JPH11301132A - 直描型平版印刷版原版 - Google Patents

直描型平版印刷版原版

Info

Publication number
JPH11301132A
JPH11301132A JP4176799A JP4176799A JPH11301132A JP H11301132 A JPH11301132 A JP H11301132A JP 4176799 A JP4176799 A JP 4176799A JP 4176799 A JP4176799 A JP 4176799A JP H11301132 A JPH11301132 A JP H11301132A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
heat
printing plate
weight
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4176799A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuoki Goto
一起 後藤
Koichi Fujimaru
浩一 藤丸
Kenichi Tabata
憲一 田畑
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP4176799A priority Critical patent/JPH11301132A/ja
Publication of JPH11301132A publication Critical patent/JPH11301132A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】不感脂化処理を行なうことなく高いインキ反発
性を有し、親水性膨潤層をインキ反発層とし、レーザー
光照射で画像形成可能な、明室対応で取扱い性に優れた
直描型平版印刷版を提供する。 【解決手段】直描型平版印刷版原版を、基板上に、少な
くとも感熱層および親水性膨潤層(あるいは親水性膨潤
層および感熱層)をこの順に積層してなる直描型平版印
刷版原版において、該感熱層が光熱変換物質と金属キレ
ート化合物を含有するものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版原版に関
するものであり、不感脂化処理を行なうことなく高いイ
ンキ反撥性を有し、湿し水として純水を使用できる新規
な平版印刷版に関するものであり、特にレーザー光で直
接描画できる平版印刷版原版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】製版用フィルムを使用しないで、原稿か
ら直接オフセット印刷版を作製する、いわゆるダイレク
ト製版は、熟練度を必要としない簡易性、短時間で印刷
版が得られる迅速性、多様なシステムから品質とコスト
に応じて選択可能である合理性などの特徴を生かして、
軽印刷業界のみでなく、一般オフセット印刷、フレキソ
印刷の分野にも進出し始めている。
【0003】特に最近では、プリプレスシステムやイメ
ージセッター、レーザープリンタなどの出力システムの
急激な進歩によって新しいタイプの各種平版印刷材料が
開発されているが、なかでも、レーザー光を用いる方法
は解像度、および製版速度の面で他の方式よりも優れて
おり、その種類も多い。
【0004】このレーザー光を用いる平版印刷版はさら
に、光反応によるフォトンモードのものと、光熱変換を
行って熱反応を起こさせるヒートモードの2つのタイプ
に分けられるが、最近では半導体レーザーの急激な進歩
や、明室で取り扱えるといった利点によってサーマルモ
ードのダイレクト版材が脚光を浴びている。
【0005】例えば、特開平6−199064号公報、
USP5339737号公報、USP5353705号
公報、EP0580393号公報、特開平6−5572
3号公報、EP0573091号公報、USP5378
580号公報、特開平7−164773号公報、特開平
6−186750号公報、特開平7−309001号公
報、特開平9−146264号公報、特開平9−146
265号公報、特開平9−236927号公報、特開平
9−244228号公報にはレーザー光を光源として用
いる直描型水なし平版印刷版原版およびその製版方法な
どが記載されている。
【0006】この熱破壊方式の印刷版原版の感熱層は、
レーザー光吸収化合物として主としてカーボンブラック
を用い、熱分解化合物としてニトロセルロースを使用し
ている。そしてこのカーボンブラックがレーザー光を吸
収することによって熱エネルギーに変換され、さらにそ
の熱で感熱層が破壊される。そして最終的に、現像によ
ってこの部分を除去することによって、表面のシリコー
ンゴム層が同時に剥離され、インキ着肉部となる。
【0007】しかしながらこの印刷版は、感熱層を破壊
して画像を形成することから画線部のセルの深さが深く
なり、微少網点でのインキ着肉性が悪く、インキマイレ
ージが悪いという問題点があった。更に、感熱層を熱破
壊させ易くするために、架橋構造を形成しており印刷版
の耐刷性が劣るという問題もあった。感熱層を柔軟化さ
せると感度が極端に低下し、感熱層の柔軟化は困難であ
った。
【0008】更にこの印刷版は感度が低く、感熱層を破
壊させるために高いレーザー光の強度が必要という問題
点もあった。
【0009】特開平9−146264号公報では、光熱
変換層中にレーザー光を熱に変換する化合物、フィルム
形成能を有する高分子化合物、光重合開始剤、および光
重合可能なエチレン性不飽和化合物を有し、シリコーン
ゴム層形成後にエネルギー線による全面露光を施すこと
により光熱変換層と、シリコーンゴム層とを反応させた
ネガ型のレーザー感光性湿し水不要平版印刷版原版が提
案されている。
【0010】この版材では、シリコーンゴム層塗布後に
全面露光を施すことにより、公知の機構によりシリコー
ンゴム層と感光層との接着力を向上させ、その結果とし
て、画像再現性、耐傷性に優れた版材を得ている。しか
しながら、前述のように、感光層の柔軟性と感度のトレ
ードオフ的な関係は存在しており、特に感度が低いとい
う問題を有していた。
【0011】特開平9−239942号公報では、レー
ザー感応層中に酸を発生する物質と、酸の作用で分解す
る高分子化合物を含有する剥離現像タイプの印刷版が提
案されているが、レーザー光照射の工程と加熱工程とい
う二つの工程が必要になり、また微細な網点の再現性が
悪いという剥離現像固有の問題が存在する。
【0012】また、特に特開平6−55723号公報、
EP0573091号公報、USP5378580号公
報では、光源としてNd−YAGレーザーを用いている
ために、露光装置がかなり大がかりなものとなってしま
うといった、別の問題点もあった。
【0013】その他、USP5379698号公報、特
開平7−314934号公報、特開平9−236927
号公報には、金属薄膜を感熱層として用いる直描型水な
し平版印刷版が記載されている。
【0014】この印刷版材は、感熱層がかなり薄いため
に、非常にシャープな画像が得られ、印刷版の解像度と
いう面では有利であるが、基材と感熱層の接着性が悪く
印刷中に非画線部の感熱層が剥離し、インキが付着し印
刷物上で欠点となるという問題点があった。また、この
印刷版も感熱層を破壊させて画像を形成させることから
画線部のセルが深くなりインキ着肉性やインキマイレー
ジが劣るという問題点があった。
【0015】以上のようなレーザー光を用いた平版印刷
版の他に、特に直描型水なし平版印刷版に関するものと
して、熱接着型の直描型水なし平版印刷版が考えられ
る。
【0016】このタイプの版材は、レーザー光照射部の
シリコーンゴム層が選択的に残存し、非画線部として働
くものである。
【0017】このようなタイプの版材としては、例えば
特開平9−68794号公報、特開平9−80745号
公報、特開平9−120157号公報、特開平9−19
7659号公報などが提案されている。
【0018】特開平9−120157号公報で提案され
ている版材は、レーザー光照射により発生した酸を触媒
として感光層の反応を進め、画像を再現するというもの
である。しかしながら、酸発生後、反応を進めるために
は、熱処理という工程が必要であった。さらに、酸発生
後から熱処理までの時間が画像再現性に影響を与えるた
め、画像再現性が不安定となるという問題を有してい
た。
【0019】特開平9−80745号公報、特開平9−
197659号公報で提案されている版材も、感光層中
に活性光線の照射で酸を発生しうる化合物および酸の存
在下で反応し得る結合を有する化合物が含まれており、
レーザー光照射後、発生した酸を用いて反応を進めるタ
イプであるため、上記と同様の問題を有していた。
【0020】以上のようにダイレクト製版化の検討は水
なし平版にとどまらず、水ありPS版に関しても多くな
されている。本質的な問題として、水ありPS版に関し
ては印刷時の湿し水コントロールの問題があり、一方、
水なし平版に関してはインキ反撥性層としてのシリコー
ンゴム層の耐久性の問題が残っている。
【0021】このような状況下で、インキ反撥層として
アルミニウム基板の代わりに親水性高分子材料の層を用
い、レーザー光で直接描画可能な版材が提案されてい
る。
【0022】USP5353705においては、ニトロ
セルロースおよびカーボンブラックからなるレーザー感
応層上にポリビニルアルコールをインキ反撥層として積
層したヒートモード記録材料が提案されている。しかし
ながら、そのインキ反発性は湿し水供給下であっても極
めて不十分なものであった。
【0023】また、特開平8−282143において
は、レーザー照射による活性光線の作用でレーザー感応
層と親水性膨潤層が破壊的吸収を生じる、基板上にレー
ザー感応層、インキ反発性の親水性膨潤層を有する版が
提案されている。この版においては、特異的な性質を有
する親水性膨潤層がインキ反撥層となるため、アルミ基
板をインキ反撥層とする従来の水ありPS版の問題であ
った印刷時の湿し水の問題はなく、インキ反撥性も十分
なものであった。しかしながら、刷版の構造が平凹版で
あり、インキ着肉層がレーザー感応層の下層になるた
め、インキマイレージが非常に悪いという問題を有して
いた。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来技
術の欠点に鑑み鋭意検討を行った結果、レーザー光照射
後の煩雑な工程を必要とせずともポジ型の直描型平版印
刷版を得る技術を見出した。また、感熱層の硬化状態、
レーザー光の照射エネルギーを調節する事で高感度のネ
ガ型直描型平版印刷版を得ることが出来た。
【0025】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は以下
の構成を有する。 (1)基板上に、少なくとも感熱層、および乾燥膜厚が
5μm以下で、吸水量が1〜50g/m2かつ水膨潤率
が10〜2000%の親水性膨潤層をこの順に積層して
なる直描型平版印刷版原版において、該感熱層が少なく
とも(a)光熱変換物質、(b)金属キレート化合物、
を含むことを特徴とする直描型平版印刷版原版。 (2)基板上に、少なくとも、乾燥膜厚が5μm以下
で、吸水量が1〜50g/m2かつ水膨潤率が10〜2
000%の親水性膨潤層、感熱層をこの順に積層してな
る直描型平版印刷版原版において、該感熱層が少なくと
も光熱変換物質、金属キレート化合物、を含むことを特
徴とする直描型平版印刷版原版。 (3)該金属キレート化合物がAl、Ti、Mn、C
o、Ni、Fe、Cu、Zn、Ge、In、Snの群か
ら選ばれる金属のキレート化合物であることを特徴とす
る1、2いずれか記載の直描型平版印刷版原版。 (4)該感熱層が活性水素基含有化合物を有することを
特徴とする1〜3いずれか記載の直描型平版印刷版原
版。 (5)活性水素基含有化合物がフェノール性水酸基含有
化合物であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載
の直描型平版印刷版原版。 (6)該金属キレート化合物が、金属ジケテネート、金
属アルコキサイド、アルキル金属、金属カルボン酸塩か
ら選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする1〜
5いずれか記載の直描型平版印刷版原版。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。
【0027】まず、本発明の直描型平版印刷版原版に使
用する基板について説明する。なお、本発明において直
描型とは、露光時にネガあるいはポジのフィルムを用い
ずに、印刷版上に直接記録ヘッドから画像形成を行うこ
とを意味する。
【0028】基板としては、寸法的に安定な板状物であ
れば公知の金属、フィルム等のいずれも使用することが
できる。この様な寸法的に安定な板状物としては、従来
印刷版の基板として使用されたもの等が好ましく挙げら
れる。かかる基板としては、紙、プラスチック(ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネ
−トされた紙、アルミニウム(アルミニウム合金も含
む)、亜鉛、銅などの金属の板、セルロースアセテー
ト、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレン、ポリ
エステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポ
リプロピレン、ポリカ−ボネ−ト、ポリビニルアセタ−
ルなどのプラスチックのフィルム、上記の如き金属がラ
ミネ−トもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフ
ィルムなどが挙げられる。
【0029】これらのうち、アルミニウム板は寸法的に
著しく安定であり、しかも安価であるので特に好まし
い。また、軽印刷用の基板として用いられているポリエ
チレンテレフタレ−トフィルムも好ましく使用される。
【0030】これら基板と感熱層の接着性を強固にする
と共に、基板が金属などのように熱伝導が比較的高い物
質を使用する場合には断熱効果の目的で、基板と感熱層
の間に断熱層を設けることが好ましい。このような断熱
層により、感熱層が熱反応を起こす際の熱が基板へ拡散
するのを防止することができる。
【0031】断熱層を設ける場合、本発明においては、
次の条件を満たすことが必要である。すなわち、基板と
感熱層とをよく接着し、経時において安定であること、
さらに現像液、印刷時に使用する溶剤に対する耐溶剤性
が高いことである。
【0032】このような条件を満たすものとして、エポ
キシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノ−ル樹脂、アクリ
ル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミ
ド樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、カゼイ
ン、ゼラチン等を含むものが挙げられる。これらの樹脂
は単独であるいは二種以上混合して用いることができ
る。また、これらの樹脂と類似の組成物を硬化したもの
を使用してもよい。
【0033】これらの中では、ポリウレタン樹脂、ポリ
エステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂
等を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることが
好ましい。
【0034】また、この断熱層中に顔料、染料等の添加
剤を含有させて検版性を向上させることが好ましい。
【0035】断熱層の厚さは被覆層にして0.5〜50
g/m2が基板表面の形態欠陥を防止し化学的悪影響を
遮断する効果や経済性の点から好ましく、より好ましく
は1〜10g/m2である。
【0036】次に感熱層について説明する。
【0037】本発明において感熱層は、少なくとも
(a)光熱変換物質と(b)金属キレート化合物を含有
することが必要である。
【0038】まず、(a)光熱変換物質について説明す
る。
【0039】本発明の直描型水なし平版印刷版原版は、
レーザー光を照射することにより画像を形成させるた
め、光熱変換物質を含有することが必要である。光熱変
換物質としてはレーザー光を吸収するものであれば特に
限定されない。この時、レーザー光の波長としては、紫
外域、可視域、赤外域のどの領域の波長であってもよ
く、使用するレーザー光の波長に合わせた吸収域を有す
る光熱変換物質を適宜選択して使用するとよい。
【0040】例えばカーボンブラック、アニリンブラッ
ク、シアニンブラック、チタンブラックなどの黒色顔
料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、
カーボングラファイト、鉄粉、ジアミン系金属錯体、ジ
チオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、
メルカプトフェノール系金属錯体、結晶水含有無機化合
物、硫酸銅、硫化クロム、珪酸塩化合物や、酸化チタ
ン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバ
ルト、酸化タングステンなどの金属酸化物、これらの金
属の水酸化物、硫酸塩、さらにビスマス、鉄、マグネシ
ウム、アルミの金属粉などの添加剤を添加することが好
ましい。
【0041】これらのなかでも、光熱変換率、経済性お
よび取り扱い性の面から、カーボンブラックが好まし
い。
【0042】また上記の物質以外に、赤外線または近赤
外線を吸収する染料も、光熱変換物質として好ましく使
用される。
【0043】これら染料としては400nm〜1200
nmの範囲に極大吸収波長を有する全ての染料が使用で
きるが、好ましい染料としては、エレクトロニクス用、
記録用色素であるシアニン系、フタロシアニン系、フタ
ロシアニン金属錯体系、ナフタロシアニン系、ナフタロ
シアニン金属錯体系、ジチオール金属錯体系、ナフトキ
ノン系、アントラキノン系、インドフェノール系、イン
ドアニリン系、ピリリウム系、チオピリリウム系、スク
ワリリウム系、クロコニウム系、ジフェニルメタン系、
トリフェニルメタン系、トリフェニルメタンフタリド
系、トリアリルメタン系、フェノチアジン系、フェノキ
サジン系、フルオラン系、チオフルオラン系、キサンテ
ン系、インドリルフタリド系、スピロピラン系、アザフ
タリド系、クロメノピラゾール系、ロイコオーラミン
系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサ
ンテン系、ビスラクトン系、フルオレノン系、モノアゾ
系、ケトンイミン系、ジズアゾ系、ポリメチン系、オキ
サジン系、ニグロシン系、ビスアゾ系、ビスアゾスチル
ベン系、ビスアゾオキサジアゾール系、ビスアゾフルオ
レノン系、ビスアゾヒドロキシペリノン系、アゾクロム
錯塩系、トリスアゾトリフェニルアミン系、チオインジ
ゴ系、ペリレン系、ニトロソ系、1:2型金属錯塩系、
分子間型CT系、キノリン系、キノフタロン系、フルキ
ド系の酸性染料、塩基性染料、色素、油溶性染料や、ト
リフェニルメタン系ロイコ色素、カチオン染料、アゾ系
分散染料、ベンゾチオピラン系スピロピラン、3,9−
ジブロモアントアントロン、インダンスロン、フェノー
ルフタレイン、スルホフタレイン、エチルバイオレッ
ト、メチルオレンジ、フルオレッセイン、メチルビオロ
ゲン、メチレンブルー、ジムロスベタインなどが挙げら
れる。
【0044】これらのなかでも、エレクトロニクス用や
記録用の色素で、最大吸収波長が700nm〜900n
mの範囲にある、シアニン系色素、アズレニウム系色
素、スクアリリウム系色素、クロコニウム系色素、アゾ
系分散色素、ビスアゾスチルベン系色素、ナフトキノン
系色素、アントラキノン系色素、ペリレン系色素、フタ
ロシアニン系色素、ナフタロシアニン金属錯体系色素、
ポリメチン系色素、ジチオールニッケル錯体系色素、イ
ンドアニリン金属錯体色素、分子間型CT色素、ベンゾ
チオピラン系スピロピラン、ニグロシン染料などが好ま
しく使用される。
【0045】さらにこれらの染料のなかでも、モル吸光
度係数の大きなものが好ましく使用される。具体的には
ε=1×104以上が好ましく、より好ましくは1×1
5以上である。εが1×104より小さいと、感度の向
上効果が発現しにくいためである。
【0046】また、特公平2670621号に記載され
ているようなジチオトロポロネート系非対称型金属錯体
も本発明に好ましく用いることが出来る。
【0047】これらの光熱変換物質は単独でも感度の向
上効果はあるが、2種以上を併用して用いることによっ
て、さらに感度を向上させることも可能である。
【0048】これらの光熱変換物質の含有量は、全感熱
層組成物に対して0.1〜40重量%が好ましく、より
好ましくは0.5〜25重量%である。0.1重量%よ
りも少ない場合にはレーザー光に対する感度の向上効果
が見られず、40重量%よりも多い場合には印刷版の耐
刷性が低下しやすい。
【0049】次に(b)金属キレート化合物について説
明する。
【0050】本発明でいう金属キレート化合物は、「中
心金属」と有機置換基である「キレート部」からなり、
金属に対して有機配位子が配位結合している錯体化合物
か、有機官能基と共有結合している有機金属化合物のこ
とをいう。金属酸化物のような無機化合物はその範疇で
はない。これらの物質は、水酸基を含有する化合物と置
換反応をおこすことが特徴である。
【0051】「中心金属」としては周期表の第2周期か
ら第6周期の金属および半導体原子が挙げられ、なかで
も第3周期から第5周期の金属および半導体原子が好ま
しく、第3周期金属のAl、第4周期金属のTi、M
n、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、第5周期金
属のIn、Snが特に好ましい。
【0052】以上のような金属を中心にして有機化合物
との間で「(b)金属キレート化合物」が形成されるわ
けであるが、それらの形態としては例えば以下の様な具
体例が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。 (1)金属ジケテネート ジケトンのエノール水酸基の水酸基が金属原子とが置換
したもので、中心金属は酸素原子を介して結合してい
る。ジケトンのカルボニルがさらに金属に対して配位結
合することができるため、比較的に安定な化合物であ
る。
【0053】具体的には、キレート部が、2,4−ペン
タジオネート(アセチルアセトネート)、フルオロペン
タジオネート、2,2,6,6−テトラメチル−3,5
−ヘプタンジオネート、ベンゾイルアセトネート、テノ
イルトリフルオロアセトネートや1,3−ジフェニル−
1,3−プロパンジオネートなどである金属ペンタンジ
オネート(金属アセトネート)類や、メチルアセトアセ
テート、エチルアセトアセテート、メタクリルオキシエ
チルアセトアセテートやアリルアセトアセテートなどで
ある金属アセトアセテート類、サリチルアレデヒド錯塩
が挙げられる。 (2)金属アルコキサイド 中心金属に対して、酸素原子を介してアルキル基が結合
している化合物である。
【0054】キレート部が、メトキサイド、エトキサイ
ド、プロポキサイド、ブトキサイド、フェノキサイド、
アリルオキサイド、メトキシエトキサイド、アミノエト
キサイドなどである金属アルコキサイドが挙げられる。 (3)アルキル金属 中心金属がそのままアルキル基を有するものであり、こ
の場合金属は炭素原子と結合している。キレート部化合
物がジケトンであっても、金属が炭素原子で結合してい
ればこちらに分類される。なかでもアセチルアセトン金
属が好ましく用いられる。 (4)金属カルボン酸塩類 酢酸金属塩、乳酸金属塩、アクリル酸金属塩、メタクリ
ル酸金属塩、ステアリン酸金属塩などが挙げられる。 (5)その他 チタンオキサイドアセトネートのような酸化金属キレー
ト化合物、チタノセンフェノキサイドのような金属錯体
や、2種以上の金属原子を1分子中に有するヘテロ金属
キレート化合物が挙げられる。
【0055】以上のような金属キレート化合物のうち好
ましく用いられる金属キレート化合物の具体例として
は、例えば、以下のような化合物が挙げられる。
【0056】アルミニウムキレート化合物の具体例とし
ては、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブ
トキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム
sec−ブチレート、エチルアセテートアルミニウムジ
イソプロピレート、プロピルアセテートアルミニウムジ
イソプロピレート、ブチルアセテートアルミニウムジイ
ソプロピレート、ヘプチルアセテートアルミニウムジイ
ソプロピレート、ヘキシルアセテートアルミニウムジイ
ソプロピレート、オクチルアセテートアルミニウムジイ
ソプロピレート、ノニルアセテートアルミニウムジイソ
プロピレート、エチルアセテートアルミニウムジエチレ
ート、エチルアセテートアルミニウムジブチレート、エ
チルアセテートアルミニウムジヘプチレート、エチルア
セテートアルミニウムジノニレート、ジエチルアセテー
トアルミニウムイソプロピレート、アルミニウムトリス
(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(プ
ロピルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ブチ
ルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ヘキシル
アセトアセテート)、アルミニウムトリス(ノニルアセ
トアセテート)、アルミニウムトリスアセチルアセトネ
ート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノア
セチルアセトネート、アルミニウムジアセチルアセトネ
ートエチルアセトアセテート、アルミニウムモノアセチ
ルアセトネートビスプロピルアセトアセテート、アルミ
ニウムモノアセチルアセトネートビスブチルアセトアセ
テート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスヘ
キシルアセトアセテート、アルミニウムモノエチルアセ
トアセテートビスプロピルアセトセトネート、アルミニ
ウムモノエチルアセトアセテートビスブチルアセトアセ
トネート、アルミニウムモノエチルアセトアセテートビ
スヘキシルアセトアセトネート、アルミニウムモノエチ
ルアセトアセテートモノノニルアセトアセトネート、ア
ルミニウムジブトキシドモノアセトアセテート、アルミ
ニウムジプロポキシドモノアセトアセテート、アルミニ
ウムジブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミ
ニウムオキシドアクリレート、アルミニウムオキシドオ
クテート、アルミニウムオキシドステアレイト、トリス
アリザリンアルミニウム、アルミニウム−s−ブトキサ
イドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジ
−s−ブトキサイドエチルアセトアセテート、アルミニ
ウム−9−オクタデセニルアセトアセテートジイソプロ
ポキサイド、アルミニウムフェノキサイド、アクリル酸
アルミニウム、メタクリル酸アルミニウムなど。
【0057】チタンキレート化合物の具体例としては、
イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプ
ロピルトリn−ステアロイルチタネート、イソプロピル
トリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシ
ルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス
(ジオクチルパイロホスファイト)チタネート、テトラ
イソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネー
ト、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)
チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−
1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタ
ネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシ
アセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフ
ェート)エチレンチタネート、トリス(ジオクチルパイ
ロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジ
メタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピル
イソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピル
トリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロ
ピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ
(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、ジクミ
ルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステア
ロイルエチレンチタネート、イソプロピルジイソステア
ロイルクミルフェニルチタネート、イソプロピルジステ
アロイルメタクリルチタネート、イソプロピルジイソス
テアロイルアクリルチタネート、イソプロピル4−アミ
ノベンゼンスルホニルジ(ドデシルベンゼンスルホニ
ル)チタネート、イソプロピルトリメタクリルチタネー
ト、イソプロピルジ(4−アミノベンゾイル)イソステ
アロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルパ
イロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリアク
リルチタネート、イソプロピルトリ(N,N−ジメチル
エチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリアントラ
ニルチタネート、イソプロピルオクチル,ブチルパイロ
ホスフェートチタネート、イソプロピルジ(ブチル,メ
チルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロ
ピルジ(ジラウロイルホスファイト)チタネート、ジイ
ソプロピルオキシアセテートチタネート、イソステアロ
イルメタクリルオキシアセテートチタネート、イソステ
アロイルアクリルオキシアセテートチタネート、ジ(ジ
オクチルホスフェート)オキシアセテートチタネート、
4−アミノベンゼンスルホニルドデシルベンゼンスルホ
ニルオキシアセテートチタネート、ジメタクリルオキシ
アセテートチタネート、ジクミルフェノレートオキシア
セテートチタネート、4−アミノベンゾイルイソステア
ロイルオキシアセテートチタネート、ジアクリルオキシ
アセテートチタネート、ジ(オクチル,ブチルパイロホ
スフェート)オキシアセテートチタネート、イソステア
ロイルメタクリルエチレンチタネート、ジ(ジオクチル
ホスフェート)エチレンチタネート、4−アミノベンゼ
ンスルホニルドデシルベンゼンスルホニルエチレンチタ
ネート、ジメタクリルエチレンチタネート、4−アミノ
ベンゾイルイソステアロイルエチレンチタネート、ジア
クリルエチレンチタネート、ジアントラニルエチレンチ
タネート、ジ(ブチル,メチルパイロホスフェート)エ
チレンチタネート、チタンアリルアセトアセテートトリ
イソプロポキサイド、チタンビス(トリエタノールアミ
ン)ジイソプロポキサイド、チタンジ−n−ブトキサイ
ド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイ
ソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネー
ト)、チタンジイソプロポキサイドビス(エチルアセト
アセテート)、チタンメタクリルオキシエチルアセトア
セテートトリイソプロポキサイド、チタンメチルフェノ
キサイド、チタンオキシドビス(ペンタンジオネート)
など。
【0058】鉄(III )アセチルアセトネート、ジベン
ゾイルメタン鉄(II)、トロポロン鉄、トリストロポロ
ノ鉄(III )、ジベンゾイルメタン鉄(II)、ヒノキチ
オール鉄、トリスヒノキチオロ鉄(III )、アセト酢酸
エステル鉄(III )、鉄(III )ベンゾイルアセトネー
ト、鉄(III )2,4−ペンタンジオネート、鉄(III
)トリフルオロペンタンジオネート、サリチルアルデ
ヒド銅(II)、銅(II)アセチルアセネート、サリチル
アルデヒドイミン銅、コウジ酸銅、ビスコウジャト銅
(II)、トロポロン銅、ビストロポロノ銅(II)、ビス
(5−オキシナフトキノン−1,4)銅、ビス(1−オ
キシアントラキノン)ニッケル、アセト酢酸エステル
銅、、サリチルアミン銅、o−オキシアゾベンゼン銅、
銅(II)ベンゾイルアセテート、銅(II)エチルアセト
アセテート、銅(II)メタクリルオキシエチルアセトア
セテート、銅(II)メトキシエトキシエトキサイド、銅
(II)2,4−ペンタンジオネート、銅(II)2,2,
6,6,−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネー
ト、亜鉛N,N−ジメチルアミノエトキサイド、亜鉛
2,4−ペンタンジオネート、亜鉛2,2,6,6−テ
トラメチル−3,5−ヘプタンジオネートなども本発明
に好ましく用いられる。
【0059】その他、サリチルアルデヒドコバルト、o
−オキシアセトフェノンニッケル、ビス(1−オキシキ
サントン)ニッケル、ピロメコン酸ニッケル、サリチル
アルデヒドニッケル、アリルトリエチルゲルマン、アリ
ルトリメチルゲルマン、アンモニウムトリス(オキザレ
ート)ゲルマネート、ビス[ビス(トリメチルシリル)
アミノ]ゲルマニウム(II)、カルボキシエチルゲルマ
ニウムセスキオキサイド、シクロペンタジェニルトリメ
チルゲルマン、ジ−n−ブチルジアセトキシゲルマン、
ジ−n−ブチルジクロロゲルマン、ジメチルアミノトリ
メチルゲルマン、ジフェニルゲルマン、ヘキサアリルジ
ゲルマノキサン、ヘキサエチルジゲルモキサン、ヘキサ
メチルジゲルマン、ヒドロキシゲルマトラン1水和物、
メタクリルオキシメチルトリメチルゲルマン、メタクリ
ルオキシトリエチルゲルマン、テトラアリルゲルマン、
テトラ−n−ブチルゲルマン、テトライソプロポキシゲ
ルマン、トリ−n−ブチルゲルマン、トリメチルクロロ
ゲルマン、トリフェニルゲルマン、ビニルトリエチルゲ
ルマン、ビス(2,4−ペンタンジオネート)ジクロロ
スズ、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネー
ト)スズ、カルシウム2,4ペンタンジオネート、セリ
ウム(III )2,4−ペンタンジオネート、コバルト
(II)2,4−ペンタンジオネート、コバルト(III )
2,4−ペンタンジオネート、ユーロピウム2,4−ペ
ンタンジオネート、ユーロピウム(III)テノイルトリ
フルオロアセトネート、インジウム2、4−ペンタンジ
オネート、マンガン(II)2,4−ペンタンジオネー
ト、マンガン(III )2,4−ペンタンジオネートなど
も本発明に用いられる。
【0060】これらの具体例のうち、特に好ましく用い
られる金属キレート化合物としては、アルミニウム、鉄
(III )、チタンのアセチルアセトネート(ペンタンジ
オネート)、エチルアセトアセトネート(ヘキサンジオ
ネート)、プロピルアセトアセトネート(ヘプタンジオ
ネート)、テトラメチルヘプタンジオネート、ベンゾイ
ルアセトネート類などが挙げられる。
【0061】これら「(b)金属キレート化合物」はそ
れぞれ単独でも使用できるし、2種以上を混合して使用
することもでき、その含有量は「(c)水酸基含有化合
物」100重量部に対して5〜300重量部が好まし
く、10〜150重量部がさらに好ましい。含有量が5
重量部より少ないと画像形成しにくくなり、300重量
部よりも多い場合には感熱層の物性が低下しやすく、印
刷版としては例えば耐刷性という問題が生じやすくなる
ためである。
【0062】また、本発明の感熱層は、(b)金属キレ
ート化合物との相互作用という観点から、さらに、活性
水素基含有化合物を含むことが好ましい。活性水素基含
有化合物としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化
合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合
物などが挙げられるが、水酸基含有化合物が好ましい。
【0063】さらに、水酸基含有化合物としてはフェノ
ール性水酸基含有化合物、アルコール性水酸基含有化合
物のいずれも本発明に使用できる。
【0064】フェノール性水酸基含有化合物としては、
例えば以下のような化合物を挙げることができる。
【0065】ヒドロキノン、カテコール、グアヤコー
ル、クレゾール、キシレノール、ナフトール、ジヒドロ
キシアントラキノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ト
リヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾ
フェノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フェ
ノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、レゾール樹
脂、レゾルシンベンズアルデヒド樹脂、ピロガロールア
セトン樹脂、ヒドロキシスチレンの重合体および共重合
体、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ変性フェノー
ル樹脂、リグニン変性フェノール樹脂、アニリン変性フ
ェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、ビスフェ
ノール類などが挙げられる。
【0066】また、アルコール性水酸基含有化合物とし
ては、例えば以下のような化合物を挙げることができ
る。
【0067】エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオー
ル、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオー
ル、2−ブテン−1,4−ジオール、5−ヘキセン−
1,2−ジオール、7−オクテン−1,2−ジオール、
3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリ
ン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,
4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペン
タエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリビ
ニルアルコール、セルロースおよびその誘導体、ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレートの重合体および共重合
体など。
【0068】また、エポキシアクリレート、エポキシメ
タクリレート、ポリビニルブチラール樹脂、および公知
の方法によって水酸基を導入したポリマーなども本発明
に使用可能である。
【0069】これら水酸基含有化合物としては、金属キ
レート化合物との反応性という観点から特にフェノール
性水酸基含有化合物が好ましく用いられる。
【0070】これら「(c)活性水素基含有化合物」は
それぞれ単独でも使用できるし、2種以上を混合して使
用することもでき、その含有量は、全感熱層組成物に対
して5〜80重量%が好ましく、より好ましくは20〜
60重量%である。含有量が5重量%よりも少ないと印
刷版の感度が低下し、逆に80重量%よりも多いと印刷
版の溶剤耐性が低下しやすい。
【0071】本発明において、感熱層がさらにバインダ
ーポリマを含有することが好ましい。この際、バインダ
ーポリマとしては、有機溶剤に可溶でかつフィルム形成
能のあるものであれば特に限定されないが、印刷版の耐
刷性の観点から、該ポリマのガラス転移温度(Tg)が
20℃以下のポリマ、コポリマ、さらに好ましくはガラ
ス転移温度が0℃以下のポリマ、コポリマを用いること
が好ましい。
【0072】有機溶剤に可溶でかつフィルム形成能があ
り、さらに形態保持の機能をも果たすバインダーポリマ
の具体例としては、公知のビニルポリマー類、未加硫ゴ
ム、ポリオキシド類(ポリエーテル類)、ポリエステル
類、ポリウレタン類、ポリアミド類などが挙げられる。
【0073】これらのバインダーの含有量は、全感熱層
組成物に対して5〜70重量%が好ましく、より好まし
くは10〜50重量%である。含有量が5%よりも少な
いと耐刷性が低下しやすく、70重量%よりも多いと感
度が低下しやすい。
【0074】上記各種バインダーポリマは単独で用いて
もよいし、また数種のポリマを混合して使用してもよ
い。
【0075】上記ポリマの中でも、特に、ポリウレタ
ン、ポリエステル、ビニル系ポリマー、未加硫ゴムがバ
インダーポリマとして好ましい。
【0076】更に本発明において、感熱層には、染料、
酸、レベリング剤、界面活性剤、発色剤、可塑剤等を必
要に応じて任意に添加してもよい。
【0077】特に、エチレン性不飽和基、カルボキシル
基、アミノ基などを有する化合物を含むことは好まし
い。
【0078】特に、下層との接着性を高めるためにシラ
ンカップリング剤などの各種カップリング剤を添加する
事は極めて好ましく行われる。
【0079】このようにして得られる感熱層の物性に関
しては、得られる印刷版の印刷特性の観点から、その物
性が特定の範囲にあることが好ましい。この様な物性と
しては引張特性、その中でも引張時の初期弾性率を代表
として挙げることが出来る。具体的には、印刷版におけ
る感熱層の引張時の初期弾性率が7kgf/mm2〜7
8kgf/mm2の範囲、さらには10kgf/mm2
65kgf/mm2の範囲にあることが好ましい。
【0080】感熱層の初期弾性率を以上のような範囲に
設定することにより、印刷版としての特性、特に耐刷性
を向上させることが出来る。逆に、初期弾性率が7kg
f/mm2未満である場合には画線部を形成する感熱層
がベタ着き易くなるため印刷時にヒッキーが発生し易く
なる。また、初期弾性率が78kgf/mm2以上であ
る場合には、印刷時に加わる繰り返し応力により感熱層
と親水性膨潤層との接着界面で破壊が起こりやすくな
り、耐刷性低下の原因となるためである。
【0081】感熱層の厚さは、被覆層にして0.1〜1
0g/m2 であると、印刷版の耐刷性や、希釈溶剤を
揮散し易く生産性に優れる点で好ましく、より好ましく
は1〜7g/m2である。
【0082】本発明の平版印刷版の非画線部は、親水性
膨潤層からなることを特徴とする。
【0083】親水性膨潤層は、親水性ポリマーを主成分
とする組成物より得られる。親水性ポリマーとしては、
水に対して実質的に不溶でかつ水膨潤性を示す、公知の
水溶性ポリマー(水に完全溶解するものを意味する)、
疑似水溶性ポリマー(両親媒性を意味し、マクロには水
に溶解するがミクロには非溶解部分を含むものを意味す
る)、水膨潤性ポリマー(水に膨潤するが溶解しないも
のを意味する)かあげられる。すなわち、通常の使用条
件下で水を吸着または吸収するポリマーを意味し、水に
溶けるか或いは水に膨潤するポリマーを意味する。
【0084】本発明において、親水性ポリマーとしては
公知の親水性ポリマーを使用することができる。次のそ
の具体例を挙げる。
【0085】(A)天然高分子類:デンプン−アクリロ
ニトリル系グラフト重合体加水分解物、デンプン−アク
リル酸系グラフト重合体、デンプン−ビニルスルフォン
酸系グラフト重合体、デンプン−アクリルアミド系グラ
フト重合体、カルボキシル化メチルセルロース、メチル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、セルロース−アクリロニト
リル系グラフト重合体、セルロース−スチレンスルフォ
ン酸系グラフト重合体、カルボキシメチルセルロース系
架橋体、アガロース、コラーゲン、ミルクカゼイン、酸
カゼイン、アンモニアカゼイン、グルー、ゼラチン、グ
ルテン、大豆蛋白、アルギン酸塩、アラビヤガム、アイ
リッシュモス、大豆レシチン、ペクチン酸、澱粉、寒
天、デキストリン、およびマンナンなど。
【0086】(B)合成高分子類:ポリビニルアルコー
ル、ポリエチレンオキサイド、ポリ(エチレンオキサイ
ド-co-プロピレンオキサイド)、水性ウレタン樹脂、水
溶性ポリエステル、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリ
アクリル酸ナトリウム、ポリメタアクリル酸アンモニウ
ム、N−ビニルカルボン酸系ポリマー、アクリル酸系コ
ポリマー、アクリルエマルジョンコポリマー、ポリビニ
ルアルコール系架橋重合体、ポリアクリル酸ナトリウム
系架橋体、ポリアクリロニトリル系重合体ケン化物、ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート系ポリマー(以下
の説明で(メタ)□□□□とあるのは、□□□□または
メタ□□□□を略したものである。)、ポリ(ビニルメ
チルエーテル-co-無水マレイン酸)、無水マレイン酸系
共重合体、ビニルピロリドン系共重合体、ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート系架橋重合体、ポリ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート系架橋重
合体、およびN−ビニルカルボン酸アミド共重合体な
ど。
【0087】これらの中では、本発明の効果を特に有効
に発現する親水性ポリマーとして、カルボン酸塩系共重
合体が挙げられる。カルボン酸塩系共重合体としては、
吸水性および耐久性の観点から、カルボキシル基、カル
ボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸イミド、カル
ボン酸無水物などのカルボキシル基またはカルボキシル
基に誘導しうる基を分子中に1個または2個有するα、
β−不飽和化合物をモノマー成分として含有するカルボ
ン酸系共重合体のケン化反応物が挙げられる。
【0088】α、β−不飽和化合物の具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸アミ
ド、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸アミド、
マレイン酸イミド、イタコン酸、クロトン酸、フマル
酸、メサコン酸などが挙げられ、本発明に必要な親水性
を示す範囲で共重合可能な他のモノマー成分と組合わせ
ることが可能である。
【0089】なお、上記の親水性ポリマーは発明の効果
を損わない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制御
する目的から置換基が異なるモノマーや共重合成分を混
合して用いることが可能である。
【0090】また、親水性膨潤層は上記親水性ポリマー
の少なくとも一種以上を主成分として有する組成物を必
要に応じて架橋または疑似架橋し、水に不溶化させるこ
とにより基板上に形成される。このような架橋、疑似架
橋は通常親水性ポリマーが有する反応性の官能基を利用
することにより行われる。
【0091】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。架橋反応に用
いられる化合物としては、架橋性を有する公知の多官能
性化合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ポリイソシ
アネート化合物、ポリ(メタ)アクリル化合物、ポリメ
ルカプト化合物、ポリアルコキシシリル化合物、多価金
属塩化合物、ポリアミン化合物、アルデヒド化合物、ポ
リビニル化合物、ヒドラジンなどが挙げられ、その架橋
反応は公知の触媒を添加し、反応を促進することが行な
われる。
【0092】これらの架橋剤は単独または2種以上を混
合して使用することが可能である。分散媒としては主と
して水が用いられるが、必要に応じてアルコール類やエ
ステル類、ケトン類など水と混和可能な有機溶剤を添加
することが可能である。
【0093】また、親水性ポリマーにあらかじめ自己架
橋し得るような反応性官能基をペンダントしておき、そ
の官能基を利用することで架橋、疑似架橋構造を形成し
てもよい。
【0094】本発明で用いられる親水性膨潤層は、以下
の方法にしたがって算出される吸水量が特定の範囲であ
ることが好ましい。
【0095】吸水量(g/m2)=WWET −WDRYDRY :乾燥状態における重量(g/m2) WWET :水中に25℃×10分間浸漬した後の重量(g
/m2)。
【0096】[吸水量の測定方法]測定しようとする平
版印刷版の非画線部を所定面積に裁断し、25℃の精製
水中に浸漬する。10分間浸漬した後、その印刷版の親
水性膨潤層表面および裏面に付着した余分の液体を「ハ
イゼガーゼ」(コットン布:旭化成工業(株)製)にて
素速く拭き取り、その印刷版の膨潤重量WWET を秤量す
る。その後、その印刷版を60℃のオーブンにて約30
分間乾燥し、乾燥重量WDRY を秤量する。
【0097】本発明の親水性膨潤層からなる非画線部の
吸水量は、インキ反発性および形態保持性の観点から1
〜50g/m2であることが好ましく、2〜40g/m
2 、さらに3〜30g/m2であることがさらに好まし
い。
【0098】本発明でいう親水性膨潤層厚さとは、基板
上に塗設された乾燥させた感光性平版印刷版原版の親水
性膨潤層の塗布層を剥離し、重量法によって測定した値
を意味する。親水性膨潤層厚さは下記式に従って測定さ
れる。
【0099】 親水性膨潤層厚さ(g/m2 )=(W−W0 )/α W:感光性平版印刷版原版の乾燥重量 (g) W0 :上記Wから親水性膨潤層を剥離脱落した後の乾燥
重量(g) α:感光性平版印刷版原版の測定面積(m2 ) 本発明での好ましい親水性膨潤層厚さは0.3μmから
10μm、さらに好ましくは1μmから5μmである。
親水性膨潤層が0.3μmより薄い場合は、非画線部と
してのインキ反発性が極端に低下するだけでなく、塗布
時におけるピンホールなどの欠点を生じやすくなるため
である。逆に10μmより厚くなると、塗布時の乾燥時
間、温度の問題が生じたり、原材料面で経済的に不利と
なるためである。
【0100】本発明の親水性膨潤層は前述のようにゴム
弾性を有することが好ましい。すなわち、親水性膨潤層
の初期弾性率が、0.01〜10kgf/mm2の範囲
内にあることがインキ反発性および形態保持性の観点か
ら重要であり、0.01〜5kgf/mm2の範囲が好
ましく、0.01〜2kgf/mm2の範囲がさらに好
ましい。初期弾性率が0.01kgf/mm2未満の場
合は、親水性膨潤層の形態保持性が低下し、印刷の耐久
性が劣り、初期弾性率が10kgf/mm2よりも大き
くなるとインキ反発性が極端に低下する。
【0101】[初期弾性率の測定方法]平版印刷版の非
画線部に対応した部分と同一組成の溶液をテフロンシャ
ーレ上に展開し、60℃×24時間乾燥させる。得られ
た乾燥硬化膜は、剃刀刃などを用いて、長さ40mm、
幅1.95mm、厚み約0.2mmの短冊状のテストピ
ースに裁断する。
【0102】得られたテストピースを、測定前に25℃
×50%RHの環境下にて24時間以上放置し、調湿し
た後、厚みをマイクロゲージにて測定し、下記の引張条
件で初期弾性率を測定する。データ処理は、JIS K
6301に準じて行なう。
【0103】引張速度:200mm/分 チャック間距離:20mm 繰返し回数:4回 測定機:「RTM−100」((株)オリエンテック
製) 本発明に用いられる親水性膨潤層は以下の方法にしたが
って算出される水膨潤率が特定の範囲であることが好ま
しい。
【0104】 水膨潤率(%)=(ΘWET−ΘDRY)/ΘDRY ×100 ΘDRY :乾燥状態における非画線部からなる親水性膨潤
層の厚み(μm) ΘWET :膨潤状態における非画線部からなる親水性膨潤
層の厚み(μm) 本発明の親水性膨潤層からなる非画線部(インキ反発部
分)の水膨潤率は、インキ反発性および形態保持性の観
点から10〜2000%であることが好ましく、50〜
1700%、さらには50〜700%の範囲であること
がより好ましい。水膨潤率が10%未満になると非画線
部のインキ反発性が低下し、一方非画線部の水膨潤率が
2000%を越える場合には該非画線部の形態保持性が
低いため印刷時に該非画線部が損傷を受け易くなる。
【0105】次に、本発明における直描型平版印刷版原
版の製造方法および製版方法について説明する。
【0106】基板上に、リバースロールコーター、エア
ーナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、
メーヤバーコーターなどの通常のコーターあるいはホエ
ラーなどを用いて必要に応じて断熱層を塗布し設けた
後、感熱層を塗布し、50〜200℃で数分間加熱乾燥
する。
【0107】この後、親水性膨潤層組成物を塗布し50
〜250℃の温度で数分間熱処理して親水性膨潤層を得
る。
【0108】あるいは、必要に応じて断熱層を設けた
後、親水性膨潤層、次いで感熱層を設けてもよい。
【0109】このようにして得られた版には、最上層を
保護する目的で保護フィルムをラミネートするかあるい
は保護層を形成してもよい。
【0110】このようにして得られた直描型平版印刷版
原版を、保護フィルムを剥離してから、あるいは好まし
くは保護フィルム上からレーザー光で画像状に露光す
る。
【0111】本発明の製版露光工程で用いられるレーザ
ー光源としては、発光波長領域が300nm〜1500
nmの範囲にあるものが用いられる。すなわち、アルゴ
ンイオン、クリプトンイオン、ヘリウム-ネオン、ヘリ
ウム-カドミウム、ルビー、ガラス、YAG、チタンサ
ファイア、色素、窒素、金属蒸気、エキシマ、自由電
子、半導体などの各種レーザーが使用される。
【0112】これらの中でも本発明の印刷版原版を製版
する目的から、近赤外領域付近に発光波長領域が存在す
る半導体レーザーが好ましく、特に高出力半導体レーザ
ーが好ましく用いられる。
【0113】本発明においては、レーザー光が照射され
ると、感熱層中の(a)光熱変換物質の作用で熱が発生
し、その熱により(b)金属キレート化合物と(c)活
性水素基含有化合物の間で反応が起こる。その結果、レ
ーザー光照射部分においては親水性膨潤層と感熱層の接
着力が向上する。他方、未照射部分においては、このよ
うな接着力の向上はないため、その後の現像処理により
親水性膨潤層、あるいは親水性膨潤層と感熱層が除去さ
れる。このようにしてポジ型の直描型平版印刷版が得ら
れる。
【0114】また、感熱層中に予め架橋構造を形成させ
ておいた場合は、その機構は未解明であるが、高感度の
ネガ型の直描型平版印刷版が得られる。すなわち、レー
ザー光照射部の感熱層と親水性膨潤層間の接着力が低下
し、その後の現像処理によって、レーザー光を照射した
部分の親水性膨潤層のみが除去される。
【0115】一方、親水性膨潤層層上に感熱層がある場
合は、レーザー光の照射により感熱層中の(a)光熱変
換物質の作用で熱が発生し、その熱により(b)金属キ
レート化合物と(c)活性水素基含有化合物の間で反応
が起こる。その結果、感熱層が硬化するのと同時に、下
層の親水性膨潤層との接着力が向上する。未照射部分の
感熱層においては、このような変化はなく、その後の現
像処理により除去され、下層の親水性膨潤層が露出す
る。このようにしてネガ型の直描型平版印刷版が得られ
る。
【0116】現像方法としては、水または有機溶剤の存
在もしくは非存在下での摩擦処理により行われる。ある
いは、保護フィルムを剥離することによって印刷版上に
パターンを形成する、いわゆる剥離現像によっても印刷
版を作成することも可能である。
【0117】現像処理を行う場合に使用される現像液と
しては、例えば、水や水に界面活性剤を添加したもの、
さらには水に公知の極性溶媒(アルコール類、ケトン
類、エステル類など)を添加したものや、脂肪族炭化水
素類、芳香族炭化水素類などが用いられる。
【0118】また、上記の現像液組成には、公知の界面
活性剤を添加することも自由に行われる。さらにアルカ
リ剤、例えば炭酸ナトリウム、モノエタノールアミン、
ジエタノールアミン、ジグリコールアミン、モノグリコ
ールアミン、トリエタノールアミン、ケイ酸ナトリウ
ム、ケイ酸カリウム、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウ
ムなどを添加することもできる。
【0119】これらの中では、水あるいは水に界面活性
剤を添加したもの、さらにはアルカリを添加した水が好
ましく用いられる。
【0120】また、これらの現像液にはクリスタルバイ
オレット、ビクトリピュアブルー、アストラゾンレッド
などの公知の塩基性染料、酸性染料、油溶性染料を添加
して現像と同時に画像部の染色化を行うことができる。
【0121】現像する際には、これらの現像液を、不織
布、脱脂綿、布、スポンジ等に含浸させて、版面を拭き
取ることによって、現像することができる。
【0122】また、現像は、特開昭63−163357
号公報に記載されているような自動現像機を用い、上記
の現像液で版面を前処理した後に水道水などでシャワー
しながら回転ブラシで版面を擦ることによって行うこと
も出来、細かい点の再現性などの観点からは好ましい方
法となっている。
【0123】また、温水や水蒸気を版面に噴射すること
によっても現像が可能である。
【0124】さらに、レーザー照射後の版をいわゆる現
像処理を行わずにそのまま印刷機に取り付け、印刷の立
ち上げ前や立ち上げ時にローラーの回転と湿し水の作用
で画線部の親水性膨潤層を除去し、現像処理を行うこと
もできる。いわゆるプロセスレスの版材である。
【0125】次に、本発明の平版印刷版原版を用いた印
刷方法について説明する。
【0126】本発明の平版印刷版原版を用いた平版印刷
には、公知の平版印刷機が用いられる。すなわち、オフ
セットおよび直刷り方式の枚葉および輪転印刷機などが
用いられる。
【0127】画像形成を行なった平版印刷版を、これら
の平版印刷機の版胴に装着し、その版面には接触するイ
ンキ着けローラーからインキが供給される。その版面上
の親水性膨潤層を有する非画線部分は湿し水供給装置か
ら供給される湿し水によって膨潤し、インキを反撥す
る。一方、画線部分はインキを受容し、オフセットブラ
ンケット胴表面または被印刷体表面にインキを供給して
印刷画像を形成する。
【0128】本発明の平版印刷版原版から得られた平版
印刷版を印刷する際に使用される湿し水は、水ありPS
版で使用されるエッチ液を用いることはもちろん可能で
あるが、添加物を一切含有しない純水を使用することが
できる。本発明の平版印刷版原版から得られた平版印刷
版を用いて印刷する際には添加物を一切有さない純水を
使用することが好ましい。
【0129】以下に、実施例により本発明をさらに詳し
く説明する。
【0130】
【実施例】(合成例1)酢酸ビニル60gとアクリル酸
メチル40gに、重合開始剤としてベンゾイルパーオキ
シド0.5gを計量し、これらを、分散安定剤として部
分ケン化ポリビニルアルコール3gとNaCl10gを
含む水300ml中に分散させた。
【0131】その分散液を65℃で6時間撹拌し、懸濁
重合を行なった。得られた共重合体のアクリル酸メチル
成分は、NMRスペクトルから同定した結果48モル%
であった。また30℃におけるベンゼン溶液中での極限
粘度は2.10であった。
【0132】次に、その共重合体8.6gを200gの
メタノールと10gの水および5NのNaOH40ml
からなるケン化反応液中に添加し撹拌懸濁させ、25℃
で1時間ケン化反応を行なった後、温度を65℃に昇温
し、さらに5時間ケン化反応を行なった。
【0133】得られたケン化反応物をメタノールで十分
に洗浄し凍結乾燥した。ケン化度は98.3モル%であ
り、赤外吸収スペクトルの測定の結果、3400cm-1
付近の水酸基に帰属されるブロードな吸収と、1570
cm-1に−COO- 基に帰属される強い吸収が確認され
た。 実施例1 厚さ0.24mmの脱脂したアルミ板上に下記の組成よ
りなる溶液を塗布し、200℃、2分間乾燥し、3g/
2の断熱層を設けた。 <断熱層> (a)エポキシ・フェノール樹脂“カンコート”90T
−25−3094(関西ペイント(株)製):15重量
部 (b)“ホワイト”UL7E265(住化カラー(株)
製、酸化チタン):2重量部 (c)ジメチルホルムアミド:85重量部 次いで、この断熱層上に次の組成を有する感熱層組成物
を塗布し、150℃で1分間乾燥し、膜厚2g/m2の
感熱層を設けた。 <感熱層> (a)SPRIT NIGROSINE SJ(Dye Specialities,IN
C.):5重量部 (b)“アルミキレート”D(アルミニウムモノアセチ
ルアセトネートビスエチルアセトアセテート、川研ファ
インケミカル(株)製):30重量部 (c)“スミラック”PC−1(レゾール樹脂、住友デ
ュレス(株)製)):70重量部 (d)“サンプレン”LQ−909L(ポリウレタン樹
脂、三洋化成工業(株)製):20重量部 (e)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン:3重量
部 (f)テトラヒドロフラン:872重量部 さらに、この感熱層の上に下記の組成を有する親水性膨
潤層組成物をバーコーターで塗布した後、200℃で1
0分間湿熱硬化させて2.0μmの親水性膨潤層を設け
た。 <親水性膨潤層> (1)親水性ポリマ−1:75重量部 (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル:5重量部 (3)水性ラテックス「JSR0548」[カルボキシ
変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス:日本合成
ゴム製]:18重量部 (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン:2重量
部 (5)精製水:900重量部 上記のようにして得られた積層板に、厚さ8μmのポリ
エステルフィルム“ルミラー”(東レ(株)製)をカレ
ンダーローラーを用いてラミネートし、直描型平版印刷
版原版を得た。
【0134】この後、この印刷版原版をFX400−A
P(製版機、東レエンジニアリング(株)製)に装着し、
半導体レーザー(波長830nm、ビーム直径20μ
m、レーザー出力300mJ/秒)を用いて露光時間1
0μsでパルス露光を行った。
【0135】得られた印刷版を水道水を染み込ませた現
像パッド(3M製)で擦ることで刷版を得た。その後、
刷版を枚葉オフセット印刷機「スプリント25:小森コ
ーポレーション(株)製」に装着し、湿し水として市販
の精製水を供給しながら上質紙(62.5kg/菊)を
用いて印刷した結果、レーザー光が照射された部分の画
像が再現された(ネガ型の)印刷物が得られた。
【0136】非画線部の吸水量は定義に従って測定した
結果、8.7g/m2であった。また、非画線部の水膨
潤率は定義にしたがって測定した結果、290%であっ
た。
【0137】また約3000枚の印刷を行なった時点
で、各刷版にインキ汚れは発生せず、十分にコントラス
トを有する明瞭な印刷物が得られた。
【0138】さらに、製版後の版を用いて画線部ベタ部
の感熱層の厚さを測定したところ1.6g/m2であ
り、残存率が80%であることが判明した。 比較例1 実施例1において、感熱層中の金属キレート化合物であ
る(b)“アルミキレート”Dを抜いた以外は全く同様
にして印刷版原版を作成し、同様に評価したところ、レ
ーザー光未照射部のみならず、レーザー光照射部の親水
性膨潤層も剥がれず、ネガ画像を再現することが出来な
かった。 比較例2 実施例1において、親水性膨潤層の代わりに下記組成よ
りなる層を用い、150℃で60分熱処理し、2g/m
2の厚みを有する層とした以外は実施例1と全く同様に
版を作製した。 (1)クロロプレンラテックス:78重量部 (2)エチレングリコールジグリシジルエーテル:5重
量部 (3)2−アミノプロピルトリメトキシシラン:2重量
部 (4)水性ラテックス“JSR0548”(カルボキシ
変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス 大日本イ
ンキ化学工業(株)製):15重量部 (5)精製水:900重量部 実施例1と同様にレーザー照射、現像を行い、刷版を得
ることが出来たが、非画線部の水膨潤率を定義に従って
測定した結果、9.1%と本発明の範囲を逸脱したもの
であった。実施例1と同様に印刷を行ったところ、本
来、非画線部となるべき部分もインキを反撥せず、全面
インキ汚れの印刷物が得られた。 比較例3 実施例1において、親水性膨潤層の代わりに下記組成よ
りなる層を用い、150℃で60分熱処理し、乾燥膜厚
2g/m2の厚みを有する層とした以外は実施例1と全
く同様に版を作製した。 (1)ゼラチン:100重量部 (2)エチレングリコールジグリシジルエーテル:20
重量部 (3)2−アミノプロピルトリメトキシシラン:2重量
部 (4)精製水:900重量部 実施例1と同様に露光、現像を行い、刷版を得ることが
出来たが、非画線部の吸水量を定義に従って測定した結
果、0.8g/m2と本発明の範囲を逸脱したものであ
った。実施例1と同様に印刷を行ったところ、本来、非
画線部となるべき部分もインキを反撥せず、全面インキ
汚れの印刷物が得られた。 比較例4 実施例1において、親水性膨潤層の代わりに下記組成よ
りなる層を用い、100℃で2分処理し、乾燥膜厚2μ
mの厚みを有する層とした以外は実施例1と全く同様に
版を作製した。 (1)アクリルアミドメチルプロパンスルフォン酸/メ
チルメタクリレート共重合体(組成比50:50(重量
比)):110重量部 (2)エチレングリコールジグリシジルエーテル:10
重量部 (3)2−アミノプロピルトリメトキシシラン:2重量
部 (4)精製水:900重量部 実施例1と同様に露光、現像を行い、刷版を得ることが
出来たが、非画線部の吸水量を定義に従って測定した結
果、62g/m2と本発明の範囲を逸脱したものであっ
た。実施例1と同様に印刷を行ったところ、3000枚
を印刷した時点でも画線部にインキが十分着肉しないと
いう問題があった。 実施例2 実施例1における感熱層を下記に変更し、乾燥膜厚2.
5g/m2、乾燥条件は150℃×2分間とした以外は
全く実施例1と同様に原版を作成した。実施例1と同様
の評価を行ったところ、ネガ型の平版印刷版が得られ
た。
【0139】さらに、製版後の版を用いて、画線部ベタ
部の感熱層の厚さを測定したところ2.3g/m2であ
り、残存率が92%であることが判明した。 <感熱層> (a)“KAYASORB”IR−820B(赤外線吸
収染料、日本化薬(株)製):10重量部 (b)“ナーセム”Ti(アセチルアセトンチタン、日
本化学産業(株)製):15重量部 (c)ペンタオキシプロピレンジアミン/グリシジルメ
タクリレート/メチルグリシジルエーテル=1/3/1
mol比付加反応物:15重量部 (d)m−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレ
ート/メチルグリシジルエーテル=1/2/2mol比
付加反応物:15重量部 (e)m−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレ
ート/3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン=
1/3/1mol比付加反応物:3重量部 (f)“デナコール”EX−411(ペンタエリスルト
ールポリグリシジルエーテル、ナガセ化成工業(株)
製) 5重量部 (g)“サンプレン”T−1331(ポリウレタン樹脂
三洋化成工業(株)製、 ガラス転移温度Tg:−3
7℃):30重量部 (h)マレイン酸 :0.5重量部 (i)“パーヘキサ”3M(有機過酸化物 日本油脂
(株)製):5重量部 (j)テトラヒドロフラン:200重量部 (k)ジメチルホルムアミド:50重量部 非画線部の吸水量、水膨潤率は定義に従って測定した結
果、それぞれ8.7g/m2、290%であった。
【0140】また、感熱層の初期弾性率は20kgf/
mm2であった。 実施例3 実施例1における感熱層を下記に変更し、乾燥膜厚2g
/m2、乾燥条件は150℃×1分間とした以外は全く
実施例1と同様に原版を作成した。実施例1と同様の評
価を行ったところ、ネガ型の水なし平版印刷版が得られ
た。
【0141】非画線部の吸水量、水膨潤率は定義に従っ
て測定した結果、それぞれ8.7g/m2、290%で
あった。
【0142】さらに、製版後の版を用いて、画線部ベタ
部の感熱層の厚さを測定したところ1.6g/m2であ
り、残存率80%であった。 <感熱層> (a)“SOHN BLACK”(Waterbase)(三菱
化学(株)製、カーボンブラックの水分散ペースト):7
重量部 (b)鉄(III )アセチルアセトネート(半井化学薬品
(株)製):10重量部 (c)“ゴーセノール”KL−05(ポリビニルアルコ
ール、日本合成化学工業(株)製):8重量部 (d)“マルカリンカー”PHM−C(ポリパラヒドロ
キシスチレン、丸善石油化学工業(株)製):15重量
部 (e)“TSL”8350(γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、東芝シリコーン(株)製):2重
量部 (f)精製水:280重量部 (g)エタノール:40重量部 実施例4 厚さ0.24mmの脱脂したアルミ板上に下記の組成よ
りなる溶液を塗布し、200℃、2分間乾燥し、3g/
2の断熱層を設けた。 <断熱層> (a)ポリウレタン樹脂“ミラクトラン”P22S(日
本ミラクトラン(株)製):100重量部 (b)ブロックドイソシアネート“タケネートB83
0”(武田薬品工業(株)製):20重量部 (c)エポキシ・フェノール・尿素樹脂“SJ937
2”(関西ペイント(株)製):8重量部 (d)ジブチル錫ジアセテート:0.5重量部 (e)“FINEX”25(白色顔料、堺化学(株)
製):10重量部 (f)“KET−YELLOW”402(黄色顔料、大
日本インキ化学工業(株)製):10重量部 (g)ジメチルホルムアミド:720重量部 次いで、この断熱層上に次の組成を有する感熱層組成物
を塗布し、60℃で1分間乾燥し、膜厚2g/m2の感
熱層を設けた。 <感熱層> (a)SPRIT NIGROSINE SJ(Dye Specialities,IN
C.):10重量部 (b)“アルミキレート”A(アルミニウムアセチルア
セトネート、川研ファインケミカル(株)製):35重
量部 (c)“MATRIMID”5292B(ビスフェノー
ルA型フェノール性水酸基含有ジビニル化合物、旭チバ
(株)製):40重量部 (d)ペンタオキシプロピレンジアミン/グリシジルメ
タクリレート/メチルグリシジルエーテル=1/3/1
mol比付加反応物:20重量部 (f)m−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレ
ート/3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン=
1/3/1mol比付加反応物:5重量部 (d)“サンプレン”LQ−909L(ポリウレタン樹
脂、三洋化成工業(株)製):5重量部 (e)テトラヒドロフラン:875重量部 さらに、この感熱層の上に下記の組成を有する親水性膨
潤層組成物をバーコーターで塗布した後、100℃で5
分間湿熱硬化させて1.5μmの親水性膨潤層を設け
た。 <親水性膨潤層> (1)親水性ポリマ−1:70重量部 (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル:10重量部 (3)水性ラテックス「JSR0548」(カルボキシ
変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス、日本合成
ゴム製):15重量部 (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン:5重量
部 (5)“エマール”O(界面活性剤、花王(株)製):
5重量部 (6)精製水:850重量部 (7)IPA:50重量部 上記のようにして得られた積層板に、厚さ8μmのポリ
プロピレンフィルム“トレファン”(東レ(株)製)を
カレンダーローラーを用いてラミネートし、直描型平版
印刷版原版を得た。
【0143】この後、この印刷版原版をFX400−A
P(製版機、東レエンジニアリング(株)製)に装着し、
半導体レーザー(波長830nm、ビーム直径20μ
m、レーザー出力300mJ/秒)を用いて露光時間1
0μsでパルス露光を行った。
【0144】得られた印刷版を市販の精製水を染み込ま
せた現像パッド(3M製)で擦ると、レーザー光が照射
された部分の親水性膨潤層のみが残存し、一方、レーザ
ー光未照射部分の親水性膨潤層が除去されたポジ型の平
版印刷版が得られた。
【0145】非画線部の吸水量は定義に従って測定した
結果、10.4g/m2であった。また、非画線部の水
膨潤率は定義にしたがって測定した結果、360%であ
った。 比較例5 実施例4において、感熱層中の金属キレート化合物であ
る(b)“アルミキレート”Dを抜いた以外は全く同様
にして印刷版原版を作成し、同様に評価したところ、レ
ーザー光未照射部のみならず、レーザー光照射部の親水
性膨潤層も含め全面の親水性膨潤層が剥がれ画像を全く
再現することが出来なかった。 実施例5 厚さ0.24mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)
に、下記の断熱層組成物を塗布した後、180℃×1分
間加熱処理し、乾燥重量で2g/m2の厚みを有する断
熱層を塗設した。 <断熱層> (1)“スミラック”PC−1(レゾール樹脂、住友デ
ュレス(株)製)):15重量部 (2)ジグライム:85重量部 次に、下記の組成の液を塗布した後、180℃×5分間
加熱処理して乾燥重量3g/m2 の厚みを有する親水性
膨潤層を塗設した。 <親水性膨潤層> (1)合成例1の親水性ポリマー:10重量部 (2)N−ヒドロキシエチルキシリレンジアミン:1重
量部 (3)精製水:100重量部 さらに、下記組成の液をスリットダイコーターを用いて
塗布した後、70℃で2分間加熱処理することにより、
乾燥重量3g/m2の厚みを有する感熱層を得た。<感
熱層> (a)“KAYASORB”IR−820B(赤外線吸
収染料、日本化薬(株)製):5重量部 (b)“アルミキレート”D(アルミニウムモノアセチ
ルアセトネートビスエチルアセトアセテート、川研ファ
インケミカル(株)製):20重量部 (c)“エポキシエステル”80MFA(エポキシアク
リレート、共栄社化学(株)製)):40重量部 (d)ポリビニルアルコールAL−06(日本合成化学
(株)製):10重量部 (e)ポリウレタンエマルジョン“スーパーフレック
ス”R−5100(第一工業製薬(株)製):40重量
部 (f)“Cataloid”SI−30(触媒化成工業(株)
製)(平均粒子径0.01〜0.014μmのコロイダ
ルシリカ微粒子、水分散):10重量部 (g)純水:700重量部 (h)エチレングリコールモノエチルエーテル:200
重量部 この後、この印刷版原版をFX400−AP(製版機、
東レエンジニアリング(株)製)に装着し、半導体レーザ
ー(波長830nm、ビーム直径20μm、レーザー出
力300mJ/秒)を用いて露光時間10μsでパルス
露光を行った。
【0146】得られた印刷版を市販の精製水/IPA:
95/5を染み込ませた現像パッド(3M製)で擦る
と、レーザー光が照射された部分の感熱層のみが残存
し、一方、レーザー光未照射部分の感熱層は除去され下
層の親水性膨潤層が露出されたネガ型の平版印刷版が得
られた。
【0147】非画線部の吸水量、水膨潤率は、それぞれ
14.0g/m2、水膨潤率438%であった。 比較例6 実施例5において、感熱層中の金属キレート化合物であ
る(b)“アルミキレート”Dを抜いた以外は全く同様
にして印刷版原版を作成し、同様に評価したところ、感
熱層が版面全体にわたり剥がれた版しか得られなかっ
た。 実施例6 実施例1で得た断熱層の上に、次の組成を有する感熱層
組成物を塗布し、120℃で1分間乾燥し、膜厚3g/
2の感熱層を設けた。 <感熱層> (a)カーボンブラック分散ロジン変性マレイン酸樹脂
(内カーボンブラック10重量部):15重量部 (b)鉄(III )アセチルアセトネート(半井化学薬品
(株)製):10重量部 (c)“スミライトレジン”PR−50731(ノボラ
ック樹脂、住友デュレス(株)製)):20重量部 (d)“エポキシエステル”3000M(水酸基含有ア
クリレート、共栄社化学(株)製):20重量部 (e)“サンプレン”LQ−T1331(ポリウレタン
樹脂、三洋化成工業(株)製):40重量部 (f)N,N−ジメチルホルムアミド:175重量部 (g)テトラヒドロフラン:400重量部 この感熱層の上に実施例1と同じ親水性膨潤層組成物を
同じ条件で設け、直描型平版印刷版原版を得た。
【0148】得られた原版を実施例1と同様に評価した
ところ、レーザー光が照射された部分の画像が再現され
た(ネガ型の)印刷物が得られた。 実施例7 実施例6で得られた印刷版原版に、波長1064nm、
ビーム径100μm(1/e2)の半導体励起YAGレ
ーザーを用いて連続線の書き込みを行った。記録エネル
ギーは0.75J/cm2とした。
【0149】実施例6と同様に現像処理したところ、レ
ーザー光が照射された親水性膨潤層のみが脱離したネガ
型の平版印刷版が得られた。 比較例7 実施例5において、親水性膨潤層の代わりに下記組成よ
りなる層を用い、150℃で60分熱処理し、2g/m
2の厚みを有する層とした以外は実施例5と全く同様に
版を作製した。 (1)クロロプレンラテックス:78重量部 (2)エチレングリコールジグリシジルエーテル:5重
量部 (3)2−アミノプロピルトリメトキシシラン:2重量
部 (4)水性ラテックス“JSR0548”(カルボキシ
変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス 大日本イ
ンキ化学工業(株)製):15重量部 (5)精製水:900重量部 実施例5と同様にレーザー照射、現像を行ったところ非
常に現像しにくいという問題はあったものの刷版を得る
ことが出来た。実施例5と同様に印刷を行ったところ、
本来、非画線部となるべき部分もインキを反撥せず、全
面インキ汚れの印刷物が得られた。
【0150】非画線部の水膨潤率を定義に従って測定し
た結果、8.7%と本発明の範囲を逸脱したものであっ
た。 比較例8 実施例5において、親水性膨潤層の代わりに下記組成よ
りなる層を用い、150℃で60分熱処理し、乾燥膜厚
2g/m2の厚みを有する層とした以外は実施例1と全
く同様に版を作製した。 (1)ゼラチン 100重量部 (2)エチレングリコールジグリシジルエーテル 20重量部 (3)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (4)精製水 900重量部 実施例5と同様に露光、現像を行い、刷版を得ることが
出来たが、非画線部の吸水量を定義に従って測定した結
果、0.65g/m2と本発明の範囲を逸脱したもので
あった。実施例5と同様に印刷を行ったところ、本来、
非画線部となるべき部分もインキを反撥せず、全面イン
キ汚れの印刷物が得られた。 比較例9 実施例5において、親水性膨潤層の代わりに下記組成よ
りなる層を用い、100℃で2分処理し、乾燥膜厚2μ
mの厚みを有する層とした以外は実施例5と全く同様に
版を作製した。 (1)アクリルアミドメチルプロパンスルフォン酸/メ
チルメタクリレート共重合体(組成比50:50(重量
比)):110重量部 (2)エチレングリコールジグリシジルエーテル:10
重量部 (3)2−アミノプロピルトリメトキシシラン:2重量
部 (4)精製水:900重量部 実施例5と同様に露光、現像を行い、刷版を得ることが
出来たが、非画線部の吸水量を定義に従って測定した結
果、60g/m2と本発明の範囲を逸脱したものであっ
た。実施例5と同様に印刷を行ったところ、3000枚
を印刷した時点でも画線部にインキが十分着肉しないと
いう問題があった。 実施例8 実施例1で得た断熱層の上に、次の組成を有する感熱層
組成物を塗布し、150℃で1分間乾燥し、膜厚2g/
2の感熱層を設けた。 <感熱層> (a)“KAYASORB”IR−820B(赤外線吸
収染料、日本化薬(株)製):5重量部 (b)鉄(III )アセチルアセトネート(半井化学薬品
(株)製):10重量部 (c)“スミライトレジン”PR−50731(ノボラ
ック樹脂、住友デュレス(株)製)):20重量部 (d)“エポキシエステル”3000M(水酸基含有ア
クリレート、共栄社化学(株)製):20重量部 (e)“サンプレン”LQ−T1331(ポリウレタン
樹脂、三洋化成工業(株)製):40重量部 (f)N,N−ジメチルホルムアミド:175重量部 (g)テトラヒドロフラン:400重量部 さらに、この感熱層の上に下記の組成を有する親水性膨
潤層組成物をバーコーターで塗布した後、200℃で3
分間湿熱硬化させて1.5μmの親水性膨潤層を設け
た。 <親水性膨潤層> (1)親水性ポリマ−1:100重量部 (2)グリオキザール:5重量部 (3)“SH8627”(シリコーンエマルジョン、東
レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製):10重量
部 (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン:5重量
部 (5)“エマール”O(界面活性剤、花王(株)製):
5重量部 (6)精製水:850重量部 (7)IPA:50重量部 上記のようにして得られた積層板に、厚さ8μmのポリ
プロピレンフィルム“トレファン”(東レ(株)製)を
カレンダーローラーを用いてラミネートし、直描型平版
印刷版原版を得た。
【0151】得られた原版を実施例1と同様に評価した
ところ、レーザー光が照射された部分の親水性膨潤層が
除去されたネガ型の印刷版が得られた。
【0152】実施例1と同様に印刷を行った結果、約1
0000枚の印刷を行なった時点で、各刷版にインキ汚
れは発生せず、十分にコントラストを有する明瞭な印刷
物が得られた。
【0153】さらに、製版後の版を用いて、画線部ベタ
部の感熱層の厚さを測定したところ1.7g/m2であ
り、残存率が85%であることが判明した。
【0154】また、非画線部の吸水量は定義に従って測
定した結果、12.7g/m2であった。また、非画線
部の水膨潤率は定義にしたがって測定した結果、442
%であった。 実施例9 実施例3において、感熱層中の(d)“マルカリンカ
ー”PHM−C:15重量部の代わりに(d)“ラック
スター”DN−702:20重量部を用いた以外は全く
同様にして印刷版原版を作成し、同様に評価したとこ
ろ、実施例3と同様にレーザー光が照射された部分の親
水性膨潤層が除去されたネガ型の印刷版が得られた。
【0155】
【発明の効果】本発明は、直描型平版印刷版原版におい
て、感熱層が光熱変換物質と金属キレート化合物を含有
することで、レーザー光照射で画像形成可能な直描型平
版印刷版が得られる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、少なくとも(1)感熱層、およ
    び(2)乾燥膜厚が5μm以下で、吸水量が1〜50g
    /m2かつ水膨潤率が10〜2000%の親水性膨潤層
    をこの順に積層してなる直描型平版印刷版原版におい
    て、該感熱層が少なくとも (a)光熱変換物質 (b)金属キレート化合物 を含むことを特徴とする直描型平版印刷版原版。
  2. 【請求項2】基板上に、少なくとも(1)乾燥膜厚が5
    μm以下で、吸水量が1〜50g/m2かつ水膨潤率が
    10〜2000%の親水性膨潤層、(2)感熱層をこの
    順に積層してなる直描型平版印刷版原版において、該感
    熱層が少なくとも (a)光熱変換物質 (b)金属キレート化合物 を含むことを特徴とする直描型平版印刷版原版。
  3. 【請求項3】該金属キレート化合物がAl、Ti、M
    n、Co、Ni、Fe、Cu、Zn、Ge、In、Sn
    の群から選ばれる金属のキレート化合物であることを特
    徴とする請求項1、2いずれか記載の直描型平版印刷版
    原版。
  4. 【請求項4】該感熱層が活性水素基含有化合物を有する
    ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の直描型平
    版印刷版原版。
  5. 【請求項5】活性水素基含有化合物がフェノール性水酸
    基含有化合物であることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載の直描型平版印刷版原版。
  6. 【請求項6】該金属キレート化合物が、金属ジケテネー
    ト、金属アルコキサイド、アルキル金属、金属カルボン
    酸塩から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とす
    る請求項1〜5いずれか記載の直描型平版印刷版原版。
JP4176799A 1998-02-20 1999-02-19 直描型平版印刷版原版 Pending JPH11301132A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4176799A JPH11301132A (ja) 1998-02-20 1999-02-19 直描型平版印刷版原版

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-38516 1998-02-20
JP3851698 1998-02-20
JP4176799A JPH11301132A (ja) 1998-02-20 1999-02-19 直描型平版印刷版原版

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11301132A true JPH11301132A (ja) 1999-11-02

Family

ID=26377777

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4176799A Pending JPH11301132A (ja) 1998-02-20 1999-02-19 直描型平版印刷版原版

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11301132A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3392404B2 (ja) レーザイメージング装置に用いるリソグラフ印刷プレート
US6344306B1 (en) Directly imageable waterless planographic printing plate precursor, and directly imageable waterless planographic printing plate
DE69830289T2 (de) Direkt beschreibbare Trockenflachdruck-Vorstufe und Verfahren zur Herstellung von Flachdruckplatten
US7129021B2 (en) Polymer system with switchable physical properties and its use in direct exposure printing plates
JP4186278B2 (ja) 直描型水なし平版印刷版原版
JPH10329443A (ja) レーザー感応性平版印刷版原版
JPH11301132A (ja) 直描型平版印刷版原版
US20030228540A1 (en) Directly imageable planographic printing plate precursor and a method of producing planographic printing plates
JP4356505B2 (ja) 直描型水なし平版印刷版原版
EP1609618A1 (en) Lithographic printing plate original form and plate making method
JP2000263957A (ja) 直描型水なし平版印刷版原版
JP2005300586A (ja) 直描型水なし平版印刷版原版、その製造方法及びそれを用いた印刷版の製造方法
JPH11188974A (ja) 直描型水なし平版印刷版原版
JPH11157236A (ja) 直描型水なし平版印刷版原版
JP2000043437A (ja) 直描型平版印刷版原版および平版印刷版の製造方法
JP2000309175A (ja) 直描型水なし平版印刷版の製造方法
JP4022987B2 (ja) 直描型水なし平版印刷版原版
JP2000263956A (ja) 直描型水なし平版印刷版原版
JP2006276597A (ja) 直描型水なし平版印刷版原版および直描型水なし平版印刷版原版用シリコーンゴム層溶液
JP4022988B2 (ja) 直描型水なし平版印刷版原版
JP2003266966A (ja) 直描型水なし平版印刷版原版および直描型水なし平版印刷版
JPH11352673A (ja) 直描型水なし平版印刷版原版
JP2001001661A (ja) 直描型水なし平版印刷版原版
JPH11334236A (ja) 直描型平版印刷版原版
JP2001191658A (ja) 直描型水なし平版印刷版原版および直描型水なし平版印刷版