JPH10329443A - レーザー感応性平版印刷版原版 - Google Patents

レーザー感応性平版印刷版原版

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JPH10329443A
JPH10329443A JP7952498A JP7952498A JPH10329443A JP H10329443 A JPH10329443 A JP H10329443A JP 7952498 A JP7952498 A JP 7952498A JP 7952498 A JP7952498 A JP 7952498A JP H10329443 A JPH10329443 A JP H10329443A
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JP
Japan
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heat
laser
sensitive
printing plate
group
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JP7952498A
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English (en)
Inventor
Kazuo Kitamura
和夫 北村
Kenichi Tabata
憲一 田畑
Norimasa Ikeda
憲正 池田
Kazuoki Goto
一起 後藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高いレーザー感応性を有すると共に現像性、画
像特性、耐刷性など諸特性に優れたレーザー感応性平版
印刷版原版を得る。 【解決手段】表面が親水性である基板上に、水酸基を含
有する熱可塑性ポリマー微粒子、金属アセチルアセトナ
ート、バインダーポリマーを含有する感熱層を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版原版に関
するものであり、特にデジタル処理された画像情報を小
出力レーザーを用いて描画することが可能な新規なレー
ザー感応性平版印刷版原版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷とは、画線部と非画線部とを基
本的にほぼ同一平面に存在させ、画線部をインキ受容
性、非画線部をインキ反撥性として、インキの付着性の
差異を利用して、画線部のみにインキを着肉させた後、
紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方式を意味
する。このような平版印刷には通常、PS版が用いられ
る。PS版とは、親水化処理された表面を有する基板上
に親油性の感光性樹脂層を塗布したもので、フォトリソ
グラフィの技術により画像が形成される。画線部は親油
性の感光層が残存しインキを受容し、一方非画線部は上
記した親水性の基板表面が露出し、該表面に湿し水層を
形成してインキを反撥する。
【0003】PS版は、原画フィルムを通して露光、現
像と言ったフォトリソグラフィ技術による製版工程を経
て刷版となるが、近年これらに代替する技術として、原
画フィルムを用いずに、レーザーを用いてデジタル処理
された画像情報を直接レーザー感応性平版印刷版版面に
描画する方法が提案され、脚光を浴びている。
【0004】PS版をレーザー感応型にする方法として
は、大別して感光型、及び感熱型のものが多く提案され
ている。感光型はヘリウム−ネオンレーザーやアルゴン
イオンレーザーの可視光ないし紫外光に感応する高感度
フォトポリマーを用いて直接描画するものが主体である
が、小出力のレーザーを用い描画するためにはなお感度
が不十分であり、また高感度のものは一般に保存安定性
が悪いなどの問題があった。更に、高感度であるために
暗室作業が必要であり、取扱性、作業性に大きな問題が
あった。
【0005】一方の感熱型はレーザー、特に赤外線レー
ザーを用い熱モードで描画するもので、通常の可視光や
紫外光には感応性を有しないため明室での作業が可能で
作業性に優れ、主に社内印刷をはじめとする軽印刷分野
に於いて実用的な提案が種々なされている。例えば、特
開昭63-64747号公報、特開平1-113290号公報などには、
支持体上に設けられた感熱層に分散させた熱溶融樹脂及
び熱可塑性樹脂を熱印字により溶融し、加熱部分を親水
性から疎水性に変化させる印刷版原版が提案されてい
る。特開平5-138848号公報には、熱可塑性樹脂及びその
溶融助剤として低分子有機化合物を含有する感熱層を用
いる印刷版原版が提案されている。特開平3-108588号公
報、特開平5-8575号公報では、支持体上にマイクロカプ
セル化された熱溶融物質とバインダーポリマーとからな
る感熱記録層を塗設し、加熱部分を親油性に変化させる
印刷版原版が提案されている。しかしこれらの印刷版原
版は、感熱性は良好であるが、形成された画像は三次元
架橋構造をとっていない溶剤可溶性樹脂からなるため耐
久性に劣り、また基板との接着も不十分で、耐刷性の劣
るものであった。
【0006】熱により樹脂の硬化反応を起こさせ画像を
形成するタイプも提案されており、例えば特開昭62-164
596号公報、特開昭62-164049号公報では、親水性表面を
有する支持体上に活性水素を含有するバインダーポリマ
ー及びブロック化イソシアネートとからなる感熱層を設
けた印刷版原版が提案されている。また特開平7-20629
号公報には、支持体上にレゾール樹脂、ノボラック樹
脂、潜在性ブレンステッド酸(酸発生剤)及び赤外線吸
収剤よりなる感熱・感光層を設ける印刷版原版が提案さ
れている。これらの化学反応により画像を形成するタイ
プは一般に単に熱溶融等により画像を形成するタイプに
比べ低感度であり、画像形成に多大のエネルギー・高出
力レーザーを要するという問題がある。特開平7-20629
号公報に提案されているものは、レーザー描画後更に加
熱後処理が必要であり、操作が煩雑である点も問題であ
る。またこれらの印刷版は印字後、非印字部分をアルカ
リや有機溶剤を用いて除去する現像工程が必要であっ
た。
【0007】また米国特許公報4063949号公報では、支
持体上に設けられた親水性ポリマをレーザー照射し親水
性基を消失させ、親油性基に転換させる印刷版原版が提
案されている。
【0008】米国特許公報5353705号公報においては、
ニトロセルロースおよびカーボンブラックからなるレー
ザー感応層上にポリビニルアルコールをインキ反撥性層
として積層したヒートモード記録材料が提案されてい
る。しかしながら、これらのインキ反撥性は湿し水供給
下でも極めて不十分なものであった。
【0009】更にCTP型の印刷版原版として親水性層
表面に画線部をインクジェットやトナー転写等を用いて
画像形成する直描型平版印刷版原版も提案されている。
例えば特開昭62- 1587号公報には、マイクロカプセル化
した非反応性の熱溶融性物質を塗布し、加熱印字によっ
てトナー受理層を形成する方法が提案されている。しか
しながら、形成されたトナー受理層に更に親油性のトナ
ーを固着させるなど、刷版形成には印字後後処理が必要
であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、これら
従来のレーザー感応性平版印刷版原版における、版性
能、製版装置、製版作業性、価格などの面での問題点を
解決するべく、低価格で、製造、製版工程が簡便であ
り、かつ、画像再現性、耐刷性に優れた新規なレーザー
感応性平版印刷版原版の開発を鋭意検討した結果、本発
明者らの見出した感熱性樹脂組成をレーザー感応性成分
として用いることにより所期の目的が達成可能であるこ
とを見出した。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は以下
の構成を有する。
【0012】(1)表面が親水性である基板上にレーザ
ー感応性の感熱層を備えた平版印刷版原版であって、該
感熱層は(a)水酸基、カルボキシル基、アミノ基、メ
ルカプト基、ジケトン基、エチレン性不飽和基より選ば
れる少なくとも1種の官能基を含有するポリマー、
(b)金属キレート化合物、および(c)溶剤可溶性の
バインダーポリマー を主成分とする層であることを特
徴とするレーザー感応性平版印刷版原版。
【0013】(2)該ポリマーが熱可塑性ポリマー微粒
子であることを特徴とする(1)記載のレーザー感応性
平版印刷版原版。
【0014】(3)該感熱層が、さらにレーザー発信波
長領域に吸収帯を有する光−熱変換物質を含有すること
を特徴とする(1)、(2)記載のレーザー感応性平版
印刷版原版。
【0015】(4)該金属キレート化合物が、金属ジケ
テネート化合物であることを特徴とする(1)〜(3)
いずれか記載のレーザー感応性平版印刷版原版。
【0016】(5)基板の表面に、親水性樹脂からなる
親水性膨潤層が設けられていることを特徴とする(1)
〜(4)いずれか記載のレーザー感応性平版印刷版原
版。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、表面が親水性である基
板上に、分子中に水酸基、カルボキシル基、アミノ基、
メルカプト基、ジケトン基、エチレン性不飽和基より選
ばれる少なくとも1種の官能基を含有するポリマー及び
金属キレート化合物がバインダーポリマー中に分散され
た感熱層を有することを特徴とする。該感熱層にレーザ
ーが照射された場合、レーザー光エネルギーを吸収する
ことによって発熱が起こり、樹脂中の官能基と金属キレ
ート化合物の作用によって架橋不溶化反応が起こり、強
固な画像が形成される。
【0018】また、熱による樹脂の溶融、融着という効
果も期待できるため、ポリマーとしては熱可塑性のポリ
マー微粒子であることが好ましい。
【0019】原版作製時に樹脂中の官能基と金属キレー
ト化合物の相互作用により架橋不溶化がなされている場
合は、レーザー照射による作用で照射部の耐溶剤性が低
下する。それ故、水および/あるいは適当な有機溶剤の
処理によりレーザー光照射部の感熱層を除去することが
できる。
【0020】本発明に於ける“表面が親水性である基
板”とは、本来それ自体が親水性である基板、或いはそ
れ自体は親水性ではないが基板表面に親水化処理、親水
性樹脂による被覆等を施した基板などを意味する。材質
等に特に制限はないが、通常の平版印刷機に取り付けら
れるたわみ性と印刷時に加わる荷重に耐えうるものであ
る必要がある。具体例としては、アルミニウム、鉄、ス
テンレス、クロム、チタン等の金属板、ポリエステル、
ポリアミド、ポリイミド等のプラスチックフィルム或い
はコート紙上に前記金属や金属酸化物の蒸着、スパッタ
リング、プラズマ処理等の親水化処理を施したもの、或
いは上記のような基板上に親水性樹脂や金属酸化物等の
親水性物質を塗布し親水性層を形成したもの等があげら
れる。
【0021】これらの中でも特に、表面に粗面化・電解
酸化・親水性樹脂の被覆等の処理を施したアルミニウム
板が好ましい。
【0022】本発明において感熱層の成分として用いら
れるポリマーは、熱による樹脂の溶融、融着という効果
も期待されるため、微粒子という形態をとる熱可塑性ポ
リマーであることが好ましい。このためには、ポリマー
のガラス転移温度が150℃以下、更に好ましくは12
0℃以下のものを使用するのがよい。ガラス転移温度が
150℃以上の場合はポリマーの熱融着が起こりにく
く、比較的小出力のレーザーでは強固な画像を形成する
のが困難である。ガラス転移温度の下限については特に
制限はないが、10℃程度以上であることが好ましい。
ガラス転移温度が低すぎる場合は、このポリマーの微粒
子を含有する塗液を基板に塗布、乾燥して感熱層を形成
する過程で、バインダー樹脂による微粒子の隔離が不完
全な場合微粒子同士の融着が起こり、良好に粒子の分散
した感熱層を形成できないおそれがある。
【0023】ポリマー中に含まれる官能基としては、ア
ルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル
基、アミノ基、メルカプト基、ジケトン基、エチレン性
不飽和基より選ばれる少なくとも1種の官能基であるこ
とが必要であり、これらの2種以上を有していてもよ
い。また、その含量はポリマーの0.1モル%、より好
ましくは1モル%程度以上のものを用いるのがよい。
【0024】かかるポリマーの例としては、ポリ(p-ヒ
ドロキシスチレン)、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルホルマール、ノボラック樹脂、エチレン・酢酸ビニル
共重合体の部分鹸化物、水酸基やカルボキシル基、アミ
ノ基、メルカプト基、ジケトン基を有するモノマーや多
官能モノマーを共重合成分として含有する(メタ)アク
リル系或いはビニル系共重合体、例えばヒドロキシメチ
ル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチ
ル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、ビニルトル
エン等の1種以上との共重合体等が挙げられる。これら
のポリマーは1種を単独で用いても良いし、2種以上を
混合して使用しても良い。
【0025】上記ポリマーよりなる微粒子の製法にも特
に制限はなく、通常の懸濁重合や乳化重合、あるいは溶
液中へ非溶剤の混合、機械的粉砕等の手段を用いること
ができる。また該微粒子の好ましい粒子径は0.01〜200
μm、更に好ましくは0.01〜50μmの範囲である。粒子
径が大きすぎると均一な分散が困難となり、また解像度
が低下する。微細かつ粒子径の均一な粒子を安定な分散
状態で得る方法として、乳化重合は好ましい方法であ
る。
【0026】本発明に於いて感熱層成分として用いられ
る金属キレート化合物は架橋剤としての作用を有するも
のであり、ポリマーの官能基と熱で容易に反応してポリ
マーを三次元架橋、不溶化する。同様の作用を有する架
橋剤として他にも例えばブロック化イソシアネートなど
があるが、それらと比較し本発明で用いられる金属キレ
ート化合物は遥かに反応が早く、レーザーに対し高い感
度を与える。反応性が高いにも関わらず保存安定性は良
好であり、架橋剤として極めて優れた特性を有する。他
方、原版作製時にポリマーの官能基と金属キレート化合
物の間で架橋構造が形成されている場合は、この結合が
熱で容易に切断されるため、レーザー光照射部の耐溶剤
性が低下するという現象が起こる。この場合も、例えば
イソシアネートなどの架橋剤を用いた場合に比べ、レー
ザーに対し遥かに高い感度を与える。
【0027】本発明で言う金属キレート化合物として
は、中心金属と有機置換基であるキレート部からなり、
金属に対して有機配位子が配位結合している錯体化合物
か、有機官能基と共有結合している有機金属化合物のこ
とをいう。
【0028】金属キレート化合物の形態としては、金属
ジケテネート類、金属アルコキサイド類、アルキル金属
類、金属カルボン酸塩類などが挙げられるが、特に金属
ジケテネート類が好ましい。
【0029】金属ジケテネート類を形成するキレート部
の具体例としては、2,4−ペンタジオネート(アセチ
ルアセトネート)、フルオロペンタジオネート、2,
2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネー
ト、ベンゾイルアセトネート、テノイルトリフルオロア
セトネートや1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジ
オネートなどや、メチルアセトアセテート、エチルアセ
トアセテート、メタクリルオキシエチルアセトアセテー
トやアリルアセトアセテートなどが挙げられる。
【0030】また、中心金属としては周期表の第2周期
から第6周期の金属および半導体原子が挙げられ、なか
でも第3周期から第5周期の金属および半導体原子が好
ましく、第3周期金属のAl、Si、第4周期金属のT
i、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、第5
周期金属のIn、Snが特に好ましい。
【0031】金属ジケテネート類の具体例としては、ア
ルミニウム、鉄(III )、マンガン、コバルト、ニッケ
ル、チタン、銅、ジルコニウムのアセチルアセトネート
(ペンタンジオネート)、エチルアセトアセトネート
(ヘキサンジオネート)、プロピルアセトアセトネート
(ヘプタンジオネート)、テトラメチルヘプタンジオネ
ート、ベンゾイルアセトネート類などが挙げられるが、
これらの中で特に好ましいものは鉄(III )アセチルアセ
トナート、アルミニウムアセチルアセトナート、チタン
アセチルアセトナートである。
【0032】金属キレート化合物の使用量は、官能基含
有ポリマーに対して0.5〜50%の範囲、より好まし
くは1〜30%の範囲である。使用量が0.5%より少
ない場合は架橋が不十分となり形成される画像に十分な
強度が得られず、また50%より多い場合は過剰の金属
キレート化合物が画像の接着性などに悪影響を及ぼすこ
とがある。
【0033】本発明に於ける感熱層成分の第三の必須成
分であるバインダーポリマーは、ポリマー微粒子を基板
に固定すると共に微粒子の分散安定剤としての役割も担
うものである。レーザーでの画像形成後レーザー非照射
部を溶解除去する必要があるため、バインダーポリマー
は水(アルカリ等の水溶液も含む)や有機溶剤に可溶性
である必要がある。かかるバインダーの例としては、水
溶性或いはアルカリ可溶性のものではポリビニルアルコ
ール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、メチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース、澱粉、デキストリン、ポリエチレンオキサ
イド、ビニルアルコール−マレイン酸共重合体、スチレ
ン−マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸と(メ
タ)アクリル酸エステルやスチレン等との共重合体など
が、また有機溶剤可溶性のものではポリ酢酸ビニル、ポ
リスチレン、(メタ)アクリル酸エステル類の単独或い
は共重合体等が挙げられる。溶剤のコスト、環境への影
響等を考慮すると現像(レーザー非照射部の除去)は純
水で可能であることが望ましく、従ってバインダーポリ
マーは純水に可溶であるものが好ましい。純水可溶性の
ポリマーの中でも、特にポリビニルアルコールが分散安
定剤としての性能も優れ好ましい。
【0034】バインダーポリマーの添加量は、感熱層重
量の5〜60重量%程度、より好ましくは10〜30重量%で
ある。添加量が5%より少ないとポリマー微粒子の版面
への固定が不十分となり取扱中に感熱層塗膜が脱落した
り、微粒子の分散状態が悪化するおそれがあり、また60
%より多いとレーザーによるポリマー微粒子の融着が不
十分となり強固な画像が得られ難くなる。
【0035】本発明の感熱層中には、レーザー光を効率
よく吸収し熱を発生させるために光−熱変換性物質を添
加するのが好ましい。光−熱変換性物質としてはレーザ
ー光の波長域に吸収を有する顔料や染料が使用でき、例
えばカーボンブラック、フタロシアニン色素、シアニン
色素、ポリメチン系色素、ジアミン系金属錯体色素、ジ
チオール系金属錯体色素、メルカプトフェノール系金属
錯体色素、アントラキノン系色素、アミニウム系色素、
ジイモニウム系色素などの赤外線吸収剤が挙げられる。
これらの光−熱変換性物質の添加量は、感熱層重量中の
0.5〜60%、より好ましくは1〜40%の範囲であ
る。添加量が1%以下では十分その効果を発揮すること
ができず、また多すぎる場合は画像の融着、基板への接
着等に悪影響が現れる。
【0036】本発明の印刷版原版を製造するには、上記
成分を主成分とする感熱性組成物塗液を基板上にワイヤ
ーバーコーター、ロールコーター、グラビアコーター等
適当な手段で塗布、乾燥して感熱層を形成すればよい。
なお親水性ポリマーによる親水層を有する印刷版原版を
製造する場合は、基板上にまず親水性ポリマー溶液を塗
布乾燥した後、その上に感熱層を塗設すればよい。親水
性ポリマーによる被覆を用いる場合は、親水性層と基板
の接着性を高める目的で基板と親水性層の間にプライマ
ー層を設けても良い。
【0037】感熱層の適当な乾燥温度は、使用する官能
基含有ポリマーのガラス転移温度に依存するが一般に3
0〜60℃程度の比較的低温が用いられる。乾燥温度が
高すぎると乾燥中に官能基含有ポリマーの融着が起こ
り、良好な分散状態の感熱層が得られなくなる。
【0038】他方、原版作製時に金属キレート化合物と
官能基含有ポリマーの架橋構造の形成を期待する場合
は、80℃以上、好ましくは120℃以上の乾燥温度が
必要である。
【0039】感熱層厚さは0.1〜50μm程度の範囲
で用いることができるが、レーザー感度及び画像強度の
観点から0.5〜10μmの範囲が好ましい。厚さが厚
すぎるとレーザー照射で感熱層全体に十分反応を起こさ
せることができず、また薄すぎると形成された画像の機
械的強度が不足し耐刷性が不十分となる。
【0040】感熱性組成物塗液の調製は、溶媒(分散
媒)中にバインダーポリマーを溶解し、更に官能基含有
ポリマー、金属キレート化合物、及び場合により光−熱
変換性物質を加え、アトライター、ボールミル、ホモジ
ナイザー、超音波等の手段で均一に分散させる。ポリマ
ー微粒子が乳化重合により調製された場合は、その分散
液をそのまま使用すればよい。金属キレート化合物は固
体のまま添加しても良いが、メタノール、エタノール、
アセトン、メチルエチルケトン等の溶媒に溶解し添加し
ても良い。
【0041】なお感熱層組成物には上記の必須成分の他
に、塗工性や粒子の分散性改善のための界面活性剤、基
板との接着性改善のためのカップリング剤など、種々の
添加剤を添加することもできる。
【0042】次に本発明の感光性平版印刷版原版を用い
た平版印刷版の製造方法について説明する。
【0043】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版
は、デジタル化処理された文字、網点などの画像データ
を用い、画線部に対応した部分の感熱層表面にレーザー
光を照射し、該部分をインキ着肉化することによって刷
版となる。すなわち、基板上に形成された感熱層内に存
在する官能基含有ポリマーは金属キレート化合物との反
応により架橋・不溶化すると同時に、さらに好ましく
は、レーザー照射により溶融・融着することでインキ着
肉性の画線部となる。
【0044】他方、原版作製時にポリマーの官能基と金
属キレート化合物の間で架橋構造が既に形成されている
場合は、レーザー照射によりこの結合が熱で容易に切断
されるため、レーザー光照射部の耐溶剤性が低下すると
いう現象が起こる。その後の現像処理により、該部の感
熱層が除去され、下層の基板が露出することでインキ反
発化させる。
【0045】なお、本発明のレーザー感応性平版印刷版
原版は、レーザーばかりでなくサーマルヘッドによる熱
印字等の手段によって画像を形成することも可能であ
る。
【0046】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版
は、レーザー照射等による画像形成後、適当な溶媒で現
像を行いレーザー非照射部の感熱層を除去することによ
り基本的に製版が終了する。バインダー樹脂としてポリ
ビニルアルコールなどの水溶性ポリマーを用いた版に於
いては、版表面を水洗するのみでよい。水洗工程に用い
る水には格別な添加物は一切必要なく、水道水などを用
いて容易に現像できる。
【0047】また、水洗の効率を高める上から、スプレ
ー、シャワー、浸漬、ブラッシング、ラビングなど公知
の自動現像機で用いられるリンス液供給及び現像促進手
段を用いることは自由である。また、供給する水温は制
限されない。
【0048】現像を行って得られた刷版は、そのままで
印刷に用いることができるが、画像を強化し耐刷性を高
めるためにバーニングなどの処理を行っても良い。
【0049】本発明の製版露光工程で用いられるレーザ
ー光源としては、発光波長領域が 300 〜 1500nmの範囲
にあるものが用いられる。すなわち、アルゴンイオン、
クリプトンイオン、ヘリウム-ネオン、ヘリウム-カドミ
ウム、ルビー、ガラス、YAG、チタンサファイア、色
素、窒素、金属蒸気、エキシマ、自由電子、半導体など
の各種レーザーが使用される。
【0050】これらの中でも本発明の印刷版原版を製版
する目的から、近赤外領域付近に発光波長領域が存在す
る半導体レーザーが好ましく、特に高出力半導体レーザ
ーが好ましく用いられる。
【0051】次に本発明の感光性平版印刷版原版から作
製された刷版を用いた印刷方法について説明する。
【0052】本発明の平版印刷には公知の平版印刷機が
用いられる。すなわち、オフセットおよび直刷り方式の
枚葉および輪転印刷機などが用いられる。
【0053】本発明の感熱性平版印刷版原版を画像形成
したのち、これらの平版印刷機の版胴に装着し、該版面
には接触するインキ着けローラーからインキが供給され
る。該版面上の非画線部分は湿し水供給装置から供給さ
れる湿し水によって湿潤し、インキを反撥する。一方、
画線部分はインキを受容し、オフセットブランケット胴
表面または被印刷体表面にインキを供給して印刷画像を
形成する。
【0054】以下に、実施例により本発明を更に詳しく
説明する。
【0055】
【実施例】
[合成例1](基板被覆用親水性ポリマー) 酢酸ビニル60gとアクリル酸メチル40gに重合開始剤と
してベンゾイルパーオキシド0.5gを計量し、これを、
分散安定剤として部分鹸化ポリビニルアルコール3gとN
aCl10gを含む水300ml中に分散させた。
【0056】該分散液を65℃×6時間撹拌し、懸濁重合
を行なった。得られた共重合体のアクリル酸メチル成分
はNMRスペクトルから同定した結果48モル%であっ
た。また30℃におけるベンゼン溶液中での極限粘度は2.
10であった。
【0057】次に、該共重合体8.6gを200gのメタノー
ルと10gの水および5NのNa0H 40mlからなる鹸化反応液
中に添加し撹拌懸濁させ、25℃×1時間鹸化反応を行な
った後、温度を65℃に昇温し、さらに5時間鹸化反応を
行なった。
【0058】得られた鹸化反応物はメタノールで十分に
洗浄し、凍結乾燥した。鹸化度は98.3モル%であり、赤
外吸収スペクトルの測定の結果、1570cm-1に−COO-基に
帰属される強い吸収が確認された。
【0059】[合成例2](水酸基含有ポリマー微粒子
分散液) 1リットルの三口フラスコに攪拌棒、窒素導入管を装着
し、この中にスチレン70g、メタクリル酸2-ヒドロキシ
エチル 30g、10%ポリビニルアルコール(重合度500)
水溶液300g、水 200g、および過硫酸カリウム 0.5gを仕
込んだ。窒素ガスを約2分間導入して、フラスコ内雰囲
気を窒素で置換した後窒素導入を止め、フラスコを80℃
の水浴に浸し、激しく攪拌しながら3時間重合反応を行
った。乳白色のポリマー分散液が得られた。
【0060】[合成例3](カルボキシル基含有ポリマ
ー微粒子分散液) 1リットルの三口フラスコに攪拌棒、窒素導入管を装着
し、この中にスチレン50g、メタクリル酸2−ヒドロ
キシエチル10g、メタクリル酸20g、10%ポリビ
ニルアルコール(重合度500)水溶液300g、水2
00g、および過硫酸カリウム0.5gを仕込んだ。窒
素ガスを約2分間導入して、フラスコ内雰囲気を窒素で
置換した後窒素導入を止め、フラスコを80℃の水浴に
浸し、激しく攪拌しながら3時間重合反応を行った。乳
白色のポリマー分散液が得られた。
【0061】実施例 1 厚さ 0.2mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)に、下記
の組成のプライマー層組成物を塗布した後、180℃×1分
間加熱処理し、乾燥重量で1g/m2の厚みを有するプライ
マー層を塗設した。
【0062】 “ニッポラン”3124(日本ポリウレタン(株)製) 20重量部 “コロネートL”(日本ポリウレタン(株)製) 10重量部 酢酸ブチル 80重量部 メチルエチルケトン 40重量部 次に、プライマー層上に下記組成の親水性膨潤層塗布液
を塗布した後、180℃×1.5分間加熱処理し、3g/m2
厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
【0063】 合成例1のポリマー 90重量部 合成例2のポリマー分散液 60重量部 “SH-6040”(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、東レダウコー ニング シリコーン(株)製) 10重量部 “カタロイド”SI-30(コロイド状シリカ水分散液、触媒化成工業(株)製) 30重量部(固形分として) エタノール 200重量部 精製水 1800重量部 上記のようにして親水性膨潤層を塗設した基板上に、下
記に示す感熱性組成物塗液を塗布し、50℃で3分間乾燥
して1.5g/m2 の厚みを有する感熱層を塗設してレーザー
感応性平版印刷版原版を得た。
【0064】<実施例1に於ける感熱性組成物の調製>
“マルカ リンカー”PHM-C(ポリ(p-ヒドロキシスチレ
ン)、丸善石油化学(株)製、水酸基含有ポリマー成分)
5g、及び鉄(III )アセチルアセトナート0.5gをエタノ
ール20mlに溶解し、2gのPVA(分散安定剤、兼水溶性
バインダーポリマー)を含む水70gを激しい攪拌下に加
えた。“マルカ リンカー”は微粒子状に析出し、均一
な分散液が得られた。この液に"SOHN BLACK(Waterbas
e)"(三菱化学(株)製、カーボンブラックの水分散ペー
スト)3gを加え、超音波洗浄器で約10分間処理し、よく
分散させた。
【0065】得られた平版印刷版原版に、赤外線レーザ
ー製版機“FX-500AP”(東レエンジニアリング(株)
製)を用い、下記条件でテストパターンを描画した。
【0066】レーザー出力: 600mW(830n
m) ビーム径: 10μm パルス幅: 10μsec この版を水道水に浸漬し、指で軽くこすったところ非画
線部に対応した部分の感熱性組成物が容易に分散除去さ
れ、白地に黒色の明瞭な画像を有する刷版が得られた。
【0067】得られた刷版は、枚葉オフセット印刷機
「スプリント25」(小森コーポレーション(株)製)
に装着したのち、湿し水として市販の精製水を供給しな
がら上質紙(62.5kg/菊)を用いて印刷した。インキ反
撥性およびインキ着肉性は印刷物を目視観察することに
より評価した。印刷開始後直ちに良好な画像濃度を有す
る印刷物が得られ、約5000枚の印刷を行なった時点に於
いてもインキ汚れや画像の損傷は発生せず、十分なコン
トラスト・解像度を有する明瞭な印刷物が得られた。
【0068】実施例 2 感熱層組成を下記のものに変更した以外は実施例1と同
様にしてレーザー感応性平版印刷版原版を作製し、同様
にレーザー描画・水現像を行ったところ良好な刷版が得
られた。印刷を行ったところ、同様の良好な結果が得ら
れた。
【0069】<実施例2に於ける感熱性組成物塗液の調
製>合成例2のポリマー分散液(水酸基含有ポリマー微
粒子、及びバインダーポリマーのPVAを含む)60gを
水100mlで希釈し、激しく攪拌しながら鉄(III )アセチ
ルアセトナートの5%溶液(エタノール/メチルエチル
ケトン 3/1)20gを加えた。更に“SOHN BLACK”10gを加
え、約10分間超音波処理を行ってよく分散させた。
【0070】実施例 3 砂目立てしたアルミ板を80℃に加熱した弗化ジルコニウ
ムの5%水溶液で2分間表面処理し、乾燥して基板とし
た。この基板上に実施例1の感熱性組成物を塗布、乾燥
してレーザー感応性平版印刷版原版を作製した。実施例
1と同様にしてレーザー描画を行い、希薄なPS版現像
液(富士写真フイルム(株)製ネガタイプ用現像液原液を
純水で10倍に希釈したもの)で現像を行って刷版を得
た。耐刷性を向上させるために得られた刷版を180℃で
2分間バーニング処理し、実施例1と同様にして印刷を
行った。実施例1と同様に良好な印刷物が得られた。
【0071】実施例 4 実施例1に於いて、感熱性組成の鉄アセチルアセトナー
トをアルミニウムアセチルアセトナートに変更した以外
は同様の操作を行った。印刷を行ったところ良好な印刷
物が得られた。ただし印刷枚数約3000枚で画像に若干の
欠落が生じ初め、鉄アセチルアセトナートを用いた場合
に比べれば若干耐刷性が劣ることが分かった。
【0072】実施例5 実施例3で用いた表面処理済みアルミ基板上に、以下の
感熱層組成物を塗布し、120℃で1分間乾燥させるこ
とにより乾燥膜厚1μmの感熱層を有するレーザー感応
性平版印刷版原版を得た。
【0073】感熱層組成: (1)“レジトップ”PSK−2320(ノボラック樹
脂、群栄化学工業(株)製):60重量部 (2)“アルミキレートALCH−TR”(アルミニウ
ムトリスエチルアセトアセテート、川研ファインケミカ
ル(株)製):20重量部 (3)“バイロン”300(ポリエステル樹脂、東洋紡
績(株)製):5重量部 (4)“KAYASORB”IR−820B(ポリメチ
ン系赤外線吸収染料、日本化薬(株)製):5重量部 (5)テトラヒドロフラン:710重量部 (6)ジエチレングリコールジメチルエーテル:100
重量部 実施例1と同様にレーザー描画を行い、希薄なPS版現
像液(富士写真フイルム(株)製ポジタイプ用現像液
“DP−4”/精製水:1/8)で処理を行い、レーザ
ー光照射部の感熱層を除去し、平版印刷版を得た。
【0074】得られた刷版を枚葉オフセット印刷機HA
MADA“RS46L”(ハマダ印刷機械(株)製)に
装着した後、湿し水として市販の湿し水“WEB FOUNT SE
VENSTAR”500倍希釈液を供給しながら上質紙を用い
て印刷したところ、レーザー照射部が非画線部となった
ポジ画像を忠実に再現した印刷物を得ることが出来た。
【0075】実施例6 実施例1で得られたプライマー層上に、下記組成物を塗
布した後、180℃で4分間熱処理し、3.0g/m2
の厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
【0076】親水性膨潤層組成: (1)合成例1のポリマー : 10重量部 (2)N−ヒドロキシエチルキシリレンジアミン :
1重量部 (3)精製水 : 100重量部 次いで、以下の感熱層組成物を塗布し、60℃で5分間
乾燥させることにより乾燥膜厚1.5μmの感熱層を有
するレーザー感応性平版印刷版原版を得た。
【0077】感熱層組成: (1)合成例3のポリマー分散液:60重量部 (2)“ナーセム亜鉛”(亜鉛アセチルアセトナート、
日本化学産業(株)製):30重量部 (3)“ゴーセノール”KL−O5(ポリビニルアルコ
ール、日本合成化学工業(株)製):5重量部 (4)“SOHN BLACK(WATERBAS
E)”(カーボンブラックの水分散ペースト、三菱化学
(株)製):20重量部 (5)精製水:610重量部 (6)エタノール:200重量部 実施例1と同様にレーザー描画を行い、エタノールで処
理を行い、レーザー光未照射部の感熱層を除去し、平版
印刷版を得た。
【0078】得られた刷版を枚葉オフセット印刷機HA
MADA“RS46L”(ハマダ印刷機械(株)製)に
装着した後、湿し水として市販の精製水を供給しながら
上質紙を用いて印刷したところ、レーザー照射部が画線
部となったネガ画像を忠実に再現した印刷物を得ること
が出来た。
【0079】また、非画線部の吸水量、水膨潤率を重量
法により測定した結果、それぞれ13.5g/m2、4
39%であった。
【0080】実施例7 実施例6における感熱層組成物を以下に変更した以外は
同様にして、レーザー感応性印刷版原版を得た。
【0081】感熱層組成: (1)“スーパーフレックス”R−3000(アミノ基
含有ポリウレタン微粒子水分散体、第一工業製薬(株)
製):60重量部 (2)“ナーセムニッケル”(ニッケルアセチルアセト
ナート、日本化学産業(株)製):30重量部 (3)“ゴーセノール”KL−O5(ポリビニルアルコ
ール、日本合成化学工業(株)製):5重量部 (4)“SOHN BLACK(WATERBAS
E)”(カーボンブラックの水分散ペースト、三菱化学
(株)製):20重量部 (5)精製水:710重量部 (6)エタノール:100重量部 得られた印刷版原版は実施例6と同様にレーザー描画、
純水処理を行い、レーザー光未照射部の感熱層を除去
し、平版印刷版を得た。
【0082】実施例6と同様に印刷評価を行ったとこ
ろ、レーザー照射部が画線部となった印刷物を得ること
が出来た。
【0083】実施例8 実施例7における感熱層組成物のうち、官能基含有ポリ
マー(1)を“スーパーフレックス”R−5100(不
飽和基含有ポリウレタン微粒子水分散体、第一工業製薬
(株)製):60重量部とし、さらに、金属キレート化
合物(3)を“プレンアクトAL−M”(アルキルアセ
トアセテートアルミニウムジイソプロピレート、味の素
(株)製):40重量部とした以外は全く同様の処理を
してレーザー感応性平版印刷版原版を得た。実施例7と
同様の処理をして評価したところ、レーザー照射部が画
線部となった印刷物を得ることが出来た。
【0084】実施例9 実施例5における感熱層組成物のうち、金属キレート化
合物(3)を“ナーセムチタン”(アセチルアセトンチ
タン、日本化学産業(株)製):20重量部とした以外
は全く同様の処理をしてレーザー感応性平版印刷版原版
を得た。実施例5と同様の処理をして評価したところ、
レーザー照射部が非画線部となった印刷物を得ることが
出来た。
【0085】比較例 1 実施例1に於いて、感熱性組成中から鉄アセチルアセト
ナートを除いた組成を用い平版印刷版原版を作製した。
レーザー描画後水現像を行ったところ、画像は形成され
ているものの基板との接着が悪く現像操作中に殆ど基板
から脱落し、刷版を得ることはできなかった。
【0086】比較例 2 実施例1に於いて、感熱性組成中の鉄アセチルアセトナ
ートの代わりに“エラストロン BN-69”(ブロック化イ
ソシアネート水分散液、第一工業製薬(株)製)5gを使用
し、同様に操作を行った。形成された画像は現像操作中
に部分的に基板から脱落し、良好な刷版を得ることはで
きなかった。
【0087】
【発明の効果】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版
は、高いレーザー感応性を有しており小出力のレーザー
で画像を形成することができ、かつ形成された画像は三
次元架橋構造を有するために耐刷性に優れた刷版を与え
る。更に現像が容易で作業性にも優れ、各種印刷用途に
極めて有用である。
フロントページの続き (72)発明者 後藤 一起 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面が親水性である基板上にレーザー感応
    性の感熱層を備えた平版印刷版原版であって、該感熱層
    は(a)水酸基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプ
    ト基、ジケトン基、エチレン性不飽和基より選ばれる少
    なくとも1種の官能基を含有するポリマー、(b)金属
    キレート化合物、および(c)溶剤可溶性のバインダー
    ポリマーを主成分とする層であることを特徴とするレー
    ザー感応性平版印刷版原版。
  2. 【請求項2】該ポリマーが熱可塑性ポリマー微粒子であ
    ることを特徴とする請求項1記載のレーザー感応性平版
    印刷版原版。
  3. 【請求項3】該感熱層が、さらにレーザー発信波長領域
    に吸収帯を有する光−熱変換物質を含有することを特徴
    とする請求項1、2記載のレーザー感応性平版印刷版原
    版。
  4. 【請求項4】該金属キレート化合物が、金属ジケテネー
    ト化合物であることを特徴とする請求項1〜3いずれか
    記載のレーザー感応性平版印刷版原版。
  5. 【請求項5】基板の表面に、親水性樹脂からなる親水性
    膨潤層が設けられていることを特徴とする請求項1〜4
    いずれか記載のレーザー感応性平版印刷版原版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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