学素子12として構成されている。即ち、透過型
の磁気光学素子1に対して反射型の磁気光学素子12と
されている。
【0024】本実施の形態による場合も、前記実施の形
態の場合と同様に磁気光学効果の増大及びコントラスト
の高い画像表示が可能となるが、多層膜3側から透明磁
性層2に向けて入射した光は、反射層10で反射され
て、再び透明磁性層2及び多層膜3を経て出射するの
で、ファラデー回転角の増大効果が倍増される(約2倍
となる)。
【0025】ここに、前記反射層10については、Ag
やAlなどを用いて一般的な蒸着法やスパッタリング法
などにより形成してもよく、或いは、TiO2 ,MgO
等のような白色微粒子を接着剤と混合させた後に、基板
11上に塗布して透明磁性層2に貼付させるようにして
もよい。このような方法で形成される代表的な反射層1
0としては、Al,SiO,Ag,Al23等がよく知
られている。
【0026】ところで、反射型の磁気光学素子12をデ
ィスプレイに適用した場合の画像表示の原理(コントラ
ストの付け方)を、模式的に示す図3を参照して説明す
る。ここに、透明磁性層2に関して、画像部分(暗くし
たい部分)は棒磁石等の磁気ヘッドにより膜厚方向に磁
化された磁化部2a(矢印13が磁化方向=スピンを示
している)とされ、非画像部分(明るくしたい部分)は
非磁化部2bとされているものとする。まず、図3
(a)に示すように偏光子7に光線が入射した場合、こ
の偏光子7を通れる方向の偏光面14a,14bが多層
膜3を経て透明磁性層2に入射する。図3(b)に示す
ように透明磁性層2に入射した偏光面14a,14bで
示される光の内、磁化部2aに入射した光はファラデー
回転角θだけ回転して反射層10に入射するが、非磁化
部2bに入射した光はそのまま反射層10に入射する。
図3(c)に示すように反射層10に入射した光はその
偏光面状態で反射されて、図3(d)に示すように、再
び透明磁性層2に入射する。このとき、磁化部2aに入
射した光は再びファラデー回転角θだけ回転して(合
計、2θ)、図3(e)に示すように、多層膜3を経て
偏光子7に向かうが、非磁化部2bに入射した光はその
まま多層膜3を経て偏光子7に向かう。このときの偏光
面14a,14bの状態は、偏光面14a側が偏光子7
を通過できない方向に回転しているので暗くなり、偏光
面14b側は偏光子7を通過できる方向のままであるの
で明るくなる。これにより、磁化部2aが暗く非磁化部
2bが明るくなるコントラストの付いた画像表示が可能
となる。
【0027】即ち、図3に示す原理的な模式図からもわ
かるように、液晶ディスプレイに似た表示原理である
が、偏光面を回転させるために透明磁性層2のファラデ
ー回転なる磁気旋光を利用しているものである。ちなみ
に、従来にあっては、前述したようにファラデー回転角
が小さく、かつ、透明磁性層の透明性が悪かったため、
磁気光学素子がディスプレイとしては利用されていなか
ったものである。
【0028】本発明の第三の実施の形態を図4に基づい
て説明する。本実施の形態の磁気光学素子15は構造的
には図1に示した磁気光学素子1に極めて類似している
が、本実施の形態では、特にその製造方法が異なるもの
である。本実施の形態では、まず、透明基板5上に多層
膜(第1の多層膜)3を形成し、次に、多層膜3上に透
明磁性層2を形成し、さらに、この透明磁性層2上に多
層膜(第2の多層膜)4を形成するが、薄膜法によるこ
れらの成膜工程を連続して行った後、透明基板5及び多
層膜4の外面に各々偏光子7,8を貼付することにより
磁気光学素子15が作製されている。この場合の連続成
膜法としては、一般的なCVD法、PVD法等の薄膜法
が用いられる。
【0029】本実施の形態によれば、多層膜3、透明磁
性層2及び多層膜4の成膜工程が連続的に行われるの
で、透明磁性層2と多層膜3,4との界面に空気等が全
く入り込むことなく積層構造を成膜することができる。
この結果、光を局在化させるための光閉じ込め構造の作
製が確実となり、ファラデー回転角を増大させるための
構造を簡単に実現できる。また、透明基板5を加熱する
必要がないので、透明基板5・多層膜3間の密着性を損
なうようなこともない。
【0030】
【実施例】本発明の第一の実施例を図1を参照して説明
する。まず、表面を研磨した厚さ0.5mmの石英基板
5,6上に、酸素とアルゴンとの混合ガスを用いた反応
スパッタリング法によりTiO2 /SiO2 の積層膜を
各々膜厚900Åで15層ずつ交互に積層させて多層膜
3,4を形成した。従って、石英基板5、多層膜3のセ
ットと石英基板6、多層膜4のセットとの2セット分が
形成される。つづいて、共沈法により作製したBi置換
希土類鉄ガーネットの平均粒径600Åの超微粒子(B
2DyFe3.8Al1.219)とナフテン酸ビスマス
(トルエン溶液)を1:1の割合で混合させたボールミ
ルを用いて、54時間分散後、上記2つのセットの多層
膜3,4の非基板側面でこの分散液を挾んで固化した。
固化後の透明磁性層2の膜厚は0.3μmであった。ち
なみに、同じ分散液を石英基板上に塗布して乾燥させた
0.3μmの厚さの磁性層に対して基板面に垂直に磁界
を印加して測定した場合の保磁力Hcは600Oeであ
って、垂直磁気異方性を有しており、かつ、波長600
nmの光に対する透過率は62%であった。次に、石英基
板5,6の外面側に市販のフィルム状の偏光子7,8を
貼付して磁気光学素子1を完成させた。このように作製
された磁気光学素子1に関して、日本分光株式会社製の
磁気光学測定装置K‐250を用いて石英基板6上のフ
ァラデー回転角を測定したところ(使用光の波長520
nm)、8°/μmが得られたものである。また、偏光子
7の外側から直径1mmの棒磁石(表面磁束3KG)を用
いて透明磁性層2に磁気記録した後、偏光子7,8の内
の一方、例えば、偏光子8を回転させることで最もコン
トラストの付く方位に設定したところ、記録部と非記録
部とで明瞭なコントラストが得られたものである。
【0031】ちなみに、本実施例に対する第一の比較例
として、分散液の厚みを1μmとして透明磁性層を形成
し、かつ、多層膜3,4を有しない他は第一の実施例と
同一条件で作製したところ、ファラデー回転角は3°/
μmに留まり、棒磁石による磁気記録を行っても記録部
と非記録部とでコントラストが付かず画像は視認できな
かったものである。
【0032】また、本実施例に対する第二の比較例とし
て、共沈法により作製したBi置換希土類鉄ガーネット
の平均粒径1800Åの微粒子を用いる他は、第一の実
施例と同一条件で作製したところ、透明磁性層の保磁力
Hcは800Oeであり、ファラデー回転角は6.4°
/μmに留まったものである。
【0033】本発明の第二の実施例を図2を参照して説
明する。本実施例は、基本的に前記第一の実施例に準ず
るものであり、石英基板6及び多層膜4のセットは作製
せず、石英基板5及び多層膜3側のセットと基板11上
に形成した2000Åの厚さのAlによる反射層10と
の間に透明磁性層2(材料、膜厚等は前記実施例と同
じ)を形成した後、石英基板6に対してのみ市販のフィ
ルム状の偏光子7を貼付して磁気光学素子12を完成さ
せた。このように作製された磁気光学素子12に関し
て、棒磁石で磁気記録を行い、光を入射させたところ、
記録部と非記録部とでコントラストの付いた反射像が視
認できたものである。この場合のファラデー回転角は反
射により2倍に倍増されており、第一の実施例の8°/
μmに対して16°/μmに増大したものである。
【0034】ちなみに、本実施例に対する第三の比較例
として、多層膜3を有しない他は、第二の実施例と同一
条件で作製したところ、ファラデー回転角は6°/μm
に留まったものである。また、磁気記録後の画像として
もかすかに観察し得る程度であり、コントラストの悪い
反射像であった。
【0035】本発明の第三の実施例を図4を参照して説
明する。本実施例も、基本的には、第一の実施例に準ず
るが、その製造方法が異なる。まず、第一の実施例の場
合と同様に、石英基板5上に多層膜3を成膜形成した
後、連続して、その真空蒸着装置のチャンバー内にアル
ゴンガスと乾燥空気とを導入しながら鉄を蒸発させるこ
とで、鉄の超微粒子膜による透明磁性層2を3000Å
の膜厚となるように成膜形成した(平均粒径は70Åで
あった)。さらに、連続させて、反応スパッタリング法
で透明磁性層2の膜上に多層膜4を成膜形成した。この
ような連続成膜工程終了後に、外面に市販のフィルム状
の偏光子7,8を貼付して磁気光学素子15を完成させ
た。このような磁気光学素子15についてファラデー回
転角を測定したところ、使用光の波長依存性が少なく、
波長550nmの光の場合で9°/μmのファラデー回転
角が得られたものである。また、透明磁性層2の保磁力
Hcは400Oeであり、垂直磁気異方性を有してい
た。また、棒磁石で磁気記録した後、光を入射させて観
察したところ、記録部と非記録部とで明瞭なコントラス
トが得られ、画像を明瞭に読み取れたものである。
【0036】ちなみに、本実施例に対する第四の比較例
として、多層膜3,4を有しない他は、第三の実施例と
同一条件で作製したところ、ファラデー回転角は波長5
50nmの光に対して2.2°/μmに留まったものであ
る。また、棒磁石による磁気記録を行っても記録部と非
記録部とでコントラストが付かず画像は視認できなかっ
たものである。
【0037】
【発明の効果】請求項1記載の発明の磁気光学素子によ
れば、透明磁性層と、屈折率の異なる2種類の多数の透
明誘電体膜が交互に積層されて前記透明磁性層を挾む一
対の多層膜と、これらの多層膜の外面に配設された一対
の偏光子とを備えているので、入射した光を局在化現象
により多層膜間の透明磁性層に蓄えさせて、透明磁性層
の磁気光学効果を増大させ、そのファラデー回転角を増
大させることができ、加えて、多層膜の外面には一対の
偏光子が配設されているので、コントラストの高い画像
表示が可能となり、この際、元素置換等を利用した特殊
な透明磁性層を用いる必要がなく通常の透明磁性材料で
よく、基板温度も特に高温にする必要がなく、大面積化
も容易であり、よって、ディスプレイに好適に適用する
ことができる。
【0038】請求項2記載の発明の磁気光学素子によれ
ば、透明磁性層と、屈折率の異なる2種類の多数の透明
誘電体膜が交互に積層されて前記透明磁性層の片面側に
配設された多層膜と、この多層膜の外面に配設された偏
光子と、前記透明磁性層の他面側に配設された反射層と
を備えたので、請求項1記載の発明の場合と同様に磁気
光学効果を増大させ、かつ、コントラストの高い画像表
示を可能にすることができるが、特に、多層膜側から透
明磁性層に向けて入射した光を反射層で反射させて再び
透明磁性層及び多層膜を経て出射させるので、ファラデ
ー回転角の増大効果を倍増させることができる。
【0039】請求項3記載の発明によれば、請求項1又
は2記載の磁気光学素子において、透明磁性層は、平均
粒径1000Å以下の磁性体の超微粒子と結合剤とによ
り形成されているので、透明磁性層を薄く形成できその
透明性を向上させることができるとともに、多層膜との
接触面の状態が滑らかとなって空気等の入り込みにくい
界面構造となり光のロスがなくなるため、光を局在化さ
せるための光閉じ込めが確実となり、ファラデー回転角
の増大を簡単かつ確実に実現でき、ディスプレイへの適
用度を高めることができる。
【0040】請求項4記載の発明によれば、請求項1,
2又は3記載の磁気光学素子において、透明磁性層は、
多層膜に垂直な方向に磁気異方性を有する磁性材料によ
り形成されているので、光とスピンとが平行なときにフ
ァラデー効果が生ずることから、画像情報に基づき透明
磁性層に書込みを行った場合の大きなファラデー回転角
を得ることができ、ディスプレイに適用した場合に良好
なる表示を行うことができる。
【0041】請求項5記載の発明の磁気光学素子の製造
方法によれば、透明基板上に屈折率の異なる2種類の多
数の透明誘電体膜を交互に積層させて第1の多層膜を形
成する成膜工程と、この第1の多層膜上に透明磁性層を
形成する成膜工程と、この透明磁性層上に屈折率の異な
る2種類の多数の透明誘電体膜を交互に積層させて第2
の多層膜を形成する成膜工程とを連続的に行った後、前
記透明基板及び前記第2の多層膜の外面に各々偏光子を
貼付することで、第1の多層膜、透明磁性層及び第2の
多層膜の成膜工程が連続的に行われるので、透明磁性層
と多層膜との界面に空気等が全く入り込むことなく積層
構造を成膜することができ、光を局在化させるための光
閉じ込め構造の作製が確実となり、ファラデー回転角の
増大を簡単に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態及び第一の実施例を
示す断面構造図である。
【図2】本発明の第二の実施の形態及び第二の実施例を
示す断面構造図である。
【図3】画像表示の原理を説明する模式図である。
【図4】本発明の第三の実施の形態及び第三の実施例を
示す断面構造図である。
【符号の説明】
2 透明磁性層 3,4 多層膜 5 透明基板 7,8 偏光子 9a,9b 透明誘電体膜 10 反射層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明磁性層と、 屈折率の異なる2種類の多数の透明誘電体膜が交互に積
    層されて前記透明磁性層を挾む一対の多層膜と、 これらの多層膜の外面に配設された一対の偏光子と、を
    備えたことを特徴とする磁気光学素子。
  2. 【請求項2】 透明磁性層と、 屈折率の異なる2種類の多数の透明誘電体膜が交互に積
    層されて前記透明磁性層の一面側に配設された多層膜
    と、 この多層膜の外面に配設された偏光子と、 前記透明磁性層の他面側に配設された反射層と、を備え
    たことを特徴とする磁気光学素子。
  3. 【請求項3】 透明磁性層は、平均粒径1000Å以下
    の磁性体の超微粒子と結合剤とにより形成されているこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の磁気光学素子。
  4. 【請求項4】 透明磁性層は、多層膜に垂直な方向に磁
    気異方性を有する磁性材料により形成されていることを
    特徴とする請求項1,2又は3記載の磁気光学素子。
  5. 【請求項5】 透明基板上に屈折率の異なる2種類の多
    数の透明誘電体膜を交互に積層させて第1の多層膜を形
    成する成膜工程と、この第1の多層膜上に透明磁性層を
    形成する成膜工程と、この透明磁性層上に屈折率の異な
    る2種類の多数の透明誘電体膜を交互に積層させて第2
    の多層膜を形成する成膜工程とを連続的に行った後、前
    記透明基板及び前記第2の多層膜の外面に各々偏光子を
    貼付するようにしたことを特徴とする磁気光学素子の製
    造方法。
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