JPH11286794A - 銅または銅合金材料の表面処理方法 - Google Patents
銅または銅合金材料の表面処理方法Info
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- JPH11286794A JPH11286794A JP2151599A JP2151599A JPH11286794A JP H11286794 A JPH11286794 A JP H11286794A JP 2151599 A JP2151599 A JP 2151599A JP 2151599 A JP2151599 A JP 2151599A JP H11286794 A JPH11286794 A JP H11286794A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 銅または銅合金材料の表面を、優れた安定性
を有する防錆層(処理層)をもち、かつ樹脂との密着性
に優れた表面とするコスト的に有利な表面処理方法を提
供すること。 【解決手段】 (a)銅原子に配位しうる成分を主成分
として含む処理液中に銅または銅合金材料および対向電
極を浸漬し、(b)前記材料の電圧が処理液中における
自然電位より低い電位になるように外部電源によって電
圧を印加、保持して前記材料表面を清浄化し、ついで、
(c)前記材料の電圧が処理液中における自然電位より
高い電位になるように外部電源によって電圧を印加、保
持し、前記銅原子に配位しうる成分からなる処理層を前
記材料表面に形成させる銅または銅合金材料の表面処理
方法。
を有する防錆層(処理層)をもち、かつ樹脂との密着性
に優れた表面とするコスト的に有利な表面処理方法を提
供すること。 【解決手段】 (a)銅原子に配位しうる成分を主成分
として含む処理液中に銅または銅合金材料および対向電
極を浸漬し、(b)前記材料の電圧が処理液中における
自然電位より低い電位になるように外部電源によって電
圧を印加、保持して前記材料表面を清浄化し、ついで、
(c)前記材料の電圧が処理液中における自然電位より
高い電位になるように外部電源によって電圧を印加、保
持し、前記銅原子に配位しうる成分からなる処理層を前
記材料表面に形成させる銅または銅合金材料の表面処理
方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リードフレーム、
コネクタ、プリント基板用銅箔などの各種電子電気部品
用や、モーター、発電器、変電器などに用いられるコイ
ル部品、ラジエター、クーラー、冷蔵庫などに用いられ
る冷却管などの銅または銅合金からなる材料において、
表面にスケール(酸化被膜)が形成されることを抑制
し、耐食性および防錆性に優れ、かつエポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、
ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリエチレン樹脂、
ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン
樹脂およびこれらにフィラー、可とう化剤などを添加し
てなる樹脂組成物、ならびにこれらの成形物との密着力
に優れた処理表面を提供する表面処理方法に関するもの
である。
コネクタ、プリント基板用銅箔などの各種電子電気部品
用や、モーター、発電器、変電器などに用いられるコイ
ル部品、ラジエター、クーラー、冷蔵庫などに用いられ
る冷却管などの銅または銅合金からなる材料において、
表面にスケール(酸化被膜)が形成されることを抑制
し、耐食性および防錆性に優れ、かつエポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、
ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリエチレン樹脂、
ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン
樹脂およびこれらにフィラー、可とう化剤などを添加し
てなる樹脂組成物、ならびにこれらの成形物との密着力
に優れた処理表面を提供する表面処理方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来から、銅または銅合金材料を大気中
に放置すると表面が変色し商品価値が低下するという問
題があった。とくに、アセンブリ工程などにおいて銅ま
たは銅合金材料が高温中に曝されるばあいが多く、その
際にスケール(酸化被膜)が形成し、このスケールが存
在すると変色や腐食がおこり、さらに、銅または銅合金
材料を周囲から電気的に絶縁し、かつ不純物や腐食成分
から内部素子、銅または銅合金材料を保護するために前
記材料に適用されるエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビ
スマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド−
トリアジン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂およびこれら
にフィラー、可とう化剤などを添加してなる樹脂組成
物、ならびにこれらの成形物との密着性に劣り、えられ
る製品の耐湿性にも劣るという問題がある。
に放置すると表面が変色し商品価値が低下するという問
題があった。とくに、アセンブリ工程などにおいて銅ま
たは銅合金材料が高温中に曝されるばあいが多く、その
際にスケール(酸化被膜)が形成し、このスケールが存
在すると変色や腐食がおこり、さらに、銅または銅合金
材料を周囲から電気的に絶縁し、かつ不純物や腐食成分
から内部素子、銅または銅合金材料を保護するために前
記材料に適用されるエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビ
スマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド−
トリアジン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂およびこれら
にフィラー、可とう化剤などを添加してなる樹脂組成
物、ならびにこれらの成形物との密着性に劣り、えられ
る製品の耐湿性にも劣るという問題がある。
【0003】そこで、防錆処理を施してスケールに起因
する変色および腐食の発生を抑制すべく、ベンゾトリア
ゾール、イミダゾールおよびこれらの誘導体、イミダゾ
ール基およびトリアルコキシシリル基を有する化合物な
どの防錆剤を用いて表面処理が行なわれている。これら
の化合物は前記材料表面の銅原子に配位結合し、ポリマ
ー状分子からなる防錆層を形成してスケールの形成を抑
制するものと考えられている。また、このポリマー状分
子からなる層は銅または銅合金材料に対して良好な安定
性を有するという点で優れている。
する変色および腐食の発生を抑制すべく、ベンゾトリア
ゾール、イミダゾールおよびこれらの誘導体、イミダゾ
ール基およびトリアルコキシシリル基を有する化合物な
どの防錆剤を用いて表面処理が行なわれている。これら
の化合物は前記材料表面の銅原子に配位結合し、ポリマ
ー状分子からなる防錆層を形成してスケールの形成を抑
制するものと考えられている。また、このポリマー状分
子からなる層は銅または銅合金材料に対して良好な安定
性を有するという点で優れている。
【0004】ここで、従来の防錆処理方法の一例を説明
する。まず、銅ストライクメッキ、部分Agメッキなど
を施した所定の形状を有する銅または銅合金からなる材
料を、表面上のスケールや有機物などの不純物を除去し
てつづく防錆処理の欠陥部分を無くすため、塩酸、硝
酸、硫酸水溶液またはそれらの混合物などの酸性溶液や
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム水溶液またはそれら
の混合物などのアルカリ溶液で洗浄して表面を清浄化す
る。ついで、液きり、水などによる濯ぎ、乾燥を行なっ
たのち、前述したような防錆剤を含む処理液中に浸漬し
て前記材料の表面を処理して防錆層を形成し、液きり、
水などによる濯ぎ、乾燥を行ない、処理済みの材料をえ
ている。
する。まず、銅ストライクメッキ、部分Agメッキなど
を施した所定の形状を有する銅または銅合金からなる材
料を、表面上のスケールや有機物などの不純物を除去し
てつづく防錆処理の欠陥部分を無くすため、塩酸、硝
酸、硫酸水溶液またはそれらの混合物などの酸性溶液や
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム水溶液またはそれら
の混合物などのアルカリ溶液で洗浄して表面を清浄化す
る。ついで、液きり、水などによる濯ぎ、乾燥を行なっ
たのち、前述したような防錆剤を含む処理液中に浸漬し
て前記材料の表面を処理して防錆層を形成し、液きり、
水などによる濯ぎ、乾燥を行ない、処理済みの材料をえ
ている。
【0005】しかし、かかる方法は、工程数が多いため
に複雑であり、かつコストがかかる。また、清浄化後、
表面処理槽に洗浄液が混入するのを防ぐ目的で、水など
で洗浄し、時には乾燥させる必要があるため、表面処理
直前に前記材料表面にスケールが形成した状態で表面処
理をせざるをえない可能性がある。特に、乾燥効率を向
上させるために温風による乾燥を行なったばあいには、
スケールの形成が顕著に認められる。
に複雑であり、かつコストがかかる。また、清浄化後、
表面処理槽に洗浄液が混入するのを防ぐ目的で、水など
で洗浄し、時には乾燥させる必要があるため、表面処理
直前に前記材料表面にスケールが形成した状態で表面処
理をせざるをえない可能性がある。特に、乾燥効率を向
上させるために温風による乾燥を行なったばあいには、
スケールの形成が顕著に認められる。
【0006】一方、たとえば特開平8−311690号
公報においては、欠陥のない防錆層を銅または銅合金材
料表面に形成させるべく、ベンゾトリアゾールまたはそ
の誘導体を含む処理液中に銅または銅合金からなる材料
を浸漬し、前記材料の電位が正となるように当該材料と
対向電極とのあいだに外部電源の直流電源から電圧を印
加して、処理液中で前記材料を浸漬電位よりも高い電位
に保持し、強固な防錆層を形成するという方法が開示さ
れている。
公報においては、欠陥のない防錆層を銅または銅合金材
料表面に形成させるべく、ベンゾトリアゾールまたはそ
の誘導体を含む処理液中に銅または銅合金からなる材料
を浸漬し、前記材料の電位が正となるように当該材料と
対向電極とのあいだに外部電源の直流電源から電圧を印
加して、処理液中で前記材料を浸漬電位よりも高い電位
に保持し、強固な防錆層を形成するという方法が開示さ
れている。
【0007】しかし、前記公報記載の方法においては、
清浄化後前記材料表面に生成するスケールが残留したま
ま表面処理工程を行なうため、依然として、銅または銅
合金材料表面に充分な安定性をもつ防錆層を形成するこ
とができない。また、えられる防錆層とエポキシ樹脂、
フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹
脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイ
ロン樹脂およびこれらにフィラー、可とう化剤などを添
加してなる樹脂組成物、ならびにこれらの成形物との密
着性も充分ではなく、さらに、腐食性雰囲気下における
変色防止効果も依然として優れていないという問題があ
る。
清浄化後前記材料表面に生成するスケールが残留したま
ま表面処理工程を行なうため、依然として、銅または銅
合金材料表面に充分な安定性をもつ防錆層を形成するこ
とができない。また、えられる防錆層とエポキシ樹脂、
フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹
脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイ
ロン樹脂およびこれらにフィラー、可とう化剤などを添
加してなる樹脂組成物、ならびにこれらの成形物との密
着性も充分ではなく、さらに、腐食性雰囲気下における
変色防止効果も依然として優れていないという問題があ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】叙上の事実に鑑み、本
発明の目的は、銅または銅合金材料の表面を、優れた密
着性を有する防錆層(処理層)をもち、かつ樹脂との接
着性に優れた表面とするコスト的に有利な表面処理方法
を提供することにある。
発明の目的は、銅または銅合金材料の表面を、優れた密
着性を有する防錆層(処理層)をもち、かつ樹脂との接
着性に優れた表面とするコスト的に有利な表面処理方法
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)銅原子
に配位しうる成分を主成分として含む処理液中に銅また
は銅合金材料および対向電極を浸漬し、(b)前記材料
の電圧が処理液中における自然電位より低い電位になる
ように外部電源によって電圧を印加、保持して前記材料
表面を清浄化し、ついで、(c)前記材料の電圧が処理
液中における自然電位より高い電位になるように外部電
源によって電圧を印加、保持し、前記銅原子に配位しう
る成分からなる処理層を前記材料表面に形成させる銅ま
たは銅合金材料の表面処理方法に関する。
に配位しうる成分を主成分として含む処理液中に銅また
は銅合金材料および対向電極を浸漬し、(b)前記材料
の電圧が処理液中における自然電位より低い電位になる
ように外部電源によって電圧を印加、保持して前記材料
表面を清浄化し、ついで、(c)前記材料の電圧が処理
液中における自然電位より高い電位になるように外部電
源によって電圧を印加、保持し、前記銅原子に配位しう
る成分からなる処理層を前記材料表面に形成させる銅ま
たは銅合金材料の表面処理方法に関する。
【0010】このばあい、処理液中における自然電位よ
り高い電位とするための前記材料の電位が、標準水素電
極基準で−0.15〜+1Vであるのが好ましい。
り高い電位とするための前記材料の電位が、標準水素電
極基準で−0.15〜+1Vであるのが好ましい。
【0011】また、前記材料の電圧が処理液中における
自然電位より低い電位になるように外部電源によって電
圧を印加したのち、30秒間以内に、前記材料の電圧が
処理液中における自然電位より高い電位になるように外
部電源によって電圧を印加するのが好ましい。
自然電位より低い電位になるように外部電源によって電
圧を印加したのち、30秒間以内に、前記材料の電圧が
処理液中における自然電位より高い電位になるように外
部電源によって電圧を印加するのが好ましい。
【0012】また、銅原子に配位しうる成分が銅原子に
配位しうる基をもつ化合物であるのが好ましい。
配位しうる基をもつ化合物であるのが好ましい。
【0013】また、銅原子に配位しうる基をもつ化合物
が、イミダゾール、トルトライアゾール、2−メルカプ
トベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプトチアジアゾ
ール、ジチオカルバミン酸、1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオール、8−ヒドロキシキノリン、ピリジ
ン、フェナジン、アクリジンおよびこれらの誘導体より
なる群から選択されるのが好ましい。
が、イミダゾール、トルトライアゾール、2−メルカプ
トベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプトチアジアゾ
ール、ジチオカルバミン酸、1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオール、8−ヒドロキシキノリン、ピリジ
ン、フェナジン、アクリジンおよびこれらの誘導体より
なる群から選択されるのが好ましい。
【0014】また、銅原子に配位しうる基をもつ化合物
が、イミダゾール基、アミノ基、ジアミノ基、メルカプ
ト基、フォスフェート基、β−ジケトン基およびカルボ
キシル基よりなる群から選択される官能基、ならびに金
属アルコキシ基をもつ化合物であるのが好ましい。
が、イミダゾール基、アミノ基、ジアミノ基、メルカプ
ト基、フォスフェート基、β−ジケトン基およびカルボ
キシル基よりなる群から選択される官能基、ならびに金
属アルコキシ基をもつ化合物であるのが好ましい。
【0015】また、処理液が、該処理液中で測定した銅
または銅合金材料と対向電極との間の溶液抵抗値が10
00Ω以下の処理液であるのが好ましい。
または銅合金材料と対向電極との間の溶液抵抗値が10
00Ω以下の処理液であるのが好ましい。
【0016】また、処理液が、アルカリ金属イオン、ハ
ロゲンイオンおよび遷移金属イオンを生じない無機酸ま
たは有機酸をさらに含むのが好ましい。
ロゲンイオンおよび遷移金属イオンを生じない無機酸ま
たは有機酸をさらに含むのが好ましい。
【0017】また、処理液中の銅原子に配位しうる成分
の濃度が0.001〜0.1モル/リットルであるのが
好ましい。
の濃度が0.001〜0.1モル/リットルであるのが
好ましい。
【0018】また、銅原子に配位し得る化合物が金属ア
ルコキシ基を有する化合物の場合、工程(c)の処理に
のちに、(d)90〜150℃の熱履歴を与える工程を
有することが好ましい。
ルコキシ基を有する化合物の場合、工程(c)の処理に
のちに、(d)90〜150℃の熱履歴を与える工程を
有することが好ましい。
【0019】また、工程(b)と(c)の間に、(e)
前記材料を処理液から引き上げる工程を有することが好
ましい。
前記材料を処理液から引き上げる工程を有することが好
ましい。
【0020】また、工程(b)と(c)を異なる処理槽
で行なうことが好ましい。
で行なうことが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の表面処理方法の対象とな
る銅または銅合金材料とは、銅または銅合金からなる材
料であれば特に制限はないが、たとえば半導体装置に用
いられるリードフレーム、コネクタ、プリント基板用銅
箔などの各種電子電気部品用の材料や、モーター、発電
器、変電器などに用いられるコイル部品、ラジエター、
クーラー、冷蔵庫などに用いられる冷却管などをいう。
また、その形状についても特に制限はなく、たとえば線
条状、板状、管状などがあげられる。
る銅または銅合金材料とは、銅または銅合金からなる材
料であれば特に制限はないが、たとえば半導体装置に用
いられるリードフレーム、コネクタ、プリント基板用銅
箔などの各種電子電気部品用の材料や、モーター、発電
器、変電器などに用いられるコイル部品、ラジエター、
クーラー、冷蔵庫などに用いられる冷却管などをいう。
また、その形状についても特に制限はなく、たとえば線
条状、板状、管状などがあげられる。
【0022】つぎに、本発明の銅または銅合金材料の表
面処理方法を、工程順に説明する。
面処理方法を、工程順に説明する。
【0023】まず、工程(a)においては、銅原子に配
位しうる成分を主成分として含む処理液中に銅または銅
合金材料および対向電極を浸漬する。
位しうる成分を主成分として含む処理液中に銅または銅
合金材料および対向電極を浸漬する。
【0024】本発明における処理液の主成分である「銅
原子に配位しうる成分」とは、前記材料表面の銅原子に
化学的に結合(配位結合)して防錆層(以下、「処理
層」ともいう。)を形成し、前記材料表面にスケールが
形成するのを抑制し、かつ変色および腐食を防止しうる
ものであればよく、銅原子に配位しうる基をもつ化合物
であることが好ましい。
原子に配位しうる成分」とは、前記材料表面の銅原子に
化学的に結合(配位結合)して防錆層(以下、「処理
層」ともいう。)を形成し、前記材料表面にスケールが
形成するのを抑制し、かつ変色および腐食を防止しうる
ものであればよく、銅原子に配位しうる基をもつ化合物
であることが好ましい。
【0025】前記官能基をもつ化合物としては、たとえ
ばイミダゾール、トルトライアゾール、2−メルカプト
ベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプトチアジアゾー
ル、ジチオカルバミン酸、1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオール、8−ヒドロキシキノリン、ピリジ
ン、フェナジン、アクリジンまたはこれらの誘導体など
があげられる。
ばイミダゾール、トルトライアゾール、2−メルカプト
ベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプトチアジアゾー
ル、ジチオカルバミン酸、1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオール、8−ヒドロキシキノリン、ピリジ
ン、フェナジン、アクリジンまたはこれらの誘導体など
があげられる。
【0026】また、銅原子に配位しうる基としては、た
とえば、イミダゾール基、アミノ基、ジアミノ基、メル
カプト基、フォスフェート基、β−ジケトン基、カルボ
キシル基などがあげられるが、処理を行った銅又は銅合
金からなる材料が高温下におかれた場合、処理層が昇華
し、防錆、防食効果が弱まることを防ぐため、「銅原子
に配位しうる成分」同士が重合し、耐熱性のある処理層
を生成させる必要があるという点から、イミダゾール
基、アミノ基、ジアミノ基、メルカプト基、フォスフェ
ート基、β−ジケトン基およびカルボキシル基よりなる
群から選択される基と重合する基とをもつ化合物である
のが好ましい。さらに、重合する基としては、金属アル
コキシ基、ビニル基、トリアジン基またはエステル基が
あげられるが、簡便に重合するという点から、大気中の
水分により加水分解重縮合反応がおきる金属アルコキシ
基であるのが特に好ましい。
とえば、イミダゾール基、アミノ基、ジアミノ基、メル
カプト基、フォスフェート基、β−ジケトン基、カルボ
キシル基などがあげられるが、処理を行った銅又は銅合
金からなる材料が高温下におかれた場合、処理層が昇華
し、防錆、防食効果が弱まることを防ぐため、「銅原子
に配位しうる成分」同士が重合し、耐熱性のある処理層
を生成させる必要があるという点から、イミダゾール
基、アミノ基、ジアミノ基、メルカプト基、フォスフェ
ート基、β−ジケトン基およびカルボキシル基よりなる
群から選択される基と重合する基とをもつ化合物である
のが好ましい。さらに、重合する基としては、金属アル
コキシ基、ビニル基、トリアジン基またはエステル基が
あげられるが、簡便に重合するという点から、大気中の
水分により加水分解重縮合反応がおきる金属アルコキシ
基であるのが特に好ましい。
【0027】本発明における処理液中の主成分である前
記「銅原子に配位しうる成分」の濃度は、0.001モ
ル/リットル未満では良好な効果がえられず、0.1モ
ル/リットルを超えると処理層が不均質となるため、
0.001〜0.1モル/リットルである。また、前記
「銅原子に配位しうる成分」が重合する基を持つばあ
い、処理液の保存時間とともに処理液中で重合反応が進
展し、当発明における効果が減少することのないよう、
0.001〜0.05モル/リットルであるのが好まし
い。
記「銅原子に配位しうる成分」の濃度は、0.001モ
ル/リットル未満では良好な効果がえられず、0.1モ
ル/リットルを超えると処理層が不均質となるため、
0.001〜0.1モル/リットルである。また、前記
「銅原子に配位しうる成分」が重合する基を持つばあ
い、処理液の保存時間とともに処理液中で重合反応が進
展し、当発明における効果が減少することのないよう、
0.001〜0.05モル/リットルであるのが好まし
い。
【0028】なお、本発明における「主成分」とは、銅
原子に配位しうる成分のことをいう。
原子に配位しうる成分のことをいう。
【0029】さらに、処理液はそのほかの成分として、
前述工程(b)において、銅または銅合金材料と対向電
極間の処理液の溶液抵抗を下げることにより、効率よく
銅または銅合金材料の表面酸化物が還元され、洗浄効果
が高まるという点から、必要に応じ電解質を含むことが
好ましい。かかる電解質としては、処理液中で電離する
というものであればよいが、半導体装置などに適用され
るばあいのように、耐湿性が要求されるばあいにおいて
は、処理後の銅または銅合金材料の腐食や接触する他の
金属材料の腐食を引き起こす物質、たとえばアルカリ金
属イオン、ハロゲンイオンなどが、銅または銅合金材料
表面に残留することのないよう、これらの物質が生じな
い電解質が好ましい。特に、ハロゲンイオンのように銅
原子への配位力が大きく、単原子からなるようなイオン
半径が小さいものは、処理後銅または銅合金材料の表面
に不純物として残留し、マイグレーションや、銅または
銅合金材料と接触する他の金属材料の腐食を引き起こす
などの不具合が生じやすい。この点から、ハロゲンイオ
ンなどの腐食性イオンを含まない電解質が好ましい。さ
らに、遷移金属イオンを生じる電解質を処理液中に配合
すると、多くの銅原子と配位しうる化合物は、銅原子以
外の遷移金属イオンとも配位しうるため、銅または銅合
金材料表面の銅原子と銅原子と配位しうる化合物が配位
する前に、溶液中で遷移金属イオンと銅原子と配位しう
る化合物と配位し、処理効果が著しく低下する。そのた
め遷移金属イオンも含まない電解質が好ましい。これら
の条件を満たす電解質として、ホウ酸などの無機酸、ま
たは酢酸、ギ酸などの有機酸などがあげられる。
前述工程(b)において、銅または銅合金材料と対向電
極間の処理液の溶液抵抗を下げることにより、効率よく
銅または銅合金材料の表面酸化物が還元され、洗浄効果
が高まるという点から、必要に応じ電解質を含むことが
好ましい。かかる電解質としては、処理液中で電離する
というものであればよいが、半導体装置などに適用され
るばあいのように、耐湿性が要求されるばあいにおいて
は、処理後の銅または銅合金材料の腐食や接触する他の
金属材料の腐食を引き起こす物質、たとえばアルカリ金
属イオン、ハロゲンイオンなどが、銅または銅合金材料
表面に残留することのないよう、これらの物質が生じな
い電解質が好ましい。特に、ハロゲンイオンのように銅
原子への配位力が大きく、単原子からなるようなイオン
半径が小さいものは、処理後銅または銅合金材料の表面
に不純物として残留し、マイグレーションや、銅または
銅合金材料と接触する他の金属材料の腐食を引き起こす
などの不具合が生じやすい。この点から、ハロゲンイオ
ンなどの腐食性イオンを含まない電解質が好ましい。さ
らに、遷移金属イオンを生じる電解質を処理液中に配合
すると、多くの銅原子と配位しうる化合物は、銅原子以
外の遷移金属イオンとも配位しうるため、銅または銅合
金材料表面の銅原子と銅原子と配位しうる化合物が配位
する前に、溶液中で遷移金属イオンと銅原子と配位しう
る化合物と配位し、処理効果が著しく低下する。そのた
め遷移金属イオンも含まない電解質が好ましい。これら
の条件を満たす電解質として、ホウ酸などの無機酸、ま
たは酢酸、ギ酸などの有機酸などがあげられる。
【0030】工程(a)ののち、処理液中における銅ま
たは銅合金材料と対向電極の間の溶液抵抗値は1000
Ω以下であるのが好ましく、さらに、前記の工程(b)
において洗浄効果が高まるという点から、300Ω以下
であるのが特に好ましい。前記溶液抵抗は、前記主成分
および電解質の濃度をかえることにより制御することが
できる。通常は5Ω以上である。
たは銅合金材料と対向電極の間の溶液抵抗値は1000
Ω以下であるのが好ましく、さらに、前記の工程(b)
において洗浄効果が高まるという点から、300Ω以下
であるのが特に好ましい。前記溶液抵抗は、前記主成分
および電解質の濃度をかえることにより制御することが
できる。通常は5Ω以上である。
【0031】そのほかの成分としては、たとえば、界面
活性剤や溶液の安定性をうるため緩衝溶液などを、本発
明の効果を損なわない範囲で用いることができる。
活性剤や溶液の安定性をうるため緩衝溶液などを、本発
明の効果を損なわない範囲で用いることができる。
【0032】また、本発明における処理液の溶媒は、前
記成分を溶解しうるというものであればよく、たとえ
ば、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコールな
どがあげられるが、安価であり、処理液の溶液抵抗が低
くなる水が特に好ましい。
記成分を溶解しうるというものであればよく、たとえ
ば、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコールな
どがあげられるが、安価であり、処理液の溶液抵抗が低
くなる水が特に好ましい。
【0033】また、本発明の工程(a)においては、前
記銅または銅合金材料の対向電極を浸漬するが、効率よ
く処理を行うため、対向電極の表面積の大きさが銅また
は銅合金材料の表面積以上であるのが好ましい。かかる
対向電極の種類は、処理液中で安定で、本発明の工程
(b)、(c)において電圧を印加したときに腐食しな
いことが必要であり、たとえば、白金またはグラファイ
トなどがあげられる。
記銅または銅合金材料の対向電極を浸漬するが、効率よ
く処理を行うため、対向電極の表面積の大きさが銅また
は銅合金材料の表面積以上であるのが好ましい。かかる
対向電極の種類は、処理液中で安定で、本発明の工程
(b)、(c)において電圧を印加したときに腐食しな
いことが必要であり、たとえば、白金またはグラファイ
トなどがあげられる。
【0034】また、銅または銅合金材料および対向電極
の浸漬は、銅または銅合金材料の形状が板状であるばあ
い、図1に示すように銅または銅合金材料を、板面の両
側に平行におかれた2つの対向電極の中点に設置すると
いう態様で行なうのが好ましい。これにより、板面の表
側と裏側に均質な処理層をうることができる。図1およ
び2は、本発明の表面処理を行なうための装置の一実施
態様の概略説明図である。図1において、1は処理液、
2は銅または銅合金材料、3は対向電極、4は外部電
源、5は可変抵抗器である。また、それ以外の形状にお
いても同様で、2つの対向電極の中点に銅または銅合金
材料を設置するという態様で行なうのが好ましいが、図
2において矢印で示すように、本発明の工程(b)、
(c)において、銅または銅合金材料を回転させること
により、均質な処理層をうることもできる。回転させる
手段としては従来公知のものを用いればよい。
の浸漬は、銅または銅合金材料の形状が板状であるばあ
い、図1に示すように銅または銅合金材料を、板面の両
側に平行におかれた2つの対向電極の中点に設置すると
いう態様で行なうのが好ましい。これにより、板面の表
側と裏側に均質な処理層をうることができる。図1およ
び2は、本発明の表面処理を行なうための装置の一実施
態様の概略説明図である。図1において、1は処理液、
2は銅または銅合金材料、3は対向電極、4は外部電
源、5は可変抵抗器である。また、それ以外の形状にお
いても同様で、2つの対向電極の中点に銅または銅合金
材料を設置するという態様で行なうのが好ましいが、図
2において矢印で示すように、本発明の工程(b)、
(c)において、銅または銅合金材料を回転させること
により、均質な処理層をうることもできる。回転させる
手段としては従来公知のものを用いればよい。
【0035】本発明の方法における前記処理液の温度と
しては、処理の効率があがるため、沸点以下の温度でな
るべく高い温度であればよいが、沸点近辺の液温であれ
ば、溶媒の蒸発による処理液の減少が著しいため、たと
えば、処理液の溶媒として水を用いたばあいには、80
℃以下であるのが好ましく、さらに、処理液の主成分が
金属アルコキシル基をもつばあい、処理液の温度が高い
と処理液中で重合し、処理液の寿命が著しく短くなると
いう点から50℃以下であるのが特に好ましい。
しては、処理の効率があがるため、沸点以下の温度でな
るべく高い温度であればよいが、沸点近辺の液温であれ
ば、溶媒の蒸発による処理液の減少が著しいため、たと
えば、処理液の溶媒として水を用いたばあいには、80
℃以下であるのが好ましく、さらに、処理液の主成分が
金属アルコキシル基をもつばあい、処理液の温度が高い
と処理液中で重合し、処理液の寿命が著しく短くなると
いう点から50℃以下であるのが特に好ましい。
【0036】つぎに、本発明の工程(b)について説明
する。本発明の工程(b)においては、前記材料の電圧
が処理液中における自然電位より低い電位になるように
外部電源によって電圧を印加、保持して前記材料表面を
清浄化する。
する。本発明の工程(b)においては、前記材料の電圧
が処理液中における自然電位より低い電位になるように
外部電源によって電圧を印加、保持して前記材料表面を
清浄化する。
【0037】なお、本発明においていう電圧は、直流電
圧であってもよいし、パルス電圧であってもよい。
圧であってもよいし、パルス電圧であってもよい。
【0038】ここで、前記材料の電圧を処理液中におけ
る自然電位より低い電位とするのは、本発明において用
いる銅または銅合金材料の表面に存在するスケールを、
還元電流により還元して金属銅とし、カソード電解洗浄
によって有機物を除去し、清浄な表面をうるためであ
る。この処理をしておくことにより、前記銅原子に配位
しうる成分が前記材料の表面に均質で強固な処理層を形
成することができる。
る自然電位より低い電位とするのは、本発明において用
いる銅または銅合金材料の表面に存在するスケールを、
還元電流により還元して金属銅とし、カソード電解洗浄
によって有機物を除去し、清浄な表面をうるためであ
る。この処理をしておくことにより、前記銅原子に配位
しうる成分が前記材料の表面に均質で強固な処理層を形
成することができる。
【0039】なお、本発明においていう電位とは水素標
準電極を基準とする電位をいい、工程(b)における自
然電位より低い電位は、銅または銅合金材料の表面酸化
物を効率よく還元するという点から−0.5V以下であ
るのが好ましく、さらに、処理液中に水を含むばあい、
銅または銅合金材料の表面に生成する水素ガスによる表
面の洗浄効果が期待できるという点から、水素発生電位
である−1V以下であるのが特に好ましい。なお、本発
明における自然電位とは、銅または銅合金材料を処理液
中に浸漬したときの、平衡状態にある電位を示す。この
電位は処理液や銅合金材料の組成によって多少変動する
が、標準水素電極に対して約−0.15Vである。
準電極を基準とする電位をいい、工程(b)における自
然電位より低い電位は、銅または銅合金材料の表面酸化
物を効率よく還元するという点から−0.5V以下であ
るのが好ましく、さらに、処理液中に水を含むばあい、
銅または銅合金材料の表面に生成する水素ガスによる表
面の洗浄効果が期待できるという点から、水素発生電位
である−1V以下であるのが特に好ましい。なお、本発
明における自然電位とは、銅または銅合金材料を処理液
中に浸漬したときの、平衡状態にある電位を示す。この
電位は処理液や銅合金材料の組成によって多少変動する
が、標準水素電極に対して約−0.15Vである。
【0040】また、工程(b)において用いる外部電源
は、従来から、定電圧直流電源などに用いられているも
のでよい。
は、従来から、定電圧直流電源などに用いられているも
のでよい。
【0041】つぎに、本発明の工程(c)について説明
する。本発明の工程(c)においては、前記材料の電圧
が処理液中における自然電位より高い電位になるように
外部電源によって電圧を印加、保持する。
する。本発明の工程(c)においては、前記材料の電圧
が処理液中における自然電位より高い電位になるように
外部電源によって電圧を印加、保持する。
【0042】これは、前記工程(b)において前記材料
の表面のスケールを還元してえられた清浄な表面に、当
該表面近傍に存在する処理液中の前記銅原子に配位しう
る成分を直ちに付着させるためである。これにより、前
記材料表面において銅原子と反応しやすくなり、その結
果として均質かつ強固な処理層を素早く形成することが
できる。
の表面のスケールを還元してえられた清浄な表面に、当
該表面近傍に存在する処理液中の前記銅原子に配位しう
る成分を直ちに付着させるためである。これにより、前
記材料表面において銅原子と反応しやすくなり、その結
果として均質かつ強固な処理層を素早く形成することが
できる。
【0043】このばあい、工程(b)において前記材料
の電位を自然電位より低い電位に印加保持したのちに、
工程(c)において前記材料の電位を自然電位より高い
電位に印加するまでの時間(以下、「切換時間」ともい
う。)は、工程(b)後の銅または銅合金材料の表面の
処理液中での再酸化が起こる前に処理層を付着させる必
要があり、30秒間以内であるのが好ましい。また、切
替え時間は短いぶんにはいっこうに構わないが、可能な
切換時間は、工程(b)における自然電位より低い電位
と工程(c)における自然電位より高い電位の電位差に
依存し、たとえば、電位差が比較的小さい2V程度のば
あいには0.1秒間程度、電位差が比較的大きい10V
程度のばあいには、0.3秒間程度で切換えを行なうこ
とができる。
の電位を自然電位より低い電位に印加保持したのちに、
工程(c)において前記材料の電位を自然電位より高い
電位に印加するまでの時間(以下、「切換時間」ともい
う。)は、工程(b)後の銅または銅合金材料の表面の
処理液中での再酸化が起こる前に処理層を付着させる必
要があり、30秒間以内であるのが好ましい。また、切
替え時間は短いぶんにはいっこうに構わないが、可能な
切換時間は、工程(b)における自然電位より低い電位
と工程(c)における自然電位より高い電位の電位差に
依存し、たとえば、電位差が比較的小さい2V程度のば
あいには0.1秒間程度、電位差が比較的大きい10V
程度のばあいには、0.3秒間程度で切換えを行なうこ
とができる。
【0044】また、工程(c)における電位の上限は、
とくに限定されないが、形成された処理層の酸化劣化を
招かないという点から処理液中の水分が電気分解する電
位より低いことが好ましく、水素標準電極を基準として
+1V以下であるのがより好ましい。+1Vをこえる場
合には、前記材料の表面から銅原子がイオンとなって処
理液中に大量に流出して処理液の劣化を招きうる傾向が
ある。また、工程(c)における電位の下限は、とくに
限定されないが、処理液中の自然電位よりも高いことが
好ましく、水素標準電極を基準として+0.3V以上で
あることがより好ましい。+0.3V未満の場合には、
処理に時間がかかって処理効率に劣る傾向がある。さら
に、銅イオンの流出による処理液の汚染を極力小さくす
るという観点からは、銅合金材料の電位が処理液の自然
電位に対して正となる範囲でなるべく低いことが好まし
く、これを標準水素電極基準で表わすと約−0.15V
以上となる。
とくに限定されないが、形成された処理層の酸化劣化を
招かないという点から処理液中の水分が電気分解する電
位より低いことが好ましく、水素標準電極を基準として
+1V以下であるのがより好ましい。+1Vをこえる場
合には、前記材料の表面から銅原子がイオンとなって処
理液中に大量に流出して処理液の劣化を招きうる傾向が
ある。また、工程(c)における電位の下限は、とくに
限定されないが、処理液中の自然電位よりも高いことが
好ましく、水素標準電極を基準として+0.3V以上で
あることがより好ましい。+0.3V未満の場合には、
処理に時間がかかって処理効率に劣る傾向がある。さら
に、銅イオンの流出による処理液の汚染を極力小さくす
るという観点からは、銅合金材料の電位が処理液の自然
電位に対して正となる範囲でなるべく低いことが好まし
く、これを標準水素電極基準で表わすと約−0.15V
以上となる。
【0045】工程(c)において自然電位より高い電位
を前記範囲に制御することにより、銅または銅合金材料
の表面に施されていてもよい部分Agメッキなどの銅よ
りイオン化傾向の低い金属部分には前記「銅原子に配位
しうる成分」を付着させず、銅または銅合金材料表面の
銅原子のみと化学的に結合させることが可能である。す
なわち、電位を前記範囲に制御することにより、Agな
どの銅よりイオン化傾向の低い金属はイオン化されず、
銅または銅合金材料の表面において銅原子のみが選択的
にイオン化され、処理液中の前記「銅原子に配位しうる
成分」と反応しうる。
を前記範囲に制御することにより、銅または銅合金材料
の表面に施されていてもよい部分Agメッキなどの銅よ
りイオン化傾向の低い金属部分には前記「銅原子に配位
しうる成分」を付着させず、銅または銅合金材料表面の
銅原子のみと化学的に結合させることが可能である。す
なわち、電位を前記範囲に制御することにより、Agな
どの銅よりイオン化傾向の低い金属はイオン化されず、
銅または銅合金材料の表面において銅原子のみが選択的
にイオン化され、処理液中の前記「銅原子に配位しうる
成分」と反応しうる。
【0046】また、工程(c)において、銅または銅合
金材料の電位を自然電位より高い電位にしたのち、銅ま
たは銅合金材料を処理液中に浸漬しておく時間は、充分
な効果をうるべく当業者であれば適宜選択することがで
きるが、作業効率のためになるべく短い方か好ましい。
金材料の電位を自然電位より高い電位にしたのち、銅ま
たは銅合金材料を処理液中に浸漬しておく時間は、充分
な効果をうるべく当業者であれば適宜選択することがで
きるが、作業効率のためになるべく短い方か好ましい。
【0047】工程(c)が終了後、銅または銅合金材料
を処理槽から取り出し、余分な処理液を除去するため、
溶媒、たとえば水、イソプロピルアルコール、エタノー
ルによって洗浄することはやぶさかではない。さらに、
処理液中の銅原子に配位し得る化合物が金属アルコキシ
基をもつ化合物である場合、前記処理の後、表面に吸着
している当該化合物とその隣接して吸着している別の化
合物との間を化学結合させ、より強固な、耐熱性を有す
る処理層を形成させるという観点から、当該化合物の金
属アルコキシ基を速やかに重合させるために、(d)9
0〜150℃の熱履歴を与えることが好ましい。具体的
な熱履歴の印加方法としては、たとえば温風による乾燥
や、オーブンに銅または銅合金材料を入れることにより
熱履歴を与えることができる。
を処理槽から取り出し、余分な処理液を除去するため、
溶媒、たとえば水、イソプロピルアルコール、エタノー
ルによって洗浄することはやぶさかではない。さらに、
処理液中の銅原子に配位し得る化合物が金属アルコキシ
基をもつ化合物である場合、前記処理の後、表面に吸着
している当該化合物とその隣接して吸着している別の化
合物との間を化学結合させ、より強固な、耐熱性を有す
る処理層を形成させるという観点から、当該化合物の金
属アルコキシ基を速やかに重合させるために、(d)9
0〜150℃の熱履歴を与えることが好ましい。具体的
な熱履歴の印加方法としては、たとえば温風による乾燥
や、オーブンに銅または銅合金材料を入れることにより
熱履歴を与えることができる。
【0048】また、とくに形状が複雑な材料を処理する
時、自然電位より低い電位を非常に低く設定し、多量に
水素が発生する時、または処理槽中の処理液の流れが少
ない時には、前記工程(b)直後は、銅または銅合金材
料表面で発生した水素が表面に付着し、自然電位より高
い電圧をかけ、処理剤主成分を吸着させるときの妨げに
なる場合がある。さらに、前記工程(b)直後は、銅ま
たは銅合金材料は分極しており、材料表面近傍から遠方
に処理剤主成分が存在しがちであり、前記工程(c)に
おいて、処理剤主成分が吸着しにくい。そこで、前記工
程(b)の後、前記工程(c)に入る前に、(e)前記
材料を一旦処理液から引き上げ、表面に付着した水素を
除去して、さらに材料の分極を無くす工程を行なうこと
が好ましい。
時、自然電位より低い電位を非常に低く設定し、多量に
水素が発生する時、または処理槽中の処理液の流れが少
ない時には、前記工程(b)直後は、銅または銅合金材
料表面で発生した水素が表面に付着し、自然電位より高
い電圧をかけ、処理剤主成分を吸着させるときの妨げに
なる場合がある。さらに、前記工程(b)直後は、銅ま
たは銅合金材料は分極しており、材料表面近傍から遠方
に処理剤主成分が存在しがちであり、前記工程(c)に
おいて、処理剤主成分が吸着しにくい。そこで、前記工
程(b)の後、前記工程(c)に入る前に、(e)前記
材料を一旦処理液から引き上げ、表面に付着した水素を
除去して、さらに材料の分極を無くす工程を行なうこと
が好ましい。
【0049】前記工程(b)の後、前記工程(c)に入
る前に、(e)前記材料を一旦処理液から引き上げるこ
とにより、処理液主成分が吸着しやすくなる。
る前に、(e)前記材料を一旦処理液から引き上げるこ
とにより、処理液主成分が吸着しやすくなる。
【0050】さらに、前記工程(b)と(c)の処理槽
を分割することにより、表面に付着した水素を除去し、
材料の分極を無くす効果が望める。また、銅または銅合
金材料から処理液への銅イオン流出は、工程(c)の処
理槽のみで起きることにより、工程(b)において、た
とえば処理液中の銅イオンが銅または銅合金材料に施さ
れていてもよい部分Agメッキ表面に析出し、「銅原子
に配位しうる成分」がAgの部分メッキ上に付着するこ
とも防ぐことができ、処理液の劣化も最小限にできる。
を分割することにより、表面に付着した水素を除去し、
材料の分極を無くす効果が望める。また、銅または銅合
金材料から処理液への銅イオン流出は、工程(c)の処
理槽のみで起きることにより、工程(b)において、た
とえば処理液中の銅イオンが銅または銅合金材料に施さ
れていてもよい部分Agメッキ表面に析出し、「銅原子
に配位しうる成分」がAgの部分メッキ上に付着するこ
とも防ぐことができ、処理液の劣化も最小限にできる。
【0051】なお、本発明の方法は、処理液は1回の表
面処理ごとに交換するいわゆるバッチ方式で行なえばよ
いが、処理液を灌流させて行なってもよい。
面処理ごとに交換するいわゆるバッチ方式で行なえばよ
いが、処理液を灌流させて行なってもよい。
【0052】前述した本発明の方法によって表面処理を
施した銅または銅合金材料は安定な処理層を持ち、たと
えばリードフレーム、コネクタ、プリント基板用箔膜、
コイルなどに好適に用いることができる。
施した銅または銅合金材料は安定な処理層を持ち、たと
えばリードフレーム、コネクタ、プリント基板用箔膜、
コイルなどに好適に用いることができる。
【0053】以下に、実施例を用いて本発明をより具体
的に説明するが、本発明はこれらのみに制限されるもの
ではない。
的に説明するが、本発明はこれらのみに制限されるもの
ではない。
【0054】
【実施例】製造例1〜6 溶媒として純水を用い、表1に示す銅原子に配位しうる
成分を0.01モル/リットルの濃度で含み、かつ表1
に示す電解質を0.1モル/リットルの濃度で含む本発
明の処理液1〜6を製造した。
成分を0.01モル/リットルの濃度で含み、かつ表1
に示す電解質を0.1モル/リットルの濃度で含む本発
明の処理液1〜6を製造した。
【0055】ここで図1に示す装置を用い、銅または銅
合金材料と対向電極の間の距離を2cmとした。また、
直流抵抗計により測定した銅または銅合金材料と対向電
極の間の溶液抵抗値(Ω)を表1に示す。
合金材料と対向電極の間の距離を2cmとした。また、
直流抵抗計により測定した銅または銅合金材料と対向電
極の間の溶液抵抗値(Ω)を表1に示す。
【0056】比較製造例1 銅原子に配位しうる成分のかわりに、通常カップリング
剤として用いられている銅原子に配位しえないγ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業
(株)製)を用いたほかは、製造例1と同様にして比較
処理液を製造した。なお、銅または銅合金材料と対向電
極の間の処理液の溶液抵抗は値32Ωであった。
剤として用いられている銅原子に配位しえないγ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業
(株)製)を用いたほかは、製造例1と同様にして比較
処理液を製造した。なお、銅または銅合金材料と対向電
極の間の処理液の溶液抵抗は値32Ωであった。
【0057】
【表1】
【0058】実施例1〜6 銅または銅合金材料のサンプル1として板状の無酸素銅
(ニラコ社製)、サンプル2として銅合金(Cr:0.
3重量%、Sn:0.25重量%、Zn:0.2重量
%、残部Cu)を用い、表2に示す処理液を用い、図1
に示す装置にて本発明の方法による表面処理を行なっ
た。
(ニラコ社製)、サンプル2として銅合金(Cr:0.
3重量%、Sn:0.25重量%、Zn:0.2重量
%、残部Cu)を用い、表2に示す処理液を用い、図1
に示す装置にて本発明の方法による表面処理を行なっ
た。
【0059】工程(b)における銅または銅合金材料の
電位を−10V、工程(c)における銅または銅合金材
料の電位を+0.8Vにし、−10Vに印加したのち+
0.8Vに印加するまでの時間(切換時間)を2秒間と
した。また、+0.8Vに印加してから2秒後に前記材
料を処理液中から取り出した。
電位を−10V、工程(c)における銅または銅合金材
料の電位を+0.8Vにし、−10Vに印加したのち+
0.8Vに印加するまでの時間(切換時間)を2秒間と
した。また、+0.8Vに印加してから2秒後に前記材
料を処理液中から取り出した。
【0060】切り替え時間の間に、一旦処理槽から銅ま
たは銅合金を引き上げた。また、処理槽の容量は2lと
した。
たは銅合金を引き上げた。また、処理槽の容量は2lと
した。
【0061】ついで、前記材料を純水により濯ぎ、温風
乾燥を行ない、表面に形成された処理層の安定性、処理
後の材料と樹脂との密着性、耐湿性および変色防止性を
以下に示す方法により評価した。
乾燥を行ない、表面に形成された処理層の安定性、処理
後の材料と樹脂との密着性、耐湿性および変色防止性を
以下に示す方法により評価した。
【0062】温風乾燥はとくに言及しないかぎり、電熱
線を通した空気を材料に1分間吹き付けることにより行
なった。このとき、材料の温度は室温付近から110℃
まで急激に上昇し、その後、110℃で安定した。
線を通した空気を材料に1分間吹き付けることにより行
なった。このとき、材料の温度は室温付近から110℃
まで急激に上昇し、その後、110℃で安定した。
【0063】[評価方法] 処理層の安定性 前述の処理後の銅または銅合金材料(20mm×40m
m×0.25mm)を400℃に加熱した金属板(真鍮
製)の上にのせて3分間大気中に放置して自然冷却した
のち、前記材料の表面にテープ(スコッチ社製の#85
1A)を貼り、剥がすことにより前記材料の表面に残っ
た処理層の残留部分面積を求めた。この面積が全面積の
50%を超えるばあいは安定性が良好であり、50%以
下のばあいは安定性が不良であると評価した。結果を表
2に示す。
m×0.25mm)を400℃に加熱した金属板(真鍮
製)の上にのせて3分間大気中に放置して自然冷却した
のち、前記材料の表面にテープ(スコッチ社製の#85
1A)を貼り、剥がすことにより前記材料の表面に残っ
た処理層の残留部分面積を求めた。この面積が全面積の
50%を超えるばあいは安定性が良好であり、50%以
下のばあいは安定性が不良であると評価した。結果を表
2に示す。
【0064】樹脂との密着性 図3に本評価のために用いた試験片の概略説明図を示
す。図3中、6は樹脂である。
す。図3中、6は樹脂である。
【0065】前述の処理後の銅または銅合金材料(20
mm×5mm×0.25mm)を230℃に加熱した金
属板(真鍮製)の上にのせ、3分間大気中に放置して自
然冷却したのち、図3に示すようにサンプルの一部分を
樹脂で封止接着し、矢印の方向にサンプルを引抜くとき
の速度を1mm/min、測定時の温度を室温とし、引
張り試験機(オートグラフ、(株)島津製作所製)をも
ちいて引抜き時の荷重を剪断力(kgf・cm-1)とし
て測定した。試験片はそれぞれ4個作製し、剪断力の平
均値が50kgf・cm-1未満のばあいは「低」、50
kgf・cm-1以上100kgf・cm-1未満のばあい
は「中」、100kgf・cm-1以上のばあいは「高」
として、樹脂との密着性を評価した。結果を表2に示
す。
mm×5mm×0.25mm)を230℃に加熱した金
属板(真鍮製)の上にのせ、3分間大気中に放置して自
然冷却したのち、図3に示すようにサンプルの一部分を
樹脂で封止接着し、矢印の方向にサンプルを引抜くとき
の速度を1mm/min、測定時の温度を室温とし、引
張り試験機(オートグラフ、(株)島津製作所製)をも
ちいて引抜き時の荷重を剪断力(kgf・cm-1)とし
て測定した。試験片はそれぞれ4個作製し、剪断力の平
均値が50kgf・cm-1未満のばあいは「低」、50
kgf・cm-1以上100kgf・cm-1未満のばあい
は「中」、100kgf・cm-1以上のばあいは「高」
として、樹脂との密着性を評価した。結果を表2に示
す。
【0066】なお、樹脂としては、ガラス転移点温度が
153℃、ガラス転移点温度以下の熱膨張率:1×(1
0-5/℃)、ガラス転移点温度以上の熱膨張率:4.5
×(10-5/℃)、25℃における曲げ弾性率:195
0(kgf/mm2)、25℃における曲げ強さ:1
5.5(kgf/mm2)、175℃におけるゲル化時
間:22(sec)、175℃におけるスパイラルフロ
ー:106(sec)の特性をもつナフタレンノボラッ
ク型エポキシ樹脂に、無機充填材として球状シリカフィ
ラーを84重量%添加したものを用いた。
153℃、ガラス転移点温度以下の熱膨張率:1×(1
0-5/℃)、ガラス転移点温度以上の熱膨張率:4.5
×(10-5/℃)、25℃における曲げ弾性率:195
0(kgf/mm2)、25℃における曲げ強さ:1
5.5(kgf/mm2)、175℃におけるゲル化時
間:22(sec)、175℃におけるスパイラルフロ
ー:106(sec)の特性をもつナフタレンノボラッ
ク型エポキシ樹脂に、無機充填材として球状シリカフィ
ラーを84重量%添加したものを用いた。
【0067】耐湿性 本発明の方法によって表面処理した銅または銅合金材料
を用いて作製した半導体装置の耐湿性を調べるために、
配線幅5μm、配線間距離10μm、蛇行回数15回、
有効長1400μmであるアルミニウム製蛇行配線回路
を描いた半導体素子を用いた半導体装置を作製した。図
4に作製した半導体装置の概略斜視図を示す。また、図
5に図4のa−a線概略断面図を示す。
を用いて作製した半導体装置の耐湿性を調べるために、
配線幅5μm、配線間距離10μm、蛇行回数15回、
有効長1400μmであるアルミニウム製蛇行配線回路
を描いた半導体素子を用いた半導体装置を作製した。図
4に作製した半導体装置の概略斜視図を示す。また、図
5に図4のa−a線概略断面図を示す。
【0068】表面処理した銅または銅合金材料を用い
て、リードフレーム7の数が160ピンで、ダイパッド
のサイズが12mm×12mmの正方形でダイパッド8
にスルーホール、ディンプルなどの加工はせずフラット
なリードフレーム7とした。半導体素子とリードフレー
ム7のダイパッドの間の接着層であるダイボンドとして
は日立化成工業(株)製のEN4277(エポキシ樹
脂、銀、希釈剤、可とう化剤を含む接着剤)を用いた。
リードフレーム7と半導体素子9とのワイヤボンド10
には金属(金)線を用いた。また、モールドレジンとし
ては前記接着性の評価の際に用いた樹脂を用いた。
て、リードフレーム7の数が160ピンで、ダイパッド
のサイズが12mm×12mmの正方形でダイパッド8
にスルーホール、ディンプルなどの加工はせずフラット
なリードフレーム7とした。半導体素子とリードフレー
ム7のダイパッドの間の接着層であるダイボンドとして
は日立化成工業(株)製のEN4277(エポキシ樹
脂、銀、希釈剤、可とう化剤を含む接着剤)を用いた。
リードフレーム7と半導体素子9とのワイヤボンド10
には金属(金)線を用いた。また、モールドレジンとし
ては前記接着性の評価の際に用いた樹脂を用いた。
【0069】この半導体装置を121℃、100%の恒
温恒湿槽中に1000時間保存して取り出したのち、腐
食によるアルミニウム製蛇行配線回路の断線を調べるた
めに回路の抵抗値を測定し、導入前後の抵抗値を比較
し、導入後の抵抗値が導入前の抵抗値の10倍以上のば
あいを、腐食により断線したと判断して不良とし評価
し、10倍未満のばあいは、良好と評価した。結果を表
2に示す。
温恒湿槽中に1000時間保存して取り出したのち、腐
食によるアルミニウム製蛇行配線回路の断線を調べるた
めに回路の抵抗値を測定し、導入前後の抵抗値を比較
し、導入後の抵抗値が導入前の抵抗値の10倍以上のば
あいを、腐食により断線したと判断して不良とし評価
し、10倍未満のばあいは、良好と評価した。結果を表
2に示す。
【0070】変色防止性 前述の銅または銅合金材料(20mm×40mm×0.
25mm)を沸騰水中に3時間いれ、その後の銅または
銅合金材料の変色部の面積を求めた。この面積が全面積
の10%を超えるばあい不良として評価し、10%以下
のばあい良好と評価した。結果を表2に示す。
25mm)を沸騰水中に3時間いれ、その後の銅または
銅合金材料の変色部の面積を求めた。この面積が全面積
の10%を超えるばあい不良として評価し、10%以下
のばあい良好と評価した。結果を表2に示す。
【0071】比較例1〜3 比較例1としては何らの処理も行なわずに実施例1と同
様の評価を行なった。また、比較例2および比較例3に
おいては表2に示す処理液を用い、それぞれ工程(b)
または工程(c)を行なわなかったこと以外は実施例1
と同様にして銅または銅合金材料の表面処理を行ない、
前記評価を行なった。結果を表2に示す。
様の評価を行なった。また、比較例2および比較例3に
おいては表2に示す処理液を用い、それぞれ工程(b)
または工程(c)を行なわなかったこと以外は実施例1
と同様にして銅または銅合金材料の表面処理を行ない、
前記評価を行なった。結果を表2に示す。
【0072】比較例4 処理液として前述の比較処理液1を用いたことのほか
は、実施例1と同様にして銅または銅合金材料の表面処
理を行ない、前記評価を行なった。結果を表2に示す。
は、実施例1と同様にして銅または銅合金材料の表面処
理を行ない、前記評価を行なった。結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】表2に示す結果から、本発明の方法によっ
て表面処理を行なった銅または銅合金材料の処理層の安
定性、樹脂との密着性および変色防止性は優れているこ
とがわかる。
て表面処理を行なった銅または銅合金材料の処理層の安
定性、樹脂との密着性および変色防止性は優れているこ
とがわかる。
【0075】実施例7〜13 工程(c)における電位を+0.1V、+0.2V、+
0.3V、+0.5V、+1.0V、+1.1Vまたは
+1.5Vにかえたほかは、実施例1と同様にして本発
明の表面処理を行ない、前記評価を行なった。結果を表
3に示す。なお、表3には比較のために実施例1の結果
も示す。
0.3V、+0.5V、+1.0V、+1.1Vまたは
+1.5Vにかえたほかは、実施例1と同様にして本発
明の表面処理を行ない、前記評価を行なった。結果を表
3に示す。なお、表3には比較のために実施例1の結果
も示す。
【0076】
【表3】
【0077】表3に示す結果から、本発明の方法によっ
て表面処理を行なった銅または銅合金材料の処理層の安
定性、樹脂との密着性および変色防止性は優れているこ
とがわかる。
て表面処理を行なった銅または銅合金材料の処理層の安
定性、樹脂との密着性および変色防止性は優れているこ
とがわかる。
【0078】製造例7〜16 銅原子に配位しうる成分(ジヒドロ−トリエトキシシリ
ルプロピル−1H−イミダゾール)の濃度を、0.00
01モル/リットル、0.0005モル/リットル、
0.001モル/リットル、0.005モル/リット
ル、0.02モル/リットル、0.05モル/リット
ル、0.1モル/リットル、0.15モル/リットル、
0.2モル/リットルまたは1.0モル/リットルとし
たほかは、製造例1と同様にして本発明の処理液7〜1
6をえた。なお、それぞれの処理液の銅または銅合金材
料と対向電極の間の処理液の溶液抵抗値を表4に示す。
ルプロピル−1H−イミダゾール)の濃度を、0.00
01モル/リットル、0.0005モル/リットル、
0.001モル/リットル、0.005モル/リット
ル、0.02モル/リットル、0.05モル/リット
ル、0.1モル/リットル、0.15モル/リットル、
0.2モル/リットルまたは1.0モル/リットルとし
たほかは、製造例1と同様にして本発明の処理液7〜1
6をえた。なお、それぞれの処理液の銅または銅合金材
料と対向電極の間の処理液の溶液抵抗値を表4に示す。
【0079】実施例14〜23 処理液7〜16のいずれかひとつを用いたほかは、実施
例1と同様にして本発明の表面処理を行ない、前記評価
を行なった。結果を表4に示す。また、比較のために実
施例1の結果も示す。
例1と同様にして本発明の表面処理を行ない、前記評価
を行なった。結果を表4に示す。また、比較のために実
施例1の結果も示す。
【0080】
【表4】
【0081】表4に示す結果から、本発明の方法によっ
て表面処理を行なった銅または銅合金材料の処理層の安
定性、樹脂との密着性および変色防止性は優れているこ
とがわかる。
て表面処理を行なった銅または銅合金材料の処理層の安
定性、樹脂との密着性および変色防止性は優れているこ
とがわかる。
【0082】製造例17および18 ホウ酸の濃度を0.001モル/リットルとして銅また
は銅合金材料と対向電極の間の処理液の溶液抵抗値を1
000Ωとしたこと、またはホウ酸を配合せずに銅また
は銅合金材料と対向電極の間の処理液の溶液抵抗値を1
000Ω以上としたことのほかは、製造例1と同様にし
て処理液17および18をえた。
は銅合金材料と対向電極の間の処理液の溶液抵抗値を1
000Ωとしたこと、またはホウ酸を配合せずに銅また
は銅合金材料と対向電極の間の処理液の溶液抵抗値を1
000Ω以上としたことのほかは、製造例1と同様にし
て処理液17および18をえた。
【0083】実施例24および25 処理液17および18を用いたほかは、実施例1と同様
にして本発明の表面処理を行ない、前記評価を行なっ
た。
にして本発明の表面処理を行ない、前記評価を行なっ
た。
【0084】実施例26 銅または銅合金材料と対向電極の間の距離を1.3cm
としたほかは、実施例1と同様にして本発明の表面処理
を行ない、前記評価を行なった。結果を表5に示す。ま
た、比較のために実施例1の結果も示す。
としたほかは、実施例1と同様にして本発明の表面処理
を行ない、前記評価を行なった。結果を表5に示す。ま
た、比較のために実施例1の結果も示す。
【0085】
【表5】
【0086】表5に示す結果から、銅または銅合金材料
と対向電極の間の処理液の溶液抵抗を1000Ωとし、
本発明の方法によって表面処理を行なった銅または銅合
金材料の処理層の安定性、樹脂との密着性および変色防
止性は優れていることがわかる。
と対向電極の間の処理液の溶液抵抗を1000Ωとし、
本発明の方法によって表面処理を行なった銅または銅合
金材料の処理層の安定性、樹脂との密着性および変色防
止性は優れていることがわかる。
【0087】実施例27〜32 前記切換時間を0.5秒間、1秒間、10秒間、30秒
間、40秒間または60秒間としたほかは、実施例1と
同様にして本発明の表面処理を行ない、前記評価を行な
った。結果を表6に示す。
間、40秒間または60秒間としたほかは、実施例1と
同様にして本発明の表面処理を行ない、前記評価を行な
った。結果を表6に示す。
【0088】
【表6】
【0089】表6に示す結果から、前記切換時間を30
秒間以内のばあい、本発明の方法によって表面処理を行
なった銅または銅合金材料の処理層の安定性、樹脂との
密着性および変色防止性は優れていることがわかる。
秒間以内のばあい、本発明の方法によって表面処理を行
なった銅または銅合金材料の処理層の安定性、樹脂との
密着性および変色防止性は優れていることがわかる。
【0090】製造例19〜22 ホウ酸のかわりに塩化カリウム、ホウ酸ナトリウム、塩
化ステアリン酸または酢酸銅を用いたほかは、製造例1
と同様にして処理液19〜22をえた。なお、それぞれ
の処理液の銅または銅合金材料と対向電極の間の処理液
の溶液抵抗を表7に示す。
化ステアリン酸または酢酸銅を用いたほかは、製造例1
と同様にして処理液19〜22をえた。なお、それぞれ
の処理液の銅または銅合金材料と対向電極の間の処理液
の溶液抵抗を表7に示す。
【0091】実施例33〜36 処理液19〜22を用いたほかは、実施例1と同様にし
て本発明の表面処理を行ない、前記評価を行なった。結
果を表7に示す。
て本発明の表面処理を行ない、前記評価を行なった。結
果を表7に示す。
【0092】
【表7】
【0093】表7に示す結果から、ハロゲンイオンやア
ルカリ金属が生じる電解質を用いると、耐湿性が劣り、
また遷移金属イオンを用いると銅または銅合金材料の処
理層の安定性、樹脂との密着性、および変色防止性に劣
ることがわかる。
ルカリ金属が生じる電解質を用いると、耐湿性が劣り、
また遷移金属イオンを用いると銅または銅合金材料の処
理層の安定性、樹脂との密着性、および変色防止性に劣
ることがわかる。
【0094】実施例37〜43 温風乾燥における電熱線の電流量を変化させることによ
り、温風乾燥時の銅または銅合金材料の熱履歴を変化さ
せたほかは、実施例1と同様にして本発明の表面処理を
行ない、前記評価を行なった。結果を表8に示す。
り、温風乾燥時の銅または銅合金材料の熱履歴を変化さ
せたほかは、実施例1と同様にして本発明の表面処理を
行ない、前記評価を行なった。結果を表8に示す。
【0095】
【表8】
【0096】表8に示す結果から、温風乾燥において9
0〜150℃の熱履歴を与える本発明の方法により、表
面処理を行なった銅または銅合金材料の処理層の安定
性、樹脂との密着性および変色防止性は優れていること
がわかる。
0〜150℃の熱履歴を与える本発明の方法により、表
面処理を行なった銅または銅合金材料の処理層の安定
性、樹脂との密着性および変色防止性は優れていること
がわかる。
【0097】実施例44 工程(b)と(c)の間で、前記材料を処理液から引き
上げる工程を除くほかは、実施例1と同様にして本発明
の表面処理を行ない、前記評価を行なった。結果を表9
に示す。
上げる工程を除くほかは、実施例1と同様にして本発明
の表面処理を行ない、前記評価を行なった。結果を表9
に示す。
【0098】
【表9】
【0099】表9に示す結果から、前記材料を処理液か
ら引き上げる工程を工程(b)と(c)の間に入れる本
発明の方法により表面処理を行なった銅または銅合金材
料の処理層は、安定性、樹脂との密着性および変色防止
性に優れていることがわかる。
ら引き上げる工程を工程(b)と(c)の間に入れる本
発明の方法により表面処理を行なった銅または銅合金材
料の処理層は、安定性、樹脂との密着性および変色防止
性に優れていることがわかる。
【0100】実施例45〜51 工程(b)と(c)における処理槽を、工程(b)用と
して1l、工程(c)用として1lの2槽にそれぞれ分
割したほかは、実施例1と同様にして本発明の表面処理
を行ない、前記評価を行なった。また、銅または銅合金
材料(20mm×40mm×0.25mm)を前もって
複数枚処理し、その後、前記評価を行なった。結果を表
10に示す。
して1l、工程(c)用として1lの2槽にそれぞれ分
割したほかは、実施例1と同様にして本発明の表面処理
を行ない、前記評価を行なった。また、銅または銅合金
材料(20mm×40mm×0.25mm)を前もって
複数枚処理し、その後、前記評価を行なった。結果を表
10に示す。
【0101】
【表10】
【0102】表10に示す結果から、工程(b)と
(c)における処理槽を、工程(b)用として1l、工
程(c)用として1lの2槽にそれぞれ分割することに
より、処理液の寿命が伸びることがわかる。
(c)における処理槽を、工程(b)用として1l、工
程(c)用として1lの2槽にそれぞれ分割することに
より、処理液の寿命が伸びることがわかる。
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、銅または銅合金材料の
表面を、優れた安定性を有する防錆層(処理層)をも
ち、かつ樹脂との密着性に優れ、変色防止効果もえられ
る、コスト的に有利な表面処理方法を提供することがで
き、銅または銅合金材料を電子電気デバイスに適用した
ばあい、デバイスが吸湿した時に腐食やマイグレーショ
ンが発生しないという効果を奏する。
表面を、優れた安定性を有する防錆層(処理層)をも
ち、かつ樹脂との密着性に優れ、変色防止効果もえられ
る、コスト的に有利な表面処理方法を提供することがで
き、銅または銅合金材料を電子電気デバイスに適用した
ばあい、デバイスが吸湿した時に腐食やマイグレーショ
ンが発生しないという効果を奏する。
【0104】本発明によれば、工程(c)における処理
液中における自然電位より高い電位とするための前記材
料の電位が、標準水素電極基準で−0.15〜+1Vに
することにより、処理効率に優れ、処理液の劣化を招か
ずに銅または銅合金材料の表面処理を行なうことができ
る。
液中における自然電位より高い電位とするための前記材
料の電位が、標準水素電極基準で−0.15〜+1Vに
することにより、処理効率に優れ、処理液の劣化を招か
ずに銅または銅合金材料の表面処理を行なうことができ
る。
【0105】本発明によれば、前記材料の電圧が処理液
中における自然電位より低い電位になるように外部電源
によって電圧を印加したのち、30秒間以内に、前記材
料の電圧が処理液中における自然電位より高い電位にな
るように外部電源によって電圧を印加することにより、
処理液中で銅または銅合金材料の表面において再酸化が
起こる前に処理層を形成することができる。
中における自然電位より低い電位になるように外部電源
によって電圧を印加したのち、30秒間以内に、前記材
料の電圧が処理液中における自然電位より高い電位にな
るように外部電源によって電圧を印加することにより、
処理液中で銅または銅合金材料の表面において再酸化が
起こる前に処理層を形成することができる。
【0106】また、銅原子に配位しうる成分を銅原子に
配位しうる基をもつ化合物とすることにより、銅または
銅合金材料の表面にスケールが形成するのを防ぎ、変色
および腐食を抑制することができる。
配位しうる基をもつ化合物とすることにより、銅または
銅合金材料の表面にスケールが形成するのを防ぎ、変色
および腐食を抑制することができる。
【0107】また、銅原子に配位しうる基をもつ化合物
を、イミダゾール、トルトライアゾール、2−メルカプ
トベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプトチアジアゾ
ール、ジチオカルバミン酸、1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオール、8−ヒドロキシキノリン、ピリジ
ン、フェナジン、アクリジンおよびこれらの誘導体より
なる群から選択することにより、銅または銅合金材料の
表面にスケールが形成するのを防ぎ、変色および腐食を
抑制することができる。
を、イミダゾール、トルトライアゾール、2−メルカプ
トベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプトチアジアゾ
ール、ジチオカルバミン酸、1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオール、8−ヒドロキシキノリン、ピリジ
ン、フェナジン、アクリジンおよびこれらの誘導体より
なる群から選択することにより、銅または銅合金材料の
表面にスケールが形成するのを防ぎ、変色および腐食を
抑制することができる。
【0108】また、銅原子に配位しうる基をもつ化合物
を、イミダゾール基、アミノ基、ジアミノ基、メルカプ
ト基、フォスフェート基、β−ジケトン基およびカルボ
キシル基よりなる群から選択される少なくとも1種の
基、ならびに金属アルコキシ基をもつ化合物とすること
により、処理層が昇華し、防錆、防色効果が弱まること
を防ぐため、「銅原子に配位しうる成分」同士を重合さ
せ、耐熱性のある処理層を形成することができる。
を、イミダゾール基、アミノ基、ジアミノ基、メルカプ
ト基、フォスフェート基、β−ジケトン基およびカルボ
キシル基よりなる群から選択される少なくとも1種の
基、ならびに金属アルコキシ基をもつ化合物とすること
により、処理層が昇華し、防錆、防色効果が弱まること
を防ぐため、「銅原子に配位しうる成分」同士を重合さ
せ、耐熱性のある処理層を形成することができる。
【0109】また処理液を、該処理液中で測定した銅ま
たは銅合金材料と対向電極との間の溶液抵抗値が100
0Ω以下の処理液とすることにより、銅または銅合金材
料表面の洗浄効果を高めることができる。
たは銅合金材料と対向電極との間の溶液抵抗値が100
0Ω以下の処理液とすることにより、銅または銅合金材
料表面の洗浄効果を高めることができる。
【0110】また、処理液に、アルカリ金属イオン、ハ
ロゲンイオン、チオール基および遷移金属イオンを生じ
ない無機酸または有機酸をさらに含めることにより、効
率よく銅または銅合金材料の表面酸化物を還元して、洗
浄効果を高めることができる。
ロゲンイオン、チオール基および遷移金属イオンを生じ
ない無機酸または有機酸をさらに含めることにより、効
率よく銅または銅合金材料の表面酸化物を還元して、洗
浄効果を高めることができる。
【0111】また、処理液中の銅原子に配位しうる成分
の濃度を0.001〜0.1モル/リットルにすること
により、より均質な処理層をうることができる。
の濃度を0.001〜0.1モル/リットルにすること
により、より均質な処理層をうることができる。
【0112】また、銅原子に配位し得る化合物が金属ア
ルコキシ基を有する化合物の場合、工程(c)の処理に
のちに、(d)90〜150℃の熱履歴を与えることに
よって、銅または銅合金材料の処理層の安定性、樹脂と
の密着性および変色防止性を向上させることができる。
ルコキシ基を有する化合物の場合、工程(c)の処理に
のちに、(d)90〜150℃の熱履歴を与えることに
よって、銅または銅合金材料の処理層の安定性、樹脂と
の密着性および変色防止性を向上させることができる。
【0113】また、工程(b)と(c)の間に、(e)
前記材料を処理液から引き上げる工程を有することによ
って、銅または銅合金材料の処理層の安定性、樹脂との
密着性および変色防止性を向上させることができる。
前記材料を処理液から引き上げる工程を有することによ
って、銅または銅合金材料の処理層の安定性、樹脂との
密着性および変色防止性を向上させることができる。
【0114】また、工程(b)と(c)を異なる処理槽
で行なうことによって、処理液の寿命を向上させること
ができる。
で行なうことによって、処理液の寿命を向上させること
ができる。
【図1】 本発明の表面処理を行なうための装置の一実
施態様の概略説明図である。
施態様の概略説明図である。
【図2】 本発明の表面処理を行なうための装置の一実
施態様の概略説明図である。
施態様の概略説明図である。
【図3】 本発明の実施例において用いた評価用試験片
の概略説明図である。
の概略説明図である。
【図4】 本発明の実施例における評価のために作製し
た半導体装置の概略斜視図である。
た半導体装置の概略斜視図である。
【図5】 図4におけるa−a線概略断面図である。
1 処理液、2 銅または銅合金材料、3 対向電極、
4 外部電源、5 可変抵抗器、6 樹脂、7 リード
フレーム、8 ダイパッド、9 半導体素子、10 ワ
イヤボンド、11 モールドレジン。
4 外部電源、5 可変抵抗器、6 樹脂、7 リード
フレーム、8 ダイパッド、9 半導体素子、10 ワ
イヤボンド、11 モールドレジン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑中 康道 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内
Claims (12)
- 【請求項1】 (a)銅原子に配位しうる成分を主成分
として含む処理液中に銅または銅合金材料および対向電
極を浸漬し、(b)前記材料の電圧が処理液中における
自然電位より低い電位になるように外部電源によって電
圧を印加、保持して前記材料表面を清浄化し、ついで、
(c)前記材料の電圧が処理液中における自然電位より
高い電位になるように外部電源によって電圧を印加、保
持し、前記銅原子に配位しうる成分からなる処理層を前
記材料表面に形成させる銅または銅合金材料の表面処理
方法。 - 【請求項2】 工程(c)における処理液中における自
然電位より高い電位とするための前記材料の電位が、標
準水素電極基準で−0.15〜+1Vである請求項1記
載の表面処理方法。 - 【請求項3】 前記材料の電圧が処理液中における自然
電位より低い電位になるように外部電源によって電圧を
印加したのち、30秒間以内に、前記材料の電圧が処理
液中における自然電位より高い電位になるように外部電
源によって電圧を印加する請求項1または2記載の表面
処理方法。 - 【請求項4】 銅原子に配位しうる成分が銅原子に配位
しうる基をもつ化合物である請求項3記載の表面処理方
法。 - 【請求項5】 銅原子に配位しうる基をもつ化合物が、
イミダゾール、トルトライアゾール、2−メルカプトベ
ンゾチアゾール、2,5−ジメルカプトチアジアゾー
ル、ジチオカルバミン酸、1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオール、8−ヒドロキシキノリン、ピリジ
ン、フェナジン、アクリジンおよびこれらの誘導体より
なる群から選択される請求項4記載の表面処理方法。 - 【請求項6】 銅原子に配位しうる基をもつ化合物が、
イミダゾール基、アミノ基、ジアミノ基、メルカプト
基、フォスフェート基、β−ジケトン基およびカルボキ
シル基よりなる群から選択される少なくとも1種の基、
ならびに金属アルコキシ基をもつ化合物である請求項4
記載の表面処理方法。 - 【請求項7】 処理液が、該処理液中で測定した銅また
は銅合金材料と対向電極との間の溶液抵抗値が1000
Ω以下の処理液である請求項1記載の表面処理方法。 - 【請求項8】 処理液が、アルカリ金属イオン、ハロゲ
ンイオンおよび遷移金属イオンを生じない無機酸または
有機酸をさらに含む請求項1記載の表面処理方法。 - 【請求項9】 処理液中の銅原子に配位しうる成分の濃
度が0.001〜0.1モル/リットルである請求項7
記載の表面処理方法。 - 【請求項10】 工程(c)の処理にのちに、(d)9
0〜150℃の熱履歴を与える工程を有する請求項6記
載の表面処理方法。 - 【請求項11】 工程(b)と(c)の間に、(e)前
記材料を処理液から引き上げる工程を有する請求項1記
載の表面処理方法。 - 【請求項12】 工程(b)と(c)を異なる処理槽で
行なう請求項1記載の表面処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2151599A JPH11286794A (ja) | 1998-02-05 | 1999-01-29 | 銅または銅合金材料の表面処理方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10-24861 | 1998-02-05 | ||
JP2486198 | 1998-02-05 | ||
JP2151599A JPH11286794A (ja) | 1998-02-05 | 1999-01-29 | 銅または銅合金材料の表面処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11286794A true JPH11286794A (ja) | 1999-10-19 |
Family
ID=26358593
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2151599A Pending JPH11286794A (ja) | 1998-02-05 | 1999-01-29 | 銅または銅合金材料の表面処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11286794A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004165647A (ja) * | 2002-10-18 | 2004-06-10 | Natl Starch & Chem Investment Holding Corp | 反応性基:トリアジン/イソシアヌレート、シアネートエステル、及びブロックドイソシアネートを含有する硬化性化合物 |
JP2005325442A (ja) * | 2004-03-26 | 2005-11-24 | Natl Starch & Chem Investment Holding Corp | 硫黄ベースの腐食防止剤 |
JP2012505307A (ja) * | 2008-10-13 | 2012-03-01 | アトテック・ドイチュラント・ゲーエムベーハー | 銀表面と樹脂材料間の接着の改良法 |
JP2012186480A (ja) * | 2003-10-27 | 2012-09-27 | Wako Pure Chem Ind Ltd | 半導体基板表面の処理方法 |
-
1999
- 1999-01-29 JP JP2151599A patent/JPH11286794A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004165647A (ja) * | 2002-10-18 | 2004-06-10 | Natl Starch & Chem Investment Holding Corp | 反応性基:トリアジン/イソシアヌレート、シアネートエステル、及びブロックドイソシアネートを含有する硬化性化合物 |
JP2012186480A (ja) * | 2003-10-27 | 2012-09-27 | Wako Pure Chem Ind Ltd | 半導体基板表面の処理方法 |
JP2005325442A (ja) * | 2004-03-26 | 2005-11-24 | Natl Starch & Chem Investment Holding Corp | 硫黄ベースの腐食防止剤 |
JP2012505307A (ja) * | 2008-10-13 | 2012-03-01 | アトテック・ドイチュラント・ゲーエムベーハー | 銀表面と樹脂材料間の接着の改良法 |
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