JPH1129160A - フッ素系樹脂ラミネートゴム栓及びその製造方法 - Google Patents

フッ素系樹脂ラミネートゴム栓及びその製造方法

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JPH1129160A
JPH1129160A JP9197996A JP19799697A JPH1129160A JP H1129160 A JPH1129160 A JP H1129160A JP 9197996 A JP9197996 A JP 9197996A JP 19799697 A JP19799697 A JP 19799697A JP H1129160 A JPH1129160 A JP H1129160A
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rubber stopper
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porous
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Masamichi Sudo
真通 須藤
Moriaki Sudou
盛皓 須藤
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Daikyo Seiko Kk
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Daikyo Seiko Kk
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 注射針の多数回に及ぶ刺針に対して優れた耐
コアリング性を有するゴム栓を提供すること。 【解決手段】 多孔質フッ素系樹脂フィルムラミネート
層を表面に有することを特徴とするフッ素系樹脂ラミネ
ートゴム栓及び未加硫のシート状加硫性ゴム組成物と多
孔質フッ素系樹脂フィルムとを積層し、加熱下に圧縮成
形することを特徴とするフッ素系樹脂ラミネートゴム栓
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多孔質フッ素系樹脂
フィルムラミネート層を表面に有する耐コアリング性に
優れたゴム栓及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】注射剤の容器の一部として薬剤等の密封
のために種々の形状のゴム製シール部材、即ち、ゴム栓
が使用されている。ゴム栓は薬剤を安全に保存し、薬剤
の使用に際しては、容器から無菌的投薬あるいは他の薬
剤との混合や溶解のための移し替えが可能な、容器シス
テムの中の中核部品として重要な位置を占めている。
【0003】一方、ゴム栓は、ゴム自体の気体遮断性
(耐気体透過性)及び弾力性(ゴム弾性に基づく復元
力)を応用したシステムであることから、薬剤の使用時
には、ゴム栓と注射器や各種の投薬回路の末端の接合
部、即ち、金属製注射針あるいは合成樹脂製の大型注射
針等とは、これらをゴム栓等に刺し込むことによって結
合される。その際、注射針の孔径以下の微細なゴム片
(ゴムフラグメント)が、注射針の形状や注射針の仕上
げ工程の精度及びゴム栓の厚さ、硬さ、表面の滑り性等
に起因して発生することがある。この現象は、コアリン
グと称され、コアリングの発生は薬剤の副作用と同様な
意味合いでゴムフラグメントが患者に投与されることが
あることから安全衛生上問題となっている。
【0004】ゴムの素材によっては、例えば、同じ孔径
の金属製注射針をゴム栓を刺し込んだ場合でも、コアリ
ングの発生頻度が異なってくる。例えば、ゴム弾性に富
んだ天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴ
ム及びこれらのブレンド物等ではコアリングの発生頻度
は非常に少ない。しかしながら、これらのゴムは気体透
過性が大きく、気体遮断性に劣るために、酸化され易い
液状注射剤が充填された容器へのこれらのゴムを用いた
ゴム栓の使用は大幅に制約を受けることになる。
【0005】従って、ゴム栓の製造には、上記のゴムに
比べてゴム弾性が劣り、耐コアリング性には多少難があ
るが、気体遮断性に優れたゴム素材であるブチルゴムの
使用が必須となり、耐コアリング性(ゴムフラグメント
の発生の起き難い特性、つまりコアリング抵抗性を有す
ること)をゴム栓の形状や構造複合化等の別の手法で補
うことが必要である。
【0006】通常、同一の注射剤容器のゴム栓への注射
針の刺針回数は、固形製剤を溶解するための溶解液(例
えば、注射用水、生理食塩水等)の注入や抗生物質、循
環器系や制癌剤等の薬剤の採取等では、精々5回程度で
あり、このようなゴム栓には耐コアリング性は劣るが、
気体遮断性に優れたブチルゴムが一般に多用されてい
て、特に問題とはなっていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、多くの
注射剤の中には、インスリン製剤やヘパリン製剤等のよ
うに、製剤設計上同じ製剤容器(バイアル)から注射器
を取り替えながら同じゴム栓に100〜200回程度刺
針して薬剤の採取、投与を行う製剤もあり、このような
使用条件下では、素材ゴムの選択やゴム栓の形状等を工
夫することでは医療機関のコアリングに対する要求レベ
ルを実現することはできず、対策が必要となっている。
【0008】尚、ゴム栓は、その容器内の薬剤と接触す
る下面の一部あるいは全面に、ゴム栓からの配合剤や加
硫反応生成物等が溶出することを防止するために、フッ
素系樹脂のフィルムがラミネートされているものが多
い。更に、ゴム栓の製造工程中及び注射剤の製造工程、
ゴム栓の搬送、滅菌工程等におけるゴム栓どうしの摩擦
による異物の発生やゴム栓どうしの粘着を防止するめに
ゴム栓の上部表面(天面部等の上部面)にも該フィルム
をラミーネートする場合もある。
【0009】しかしながら、コアリングは、ゴム栓の下
面あるいは上下両面がフッ素系樹脂フィルムでラミネー
トされている場合も、いずれの面もラミネートされてい
ないゴム栓と同じ頻度で生じ、該フィルムのラミネート
はフッ素系樹脂の種類に関係なく、実質的にコアリング
防止にあまり寄与しないことも確認されている。又、コ
アリングの発生頻度(ゴムフラグメントの発生頻度)
は、ワクチン剤、インスリン製剤及びヘパリン製剤等の
同一製剤容器から多数回注射器で薬剤採取され、投薬さ
れる場合には、採取回数が多くなるほど高くなり、同一
配合処方のゴム組成物で製造した同一形状のゴム栓であ
っても、使用する注射針のサイズ(外径)が大きくなる
と、即ち、ゲージ数が小さくなるほど、コアリングの発
生頻度は高くなる。又、注射針製造工程での仕上げ精度
によってもゴム栓のコアリング発生頻度は大きな影響を
受けることも明らかである。
【0010】本発明はこのような背景下になされたもの
であり、本発明の目的は注射針の多数回に及ぶ刺針に対
して優れた耐コアリング性を有するゴム栓を提供するこ
とである。本発明者は、ゴム栓の耐コアリング性の要因
について種々検討した結果、以下の5つの条件がゴム栓
の耐コアリング性を決定することを見出した。 (1)素材ゴム及びこれと複合する素材は低剛性、即
ち、柔軟性に富む素材であること、(2)ゴム栓等の注
射針が刺される部位の厚さは薄いこと、(3)上記部位
の表面は潤滑性が高い、即ち、良く滑る(摩擦抵抗が小
さい)こと、(4)(1)との関連で、素材の引き裂き
抵抗及び伸長度(破断時の伸び)が大きいこと、(5)
容器密封時のゴム栓等へ掛る応力(圧縮応力)が小さい
こと、つまり、圧縮比が小さいこと。
【0011】本発明者は上記の目的を達成すべく、上記
のゴム栓の形状に関する条件(2)及び(5)は、注射
剤容器の基本設計にも関係し、設計変更の自由度が小さ
いことから、従来から主要管理特性とみなしていた
(4)の条件に(1)と(3)の条件を具備した素材に
ついて検討を重ねた結果、気体遮断性に優れたゴム素材
と低剛性で、潤滑性に優れ、高い伸度及び引き裂き抵抗
に優れた多孔質のポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)薄膜(フィルム)とを複合化することによって目的
が達成されることを見出し本発明に至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる本発明によれば、
多孔質フッ素系樹脂フィルムラミネート層を表面に有す
ることを特徴とするフッ素系樹脂ラミネートゴム栓及び
その製造方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】次に発明の実施の形態を挙げて本
発明を詳細に説明する。本発明で使用するフッ素系樹脂
フィルムとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレンコ
ポリマー(ETFE)、テトラフルオロエチレン−パー
フルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(PF
A)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ
フルオロエチレン(PCTFE)等のフィルムが用いら
れる。これらのなかでは、滑り性及び柔軟性に富み、ゴ
ム栓に刺した注射針を引き抜いた後の再密封性(リシー
ル性)に優れたPTFEが好ましい。
【0014】本発明の特徴は上記のフッ素系樹脂フィル
ムが多孔質であることである。多孔質フッ素系樹脂フィ
ルム自体は公知であり、耐溶剤・薬品性フィルター、選
択的透過膜(分離膜)として、又、防水透湿性材料とし
て防水テント、レインウエアー等の各種繊維製品の製造
等に使用されている。多孔質フィルムの製造方法として
は、(1)未焼結のPTFE粉末とその溶融温度以下の
沸点を有する液状潤滑剤との混合物を押出及び/又は圧
延し、未焼結状態で少なくとも一方向に延伸した後焼結
させる方法(特公昭42−13560号公報)、上記の
混合物を丸棒状に押出、所定の厚さに圧延した後加熱
(焼結温度以下に)して液状潤滑剤を除去し、次いで加
熱焼結して更に圧延し、所定の結晶化度となるように熱
処理した後に所定延伸倍率で一軸延伸する方法(特公昭
53−42794号公報)、(2)上記混合物を液状潤
滑剤(押出助剤)の沸点以上〜PTFEの融点以下の温
度で押出て液状潤滑剤を除去し、これを該融点以下の温
度で特定延伸速度で少なくとも一方向に延伸する方法
(特公昭51−18991号公報)、(3)PTFE繊
維粉末を抄紙してPTFEペーパーと称される多孔質膜
とする方法(特公昭42−5244号公報)等が実用化
されている。
【0015】上記の方法で得られる多孔質フィルムは、
延伸によって形成されたフィブリル化した微細な繊維が
相互に絡み合い、相互に節が結合した不規則な微細繊維
構造からなり、フィブリル間の空隙が微細孔となってい
る構造や不織布様の構造等を有する多孔質構造を有して
いる。これらの多孔質フィルムは、製法によって違いは
あるが、通常、厚さは0.5〜100μm、平均孔径は
0.02〜100μm程度、空孔率は最高95%程度ま
で可変である。
【0016】本発明においては、多孔質フッ素系樹脂フ
ィルムの製造方法は特に限定されず、多孔質の構造も何
ら限定されるものではない。又、多孔質フィルムの厚
さ、孔径及び気孔率も特に限定されないが、ゴム栓製造
時の取り扱い易さ、経済性及びゴム弾性を阻害しないこ
とを考慮すると厚さは10〜100μm程度が好まし
く、更に好ましくは30〜60μmである。又、加硫接
着性の点から、孔径は、通常、0.1〜50μm、空孔
率は30%以上が好ましく、さらに好ましくは50%以
上である。
【0017】従来からゴム栓のラミネートに使用されて
いる前記のフッ素系樹脂フィルムは、上記のフッ素系樹
脂の非多孔質化フィルムであり、例えば、PTFEは比
重2.1〜2.2、曲弾性率4000〜6000kgf
/cm2 、ETFEは比重1.73〜1.75、曲弾性
率9000〜10000kgf/cm2 である。本発明
の多孔質フィルムは気孔率が大きいほど比重は上記値よ
り小さくなり、気孔率が80%程度のPTFE多孔質フ
ィルム(厚さ0.85mm)の曲弾性率は実質的に測定
不能であり、このフィルムは非常に柔軟性に富んでい
る。
【0018】本発明のゴム栓の製造に使用する原料ゴム
は、従来から各種ゴム栓の製造に使用されているゴム材
料はいずれも使用可能であり、特に限定されるものでは
なく、ゴム栓が付される容器内の薬剤や溶剤等に従って
適宜選択される。例えば、気体遮断性が必要なゴム栓で
は、通常、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチ
ルゴム、ジビニルベンゼン共重合微架橋ブチルゴム等の
ブチル系ゴムやエピクロリヒドリン系ゴム等が、気体遮
断性がさほど要求されないゴム栓では、高シス1,4−
ポリブタジエンゴム、高〜低シス1,4−ポリイソプレ
ンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合ゴム、エチレン−プロピレン
共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン
モノマ−三元共重合ゴム(EPDM)等が用いられる。
【0019】本発明の多孔質フッ素系樹脂フィルムが表
面にラミネートされたゴム栓は、通常のゴム栓と同様の
圧縮成形によって製造することができる。本発明ではゴ
ム栓の形状は特に制限されず、脚部を有するゴム栓(フ
ランジ部のあるもの及びないものが含まれる)やディス
クタイプゴム栓等のいずれの形状であってもよい。
【0020】本発明のゴム栓は、その上部表面の少なく
とも注射針が刺し込まれる面又は部位表面が多孔質フッ
素系樹脂フィルムでラミネートされていることが必要で
あり、かくすることによって注射針を刺したときのコア
リングの発生が防止される。又、該フィルムは柔軟性に
富んでおり、ゴム弾性を阻害しないことから、抜針後の
耐液漏れ性にも優れており、通常のフッ素系樹脂フィル
ムに比べてゴム栓の再密封性(リシール性)も優れてい
る。
【0021】本発明のゴム栓の製造例をフランジ部のあ
る脚部を有するゴム栓を例に説明する。先ず、上記の原
料ゴムと、それぞれの原料ゴムに適した加硫系、充填
剤、着色剤等の通常のゴム栓の製造に使用される各種配
合剤とを混合、混練してシート状の未加硫の加硫性ゴム
組成物を作製する。図1に示すように、得られた未加硫
のシート状加硫性ゴム組成物1と多孔質フッ素系樹脂フ
ィルム2とを重ね、所定形状に形成された下金型3上に
ゴム面を対向させて置き、該フィルム上に上金型(不図
示)を配置して所定の温度、圧力条件で圧縮成形すると
同時にゴム組成物を加硫する。所定時間後に抜圧し、金
型から成形物を取り出すと、図2に示す天面部及びフラ
ンジ部の上部面と側面とが多孔性フッ素樹脂系フィルム
でラミネートされたゴム栓が得られる。
【0022】本発明では、成形条件(圧力、加熱温度、
加圧時間等)は、特に制限されず、従来のゴム栓の製造
におけると同様に、使用するゴム組成物の種類、即ち、
原料ゴム成分の種類、加硫剤の種類や量等によって、要
求品質を満足する成形条件を予備実験によって決定す
る。
【0023】本発明におけるゴム栓は、ゴム栓の製造
上、脚部を有するフランジのないゴム栓では天面部上面
全面を、フランジ部を有するゴム栓では天面部及びフラ
ンジ部の上面全面を、更には天面部又はフランジ部側面
をも該フィルムでラミネートすることが好ましく、フラ
ンジ部を有する場合にはフランジ部下面(容器の口部上
端面と接触する)をもラミネートすることができる。
又、ディスクタイプのゴム栓では、図3に示すように上
部表面、更には側面をもラミネートすることが好まし
く、場合によっては全表面をラミネートすることができ
る。
【0024】本発明で使用するフッ素系樹脂フィルムは
多孔質であり、ゴム栓の医薬品や溶剤等と接触する面を
このフィルムでラミネートしてもゴム栓中の配合成分の
溶出を防止することはできないので、上記の溶出を防止
するためにゴム栓の薬剤等と接触する面(天面部下面及
び脚部表面等)を従来のゴム栓と同様に通常の非多孔質
のフッ素系樹脂フィルム等でラミネートすることができ
る。
【0025】例えば、図4に例示したゴム栓((a)及
び(b)はフランジ部のある脚部を有するゴム栓、
(c)はカートリッジタイプのプラスチック製注射器等
で使用されるディスクタイプのゴム栓)においては、
(a)は天面部とフランジ部上面及びフランジ部側面が
多孔質フィルムでラミネートされており、薬剤と接触す
る天面部下面と脚部全表面が通常の非多孔質フッ素系樹
脂フィルムでラミネートされたゴム栓であり、(b)は
(a)のゴム栓よりも更にフランジ部下面も通常のフッ
素系樹脂フィルムでラミネートされた例である。(c)
は、上部表面及びその側面が多孔性フッ素樹脂系フィル
ムでラミネートされ、裏面(下部表面)が通常のフッ素
系樹脂フィルムでラミネートされている例である。突起
はゴム栓の表裏を判別するためのものである。
【0026】図4の(a)及び(b)ような脚部を有す
るゴム栓は、特公昭57−53184号公報、特開昭6
1−162145号公報や特開昭63−296756号
公報等に開示されている方法で、先ず非多孔質フィルム
をラミネートした脚部を作り、これを下金型に挿入し、
その上に多孔質フィルムを積層したゴム組成物をのせ、
その上に上金型を配置して加熱下に圧縮成形することに
よって製造することができるが、製造方法はこれに限定
されるものではない。
【0027】尚、従来の非多孔質フッ素系樹脂フィルム
は、スパッタエッチング等の何らかの手段で表面処理が
施されたものの使用がゴム層との加硫接着が行われるた
めに必要であるが、本発明においては多孔質フッ素系樹
脂フィルムを使用することにより、特に該フィルムの表
面処理やゴム組成物に接着特性を付与する必要もなく、
又、接着剤を使用する必要もなく、従来の表面処理され
た非多孔質フッ素系樹脂フィルムを用いた場合と同等の
加硫接着性が得られる。この理由は、成形時に多孔性フ
ッ素系樹脂フィルムの微細孔にゴム組成物が侵入し、加
硫ゴム組成物中に該微細孔が取り込まれたIPN(相互
浸透網目構造)類似の構造が形成されることによるもの
と思われる。
【0028】本発明で多孔質フッ素系樹脂フィルムをラ
ミネートする主たる目的は、多数回刺針時のコアリング
発生防止であるが、注射器のキャップ、注射器のピスト
ン等の刺針されないゴム栓のアルカリ洗浄、清水洗浄等
の工程におけるゴム栓どうしの粘着を防止したり、滑り
性を改善する等の他の目的で使用することもできる。
【0029】本発明のゴム栓は、主たる対象は医薬品
用、医療用ゴム栓であるが、これらに限定されるもので
はなく、これら以外のゴム栓も対象とすることができ
る。又、刺針によるコアリングが問題となるゴム栓に限
定されず、刺針されないゴム栓も包含される。医薬品
用、医療用ゴム栓としては、例えば、バイアル製剤用ゴ
ム栓、凍結乾燥用ゴム栓、プレフィルドシリンジ(容器
兼用注射器)用ゴム栓、プラスチック容器用ゴム栓、注
射器用滑栓(ピストン)、注射器頭部用ゴム栓(キャッ
プ)等が挙げられるが、例示のゴム栓に限定されるもの
ではない。
【0030】ゴム栓の耐コアリング性や液漏れ性に関す
る公定基準は、ヨーロッパ薬局方基準(Europea
n Pharmacopoeia)やISO規格があ
る。
【0031】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体
的に説明する。以下においては、部及び%は、特に断り
のない限り重量基準である。
【0032】実施例1〜2、比較例1〜4 下記の配合処方I又は配合処方IIに従って各原料ゴム
と各配合剤をインターナルミキサーで混合混練してゴム
栓用ゴム組成物を作製した。これをロールでシート出し
して約10mmのシートとした。このシートを適当な大
きさに裁断した。表1に記載の市販のPTFE多孔質シ
ートと配合処方Iの加硫性未加硫シートを重ね、下金型
にゴム面を対向させて置き、多孔質シートに上金型を置
き、圧力50kg/cm2 、175℃、10分の条件で
圧縮成形と加硫とを行った。得られたゴム栓は、図2に
示すような天面部及びフランジ部上部表面と側面とが多
孔質PTFEフィルムでラミネートされたバイアル製剤
用ゴム栓である。又、配合処方IIの未加硫シートを用
い、上記同様にして圧力50kg/cm2 、145℃、
7分の条件で全表面が上記フィルムでラミネートされた
プレフィルドシリンジ(容器兼注射器用)先端密封用円
板状のディスク型ゴム栓を製造した(図3参照)。同様
にして、上記の多孔質フィルムに代えてスパッタエッチ
ング処理した表1に記載の非多孔質フッ素系樹脂フィル
ムを用いたそれぞれ上記2種類のゴム栓を製造した。
【0033】 配 合 処 方 I ブチルゴム(エクソン化学社製ブチル365) 100部 活性亜鉛華(正同化学工業社製AZO-B) 5部 ステアリン酸(花王社製ルナックS-30) 1部 湿式微粉シリカ(日本シリカ工業社製ニプシルER-100) 40部 ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド 2部 (川口化学工業社製アクセルTRA)
【0034】 配 合 処 方 II ポリブタジエンゴム(日本ゼオン社製Nipol BR1220) 100部 湿式微粉シリカ(日本シリカ工業社製ニプシルER-100) 30部 ヒ゛ス(t-フ゛チルハ゜ーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン) 0.5部 (日本油脂社製パーヘキサ3M-100)
【0035】得られた各ゴム栓について下記の試験方法
で溶出物試験、耐コアリング性、耐液漏れ性及び静摩擦
抵抗を測定した。測定結果を表1に示す。 (1)溶出物試験 第13改正日本薬局方(1985年)の輸液用ゴム栓試
験法の溶出物試験に準拠して測定。 (2)耐コアリング性(フラグメンテーション試験) ISO8362−2(第1版、1988−12−15)
のInjection containers for injectable and accesori
es - Part 2:Closure for injection vials , annex A
5.2.3 Fragmentation(coring)に準拠して測定。バイア
ル製剤用ゴム栓の場合には、規格値が外径0.8mmの
ディスポーザブル注射針を使用した。プレフィルドシリ
ンジ用ゴム栓の場合には、両頭針27G(薬液の入った
シリンジ側は21〜23G)のディスポーザブル注射針
を用いた。 (3)液漏れ性試験(セルフシーリング試験) 同上の annex C に準拠して測定。
【0036】(4)静摩擦抵抗 アセトンで清浄にした平滑な表面のステンレス板(JI
S G4305SUS304)(幅15cm×長さ30
cm×厚さ0.5cm)の長さ方向の一端を、ステンレ
ス板が前後に動かないように水平面上に設けられたスト
ッパーに当て、ステンレス板上の所定の位置にゴム栓を
フッ素系樹脂フィルムのラミネート面をステンレス面に
接するように置き、ステンレス板の他端をゆっくりと上
昇させ、ゴム栓が滑り出した瞬間のステンレス板と水平
面との角度(θ)を読み取り、tan θを静摩擦係数とし
た。以上の測定結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】(注)(*1)日東電工社製ニフトロンNTF113
1(PTFE< 厚サ 0.85mm、 空孔率80vol.%、最大細孔径1.0 μ
m ) (*2)ダイキン工業社製ポリフロンペーパーPA-5L(PTFE、
厚サ 0.55mm、 空孔率75vol.%、最大細孔径45μm ) (*3)ダイキン工業社製ポリフロンTFE(PTFE、 厚サ 0.50m
m)(厚サ 0.55mm、 空孔率75vol.%、最大細孔径45μm ) (*4)旭硝子社製アフロンCOP(ETFE、 厚サ 0.50mm) (*5)直径0.8cm ×厚さ0.1cm (配合処方II) (*6)バイアル製剤用ゴム栓:フランシ゛径20mm(配合処方
I)
【0039】静摩擦抵抗がシリコーン処理と同等で、且
つ、フッ素系樹脂フィルムのなかではフラグメントの発
生個数が少ないといわれているPTFEの多孔質フィル
ムと非多孔質フィルムを用いたゴム栓を作製し評価した
結果、表1に示したように、本発明の多孔質フィルムを
ラミネートしたゴム栓は、静摩擦係数は非多孔質フィル
ムラミネートゴム栓よりはやや大きいが、耐コアリング
性は著しく向上し、又、耐液漏れ性も向上している。
又、加硫接着性も非多孔質フィルムの場合と同等であっ
た。更に、溶出試験も公定基準に適合し、化学的品質上
も全く問題がないことが確認された。
【0040】実施例3 天面部及びフランジ部上部面と側面とが実施例1〜2の
多孔質系フッ素系樹脂フィルムで、脚部全表面及び天面
部下面が比較例3〜4の非多孔質PTFEフィルムでラ
ミネートされた図4(a)、(b)に概略断面図を示す
ゴム栓を前記の配合処方Iで調製したゴム組成物を用い
て作製した。このゴム栓は、特開昭63−296756
号公報の実施例1〜4に記載の方法に従って、上記フィ
ルムでラミネートされた脚部又は脚部とフランジ部下面
となる部分を50kg/cm2 の加圧下、150℃15
分の条件で圧縮成形により先ず作製した。次いでこの脚
部を下金型に挿入し、その上に、ゴム栓の天面部を形成
するために多孔質フィルムを積層したシート状ゴム組成
物を置き、上金型を配置して上記と同じ条件で圧縮成形
し、目的の脚部及び天面部が上記の各フィルムでラミネ
ートされたゴム栓を得た。このゴム栓を実施例1〜2と
同じ方法で評価したが、評価結果は実施例2のゴム栓と
同等の耐コアリング性、耐液漏れ性及び化学品質であっ
た。
【0041】
【発明の効果】以上の本発明によれば、ゴム栓の天面部
上面の少なくとも注射針が刺し込まれる部位を多孔質フ
ッ素系樹脂フィルムでラミネートすることによって、ゴ
ムフラグメントの実質的発生が抑制され、極めて優れた
耐コアリング性が実現される。又、耐液漏れ性も向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ゴム栓の製造方法を説明する図である。
【図2】 本発明例のゴム栓の概略断面図である。
【図3】 本発明例のゴム栓の概略断面図である。
【図4】 本発明例のゴム栓の概略断面図である。
(a)及び(b)は脚部を有するゴム栓であり、(c)
はディスクタイプのゴム栓である。
【符号の説明】
1:シート状加硫性ゴム組成物 2:多孔質フッ素系樹脂フィルム 3:下金型 4:多孔質フッ素系樹脂フィルムラミネートゴム栓 5:天面部 6:フランジ部 7:脚部 8:非多孔質フッ素系樹脂フィルム 9:ゴム栓の表裏を判別する突起

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質フッ素系樹脂フィルムラミネート
    層を表面に有することを特徴とするフッ素系樹脂ラミネ
    ートゴム栓。
  2. 【請求項2】 上記表面が、ゴム栓の上部表面である請
    求項1に記載のフッ素系樹脂ラミネートゴム栓。
  3. 【請求項3】 ゴム栓が医薬品用及び医療器具用である
    請求項1又は2に記載のフッ素系樹脂ラミネートゴム
    栓。
  4. 【請求項4】フッ素系樹脂がポリテトラフルオロエチレ
    ンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のフッ素系
    樹脂ラミネートゴム栓。
  5. 【請求項5】 ゴム栓の医薬品、溶剤等と接触する面が
    非多孔質プラスチックフィルムでラミネートされている
    請求項2に記載のフッ素系樹脂ラミネートゴム栓。
  6. 【請求項6】 未加硫のシート状加硫性ゴム組成物と多
    孔質フッ素系樹脂フィルムとを積層し、加熱下に圧縮成
    形することを特徴とするフッ素系樹脂ラミネートゴム栓
    の製造方法。
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