JPH11290347A - 人工臼歯 - Google Patents

人工臼歯

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JPH11290347A
JPH11290347A JP9478698A JP9478698A JPH11290347A JP H11290347 A JPH11290347 A JP H11290347A JP 9478698 A JP9478698 A JP 9478698A JP 9478698 A JP9478698 A JP 9478698A JP H11290347 A JPH11290347 A JP H11290347A
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JP
Japan
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molar
artificial
molars
oral cavity
occlusal
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JP9478698A
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English (en)
Inventor
Kimio Toyama
公男 遠山
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YAMAHACHI SHIZAI KOGYO KK
Original Assignee
YAMAHACHI SHIZAI KOGYO KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人工臼歯の調製または排列・装着を簡易化す
るとともに、口腔内に装着された際には人工臼歯に要求
される咀嚼機能を維持しつつ咀嚼における側方運動時に
多大な側方圧が発生するのを抑え得る人工臼歯を提供す
ること。 【解決手段】 上記課題を解決する本発明の人工臼歯1
0,20は、ヒトの天然臼歯と同様、咬合面12,22
に頬側咬頭14,24および舌側咬頭16,26が形成
されており、その咬合面12,22は該人工臼歯10,
20をヒトの天然臼歯と同等の形状の対向する臼歯と咬
合するように口腔内の所定の部位に配置した際の中心咬
合位において該対向する臼歯の咬合面と少なくとも異な
る2箇所で接触し得るように形成されており、ここで該
頬側咬頭14,24は咀嚼における側方運動時において
該対向する臼歯に接触するのを回避し得るように形成さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は人工臼歯に関し、詳
しくは、咬合(噛み合せ)機能を改善するための人工臼
歯の咬合面形状に関する。
【0002】
【従来の技術】天然臼歯の代用として使用される一般的
な人工臼歯は、ヒトの天然臼歯と等しい形状となるよう
に設計・作製されており、その咬合面についても対応す
る天然臼歯(小臼歯あるいは大臼歯)の咬合面と同等の
形状を有するように構成されている。なお、図7は従来
の人工臼歯100,110(ここでは左第一小臼歯につ
いて図示する。)の咬合した状態を対向する一組(即ち
咬合する上顎側臼歯100と下顎側臼歯110)につい
て示した断面図である。本図および後述する図8におい
ては、人工臼歯100,110を遠心側(後方)からみ
ており、図面の左側が頬側になり右側が舌側になる。図
7に示すように、人工臼歯100,110の咬合面10
2,112には、天然臼歯と同様の咬頭といわれる隆起
が形成されており、対向する臼歯相互の咬頭が摺り合わ
さることによっていわゆる咀嚼運動が行われる。すなわ
ち、図7に示すように、人工臼歯100,110の咬合
面102,112には、大まかにいって、頬側および舌
側にそれぞれ略円錐状の咬頭104,106,114,
116が形成されている。而して、咀嚼運動が行われて
いない通常の咬合状態時(普通に顎を閉じた通常状態で
の咬頭嵌合位:以下「中心咬合位」という。)には、図
7に示すように、上顎側臼歯100の舌側咬頭106が
下顎側臼歯110の二つの咬頭114,116の間の窪
み(中心溝部分)に嵌合されるとともに下顎側臼歯11
0の頬側咬頭114が上顎側臼歯100の二つの咬頭1
04,106の間の窪み(中心溝部分)に嵌合される状
態が形成される。そして、この中心咬合位の状態では、
両臼歯100,110は図7において接触点A,B,C
で示す咬合面上の異なった3箇所(3部位)で相手の臼
歯と接触(典型的には咬合面に点状に接触)することと
なる。
【0003】而して、咀嚼時には側方運動(ベネット運
動)等の下顎運動が行われることによって、機能咬頭
(支持咬頭)である上顎側臼歯100の舌側咬頭106
と下顎側臼歯110の頬側咬頭114との間で食物等の
噛み砕きおよび摺り潰しがなされている。すなわち、図
8に示すように、咀嚼時の下顎の動きに伴って、上顎側
臼歯100の舌側咬頭106および下顎側臼歯110の
頬側咬頭114は、それぞれ、非機能咬頭(誘導咬頭)
である下顎側臼歯110の舌側咬頭116および上顎側
臼歯100の頬側咬頭104に接触(図8中の接触点
D,E参照)しつつ当該咬頭表面に沿って側方に誘導さ
れることとなる。そして、図7に示すポジション(中心
咬合位)と図8に示すような側方運動に係るポジション
との間の上下の移動等を咀嚼時に繰り返すことによっ
て、上記両機能咬頭106,114間における間隙と上
顎側人工臼歯100、下顎側人工臼歯110の上下運動
等により、食物等の噛み砕きおよび摺り潰しが実現され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図8に示す
ように、上述したような従来の人工臼歯においては上記
側方運動時において対向する二つの臼歯100,110
の頬側咬頭104,114間における接触(図中の接触
点D参照)によって、当該臼歯100,110自身に側
方圧が生じることとなる。このような側方圧は、歯根に
よって強固に歯槽骨および歯肉に固着している天然の臼
歯については問題は少ない。
【0005】ところが、人工臼歯を装着した場合には、
上記側方圧が人工臼歯装着方向とは異なる方向(典型的
には装着方向と直交する方向)に働く力であり、人工臼
歯の装着強度を弱め或いは当該臼歯の脱落の遠因にもな
るために好ましいものではない。このため、従来の人工
臼歯の作製においては、咀嚼時の側方運動において上記
接触による側方圧が過大とならないように、被験者の顎
ならびに口腔内の形態を考慮しつつ個々に調製した人工
臼歯を口腔内の所定の位置に適切に装着する必要があっ
た。さらに、複数の人工臼歯を口腔内に相互に隣接させ
て装着する場合には、当該人工臼歯相互が適切な相対位
置関係をとるように厳密に排列する必要があった。人工
臼歯の装着位置が適切な位置からずれた場合、対向する
上下両臼歯の嵌合位置が不適切となり、咀嚼時に不測の
側方圧が当該人工臼歯に多大に加わるおそれがあるから
である。しかしながら、このような人工臼歯の調製およ
び排列・装着によっては、人工臼歯の調製に多大なコス
トや労力(時間)を必要とするうえ、適正な中心咬合位
および嵌合状態を得るための人工臼歯の咬合器上での排
列に高度な技能や熟練を要していた。一方、被験者も排
列および装着した臼歯や義歯の脱落が気になり、咀嚼が
消極的になる傾向があった。
【0006】本発明は、上記従来の人工臼歯の調製およ
び口腔内への排列・装着に関する問題点を解決するもの
であり、その目的とするところは、人工臼歯の調製また
は排列・装着を簡易化するとともに、口腔内に装着され
た際には人工臼歯に要求される咀嚼機能を維持しつつ咀
嚼における側方運動時に上記側方圧が発生するのを抑え
得る人工臼歯を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、ヒトの天然の臼歯と同様、咬合面に頬側
咬頭および舌側咬頭が形成された人工臼歯であって、そ
の咬合面は、当該人工臼歯をヒトの天然臼歯と同等の形
状の対向する臼歯と咬合するように口腔内の所定の部位
に配置した際の中心咬合位において、当該対向する臼歯
の咬合面と少なくとも異なる2箇所で接触し得るように
形成されており、ここで、当該頬側咬頭は、咀嚼におけ
る側方運動時において当該対向する臼歯に接触するのを
回避し得るように形成された人工臼歯(以下「本発明の
第一の人工臼歯」という。)を提供する。
【0008】本発明の第一の人工臼歯では、上顎側下顎
側の対向する両臼歯が嵌合する中心咬合位において、咬
合面上の異なる2つの箇所(部位)若しくは3箇所以上
で当該上下の臼歯が接触し得るように調製されている。
このため、口腔内の所定の位置に排列および装着された
際、咀嚼時に加わる圧力に対して当該臼歯の咬合を安定
させることができ、結果、天然歯と同等の咀嚼機能(効
率)を維持することができる。さらに、本発明の第一の
人工臼歯においては、咀嚼のときに生じる側方運動時に
おいて、頬側咬頭が対向する臼歯に接触するのを回避す
るように当該頬側咬頭の形状を調整している。従って、
側方運動時に当該人工臼歯に側面方向からの圧力(上記
側方圧)が多大に加わるのを防止することが可能とな
り、結果、当該人工臼歯および当該人工臼歯を備えた義
歯は、口腔内におけるズレや脱落を防止することができ
る。
【0009】また、本発明は、上記目的を達成するた
め、ヒトの天然臼歯と同様、咬合面に頬側咬頭および舌
側咬頭が形成された人工臼歯であって、口腔内に当該人
工臼歯を隣接して排列するときの当該人工臼歯相互の位
置関係を決定するための位置決め指標が遠心側辺縁およ
び/または近心側辺縁に近接する咬合面に形成された人
工臼歯(以下「本発明の第二の人工臼歯」という。)を
提供する。
【0010】本発明の第二の人工臼歯では、上記位置決
め指標(目印部)が臼歯の種類に応じて遠心側辺縁(咬
合面と遠心側側面との境界部分)および/または近心側
辺縁(咬合面と近心側側面との境界部分)に近接する咬
合面に形成された結果、高度に熟練した技能に頼ること
なく当該位置決め指標に基づいて隣接する人工臼歯相互
の相対位置や取付け角度を容易に決定することができ
る。従って、本発明の第二の人工臼歯によれば、簡単な
作業で適正な中心咬合位および嵌合状態を形成する位置
に当該人工臼歯を排列・装着し得る。さらに、排列・装
着のズレに起因する多大な側方圧が当該人工臼歯に加わ
ることを防止し得る。
【0011】また、上記目的を達成するための本発明の
人工臼歯として特に好ましいものは、上記本発明の第一
の人工臼歯において、さらに上記本発明の第二人工臼歯
と同様に、口腔内に当該人工臼歯を隣接して排列すると
きの当該人工臼歯相互の位置関係を決定するための位置
決め指標が遠心側辺縁および/または近心側辺縁に近接
する咬合面に形成された人工臼歯(以下「本発明の第三
の人工臼歯」という。)である。本発明の第三の人工臼
歯によれば、例えば、適正な中心咬合位を形成する位置
に当該人工臼歯を排列した義歯を口腔内に装着した場合
において、側方運動時に当該人工臼歯および義歯に側方
圧が多大に加わるのを防止することを高い次元で実現す
ることができる。
【0012】さらに、本発明は、上記本発明の第一、第
二または第三の人工臼歯において、口腔内の所定の部位
に配置した際に、対向する臼歯と1歯対1歯で咬合し得
るように咬合面の形状が形成された人工臼歯(以下「本
発明の第四の人工臼歯」という。)を提供する。本発明
の第四の人工臼歯では、1歯対1歯の咬合様式としたた
め、咬合時に嵌合する上顎側臼歯と下顎側臼歯とに加わ
る圧力(以下「咬合圧」という。)は当該臼歯の歯冠長
軸方向と同方向にかかることとなる。このため、当該臼
歯をその歯冠長軸と口腔内における装着面とがほぼ垂直
となるようにして口腔内に装着することによって、咬合
圧と当該臼歯の装着方向とが一致し、咀嚼の際に口腔内
に装着した人工臼歯が咬合圧によってぐらつくことがな
く安定して保持される。従って、本発明の第四の人工臼
歯によれば、例えば、当該人工臼歯や当該人工臼歯を備
えた義歯を装着した者は、当該装着した人工臼歯や義歯
のズレや脱落を心配することなく強めに咀嚼することが
できる。このため、咀嚼効率をより向上させることがで
きる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の人工臼歯(上記本
発明の第一、第二、第三、第四の人工臼歯を包含する。
以下同じ。)の好適な一実施形態を図面を参照しつつ説
明する。なお、図1は、上顎側に装着する本実施形態に
係る本発明の人工臼歯である第一小臼歯10、第二小臼
歯30、第一大臼歯50、第二大臼歯70(いずれも左
顎側)を所定の位置に排列した状態で示す説明図であ
り、図2は図1に示す各人工臼歯10,30,50,7
0に対応して下顎側に装着する本実施形態に係る本発明
の人工臼歯である第一小臼歯20、第二小臼歯40、第
一大臼歯60、第二大臼歯80(いずれも左顎側)を所
定の位置に排列した状態で示す説明図である。なお、図
1における上方が頬側に相当し、下方が舌側に相当す
る。一方、図2では上方が舌側に相当し、下方が頬側に
相当する。従って、図1および図2のいずれも左方向が
近心方向であり、右方向が遠心方向となる。また、図3
は下顎側第二大臼歯80を図2におけるIII −III 線で
切断した状態で遠心方向からみた断面図である。従っ
て、図3の左側が頬側となる。また、図4は、図1およ
び図2に示す各臼歯10,20,30,40,50,6
0,70,80の中心咬合位における嵌合状態を頬側か
ら示した説明図である。
【0014】図1および図2に示すように、本発明の人
工臼歯10,20,30,40,50,60,70,8
0はヒトの天然の臼歯に極めて近似した歯冠形状を有す
る人工臼歯であって典型的にはセラミックあるいはプラ
スチックから成形される人工臼歯であり、従来の人工臼
歯と同様、適当な義歯床用材を介して義歯としてあるい
は直接的に口腔内の所定の位置に排列・装着される。而
して、その咬合面12,22,32,42,52,6
2,72,82には、天然臼歯と同様、咀嚼時に咀嚼物
を咬合面から容易に排出させるのに寄与する中心溝1
3,23,33,43,53,63,73,83(中心
窩ならびに頬側面溝および舌側面溝等を包含する。以下
同じ。)が形成されるとともに、頬側および舌側にそれ
ぞれ咬頭が形成されている。なお、本発明の第一の人工
臼歯を特徴付けるこれら咬頭の形状については後述す
る。
【0015】図1および図2に示すように、各臼歯1
0,20,30,40,50,60,70,80の遠心
側辺縁および/または近心側辺縁に近接する咬合面1
2,22,32,42,52,62,72,82には、
各臼歯を口腔内の頬舌的にみて適切な位置に排列・装着
させるための上記位置決め指標に相当する位置決め溝1
8,28,37,38,47,48,57,58,6
7,68,77,87が形成されている。すなわち、本
実施形態では、上下第一小臼歯10,20についてはそ
の遠心辺縁に近接する部分(典型的には辺縁隆線形成部
分)、上下第二小臼歯30,40についてはその遠心辺
縁に近接する部分および近心辺縁に近接する部分(典型
的には辺縁隆線形成部分)の両方、上下第一大臼歯5
0,60についてはその遠心辺縁に近接する部分および
近心辺縁に近接する部分(典型的には辺縁隆線形成部
分)の両方、ならびに上下第二大臼歯70,80につい
てはその近心辺縁に近接する部分(典型的には辺縁隆線
形成部分)において、上記位置決め溝18,28,3
7,38,47,48,57,58,67,68,7
7,87が近接面に対してほぼ直交するように形成され
ている。以下、このことを詳細に説明する。
【0016】図1および図2に示すように、本実施形態
に係る位置決め溝18,28,37,38,47,4
8,57,58,67,68,77,87は、咬合面に
形成された上記中心溝13,23,33,43,53,
63,73,83に連なるようにして遠心辺縁および近
心辺縁に対してほぼ直交して近遠心方向に形成されてい
る。このように位置決め溝を形成した結果、本実施形態
に係る位置決め溝18,28,37,38,47,4
8,57,58,67,68,77,87は咀嚼された
食物等の中心溝を介する咬合面から口腔内(舌面等)へ
の流動・排出を阻害するおそれがない。当該位置決め溝
18,28,37,38,47,48,57,58,6
7,68,77,87それ自体が通常の中心溝と同様に
機能し得るからである。而して、典型例として下顎側第
二大臼歯80について図3に示すように、本実施形態に
係る位置決め溝87は、限定されるものではないが好ま
しくはおよそ0.2mm〜0.7mmの深さで咬合面8
2の上記部分に形成されている。また、本実施形態に係
る位置決め溝18,28,37,38,47,48,5
7,58,67,68,77,87は、臼歯の種類やサ
イズによって変動はあるものの好ましくは遠心辺縁部ま
たは近心辺縁部からおよそ0.5mm〜2.5mmの長
さとなるように形成されている(図1、図2)。このよ
うな規模の位置決め溝18,28,37,38,47,
48,57,58,67,68,77,87は、口腔内
に人工臼歯10,20,30,40,50,60,7
0,80を排列・装着する際に作業者が視認し得るのに
十分であり、且つ、当該人工臼歯自体の咀嚼機能に悪影
響を及ぼすものでもない。
【0017】而して、これら位置決め溝18,28,3
7,38,47,48,57,58,67,68,7
7,87は、口腔内に排列すべき各臼歯10,20,3
0,40,50,60,70,80について隣接する臼
歯との適切な相対位置および角度等を事前に決定してお
き、そのような適切な状態で当該臼歯を口腔内の所定の
位置に適切に排列・装着した際に各位置決め溝18,2
8,37,38,47,48,57,58,67,6
8,77,87がほぼ一直線上に揃って配置されるよう
に予め形成されている(図1、図2参照)。このように
形成した結果、歯科医等の作業者が各臼歯を口腔内に実
際に排列・装着する際には、各人工臼歯に形成された位
置決め溝18,28,37,38,47,48,57,
58,67,68,77,87を基準とし、これら位置
決め溝18,28,37,38,47,48,57,5
8,67,68,77,87を図1および図2に示すよ
うにほぼ一直線に揃えることによって、結果的に各臼歯
の排列・装着状況が最適化される。すなわち、本実施形
態に係る人工臼歯10,20,30,40,50,6
0,70,80によれば、図9に例示するような咬合面
132a,134a,136a,138aに何ら位置決
め指標を有しない従来の人工臼歯132,134,13
6,138を口腔内に排列・装着するときに必要とされ
る熟練した技能等を作業者に課することなく、各臼歯を
適切な位置および状態(例えば頬舌間でズレのない近遠
心に延びる排列共通帯内)に容易に排列することが実現
される。そして、各人工臼歯10,20,30,40,
50,60,70,80が適切に排列・装着される結
果、中心咬合位および上下の臼歯の嵌合が適切に維持さ
れるため、咀嚼時の側方運動において不測の側方圧が各
人工臼歯10,20,30,40,50,60,70,
80に多大に加わることを防ぐことができる。このた
め、口腔内に装着した人工臼歯や当該人工臼歯を備えた
義歯のズレや脱落が防止される。
【0018】また、本実施形態に係る人工臼歯10,2
0,30,40,50,60,70,80は、口腔内の
所定の位置に排列・装着された際、その中心咬合位にお
いて対向する臼歯とのみ咬合する1歯対1歯の咬合が形
成されるように咬合面12,22,32,42,52,
62,72,82の形状が設定されている。すなわち、
図4に示すように、本実施形態において、上顎側の第一
小臼歯10、第二小臼歯30、第一大臼歯50および第
二大臼歯70は、それぞれ、対向する下顎側の第一小臼
歯20、第二小臼歯40、第一大臼歯60および第二大
臼歯80と1歯対1歯で咬合するように咬合面12,2
2,32,42,52,62,72,82が形成されて
いる。従って、各人工臼歯10,20,30,40,5
0,60,70,80をその歯冠長軸方向(図4の矢印
参照)と口腔内における装着面とがほぼ垂直となるよう
にして口腔内の所定の位置に装着することによって、咀
嚼時に生じる咬合圧のかかる方向と人工臼歯装着方向と
を一致させることができる(図4の矢印参照)。このた
め、本実施形態に係る人工臼歯10,20,30,4
0,50,60,70,80によれば、図10に例示す
るような1歯対2歯咬合を基準として口腔内に装着され
る従来の人工臼歯121,122,123,124,1
25,126,127,128と比べ、咀嚼の際に生じ
る咬合圧によるぐらつきを抑止し、安定した装着状態を
維持することができる。また、本実施形態に係る人工臼
歯10,20,30,40,50,60,70,80を
装着した被験者は、口腔内における人工臼歯や当該人工
臼歯を備えた義歯のズレや脱落を気にせずに従来の人工
臼歯(図10参照)を装着したときよりも強めに咀嚼す
ることができる。
【0019】次に、本実施形態に係る人工臼歯10,2
0,30,40,50,60,70,80に形成された
咬頭の形状について説明する。なお、典型例として、口
腔内に装着した状態の本実施形態に係る人工臼歯のう
ち、左上顎第一小臼歯10および左下顎第一小臼歯20
の中心咬合位における咬合状態を図1および図2におけ
るV −V 線で切断した状態の断面図として図5に示す。
また、当該左上顎第一小臼歯10および左下顎第一小臼
歯20の側方運動時における一状態を図1および図2に
おけるVI−VI線(V −V 線と同位)で切断した状態の断
面図として図6に示す。なお、図5および図6はいずれ
も人工臼歯10,20を遠心側(後方)からみており、
図面の左側が頬側になり右側が舌側になる。
【0020】図1、図2および図5に示すように、各人
工臼歯の咬合面12,22,32,42,52,62,
72,82には、天然臼歯と同様、頬側咬頭14,2
4,34,44,54,64,74,84および舌側咬
頭16,26,36,46,56,66,76,86が
形成されている。而して、典型例として図5に示すよう
に、本実施形態に係る人工臼歯10,20については、
上述の従来の人工臼歯100、110と同様、中心咬合
位において、図5中の接触点F,G,Hで示す相互に異
なる3つの箇所(部位)で対向する臼歯と接触(典型的
には咬合面に対して点状に接触若しくは限定された面接
触)している。
【0021】而して、図5に示すように、本実施形態に
係る人工臼歯10,20では、中心咬合位を構成する状
態において上記接触点Fを含む仮想咬合平面P(即ち、
咀嚼運動時の中心咬合位における矢状面と直交する水平
面であって接触点Fを含む水平面)を越えて上顎第一小
臼歯10の頬側咬頭14および下顎第一小臼歯20の頬
側咬頭24が配置されないように、当該頬側咬頭14,
24の頬側辺縁部が形成されている。即ち、従来の人工
臼歯100,110(図7参照)や天然臼歯における頬
側咬頭104,114と比較してみてその頬側辺縁部の
一部が欠失した状態に形成されている。なお、この場合
は、上顎第一小臼歯10における頬側咬頭の頬側辺縁部
(咬頭頂)を一部欠失することで図5に示す状態を実現
し得る。このように頬側咬頭104,114を形成した
結果、図6に示すように、咀嚼の際の側方運動時におい
て、これら咬合する二つの人工臼歯10,20は、舌側
咬頭16,26が接触点Iで示す1箇所(部位)で相互
に接触(典型的には咬合面に対して線状接触若しくはほ
ぼ点状に限定された面接触)する一方、上記図8におけ
るような頬側咬頭14,24相互の接触は回避される。
なお、図5は典型例として第一小臼歯10,20のみに
ついて示しているが、第二小臼歯30,40、第一大臼
歯50,60および第二大臼歯70,80についても上
記第一小臼歯10,20と同様である。以上のように頬
側咬頭14,24を構成した結果、本実施形態に係る人
工臼歯10,20,30,40,50,60,70,8
0によれば、上記図8に示した接触点Dにおけるような
側方運動時に当該人工臼歯に側方圧が多大に加わるのを
防止することができる。このため、各装着部分における
人工臼歯や当該人工臼歯を備えた義歯のズレや脱落を防
止することができる。また、咀嚼時における機能咬頭
(即ち上顎側臼歯10の舌側咬頭16と下顎側臼歯20
の頬側咬頭24)相互の咬合には何ら影響がなく、咀嚼
時には下顎の動きに伴って上顎側臼歯10の舌側咬頭1
6は非機能咬頭(誘導咬頭)である下顎側臼歯20の舌
側咬頭26に接触(図5中の接触点H参照)しつつ当該
咬頭表面に沿って側方に誘導(図6参照)され得るた
め、本実施形態に係る臼歯の形状が咀嚼機能を低下させ
ることはない。
【0022】以上、本発明の人工臼歯の好適な一実施形
態を説明したが、本発明の人工臼歯では、上記本発明の
第一の人工臼歯については口腔内の所定位置に装着され
た際に対向する臼歯の咬合面と少なくとも異なる2つの
箇所(部位)において接触し得るように咬合面が形成さ
れ、且つ、頬側咬頭が咀嚼における側方運動時において
対向する臼歯に接触するのを回避し得るように形成され
ておればよく、上記実施形態に限るものではない。例え
ば、上記実施の形態では、中心咬合位において異なる3
箇所(図5の接触点F,G,H参照)で対向する臼歯と
接触しているがこの形態に限定されるものではなく、例
えば図5における接触点GおよびHに代えた上側咬頭頂
(GとHとの間の1箇所)と接触点Fとの異なる2箇所
において接触(典型的には点状接触または限定的な面接
触)してもよい。また、本発明の第二の人工臼歯につい
ては、上記位置決め指標が臼歯の種類に応じて遠心側辺
縁および/または近心側辺縁に近接する咬合面に形成さ
れておればよく、上記溝状のものに限定されない。例え
ば、上記実施形態に係る位置決め溝と同様の位置に設け
られた位置決め用小突起も咬合時における咀嚼機能を損
ねない限り、本発明に係る上記位置決め指標(目印部)
として用いられ得る。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、人工臼歯の調製または
排列・装着を簡易化するとともに、口腔内に装着された
際には人工臼歯に要求される咀嚼機能を維持しつつ咀嚼
における側方運動時に上記側方圧が発生するのを抑え得
る人工臼歯を提供することができる。すなわち、本発明
の第一の人工臼歯では、咀嚼における側方運動時におい
て頬側咬頭が対向する臼歯に接触するのを回避するよう
に当該頬側咬頭の形状が調整されており、側方運動時に
当該人工臼歯に側面方向から側方圧が加わるを防止する
ことができる。従って、本発明の第一の人工臼歯によれ
ば、人工臼歯あるいは当該人工臼歯を備えた義歯を口腔
内の所定の部位に装着した際、側方圧に起因する当該装
着した人工臼歯や義歯のズレや脱落を防止することがで
きる。
【0024】また、本発明の第二、第三の人工臼歯で
は、上記位置決め指標が遠心側辺縁および/または近心
側辺縁に近接する咬合面に形成されており、人工臼歯相
互の相対位置や取付け角度の決定が容易である。従っ
て、本発明の第二、第三の人工臼歯によれば、簡単な作
業で適正な中心咬合位を形成し得る位置に当該人工臼歯
あるいは当該人工臼歯を備えた義歯を排列・装着し得る
とともに排列・装着のズレに起因する多大な側方圧の発
生を防止することができる。また、本発明の第四の人工
臼歯では、1歯対1歯咬合が実現されており、当該臼歯
をその歯冠長軸方向と口腔内における装着面とがほぼ垂
直となるようにして口腔内に装着することによって、咬
合圧と当該臼歯の装着方向とを一致させ、咀嚼の際に口
腔内に装着した人工臼歯、義歯をさらに安定・保持する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】上顎側に装着する本発明の人工臼歯を咬合面側
からみた排列図である。
【図2】下顎側に装着する本発明の人工臼歯を咬合面側
からみた排列図である。
【図3】本発明の人工臼歯に形成された位置決め指標の
一形態を図2におけるIII −III 線に沿って切断した状
態で示す断面図である。
【図4】上顎側および下顎側にそれぞれ装着された本発
明の人工臼歯の1歯対1歯咬合状態を頬側から示す正面
図である。
【図5】本発明の人工臼歯における中心咬合位を図1お
よび図2におけるV −V 線に沿って切断した状態で示す
断面図である。
【図6】本発明の人工臼歯における咀嚼時の一状態を図
1および図2におけるVI−VI線に沿って切断した状態で
示す断面図である。
【図7】従来の人工臼歯における中心咬合位を模式的に
示す断面図である。
【図8】従来の人工臼歯における咀嚼時の一状態を模式
的に示す断面図である。
【図9】下顎側に装着する従来の人工臼歯を咬合面側か
らみた排列図である。
【図10】上顎側および下顎側にそれぞれ装着された従
来の人工臼歯の1歯対2歯咬合状態を頬側から示す正面
図である。
【符号の説明】
10,20,30,40,50,60,70,80,1
00,110,121,122,123,124,12
5,126,127,128,132,134,13
6,138 人工臼歯 12,22,32,42,52,62,72,82,1
02,112,132a,134a,136a,138
a 咬合面 14,24,34,44,54,64,74,84,1
04,114 頬側咬頭 16,26,36,46,56,66,76,86,1
06,116 舌側咬頭 18,28,37,38,47,48,57,58,6
7,68,77,87位置決め溝

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 咬合面に頬側咬頭および舌側咬頭が形成
    された人工臼歯であって、 その咬合面は、該人工臼歯をヒトの天然臼歯と同等の形
    状の対向する臼歯と咬合するように口腔内の所定の部位
    に配置した際の中心咬合位において、該対向する臼歯の
    咬合面と少なくとも異なる2箇所で接触し得るように形
    成されており、 ここで、該頬側咬頭は、咀嚼における側方運動時におい
    て該対向する臼歯に接触するのを回避し得るように形成
    された人工臼歯。
  2. 【請求項2】 咬合面に頬側咬頭および舌側咬頭が形成
    された人工臼歯であって、 口腔内に該人工臼歯を隣接して排列するときの該人工臼
    歯相互の位置関係を決定するための位置決め指標が遠心
    側辺縁および/または近心側辺縁に近接する咬合面に形
    成された人工臼歯。
  3. 【請求項3】 口腔内に人工臼歯を隣接して排列すると
    きの該人工臼歯相互の位置関係を決定するための位置決
    め指標が遠心側辺縁および/または近心側辺縁に近接す
    る咬合面に形成された請求項1に記載の人工臼歯。
  4. 【請求項4】 口腔内の所定の部位に配置した際に、対
    向する臼歯と1歯対1歯で咬合し得るように咬合面の形
    状が形成された請求項1から3のいずれかに記載の人工
    臼歯。
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