JPH113049A - 発光素子 - Google Patents

発光素子

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JPH113049A
JPH113049A JP9156502A JP15650297A JPH113049A JP H113049 A JPH113049 A JP H113049A JP 9156502 A JP9156502 A JP 9156502A JP 15650297 A JP15650297 A JP 15650297A JP H113049 A JPH113049 A JP H113049A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電気エネルギーの利用効率が高く、耐久性の向
上した高輝度発光素子を提供する。 【解決手段】正極と負極の間に発光を司る物質が存在
し、電気エネルギーにより発光する素子であって、該素
子が下記一般式(I)で表されるイミノジベンジル骨格
をその構造式中に有する化合物を含むことを特徴とする
もので、低電流、低電圧下でも高輝度発光が可能で、高
耐久性の素子を提供することができる。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気エネルギーを
光に変換できる素子であって、表示素子、フラットパネ
ルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標
識、看板、電子写真機、光信号発生器などの分野に利用
可能な発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】負極から注入された電子と正極から注入
された正孔が両極に挟まれた有機蛍光体内で再結合する
際に発光する有機積層薄膜発光素子の研究が近年活発に
行われている。この素子は、薄型、低駆動電圧下での高
輝度発光、蛍光材料を選ぶことによる多色発光が特徴で
ある。
【0003】有機積層薄膜素子が高輝度に発光すること
は、コダック社のC.W.Tangらによって初めて示
された(Appl.Phys.Lett.51(12)
21、p.913、1987)。コダック社の提示した
有機積層薄膜発光素子の代表的な構成は、ITOガラス
基板上に正孔輸送性のジアミン化合物、発光層である8
−ヒドロキシキノリンアルミニウム、そして負極として
Mg:Agを順次設けたものであり、10V程度の駆動
電圧で1000カンデラ/平方メートルの緑色発光が可
能であった。現在の有機積層薄膜発光素子は、上記の素
子構成要素の他に、電子輸送層を設けているものなど構
成を変えているものもあるが、基本的にはコダック社の
構成を踏襲している。
【0004】有機積層薄膜素子におけるキャリア輸送材
料については、対電力発光効率向上には高キャリア輸送
能力が必要であり、励起子の発光層への閉じ込めとキャ
リア注入効率向上に関しては、適切な電子準位材料の選
択が有効である。さらに電気エネルギーを効率的に光に
変換するために、発光層との界面でエキサイプレックス
を形成しないことも重要であることが示されている。膜
厚や膜形成能なども実際の素子作製において大切な要件
となる。キャリア輸送材料には電子輸送材料と正孔輸送
材料が含まれる。
【0005】電子輸送材料については、具体的にオキサ
ジアゾール誘導体や8−ヒドロキシキノリンアルミニウ
ムなどが知られている。
【0006】一方、正孔輸送材料については、ヒドラゾ
ン系化合物(特開昭57−101844号公報、特開昭
58−15936号公報)、スチルベン系化合物(特開
昭57−148750号公報、特開昭58−19704
3号公報)、トリフェニルアミン系化合物(特公昭58
−32372号公報、特開平5−198377号公報、
特開平4−308688号公報)、オキサジアゾール誘
導体(特公昭34−10966号公報)やフタロシアニ
ン誘導体(特開昭57−51781号公報)等が知られ
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来よ
り、有機積層薄膜発光素子においては、高キャリア輸送
能を有し、成膜性が良く、発光時における熱的安定性や
電気化学的安定性を兼ね備えた材料が望まれていた。し
かし、従来の材料ではキャリア輸送能は充分とは言え
ず、耐熱性が低く、結晶化による界面の乱れが生じるな
ど、抱える問題は依然として多かった。
【0008】本発明は、かかる問題を解決し、低電圧下
でも高輝度発光が可能で、高耐久性の素子を提供するこ
とを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、正極と負極の間に発光を司る物質が存在
し、電気エネルギーにより発光する素子であって、前記
素子が下記一般式(I)で表されるイミノジベンジル骨
格を有する化合物を含むことを特徴とする発光素子とす
るものである。
【0010】
【化7】
【0011】
【発明の実施の形態】本発明における正極は、光を取り
出すために透明であれば、酸化錫、酸化インジウム、酸
化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物、あ
るいは、金、銀、クロムなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅
などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロー
ル、ポリアニリンなどの導電性ポリマなど特に限定され
るものでないが、ITOガラスやネサガラスを用いるこ
とが特に望ましい。透明電極の抵抗は素子の発光に十分
な電流が供給できればよいので限定されないが、素子の
消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例
えば300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極と
して機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給
も可能になっていることから、20Ω/□以下の低抵抗
の基板を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは
抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常100
〜300nmの間で用いられることが多い。また、ガラ
ス基板はソーダライムガラス、無アルカリガラスなどが
用いられ、また厚みも機械的強度を保つのに十分な厚み
があればよいので、0.7mm以上あれば十分である。
ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少
ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、
SiO2などのバリアコートを施したソーダライムガラ
スも市販されているのでこれを使用できる。ITO膜形
成方法は、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、化学
反応法など特に制限を受けるものではない。
【0012】本発明における負極は、電子を効率よく発
光を司る物質または発光を司る物質に隣接する物質(例
えば電子輸送層)注入できる物質であれば特に限定され
ない。一般的には白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニ
ウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、
カルシウム、マグネシウムなどがあげられる。電子注入
効率を上げて素子特性を向上させるためには、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム
またはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。
しかし、これら低仕事関数金属は一般に大気中で不安定
であることが多く、電極保護のために白金、金、銀、
銅、鉄、錫、アルミニウム、インジウムなどの金属、ま
たはこれらの金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニ
アなどの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニルな
どのポリマを積層することが好ましい。これらの電極の
作製法も、抵抗加熱法蒸着、電子ビーム蒸着法、スパッ
タリング法、イオンプレーティング法、コーティング法
など導通を取ることができれば、特に制限されない。
【0013】本発明における発光を司る物質の構成は、
1)正孔輸送材料/発光材料、2)正孔輸送材料/発光
材料/電子輸送材料、3)発光材料/電子輸送材料、そ
して、4)以上の組合わせ物質を一層に混合した形態、
のいずれであってもよい。即ち、上記1)〜3)の多層
積層構造の他に,4)のように発光材料単独または発光
材料と正孔輸送材料および/または電子輸送材料を含む
層を一層設けるだけでもよい。
【0014】本発明における発光を司る物質は下記一般
式(I)で表されるイミノジベンジル骨格を有する化合
物を含有する。該イミノジベンジル骨格を有する化合物
は、特に、正孔輸送性材料として好適に用いられる。
【0015】
【化8】 該イミノジベンジル骨格を有する化合物としては、例え
ば、下記一般式(II)で表される化合物である。
【0016】
【化9】 (ここでR1〜R13はそれぞれ同一であっても異なっ
ていてもよく水素原子、アルキル基、アラルキル基、ア
リール基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、ア
ミノ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル
基、アルコキシ基およびアリールエーテル基から選ばれ
る少なくとも1種類の置換基を表わす。) 本発明で使用する上記一般式(II)で表わされる化合
物において、R1〜R13の説明の内、アルキル基とは
例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など
の飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも、ア
ミノ基やヒドロキシル基またはアルコキシ基などで置換
されていてもかまわない。アルキル基は分子のアモルフ
ァス性を向上させるが、正孔輸送に直接は関与しないの
で、分子の中に占める割合があまり大きくない方がよ
く、C1〜C4程度が好ましい。また、アリール基とは
例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナ
ントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族
炭化水素基を示すが、これは無置換でも、アルキル基、
アミノ基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基などで置
換されていてもかまわない。アリール基の中では共役が
強いものが望ましいので、フェニル基、ナフチル基、フ
ェナントリル基、ピレニル基などが好ましい。また、ア
ラルキル基とは例えばベンジル基、フェニルエチル基な
どの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、
脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換で
も、アルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基またはアル
コキシ基などで置換されていてもかまわない。アラルキ
ル基の内の脂肪族炭化水素部分は正孔輸送に直接は関与
しないのであまり大きくない方がよく、C1〜C2程度
が好ましい。アラルキル基の内の芳香族炭化水素基は共
役が強いものが望ましいので、フェニル基、ナフチル
基、フェナントリル基、ピレニル基などが好ましい。ま
た、シクロアルキル基とは例えばシクロプロピル、シク
ロペンチル、シクロヘキシルなどの飽和脂環式炭化水素
基を示し、これは無置換でも、アルキル基、アリール
基、アミノ基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基など
で置換されていてもかまわない。シクロアルキル基は分
子のアモルファス性を向上させるが、正孔輸送に直接は
関与しないので、分子の中に占める割合があまり大きく
ない方がよく、分子の安定性からもシクロヘキシルが好
ましい。フルオロアルキル基とはフッ素で一部および/
または全部が置換された脂肪族炭化水素基を示す。アミ
ノ基には脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化
水素などで置換されたものも含み、さらに脂肪族炭化水
素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素はそれぞれ無置換
でも、アルキル基、アリール基、アミノ基、ヒドロキシ
ル基またはアルコキシ基などで置換されていてもかまわ
ない。アルコキシ基とはエーテル結合を介した脂肪族炭
化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも、アリ
ール基、アミノ基やヒドロキシル基またはアルコキシ基
などで置換されていてもかまわない。アリールエーテル
基とはエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、
芳香族炭化水素基は無置換でも、アルキル基、アミノ基
やヒドロキシル基またはアルコキシ基などで置換されて
いてもかまわない。
【0017】本発明で使用する上記式(II)で表わさ
れる化合物を各種蒸着法などで用いる場合、分子量が小
さすぎると揮発してしまう。そこで、イミノジベンジル
骨格が化合物中に占める割合を損ねることなく、分子量
を増大させることが望ましい。そこで、下記一般式(I
II)で示される化合物が好ましい。
【0018】
【化10】 (ここでnは2以上の自然数を表し、R1〜R13はそ
れぞれ同一であっても異なっていてもよく水素原子、ア
ルキル基、アラルキル基、アリール基、シクロアルキル
基、フルオロアルキル基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ
基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基およびア
リールエーテル基から選ばれる少なくとも1種類の置換
基を表わす。) 本発明で使用する上記一般式(III)で表わされる化
合物において、nの説明の内、各種蒸着法などで用いる
場合、分子量が大きすぎると昇華せずに分解してしまう
ことがあるので、分子量は1000程度を越えないこと
が望まれ、nは5以内であることが好ましく、3以内で
あることがより好ましい。しかし、コーティング法など
で製膜する場合はこの限りではない。R1〜R11の説
明は前記一般式(I)で表わされる化合物の場合と同様
であるが、Rの置換基の中では、拡がった共役系が正孔
輸送に有利なので、アリール基などの共役基が望まし
く、N原子が正孔輸送に中心的な役割を持ち、その共役
を伸ばす意味からR9を置換するのが好ましい。アリー
ル基としてはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、
フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などが
あげられるが、置換基の導入が容易なフェニル基が簡便
に用いることができる。
【0019】以上から、具体的には下記一般式(IV)
で示される化合物がさらに好ましい。
【化11】 (ここでR1〜R34はそれぞれ同一であっても異なっ
ていてもよく水素原子、アルキル基、アラルキル基、ア
リール基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、ア
ミノ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル
基、アルコキシ基およびアリールエーテル基から選ばれ
る少なくとも1種類の置換基を表わす。) 本発明で使用する上記一般式(IV)で表わされる化合
物において、R1〜R34の説明は、前記一般式(I
I)で表わされる化合物の場合と同様であるが、Rの置
換基の中では、対称性を崩してアモルファス性を高め、
結晶化を起こしにくくするためにメチル基やエチル基が
好ましく、また、正孔輸送材料のカチオンラジカル の
安定性が正孔輸送に寄与するので、メトキシ基やジメチ
ルアミノ基などの電子供与性基も好ましい。
【0020】イミノジベンジル骨格が化合物中に占める
割合を損ねることなく、分子量を増大させる方法とし
て、イミノジベンジル骨格を9位で連結することもでき
る。具体的には下記一般式(V)で示される化合物も好
ましい。
【0021】
【化12】 (ここでXは単結合、アルキル鎖、アルキレン鎖、シク
ロアルキル鎖、アリール鎖、アラルキル鎖、アルキルエ
ーテル鎖、あるいはアリールエーテル鎖を表す。R1〜
R46はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく水
素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シク
ロアルキル基、フルオロアルキル基、アミノ基、ハロゲ
ン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ
基およびアリールエーテル基から選ばれる少なくとも1
種類の置換基を表わす。) 本発明で使用する上記一般式(V)で表わされる化合物
において、R1〜R46の説明は前記一般式(II)で
表わされる化合物の場合と同様であるが、Xの説明の
内、アルキル鎖とは脂肪族炭化水素鎖を示し、脂肪族炭
化水素鎖は無置換でも、アリール基、アミノ基やヒドロ
キシル基またはアルコキシ基などで置換されていてもか
まわない。アルキル鎖は正孔輸送に直接は関与しないの
であまり大きくない方がよく、C1〜C3程度が好まし
い。また、アルキレン鎖とは不飽和脂肪族炭化水素鎖を
示し、不飽和脂肪族炭化水素鎖は無置換でも、アルキル
基、アリール基、アミノ基やヒドロキシル基またはアル
コキシ基などで置換されていてもかまわないが、共役で
あることが望ましい。また、シクロアルキル鎖とは環状
炭化水素鎖を示し、環状炭化水素鎖は無置換でも、アル
キル基、アリール基、アミノ基やヒドロキシル基または
アルコキシ基などで置換されていてもかまわない。ま
た、アリール鎖とはフェニル鎖、ビフェニル鎖、ナフチ
ル鎖、ターフェニル鎖などの芳香族炭化水素鎖を示し、
芳香族炭化水素鎖は無置換でも、アルキル基、アリール
基、アミノ基やヒドロキシル基またはアルコキシ基など
で置換されていてもかまわない。アラルキル鎖とは脂肪
族炭化水素鎖を介した芳香族炭化水素鎖を示し、脂肪族
炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも、アル
キル基、アミノ基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基
などで置換されていてもかまわない。アルキルエーテル
鎖とはエーテル結合を介した脂肪族炭化水素鎖を示し、
脂肪族炭化水素鎖は無置換でも、アリール基、アミノ基
やヒドロキシル基またはアルコキシ基などで置換されて
いてもかまわない。アリールエーテル鎖とはエーテル結
合を介した芳香族炭化水素鎖を示し、芳香族炭化水素鎖
は無置換でも、アルキル基、アミノ基やヒドロキシル基
またはアルコキシ基などで置換されていてもかまわな
い。Yの置換基の中では、イミノジベンジル環同士を連
結する役割を持つので、Yはアルキレン鎖やアリール鎖
などの共役鎖が望ましく、中でもアリール鎖がより望ま
しい。また、アリール鎖としてはフェニル鎖、ビフェニ
ル鎖、ナフチル鎖、ターフェニル鎖などがあげられる
が、イミノジベンジル環同士の距離は空きすぎない方が
よく、ビフェニル鎖が最も好ましい。
【0022】以上から、具体的には下記一般式(VI)
で示される化合物がさらに好ましい。
【化13】 (ここでR1〜R54はそれぞれ同一であっても異なっ
ていてもよく水素原子、アルキル基、アラルキル基、ア
リール基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、ア
ミノ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル
基、アルコキシ基およびアリールエーテル基から選ばれ
る少なくとも1種類の置換基を表わす。) 本発明で使用する上記一般式(VI)で表わされる化合
物において、R1〜R54の説明は、前記一般式(I
I)で表わされる化合物の場合と同様であるが、Rの置
換基の中では、対称性を崩してアモルファス性を高め、
結晶化を起こしにくくするためにメチル基やエチル基が
好ましく、また、正孔輸送材料のカルボカチオンの安定
性が正孔輸送に寄与するので、メトキシ基やジメチルア
ミノ基などの電子供与性基も好ましい。
【0023】以下に本発明における正孔輸送材料の代表
的な構造式を示すが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【0024】本発明におけるイミノジベンジル骨格を有
する化合物は、イミノジベンジルまたはイミノジベンジ
ル誘導体からUllman反応の応用により各種置換基
を導入し、塩化鉄などを用いて、酸化重合で合成するこ
とができる。酸化重合の条件を調節すれば、種々の分子
量の化合物を得ることができる。また、酸化重合の後に
イミノジベンジルまたはイミノジベンジル誘導体を修飾
すると、酸化重合の際の副生成物を抑えることができ
る。また、イミノジベンジルまたはイミノジベンジル誘
導体をUllman反応を用いて連結することもでき
る。
【0025】本化合物は正孔輸送材料として用いた場
合、単独でも用いられるが、誘導体を組み合わせて用い
ると、結晶化を起こしにくい。また、他の正孔輸送材料
である、N、N´−ジフェニル−N、N´−ジ(3−メ
チルフェニル)−4、4´−ジアミンなどのトリフェニ
ルアミン類、N−イソプロピルカルバゾ−ルなどの3級
アミン類、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒ
ドラゾン系化合物、オキサジアゾール誘導体やフタロシ
アニン誘導体に代表される複素環化合物、C60などと
共に用いても同様の効果が得られる。
【0026】本発明における発光材料としては、特に限
定されるものではないが、主に以前から発光体として知
られていたアントラセンやピレン、そして前述の8−ヒ
ドロキシキノリンアルミニウムの他にも、例えば、ビス
スチリルアントラセン誘導体、テトラフェニルブタジエ
ン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、
ジスチリルベンゼン誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペ
リノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサジア
ゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ポリマー
系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェ
ニレン誘導体、そして、ポリチオフェン誘導体などが使
用できる。また発光材料に添加するドーパントとして
は、前述のルブレン、キナクリドン誘導体、フェノキサ
ゾン660、DCM1、ペリノン、ペリレン、クマリン
540などがそのまま使用できる。
【0027】本発明における電子輸送性材料としては、
電界を与えられた電極間において負極からの電子を効率
良く輸送することが必要で、電子注入効率が高く、注入
された電子を効率良く輸送することが望ましい。そのた
めには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大き
く、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造
時および使用時に発生しにくい物質であることが要求さ
れる。このような条件を満たす物質として、オキサジア
ゾール誘導体や8−ヒドロキシキノリンアルミニウムな
どがあるが特に限定されるものではない。
【0028】以上の正孔輸送層、発光層、電子輸送層に
用いられる材料は単独で各層を形成することができる
が、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカ−ボネ
−ト、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾ−
ル)、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリブチルメタクリ
レート、ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェニレ
ンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン
樹脂、フェノキシ樹脂、ポリサルフォン、ポリアミド、
エチルセルロ−ス、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレ
タン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノ−ル樹脂、キ
シレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、
シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用い
ることも可能である。
【0029】本発明における発光を司る物質の形成方法
は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング
法、分子積層法、コーティング法など特に限定されるも
のではないが、通常は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着
が特性面で好ましい。層の厚みは発光を司る物質の抵抗
値にもよるので限定できないが、経験的には10〜10
00nmの間から選ばれる。
【0030】本発明における電気エネルギーとは主に直
流電流を指すが、パルス電流や交流電流を用いることも
可能である。電流値および電圧値は特に制限はないが、
素子の消費電力、寿命を考慮すると、できるだけ低いエ
ネルギーで最大の輝度が得られるようにするべきであ
る。
【0031】本発明の発光素子はマトリクスおよび/ま
たはセグメント方式によって表示するディスプレイを構
成することが好ましい。
【0032】本発明におけるマトリクスは、表示のため
の画素が格子状に配置されたものをいい、画素の集合で
文字や画像を表示する。画素の形状、サイズは用途によ
って決まる。例えばパソコン、モニター、テレビの画像
および文字表示には、通常、一辺が300 μm以下の四角
形の画素が用いられるし、表示パネルのような大型ディ
スプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いる
ことになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配
列すればよいが、カラー表示の場合には赤、緑、青の画
素を並べて表示させる。この場合典型的にはデルタタイ
プとストライプタイプがある。尚本発明における発光素
子は、赤、緑、青色発光が可能であるので、前記表示方
法を用いれば、マルチカラーまたはフルカラー表示もで
きる。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線
順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよ
い。線順次駆動の方が構造が簡単という利点があるが、
動作特性を考慮するとアクティブマトリックスの方が優
れる場合があるので、これも用途により使い分けること
が必要である。
【0033】本発明におけるセグメントタイプは、予め
決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決
められた領域を発光させる。例えば、デジタル時計や温
度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調
理器などの動作状態表示、自動車のパネル表示などがあ
げられる。そして、前記マトリクス表示とセグメント表
示は同じパネルの中に共存していてもよい。
【0034】本発明の発光素子はバックライトとしても
好ましく用いられる。本発明におけるバックライトは、
主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に
使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動
車パネル、表示板、標識などに使用される。特に液晶表
示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途
のバックライトとしては、従来方式のものが蛍光灯や導
光板からなっているため薄型化が困難であることを考え
ると、本発明におけるバックライトは薄型、軽量が特徴
になる。
【0035】
【実施例】以下、実施例および比較例をあげて本発明を
説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるも
のではない。
【0036】実施例1 ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板
(旭硝子社製、15Ω/□、電子ビーム蒸着品)を30
×40mmに切断、エッチングを行った。得られた基板
をアセトン、セミコクリン56で各々15分間超音波洗
浄してから、超純水で洗浄した。続いてイソプロピルア
ルコールで15分間超音波洗浄してから熱メタノールに
15分間浸漬させて乾燥させた。この基板を素子を作製
する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内
に設置して、装置内の真空度が5×10-4Pa以下にな
るまで排気した。抵抗加熱法によって、まず下記化合物
(HTL1)を150nm蒸着し、8−ヒドロキシキノ
リンアルミニウムを100nmの厚さに蒸着した。次に
マグネシウムを50nm、アルミニウムを150nm蒸
着して5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚
は表面粗さ計での測定値で補正した水晶発振式膜厚モニ
ター表示値である。この発光素子の発光開始電圧は4.
4Vで、最高輝度は17000カンデラ/平方メートル
であった。HTL1のガラス転移温度は97℃であり、
本素子を真空セル内で1mAパルス駆動(Duty比1
/60、パルス時の電流値60mA)させたところ、初
期輝度の70%の輝度を保持しながら1000時間以上
連続発光が可能であった。
【0037】
【化20】
【0038】実施例2 下記化合物を用いた以外は実施例1と全く同様にして作
製した素子の発光開始電圧は4.6Vで、最高輝度は2
2000カンデラ/平方メートルであった。HTL2の
ガラス転移温度は85℃であり、初期輝度の70%の輝
度を保持しながら1000時間以上連続発光が可能であ
った。
【0039】
【化21】
【0040】実施例3 ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板
(旭硝子社製、15Ω/□、電子ビーム蒸着品)を30
×40mmに切断、フォトリソグラフィ法によって30
0μmピッチ(残り幅270μm)×32本のストライプ
状にパターン加工した。ITOストライプの長辺方向片
側は外部との電気的接続を容易にするために1.27m
mピッチ(開口部幅800μm)まで広げてある。得ら
れた基板をアセトン、セミコクリン56で各々15分間
超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。続いてイソプ
ロピルアルコールで15分間超音波洗浄してから熱メタ
ノールに15分間浸漬させて乾燥させた。この基板を素
子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸
着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10-4Pa
以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず下
記化合物(HTL1)を150nm蒸着し、8−ヒドロ
キシキノリンアルミニウムを100nmの厚さに蒸着し
た。ここで言う膜厚は表面粗さ計での測定値で補正した
水晶発振式膜厚モニター表示値である。次に厚さ50μ
mのコバール板にウエットエッチングによって16本の
250μmの開口部(残り幅50μm、300μmピッチ
に相当)を設けたマスクを、真空中でITOストライプ
に直交するようにマスク交換し、マスクとITO基板が
密着するように裏面から磁石で固定した。そしてマグネ
シウムを50nm、アルミニウムを150nm蒸着して
32×16ドットマトリクス素子を作製した。本素子を
マトリクス駆動させたところ、クロストークもなく綺麗
に文字表示できた。
【0041】比較例1 トリフェニルジアミン化合物(TPD)を用いた以外は
実施例1と全く同様にして得られた素子の発光開始電圧
は5.2Vで、最高輝度は12000カンデラ/平方メ
ートルであった。TPDのガラス転移温度は69℃であ
り、200時間で非発光部が大きくなり輝度は半減し
た。1000時間後の輝度保持率は40%以下であっ
た。
【0042】
【発明の効果】本発明は、電気エネルギーの利用効率が
高く低電圧でも発光可能で、耐久性の向上した高輝度発
光素子を提供できるものである。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正極と負極の間に発光を司る物質が存在
    し、電気エネルギーにより発光する素子であって、該素
    子が下記一般式(I)で表されるイミノジベンジル骨格
    を有する化合物を含むことを特徴とする発光素子。 【化1】
  2. 【請求項2】イミノジベンジル骨格を有する化合物が下
    記一般式(II)で表されることを特徴とする請求項1
    記載の発光素子。 【化2】 (ここでR1〜R13はそれぞれ同一であっても異なっ
    ていてもよく水素原子、アルキル基、アラルキル基、ア
    リール基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、ア
    ミノ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル
    基、アルコキシ基およびアリールエーテル基から選ばれ
    る少なくとも1種類の置換基を表わす。)
  3. 【請求項3】イミノジベンジル骨格を有する化合物が下
    記一般式(III)で表されることを特徴とする請求項
    1記載の発光素子。 【化3】 (ここでnは2以上の自然数を表し、R1〜R13はそ
    れぞれ同一であっても異なっていてもよく水素原子、ア
    ルキル基、アラルキル基、アリール基、シクロアルキル
    基、フルオロアルキル基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ
    基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基およびア
    リールエーテル基から選ばれる少なくとも1種類の置換
    基を表わす)
  4. 【請求項4】イミノジベンジル骨格を有する化合物が下
    記一般式(IV)で表されることを特徴とする請求項1
    記載の発光素子。 【化4】 (ここでR1〜R34はそれぞれ同一であっても異なっ
    ていてもよく水素原子、アルキル基、アラルキル基、ア
    リール基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、ア
    ミノ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル
    基、アルコキシ基およびアリールエーテル基から選ばれ
    る少なくとも1種類の置換基を表わす。)
  5. 【請求項5】イミノジベンジル骨格を有する化合物が下
    記一般式(V)で表されることを特徴とする請求項1記
    載の発光素子。 【化5】 (ここでXは単結合、アルキル鎖、アルキレン鎖、シク
    ロアルキル鎖、アリール鎖、アラルキル鎖、アルキルエ
    ーテル鎖、あるいはアリールエーテル鎖を表す。R1〜
    R46はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく水
    素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シク
    ロアルキル基、フルオロアルキル基、アミノ基、ハロゲ
    ン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ
    基およびアリールエーテル基から選ばれる少なくとも1
    種類の置換基を表わす。)
  6. 【請求項6】イミノジベンジル骨格を有する化合物が下
    記一般式(VI)で表されることを特徴とする請求項1
    記載の発光素子。 【化6】 (ここでR1〜R54はそれぞれ同一であっても異なっ
    ていてもよく水素原子、アルキル基、アラルキル基、ア
    リール基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、ア
    ミノ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル
    基、アルコキシ基およびアリールエーテル基から選ばれ
    る少なくとも1種類の置換基を表わす。)
  7. 【請求項7】イミノジベンジル骨格を有する化合物が正
    孔輸送材料であることを特徴とする請求項1記載の発光
    素子。
  8. 【請求項8】発光素子が少くとも正極、正孔輸送材料、
    発光材料および負極から構成されることを特徴とする請
    求項1記載の発光素子。
  9. 【請求項9】発光素子の正極、正孔輸送材料、発光材料
    および負極が積層構造をとることを特徴とする請求項8
    記載の発光素子。
  10. 【請求項10】発光素子が少くとも正極、正孔輸送材
    料、発光材料、電子輸送材料および負極から構成される
    ことを特徴とする請求項1記載の発光素子。
  11. 【請求項11】発光素子の正極、正孔輸送材料、発光材
    料、電子輸送材料および負極が積層構造をとることを特
    徴とする請求項10記載の発光素子。
  12. 【請求項12】発光素子がマトリクスおよび/またはセ
    グメント方式によって表示するディスプレイを構成する
    ことを特徴とする請求項1記載の発光素子。
  13. 【請求項13】発光素子がバックライトであることを特
    徴とする請求項1記載の発光素子。
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