JPH11307268A - 有機薄膜発光素子およびその製造方法 - Google Patents

有機薄膜発光素子およびその製造方法

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JPH11307268A
JPH11307268A JP10131368A JP13136898A JPH11307268A JP H11307268 A JPH11307268 A JP H11307268A JP 10131368 A JP10131368 A JP 10131368A JP 13136898 A JP13136898 A JP 13136898A JP H11307268 A JPH11307268 A JP H11307268A
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organic thin
thin film
groove
lower electrode
emitting device
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JP10131368A
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Yutaka Terao
豊 寺尾
Yotaro Shiraishi
洋太郎 白石
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】上部電極エッヂからのダークラインの進行によ
るフィルファクターの低下が起こらず、生産性の高い発
光素子およびその製造方法を提供する。 【解決手段】基板1および、その上に形成された複数の
下部電極2、この下部電極を被覆する有機薄膜3、およ
び有機薄膜上に形成された下部電極に直交する複数の上
部電極4からなり、下部電極、有機薄膜および上部電極
の重なった3層部分をそれぞれ発光画素とする有機薄膜
発光素子において、隣接する上部電極の間およびその近
傍には、下部電極上を横切って、電気絶縁体からなるス
トライプ状の基板に平行に形成された突起層であり、そ
の頂上には溝が開けられた分離材Sを形成し、有機薄膜
は隣接する分離材間の下部電極および少なくとも分離材
のエッジを被覆し、かつ上部電極は溝により分離され、
電気的に絶縁されているようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフラットパネルディ
スプレイ等に用いられる、基板とその上に形成された下
部電極、有機薄膜および上部電極からなる有機薄膜発光
素子(以下、有機発光素子と略記する)に関する。
【0002】
【従来の技術】図7は従来の基板側に発光する有機発光
素子の発光部の層構成を示す断面図であり、(a)は有
機薄膜が2層構造の場合であり、(b)は有機薄膜が3
層構造の場合である。発光素子は透明基板1とその上に
順次形成された、ITO (酸化インジウムスズ、In2O3+Sn
O2)などからなる透明電極である下部電極2、有機薄膜
3、および金属からなる上部電極4から構成されてお
り、これら3層の重なった部分が発光部である。有機薄
膜3は、正孔輸送層3aおよび発光層3bからなる2層
の場合(図7(a))(Appl. Phys. Lett.vol 51,913
〜915,(1987))と、上記の発光層3bにさらに電子輸送
層3cが積層された3層の場合(図7(b))が知られ
ている。また最近では、さらに下部電極と正孔輸送層の
間に正孔注入層が挿入された4層構造のものも知られて
いる(例えばSID 97 DIGEST,1073〜1076,(1997))。
【0003】この様な発光素子が、多数の発光部を独立
に制御して発光できるフラットパネルディスプレイに用
いられためには、例えば、XYマトリクス型(または単
純マトリクス型ともいう)とされている必要がある。図
8はXYマトリクス型の発光素子の要部破断斜視図であ
る。透明ガラス基板1上の、下部電極2は平行に分離さ
れた短冊状にパターニングされている。下部電極2を被
覆して有機薄膜3が形成されており、その上には短冊状
にパターニングされた上部電極4が設けられている。下
部電極の短冊と上部電極の短冊は互いに直交しており、
その交差部分が発光部であり、画素と呼ばれている。各
電極形状は必要に応じて複雑な場合もある。
【0004】通常は、画像駆動電源に容易に接続できる
ように上部電極および下部電極の端トリクス型ともい
う)とされている必要がある。図8はXYマトリクス型
の発光素子の要部破断斜視図である。透明ガラス基板1
上の、下部電極2は平行に分離された短冊状にパターニ
ングされている。下部電極2を被覆して有機薄膜3が形
成されており、その上には短冊状にパターニングされた
上部電極4が設けられている。下部電極の短冊と上部電
極の短冊は互いに直交しており、その交差部分が発光部
であり、画素と呼ばれている。各電極形状は必要に応じ
て複雑な場合もある。
【0005】通常は、画像駆動電源に容易に接続できる
ように上部電極および下部電極の端部は基板の周縁部に
配列される。この様な発光素子に保護部材が取り付けら
れフラットパネルディスプレイ装置が構成される。一般
に下部電極のパターニングは、基板上に下部電極材料を
成膜した後にフォトリソグラフィにより行われる。すな
わち下部電極膜上にフォトレジストを塗布、露光、現像
し、レジストを所望の形状にパターニングした後に、下
部電極材料をエッチングし、レジストを剥離する。
【0006】一方、電荷注入層や発光層に用いられる発
光材料は耐熱性、耐溶剤性、耐湿性が低いため、発光層
上の上部電極をフォトリソグラフィによってパターニン
グすることは極めて困難である。蒸着マスクを用いてパ
ターニングする方法(特開平9-320758号公報)もある
が、マスク部の細い微細なパターンを形成しようとする
と、マスクの強度不足によりマスクが撓み、基板とマス
クの密着不良による蒸着物の回り込みによるパターンぼ
けが生じる等の問題が生じ、精度の良いパターン形成が
出来ない。
【0007】また、エキシマレーザやYAG レーザ等を用
いたレーザ加工も考えられるが(特開平9-50888 号公
報)、上部電極層の下地の発光層の有無により、加工性
の違いによる生産性の悪さや、加工後の上部電極周辺に
はばりが生じ、それが下部電極と短絡する原因になった
り、さらにレーザ光照射部周辺の有機薄膜がレーザ光に
より損傷されるという問題がある。
【0008】この問題を解決する方法として、特開平5-
275172号公報に開示されている、いわゆるシャドウマス
ク法がある。この技術は、ITO パターニング後の基板上
に平行に配置したストライプ状の数〜数十μm の高さの
隔壁ラインを形成し、その基板の隔壁ラインに対して垂
直方向、基板面に対して斜め方向から発光媒体や上部電
極材料を蒸着することにより上部電極および発光層をパ
ターニングする方法である。この方法により確かに陰極
および発光媒体の微細加工を行うことはできるが、蒸着
粒子の基板への入射角を陰極成膜時に一定の範囲内に制
御しないと、上部電極と下部電極が短絡してしまう。ま
た、斜め蒸着により、基板面内でソース側と反対側との
間で膜厚分布が現れ、それが作製された発光素子の発光
輝度の面内分布の原因になるという問題があった。
【0009】また、特開平8-315981号公報に開示の技術
は、基板面に平行な方向に突出するオーバーハング部を
上部に有する電気絶縁性の隔壁、すなわちを逆テーパ断
面を有する隔壁を下部電極ラインに直交するように、基
板および下部電極ライン上にわたって形成し、その後発
光材料、上部電極材料を順次成膜することにより、上部
電極を隔壁のオーバーハング部により分断し、隔壁両側
の上部電極ラインを電気的に絶縁させる方法である。こ
の方法では、下部電極であるITO と上部電極との短絡を
防ぐために、発光層成膜時に発光媒体の蒸気流が隔壁の
オーバーハング部を回り込むような工夫をし、その後の
上部電極成膜時に、金属蒸気が隔壁オーバーハング部を
回り込む程度が、発光媒体の回り込みの程度より小さく
する必要があり、成膜工程が煩雑である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】一般に、成膜法とし
て、生産性があり、大面積基板に均一に蒸着材料を成膜
できる方法として、複数の蒸着源を用いる方法、基板を
回転させる方法、または基板を搬送する方法等が知られ
ている。これらの成膜法を上部電極成膜に用いた場合、
特開平8-315981号公報に開示の上記の技術では、下部電
極と上部電極との短絡、特に上部電極エッヂでの短絡が
問題になる。この問題を解決する方法としては、特開平
8-315981号公報、特開平9-330792号公報に開示されてい
るように、オーバーハング部を有する隔壁の下部に絶縁
膜を配置することが考えられる。
【0011】しかし、シャドウマスク法により上部電極
をパターニングした場合、上部電極のラインエッヂより
大気中の水分等が有機発光層に浸透し、上部電極のライ
ンエッヂに沿って発光暗部、いわゆるダークラインが形
成され、それが進行してしまうという問題が依然残って
いる。ダークラインの進行はフィルファクター(画素中
の発光領域)の低下を招き、発光素子の特性を落とす原
因になる。ダークラインは、いわゆるダークスポットと
呼ばれている発光暗部と同様に、主に大気中の水分、酸
素等によって起こる、発光薄膜の結晶化や凝集、上部電
極と有機薄膜との界面酸化による界面剥離によって現れ
る欠陥で、シャドウマスク法固有の問題である。
【0012】この問題の解決方法として、特開平8-3159
81号公報、特開平9-330792号公報に開示されている、上
部電極成膜後に連続して封止用保護膜を成膜する技術が
考えられるが、隔壁オーバーハング部の内側に良好なス
テップカバレッジで保護膜を成膜することは困難であ
る。実際、CVD 法でSiO2やSi3N4 を成膜する場合には少
なくとも200 ℃程度の基板加熱が必要であり、発光媒体
の耐熱性限界が100 ℃程度であることを考えると、発光
素子作製に適用することは極めて困難である。また、ス
パッタを用いてもプラズマに素子が曝されることによる
ダメージや素子加熱の問題が生じる。仮にスパッタによ
り保護膜を成膜したとしても、ステップカバレッジを良
くするために、成膜ガス圧力を高くして成膜する必要が
あるので、ピンホールが形成されやすくなり、封止用保
護膜としては不十分な膜となってしまい、保護膜形成後
も最終的な封止処理は必要となり、保護膜形成工程を増
やす分、コスト高になってしまう。
【0013】上記の問題点に鑑み、本発明の目的は、上
部電極エッヂからのダークラインの進行によるフィルフ
ァクターの低下が起こらず、生産性の高い発光素子およ
びその製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、基板および、その上に形成された複数の下部電極、
この下部電極を被覆する有機薄膜、および有機薄膜上に
形成された下部電極に直交する複数の上部電極からな
り、下部電極、有機薄膜および上部電極の重なった3層
部分をそれぞれ発光画素とする有機薄膜発光素子におい
て、隣接する前記上部電極の間およびその近傍には、前
記下部電極上を横切って、電気絶縁体からなるストライ
プ状の基板に平行に形成された突起層であり、その頂上
には溝が開けられた分離材が形成されており、有機薄膜
は隣接する分離材間の下部電極および少なくとも分離材
のエッジを被覆し、かつ上部電極は前記溝により分離さ
れ、電気的に絶縁されていることとする。
【0015】前記分離材の外側面のいずれの部分も基板
に垂直で分離材の長手方向を含む平面に対して、分離材
内側に向かって鋭角であり、すなわち基板にオーバーハ
ングしていず、前記溝の開口部付近の内側面の同方向の
傾きは鋭角である、すなわち溝の内側にオーバーハング
していると良い。前記分離材は光反応性樹脂からなると
良い。
【0016】前記分離材はネガティブ型光反応性樹脂お
よびポジティブ型光反応性樹脂、または逆順の積層体で
あると良い。また、基板上に下部電極、有機薄膜および
複数の上部電極が順次形成される有機薄膜発光素子の製
造方法において、前記下部電極が形成された後、上記の
分離材が形成される工程が挿入されると良い。
【0017】前記分離材の形成は、光反応性樹脂の塗
布、光反応性樹脂のパターニング、およびパターンの中
央部への溝開けの工程からなると良い。前記分離材の形
成は、単一の光反応性樹脂を用い、第1のマスクを用い
る分離材の外側面の形成工程、および第2のマスクを用
いる溝開けの工程からなると良い。
【0018】前記分離材の形成は、2種の光反応性樹脂
を用い、第1の光反応性樹脂を第1のマスクによりパタ
ーニングする第1のパターニング工程、第1のパターニ
ングにより形成されたパターンを第2の光反応性樹脂で
被覆し、第2のマスクを用い第2の光反応性樹脂に溝用
の開口を行う第2のパターニング工程、および第2のパ
ターニングにより形成された第2の光反応性樹脂を第3
のマスクとして溝を開ける工程からなると良い。
【0019】本発明によれば、分離材上部の溝の内側に
向かってのオーバーハングにより上部電極材料蒸着時に
上部電極は外側面と溝の底との間で分離される。すなわ
ち隣接する上部電極は溝の開口部を挟んで分離されてい
る。また、分離材外側面は基板側にオーバーハングして
いないので、下部電極は有機薄膜に被覆され、またその
有機薄膜は絶縁体である分離材上に連なるので、その後
で蒸着された上部電極は下部電極と短絡することはな
い。
【0020】また、上記の両オーバーハング状態が形成
されているので、有機材料および上部電極材料の蒸着
は、これらの蒸着粒子流が基板に対してほぼ垂直な通常
の蒸着法でよく、生産性は高い。さらに、上部電極のエ
ッヂは分離材の側面に懸かっているので、その分だけ上
部電極のエッヂから内側に画素が形成されるので、上部
電極エッヂからのダークラインは画素にかからず、パネ
ルのフィルファクターの低下を防ぐことが出来る。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る有機薄膜発光
素子を示す斜視図である。基板1上にITO 等からなるス
トライプ状の下部電極2が平行に配列されている。そし
て電気絶縁性の分離部材Sが下部電極2と直交するよう
に基板1および下部電極2上にわたって形成されてい
る。分離部材Sの上部には溝Saが分離部材Sの伸長方
向に沿って形成されている。分離部材Sに覆われていな
い下部電極2の上に有機薄膜3が形成されている。この
有機薄膜3の上にその伸長方向に沿ってストライプ状の
上部電極4が形成されている。下部電極2と上部電極4
が交差して挟まれた有機薄膜3の部分が発光部となる。
有機薄膜3は単一の発光層、あるいは正孔輸送層および
発光層の2層構造、または正孔輸送層、発光層および電
子輸送層の3層構造の場合がある。
【0022】図2は本発明に係る有機薄膜発光素子の図
1におけるAAを含み基板に垂直な面での断面図であ
る。分離材Sの上部に設けられた溝Saの内壁は分離材
の外側に向かって凸であり、溝の内部からみてオーバー
ハング形状になっている。この分離材Sの外側面はいわ
ゆるテーパ形状となっている。基板1には、石英やガラ
スの板の他に、ポリエステル、ポリメタクリルアクリレ
ート、ポリカーボネート、ポリサルホン等の透明な合成
樹脂板を用いることができる。また、金属板や金属箔、
プラスティックフィルム等も用いることができる。
【0023】本発明に係る有機薄膜発光素子では、基板
側の下部電極2は主としてストライプ状である。下部電
極用の材料としては、前記ITO の他にインジウム亜鉛酸
化物(In2O3+ZnO) または、これら透明導電膜と金属膜と
の積層体でもよい。いずれの場合も有機薄膜にたいして
正孔注入の役割を果たす。上記の例は基板1および下部
電極は透明であり、発光は基板側から取り出される場合
であるが、上部電極を透明電極とし、発光を上部電極側
から取り出すこともできる。この場合は、光の取り出し
効率を高めるために、下部電極を金属とするか、基板の
成膜面の反対側面に反射膜を形成することが好ましい。
【0024】次に有機薄膜発光素子の分離材の製造工程
を説明する。図3は本発明に係る有機薄膜発光素子の分
離部材の長手方向に垂直な断面図を製造工程順に示し、
(a)は溝が形成される前の分離部材の形成後、(b)
は溝形成のための露光工程、(c)は溝形成用マスク形
成後であり(d)は溝が形成された分離部材を示す。ガ
ラス等の透明基板1上に、ITO 等からなる透明電極材料
をスパッタリング等により成膜し、フォトリソグラフィ
によりストライプ状に加工し、下部電極2を形成する。
【0025】分離材は、フォトレジストに用いられるよ
うな光反応性樹脂を利用すると形成しやすい。下部電極
2が形成された基板上に汎用のポジ型フォトレジスト
を、例えばスピンコートにより成膜し、通常のフォトリ
ソグラフィにより所定の形状(ストライプ)にパターニ
ングし、ストイライプ状の分離部材S1を形成する(図
3(a))。次に、基板全面にゴム系ネガ型レジストを
成膜し、フォトマスクMを用い、第1の分離部材S1に
位置合わせして露光を行い(図3(b))、現像を行
い、第1の分離部材S1の側面およびその周縁部に懸か
るネガレジストストイライプからなる第2の分離部材S
2を形成する(図3(c))。この基板の第2の分離部
材S2まで形成された基板を再度露光し、ポジ型フォト
レジスト用現像液を用い、分離部材S2ををマスクとし
て第1の分離部材S1をエッチングし、溝Saを形成す
る(図3(d))。溝Saを有する第1の分離部材S1
と第2の分離部材S2との積層を分離材Sと呼ぶ。
【0026】分離材の断面形状には、分離材の構成部材
と成形方法に従って何種類かが考えられる、図4は本発
明に係る分離材の各種の断面形状を示す図である。上記
のように2種の分離部材からなる場合は、(a)から
(c)に示されるように、単一部材からなる場合は分離
材の外側面は単一の凸曲面が形成され、(d)から
(g)に示されるように、分離材の外側周縁部には2つ
の凸部が形成されることが多い。
【0027】次に、分離材の形状と有機薄膜や上部電極
層の蒸着時の、有機材料や上部電極材料の基板に入射す
る蒸着粒子の方向との関係を説明する。図5は本発明に
係る分離部材と溝の壁面の面方向を示す分離材の長手方
向に垂直な拡大断面図であり、(a)は外側面が単一凸
曲面の場合であり、(b)は外側面が2種の凸面の場合
である。以下、角度は基板面に垂直で分離材の長手方向
を含む面Pに対して計るものとする。分離材のエッジへ
の接平面の角度をθ1としエッジ角ということにする。
また、分離材のエッジを通り分離材の外側面に接する平
面の角度をθ2とする。また、溝Saの開口部の内側へ
の接平面の角度をφとする。また、発光媒体の蒸着時
に、蒸発粒子流の方向の、分離部材長手方向に垂直な平
面への正射影Iの角度をηとする。
【0028】先ず、有機薄膜上に蒸着される上部電極が
下部電極と接触しないためには、下部電極を被覆した有
機薄膜は連続して分離材のエッジを被覆していなければ
ならない。これを満たす条件は、一般的にηは0または
その近傍であるから、分離材は下部電極側に(分離材の
外側に)オーバーハングしていてはならない、すなわち
θ1>0およびθ2>0とする必要がある。
【0029】このようにオーバーハングしていない場合
であっても、単一蒸発源であり基板を動かさず、ηが不
変の場合では、発光層が分離部材間の下部電極を、露出
部を残さずに、被覆するためには、発光材料の蒸発粒子
流(の正射影I)が分離材に遮られないことが必要であ
り、これはη<θm (θm はθ1、θ2の小さいほうの
角度)とすることにとって達せられる。一方蒸発源が複
数あるか、基板が蒸発源に対して運動している場合に
は、材料粒子を分離部材の左右から入射させること(η
は正または負となりうる)ができるので、上部電極材料
成膜領域内では、分離部材による影が出来ず、すなわち
下部電極が露出されないので、特にηとθとの関係を規
定する必要はない。
【0030】上部電極層の蒸着時には、η<φとなるよ
うに上部電極材料蒸着源と基板の位置関係を定めること
により、蒸発粒子は溝の開口部付近には流れ込まず、溝
によって、溝の両側の上部電極は分離され、パターニン
グが可能となる。また、上部電極が分離部材によって遮
られない条件は、発光層の蒸着時と同じ条件であるから
η<θm とすることによって達せられる。 実施例1 先ず、ガラス基板にITO の下部電極を形成した。下部電
極は、膜厚約100nm 、ストライプ幅90μm 、電極間隔20
μm とした。下部電極の上に形成される有機薄膜や上部
電極層に厚さむら等を生じさせないためにの下部電極の
エッヂはオーバ−ハングでないテーパ形状にした。
【0031】下部電極がパターニングされた基板を十分
洗浄し、ポジ型フォトレジスト(Hoechst 製ポジ型フォ
トレジストAZ P4620)を厚さ8 μm にスピンコートし、
温風循環式オーブンでプリベークした。次に、下部電極
パターンと直交するストライプ状のフォトマスク( 線幅
30μm)を用いて露光を行い、その後、現像し線幅30μm
、高さ8 μm のレジストパターンを形成した。
【0032】そのレジストパターン上に、さらにネガ型
レジスト(日本合成ゴム (株) 製ULD-002-1 )を、厚さ
1 μm になるようにスピンコートし、温風循環式オーブ
ンにてプリベークした。次に、下地のポジレジストスト
イライプに対し、線幅20μmのストイライプが10μm 隔
てて2 本形成できるようなフォトマスクを用いて10μm
の間隔がポジレジストストイライプ中央に位置するよう
に露光し、現像を行い、ポジ/ ネガのレジスト積層スト
イライプを形成した。
【0033】次に、このレジスト積層ストイライプを紫
外光(254nm、185nm)に照射し、10μm のネガレジストス
トイライプギャップ部にあるポジレジストストイライプ
の最表面をアッシングした後に、ポジレジスト用現像液
に浸漬し、ポジレジストをエッチングすることにより、
分離材ストイライプを形成した。図6は本発明に係る実
施例の分離材の断面の顕微鏡写真である。図2に示した
通りの、外側面にはオーバーハングがなく、溝の内側に
はオーバーハングのある断面が形成されていることが判
る。
【0034】有機薄膜の蒸着は以下のように行った。ま
ず、N,N'- ジフェニル-N,N'-ビス(3メチルフェニル)-1,
1'- ビフェニル-4,4'-ジアミン(TPD) からなる有機正孔
輸送層と、トリス(8- キノリノール) アルミニウム(Alq
3)からなる発光層をそれぞれ膜厚約50nmで成膜した。有
機薄膜は下部電極および分離材の外側面を被覆してお
り、下部電極の露出部は生じなかった。
【0035】上部電極としては、例えばAl-Li 合金を膜
厚約100nm で成膜した。上部電極は隣接する2つの分離
材の間と外側面を被覆し、溝によって分離されているこ
とを確認できた。この発光素子を発光させたところ、発
光強度は一様であり、フィルファクターは大きかった。
また、温度60℃、相対湿度60%における1カ月放置試験
を行ったところ、ダークラインの成長によるフィルファ
クターの低下は無かった。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、基板および、その上に
形成された複数の下部電極、この下部電極を被覆する有
機薄膜、および有機薄膜上に形成された下部電極に直交
する複数の上部電極からなり、下部電極、有機薄膜およ
び上部電極の重なった3層部分をそれぞれ発光画素とす
る有機薄膜発光素子において、隣接する前記上部電極の
間およびその近傍には、前記下部電極上を横切って、電
気絶縁体からなるストライプ状の基板に平行な突起層で
あり、その頂上には溝が開けられた分離材が形成されて
おり、有機薄膜は隣接する分離材間の下部電極および少
なくとも分離材のエッジを被覆し、かつ上部電極は前記
溝により分離され、電気的に絶縁されているようにした
ため、分離材上部の溝の内側に向かってのオーバーハン
グにより上部電極材料蒸着時に上部電極は外側面と溝の
底との間で分離される。すなわち隣接する上部電極は溝
の開口部を挟んで分離されている。また、分離材外側面
は基板側にオーバーハングしていないので、下部電極は
有機薄膜に被覆され、またその有機薄膜は絶縁体である
分離材上に連なるので、その後で蒸着された上部電極は
下部電極と短絡することはない。
【0037】また、上記の両オーバーハング状態が形成
されているので、有機材料および上部電極材料の蒸着
は、これらの蒸着粒子流が基板に対してほぼ垂直な通常
の蒸着法でよく、歩留り良く発光素子を作製することが
でき、生産性は高い。さらに、上部電極のエッヂは分離
材の側面に懸かっているので、その分だけ上部電極のエ
ッヂから内側に画素が形成されるので、上部電極エッヂ
からのダークラインは画素に懸からず、パネルのフィル
ファクターの低下を防ぐことが出来る。また、上部電極
蒸着後に真空一貫で保護膜を成膜する必要が無く、最終
的な封止処理をすることにより、安定な有機薄膜発光素
子の製造が可能となる。
【0038】また、分離材に光反応性樹脂を用いたの
で、通常のフォトリソラフィを適用して任意の形状の上
部電極のパターンを容易に歩留り良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機薄膜発光素子を示す斜視図で
ある。
【図2】本発明に係る有機薄膜発光素子の図1における
AA断面図である。
【図3】図3は本発明に係る有機薄膜発光素子の分離部
材の長手方向に垂直な断面図を製造工程順に示し、
(a)は溝が形成される前の分離部材の形成後、(b)
は溝形成のための露光工程、(c)は溝形成用マスク形
成後であり(d)は溝が形成された分離部材を示す。
【図4】本発明に係る分離材の各種の断面形状を示す図
である。
【図5】本発明に係る分離部材と溝の壁面の面方向を示
す分離材の長手方向に垂直な拡大断面図であり、(a)
は外側面が単一凸曲面の場合であり、(b)は外側面が
2種の凸面の場合である。
【図6】本発明の有機薄膜発光素子における分離部材の
顕微鏡写真
【図7】従来の基板側に発光する有機発光素子の発光部
の層構成を示す断面図であり、(a)は有機薄膜が2層
構造の場合であり、(b)は有機薄膜が3層構造の場合
である。
【図8】XYマトリクス型の発光素子の要部破断斜視図
である。
【符号の説明】
1 基板 2 下部電極 3 有機薄膜 3a 正孔輸送層 3b 発光層 3c 電子輸送層 4 上部電極 S 分離材 Sa 溝 S1 第1の分離部材 S2 第2の分離部材 M 露光用フォトマスク I 蒸発粒子流の方向の分離部材長手方向に垂直な平
面への正射影
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年6月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】削除

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板および、その上に形成された複数の下
    部電極、この下部電極を被覆する有機薄膜、および有機
    薄膜上に形成された下部電極に直交する複数の上部電極
    からなり、下部電極、有機薄膜および上部電極の重なっ
    た3層部分をそれぞれ発光画素とする有機薄膜発光素子
    において、隣接する前記上部電極の間およびその近傍に
    は、前記下部電極上を横切って、電気絶縁体からなるス
    トライプ状の基板に平行に形成された突起層であり、そ
    の頂上には溝が開けられた分離材が形成されており、有
    機薄膜は隣接する分離材間の下部電極および少なくとも
    分離材のエッジを被覆し、かつ上部電極は前記溝により
    分離され、電気的に絶縁されていることを特徴とする有
    機薄膜発光素子。
  2. 【請求項2】前記分離材の外側面のいずれの部分も基板
    に垂直で分離材の長手方向を含む平面に対して、分離材
    内側に向かって鋭角であり、すなわち基板にオーバーハ
    ングしていず、前記溝の開口部付近の内側面の同方向の
    傾きは鋭角である、すなわち溝の内側にオーバーハング
    していることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜発
    光素子。
  3. 【請求項3】前記分離材は光反応性樹脂からなることを
    特徴とする請求項1または2に記載の有機薄膜発光素
    子。
  4. 【請求項4】前記分離材はネガティブ型光反応性樹脂お
    よびポジティブ型光反応性樹脂、または逆順の積層体で
    あることを特徴とする請求項3に記載の有機薄膜発光素
    子。
  5. 【請求項5】基板上に下部電極、有機薄膜および複数の
    上部電極が順次形成される有機薄膜発光素子の製造方法
    において、前記下部電極が形成された後、請求項1ない
    し4に記載の分離材が形成される工程が挿入されること
    を特徴とする有機薄膜発光素子の製造方法。
  6. 【請求項6】前記分離材の形成は、光反応性樹脂の塗
    布、光反応性樹脂のパターニング、およびパターンの中
    央部への溝開けの工程からなることを特徴とする請求項
    5に記載の有機薄膜発光素子の製造方法。
  7. 【請求項7】前記分離材の形成は、単一の光反応性樹脂
    を用い、第1のマスクを用いる分離材の外側面の形成工
    程、および第2のマスクを用いる溝開けの工程からなる
    ことを特徴とする請求項5に記載の有機薄膜発光素子の
    製造方法。
  8. 【請求項8】前記分離材の形成は、2種の光反応性樹脂
    を用い、第1の光反応性樹脂を第1のマスクによりパタ
    ーニングする第1のパターニング工程、第1のパターニ
    ングにより形成されたパターンを第2の光反応性樹脂で
    被覆し、第2のマスクを用い第2の光反応性樹脂に溝用
    の開口を行う第2のパターニング工程、および第2のパ
    ターニングにより形成された第2の光反応性樹脂を第3
    のマスクとして溝を開ける工程からなることを特徴とす
    る請求項5に記載の有機薄膜発光素子の製造方法。
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