JP2020033023A - 栓体 - Google Patents

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三島 健司
Kenji Mishima
健司 三島
英里 山下
Eri Yamashita
英里 山下
裕美 河原
Hiromi Kawahara
裕美 河原
弓削 類
Rui Yuge
類 弓削
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Abstract

【課題】様々な用途で細胞を収容する容器に適用可能な栓体を提供する。【解決手段】栓体が提供される。栓体は、弾性材で構成される本体を有し、容器を液密にシールするための栓体であって、接液部と、前記接液部の外周縁に連続する側周面部とを備える。前記側周面部は、前記容器の内周面に密着する液密領域を有する。前記液密領域の少なくとも一部は、疎水性の多孔質フィルムでラミネートされることにより、前記容器の内外で気体を連通させるように構成される。【選択図】図1B

Description

本発明は、栓体、特に細胞を収容する容器に適した栓体に関する。
従来から、細胞を培養するための容器が知られている。このような容器は、開口を有する容器本体と蓋体とからなる。容器内で細胞を培養する場合、開口を介して容器本体内に液体培地が充填され、次いで培養される細胞が播種され、蓋体によって容器の開口がシールされる。細胞は大きく嫌気性と好気性に分類される。特許文献1には、効率的に好気性細胞を培養することができる容器が開示されている。この容器の開口部に取り付けられるキャップは、上面に気体透過膜を有する。気体透過膜は、気体を連通させつつ液密性を有する材料で構成される。すなわち、二酸化炭素や酸素等の気体を容器の内外で連通させる一方、容器の液密を維持し、異物の混入や液体の漏洩を防止する。
特開2014−183752号公報
上面等に気体透過膜を有するキャップは、一般にメンブレンキャップと呼ばれる。メンブレンキャップを用いて容器をシールする場合、キャップを取り付けた後の容器内の液体に気泡が残存することがある。本発明者らによれば、残存した気泡が容器内の液体中を移動すると、細胞表面を気泡が撫でることによって細胞の生存や増殖にとって好ましくない刺激(シェアストレス)を与え、細胞の培養が効率的に行われないことがある。しかしながら、容器への取付時や取付後に気泡を除去する脱気操作を行うことは、従来のメンブレンキャップでは困難である。そのため、容器に取り付ける際に液体中に気泡を残存させず、なおかつ容器に取り付けられた後は気体を連通させることができるシール用の栓が望まれていた。このような栓が取り付けられる容器は、細胞の培養用途に限られず、細胞の保管や輸送の用途にも適用し得る。容器の輸送等に伴って気泡が液体内を移動することが防止されると共に、細胞の生存や増殖に必要な気体が容器内に供給されるからである。
本発明は、様々な用途で細胞を収容する容器に適用可能な栓体を提供することを目的とする。
本発明の第1観点に係る栓体は、弾性材で構成される本体を有し、容器を液密にシールするための栓体であって、前記容器の接液側に配置される接液部と、前記接液部の外周縁に連続する側周面部とを備える。前記側周面部は、前記容器の内周面に密着する液密領域を有する。前記液密領域の少なくとも一部は、疎水性の多孔質フィルムでラミネートされることにより、前記容器の内外で気体を連通させるように構成される。
本発明の第2観点に係る栓体は、第1観点に係る栓体であって、前記液密領域の全体が前記多孔質フィルムでラミネートされる。
本発明の第3観点に係る栓体は、第1観点または第2観点に係る栓体であって、前記接液部は前記多孔質フィルムでラミネートされる。
本発明の第4観点に係る栓体は、第1観点から第3観点のいずれかに係る栓体であって、前記多孔質フィルムのポアサイズは0.1μm以上である。
本発明の第5観点に係る栓体は、第1観点から第4観点のいずれかに係る栓体であって、前記多孔質フィルムのポアサイズは1.0μm以下である。
本発明の第6観点に係る栓体は、第1観点から第5観点のいずれかに係る栓体であって、前記多孔質フィルムは耐薬品性を有する。
本発明の第7観点に係る栓体は、第1観点から第6観点のいずれかに係る栓体であって、前記多孔質フィルムの材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、及び超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)からなる群より選択される材料からなる。
本発明の第8観点に係る栓体は、第1観点から第7観点のいずれかに係る栓体であって、セルカルチャーフラスコの栓、バイアル瓶の栓、試験管の栓及びシリンジ用ガスケットのいずれかとして構成される。
本発明によれば、様々な用途で細胞を収容する容器に適用可能な栓体が提供される。
本発明の一実施形態に係る栓体が用いられたセルカルチャーフラスコの断面図。 図1Aのセルカルチャーフラスコの円筒部位周辺を拡大した断面図。 本発明の一実施形態に係る栓体の断面図。 本発明の一実施形態に係る栓体の平面図。 液滴と固体表面との接触角を説明する図。 脱気操作を説明する図。 脱気操作を説明する図。 本発明の他の実施形態に係る栓体の断面図。 本発明のさらに他の実施形態に係る栓体の断面図。 本発明のさらに他の実施形態に係る栓体の断面図。 本発明の一実施形態に係る栓体の製造工程を説明する図。 本発明の一実施形態に係る栓体の製造工程を説明する図。 本発明の一実施形態に係る栓体の製造工程を説明する図。 変形例に係る栓体の断面図。 別の変形例に係る栓体の断面図。 さらに別の変形例に係る栓体の断面図。 実験結果1を示すグラフ。 実験結果2を示すグラフ。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る栓体について説明する。
<1.栓体の構成>
図1Aは、本実施形態に係る栓体1が用いられたセルカルチャーフラスコ20(以下、単にフラスコ20と呼ぶことがある)の断面図である。フラスコ20は、本体部21と、本体部21に連続する円筒状の円筒部位22とを有する。本体部21は、底面部と、底面部の周囲を囲む筒状の側面部とを有する。側面部の上端は、円筒部位22の下端部と連続しており、円筒部位22は上方に延びている。なお、栓体1及びフラスコ20の上下方向は図1Aの通りに規定する。円筒部位22の上端の周縁は、フラスコ20の開口Sを規定する。図1Aに示す状態では、円筒部位22内の適切な位置に栓体1が配置されて、開口Sを液密にシールしている。
フラスコ20は、内部の空間V内で細胞を培養するためのフラスコである。空間Vには、開口Sを介して細胞を増殖させるための液体培地が充填される。次いで、培養される細胞が液体培地に播種される。後述するように、栓体1は、開口Sを液密にシールする栓として機能するほか、フラスコ20内外で気体を連通させ、好気性の細胞の生存や培養に必要な気体を供給する。また、栓体1は空間V内の液体中に気泡を残存させないようにフラスコ20に取り付けることができる。このことによって、栓体1が用いられたフラスコ20を細胞の培養のみならず、作成した細胞の保管や、輸送の用途に利用することが可能となる。
図1Bは、栓体1が押し込まれた状態の円筒部位22の周辺を拡大した断面図である。栓体1は、円筒部位22にフィットするような略円柱形状の外形を有し、接液側(空間V側)に配置される接液部11と、接液部11の外周縁に連続する側周面部12とを備える(図2参照)。栓体1は、接液部11が空間V内の液面に接するように押し込まれて使用される。栓体1の本体は、液体に対して不活性な弾性材料からなり、典型的には、ゴム又は熱可塑性エラストマー製である。このため、栓体1が円筒部位22内に押し込まれると、側周面部12が弾性によって円筒部位20の内周面220に密着する。その結果、空間V内の液体が内周面220と栓体1の側周面部12との隙間を通過することが阻止される。栓体1の側周面部12のうち、内周面220に密着する領域を液密領域Lと呼ぶ。
図2Aは栓体1の断面図であり、図2Bは栓体1の平面図である。栓体1の接液部11の逆側に配置される部分を、上面部と呼ぶ。図2に示すように、上面部の中心部付近には、接液部11側に向かって下方へ略円柱形状に窪んだ凹部Rが形成される。凹部Rは、接液部11を構成する底面に概ね平行で、略円形の第1面13aと、第1面13aの外周縁に連続する周面13bとで規定される。周面13bは、第1面13aの外周縁から連続して立ち上がり、上端において第1面13aに概ね平行な第2面13cに連続する。第1面13a及び第2面13cは、図1Aのようにゴム栓1がフラスコ20に取り付けられたとき、フラスコ20の外部空間に対向し、空間V内の液体とは接触しない。
凹部Rは、後述する栓体1の製造工程において形成されることが望ましい。凹部Rが形成されることにより、栓体1でシールされたフラスコ20の開栓が容易になる。例えば、栓体1の上面部全体が平坦面で構成され、凹部Rが形成されていない場合、栓体1を円筒部位22から引き出すことは容易でない。これに対し、凹部Rが形成されている場合は、栓体1の側周面部12と周面13bとを挟持して栓体1を引き出すことができるので、容易に開栓ができる。或いは、凹部Rをプランジャーロッドの先端と連結可能に構成し、開栓に利用することも可能である。例えば、凹部Rをプランジャーロッド先端のねじ山と係合するようなねじ穴に形成しておき、プランジャーロッドの先端を凹部Rにねじ込んで、両者を連結した状態でプランジャーロッドを引くことで、円筒部位22から容易に栓体1を引き出すことができる。
栓体1の接液部11及び液密領域Lを含む側周面部12全体は、多孔質フィルム2でラミネートされている。多孔質フィルム2は微細な空孔を有する樹脂製のフィルムであり、気体を連通させるとともに、疎水性を有する。ラミネートされた多孔質フィルム2の空孔には、栓体1の本体を構成する弾性材料が一部入り込んでおり、この弾性材料と多孔質フィルム2とは一体化した状態で栓体1を構成する(なお、図面では説明のために多孔質フィルム2が実際よりも厚く描かれている)。液密領域Lが多孔質フィルム2でラミネートされることにより、円筒部位22の内周面220との間の摩擦が低減され、栓体1の摺動性が向上する。また、側周面部12(液密領域L)と内周面220との間には、気体が透過できる程度の連通経路が形成される。従って、栓体1の使用によって、開口Sを液密にシールしつつも、フラスコ20の内外で気体を連通させることができる。
多孔質フィルム2は、疎水性の材料から形成される。ここでいう疎水性とは、固体表面の水に対する濡れ性が小さいことをいう。濡れ性の大小は、接触角の大小で比較することができる。ここでいう接触角θとは、図3に示すように、固体表面Hに形成された水滴Dの外縁の接線(図3に破線で示す)と固体表面とのなす角θをいい、接触角θが大きければ大きい程濡れ性が小さく、接触角θが小さければ小さいほど濡れ性が大きい。つまり、ここでいう疎水性とは、接触角θがある程度大きいことをいう。一般的には、θ≦30[°]の場合に固体表面が親水性であると言われ、90≦θ[°]の場合に固体表面が疎水性であると言われる。しかしながら、栓体1がフラスコ20を液密にシールできるのであれば、多孔質フィルム2の接触角θは好ましい90≦θ[°]の範囲に限定されず、例えば60≦θ[°]とすることもできる。
多孔質フィルム2を形成する材料としては、耐薬品性を有し、液体に対して不活性である材料が望ましい。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、及び超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)等を多孔質化したものが挙げられる。本実施形態では、多孔質フィルム2として、延伸加工されたPTFEを用いている。PTFEは、延伸加工することにより多孔質化して、液体は透過させず、気体を透過させる膜状の材料となる。ポアサイズ(空孔の直径)は、0.1[μm]以上であることが好ましい。また、ポアサイズは1.0[μm]以上であることが好ましい。本実施形態の多孔質フィルム2の厚みは50〜100[μm]であり、ポアサイズは、0.1〜1.0[μm]である。
<2.脱気操作>
上述したように、栓体1は、空間V内の液体中に気泡を残存させないように開口Sをシールすることができる。栓体1は、円筒部位22内に押し込まれて使用されるため、フラスコ20への取り付けの際に脱気操作を行うことが可能だからである。以下、図4Aを参照しつつ、具体的な脱気操作について説明する。まず、細胞を増殖させるための液体培地と細胞とが空間Vに充填され、開口Sが上方を向いた状態のフラスコ20を準備する。次に、図4Aに示すように、栓体1を接液部11の側から開口Sに挿入する。このとき、円筒部位22の内周面220と、栓体1の側周面部12との隙間に細いナイロン糸30を挟み込み、ナイロン糸30の先端が空間V内の液体に接触するようにする。その状態で栓体1をさらに下方へ押し込み、栓体1が最後まで押し込まれる寸前にナイロン糸30を上方に引き上げ、隙間から脱出させる(図4B)。このようにすると、液体から気泡が除去され、空間V内に気泡が残存することを防止することができる。
液体内に気泡が存在しない状態では、フラスコ20が傾けられたり動かされたとしても、それに併せて気泡が液体内を移動することがなく、細胞の培養にとって好ましくない刺激が生じることが防止される。これによって同じ姿勢を保ちながらフラスコ20を静置する必要がなくなり、フラスコ20を細胞の保管や輸送用の容器として利用し得る。この場合でも、栓体1が気体を連通させることにより、液体培地中で細胞(好気性)が生存することができるばかりか、容器の外部からCO2を供給して培地のpHを制御し、細胞の生存や増殖にとって好ましい環境を維持することもできる。また、微小重力培養や回転培養、宇宙実験などでは、培養容器が液密に密閉され、かつ容器内の液体に気泡が存在しない状態での培養が必要となるが、このような条件での培養にも栓体1を適用した容器を利用し得る。また、細胞の保管、輸送の為に細胞を凍結させることが一般に行われているが、細胞を保管するためには保存用の溶液を用いた凍結手技が、保管用に凍結された細胞を使用するためには解凍手技が必要となる。しかしながら、細胞を再生医療に活用する場合、輸送後すぐに細胞を移植する必要がある。容器に栓体1を適用することにより、再生医療に必要な細胞を凍結させずに輸送することができ、輸送後直ちに細胞を移植することが可能となる。
<3.その他の実施形態>
栓体1は、セルカルチャーフラスコの栓に限定されない。別の実施形態に係る栓体1は、様々な容器の栓として構成されることができる。例えば、図5Aに示すように、栓体1は開口部にフランジ部23が形成されるバイアル瓶20aの栓として構成され得る。この場合、栓体1は第2面13cの外周縁からさらに径方向に延びるフランジ部14を有していてもよい。フランジ部14は、下面がフランジ部23の上面と対面して密着し、バイアル瓶20aの開口Sをシールするように構成されることができる。なお、図5Aではフランジ部14の下面も多孔質フィルム2でラミネートされているが、フランジ部14の下面が多孔質フィルム2でラミネートされていなくてもよい。また、栓体1は、図5Bに示すように試験管20bの栓としても構成され得る。
さらに、栓体1は、図5Cに示すように、シリンジ24のプランジャーロッド25の先端に装着されるガスケットとして構成され得る。この場合、栓体1は、シリンジ24のバレル20cを液密にシールする。
<4.栓体の製造方法>
次に、図6A及び図6Bを参照しつつ、本実施形態に係る栓体1の製造方法について説明する。栓体1は、フラスコ20用の栓体1である。栓体1を製造するに当たり、まず、金型101を用意する。
図6Aは、栓体1を成形する工程を説明するための断面模式図である。この工程では、栓体1を成形するための金型101に、栓体1の本体を形成するための本体材料111と、多孔質フィルム2を形成するための多孔質フィルム112とをセットする。本体材料111は、ゴム又は熱可塑性エラストマーの原料からなり、本実施形態ではシート形状をしている。なお、本体材料111は、栓体1本体をゴムで形成する場合には、未加硫のゴムに適宜加硫剤等を混合したものとすることができる。
金型101は、上型101a及び下型101bとで構成される。下型101bにおいて上型101aに対面する面には、キャビティー102が形成されている。キャビティー102は、概ね栓体1の外形に対応する形状を有しており、奥行方向に直交する断面形状が円形である。すなわち、キャビティー102は、概ね円柱形状である。
一方、上型101aにおいて下型101bに対面する面には、円柱形状の凸部103が形成されている。上型101aの凸部103は、下型101bのキャビティー102と組み合わせて使用される。なお、簡単のため、図6Aにおいてはキャビティー102が3つしか示されていないが、本実施形態では、下型101bには、所定の間隔で配列される複数のキャビティー102が形成されているものとする。また、上型101aにおいても、下型101bのキャビティー102に対応するように、所定の間隔で配列される複数の凸部103が形成されているものとする。多孔質フィルム112及び本体材料111は、キャビティー102の奥側から多孔質フィルム112、本体材料111の順になるように重ねて金型101にセットされる。
続く工程では、図6Bに示すように、上型101aと下型101bとを閉じ、多孔質フィルム112及び本体材料111を加熱しつつ、圧縮成形を行う。このとき、上型101aの凸部103の中心軸は、下型101bのキャビティー102の中心軸に位置合わせされる。また、このとき、多孔質フィルム112及び本体材料111は、上型101aと下型101bとの間に挟み込まれ、キャビティー102内に入り込む。そして、この状態で圧縮成形が行われることにより、多孔質フィルム112及び本体材料111は軟化してキャビティー102内全体を埋め、キャビティー102の形状に成形されるとともに、多孔質フィルム112と本体材料111とが接着される。また、本体材料111が未加硫のゴムである場合には、加硫が行われる。なお、本体材料111と多孔質フィルム112とが接着され、本体材料111と多孔質フィルム112とを成形することができるのであれば、成形方法は圧縮成形に限られず、公知の方法を適宜用いることが可能である。
以上の処理により、図7に示すような本体材料111の層と多孔質フィルム112の層とが含まれる成形シート113が得られる。成形シート113は、上述した下型101bのキャビティー102の間隔に対応する所定の間隔で、栓体1が複数個連結されたものであり、これらの栓体1はバリ部115を介して繋がっている。バリ部115は、下型101bにおいて上型101aに対面する面における、キャビティー102以外の領域と、上型101aにおいて下型101bに対面する面における、凸部103以外の領域との間に挟まれることにより、形成される。また、成形シート113の上型101a側には、凸部103に対応する円柱形状の凹部Rが形成される。
続く工程では、成形シート113を切断して、成形シート113からこれに含まれる複数個の栓体1を分離する。具体的には、成形シート113に形成されている各凹部Rに図示しない位置決めロッドを嵌め込み、この状態で成形シート113を固定する。位置決めロッドは、成形シート113に形成された凹部Rにそれぞれ嵌め込まれたときに、成形シート113のバリ部115に概ね均等な引張力が作用するような形状に設計されている。この引張力は、成形シート113に含まれる各栓体1を径方向外側へと引っ張るようにバリ部115に作用する。この状態で、成形シート113を多孔質フィルム112側から打ち抜き刃により打ち抜くと、栓体1が得られる。
ところで、多孔質化していないPTFEフィルムをゴム製品のラミネート材料として用いることは広く行われているが、このようなPTFEフィルムは非接着性である。従って、本体材料111のような異種材料と接合するためには、通常、PTFEフィルムの表面に凹凸を形成したり、化学的に結合可能とする表面改質等の何らかの接着前処理が必要である。PTFEフィルムの表面に凹凸を形成する処理としては、例えば、プラズマやイオンビームをPTFEフィルムの表面に照射する表面改質処理や、アンモニアと金属ナトリウムとを用いる化学的処理等が挙げられる。しかしながら、このような処理は製造工程を複雑化するとともに、製造コストを増加させる。本実施形態の多孔質フィルム112は、PTFEからなる材料を延伸加工することにより得られる。多孔質フィルム112は、本体材料111と一体的に成形されると、特段の接着前処理を行わなくても、本体材料111と接着される。これは、本体材料111の成形時に、本体材料111が多孔質フィルム112の無数の空孔に入り込み、アンカー効果を発揮するためである。従って、本実施形態に係る栓体1は、多孔質フィルム112をラミネート材料として用いることにより、表面改質処理等の接着前処理を省略し、製造コストを削減することができる。
<5.変形例>
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<5−1>
多孔質フィルム2は、必ずしも接液部11と側周面部12の全体とにラミネートされていなくてもよい。栓体1の側周面部12のうち、円筒部位22の内周面220に密着する液密領域Lで気体の連通経路が形成され、必要な気体連通性が維持されるのであれば、多孔質フィルム2をより狭い範囲にラミネートする構成も可能である。例えば、図8Aに示すように、接液部11には多孔質フィルム2をラミネートしないようにゴム栓1を構成することもできる。また、図8Bに示すように、液密領域Lの一部に多孔質フィルム2がラミネートされてもよい。さらに、接液部11の形状は適宜変更することができる。例えば図8Cに示すように、栓体1は接液部11が略円錐形状になるように構成されてもよい。栓体1をこのように構成すると、脱気操作の際に気泡が内周面220に集まりやすくなり、脱気操作がより容易になる。
<5−2>
上記実施形態に係る栓体1は、上記実施形態に係る製造方法以外の方法によっても製造することができる。また、本実施形態の製造工程で、成形シート113の打ち抜き方法の一例を記載したが、具体的な方法はこれに限定されず、位置決めロッドを使用しない方法を用いてもよい。
<5−3>
上記実施形態の多孔質フィルム2を構成する材料としてPTFE、ETFE、FEP、PFA、PCTFE、及びUHMWPEを挙げたが、これらの材料を多孔質化する方法は延伸に限定されない。ポアサイズが0.1〜1.0[μm]の範囲になるよう多孔質化されるのであれば、他の方法も適宜選択され得る。
同一のセルカルチャーフラスコ(以下、単にフラスコと呼ぶことがある)本体を液密にシールする栓として、気体を殆ど連通させないゴム素地栓(比較例1)、気体透過膜を有するベント(メンブレン)キャップ(比較例2)、及び本実施形態に係る栓体1(実施例)の3種類を用意した。フラスコ本体には液体培地を充填し、次いで細胞を播種した後、比較例1に係るゴム素地栓、比較例2に係るベントキャップ及び実施例に係る栓体1でそれぞれシールし、3種類のシール済みフラスコを作成した。作成したシール済みフラスコを培養環境に5日間静置した後、フラスコから細胞を取り出して、生細胞数(実験結果1)及び低酸素マーカーの発現(実験結果2)のデータを取得した。細胞の培養条件は以下の実験条件の通りである。なお、比較例1、比較例2及び実施例に係るシール済みフラスコは、各々2個用意するものとし、実験結果は同種類の2個のフラスコについて取得されたデータの平均値とした。
<実験条件>
セルカルチャーフラスコ:Falcon(登録商標)ベントキャップタイプフラスコ25mL(BDFalcon社製)
細胞の種類:L6
L6の播種数:3.8×105個/cm2
液体培地:DMEM−HG、10%FBS、1%PG/SM
培養環境:37℃、5%CO2、95%AIR、99%Humidity
培養期間:5日
なお、比較例1に係るゴム素地栓は、オートクレーブ滅菌処理を施している。比較例2に係るベントキャップとは、上述したFalcon(登録商標)ベントキャップタイプフラスコ25mLに付属のキャップであり、PTFEを材料とする気体透過膜を上面に有する。
<実験結果1>
実験開始から5日間経過後の生細胞数をそれぞれカウントすると、表1及び図9のグラフに示す結果が得られた。生細胞数のカウント方法は、トリパンブルー染色及び血球計算盤を用いた方法である。さらに、表1に増殖率も示す。なお、増殖率とは、5日後の生細胞数を、播種数で割ったものである。すなわち、数値が大きければ大きい程、一定期間内に細胞が多く増殖したことを示す。実施例では、比較例1及び2よりも増殖率が大きく、細胞の培養がより効率的に行われたことが分かる。
<実験結果2>
実験開始から5日間経過後の生細胞に発現した低酸素マーカーCa9の発現量をリアルタイムPCRにて解析すると、図10のグラフに示す結果が得られた。ただし、ローディングコントロールにβアクチンを用いている。低酸素マーカーCa9は、酸素供給量が不足した細胞に誘導されてくる低酸素誘導性因子(hypoxia−inducible factor:HIF)の下流にある炭酸脱水酵素(carbonic anhydrase IX)である。すなわち、低酸素マーカーCa9の発現量が多ければ多い程、当該細胞が低酸素状態に陥っていることを示す。比較例1及び2では、実施例よりもCa9の発現量が多く、細胞への酸素供給量がより不足しやすいということが分かる。言い換えると、実施例は細胞へより多くの酸素が供給できるため、細胞の生存及び培養により適することが分かる。
1 栓体
2 多孔質フィルム
11 接液部
12 側周面部
20 フラスコ(本体)
20a バイアル瓶
20b 試験管
20c バレル
21 本体部
22 円筒部位
101 金型
102 金型のキャビティー
103 凸部
111 本体材料
112 多孔質フィルム
113 成形シート
220 内周面
L 液密領域
R 凹部
S 開口

Claims (8)

  1. 弾性材で構成される本体を有し、容器を液密にシールするための栓体であって、
    前記容器の接液側に配置される接液部と、
    前記接液部の外周縁に連続する側周面部と、
    を備え、
    前記側周面部は、前記容器の内周面に密着する液密領域を有し、
    前記液密領域の少なくとも一部は、疎水性の多孔質フィルムでラミネートされることにより、前記容器の内外で気体を連通させるように構成される、
    栓体。
  2. 前記液密領域の全体が前記多孔質フィルムでラミネートされる、
    請求項1に記載の栓体。
  3. 前記接液部は前記多孔質フィルムでラミネートされる、
    請求項1又は2に記載の栓体。
  4. 前記多孔質フィルムのポアサイズは0.1μm以上である、
    請求項1から3のいずれかに記載の栓体。
  5. 前記多孔質フィルムのポアサイズは1.0μm以下である、
    請求項1から4のいずれかに記載の栓体。
  6. 前記多孔質フィルムは耐薬品性を有する、
    請求項1から5のいずれかに記載の栓体。
  7. 前記多孔質フィルムの材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、及び超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)からなる群より選択される材料からなる、
    請求項1から6のいずれかに記載の栓体。
  8. セルカルチャーフラスコの栓、バイアル瓶の栓、試験管の栓及びシリンジ用ガスケットのいずれかとして構成される、
    請求項1から7のいずれかに記載の栓体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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