JPH11286703A - 高透磁率圧粉磁心用鉄粉およびその製造方法 - Google Patents
高透磁率圧粉磁心用鉄粉およびその製造方法Info
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Abstract
い、高透磁率の圧粉磁心用鉄粉を提供する。 【解決手段】 圧粉磁心用鉄粉について、X線回析によ
るαFe(200) ピークの半価幅で評価した歪み量を 0.18d
eg以下にすると共に、平均結晶粒径を10μm 以上とす
る。
Description
されるチョークコイルやノイズフィルターコア等の磁心
材料としての用途に供して好適な高透磁率圧粉磁心用鉄
粉およびその製造方法に関するものである。
成形した圧粉磁心は、高周波領域での損失が小さいだけ
でなく、飽和磁束密度が大きく、また温度安定性も優れ
ていることから、チョークコイルやノイズフィルターコ
ア等に広く使用されている。この圧粉磁心の重要な特性
としては、透磁率の大きいことおよびその周波数特性が
良好であることが挙げられる。
元鉄粉は、焼結機械部品用の鉄粉と同様、ミルスケール
や鉄鉱石を粗還元して得られる海綿鉄を、仕上還元する
ことによって製造されているが、従来の製造法では、近
年の圧粉磁心の高透磁率化に対する要望に応えられない
という問題があった。
特性については、粒子の絶縁性を高めることで改善され
ることから、例えば特開昭60−234902号公報では、鉄粉
表面に酸化被膜を形成させることによって、この問題の
解決を図っている。一方、透磁率そのものについては、
純度を高めるか、充填密度を高めるしか、改善方法がな
かった。
号公報や特開平8−260114号公報では、鉄粉を塑性変形
加工して偏平状とすることを特長とする、圧粉磁心用鉄
粉の製造方法を提案している。しかしながら、鉄粉を偏
平状に塑性変形加工するためには、膨大なコストがかか
るだけでなく、粒子が偏平なために成形性が劣化すると
ころに問題を残していた。
題を有利に解決するもので、コストの増大や成形性の劣
化を招くことなしに、高透磁率の圧粉磁心用鉄粉を製造
する新規な技術を提案することを目的とする。
の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、仕上還元前
の原料海綿鉄の歪み量を所定量以上にしておけば、製品
鉄粉中の歪み量が少なくなり、その結果、圧粉成形後の
磁心の透磁率が格段に向上することの知見を得た。この
発明は上記の知見に立脚するものである。
Fe(200) ピークの半価幅で評価した歪み量が 0.18deg以
下で、かつ平均結晶粒径が10μm 以上であることを特徴
とする高透磁率圧粉磁心用鉄粉である。
00) ピークの半価幅で評価した歪み量が 0.35deg以上の
原料海綿鉄を、 800〜950 ℃,20〜120 分の条件で仕上
還元焼鈍することを特徴とする高透磁率圧粉磁心用鉄粉
の製造方法である。
て説明する。鉄粉中における歪み量が大きいと、歪みが
磁壁の移動をピンニングするため、透磁率が低下してし
まう。そこで、鉄粉中の歪み量と透磁率との関係につい
て調査した。その結果を図1に示す。なお、鉄粉中の歪
みは、鉄粉のX線回析によるαFeピークの半価幅で評価
できることが知られているので、歪み量についてはαFe
(200) ピークの半価幅で評価するものとした。同図に示
したとおり、鉄粉のX線回析によるαFe(200) ピークの
半価幅が0.18deg を超えると、鉄粉中の歪みが大きくな
り、歪みが磁壁の移動をピンニングして透磁率が低下す
ることが判明した。
壁の移動をピンニングして、やはり透磁率が低下してし
まう。そこで、この点についても調査したところ、鉄粉
の平均結晶粒径を10μm 以上にしてやれば、透磁率の低
下は格段に軽減されることが判明した。
X線回析によるαFe(200) ピークの半価幅で0.18deg 以
下でかつ、平均結晶粒径が10μm 以上の鉄粉を、効果的
に製造する方法について検討を加えた。その結果、原料
海綿鉄として、X線回析によるαFe(200) ピークの半価
幅で評価した歪み量が 0.35deg以上のものを用いれば、
上記の目的が有利に達成されることが究明された。
原料海綿鉄を、 880℃,30分の条件で仕上還元焼鈍を施
して得た鉄粉の、X線回析によるαFe(200) ピークの半
価幅および平均結晶粒径について調べた結果を示す。図
2,3に示したとおり、原料海綿鉄として、X線回析に
よるαFe(200) ピークの半価幅で評価した歪み量が 0.3
5deg以上のものを用いれば、仕上還元後の鉄粉の歪み量
をαFe(200) ピークの半価幅で 0.18deg以下に低減でき
るだけでなく、平均結晶粒径も10μm 以上にできること
が判明した。
むしろ大きくすることによって、製品鉄粉中における歪
み量が低減する理由は、次のとおりと考えられる。海綿
鉄の粉砕によって導入されたエネルギーが、仕上還元時
の回復および再結晶の駆動力となっている。すなわち、
原料海綿鉄中の歪み量が大きいと回復および再結晶の駆
動力が大きくなるため、製品鉄粉中の歪み量はかえって
小さくなり、かつ結晶粒が成長する。その結果、透磁率
が高くなるものと考えられる。
には、通常使用される粉砕機(例えば、ボールミル、ハ
ンマーミル、ノボローターなど)で、サンプリングして
半価幅を確かめながら粉砕力や粉砕回数を調整して粉砕
を行えば良い。また、仕上還元焼鈍は、 800〜950 ℃,
20〜120 分の条件で行う必要がある。というのは、焼鈍
温度が 800℃に満たないと、回復および再結晶が起き難
いため、鉄粉中の歪み量が多くなるだけでなく、結晶粒
の成長も望めず、一方 950℃を超えると、粒子の焼結が
進み、仕上還元後における粉砕歪みの増大を招き、また
焼鈍時間が20分に満たないと、結晶粒の成長が十分でな
く、小さな結晶しか得られず、一方 120分を超えると、
やはり粒子の焼結が進み、仕上還元後における粉砕歪み
が増大するからである。
に示す歪み量(X線回析によるαFe(200) ピークの半価
幅で評価)を有する原料海綿鉄を用意した。なお、X線
回析は、試料粉末を均一に調製し、 RINT 1000(理学電
機製)で、管球Co、50kV、160 mA、走査速度:0.500 °
/min、発散スリット:1°、散乱スリット:1°、受光
スリット:0.30mm、モノクロメーター使用の条件で測定
した。
気中において 880℃, 30分で仕上還元焼鈍し、一定の粉
砕条件で粉砕して製品鉄粉とした。得られた鉄粉の歪み
量および平均結晶粒径、さらには圧粉成形後の圧粉磁心
の初透磁率について調べた結果を、表1に併記する。な
お、初透磁率は、仕上還元焼鈍粉にステアリン酸亜鉛粉
を1mass%単純混合したのち、490MPaで外径:38mm、内
径:25mm、高さ:6.2 ±0.2 mmの形状に成形し、直径:
0.6 mmの銅線を11ターン巻いて作製したコイルのインピ
ーダンスをインピーダンスメータを用いて測定した。こ
の時の測定周波数は10 kHzである。
い、原料海綿鉄として、X線回析によるαFe(200) ピー
クの半価幅が 0.35deg以上を満足する歪みを有するもの
を用いた場合(No.3〜7)には、製品鉄粉の半価幅は
0.18deg以下になると共に、平均結晶粒径は10μm 以上
となり、その結果、圧粉磁心では約75以上という高い初
透磁率を得ることができた。
で成形性にも優れた圧粉磁心用鉄粉を、安価に得ること
ができる。
フである。
係を示したグラフである。
との関係を示したグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 X線回析によるαFe(200) ピークの半価
幅で評価した歪み量が 0.18deg以下で、かつ平均結晶粒
径が10μm 以上であることを特徴とする高透磁率圧粉磁
心用鉄粉。 - 【請求項2】 X線回析によるαFe(200) ピークの半価
幅で評価した歪み量が 0.35deg以上の原料海綿鉄を、 8
00〜950 ℃,20〜120 分の条件で仕上還元焼鈍すること
を特徴とする高透磁率圧粉磁心用鉄粉の製造方法。
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1998
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