JPH11302467A - ポリプロピレン系樹脂表皮材 - Google Patents
ポリプロピレン系樹脂表皮材Info
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- JPH11302467A JPH11302467A JP11490898A JP11490898A JPH11302467A JP H11302467 A JPH11302467 A JP H11302467A JP 11490898 A JP11490898 A JP 11490898A JP 11490898 A JP11490898 A JP 11490898A JP H11302467 A JPH11302467 A JP H11302467A
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Abstract
バランスに優れ、表面平滑性が小さく、高級感が付与さ
れたポリプロピレン系樹脂表皮材を提供する。 【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂60〜99重量%
と下記(a)〜(d)の要件を満足するエチレン・1−
ヘキセン共重合体1〜40重量%からなるポリプロピレ
ン系樹脂表皮材。 (a)密度が0.880〜0.910g/cm3 (b)メルトフローレートが0.001〜8g/10分 (c)(Mw/Mn)が3以下 (d)Tm(℃)<138−1.5×(SCB)の関係
を満たす
Description
向上し、剛性と耐衝撃性のバランスが良好で、さらに、
成形体表面の平滑性が小さく、部品としての高級感が付
与できる自動車内装部品などに好適なポリプロピレン系
樹脂表皮材に関するものである。
が高く、成形性も良好で、しかも低価格であることか
ら、自動車の内外装部品、例えば、バンパー、モール、
フロントグリル、インパネ、電気機器外装部品、文具、
日用品、容器、フィルムなどの用途に、近年、その使用
が大幅に拡大している。しかし、このような特徴を有す
るポリプロピレン系樹脂においても用途や使用される環
境によっては、その耐衝撃性が不十分である場合があ
り、使用が制限されるケースもある。加えて、近年の地
球環境問題への対応とも相まって、ポリプロピレン系樹
脂においても製品の薄肉化への要求が強まっており、従
来以上の剛性と耐衝撃性のバランスを有する材料の開発
が望まれている。
その成形体、例えば射出成形体などは、一般にその表面
が平滑になる。この表面平滑性はポリプロピレン系樹脂
の特徴の一つで、この特徴を利用した用途も多い。しか
し、この表面平滑性は、用途によっては好ましくない場
合がある。それは、成形体表面が平滑であると、部品の
高級感を著しく損なってしまうからである。ポリプロピ
レン系樹脂は自動車部品向けに多く使用されているが、
自動車のような高価格製品にとっては、部品の高級感の
欠如は決定的な問題となる。
系樹脂の耐衝撃性を向上させるには、従来は、ポリプロ
ピレン系樹脂に超低密度、例えば密度0.88〜0.8
6g/cm3のエチレン・プロピレン共重合ゴム(EP
R)、エチレン・1−ブテン共重合ゴム(EBR)、エ
チレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)な
どのゴム状弾性物質をブレンドすることが行われてい
た。
来からあるゴム状弾性物質の場合には、それらをポリプ
ロピレン系樹脂にブレンドしても、剛性と耐衝撃性のバ
ランスに関する高度な要求を満足することには限界があ
った。また、このような超低密度のゴム状弾性物質で
は、ポリプリピレン系樹脂の表面平滑性を小さくするこ
とも不可能であった。本発明は、この様な状況に鑑み、
ポリプロピレン系樹脂の長所である剛性を高度に保持し
ながら、耐衝撃性を向上させ、剛性と耐衝撃性のバラン
スに優れ、加えて表面平滑性が小さく、表面に高級感が
付与されたポリプロピレン系樹脂表皮材を提供すること
にある。
を解決するために鋭意検討を行った結果、ポリプロピレ
ン系樹脂に、ある特定の要件を満足するエチレン・1−
ヘキセン共重合体を特定の割合で配合して得られるポリ
プロピレン系樹脂表皮材が、上記の目的を達成できると
いう知見を得て、本発明を完成するに至った。
0〜99重量%および下記(a)〜(d)の要件を満足
するエチレン・1−ヘキセン共重合体1〜40重量%か
らなるポリプロピレン系樹脂表皮材である。
ままの状態で23℃の雰囲気下で40℃以下の温度まで
放冷したものの密度が0.880〜0.910g/cm
3 (b)190℃,2160gの荷重下で測定したメルト
フローレート(MFR)が0.001〜8g/10分 (c)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の
比(Mw/Mn)が3以下 (d)示差走査型熱量計(DSC)により、200℃で
5分間保持し、その後10℃/分で30℃まで降温し、
その後さらに10℃/分で昇温させた時に得られる吸熱
曲線において、最も高温に位置するピークのピーク温度
(Tm(℃))と13C−NMRの測定から求められる骨
格炭素数1000個当りの短鎖分岐数(SCB)とが
(1)式で示される関係を満たす Tm(℃)<138−1.5×(SCB) (1) 以下に、本発明を詳細に説明する。
成するポリプロピレン樹脂は、プロピレンの単独重合
体、プロピレンと少量のα−オレフィンとのランダムま
たはブロック共重合のいずれでもよい。そして、剛性と
耐衝撃性のバランスが良好なポリプロピレン系樹脂表皮
材が得られることから、ブロック共重合体であることが
好ましい。
系樹脂の製造方法については、特に限定されない。一般
的には、いわゆるチタン含有固体状遷移金属成分と有機
金属成分とを組み合わせたチーグラー・ナッタ触媒、特
に、遷移金属成分がチタン、マグネシウムおよびハロゲ
ンを必須成分とし、有機金属成分が有機アルミニウム化
合物である触媒を用いて、スラリー重合、気相重合、バ
ルク重合、溶液重合など、またはこれらを組み合わせた
重合法で製造される。プロピレン単独重合体の場合は、
上記の重合法で、1段または多段で、プロピレンを単独
重合することによって得られ、プロピレンと少量のα−
オレフィンとの共重合によって得られるランダムまたは
ブロック共重合体は、プロピレンと炭素数2または4〜
12のα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ペン
テン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−
ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1
−ウンデセン、1−ドデセンなどを用いて製造される。
好ましくは炭素数2のエチレンとを1段または多段で共
重合させることによって得られる。この中で、ポリプロ
ピレン系樹脂がランダム共重合体の場合、該共重合体中
のα−オレフィンの割合は、高剛性と耐衝撃性の高度な
バランスに優れたポリプロピレン系樹脂表皮材が得られ
ることから10重量%以下が好ましく、特に7重量%以
下が好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂がブロック
共重合体の場合は、剛性の高いポリプロピレン系樹脂を
用いることにより高剛性と耐衝撃性の高度なバランスに
優れたポリプロピレン系樹脂表皮材が得られることか
ら、該共重合体中のα−オレフィンの割合は一般に40
重量%以下、好ましくは25重量%以下、特に20重量
%以下が好ましい。
2種以上を併用しても構わない。
ン系樹脂としてプロピレン・α−オレフィンブロック共
重合体を用いた場合、後述する特定の要件を満足するエ
チレン・1−ヘキセン共重合体とからなるポリプロピレ
ン系樹脂表皮材は、特に剛性と耐衝撃性のバランスに優
れたものとなる。
のMFRに関しては、特に限定されない。ただし、得ら
れるポリプロピレン系樹脂表皮材が成形加工性、耐衝撃
性に優れることから、230℃,2160gの荷重下で
測定したMFRが0.5〜200g/10分の範囲にあ
るものが好ましい。
いて用いられるエチレン・1−ヘキセン共重合体は、上
記(a)〜(d)の要件を満足するエチレン・1−ヘキ
セン共重合体である。
脂にブレンドされるものは、エチレンと炭素数6のα−
オレフィン、すなわち1−ヘキセンとの共重合体に限定
される。エチレン・α−オレフィン共重合体としては、
このエチレン・1−ヘキセン共重合体以外に、エチレン
と炭素数が6より少ないα−オレフィン、例えば、炭素
数3のプロピレン、炭素数4の1−ブテンなどよりなる
エチレン・α−オレフィン共重合体もあるが、これらを
ポリプロピレン系樹脂に配合した場合の耐衝撃性改良効
果は、エチレン・1−ヘキセン共重合体を配合したもの
より低くくなる。一方、エチレンとα−オレフィンの共
重合体には炭素数が6より多いα−オレフィン、例え
ば、エチレンと炭素数8の1−オクテンとの共重合体も
あるが、エチレン・1−オクテン共重合体の場合は、エ
チレン・1−ヘキセン共重合体を配合した場合に比べ
て、ポリプロピレン系樹脂表皮材の低グロス化効果が小
さい。また、エチレンと炭素数がさらに多いα−オレフ
ィンとの共重合体もあるが、これらの共重合体はエチレ
ンとα−オレフィンの共重合性が低下し、耐衝撃性改良
効果をもたらす上で重要な低密度の共重合体が得られに
くいとともに、α−オレフィンの価格も高価になり、経
済性の面でも好ましくない。したがって、耐衝撃性改良
効果ならびに低グロス化を達成させるためには、エチレ
ン・1−ヘキセン共重合体が特に好ましい。
・1−ヘキセン共重合体は、100℃の熱水に1時間浸
し、そのままの状態で23℃の雰囲気下で40℃以下の
温度まで放冷したものの密度が0.880〜0.910
g/cm3の範囲にあるものである。密度が0.880
g/cm3未満になると該共重合体をポリプロピレン系
樹脂に配合した場合の低グロス化が達成できず、好まし
くない。一方、密度が0.910g/cm3を超える場
合は、得られるポリプロピレン系樹脂表皮材の耐衝撃性
向上に対して十分な効果が得られないので好ましくな
い。
・1−ヘキセン共重合体は、190℃,2160gの荷
重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.0
01〜8g/10分の範囲にあるものである。MFRが
0.001g/10分未満になると該共重合体をポリプ
ロピレン系樹脂に配合した場合の流動性が悪化し、射出
成形体を始めとする成形用素材としては好ましくない。
一方、MFRが8g/10分を越えると該共重合体をポ
リプロピレン系樹脂に配合した場合の低グロス化が達成
できず、好ましくない。
ン・1−ヘキセン共重合体は、重量平均分子量(Mw)
と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下であ
る。Mw/Mnが3より大きい場合は、べたつき、耐衝撃
性低下等の原因となる低分子量成分が多くなるので好ま
しくない。
・1−ヘキセン共重合体は、示差走差型熱量計(DS
C)により、200℃で5分間保持し、その後10℃/
分で30℃まで降温し、その後さらに10℃/分で昇温
させた時に得られる吸熱曲線において、最も高温に位置
するピークのピーク温度(Tm(℃))と13C−NMR
の測定から求められる骨格炭素数1000個当りの短鎖
分岐数(SCB)とが下記(1)式で示される関係を満
たすものである。
共重合体は、それ自体の組成分布が広くなり、α−オレ
フィン含量の多い非結晶性の成分が存在するようになる
ため、べたつきが発生し易くなり好ましくない。
(a)〜(d)の特性を有するエチレン・1−ヘキセン
共重合体の製造方法は、上記(a)〜(d)の特性を有
するエチレン・1−ヘキセン共重合体が得られるのであ
れば、いかなる方法を用いてもよい。
ん、エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造方法はこれ
に限定されるものではない。エチレン・1−ヘキセン共
重合体の製造方法としては、例えば1個または2個のシ
クロペンタジエニル骨格を有する配位子が周期表4〜6
族の遷移金属、好ましくは、チタン、ジルコニウムまた
はハフニウムに配位した公知のメタロセン化合物とアル
モキサンとを組み合わせた触媒、または、上記メタロセ
ン化合物とこれと反応してイオン性の錯体を形成するイ
オン性化合物および有機金属化合物を組み合わせた触媒
を用いて、エチレンと1−ヘキセンを共重合させて製造
することができる。
共重合体の製造方法としては、気相法、スラリー法、溶
液法、高圧イオン重合法などを挙げることができる。中
でも生成する共重合体の融点以上の280℃までの温度
で重合する溶液法、高圧イオン重合法で製造することが
好ましく、特に、本発明に用いるエチレン・1−ヘキセ
ン共重合体の場合、高圧イオン重合法で製造することが
特に好ましい。なお、高圧イオン重合法とは、特開昭5
6−18607号、特開昭58−225106号各公報
により公知となっている圧力が200kg/cm2以
上、好ましくは300〜2000kg/cm2、温度1
25℃以上、好ましくは130〜250℃、特に好まし
くは150〜200℃の反応条件下で行われるエチレン
系重合体の連続的製造法である。
リプロピレン系樹脂60〜99重量%および上記(a)
〜(d)の要件を満足するエチレン・1−ヘキセン共重
合体1〜40重量%からなるものである。エチレン・1
−ヘキセン共重合体が1重量%未満の場合は、得られる
ポリプロピレン系樹脂表皮材の耐衝撃性向上効果が小さ
く、低グロス化も達成できない。一方、エチレン・1−
ヘキセン共重合体が40重量%を越える場合は、得られ
るポリプロピレン系樹脂表皮材の剛性が著しく低くな
り、また、低グロス化も達成できないので、好ましくな
い。特に、剛性と耐衝撃性のバランスに優れ、かつ低グ
ロス化が達成できるポリプロピレン系樹脂表皮材が得ら
れることから、ポリプロピレン系樹脂60〜95重量
%、上記(a)〜(d)の要件を満足するエチレン・1
−ヘキセン共重合体5〜40重量%からなるものが好ま
しい。
は、一般に樹脂組成物の製造において用いられる補助添
加成分、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫
外線吸収剤、中和剤、着色剤、滑剤、ブロッキング防止
剤、帯電防止剤などを一般的に添加される0.5重量部
程度ならば添加しても構わない。また、有機酸の金属塩
に代表される結晶核剤やソルビトール系化合物に代表さ
れる透明化剤についても、やはり一般的に添加される
0.5重量部程度ならば添加することができる。さら
に、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、マイカ、中空
ガラス球、酸化チタン、シリカ、カーボンブラック、ア
スベスト、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維等の充填
剤、さらには、本発明において用いられる上記(a)〜
(d)の要件を満足するエチレン・1−ヘキセン共重合
体以外のエチレン・α−オレフィン共重合体や高密度ポ
リエチレンおよび高圧ラジカル重合法で得られる低密度
ポリエチレンなどに代表されるポリオレフィン系樹脂、
ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・
スチレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体
樹脂、スチレン・ブタジエン系ゴム、ポリブタジエン等
の樹脂またはゴム状弾性物質をブレンドしても構わな
い。
上記構成成分を上記の混合組成で配合したものを用いる
以外は、通常の成形体の製造方法と同様にして製造する
ことができる。例えば、1軸または2軸押出機、ブラベ
ンダープラストミル、バンバリーミキサー、ニーダーブ
レンダー等を用いて、両成分の融点以上で溶融混練し
て、通常行われている方法で成形するのが一般的であ
る。ただし、各種成形を施す前にポリプロピレン樹脂お
よび上記(a)〜(d)の要件を満足するエチレン・1
−ヘキセン共重合体のペレットどうしを混ぜ合わせる、
いわゆるドライブレンドでも、得られる成形物は本発明
の目的を満足するものとなるため構わない。
射出成形を中心とする各種の成形法、例えば、押出成
形、圧縮成形、ブロー成形、インジェクションブロー成
形、インフレーション成形またはキャスト成形等の成形
法により成形される。
を始めとする、高級感のある艶消し品が要求される機
械、電機、医療ならびに建築資材向けの材料として用い
られる。
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
諸特性は、以下の方法で測定したものである。
のままの状態で23℃の雰囲気下で40℃以下の温度ま
で放冷したものについて,JIS K6760(198
1年)に準拠して、23℃に保った水−イソプロピルア
ルコール系の密度勾配管を用いて測定した。なお、用い
た密度勾配管は柴山科学器械製作所(株)製のものであ
る。
K7210(1976年)に準拠して、ポリプロピレ
ン系樹脂の場合は230℃,2160gの荷重下で、エ
チレン・1−ヘキセン共重合体を含むエチレン・α−オ
レフィン共重合体の場合は190℃,2160gの荷重
下で、それぞれ測定した。なお、測定装置には、宝工業
(株)製のメルトインデクサーD902を用いた。
(Mn)>MwとMnは、ウォーターズ(株)製 150
CALC/GPC(カラム:東ソー(株)製、GMHH
R−H(S)、7.8mmIDX30cmを3本、溶
媒:1,2,4−トリクロロベンゼン、温度:140
℃、流量:1.0ml/分、注入濃度:30mg/30
ml(注入量300μl))を用いるゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー法により測定した。なお、カラ
ム溶出体積は東ソー(株)製の標準ポリスチレンを用い
て、ユニバーサルキャリブレーション法により校正し
た。
とエチレンのブロック共重合体(通称;インパクトP
P)[A1]を用いた。具体的には、チッソ(株)製の
グレードK7030である。これは、前記方法で測定し
たMFRが25g/10分である。また、エチレン・1
−ヘキセン共重合体には[B1]を用いた。[B1]
は、メタロセン化合物としてジフェニルメチレン(シク
ロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジク
ロライド、イオン性化合物としてN,N−ジメチルアニ
リニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレー
ト、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアル
ミニウムとの組合せからなる触媒を用いて重合した。メ
タロセン化合物、イオン性化合物および有機アルミニウ
ム化合物の量は、モル比(メタロセン化合物:イオン性
化合物:有機アルミニム化合物)で1:1.2:250
とした。触媒の調整には、トルエンを用いた。重合は、
上記触媒を用い、重合温度180℃、重合圧力900k
gf/cm2で、セミプラントで行った。重合、精製、
反応および触媒精製は、すべて不活性ガス雰囲気で行っ
た。また、反応に用いた溶媒等は、すべて予め公知の方
法で精製、乾燥および脱酸素を行ったものを用い、反応
に用いた化合物は公知の方法により合成、同定したもの
を用いた。表1には[B1]の諸特性を示す。ここで
は、[A1]と[B1]の混合組成を重量分率で[A
1]:[B1]=85:15とし、酸化防止剤として
2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(B
HT)を100ppm添加して、スクリュー直径25m
mの単軸押出機(東洋精機(株)製)を用いて、200
℃、50rpmで溶融混練した。その際に、ダイスを通
って押し出されるロッド状の溶融混練物を水冷した後
に、ストランドカットして、ペレットとした。このペレ
ットを用いて、射出成形体を作製し、物性評価を行っ
た。射出成形体は、東芝(株)の射出成形機 IS−1
00Eを用いて作製した。測定した物性は曲げ弾性率、
ノッチ付きアイゾット衝撃強度およびグロスであり、そ
れぞれ下記の方法に準拠した。また、射出成形用の金型
には各物性評価用のサンプルが同時に得られる多数個取
りの金型を用いた。なお、成形は、射出成形機のシリン
ダー温度を210℃、金型温度を48℃とし、金型保持
時間15秒で行った。表2には、実施例1の曲げ弾性
率、アイゾット衝撃強度およびグロスを示す。
82年)に準拠し、温度23℃、湿度50%の環境下
で、3点曲げ方式により測定した。測定は、オリエンテ
ック(株)製の自動曲げ試験機RTM−100を用いて
行った。なお、テストピースは100mm×10mm×
4mmである。
K7110(1984年)に準拠し、東洋精機(株)製
の全自動アイゾット衝撃試験機を用いて行った。テスト
ピースには、後切削でノッチをつけるのではなく、射出
成形体にあらかじめノッチがつくような金型を用いて成
形されたものを用いた。テストピースは64mm×1
2.7mm×3mmである。なお、測定は温度が23℃
と−20℃、湿度が50%の環境下で行った。
(1990年)に準拠し、日本電色工業(株)製のグロ
スメーター、VGS−SENSORを用いて行った。な
お、テストピースは40mm×50mm×2mmであ
る。
[B1]の重合温度を160℃、α−オレフィンをプロ
ピレンとした以外は[B1]と同様に重合したエチレン
・プロピレン共重合体[B2]と上記プロピレン・エチ
レンブロック共重合体[A1]からなる組成物である。
表1に[B2]の諸特性を示す。本例は、[B1]の代
わりに[B2]を用いた以外は全て実施例1と同じであ
る。表2には、比較例1−aの曲げ弾性率、アイゾット
衝撃強度およびグロスを示すが、これより、曲げ弾性率
は実施例1とほぼ同等であるものの、耐衝撃強度は23
℃、−20℃のいずれの温度においても実施例1より低
く、さらに、グロスが実施例1よりかなり大きく、低グ
ロス化が達成されていないことが分かる。
エチレン・1−ヘキセン共重合体[B1]とほぼ同じ密
度、MFR、Mw/Mnを有するエチレン・1−オクテン
共重合体[B3]を用いたものである。[B3]はDu
pont Dow エラストマー(株)製のプラストマ
ー ENGAGE、高密度グレード8440である。本
例も[B1]の代わりに[B3]を用いた以外は全て実
施例1と同じである。表2には、比較例1−bの曲げ弾
性率、アイゾット衝撃強度およびグロスを示すが、これ
より、衝撃強度は23℃、−20℃のいずれの温度にお
いても実施例1と同等であるものの、曲げ弾性率は実施
例1より小さく、さらに、グロスも実施例1より大きく
なっており、低グロス化が達成されていないことが分か
る。
レフィン共重合体にはエチレン・1−ヘキセン共重合体
[B4]を用いた。なお、[B4]は以下に示す方法で
製造されたものである。本例も[B1]の代わりに[B
4]を用いた以外は全て実施例1と同じである。表2に
は、比較例1−cの曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度お
よびグロスを示すが、これより、衝撃強度は23℃、−
20℃のいずれの温度においても実施例1と同等である
ものの、曲げ弾性率は実施例1よりかなり小さく、なに
よりグロスが大きく、低グロス化が達成されていないこ
とが分かる。
ヘキセン 1200mlを加え、40℃に昇温した。さ
らに、全圧が8kg/cm2になるようにエチレンを導
入した。次に、別の反応容器にトルエン10ml、メチ
ルアルモキサン3mmol、ジフェニルメチレン(シク
ロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジク
ロライド3μmolを加え、この混合溶液を20分間撹
拌した後、オートクレーブに導入し、重合を開始した。
この重合は全圧を8kg/cm2に保つようにエチレン
を連続的に導入し、40℃で30分間行った。重合終了
後、多量のエタノールによりポリマーを洗浄し、60℃
で24時間減圧乾燥を行った。その結果、[B4]12
0gが得られた。
レフィン共重合体にはエチレン・1−ヘキセン共重合体
[B5]を用いた。[B5]は実施例1で用いた[B
1]を重合する際の重合温度を190℃とした以外は
[B1]と同様に重合して得られたものである。本例も
[B1]の代わりに[B5]を用いた以外は全て実施例
1と同じである。表2には、比較例1−dの曲げ弾性
率、アイゾット衝撃強度およびグロスを示すが、曲げ弾
性率は実施例1と同等なものの、衝撃強度は23℃、−
20℃のいずれの温度においても実施例1の方が大き
く、なによりグロスが大きく、低グロス化が達成されて
いないことが分かる。
組成物で、[A1]と[B1]の混合組成を重量分率で
[A1]:[B1]=70:30とした以外は全て実施
例1と同じである。表3には、実施例2の曲げ弾性率、
アイゾット衝撃強度およびグロスを示す。
じ[A1]と[B2]からなる組成物で、[A1]と
[B2]の混合組成を重量分率で[A1]:[B2]=
70:30とした以外は全て比較例1−aと同じであ
る。表3には、比較例1−aの曲げ弾性率、アイゾット
衝撃強度およびグロスを示すが、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体の割合を増加させても、実施例1と比較例
1−aで確認されたα−オレフィン種による違いが明ら
かである。
じ[A1]と[B3]からなる組成物で、[A1]と
[B3]の混合組成を重量分率で[A1]:[B3]=
70:30とした以外は全て比較例1−bと同じであ
る。表3には、比較例2−bの曲げ弾性率、アイゾット
衝撃強度およびグロスを示すが、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体の割合を増加させても、実施例1と比較例
1−bで確認されたα−オレフィン種による違いが明ら
かである。
用いて重合されたエチレン・1−ヘキセン共重合体[B
6]を用いた。表1には[B6]の諸特性を示すが、
[B6]は[B1]よりMFRが低いものである。[B
6]は実施例1で用いた[B1]を重合する際の重合温
度を165℃とした以外は[B1]と同様に重合して得
られたものである。本例は、[B1]の代わりに[B
6]を用いた以外は全て実施例1と同じある。表4に
は、実施例3の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度および
グロスを示す。
エチレン・1−ヘキセン共重合体[B6]とほぼ同じ密
度、MFR、Mw/Mnを有するエチレン・1−オクテン
共重合体[B7]を用いたものである。[B7]はDu
pont Dow エラストマー(株)製のプラストマ
ー ENGAGE、高密度グレード8480である。表
1に[B7]の諸特性を示す。本例は、[B6]の代わ
りに [B7]を用いた以外は全て実施例3と同じであ
る。表4には、比較例3−aの曲げ弾性率、アイゾット
衝撃強度およびグロスを示すが、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体のMFRが小さくなっても、実施例1と比
較例1−bで確認されたα−オレフィン種による違いが
明らかである。
用いて重合されたエチレン・1−ヘキセン共重合体[B
8]を用いた。表1には[B8]の諸特性を示すが、
[B8]は[B1]よりMFRが高いものである。[B
8]は実施例1で用いた[B1]を重合する際の重合温
度を185℃とした以外は[B1]と同様に重合して得
られたものである。本例は、[B1]の代わりに[B
8]を用いた以外は全て実施例1と同じである。表5に
は、実施例4の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度および
グロスを示す。
エチレン・1−ヘキセン共重合体[B8]とほぼ同じ密
度、MFR、Mw/Mnを有するエチレン・1−ブテン共
重合体[B9]を用いたものである。[B9]は三井化
学(株)製のポリオレフィン系樹脂改質材 タフマー、
グレードA−4090である。表1に[B9]の諸特性
を示す。本例は、[B8]の代わりに[B9]を用いた
以外は全て実施例4と同じである。表5には、比較例4
−aの曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度およびグロスを
示すが、エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRが
大きくなっても、実施例1と比較例1−aで確認された
α−オレフィン種による違いが明らかである。
エチレン・1−ヘキセン共重合体[B8]とほぼ同じ密
度、MFR、Mw/Mnを有するエチレン・1−オクテン
共重合体[B10]を用いたものである。[B10]は
DupontDow エラストマー(株)製のプラスト
マー ENGAGE、高密度グレード8450である。
本例も[B8]の代わりに[B10]を用いた以外は全
て実施例4と同じである。表5には、比較例4−bの曲
げ弾性率、アイゾット衝撃強度およびグロスを示すが、
エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRが大きくな
っても、実施例1と比較例1−bで確認されたα−オレ
フィン種による違いが明らかである。
自動車の内装材のように大型の射出成形機で射出成形体
として作製されるものもあり、その意味では、これまで
記載してきた射出成形体も部品としては小さなものだ
が、表皮材としての実施例になる。ここでは、これまで
の射出成形体に加えて、シート成形体を作製して、その
表面状態をグロス値として評価した。なお、本例は実施
例1に記載したポリプロピレン系樹脂組成物からシート
を作製したものである。シート成形には、田辺プラスチ
ックス機械(株)製のシート成形機3005を用い、シ
リンダー温度230℃、回転数50rpmで溶融体を押
出し、押出し直後に温度45℃の冷却ロールで巻き取っ
て、厚さ0.6mmのシートを作製した。表6には、実
施例5のグロスを示す。
同様に作製されたシート成形体である。本例は、シート
成形に用いた組成物を実施例1に記載のものから比較例
1−bに記載のものに変更した以外は全て実施例5と同
じである。表6には比較例5−aのグロスを示すが、実
施例5との比較より、射出成形体での評価と同様にシー
ト成形体においても、得られる成形体のグロス値は実施
例5のものより低くなっていることが分かる。したがっ
て、本発明のポリプロピレン系樹脂表皮材は、グロスが
低い、すなわち、表面に高級感が施された成形体であ
る。
ン系樹脂表皮材は、耐衝撃性が大幅に改良され、剛性と
耐衝撃性のバランスが格段に優れたものである。また、
成形体表面の平滑性が小さくなり、成形体に高級感を与
えることができる。
Claims (1)
- 【請求項1】ポリプロピレン系樹脂60〜99重量%と
下記(a)〜(d)の要件を満足するエチレン・1−ヘ
キセン共重合体1〜40重量%からなるポリプロピレン
系樹脂表皮材。 (a)100℃の熱水に1時間浸し、そのままの状態で
23℃の雰囲気下で40℃以下の温度まで放冷したもの
の密度が0.880〜0.910g/cm3 (b)190℃,2160gの荷重下で測定したメルト
フローレート(MFR)が0.001〜8g/10分 (c)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の
比(Mw/Mn)が3以下 (d)示差走査型熱量計(DSC)により、200℃で
5分間保持し、その後10℃/分で30℃まで降温し、
その後さらに10℃/分で昇温させた時に得られる吸熱
曲線において、最も高温に位置するピークのピーク温度
(Tm(℃))と13C−NMRの測定から求められる骨
格炭素数1000個当りの短鎖分岐数(SCB)とが
(1)式で示される関係を満たす Tm(℃)<138−1.5×(SCB) (1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11490898A JP4048595B2 (ja) | 1998-04-24 | 1998-04-24 | ポリプロピレン系樹脂表皮材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11490898A JP4048595B2 (ja) | 1998-04-24 | 1998-04-24 | ポリプロピレン系樹脂表皮材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11302467A true JPH11302467A (ja) | 1999-11-02 |
JP4048595B2 JP4048595B2 (ja) | 2008-02-20 |
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ID=14649650
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11490898A Expired - Fee Related JP4048595B2 (ja) | 1998-04-24 | 1998-04-24 | ポリプロピレン系樹脂表皮材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4048595B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007243279A (ja) * | 2006-03-06 | 2007-09-20 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | スピーカ用振動板およびこの振動板を用いたスピーカおよび電子機器 |
-
1998
- 1998-04-24 JP JP11490898A patent/JP4048595B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2007243279A (ja) * | 2006-03-06 | 2007-09-20 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | スピーカ用振動板およびこの振動板を用いたスピーカおよび電子機器 |
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