JPH11296854A - 磁気記録媒体の製造装置 - Google Patents
磁気記録媒体の製造装置Info
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- JPH11296854A JPH11296854A JP11621998A JP11621998A JPH11296854A JP H11296854 A JPH11296854 A JP H11296854A JP 11621998 A JP11621998 A JP 11621998A JP 11621998 A JP11621998 A JP 11621998A JP H11296854 A JPH11296854 A JP H11296854A
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- magnetic
- cooling
- magnetic material
- rolls
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 2個の冷却ロールを並置し、斜方蒸着法を使
用した成膜装置において、電子ビームの蒸着材料への入
射角αを大きくしようとすると、冷却キャンロール下端
と磁性材料表面との距離Yを大きくせざるを得ず、結果
として、蒸着効率が低下する。一方、Yを小さくすると
必然的にαが小さくなり有効パワー効率が低下すると同
時に、反射電子によるフィルム走行時のシワが発生す
る。 【解決手段】 磁性材料蒸発源25近傍に磁界を発生さ
せる手段53を設け、磁性材料を溶解するために用いる
電子銃12からの電子ビーム13を、この磁界により偏
向させた後に、磁性材料に照射するように構成する。
用した成膜装置において、電子ビームの蒸着材料への入
射角αを大きくしようとすると、冷却キャンロール下端
と磁性材料表面との距離Yを大きくせざるを得ず、結果
として、蒸着効率が低下する。一方、Yを小さくすると
必然的にαが小さくなり有効パワー効率が低下すると同
時に、反射電子によるフィルム走行時のシワが発生す
る。 【解決手段】 磁性材料蒸発源25近傍に磁界を発生さ
せる手段53を設け、磁性材料を溶解するために用いる
電子銃12からの電子ビーム13を、この磁界により偏
向させた後に、磁性材料に照射するように構成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体の製造
装置に関し、詳しくは、斜方蒸着法により非磁性基体上
に磁性材料を成膜するための装置に関する。
装置に関し、詳しくは、斜方蒸着法により非磁性基体上
に磁性材料を成膜するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープの記録密度は近年急速に高密
度化が図られている。この過程で、磁気テープは高抗磁
力、高磁束密度を有する酸化鉄テープ、メタルテープ及
び薄膜テープへと高性能なものに移行している。この磁
気テープの応用として、VTR分野では、今後、デジタ
ル化、高精細化を達成するために特に薄膜テープが注目
されている。
度化が図られている。この過程で、磁気テープは高抗磁
力、高磁束密度を有する酸化鉄テープ、メタルテープ及
び薄膜テープへと高性能なものに移行している。この磁
気テープの応用として、VTR分野では、今後、デジタ
ル化、高精細化を達成するために特に薄膜テープが注目
されている。
【0003】この薄膜テープとしては、磁性膜が斜方蒸
着法により形成された、いわゆる蒸着テープが実用化さ
れている。これは、具体的にはピアス型電子銃を用い
て、真空中で電子ビームをルツボ内のCo、CoNiな
どの磁性材料に照射して、これらの材料を溶融、蒸発さ
せ、酸素を導入しながら、PET、PEN、PI(ポリ
イミド)、PA(ポリアミド)などのベースフィルム上
にCoO、CoNiOよりなる薄膜を形成することによ
り製造される。
着法により形成された、いわゆる蒸着テープが実用化さ
れている。これは、具体的にはピアス型電子銃を用い
て、真空中で電子ビームをルツボ内のCo、CoNiな
どの磁性材料に照射して、これらの材料を溶融、蒸発さ
せ、酸素を導入しながら、PET、PEN、PI(ポリ
イミド)、PA(ポリアミド)などのベースフィルム上
にCoO、CoNiOよりなる薄膜を形成することによ
り製造される。
【0004】この斜方蒸着法を使用した成膜装置として
は、従来、真空槽内に1個の冷却キャンロールを設置し
たものが一般に使用されているが、本発明者は、さらに
蒸着効率及び生産効率を高めるために、図2に示す2個
の冷却キャンロールを極めて近接させて配置した成膜装
置を提案した(特願平8−331648号)。
は、従来、真空槽内に1個の冷却キャンロールを設置し
たものが一般に使用されているが、本発明者は、さらに
蒸着効率及び生産効率を高めるために、図2に示す2個
の冷却キャンロールを極めて近接させて配置した成膜装
置を提案した(特願平8−331648号)。
【0005】すなわち、図2において、真空槽1内には
2個の冷却キャンロール21、22が、互いの回転軸が
平行で、かつ、各々の端面が面一になるように並置され
ており、2個の冷却キャンロール21、22の外周面が
最も近接する箇所では極めて微小な間隙即ち距離Lが設
けられている。冷却キャンロール21の上部には巻出し
ロール31、巻取りロール32、ガイドロール41、4
2が配設され、これらの各ロール間に非磁性基体、例え
ばベースフィルム23が巻回され、図に矢印で示す方向
に走行する。一方、冷却キャンロール22の上部にも同
様に、巻出しロール33、巻取りロール34、ガイドロ
ール43、44が配設され、これらの各ロール間に非磁
性基体、例えば、ベースフィルム24が巻回され、図に
矢印で示す方向に走行する。すなわち、冷却キャンロー
ル21においては、ベースフィルム23は時計回りに走
行し、冷却キャンロール22においては、ベースフィル
ム24は反時計回りに走行する。
2個の冷却キャンロール21、22が、互いの回転軸が
平行で、かつ、各々の端面が面一になるように並置され
ており、2個の冷却キャンロール21、22の外周面が
最も近接する箇所では極めて微小な間隙即ち距離Lが設
けられている。冷却キャンロール21の上部には巻出し
ロール31、巻取りロール32、ガイドロール41、4
2が配設され、これらの各ロール間に非磁性基体、例え
ばベースフィルム23が巻回され、図に矢印で示す方向
に走行する。一方、冷却キャンロール22の上部にも同
様に、巻出しロール33、巻取りロール34、ガイドロ
ール43、44が配設され、これらの各ロール間に非磁
性基体、例えば、ベースフィルム24が巻回され、図に
矢印で示す方向に走行する。すなわち、冷却キャンロー
ル21においては、ベースフィルム23は時計回りに走
行し、冷却キャンロール22においては、ベースフィル
ム24は反時計回りに走行する。
【0006】冷却キャンロール21、22の下方には、
それぞれ、マスク51、52が配設され、磁性材料蒸発
源25からの蒸気流のベースフィルム23、24への最
小入射角θmin1及びθmin2を規制している。そ
して、冷却キャンロール21と22との間の中央下部に
は磁性材料の磁性材料蒸発源25が収容されている。こ
の構成において、電子銃12からの電子ビーム13をル
ツボ8内の磁性材料蒸発源25に照射することにより、
磁性材料を蒸発させる。このとき、ルツボ8からの蒸気
流の密度は蒸気流の進行方向に依存し、具体的には、ル
ツボ法線方向(ルツボ直上方向)が最も大きく、法線方
向から離れる程小さくなる。一般に、蒸気流密度の角度
分布Φ(θ)は、次式(1)で示される。
それぞれ、マスク51、52が配設され、磁性材料蒸発
源25からの蒸気流のベースフィルム23、24への最
小入射角θmin1及びθmin2を規制している。そ
して、冷却キャンロール21と22との間の中央下部に
は磁性材料の磁性材料蒸発源25が収容されている。こ
の構成において、電子銃12からの電子ビーム13をル
ツボ8内の磁性材料蒸発源25に照射することにより、
磁性材料を蒸発させる。このとき、ルツボ8からの蒸気
流の密度は蒸気流の進行方向に依存し、具体的には、ル
ツボ法線方向(ルツボ直上方向)が最も大きく、法線方
向から離れる程小さくなる。一般に、蒸気流密度の角度
分布Φ(θ)は、次式(1)で示される。
【0007】
【数1】Φ(θ)=Φ(0)cosnθ (1) ここで、Φ(0):法線方向の蒸気流密度 θ :法線方向に対する角度(°) n=1〜3の整数
【0008】したがって、図2に示した装置において、
蒸着効率を向上させるためにはルツボ法線方向へ向かう
蒸気流を有効に非磁性基体としてのベースフィルム2
3、24に付着させればよい。そのため、蒸気流が2個
の冷却キャンロール21、22の間隙を抜けることを防
止する必要があり、この間隙の距離Lは微小であればあ
るほどよい。具体的には、製造する磁気記録媒体に対す
る要求特性の程度にもよるが、L=3mm以下であるこ
とが好ましい。Lが3mmを超えると、蒸気が走行室に
侵入し、内壁やガイドロールに付着して、クリーニング
を必要としたり、あるいは、走行障害の原因となる場合
がある。また、このルツボ法線方向の蒸気流が各々の冷
却ロール21、22を走行するベースフィルム23、2
4に対する最大入射角の蒸気流となるため、この最大入
射角の蒸気流がベースフィルム23、24に付着する以
前に、これらのベースフィルム23、24に冷却キャン
ロール21、22の間隙を抜けて走行室へ侵入した蒸気
が既に付着していると、目的の磁気特性が得られない場
合がある。
蒸着効率を向上させるためにはルツボ法線方向へ向かう
蒸気流を有効に非磁性基体としてのベースフィルム2
3、24に付着させればよい。そのため、蒸気流が2個
の冷却キャンロール21、22の間隙を抜けることを防
止する必要があり、この間隙の距離Lは微小であればあ
るほどよい。具体的には、製造する磁気記録媒体に対す
る要求特性の程度にもよるが、L=3mm以下であるこ
とが好ましい。Lが3mmを超えると、蒸気が走行室に
侵入し、内壁やガイドロールに付着して、クリーニング
を必要としたり、あるいは、走行障害の原因となる場合
がある。また、このルツボ法線方向の蒸気流が各々の冷
却ロール21、22を走行するベースフィルム23、2
4に対する最大入射角の蒸気流となるため、この最大入
射角の蒸気流がベースフィルム23、24に付着する以
前に、これらのベースフィルム23、24に冷却キャン
ロール21、22の間隙を抜けて走行室へ侵入した蒸気
が既に付着していると、目的の磁気特性が得られない場
合がある。
【0009】そして、冷却キャンロール21への蒸気流
の最大入射角θmax1は隣接する冷却キャンロール2
2を走行するベースフィルム24により規制され、逆
に、冷却キャンロール22への蒸気流の最大入射角θm
ax2は隣接する冷却キャンロール21を走行するベー
スフィルム23により規制されている。すなわち、磁気
記録媒体の磁気特性に多大な影響を与える最大入射角の
規制を、固定マスクではなく、走行するベースフィルム
で行うため、従来のように蒸発磁性材料が固定マスクに
堆積してマスクの寸法変化が生じることがない。したが
って、マスクの寸法変化に起因する入射角の変化が生じ
ることがなく、結果として、所定の特性の磁気記録媒体
を長時間にわたって生産することが可能となる。
の最大入射角θmax1は隣接する冷却キャンロール2
2を走行するベースフィルム24により規制され、逆
に、冷却キャンロール22への蒸気流の最大入射角θm
ax2は隣接する冷却キャンロール21を走行するベー
スフィルム23により規制されている。すなわち、磁気
記録媒体の磁気特性に多大な影響を与える最大入射角の
規制を、固定マスクではなく、走行するベースフィルム
で行うため、従来のように蒸発磁性材料が固定マスクに
堆積してマスクの寸法変化が生じることがない。したが
って、マスクの寸法変化に起因する入射角の変化が生じ
ることがなく、結果として、所定の特性の磁気記録媒体
を長時間にわたって生産することが可能となる。
【0010】さらに、生産効率をあげるには、2個の冷
却キャンロール21、22をそれぞれ走行するベースフ
ィルム23、24への成膜を同時に開始し、かつ、同時
に終了することが必要である。このためには、各々の冷
却キャンロールへの蒸発量が同一でなければならず、具
体的には2個の冷却キャンロール21、22のルツボ8
に対する幾何学的配置が同一でなければならない。すな
わち、θmin1=θmin2、θmax1=θmax
2であり、これはルツボ8を2個の冷却キャンロール2
1、22の中央下部に配置することにより達成される。
なお、この成膜装置は、本発明者が本発明に先だって開
発したものであり、従来技術の一部ではない。
却キャンロール21、22をそれぞれ走行するベースフ
ィルム23、24への成膜を同時に開始し、かつ、同時
に終了することが必要である。このためには、各々の冷
却キャンロールへの蒸発量が同一でなければならず、具
体的には2個の冷却キャンロール21、22のルツボ8
に対する幾何学的配置が同一でなければならない。すな
わち、θmin1=θmin2、θmax1=θmax
2であり、これはルツボ8を2個の冷却キャンロール2
1、22の中央下部に配置することにより達成される。
なお、この成膜装置は、本発明者が本発明に先だって開
発したものであり、従来技術の一部ではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た2個の冷却キャンロールを備えた成膜装置において
も、次のような問題が新たに発生する。すなわち、第1
に、電子ビーム13の磁性材料蒸発源25に対する入射
角αは90°に近いほど反射電子量が少なくなり、有効
パワー効率(材料溶解に用いられるパワー/全投入パワ
ー)が向上するが、上記の装置では、冷却キャンロール
21、22を並置したという装置の幾何学的な制約か
ら、電子ビーム13が冷却キャンロール22を照射する
ことなく、ルツボ8に直進させようとすると、入射角α
の値には限界がある。したがって、入射角αを大きくす
るためには、必然的にルツボ8内の磁性材料表面と冷却
キャンロール下端との間の距離Yを大きくしなくてはな
らず、その結果、蒸着効率(成膜に用いられた材料量/
全蒸発量)が低下してしまう。また、第2に、上述した
ように入射角αが小さいと、反射電子の発生量が増大
し、フィルムが帯電するために走行状態でシワが発生し
やすくなり、製品歩留りが低下する。
た2個の冷却キャンロールを備えた成膜装置において
も、次のような問題が新たに発生する。すなわち、第1
に、電子ビーム13の磁性材料蒸発源25に対する入射
角αは90°に近いほど反射電子量が少なくなり、有効
パワー効率(材料溶解に用いられるパワー/全投入パワ
ー)が向上するが、上記の装置では、冷却キャンロール
21、22を並置したという装置の幾何学的な制約か
ら、電子ビーム13が冷却キャンロール22を照射する
ことなく、ルツボ8に直進させようとすると、入射角α
の値には限界がある。したがって、入射角αを大きくす
るためには、必然的にルツボ8内の磁性材料表面と冷却
キャンロール下端との間の距離Yを大きくしなくてはな
らず、その結果、蒸着効率(成膜に用いられた材料量/
全蒸発量)が低下してしまう。また、第2に、上述した
ように入射角αが小さいと、反射電子の発生量が増大
し、フィルムが帯電するために走行状態でシワが発生し
やすくなり、製品歩留りが低下する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、磁性材料表
面と冷却ロール下端との距離Yをできるだけ小さく抑
え、かつ、電子ビームの磁性材料表面への入射角αを大
きくするために種々検討を重ねた結果、先に述べた装置
のように電子ビームを磁性材料表面まで直進させるので
はなく、ルツボ近辺まで水平に直進させた後、磁性材料
表面のできるだけ直前で偏向させて入射角αを大きくす
ればよいとの着想を得た。
面と冷却ロール下端との距離Yをできるだけ小さく抑
え、かつ、電子ビームの磁性材料表面への入射角αを大
きくするために種々検討を重ねた結果、先に述べた装置
のように電子ビームを磁性材料表面まで直進させるので
はなく、ルツボ近辺まで水平に直進させた後、磁性材料
表面のできるだけ直前で偏向させて入射角αを大きくす
ればよいとの着想を得た。
【0013】すなわち、本発明によれば、磁性材料の蒸
発源からの蒸気流を斜方蒸着法により非磁性基体上に堆
積させることにより磁性膜を形成する磁気記録媒体の製
造装置において、第1及び第2の非磁性基体をそれぞれ
走行させる2個の冷却キャンロールを備えるとともに、
これらの冷却キャンロールがそれぞれの回転軸が互いに
平行になるように、かつ、微小な間隙をもって並置され
ており、前記蒸発源が前記2個の冷却キャンロール間の
中央下部に配設され、前記蒸発源からの蒸気流の第1の
非磁性基体への最大入射角が前記第2の非磁性基体によ
り規制され、かつ、前記蒸発源からの蒸気流の前記第2
の非磁性基体への最大入射角が前記第1の非磁性基体に
より規制されるよう構成され、前記磁性材料を溶解する
ために用いる電子銃からの電子ビームを偏向させた後に
前記磁性材料に照射するために、前記蒸発源近傍に磁界
を発生させる手段を設けたことを特徴とする磁気記録媒
体の製造装置が提供される。上記の構成において、磁界
を発生させる手段は電子ビームの磁性材料表面への入射
角を増大させるものである。具体的には、電子ビームの
前記磁性材料表面への入射角が40°以上であることが
好ましい。
発源からの蒸気流を斜方蒸着法により非磁性基体上に堆
積させることにより磁性膜を形成する磁気記録媒体の製
造装置において、第1及び第2の非磁性基体をそれぞれ
走行させる2個の冷却キャンロールを備えるとともに、
これらの冷却キャンロールがそれぞれの回転軸が互いに
平行になるように、かつ、微小な間隙をもって並置され
ており、前記蒸発源が前記2個の冷却キャンロール間の
中央下部に配設され、前記蒸発源からの蒸気流の第1の
非磁性基体への最大入射角が前記第2の非磁性基体によ
り規制され、かつ、前記蒸発源からの蒸気流の前記第2
の非磁性基体への最大入射角が前記第1の非磁性基体に
より規制されるよう構成され、前記磁性材料を溶解する
ために用いる電子銃からの電子ビームを偏向させた後に
前記磁性材料に照射するために、前記蒸発源近傍に磁界
を発生させる手段を設けたことを特徴とする磁気記録媒
体の製造装置が提供される。上記の構成において、磁界
を発生させる手段は電子ビームの磁性材料表面への入射
角を増大させるものである。具体的には、電子ビームの
前記磁性材料表面への入射角が40°以上であることが
好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体の製造装置
としての成膜装置の構成の一例を図1に示す。なお、図
中、図2と同一の構成要素には同一の符号を付してあ
る。本発明の成膜装置において、電子銃12は真空槽1
の側壁に水平に設置され、また、ルツボ8に近接した位
置には偏向コイル53が配設されており、その他の構成
は図1に示したものと同様である。そして、電子銃12
から放出された電子ビーム13は、ルツボ18の直前に
至るまで水平に直進し、ルツボ18の近傍で、偏向コイ
ル53から発生した磁界により偏向されて湾曲した軌跡
を描きながら磁性材料蒸発源25の表面に入射する。こ
のとき、電子ビーム13の磁性材料表面への到達点にお
ける接線と、磁性材料表面とのなす角αが入射角とな
り、とくに、入射角αが40°以上の場合に、反射電子
の発生を少なく抑えられるので、電子銃の有効パワー効
率ならびに蒸着効率を向上させる効果が大きくなる。ま
た、それと同時に、フィルムの帯電による走行中のシワ
の発生も防止することができる。
としての成膜装置の構成の一例を図1に示す。なお、図
中、図2と同一の構成要素には同一の符号を付してあ
る。本発明の成膜装置において、電子銃12は真空槽1
の側壁に水平に設置され、また、ルツボ8に近接した位
置には偏向コイル53が配設されており、その他の構成
は図1に示したものと同様である。そして、電子銃12
から放出された電子ビーム13は、ルツボ18の直前に
至るまで水平に直進し、ルツボ18の近傍で、偏向コイ
ル53から発生した磁界により偏向されて湾曲した軌跡
を描きながら磁性材料蒸発源25の表面に入射する。こ
のとき、電子ビーム13の磁性材料表面への到達点にお
ける接線と、磁性材料表面とのなす角αが入射角とな
り、とくに、入射角αが40°以上の場合に、反射電子
の発生を少なく抑えられるので、電子銃の有効パワー効
率ならびに蒸着効率を向上させる効果が大きくなる。ま
た、それと同時に、フィルムの帯電による走行中のシワ
の発生も防止することができる。
【0015】<実施例>以下に示す実施例により、本発
明を具体的に説明する。
明を具体的に説明する。
【0016】(実施例1)図1の装置において、各々の
直径が1000mm、間隔Lが3mmの2個の冷却キャ
ンロール21、22を用いて成膜を行った。磁性材料蒸
発源25表面と冷却キャンロールの下端との間の距離Y
を150mmとし、偏向コイル53により偏向用磁界を
様々に変化させることにより、電子ビーム13の入射角
αを30〜90°の範囲で変化させた。電子銃パワー1
00kW、初期入射角θmax=90°、最小入射角θ
min=40°とし、真空槽1内に酸素を導入しなが
ら、PETフィルム上にCoOを0.1μmの厚さで成
膜した。この間、反射電子吸収板54により、反射電子
による真空槽内部の部品あるいは壁面の溶融を防止し
た。このときの入射角α、テープ走行速度、ならびに、
走行中のシワの発生の有無を表1に示した。
直径が1000mm、間隔Lが3mmの2個の冷却キャ
ンロール21、22を用いて成膜を行った。磁性材料蒸
発源25表面と冷却キャンロールの下端との間の距離Y
を150mmとし、偏向コイル53により偏向用磁界を
様々に変化させることにより、電子ビーム13の入射角
αを30〜90°の範囲で変化させた。電子銃パワー1
00kW、初期入射角θmax=90°、最小入射角θ
min=40°とし、真空槽1内に酸素を導入しなが
ら、PETフィルム上にCoOを0.1μmの厚さで成
膜した。この間、反射電子吸収板54により、反射電子
による真空槽内部の部品あるいは壁面の溶融を防止し
た。このときの入射角α、テープ走行速度、ならびに、
走行中のシワの発生の有無を表1に示した。
【0017】
【表1】 入射角α(°) テープ走行速度(m/min) シワ発生の有無 30 70 あり 35 82 あり 40 108 なし 45 110 なし 50 110 なし 60 112 なし 65 113 なし 70 113 なし 75 115 なし 80 120 なし 90 125 なし
【0018】表1の結果からも明らかなように、本発明
の成膜装置においては、距離Yを小さくすることができ
るので、蒸着効率が向上し、α=30°と小さい場合で
もテープ走行速度=70m/minが確保できる。さら
に、αが大きくなるに従い、テープ走行速度はさらに増
大し、しかも、αが40°以上の場合には、反射電子の
影響が少なくなるため走行中のテープ表面にシワが発生
することも防止できることが確認された。
の成膜装置においては、距離Yを小さくすることができ
るので、蒸着効率が向上し、α=30°と小さい場合で
もテープ走行速度=70m/minが確保できる。さら
に、αが大きくなるに従い、テープ走行速度はさらに増
大し、しかも、αが40°以上の場合には、反射電子の
影響が少なくなるため走行中のテープ表面にシワが発生
することも防止できることが確認された。
【0019】(比較例1)図2の装置において、直径1
000mmの2個の冷却キャンロール21、22を用
い、電子銃12からの電子ビームを偏向させずに直進さ
せて磁性材料蒸発源25に照射した。磁性材料蒸発源2
5表面と冷却キャンロールの下端との間の距離Y=30
0mm、入射角α=25°とした。この入射角α=25
°は、Y=300mmとなる位置で、冷却キャンロール
22を電子ビーム13が照射せずに磁性材料蒸発源25
に直進入射可能な最大入射角にほぼ等しい値である。そ
して、電子銃パワー100kW、初期入射角θmax=
90°、最小入射角θmin=40°とし、真空槽1内
に酸素を導入しながら、PETフィルム上にCoOを
0.1μmの厚さで成膜した。このときのテープ走行速
度は60m/minであった。
000mmの2個の冷却キャンロール21、22を用
い、電子銃12からの電子ビームを偏向させずに直進さ
せて磁性材料蒸発源25に照射した。磁性材料蒸発源2
5表面と冷却キャンロールの下端との間の距離Y=30
0mm、入射角α=25°とした。この入射角α=25
°は、Y=300mmとなる位置で、冷却キャンロール
22を電子ビーム13が照射せずに磁性材料蒸発源25
に直進入射可能な最大入射角にほぼ等しい値である。そ
して、電子銃パワー100kW、初期入射角θmax=
90°、最小入射角θmin=40°とし、真空槽1内
に酸素を導入しながら、PETフィルム上にCoOを
0.1μmの厚さで成膜した。このときのテープ走行速
度は60m/minであった。
【0020】この工程では、入射角αが小さいために反
射電子が多く発生し、ルツボ8の近傍に反射電子吸収板
54が設置されているにもかかわららず、この反射電子
を十分に吸収することができなかった。その結果とし
て、フィルム面に到達した反射電子の影響によりフィル
ムが帯電し、フィルム走行中に表面にシワが生じ、製品
歩留りが低下してしまった。さらに、Y=300mmと
実施例1に比べて2倍の距離となっているため蒸着効率
が低く、テープ走行速度が小さくなり、製造効率が低下
した。
射電子が多く発生し、ルツボ8の近傍に反射電子吸収板
54が設置されているにもかかわららず、この反射電子
を十分に吸収することができなかった。その結果とし
て、フィルム面に到達した反射電子の影響によりフィル
ムが帯電し、フィルム走行中に表面にシワが生じ、製品
歩留りが低下してしまった。さらに、Y=300mmと
実施例1に比べて2倍の距離となっているため蒸着効率
が低く、テープ走行速度が小さくなり、製造効率が低下
した。
【0021】(比較例2)図2の装置を用い、Y=40
0mm、α=30°とした以外は上記比較例1と同様に
したCoOを成膜した。このときのテープ走行速度は5
5m/minであった。この工程においても、比較例1
と同様に反射電子の影響を受けて、フィルム走行中に表
面にシワが発生した。この場合も、α=30°とするた
めに、Y=400mmと比較例1よりもさらに長くなっ
ているため、テープ走行速度=55m/minからもわ
かるとおり、同じ入射角α=30°の実施例1の結果
(テープ走行速度=70m/min)と比べても、蒸着
効率がかなり低くなっていることが確認された。
0mm、α=30°とした以外は上記比較例1と同様に
したCoOを成膜した。このときのテープ走行速度は5
5m/minであった。この工程においても、比較例1
と同様に反射電子の影響を受けて、フィルム走行中に表
面にシワが発生した。この場合も、α=30°とするた
めに、Y=400mmと比較例1よりもさらに長くなっ
ているため、テープ走行速度=55m/minからもわ
かるとおり、同じ入射角α=30°の実施例1の結果
(テープ走行速度=70m/min)と比べても、蒸着
効率がかなり低くなっていることが確認された。
【0022】
【発明の効果】以上詳細に説明したとおり、本発明によ
れば、2個の冷却キャンロールを極めて微小な間隔で並
置し、電子銃からの電子ビームをルツボの直前で偏向さ
せて磁性材料に照射する構成としたので、電子ビームの
磁性材料表面への入射角αを大きくし、冷却キャンロー
ルと磁性材料表面との間の距離Yを小さくすることがで
き、その結果、蒸着効率を向上させ、有効パワー効率を
高めることが可能となる。また、反射電子を低減するこ
とができるので、フィルムの帯電による走行中のシワの
発生も防止でき、製品歩留りの向上に極めて有効であ
る。
れば、2個の冷却キャンロールを極めて微小な間隔で並
置し、電子銃からの電子ビームをルツボの直前で偏向さ
せて磁性材料に照射する構成としたので、電子ビームの
磁性材料表面への入射角αを大きくし、冷却キャンロー
ルと磁性材料表面との間の距離Yを小さくすることがで
き、その結果、蒸着効率を向上させ、有効パワー効率を
高めることが可能となる。また、反射電子を低減するこ
とができるので、フィルムの帯電による走行中のシワの
発生も防止でき、製品歩留りの向上に極めて有効であ
る。
【図1】本発明の磁気記録媒体の製造装置の主要部をな
す成膜装置の構成の一例を示す概念図である。
す成膜装置の構成の一例を示す概念図である。
【図2】本発明に先だって提案された成膜装置の構成を
示す概念図である。
示す概念図である。
1 真空槽 8 ルツボ 12 電子銃 13 電子ビーム 21、22 冷却キャンロール 23、24 非磁性基体(ベースフィルム) 25 磁性材料蒸発源 31、33 巻出しロール 32、34 巻取りロール 41、42、43、44 ガイドロール 51、52 マスク 53 偏向マグネット(磁界を発生させる手段) 54 反射電子吸収板
Claims (1)
- 【請求項1】 磁性材料の蒸発源からの蒸気流を斜方蒸
着法により非磁性基体上に堆積させることにより磁性膜
を形成する磁気記録媒体の製造装置において、 第1及び第2の非磁性基体をそれぞれ走行させる2個の
冷却キャンロールを備えるとともに、これらの冷却キャ
ンロールがそれぞれの回転軸が互いに平行になるよう
に、かつ、微小な間隙をもって並置されており、前記蒸
発源が前記2個の冷却キャンロール間の中央下部に配設
され、前記蒸発源からの蒸気流の第1の非磁性基体への
最大入射角が前記第2の非磁性基体により規制され、か
つ、前記蒸発源からの蒸気流の前記第2の非磁性基体へ
の最大入射角が前記第1の非磁性基体により規制される
よう構成され、前記磁性材料を溶解するために用いる電
子銃からの電子ビームを偏向させた後に前記磁性材料に
照射するために、前記蒸発源近傍に磁界を発生させる手
段を設けたことを特徴とする磁気記録媒体の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11621998A JPH11296854A (ja) | 1998-04-10 | 1998-04-10 | 磁気記録媒体の製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11621998A JPH11296854A (ja) | 1998-04-10 | 1998-04-10 | 磁気記録媒体の製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11296854A true JPH11296854A (ja) | 1999-10-29 |
Family
ID=14681785
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11621998A Withdrawn JPH11296854A (ja) | 1998-04-10 | 1998-04-10 | 磁気記録媒体の製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11296854A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116904957A (zh) * | 2023-09-13 | 2023-10-20 | 纳狮新材料有限公司杭州分公司 | 一种磁控溅射与电子束复合型镀膜装置 |
-
1998
- 1998-04-10 JP JP11621998A patent/JPH11296854A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116904957A (zh) * | 2023-09-13 | 2023-10-20 | 纳狮新材料有限公司杭州分公司 | 一种磁控溅射与电子束复合型镀膜装置 |
CN116904957B (zh) * | 2023-09-13 | 2024-05-10 | 纳狮新材料有限公司杭州分公司 | 一种磁控溅射与电子束复合型镀膜装置 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050705 |