JPH11307378A - 希土類ボンド磁石の製造方法 - Google Patents

希土類ボンド磁石の製造方法

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JPH11307378A
JPH11307378A JP10113945A JP11394598A JPH11307378A JP H11307378 A JPH11307378 A JP H11307378A JP 10113945 A JP10113945 A JP 10113945A JP 11394598 A JP11394598 A JP 11394598A JP H11307378 A JPH11307378 A JP H11307378A
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bonded magnet
rare earth
earth bonded
magnet
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JP10113945A
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Toshiaki Yamagami
利昭 山上
Soichi Yamazaki
聡一 山▲ざき▼
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高耐熱性、寸法安定性に優れ、高機械的強度
で、優れた磁気特性を持つ希土類ボンド磁石を提供する
こと。 【解決手段】本発明は、希土類磁石粉末と、ポリブチレ
ンテレフタレート(PBT)またはこれを主とする熱可塑
性樹脂で構成されている結合樹脂と、酸化防止剤と、必
要に応じ潤滑剤とを含む希土類ボンド磁石用組成物を、
前記結合樹脂が少なくとも軟化または溶融する温度で混
練し、この混練物を用いて磁石形状に温間成形するもの
ある。混練は、平均滞留時間が好ましくは1〜30分程度
で行われる。また、混練物は、好ましくは造粒され、粒
状物として成形に供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、希土類ボンド磁石
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】希土類ボンド磁石は、希土類磁石粉末と
結合樹脂(有機バインダー)との混合物(コンパウン
ド)を所望の磁石形状に加圧成形して製造されるもので
あるが、その成形方法には、圧縮成形法、射出成形法お
よび押出成形法が利用されている。
【0003】圧縮成形法は、前記コンパウンドをプレス
金型中に充填し、これを圧縮成形して成形体を得その
後、結合樹脂が熱硬化性樹脂の場合にはこれを加熱硬化
させて磁石を製造する方法である。この方法は、他の方
法に比べ、少ない結合樹脂量で成形ができるため、得ら
れた磁石の磁粉量を多くすることができ、磁気特性の向
上にとって有利である。
【0004】押出成形法は、加熱溶融された前記コンパ
ウンドを押出成形機の金型から押出すとともに冷却固化
し、所望の長さに切断して、磁石とする方法である。こ
の方法では、磁石の形状に対する自由度が大きく、薄
肉、長尺の磁石をも容易に製造できるという利点がある
が、成形時における溶融物の流動性を確保するために、
結合樹脂の添加量を圧縮成形法のそれに比べて多くする
必要があり、従って、得られた磁石中の磁粉量が少な
く、磁気特性が低下する傾向がある。
【0005】射出成形法は、前記コンパウンドを加熱溶
融し、十分な流動性を持たせた状態で該溶融物を金型内
に注入し、所定の磁石形状に成形する方法である。この
方法では、磁石の形状に対する自由度は、押出成形法に
比べさらに大きく、特に、異形状の磁石をも容易に製造
できるという利点がある。しかし、成形時における溶融
物の流動性は、前記押出成形法より高いレベルが要求さ
れるので、結合樹脂の添加量は、押出成形法のそれに比
べてさらに多くする必要があり、従って、得られた磁石
中の磁粉量が少なく、磁気特性がさらに低下する傾向と
なる。
【0006】ところで、希土類ボンド磁石に用いられる
結合樹脂は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とに大別され
るが、空孔率の増大を抑制し、有機械的速度を確保する
のに有利である点では、熱可塑性樹脂が優れている。従
来、結合樹脂として用いられる熱可塑性樹脂の代表例と
しては、ナイロンが挙げられる。
【0007】また、近年では、希土類ボンド磁石に対
し、高い寸法安定性、耐熱性が要求されるようになって
きたが、前記ナイロンは、吸水性を有するために成形後
のボンド磁石の寸法変化が大きく、また、融点が低く耐
熱性が劣るので、これらの要求を十分に満足することが
できない。
【0008】そこで、ボンド磁石の結合樹脂として、ポ
リブチレンテレフタレート(PBT)を用いることが提案
されている(特開昭62−123702号公報)。このPBTを用
いることにより、寸法安定性、耐熱性が向上する。
【0009】しかしながら、PBTは、融点が224℃と高い
ため、ボンド磁石への成形過程で、希土類磁石粉末が高
温に長時間さらされることとなり、希土類磁石粉末の酸
化、劣化による磁気特性の低下が生じるという問題があ
る。
【0010】また、PBTは、前記各成形法のうち射出成
形法にしか適用することができず(特開昭62−123702号
公報第2頁右下欄第5行参照)、希土類磁石粉末の特性を
生かした高磁気特性の希土類ボンド磁石を得ることがで
きなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性、寸法安定性に優れ、高い磁気特性を持つ希土類ボン
ド磁石を得ることができる希土類ボンド磁石の製造方法
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(20)の本発明により達成される。
【0013】(1) 希土類磁石粉末と、ポリブチレン
テレフタレート(PBT)またはこれを主とする熱可塑性
樹脂で構成される結合樹脂と、酸化防止剤とを含む希土
類ボンド磁石用組成物を、前記結合樹脂が少なくとも軟
化または溶融する温度で混練して混練物を得る工程と、
前記混練物を用いて磁石形状に温間成形する工程とを有
することを特徴とする希土類ボンド磁石の製造方法。
【0014】(2) 希土類磁石粉末と、ポリブチレン
テレフタレート(PBT)またはこれを主とする熱可塑性
樹脂で構成される結合樹脂と、酸化防止剤と、潤滑剤と
を含む希土類ボンド磁石用組成物を、前記結合樹脂が少
なくとも軟化または溶融する温度で混練して混練物を得
る工程と、前記混練物を用いて磁石形状に温間成形する
工程とを有することを特徴とする希土類ボンド磁石の製
造方法。
【0015】(3) 前記潤滑剤は、ステアリン酸また
はその金属塩である上記(2)に記載の希土類ボンド磁
石。
【0016】(4) 前記希土類ボンド磁石用組成物中
の前記潤滑剤の含有量は、0.01〜0.5wt%である上記
(2)または(3)に記載の希土類ボンド磁石の製造方
法。
【0017】(5) 前記酸化防止剤は、キレート化合
物を生成するキレート化剤である上記(1)ないし
(4)のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方
法。
【0018】(6) 前記酸化防止剤は、ヒドラジン化
合物である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の
希土類ボンド磁石の製造方法。
【0019】(7) 希土類ボンド磁石中の前記希土類
磁石粉末の含有量が95〜99.5wt%である上記(1)ない
し(6)のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方
法。
【0020】(8) 前記希土類ボンド磁石用組成物中
の前記酸化防止剤の含有量は、0.1〜2.0wt%である上記
(1)ないし(7)のいずれかに記載の希土類ボンド磁
石の製造方法。
【0021】(9) 前記希土類磁石粉末は、Smを主と
する希土類元素とCoを主とする遷移金属とを基本成分と
するものである上記(1)ないし(8)のいずれかに記
載の希土類ボンド磁石の製造方法。
【0022】(10) 前記希土類磁石粉末は、R(た
だし、RはYを含む希土類元素のうちの少なくとも1種)
と、Feを主とする遷移金属と、Bとを基本成分とするも
のである上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の希
土類ボンド磁石の製造方法。
【0023】(11) 前記希土類磁石粉末は、Smを主
とする希土類元素と、Feを主とする遷移金属と、Nを主
とする格子間元素とを基本成分とするものである上記
(1)ないし(8)のいずれかに記載の希土類ボンド磁
石の製造方法。
【0024】(12) 前記希土類磁石粉末は、上記
(9)、(10)および(11)に記載の希土類磁石粉
末のうちの少なくとも2種を混合したものである上記
(1)ないし(8)のいずれかに記載の希土類ボンド磁
石の製造方法。
【0025】(13) 前記希土類ボンド磁石用組成物
中の前記希土類磁石粉末の含有量は、94〜99wt%である
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の希土類ボ
ンド磁石の製造方法。
【0026】(14) 混練時における混練物の平均滞
留時間は、1〜30分である上記(1)ないし(13)の
いずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方法。
【0027】(15) 混練の雰囲気は、非酸化性雰囲
気である上記(1)ないし(14)いずれかに記載の希
土類ボンド磁石の製造方法。
【0028】(16) 混練の後その混練物を常温付近
まで冷却する上記(1)ないし(15)のいずれかに記
載の希土類ボンド磁石の製造方法。
【0029】(17) 冷却における冷却速度が10℃/s
ec以上である上記(16)に記載の希土類ボンド磁石の
製造方法。
【0030】(18) 混練物を造粒して温間成形に供
する上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の希土
類ボンド磁石の製造方法。
【0031】(19) 温間成形時の成形温度は、前記
結合樹脂が少なくとも軟化または溶融する温度である上
記(1)ないし(18)のいずれかに記載の希土類ボン
ド磁石の製造方法。
【0032】(20) 前記温間成形は、圧縮成形であ
る上記(1)ないし(19)のいずれかに記載の希土類
ボンド磁石の製造方法。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の希土類ボンド磁石
の製造方法について詳細に説明する。
【0034】まず、本発明の希土類ボンド磁石の製造方
法は、主に以下の工程を有している。
【0035】<1>希土類ボンド磁石用組成物の調整 希土類ボンド磁石用組成物として、以下のような希土類
磁石粉末と、結合樹脂と、酸化防止剤とを含む希土類ボ
ンド磁石用組成物、または、これらにさらに潤滑剤を加
えた希土類ボンド磁石用組成物を調整する。以下、各希
土類ボンド磁石用組成物の各構成成分について説明す
る。
【0036】1.希土類磁石粉末 希土類磁石粉末としては、希土類元素と遷移金属とを含
む合金よりなるものが好ましく、特に、次の[1]〜
[4]が好ましい。
【0037】[1]Smを主とする希土類元素と、Coを主
とする遷移金属とを基本成分とするもの(以下、Sm−Co
系合金と言う)。
【0038】[2]R(ただし、RはYを含む希土類元素の
うち少なくとも1種)と、Feを主とする遷移金属と、Bと
を基本成分とするもの(以下、R−Fe−B系合金と言
う)。
【0039】[3]Smを主とする希土類元素と、Feを主
とする遷移金属と、Nを主とする格子間元素とを基本成
分とするもの(以下、Sm−Fe−N系合金と言う)。
【0040】[4]前記[1]〜[3]の組成のもののう
ち、少なくとも2種類を混合したもの。この場合、混合
する各磁石粉末の利点を併有することができ、より優れ
た磁気特性を容易に得ることができる。
【0041】Sm−Co系合金の代表的なものとしては、Sm
Co5、(Sm0.42Pr0.58)Co5、Sm(Co0.76Fe0.10Cu0.14
7、Sm2(Co,Cu,Fe,M)17(M=Ti,Zr,Hf)が挙げられる。
【0042】R−Fe−B系合金の代表的なものとしては、
Nd−Fe−B系合金、Pr−Fe−B系合金、Nd−Pr−Fe−B系
合金、これらの希土類元素の一部をDyやTbなどの重希土
類元素で置換したもの、また、Feの一部をCo、Ni等の他
の遷移金属で置換したもの等が挙げられる。またこれら
の合金を水素を用いて粉砕し、脱水素したものも使用で
きる。
【0043】Sm−Fe−N系合金の代表的なものとして
は、Sm2Fe17合金を窒化して作製したSm2Fe17N3が挙げら
れる。
【0044】磁石粉末における前記希土類元素として
は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Luが、また混合希土類として、ミッシュメ
タルやジジム、さらに前記希土類元素や混合希土類を1
種または2種以上含むことができる。また、前記遷移金
属としては、Fe、Co、Ni、Cu、V、Ti、Zr、Mo、Hf等が
挙げられ、これらを1種または2種以上含むことができ
る。また、磁気特性を向上させるために磁石粉末中に
は、必要に応じて、Al、C、Ga、Si、Ag、Au、Pt、Zn、S
n等を含有することもできる。
【0045】また、磁石粉末の平均粒径は、特に限定さ
れないが、0.5〜500μm程度が好ましく、1〜100μm程度
がより好ましい。また、後述するような少量の結合樹脂
で成形時の良好な成形性、高い密度と高い磁気性能を得
るために、磁石粉末の粒径分布は、ある程度ブロードで
あることが好ましい。これにより、得られたボンド磁石
の空孔率を低減することもできる。なお、前記[4]の
場合、混合する磁石粉末の組成毎に、その平均粒径が異
なっていてもよい。
【0046】磁石粉末の製造方法は、特に限定されず、
例えば、溶解・鋳造により合金インゴットを作製し、こ
の合金インゴットを適度な大きさに粉砕し(さらに分級
し)て得られたもの、アモルファス合金を製造するのに
用いる急冷薄帯製造装置で、リボン状の急冷薄帯(微細
な多結晶が集合)を製造し、この薄帯を適度な粒度に粉
砕・分級して得られたもの等、いずれでもよい。
【0047】2.結合樹脂(バインダー) 結合樹脂(バインダー)としては、PBTまたはこれを主
とする熱可塑性樹脂が用いられる。これにより、優れた
耐熱性、寸法安定性が得られる。
【0048】PBTを主とする熱可塑性樹脂としては、PBT
と他の熱可塑性樹脂との共重合体、ポリマーブレンド、
ポリマーアロイ等が挙げられる。この場合、他の熱可塑
性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリカーボネート等のPBT以外のポリエステル、ナ
イロンに代表されるポリアミド、ポリアセタールやポリ
フェニレンエーテル等のポリエーテル、熱可塑性ポリイ
ミド、芳香族ポリエステル系樹脂等の液晶ポリマー、ポ
リフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンやポリプロ
ピレン等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ABS
樹脂等のスチレン系樹脂等のうちの1種または2種以上が
挙げられる。これらのうちでも特に、PBTと似ているも
の、相溶性が優れるものが好ましい。
【0049】このような他の熱可塑性樹脂は、種々の目
的で用いられ、例えば、耐熱性、成形性の向上や結合樹
脂の触点(軟化点)を調整するために用いられる。
【0050】このような他の熱可塑性樹脂の含有量は、
PBTの特性を阻害しない程度の量であれば許容され、通
常は、結合樹脂中50wt%未満とされる。
【0051】3.酸化防止剤 酸化防止剤は、後述する希土類ボンド磁石用組成物の製
造の際等に、希土類磁石粉末自身の酸化、劣化、変質
や、希土類磁石粉末が触媒として働くことにより生じる
結合樹脂の酸化、劣化、変質を防止するために該組成物
中に添加される添加剤である。この酸化防止剤の添加
は、希土類磁石粉末の酸化を防止し、磁石の磁気特性の
向上を図るのに寄与するとともに、希土類ボンド磁石用
組成物の混練時、成形時における熱的安定性の向上に寄
与し、少ない結合樹脂量で良好な成形性を確保する上で
重要な役割を果たしている。
【0052】この酸化防止剤は、希土類ボンド磁石用組
成物の混練時や成形時等の中間工程において揮発した
り、変質したりするので、製造された希土類ボンド磁石
中には、その一部が残留した状態で存在している。従っ
て、希土類ボンド磁石中の酸化防止剤の含有量は、希土
類ボンド磁石用組成物中の酸化防止剤の添加量に対し、
例えば10〜95%程度、特に20〜90%程度となる。
【0053】酸化防止剤としては、希土類磁石粉末等の
酸化を防止または抑制し得るものであればいかなるもの
でもよく、例えば、トコフェロール、アミン系化合物、
アミノ酸系化合物、ニトロカルボン酸類、ヒドラジン化
合物、シアン化合物、硫化物等の金属イオン特にFe成分
に対しキレート化合物を生成するキレート化剤が好適に
使用されるが、このなかでも特に、ヒドラジン化合物が
好ましい。
【0054】なお、酸化防止剤の種類、組成等について
は、これらのものに限定されないことは言うまでもな
い。
【0055】4.潤滑剤 潤滑剤は、希土類ボンド磁石の混練時や成形時に材料の
流動性を向上させる機能を有する。従って、潤滑剤を添
加することで、混練時のモータへの負荷低減や成形時に
より低い成形圧で高い密度を得ることが可能となり、混
練機、成形機のコストダウンや長寿命化に寄与する。ま
た、混練時の負荷低減により、単位時間当たりの流量を
増やすことができ、混練物の生産性をあげることができ
る。
【0056】この潤滑剤は、希土類ボンド磁石用組成物
の混練時や成形時等の中間工程において揮発したり、変
質したりするので、製造された希土類ボンド磁石中には
その一部が残留した状態で存在している。従って、希土
類ボンド磁石中の潤滑剤の含有量は、希土類ボンド磁石
用組成物中の潤滑剤の添加量に対し、例えば、10〜90%
程度、特に20〜80%程度となる。
【0057】潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸ま
たはその金属塩、脂肪酸、シリコーンオイル、各種ワッ
クス、グラファイト、二硫化モリブデン等の潤滑剤が挙
げられるが、そのなかでも、特に潤滑作用に優れること
から、ステアリン酸またはその金属塩が好ましい。ステ
アリン酸塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステ
アリン酸カルシウム等が挙げられる。
【0058】以上のような本発明の希土類ボンド磁石
は、磁石粉末の組成、磁石粉末の含有量の多さ等から、
等方性磁石であっても、優れた磁気特性を有する。
【0059】希土類ボンド磁石用組成物中の希土類磁石
粉末の含有量は、94〜99.5wt%であるのが好ましく、95
〜99wt%程度であるのがより好ましい。希土類磁石粉末
の含有量が少な過ぎると、磁気特性(特に最大磁気エネ
ルギー積)の向上が図れず、また、多過ぎると、混練性
が悪くなるとともに、成形性が悪くなり、成形不良が生
じたり、極端な場合には成形が困難または不能となる。
【0060】希土類ボンド磁石用組成物中の酸化防止剤
の含有量(添加量)は、0.1〜2.0wt%程度とするのが好
ましく、0.3〜1.8wt%程度とするのがより好ましい。こ
の場合、酸化防止剤の含有量は、結合樹脂の量に対し5
〜120%程度であるのが好ましく、15〜90%程度であるの
がより好ましい。
【0061】酸化防止剤の含有量が少な過ぎると、酸化
防止効果が少なく、磁石粉末の含有量が多い場合等に磁
石粉末等の酸化を十分に抑制することができなくなる。
また、酸化防止剤の含有量が多過ぎると、相対的に結合
樹脂量が減少し、成形体の機械的強度が低下する傾向を
示す。
【0062】また、希土類ボンド磁石用組成物には、必
要に応じ、前述したような潤滑剤を添加することができ
る。また、その他に、例えば、成形助剤、安定化剤等の
各種添加剤を添加することもできる。
【0063】希土類ボンド磁石用組成物中に潤滑剤を添
加する場合、その含有量(添加量)は、0.01〜0.7wt%程
度であるのが好ましく、0.02〜0.5wt%程度であるのがよ
り好ましい。潤滑剤の含有量が少な過ぎると、潤滑作用
が充分に発揮されず、また、潤滑剤の含有量が多過ぎる
と、成形体の機械的強度の低下を招く。
【0064】なお、本発明では、潤滑剤の添加量は、前
記範囲の下限値以下であってもよく、また、無添加であ
ってもよいことは言うまでもない。
【0065】以上のような各構成成分は、必要に応じ、
例えばヘンシェルミキサーのような混合機や攪拌機を用
いて混合される。
【0066】<2>混練 前記希土類ボンド磁石組成物は、混練に供される。この
混練では、磁石粉末の粉砕と、磁石粉末と結合樹脂、そ
の他成分の更なる混合、粉末表面への樹脂層のコーティ
ング等が行われる。この混練は、例えば単独のまたは成
形機に付属の混練機等を用いて十分になされる。混練機
は特に限定されず、所望の温度と混練が与えられれば、
バッチ式のもの連続式のものどちらでもよい。
【0067】混合物の混練は用いる結合樹脂が少なくと
も軟化または溶融する温度で、好ましくは溶融する温度
で行われる。具体的には、200〜320℃程度が好ましく、
220〜290℃程度がより好ましい。このような温度で混練
することにより、混練の効率が向上し、常温で混練する
場合に比べてより短時間で均一に混練することができる
とともに、結合樹脂の粘度が下がった状態で混練される
ので、希土類磁石粉末の周囲を結合樹脂が覆うような状
態となり、希土類ボンド磁石用組成物中およびそれより
製造されたボンド磁石中の空孔率の減少に寄与する。
【0068】また、混練物の平均滞留時間は、1〜30分
程度が好ましく、2〜20分程度がより好ましい。ここ
で、混練物の平均滞留時間とは、混練物の混練機内滞留
量を平均流速で除した値である。この平均滞留時間が短
か過ぎると、混練不十分となり、また長過ぎると、機械
的ダメージや、混練物の酸化、劣化、変質が進み、成形
体で高い密度が得られず、磁気特性の向上が得られなく
なる。
【0069】混練の雰囲気は、大気中でもできるが、例
えば、真空または減圧状態下(例えば1Pa〜0.1MPa)、
あるいは窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中のよ
うな非酸化性雰囲気が好ましい。
【0070】<3>混練物の冷却 混練の後は、常温程度まで冷却されるのが好ましい。こ
の冷却は、混練と連続して行われるのが好ましい。この
冷却により、混練時磁石粉末の表面に形成された結合樹
脂層を固着し、混練の効果を一層確実なものとする。
【0071】このような混練物の冷却における冷却速度
は、その雰囲気にもより、非酸化性雰囲気では比較的ゆ
っくりでもよいが、磁粉の表面にコートされた樹脂が速
やかに固化される様、できるだけ速やかに冷却するのが
好ましい。その速度は特に限定されないが、10℃/sec以
上程度であるのが好ましく、50℃/sec程度以上であるの
がより好ましい。冷却速度が遅すぎると、混練物の酸
化、劣化、または、磁石粉末表面の樹脂層の流出が起こ
り、混練の効果が低減する。
【0072】<4>造粒 得られた混練物を造粒または整粒し、所定の粒径の粒状
物を製造する。これにより、特に圧縮成形の場合におい
て、成形金型への材料の充填を容易かつ確実に行うこと
ができ、定量性も向上するので、得られたボンド磁石の
寸法精度が高まる。
【0073】造粒または、整粒の方法は、特に限定され
ないが、混練物を粉砕して粉体としたものや混練から直
接押出式造粒機のような造粒機を通し、その後冷却した
ものが用いられる。この粉砕は、例えば、ボールミル、
振動ミル、破砕機、ジェットミル、ピンミル等を用いて
行われる。また、造粒機と粉砕機を組み合わせて行うこ
ともできる。
【0074】また、粒状物の粒径の調整は、篩い等を用
いて分級することにより行うことができる。
【0075】粒状物の平均粒径は、10μm〜3mm程度であ
るのが好ましく、20μm〜1mm程度であるのがより好まし
く、50μm〜200μm程度であるのがさらに好ましい。粒
状物の粒径が3mm以上では、特に成形される磁石の寸法
が小さい場合に、すなわち成形金型のギャップの寸法が
小さい場合に、粒状物の金型への充填量を微妙に調整す
ることが困難となり、定量性が劣るので、ボンド磁石の
寸法精度の向上が図れない。一方、平均粒径10μm以下
の粒状物は、製造(造粒)が困難かまたは手間がかかる
場合があり、また、平均粒径が小さすぎると、金型への
充填が困難になり得られたボンド磁石の空孔率が上昇す
る傾向を示す。
【0076】このような粒状物は、粒径が均一なもので
も、粒径にある程度バラツキがあるものでもよい。
【0077】<5>ボンド磁石への成形 成形方法は、圧縮成形、押出し成形、射出成形のいずれ
の方法でもよいが、本発明では、圧縮成形が特に好まし
い。以下、代表的に圧縮成形について説明する。
【0078】希土類ボンド磁石用組成物を圧縮成形機の
金型内に所望量充填し、磁場中(配向磁場が例えば5〜2
0kOe、配向方向は、縦、横、ラジアル方向のいずれも
可)または、無磁場中で圧縮成形する。
【0079】この圧縮成形は、温間成形とされる。すな
わち、成形金型を加熱する等により、成形時の材料温度
が用いる結合樹脂の軟化温度以上の温度となるようにし
て、圧縮成形を行う。具体的には、成形時の材料温度
は、好ましくは200〜320℃程度、より好ましくは230〜3
00℃程度とされる。
【0080】この加熱方法は、特に限定されないが、バ
ーナー加熱、電気抵抗加熱、高周波加熱、赤外線照射、
プラズマ照射等が用いられる。これらの方法は、成形機
により適宜選択される。
【0081】このような温間成形とすることにより、金
型内での成形材料の流動性が向上し、低い成形圧で、寸
法精度のよい成形をすることができる。すなわち、好ま
しくは500MPa以下、より好ましくは350MPa以下の成形圧
で成形(賦形)することができ、成形が容易となるとと
もに、リング状、平板状、湾曲板状等の薄肉部を有する
形状のものや長尺なものでも、良好かつ安定した形状、
寸法のものを量産することができる。
【0082】また、温間成形とすることにより、前述し
たような低い成形圧でも、得られた磁石の空孔率を低く
することができる。
【0083】さらに、磁場中成形においては、温間成形
とすることにより金型内での成形材料の流動性が向上
し、外部磁場による磁粉の回転が容易になり、磁気配向
性が向上するとともに、温度上昇により希土類磁石粉末
の保磁力が低下し、見かけ上高い磁場をかけたものとな
るので、所望の方向に配向しやすくなり、磁気特性を向
上することができる。
【0084】以上のようにして成形された成形体を、冷
却後、離型し、本発明の希土類ボンド磁石を得る。
【0085】以上のようにして製造された希土類ボンド
磁石は、次のような優れた特性を有する。
【0086】すなわち、希土類ボンド磁石においては、
空孔率(ボンド磁石に含まれる空孔が占める体積割合)
は、好ましくは5vol%以下、より好ましくは3.5vol%以
下、さらに好ましくは、2.8vol%以下とすることができ
る。このように空孔率が低い(=密度が高い)とボンド
磁石の機械的強度が高く、磁気特性、耐食性に優れ、ま
た、寸法精度が高く、量産した場合にも寸法精度のばら
つきが少ない。
【0087】以上のような希土類ボンド磁石は、磁石粉
末の組成、磁石粉末の含有量の多さ等から、等方性であ
っても、優れた磁気特性を有する。
【0088】すなわち、無磁場中で成形された希土類ボ
ンド磁石の場合、磁気エネルギー積(BH)maxが好ましく
は4MGOe以上、より好ましくは7MGOe以上であり、磁場中
で成形された希土類ボンド磁石の場合、磁気エネルギー
積(BH)maxが好ましくは10MGOe以上、より好ましくは12M
GOeである。
【0089】なお、製造される希土類ボンド磁石の形
状、寸法等は特に限定されず、例えば、形状に関して
は、例えば、円柱状、角柱状、円筒状(リング状)、円
弧状、平板状、湾曲板状等のあらゆる形状のものが可能
であり、その大きさも、大型のものから、超小型のもの
まであらゆる大きさのものが可能である。
【0090】なお、前述した希土類ボンド磁石用組成物
は、圧縮成形以外の成形法に用いることもできる。
【0091】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0092】下記組成、、、、の5種の希土
類磁石粉末(磁粉)と、下記A、B、C、Dの4種の結合樹
脂と、a、bの2種の酸化防止剤と、2種の潤滑剤I、IIと
を用意した。
【0093】・希土類磁石粉末 急冷Nd11Pr1FebalCo5B6粉末(平均粒径=175μm) 急冷Nd12FebalCo3Nb2B6粉末(平均粒径=180μm) Sm(Co0.604Cu0.06Fe0.82Zr0.0188.3粉末(平均粒
径=10μm) Sm2Fe17N3粉末(平均粒径=3μm) HDDR法による異方性Nd18FbalCo11Ga1B8粉末(平均粒
径=10μm) ・結合樹脂 A.PBT樹脂(融点224℃) B.PBT−PETポリマーアロイ(重量比7:3) C.PBTとナイロン12のポリマーブレンド(重量比8:2) D.ナイロン12(融点178 ℃) ・酸化防止剤 a.ヒドラジン化合物(日本チバガイギー社製、商品
名:イルガノックスMD1024) b.トコフェロール ・潤滑剤 I .ステアリン酸 II.ステアリン酸亜鉛 (実施例1)これらのうち、磁粉:96wt%、樹脂A:3.5w
t%、酸化防止剤a:0.5wt%を混合、攪拌し、希土類ボンド
磁石組成物(混合物)とした。
【0094】次に下記表1および表2に示す所定の組み合
わせで混合した。
【0095】次に、この混練物をスクリュー式2軸混練
機(φ15)を用いて十分混練した後、常温付近まで冷却
し、混練物(コンパウンド)を得た。この時の混練条件
および冷却条件(冷却速度)は、下記の表1に示す通り
である。
【0096】次に、粉砕機(破砕機)により前記コンパ
ウンドを平均粒径200μm程度に粉砕して粒状物とし、こ
の粒状物を秤量して金型内に充填し、プレス成形機によ
り温間圧縮成形(無磁場中)して、希土類ボンド磁石を
製造した。この時の成形条件を下記表1に示す。
【0097】得られたボンド磁石の形状は、円柱状であ
り、その寸法(設計寸法)は、外形10mm、高さ7mmであ
った。
【0098】(実施例2)混合物の組成を磁粉:96wt
%、樹脂A:3.0wt%、酸化防止剤a:1.0wt%とした以外は、
実施例1と同様にして、ボンド磁石を製造した。
【0099】(実施例3)混合物の組成を磁粉:96wt
%、樹脂A:2.5wt%、酸化防止剤a:1.5wt%とした以外は、
実施例1と同様にして、ボンド磁石を製造した。
【0100】(実施例4)混合物の組成を磁粉:61.1w
t%、35.0wt%、樹脂B:2.8wt%、酸化防止剤b:1.0wt%、
潤滑剤II:0.1wt%とした以外は、実施例1と同様にし
て、ボンド磁石を製造した。成形条件は、下記表1に示
す通りである。
【0101】(実施例5)混合物の組成を磁粉:61.1w
t%、35.0wt%、樹脂B:2.7wt%、酸化防止剤b:1.0wt%、
潤滑剤II:0.2wt%とした以外は、実施例1と同様にし
て、ボンド磁石を製造した。成形条件は、下記表1に示
す通りである。
【0102】(実施例6)混合物の組成を磁粉:61.1w
t%、35.0wt%、樹脂B:2.5wt%、酸化防止剤b:1.0wt%、
潤滑剤II:0.4wt%とした以外は、実施例1と同様にし
て、ボンド磁石を製造した。成形条件は、下記表1に示
す通りである。
【0103】(実施例7)混合物の組成を磁粉:95.7w
t%、樹脂A:3.4wt%、酸化防止剤a:0.8wt%、潤滑剤I:0.1
wt%とした。実施例1と同様にして、ボンド磁石を製造し
た。成形条件は、下記表2に示す通りである。磁場方向
は圧縮方向と同じ縦磁場である。
【0104】(実施例8〜12)混練条件を下記表2に示す
ように変更した以外は、実施例7と同様にして、それぞ
れボンド磁石を製造した。
【0105】(実施例13、14)混練物の冷却条件を下記
表3に示すように変更した以外は、実施例12と同様にし
て、それぞれボンド磁石を製造した。
【0106】(実施例15〜18)混合物の組成を磁粉:
83.5wt%、12.0wt%、樹脂C:3.4wt%、酸化防止剤b:0.9w
t%、潤滑剤I:0.1wt%、同II:0.1wt%とした。実施例7と
同様にしてボンド磁石を製造した。成形条件は、下記表
3に示す通りである。
【0107】(比較例1)混合物の組成を磁粉:93.0w
t%、樹脂A:7.0wt%とした以外は、実施例1と同様にし
て、ボンド磁石を製造した。混練条件、成形条件は、下
記表4に示す通りである。
【0108】(比較例2)混合物の組成を磁粉:97.0w
t%、樹脂A:3.0wt%とした以外は、実施例1と同様にし
て、ボンド磁石を製造した。混練条件、成形条件は、下
記表4に示す通りである。
【0109】(比較例3、4)混合物の組成を磁粉:9
5.0wt%、樹脂D:3.7wt%、酸化防止剤b:1.2wt%、潤滑剤I:
0.1wt%とした。実施例1と同様にして、ボンド磁石を製
造した。混練条件、成形条件は、下記表4に示す通りで
ある。
【0110】(比較例5)混合物の組成を磁粉:96.0w
t%、樹脂D:3.5wt%、潤滑剤I:0.5wt%とした以外は、実施
例1と同様にして、ボンド磁石を製造した。混練条件、
成形条件は、下記表4に示す通りである。
【0111】(比較例6)混合物の組成を磁粉:96.0w
t%、樹脂D:2.8wt%、酸化防止剤b:1.2wt%とした以外は、
実施例1と同様にして、ボンド磁石を製造した。混練条
件、成形条件は、下記表4に示す通りである。
【0112】実施例1〜18、比較例1〜4の各ボンド磁石
の組成、諸特性を下記表5〜表7に示す。なお、表5〜表
7中の各特性の評価方法は、次の通りである。
【0113】・最大エネルギー積 最大エネルギー積は、高さ方向に着磁し、東英工業社製
DC Recording Fluxmeter TRF5BHを用いてBHカーブを測
定し、求めた。
【0114】・密度 密度は、水中アルキメデス法により測定した。
【0115】・空孔率 空孔率は、各成分の密度と混合比率から計算される計算
密度と上記実測の密度の差から次の計算式で求めた。
【0116】空孔率=1−(実密度/計算密度) ・機械的強度 機機的強度は、得られたボンド磁石から高さ3mmの試験
片を切り出し、この試験片を用いせん断打ち抜き法(日
本電子材料工業会標準規格EMAS7006)により評価した。
【0117】・耐熱性 耐熱性は、得られた希土類ボンド磁石を着磁後、高温下
(180℃、100時間)に置き、試験の前後の総フラックス
の変化を測定した。また、外径、高さの寸法の変化を測
定し、それらが小さいものから◎、○、△、×の4段階
で評価した。
【0118】・形状安定性 形状安定性は、得られた希土類ボンド磁石を高温、高湿
環境下(80℃、90%RH)に100時間置き、外径、高さの寸
法変化(10点測定)の割合を測定し、それが小さいもの
から、◎、○、△、×の4段階で評価した。
【0119】・耐食性 耐食性は、得られた希土類ボンド磁石に対し、恒温恒湿
槽により60℃、95%RHの条件で加速試験を行い、錆の発
生までの時間を測定し、この時間が長いものから、◎、
○、△、×の4段階で評価した。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0123】
【表4】
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】
【表7】
【0127】各表に示すように、実施例1〜18の希土類
ボンド磁石は、いずれも、空孔率が低く、機械的強度が
高いものであり、しかも、磁気特性(最大磁気エネルギ
ー積)、耐熱性、形状安定性、耐食性に優れていた。そ
して、結合樹脂の含有量が少ないにもかかわらず、成形
性が良好であった。
【0128】特に、潤滑剤を含む実施例4〜18では、よ
り低い成形圧(3ton/cm2以下)でこのような優れた特性
の希土類ボンド磁石が得られた。
【0129】これに対し、比較例1の希土類ボンド磁石
は、酸化防止剤の添加がなく、磁粉の含有量が少ないた
め、磁気特性、密度、耐熱性、形状安定性が劣ってい
る。
【0130】また、比較例1に比べて磁粉の含有量を増
やした比較例2では、一部崩壊等の成形不良が生じ、実
用性のあるボンド磁石が得られなかった。
【0131】また、比較例3の希土類ボンド磁石は、混
練時間が短く、混練の効果が得られず、密度、磁気特
性、形状安定性、強度が劣っている。比較例4では、混
練時間が長く、磁石組成物の酸化劣化が著しく、一部崩
壊の成形不良が生じ、実用的なボンド磁石が得られなか
った。
【0132】また、比較例5、6の希土類ボンド磁石は、
用いた結合樹脂の性質上、耐熱性、形状安定性が劣り、
また、耐食性も劣るものであった。
【0133】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、少
ない結合樹脂量でも成形性に優れており、また、空孔率
が低く、高機械的強度で、磁気特性に優れ、しかも、耐
熱性、形状安定性、耐食性が優れる希土類ボンド磁石を
提供することができる。
【0134】また、圧縮成形により製造する場合、低い
成形圧で、このような特性の磁石を得ることができ、製
造が容易である。特に、潤滑剤を含む場合には、この効
果がより顕著となる。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類磁石粉末と、ポリブチレンテレフ
    タレート(PBT)またはこれを主とする熱可塑性樹脂で
    構成される結合樹脂と、酸化防止剤とを含む希土類ボン
    ド磁石用組成物を、前記結合樹脂が少なくとも軟化また
    は溶融する温度で混練して混練物を得る工程と、 前記混練物を用いて磁石形状に温間成形する工程とを有
    することを特徴とする希土類ボンド磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 希土類磁石粉末と、ポリブチレンテレフ
    タレート(PBT)またはこれを主とする熱可塑性樹脂で
    構成される結合樹脂と、酸化防止剤と、潤滑剤とを含む
    希土類ボンド磁石用組成物を、前記結合樹脂が少なくと
    も軟化または溶融する温度で混練して混練物を得る工程
    と、 前記混練物を用いて磁石形状に温間成形する工程とを有
    することを特徴とする希土類ボンド磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記潤滑剤は、ステアリン酸またはその
    金属塩である請求項2に記載の希土類ボンド磁石。
  4. 【請求項4】 前記希土類ボンド磁石用組成物中の前記
    潤滑剤の含有量は、0.01〜0.5wt%である請求項2または
    3に記載の希土類ボンド磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記酸化防止剤は、キレート化合物を生
    成するキレート化剤である請求項1ないし4のいずれか
    に記載の希土類ボンド磁石の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記酸化防止剤は、ヒドラジン化合物で
    ある請求項1ないし4のいずれかに記載の希土類ボンド
    磁石の製造方法。
  7. 【請求項7】 希土類ボンド磁石中の前記希土類磁石粉
    末の含有量が95〜99.5wt%である請求項1ないし6のい
    ずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記希土類ボンド磁石用組成物中の前記
    酸化防止剤の含有量は、0.1〜2.0wt%である請求項1な
    いし7のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記希土類磁石粉末は、Smを主とする希
    土類元素とCoを主とする遷移金属とを基本成分とするも
    のである請求項1ないし8のいずれかに記載の希土類ボ
    ンド磁石の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記希土類磁石粉末は、R(ただし、R
    はYを含む希土類元素のうちの少なくとも1種)と、Feを
    主とする遷移金属と、Bとを基本成分とするものである
    請求項1ないし8のいずれかに記載の希土類ボンド磁石
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記希土類磁石粉末は、Smを主とする
    希土類元素と、Feを主とする遷移金属と、Nを主とする
    格子間元素とを基本成分とするものである請求項1ない
    し8のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記希土類磁石粉末は、請求項9、1
    0および11に記載の希土類磁石粉末のうちの少なくと
    も2種を混合したものである請求項1ないし8のいずれ
    かに記載の希土類ボンド磁石の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記希土類ボンド磁石用組成物中の前
    記希土類磁石粉末の含有量は、94〜99wt%である請求項
    1ないし12のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製
    造方法。
  14. 【請求項14】 混練時における混練物の平均滞留時間
    は、1〜30分である請求項1ないし13のいずれかに記
    載の希土類ボンド磁石の製造方法。
  15. 【請求項15】 混練の雰囲気は、非酸化性雰囲気であ
    る請求項1ないし14いずれかに記載の希土類ボンド磁
    石の製造方法。
  16. 【請求項16】 混練の後その混練物を常温付近まで冷
    却する請求項1ないし15のいずれかに記載の希土類ボ
    ンド磁石の製造方法。
  17. 【請求項17】 冷却における冷却速度が10℃/sec以上
    である請求項16に記載の希土類ボンド磁石の製造方
    法。
  18. 【請求項18】 混練物を造粒して温間成形に供する請
    求項1ないし17のいずれかに記載の希土類ボンド磁石
    の製造方法。
  19. 【請求項19】 温間成形時の成形温度は、前記結合樹
    脂が少なくとも軟化または溶融する温度である請求項1
    ないし18のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造
    方法。
  20. 【請求項20】 前記温間成形は、圧縮成形である請求
    項1ないし19のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の
    製造方法。
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