JPH11285730A - 帯状材の張力制御方法及び装置 - Google Patents

帯状材の張力制御方法及び装置

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JPH11285730A
JPH11285730A JP11015769A JP1576999A JPH11285730A JP H11285730 A JPH11285730 A JP H11285730A JP 11015769 A JP11015769 A JP 11015769A JP 1576999 A JP1576999 A JP 1576999A JP H11285730 A JPH11285730 A JP H11285730A
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tension
reel
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torque
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JP11015769A
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English (en)
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Kazuya Asano
一哉 浅野
Hiroyuki Takahashi
弘之 高橋
Yoshitake Kohiro
善丈 小廣
Takatoshi Goto
貴敏 後藤
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リールに巻取り・巻戻しされる帯状材における
リール回転に同期した張力変動を、制御系を不安定化さ
せることなく除去する帯状材の張力制御方法及び装置を
提供することを課題としている。 【解決手段】被圧延材1の張力実績値σと張力設定値σ
REF との偏差を、リール回転の1周期分遅らせるむだ時
間要素10に入力し、そのむだ時間要素10の出力を、
当該むだ時間要素10の入力にゲインαを乗じて正帰還
すると共にゲインβを乗じて位相進み要素11に入力
し、その位相進み要素11の出力に基づき電流指令値を
求めモータ16のトルクを操作する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リールに巻き付け
られた帯状材の巻き取りおよび巻き出し時の帯状材のリ
ール回転に同期した張力変動を防止する方法および装置
に係り、特に,リールと圧延機との間の被圧延材(帯状
材)のリール回転に同期した張力変動を防止する制御に
好適な、帯状材の張力制御方法及び装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】圧延機の入側若しくは出側で被圧延材の
張力が変動すると、圧延荷重が変動して板厚の変動をも
たらす。そのため、被圧延材の張力を一定に保つこと
は、製品に要求される寸法精度を確保する上で極めて重
要であり、そのために従来から被圧延材の張力制御が行
われている。
【0003】その張力制御は、例えば図1に示す可逆式
圧延機設備のように、圧延機3の入側に被圧延材1の巻
き出しを行うためのリール2、出側に被圧延材1の巻き
取りを行うためのリール31が設置されている場合に
は、各リール2,31を回転駆動するモータ16,32
の各発生トルクを操作することにより行う方法が一般的
である。
【0004】ここで、モータの電機子電流をia 、界磁
磁束をφとすると、モータの発生するトルクqは、下記
(1)式のように表される。 q=K・φ・ia ・・・(1) ここで、Kは比例定数である。一方、張力によるモータ
ヘの負荷トルクqd は、張力をσ、リール半径をDとす
れば、下記(2)式で表される。
【0005】qd =σ・D ・・・(2) そして、上記(1)式及び(2)式から、モータの発生
トルクqと張力による負荷トルクqd が釣り合うために
は、下記(3)の関係となればよいことが分かる。 リール半径Dは、圧延の進行とともに変化するが、その
変化は緩やかであり、しかも予め見積もることができ
る。そこで、界磁磁束φをリール半径Dに比例させて、
電機子電流ia を一定に保つことにより張力を一定に保
持しようとする考え方が従来から採られてきた。
【0006】上記図1を参照しつつ、その張力制御の典
型例を次に説明する。図1において、符号6及び36
は、それぞれ、入側と出側の張力設定器である。また、
符号l2及び37は、電流・トルク換算器であり、符号
13及び38は、電流制御器である。張力設定器6、3
6は、圧延条件に応じて適切な張力設定値σREF を電流
・トルク換算器12、37に出力する。電流・トルク換
算器12、37は、被圧延材1の張力を上記張力設定値
σREF とするためにモータ16,32が発生すべきトル
クを計算し、それをモータ16,32の電流値に換算
し、電流指令値iREF として電流制御器13、38に出
力する。上記換算は、下記(4)式に従って行われる。
【0007】 であり、また、界磁磁束φはリール半径Dに比例させて
いるので、KT は定数となる。
【0008】電流制御器13,38の作用等を、図2を
参照しつつ説明する。符号51は電機子に印加された電
圧ea から電機子電流ia までの伝達関数を表し、r、
Lはそれぞれ電機子の抵抗及びインダクタンスを表す。
一般に、電流制御器13はPI制御器で構成されてお
り、電流指令値iREF と電機子電流ia との偏差に比例
積分演算を施して得られる電圧ea を電機子に印加す
る。図1では、減算器62及び電機子電流ia からのフ
ィードバック部分は省略している。
【0009】なお、図1中、符号4,13はデフレクタ
・ロールであり、リール径が変化しても、圧延機3の入
出側における被圧延材1を水平に保つ作用を有する。こ
のようなリール2,31と圧延機3との間の被圧延材1
の張力制御にあっては、リール2,31に巻かれている
コイルの変形による偏芯や、リール2,31ヘ被圧延材
1の端部を固定する部分でコイルが盛り上がることによ
って、実質的なリール径がリール2,31の回転に同期
して周期的に変動することがある。リール周速は、リー
ル2,31の回転速度とリール半径Dの積であるから、
リール半径Dが変動するとリール周速が変動する。ま
た、張力によってリール2,31に加わるトルクは、張
力とリール半径Dの積であるから、リール径が変動する
とリールモータ16,32ヘの張力による負荷トルクが
変動する。その結果、張力が周期的に変動することとな
る。
【0010】しかしながら、上述の張力制御では、定常
状態において必要な張力を得るための一定値のトルクを
モータ16,32に発生させているだけであり、上記の
ような周期的な張力変動を抑制する効果はない。これに
対して、図3に示すように、張力検出器5,34を設け
て被圧延材1の張力を測定し、それと張力設定値との偏
差に比例積分演算を施したものをモータ16,32の電
流制御系に与えることによりモータトルクを操作するフ
ィードバック制御も、従来、行われている。
【0011】すなわち、図3において、張力検出器5,
34が、デフレクタロール4及び35の荷重をそれぞれ
測定することにより、被圧延材1のリール2,31と圧
延機3との間の張力をそれぞれ測定する。張力検出器
5,34から出力される張力実績値と、張力設定器6,
36から出力された張力設定値とは減算器7,39にそ
れぞれ入力され、その減算器7の出力として得られる張
力偏差が、張力制御器71,72に入力される。張力制
御器71,72は、張力偏差に対して比例積分演算を行
い、その結果が電流・トルク変換器12,37に出力さ
れる。
【0012】しかしながら、リール偏芯による周期的な
外乱の周波数帯では、このようなPI制御の効果は小さ
く、張力変動は抑制できなかった。このリール回転に同
期した周期的張力変動に対して、従来にあっては、例え
ば特開昭62−24819号公報や特公平6−6541
2公報に記載される制御方法が提案されている。
【0013】すなわち、特開昭62−24819に記載
されている張力制御では、張力検出器の出力を狭帯域フ
ィルタに入力してリール回転に同期した成分を抽出し、
リ−ルに取り付けられた回転検出装置で検出したリール
角度に対応させて張力偏差保存装置に記憶させ、次の周
期に制御系の遅れを考慮しつつ張力偏差保存装置から張
力偏差を取り出し、張力設定値を補正して張力を制御す
る張力制御が開示されている。
【0014】また、特公平6−65412には、モータ
16,32の電流制御系への操作量をリール2,31回
転の1周期分遅らせて張力偏差に加算することにより一
種の繰り返しコントローラ110を構成し、その繰り返
しコントローラ110の出力を電源制御系114に入力
して電機子電流を制御する巻き取り張力制御方法が開示
されている。そのブロック図を図4に示す。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭62−24819公報に記載の張力制御では、単に
張力変動に比例した補正信号を位相をずらして張力制御
系に加えているに過ぎず、補正信号のゲインや位相の補
正量の決定が難しく、また、比例制御であることから、
張力偏差を0にすることは理論的に不可能であり、十分
な制御効果が得られないという問題がある。
【0016】また、一般に張力制御系では周波数が高く
なるほど位相が遅れるのは不可避であるが、上記特公平
6−65412公報に記載の張力制御では、リール回転
周波数の整数倍の周波数において繰り返しコントローラ
のゲインが無限大となるのにも関わらず、制御系の位相
遅れの補償機能が全くないため、位相が遅れた過大な電
流指令値に従ってモータ16,32が駆動される。この
結果、制御系が不安定となって、被圧延材の張力が発散
に向かい、張力制御が行えなくなるおそれがあるという
問題がある。
【0017】本発明は、上記のような従来の問題点を解
決すべくなされたものであり、リールに巻取り・巻戻し
される被圧延材等の帯状材についてのリール回転に同期
した張力変動を、制御系を不安定化させることなく除去
する帯状材の張力制御方法及び装置を提供することを課
題としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のうち請求項1に記載した発明は、リールか
ら巻き戻す帯状材またはリールに巻き取られる帯状材の
張力を、上記リールを回転駆動するモータのトルクで操
作する張力制御方法であって、上記帯状材の張力実績値
と張力設定値との偏差を、リール回転の1周期分遅らせ
るむだ時間要素に入力し、そのむだ時間要素の出力を、
当該むだ時間要素の入力に正帰還すると共に位相進み要
素に入力し、その位相進み要素の出力に基づき上記モー
タのトルクを調整することを特徴とする帯状材の張力制
御方法を提供するものである。
【0019】本発明による張力制御方法においては、む
だ時間要素の出力を当該むだ時間要素の入力に正帰還す
ることにより、リール回転周期に一致した周期を持つ周
期信号を発生する要素(周期信号発生器)が制御ループ
中に組み込まれる。その要素(周期信号発生器)への入
力は、張力偏差であり、その振幅及び位相に応じて周期
信号が発生する。この周期信号に基づいてモータトルク
を操作することにより、リール回転周期に同期して発生
する張力変動を相殺することができる。
【0020】また、制御ループ中には必ず応答遅れが存
在するため、高い周波数では位相が遅れ、周期信号発生
器からの周期信号の位相がずれて、十分な張力変動の抑
制が行えないばかりか、逆に張力変動を増長し、発散さ
せてしまうことが起こり得る。これに対し、本発明で
は、周期信号発生器の周期信号を位相進み要素に通した
ものに基づいてモータトルクを制御することにより、制
御ループ内の遅れを補償して、制御系が安定化し、大き
な外乱抑制効果を得ることができる。
【0021】次に、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載した構成に対し、上記むだ時間要素の出力からの
正帰還に、値が1より小さい正値のフィードバックゲイ
ンを挿入することを特徴とするものである。本発明によ
れば、むだ時間要素の出力を正帰還するときのゲインを
1より小さな正数値とすることにより、より大きな制御
系の安定化効果を得ることができる。
【0022】すなわち、上記正帰還の際のゲインを1よ
り小さな正数とすることで、リール回転周波数の整数倍
においても、上記周期信号発生器のゲインが無限大にな
ることが回避されることにより、制御系が安定化する。
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2
に記載した構成に対し、上記位相進み要素と直列に、値
が1より小さい正値のゲインを挿入することを特徴とす
るものである。
【0023】本発明によれば、制御ループ中に1よりも
小さい正数のゲインを持ったゲインを挿入することによ
り、より大きな制御系の安定化効果を得ることができ
る。すなわち、1よりも小さい正数のゲインを持ったゲ
インを挿入することで、制御ループのループゲインが全
周波数で下がることにより、制御系が安定化する。次
に、請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3の
いずれかに記載した構成に対し、上記モータの電機子電
流及び上記リールの回転速度に基づき、上記張力実績値
を推定することを特徴とするものである。
【0024】本発明によれば、実際の被圧延材の張力実
績値を測定する張力検出器が不要となる。次に、請求項
5に記載した発明は、帯状材をリールから巻き戻し又は
リールに巻き取る際に、リールを回転駆動するモータの
発生するトルクを電流指令値として入力し、モータの電
機子電流を電流指令値に制御する張力制御装置であっ
て、上記帯状材の張力を検出する張力検出器と、上記リ
ールの回転角度を検出するリール回転角度検出器と、上
記リール回転角度検出器及び張力検出器の検出信号に基
づき、リール角度が予め定められた所定角度だけ回転す
る毎に、上記張力検出器の検出信号による張力実績値と
張力設定値との偏差を出力する偏差出力手段と、上記偏
差を入力しリール回転の1周期分遅らせて出力するむだ
時間要素を備えると共に、そのむだ時間要素の出力を当
該むだ時間要素の入力に正帰還することで周期信号を発
生する周期信号発生器と、上記周期信号発生器の発生す
る周期信号の位相を進ませて出力する位相進み要素と、
を備えることを特徴とする張力制御装置を提供するもの
である。
【0025】次に、請求項6に記載した発明は、請求項
5に記載した発明に対して、2以上の整数個の段数を持
つシフトレジスタを設け、該シフトレジスタを、上記リ
ール回転角度検出器の検出信号に基づき、リールの1回
転を(上記シフトレジスタの段数−1)で除した角度だ
け当該リールが回転するごとに、上記シフトレジスタの
各段の値を、それぞれ同期をとって一つ下流側の段にシ
フト可能に構成し、上記周期信号発生器を、上記シフト
レジスタの最終段からの出力に1以下の正数値を乗じて
当該シフトレジスタの1段目への入力に加算する構成と
し、上記位相進み要素を、上記シフトレジスタの各段の
うち、少なくとも1つの段の出力に所定の重み係数を乗
じた後の値を加算して出力することにより構成すること
を特徴とするものである。
【0026】本発明によれば、上記シフトレジスタを通
じて、周期信号発生器と位相進み要素とが一体化して、
両者を独立して設けた場合には得られない大きな進み効
果を得ることが可能となる。次に、請求項7に記載した
発明は、リールから巻き戻す帯状材またはリールに巻き
取られる帯状材の張力を、上記リールを回転駆動するモ
ータのトルクで操作し、そのモータのトルクをトルク指
令値に基づき調整する張力制御方法であって、リール回
転で1周期前のトルク演算値に、リール回転で1周期前
の張力実績値と張力設定値との偏差を加算して求まる現
時点のトルク演算値を位相進み要素に入力し、その位相
進み要素の出力に基づいて現時点のトルク指令値を決定
することを特徴とする帯状材の張力制御方法を提供する
ものである。
【0027】本発明によれば、1周期前のトルク演算値
(位相補正前のトルク指令値)に基づきトルク指令値を
求めると共に、位相進み要素に通した値に基づき現時点
のトルク指令を決定することで、上記請求項1と同様な
作用を持つ。次に、請求項8に記載した発明は、リール
から巻き戻す帯状材またはリールに巻き取られる帯状材
の張力を、上記リールを回転駆動するモータのトルクで
操作し、そのモータのトルクをトルク指令値に基づき調
整する張力制御方法であって、1周期以内の所定リール
回転角度を設定回転角度として一つ以上設定しておき、
現時点から設定回転角度に相当する分だけ遡った時点で
のトルク演算値に該遡った時点での張力実績値と張力設
定値との偏差を加算した加算値を、上記一つ以上の設定
回転角度の一部又は全部についてそれぞれ求め、その求
めた各加算値にそれぞれ予め定めたゲインを乗じた後に
当該各加算値を加算して得られる値に基づき現時点のト
ルク指令値を決定すると共に、リール回転で1周期前の
トルク演算値に、リール回転で1周期前の張力実績値と
張力設定値との偏差を加算した値を現時点のトルク演算
値とすることを特徴とする帯状材の張力制御方法を提供
するものである。
【0028】本発明によれば、1周期前以内のトルク演
算値を使用することで、位相進み要素が導入される。ま
た、1周期前以内の複数のトルク演算値に基づきトルク
指令値を演算する事で、より効果的に制御系ループの遅
れ補償を行うことができる。次に、請求項9に記載の発
明は、請求項8に記載の構成に対し、使用する上記設定
回転角度、及び上記加算値に乗じるゲインのうち少なく
とも一方を、現時点のリール回転速度によって変更する
ことを特徴とするものである。
【0029】本発明によれば、帯状材の搬送速度やリー
ル径が変化しても、適切な位相進みを制御系に与えるこ
とができて、リール偏芯に起因する周期的な張力変動の
抑制をさらに効果的に行うことができる。次に、請求項
10に記載した発明は、帯状材をリールから巻き戻し又
はリールに巻き取る際に、リールを回転駆動するモータ
が発生するトルクを電流指令値として入力し、その電流
指令値にモータの電機子電流を制御する張力制御装置で
あって、上記帯状材の張力を検出する張力検出器と、上
記リールの回転角度を検出するリール回転角度検出器
と、予め定められた正整数Nで360度を除した角度の
n倍(n=0、1、2、…、N−1)の角度に対応させ
たN個のメモリと、上記リール回転角度検出器及び張力
検出器の検出信号に基づき、リールが(360/N)度
だけ回転するごとに、上記N個のメモリのうち現時点の
リール回転角度に対応するメモリの値に現時点の張力実
績値と張力設定値との偏差を加算して当該メモリの値を
更新するトルク演算値更新手段と、1周期以内の所定リ
ール回転角度を設定回転角度として一つ以上設定される
と共に、現時点より各設定回転角度だけ遡ったリール角
度に対応する各メモリの値にそれぞれ予め定められたゲ
インを個々に乗じた後の値を加算して得られる値に基づ
き上記電流指令値を求める電流指令値演算手段と、を備
えることを特徴とする帯状材の張力制御装置を提供する
ものである。
【0030】次に、請求項11に記載した発明は、請求
項10に記載した構成に対し、上記電流指令値演算手段
は、設定回転角度を現時点におけるリール回転速度によ
って変更する角度変更手段、およびメモリの値に乗じる
ゲインをリール回転速度によって変更するゲイン変更手
段のうち、少なくとも一方の手段を備えることを特徴と
するものである。
【0031】
【発明の実施の形態】次に、本発明の第1の実施の形態
を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、可逆式圧
延機の入側リールと圧延機との間の張力制御に適用した
例で説明する。すなわち、図5に示すように、被圧延材
1(帯状材)は、入側リール2から巻き出されて圧延機
3によって圧延され不図示の出側リールに巻き取られる
構成となっている。圧延機3のロール速度は、ロール回
転速度制御系(図示せず)により所定の値に保たれてい
る。符号4は、デフレクタロールを示す。
【0032】符号5は、張力検出器であって、デフレク
タロール4の荷重を測定することにより、リール2と圧
延機3との間での被圧延材1の張力を検出し、減算器7
に出力する。減算器7は、張力検出器5からの張力実績
値σから、張力設定器6からの張力設定値σREF を減算
して張力偏差を求め、その張力偏差を加算器8に出力す
る。
【0033】加算器8は、張力偏差に、後述のフィード
バックゲイン9からの値を加算してむだ時間要素10に
出力する。むだ時間要素10は、入力信号をリール回転
の1周期分に相当する時間遅らせるものである。そのむ
だ時間要素10の出力は、正帰還路にあるフィードバッ
クゲイン9に出力されると共にゲイン41に出力され
る。上記フィードバックゲイン9の値αは、0<α≦1
の範囲の一定の値に設定されている。
【0034】フィードバックゲイン9の出力は、上記加
算器8に出力されることで正帰還ループが形成されて、
加算器8、むだ時間要素10、及びフィードバックゲイ
ン9で、リール2の回転周期と同期した周期信号発生器
l00が構成され、該周期信号発生器100は、リール
一回転を周期とする周期信号を発生する。発生した周期
信号(むだ時間要素10の出力信号)は、ゲイン41の
値βが乗ぜられた後、位相進み要素11に送られる。上
記ゲイン41の値βは、0<β≦1の範囲の一定の値に
設定されている。
【0035】位相進み要素11の出力は、電流・トルク
換算器12で電流指令値に変換され、電流制御器13に
与えられる。電流制御器13は、リールモータ16の電
機子電流を与えられた電流指令値に制御する。この電流
指令値は、リール回転に同期した周期的な張力変動を相
殺するのに必要なトルクに相当するものとなっており、
上記周期的な張力変動は打ち消される。
【0036】本実施形態におけるフィードバックゲイン
9、ゲイン41及び位相進み要素11の役割について、
以下に説明する。本実施形態によって構成される周期信
号発生器100の伝達関数とゲイン41の伝達関数の積
の伝達関数、すなわち加算器8の入側からゲイン41の
出側までの伝達関数をGとすれば、 と表される。
【0037】ただし、Lはリール2の回転周期である。
フィードバックゲイン9の値αを1.0とした場合、伝
達関数Gは、回転周期Lに相当する周波数の整数倍の周
波数では、ゲインが無限大となる。電流制御系、張力発
生系、張力検出器5の応答性は有限であり、高周波数で
は位相が遅れるため、この位相遅れを補償せずに高いゲ
インで制御を行うと、制御系は不安定化する。位相進み
要素11は、これを補償するものであり、安定な制御系
を構成するための不可欠な要素である。
【0038】また、位相進み要素11だけでは安定化が
達成できない場合には、フィードバックゲイン9の値α
を1より小さい正の値とし、伝達関数Gのゲインを、回
転周波数の整数倍の周波数においても無限大にならない
ようにすることにより、より容易に安定化を図ることが
できる。また、ゲイン41の値βをlより小さい正の値
とした場合も、同様にループゲインを下げることがで
き、安定化のための調整要素として用いることができ
る。
【0039】次に、上記周期信号発生器100及び位相
進み要素11についての具体的な構成例とした第2実施
形態を説明する。これは、請求項6に記載の発明に基づ
くものであり、上記周期信号発生器100及び位相進み
要素11を効率的に構成することができるものである。
図6がその構成を説明するための図であるが、シフトレ
ジスタ22を利用して、周期信号発生器100及び位相
進み要素11を一体化することによって、両者100,
11を分離した構成とした場合には得られない、大きな
位相進み効果を得ることができ、制御系の安定化を達成
することができるものである。
【0040】まず、その構成を上記図6に基づき説明す
ると、符号17は、リール2の軸の回転角からリール2
の回転角度を検出するリール回転角度検出器であり、リ
ール回転の1/12(30度)を制御周期として、リー
ル2が1/12回転する毎にクロックパルスを後述の各
要素に出力可能となっている。後述の要素は、そのクロ
ックパルスに同期をとって動作する。
【0041】符号21は、サンプラであって、上記リー
ル回転角度検出器17からのクロックパルスに基づき動
作し、制御周期毎に張力検出器5で検出した張力実績値
σをサンプリングし減算器7に出力する。減算器7は、
張力設定器6から出力される張力設置値σREF から上記
張力実績値σを減算して張力偏差eを求め、その張力偏
差eを加算器8に出力する。加算器8は、その張力偏差
eにフィードバックゲイン9からの制御信号を加算し、
その加算値をシフトレジスタ22の1段目に出力する。
【0042】上記シフトレジスタ22は13段から構成
され、各段は、制御周期毎に同期して、自己の値を下流
側の段に送るようになっていて、第13段目は、自己の
値をフィードバックゲイン9に出力可能となっている。
ここで、上記シフトレジスタ22はむだ時間要素10を
構成し、当該シフトレジスタ22が13段から構成され
ることで、1段目の入側から13段目の出側までのむだ
時間が、リール2の回転周期と一致している。
【0043】フィードバックゲイン9は、乗算器であっ
て、入力信号に値αを乗じて上記加算器8に出力する。
これによって、リール2回転の1周期分遅れた制御偏差
が加算器8に正帰還されることとなり、上記加算器8、
シフトレジスタ22、及びフィードバックゲイン9によ
って周期信号発生器100が構成される。
【0044】上記シフトレジスタ22における下流側
(13段目)から数えてk番目までの各段の値は、制御
周期毎に、それぞれ個別の重み係数23の値wを乗じて
加算器24に出力可能となっていて、加算器24では、
同期をとって出力されたシフトレジスタ22の各段から
の値を加算してゲイン41に出力可能となっている。こ
こで、上記シフトレジスタ22における下流側からk番
目の各段、各重み係数23、及び加算器24によって、
位相進み要素11が構成されている。
【0045】すなわち、上記下流側からk番目の段の値
νk は、13段目の値ν1 の位相を制御周期の(k−
1)倍進めたものであることから、これら各段の値を重
み付けして加算することにより、位相を進ませた出力信
号を得ることができる。ゲイン41は、乗算器であっ
て、入力信号に値βを乗じてホールダ25に出力する。
【0046】ホールダ25は、制御周期に同期して、位
相進み要素11の出力をホールドして連続値にするため
のものであり、その連続値が、電流・トルク換算器12
へ出力可能となっている。次に、上記構成の動作等につ
いて説明する。リール回転角度検出器17からのリール
2の1回転の1/12を制御周期としたクロックパルス
に基づいて、以下の動作が行われる。
【0047】すなわち、制御周期ごとに張力実績値σが
サンプリングされ、減算器7から加算器8に張力偏差e
が出力される。加算器8では、現在の張力偏差eに、
(1周期前の張力偏差ν1 ×α)が加算され、その値が
シフトレジスタ22の一段目に出力される。これと同期
して、シフトレジスタ22における各段の値が一段下の
下段に順送りされ、13段目にあった値は、上述のよう
にα倍されて次回の張力偏差に加算される。
【0048】また同期をとって、下記式で計算される値
が重み係数23及び加算器24を通じてゲイン41に出
力される。 νK ・wK +νK-1 ・wK-1 +…+ν2 ・w2 +ν1 ・w1 これによって、位相を進ませた出力信号がゲイン41に
入力される。そして、値βが乗ぜられた離散値がホール
ダ25で連続値に変換されて、電流・トルク変換器12
に出力され、電流制御器13を通じてモータ16のトル
クが操作される。
【0049】ここで、モータ16の電流制御器13がデ
ジタル化されている場合は、ゲイン41からの離散値を
そのまま用いてもよく、この場合にはホールダ25は不
要となる。この場合は、ゲイン41の出力がそのまま電
流・トルク換算器12に入力されることになる。なお、
図5では、周期信号発生器100の次にゲイン41が位
置し、その次に位相進み要素11が配置されるのに対
し、図6では、位相進み要素11を周期信号発生器10
0と一体化させたため、ゲイン41がその後に位置して
いるが、効果は同一である。
【0050】次に、上述の特公平6−65412に記載
された従来技術と、本発明に基づく本実施形態との差異
を説明する。図4に示した特公平6−65412に記載
された従来技術では、繰り返しコントローラ110の出
力が、テンションコントローラ106に入力されてお
り、さらにその出力が電源制御系(電流制御系の誤りと
思われる)114に入力されている。電源制御系114
の出力は電機子電流Icであり、それに定数KF を乗じ
たものがモータ16の発生トルクとなる。発生した張力
Tは、テンションメータ111で測定され、張力実績値
Tと張力設定値TREF との偏差が繰り返しコントローラ
110に入力される。
【0051】この閉ループ中には、電源制御系114、
張力発生系、テンションメータ111のように応答遅れ
を持つ要素があり、高周波数域では位相に遅れが生じる
が、この閉ループ中には、この遅れを補償する要素は全
く含まれていない。逆に、テンションコントローラ10
6はPI制御器で構成されているので、位相遅れを拡大
する方向に作用する。一方、繰り返しコントローラ11
0のゲインは、リール2回転周波数の整数倍では無限大
となるから、位相の遅れた大きな操作量が制御系に加わ
ることになり、制御系は不安定化する。
【0052】図l0に、図5の本発明による張力制御系
を図4の従来技術と対比させる形で、出側リールに関す
る張力制御系についてブロック図として示す。符号11
は、位相進み要素であり、C(s)はその伝達関数であ
る。符号81は、モータ電流指令値iREF からモータト
ルクqまでの伝達関数であり、図1における電流・トル
ク換算器37、電流制御器38及びモータ32の特性を
まとめて一次遅れ系として近似したものであり、Tcは
その時定数、Kcはゲインを表す。符号82は、リール
31とモータ32などを含む回転系の運動方程式に相当
する伝達関数であり、モータトルクq及び張力による外
乱トルクqd の差が積分され、D/Jを乗じられること
によってリール周速となる。ここで、Dはリール31の
半径、Jは、リール31とモータ32などを含む回転系
の慣性モーメントを表す。符号83は、先進率を表し、
1十fは、圧延ロールの周速VR と、圧延機3の出側に
おける圧延材1の速度との違いを表す係数である。ま
た、符号84は、張力発生メカニズムを表しており、符
号82の出力であるリール周速と、符号83の出力であ
る圧延機出側における圧延材の速度の差が積分され、そ
れにE/Lを乗ずることによって張力σが得られる。こ
こで、Eは圧延材のヤング率、Lは、リール31と圧延
機3との間の圧延材1の長さを表す。
【0053】図4と図10を比較すれば明らかなよう
に、本実施形態の場合は、図5のように、テンションコ
ントローラ106に相当する要素は含まれていないた
め、元々位相遅れが小さいのに加えて、位相進み要素1
1を閉ループ中に組み込むことにより、閉ループ中の位
相遅れを補償し、制御系の安定化を図ることができる。
また、周期信号発生器100において、本願発明に基づ
く構成では、むだ時間要素10は前向き経路に挿入され
ており、これを利用して図5に示す例のように位相進み
要素11を容易に作り出すことができる。
【0054】例えば、シフトレジスタ22を用いた場合
には、上記説明したように、各段の出力に重み付けした
ものを加算することにより、位相進み要素11を構成す
ることができる。これに対して、特公平6−65412
の記載された従来技術では、むだ時間要素110Aが後
ろ向きのパス(帰還路)に挿入されているので、このむ
だ時間要素110Aの値を利用して位相進み要素11を
作り出すことはできない。
【0055】ここで、上記実施形態では、圧延機3入側
のリール2からコイルを巻き出す場合について説明した
が、出側リールで被圧延材を巻き取る場合の張力制御に
ついても、同様に適用できる。次に、第3実施形態につ
いて説明する。上記実施形態では、張力検出器5で測定
した張力実績値σを用いているが、それに代えて、請求
項4の発明に基づき、モータ16の電機子電流とリール
2の回転速度を用いて張力を推定し、その推定値を用い
るものである。
【0056】以下、その実施形態を、図7を参照しつつ
説明する。図7において、符号51は、電機子に印加さ
れた電圧ea から電機子電流iaまでの伝達関数を表
し、rは電機子の抵抗、Lは電機子のインダクタンスを
それぞれ表す。KT は、電流・トルク変換係数であり、
a にKT を乗じて得られるqがモータ16が発生する
トルクになる。一方、単位断面積あたりの張力(単位張
力)σに板幅W、板厚H、及びリール半径Rを乗じたも
のが張力による外乱トルクqdとなる。モータ16の発
生するトルクqと外乱トルクqd の差が、リール2を回
転させるトルクとなり、モータ16、リール2などを含
む回転系の慣性モーメントをJとすれば、リール2の回
転速度はωで与えられる。
【0057】Kvは、逆起電力係数であり、外乱トルク
が変化して回転速度ωが変化した場合、これを通じてフ
ィードバックがかかり、電機子電流ia が変化する。張
力推定器52は、電流・トルク変換器12、回転系の逆
モデル53、低域通過フィルタ54及び単位張力ヘの換
算器55と減算器56から構成されている。その張力推
定器52には、モータ16の電機子電流iaとリール2
の回転速度ωが入力され、張力推定値σ′が出力され
る。上記電流・トルク変換器12には電機子電流iaが
入力され、モータ発生トルク推定値q′が出力される。
これと、回転系の逆モデル52にリール回転速度ωを入
力したものとの差が張力による外乱トルクの成分であ
り、これを低域通過フィルタ54に入力することにより
ノイズ成分が除かれ、張力による外乱トルク推定値
d ′を得る。ここで、Tは、低域通過フィルタ55の
時定数である。
【0058】さらに、これを単位張力への換算器55に
入力することにより、単位張力の推定値σ′を得ること
ができる。このようにして得られた張力推定値σ′を、
張力検出器5による測定値に代えて用いることができ
る。このような張力推定値σ′を用いる場合は、張力検
出器5が不要になるメリットがある。但し、張力推定の
過程でモータ16の電機子電流ia を用いているため、
張力検出器5を用いる場合にはなかったフィードバック
ループが構成される。そのため、張力検出器5を用いる
場合に比べてゲインが上げられなくなるデメリットがあ
る。
【0059】次に、第4実施形態を図面を参照しつつ説
明する。これは、請求項7に基づくものであり、図11
に示すように、被圧延材1(帯状材)は入側リール2か
ら巻き出され、圧延機3によって圧延され、不図示の出
側リールに巻き取られる構成となっている。圧延機3の
ロール速度はロール回転速度制御系(図示せず)により
所定の値に保たれている。符号4は、デフレクタロール
を示す。符号5は、張力検出器であり、デフレクタロー
ル4の荷重を測定することによってリール2と圧延機3
との間での被圧延材1の張力を検出する。減算器7は、
張力設定器6からの張力設定値σREF と張力検出器5か
らの張力実績値σの偏差(張力偏差)eを求め、張力メ
モリ30に出力する。
【0060】張力メモリ30には、現時点よりリール回
転で1周期前のトルク演算値(位相補正前のトルク指令
値)に現時点より1周期前の張力偏差を加算したものが
1周期前の演算記憶値として記憶されており、当該張力
メモリ30は、その1周期前の演算記憶値を取り出し、
その値を現時点でのトルク演算値としてゲイン41に出
力するとともに、現時点での張力偏差を上記トルク演算
値に加算したものを現時点の演算記憶値として記憶す
る。
【0061】ゲイン41では、上記トルク指令値にゲイ
ンβが乗じられて位相進み要素11に送られる。上記ゲ
イン41の値βは、0<β≦1の範囲の一定値に設定さ
れている。位相進み要素11の出力(トルク指令値)は
電流・トルク換算器12で電流指令値に変換され、電流
制御系13に与えられる。電流制御系13は、与えられ
た電流指令値にリールモータ16の電機子電流を制御す
る。このようにして求められた電流指令値は、リール回
転に同期した周期的な張力変動を相殺するのに必要なト
ルクに相当するものとなっており、張力変動は打ち消さ
れる。
【0062】本実施形態において、上記張力メモリ30
は、第1実施形態における周期関数発生器に相当し、ゲ
イン41を含めた伝達関数、すなわち張力メモリ30の
入側から、ゲイン41の出側までの伝達関数Gは、 β・exp(−Ls) G=────────────── ・・・(5) 1−exp(−Ls) となる。
【0063】ここで、Lはリール2の回転周期、βはゲ
イン41の値である。伝達関数Gは、回転周期に相当す
る周波数の整数倍の周波数では、ゲインが無限大とな
る。電流制御系、張力発生系、張力検出器の応答性は有
限であり、高周波数で位相が遅れるのは不可避である。
したがって、この位相遅れを補償しなければ、安定な制
御は達成できない。位相進み要素11は、これを補償す
るものであり、安定な制御系を構成するための不可欠な
要素である。また、ゲインβの値を1より小さい値とし
た場合も、同様にループゲインを下げることができ、安
定化のために用いることができる。
【0064】次に、上記張力メモリ30及び位相進み要
素11の具体的な構成例を示す第5実施形態を説明す
る。これは、主に請求項10に記載の発明に基づくもの
であり、張力メモリ30を用いて周期関数発生器(張図
5の符号100に相当)及び位相進み要素11を効率的
に構成したものである。以下、N=12としてリール1
回転を12分割し、1/12回転を制御周期として制御
を行う場合を例に説明する。図12がその構成を示す図
である。
【0065】符号17はリール回転角度検出器であり、
リール2が1/12回転するごとにクロックパルスを発
生させ、タイミング・コントローラ26に送る。タイミ
ングコントローラ26は、制御周期ごとにサンプラ2
1、並びにゲイン等設定手段44を介して張力メモリ要
素42及び切換器43にタイミング信号を送る。ここ
で、張力メモリ要素42及び切換器43は、上述の張力
メモリ30及び位相進み要素11を構成する。
【0066】張力検出器5は、デフレクタロール4の荷
重を検出することにより、被圧延材1のリール2と圧延
機3の間の張力を測定する。張力検出器5から出力され
る張力実績値σはサンプラ21において、タイミング・
コントローラ26からのタイミング信号に同期してサン
プリングされ、張力設定器6から出力された張力設定値
σREF とともに減算器7に入力される。減算器7の出力
である張力偏差eは、張力メモリ要素42に送られる。
【0067】上記張力メモリ要素42は、同一機能を持
つものが12個並列に配置され、それぞれ所定のリール
回転角度である設定回転角度0°、30°、…、330
°に対応づけられている。また、タイミング・コントロ
ーラ26から、現時点のリール回転角度に対応したタイ
ミング信号が、ゲイン等設定手段44を介して張力メモ
リ要素42に送られ、各制御タイミングでは、その角度
に対応した1個の張力メモリ要素だけが、ゲイン等設定
手段からの指令に基づき下記式で定められた制御動作を
行い、自己の出力値を変更する(トルク演算値更新手
段)。
【0068】vi+1 = vi +ei ここで、vi+1 ,vi はそれぞれi+1、i回転目にお
ける張力メモリ要素42の出力値、ei はi回転目にお
ける張力偏差を表す。各張力メモリ要素42の出力は、
それぞれに対応する切換器43に入力される。切換器4
3は、同一機能を持つものが12個並列に配置され、そ
れぞれ張力メモリ要素42と対応して所定のリール回転
角度である設定回転角度0°、30°、…、330°に
対応づけられている。
【0069】切換器43は、リール回転角度検出器17
から送られる現在のリール回転角度θ゜に基づき、予め
定められたルールに基づいて、対応する張力メモリ要素
42の出力値に予め定められたゲインを乗じて出力する
か、あるいは0(ゼロ)を出力する。各切換器43の出
力は、加算器24で加算される。上記ルールは、ゲイン
等設定手段44から各切換器43に供給されるゲイン情
報やタイミング信号などによって制御される。
【0070】上記ゲイン等設定手段44によって制御さ
れる切換器43のルールの一例として、現在のリール回
転角度θ゜に対して、1又は2以上の所定の設定回転角
度(θ+30×n)゜(n=0、1、…、11)に対応
する切換器43だけがそれに対応する張力メモリ要素4
2の値を出力し、それ以外の切換器は0を出力するよう
なルールを用いる場合について、次に説明する。
【0071】n=0とすれば、現在のリール回転角度θ
゜に対応する張力メモリ要素42の値が加算器24から
そのまま出力される。つまり、リール回転で1周期前の
演算記憶値(トルク演算値)に基づき現時点のトルク指
令値が求められる。また、nを1以上の値に設定するこ
とにより、位相進み要素の効果を持たせることができ
る。例えば、n=1とすれば、現在のリール回転角度θ
゜に対して、(θ+30)゜に対応する張力メモリ要素
42の出力が加算器24から出力されるから、30°位
相を進めたことになる。n=2、3の場合は、同様に、
60°、90°位相を進めることができる。
【0072】また、(θ+30×n)゜(n=0、1、
…、11)のうちの複数個の切換器43を選択、つまり
複数個の設定回転角度を選択してトルク指令値を求める
ルールを採用すると、選択された複数の切換器43で、
張力メモリ要素42の値にゲイン等設定手段から供給さ
れたゲインを乗じて出力され、これによって位相進み要
素11を構成することができる。切換器43に設定する
ゲインによって、差分の効果による位相進みや平滑化の
効果を持たせることができる。
【0073】なお、上記ゲインは、個々の切換器43に
対して固定的に設定されたものではなく、(θ−30×
n)゜(n=0、1、…、11)のうちの選択された切
換器43に対して設定するものである。例えば各ゲイン
は設定回転角度単位に決定されていて、現時点のリール
角度からの各設定回転角度に対応する切換器43に当該
設定回転角度に対応するゲインを供給し、現在のリール
回転角度θ゜が変化すれば、個々の切換器43に供給さ
れるゲインも変化する。
【0074】以上のように、図12に示す構成では、切
換器43を利用し且つその切換ルールを設定することに
より、位相進み要素11を構成している。上記加算器2
4からの信号は、ホールダ25に送られる。ホールダ2
5は、制御周期に同期して位相進み要素11の出力値を
ホールドし、連続値にするためのものである。もし、モ
ータの電流制御器がデジタル化されている場合は、その
まま離散値を用いてもよく、ホールダ25は不要とな
る。このようにして、ホールダ25、あるいは加算器2
4の出力から、図11における電流・トルク換算器12
への入力が得られる。
【0075】ここで、上記一群の切換器43から電流・
トルク換算器12までの各要素で、電流指令値設定手段
が構成される。また、図12の構成では、張力メモリ要
素42には、現時点より1周期前のトルク演算値に、現
時点より1周期前の張力偏差を加算した演算記憶値が記
憶されており、それを取り出して現時点でのトルク指令
値を求めている。これは、伝達関数でいえば上述の
(5)式のようになり、ブロック図でいえば図13のよ
うにリール回転で1周期に対応するむだ時間要素を前向
き経路に挿入することに相当する。
【0076】このように、切換器43を用いて現時点で
のトルク指令値を取り出す際に、この前向き経路のむだ
時間を利用して、1周期前よりも早めの張力メモリ要素
42の値を読み出すことにより、位相進み要素を容易に
作り出すことができる。これに対して特公平6−654
12の記載された従来技術では、むだ時間要素が後ろ向
きのパスに挿入されているため、このむだ時間要素を利
用して位相進み要素を作り出すことはできない。
【0077】ここで、本実施形態では、張力検出器5で
測定した張力実績値を用いているが、第3実施形態のよ
うに、モータ16の電機子電流とリール2の回転速度を
用いて張力を推定しても良い。また、上記ゲイン等設定
手段44に対して、現時点のリールの回転速度に基づき
各切換器43に供給するゲイン値を変更するゲイン変更
手段や、現時点のリールの回転速度に基づき選択する設
定回転角度つまり選択する切換器43を変更する角度変
更手段を設けても良い。この場合には、張力制御が、圧
延速度変化や圧延中のリール径変化に対応可能となり、
より効果的に張力の周期変動を抑制可能となる。
【0078】また、本発明は、上記全実施形態のように
可逆式圧延機におけるリール2と圧延機3との間の張力
制御だけでなく、他の圧延ラインで、同様にリール2か
らの巻き取り、巻き出しを行う際にも同様に適用でき
る。また、リールと圧延機との間の被圧延材の張力制御
に限らず、リールに巻かれた帯状材料の巻き取り及び巻
き出し時の当該帯状材に生じるリール回転に同期した張
力変動を防止することに広く適用することができる。
【0079】
【実施例】図8に、特公平6−65412に記載された
従来技術(図4の構成)の結果を、また、図9に、第2
実施形態に基づく上記シフトレジスタ22を使用した場
合の上記実施形態の構成(図6の構成)の結果を示す。
ここで、図9(a)は、図3の位相進み要素11の重付
け要素23のうち第11段に対応する重み係数w3 だけ
1とし、それ以外の重み係数を0とした場合であり、
(b)は、第10段に対応する重み係数w4 を2、第1
1段に対応する重み係数w3 を−1とし、それ以外の重
み係数を0とした場合である。但し、値α及び値βの値
はいずれも1としている。即ち、フィードバックゲイン
9及びゲイン41を省略した構成で示している。
【0080】また、圧延速度を200mpm、リール半
経を330mmとし、±1mmのリール回転周波数の正
弦波状偏芯を与えている。従来技術による張力制御で
は、図8に示すように、制御系が不安定になり、張力が
発散することが分かる。これに対し、本発明による張力
制御方法では、図9の(a)、(b)に示すように、張
力が収束することが分かる。(b)の場合、制御開始か
ら6秒後には張力変動が、ほぼ完全に抑制されており、
(a)に比べて収束が速い。これは、(b)の位相進み
要素11の方が、位相進みの効果が大きいためである。
必要であれば、さらに前段のシフトレジスタ22の要素
の出力値を用いたり、その重みを調整したりすることに
より、さらに大きな位相進み効果を得ることもできる。
【0081】次に、図12の構成による第4実施形態に
基づく張力制御のシミュレーション結果を、図14に示
す。なお、図14(a)は、図12の切換器43のゲイ
ンを90°に対応するものだけ1とし、それ以外を0と
した場合、(b)は、120°に対応するものを2に、
90°に対応するものを−1に、それ以外を0とした場
合である。なお、ゲインβの値はいずれも1としてい
る。
【0082】この場合も、(a)、(b)ともに張力が
収束しており、制御効果は図9と同等である。また、
(b)の場合には、制御開始から6秒後には張力変動
が、ほぼ完全に抑制されており、(a)に比べて収束が
速い。これは、(b)の切換器のゲインの方が、位相進
みの効果が入きいためである。必要であれば、さらに位
相の進んだ張力メモリ要素の出力値が用いられるように
切換器の切換ルールを設定したり、そのゲインを調整し
たりすることにより、さらに大きな位相進み効果を得る
こともできる。
【0083】次に、圧延速度変化や圧延中のリール径変
化に対応するために、図12における切換器43の切換
ルール(供給されるゲインの値)をリール回転速度によ
って変更するようにした例を説明する。図15に、その
シミュレーション例を示す。図15(a)は圧延速度の
時間変化を表しており、シミュレーション開始から20
秒後に圧延機入側の板速度が分速200mから100m
に10秒間かけて減速されている。そのとき、リール半
径は(b)、リール回転数は(c)のように変化する。
(d)は、図12における切換器43のゲインを固定値
とした場合であり、20秒後からの速度変化による張力
変動がいったん収束した後、35秒後位から張力が振動
的になり発散している。
【0084】これに対し、切換器43のゲインをリール
回転数(c)の関数として、図16に示すように変更す
ると、図15(e)に示すように、20秒後からの速度
変化により張力が変動するが、その後完全に収束してい
る。これは、圧延速度やリール径が変化すると、リール
モータ16の発生するトルクから張力までの周波数特性
が変化するためである。
【0085】図16では、現在のリール角度に対して、
30°進んだ(θ+30)゜と、60°進んだ(θ十6
0)゜の2つの切換器43での係数の値(ゲイン)を変
化させている。リールが低速回転している場合は、リー
ルモータ16の発生するトルクから張力までの周波数特
性が高周波数域でピークを持つため、50rpm 以下で
は、2つの係数をともに0.1として高周波数域でのゲ
インを下げて対処している。また、リールの回転が高速
になると、逆に高周波域でのゲインが低下するため、7
5rpm 以上では、60°進み×0.6−30°進み×
0.3として差分の効果で高周波域のゲインを上げてい
る。50rpm から75rpm の区間では、両者を折線で結
んで、係数がゆるやかに変化するようにしている。これ
によって、圧延中に圧延速度やリール径が変化しても、
常に適切なゲインと位相進みを制御系に与えることがで
き、リール偏芯に起因する周期的な張力変動の抑制を安
定に行うことができる。
【0086】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によ
り、リールと圧延機の間の被圧延材のリール回転に同期
した張力変動を、制御系を不安定化させることなく除去
することができ、張力変動に起因する板厚変動を防止す
ることができる。このとき、請求項2又は請求項3に記
載の発明を採用すると、より大きな制御系の安定化効果
を得ることができる。
【0087】また、請求項6の発明を採用すると、上記
シフトレジスタを通じて、周期信号発生器と位相進み要
素とが一体化して、両者を独立して設けた場合には得ら
れない大きな進み効果を得ることが可能となる。このと
き、請求項8または9に記載の発明を採用すると、より
大きな制御系の安定効果を得ることができる。
【0088】また、請求項10または11の発明を実施
すると、効果的に位相進み要素を構成することができる
と共に、制御系の安定化効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の一般的な張力制御系の例を示すブロック
線図である。
【図2】従来の一般的なモータ電流制御系の例を示すブ
ロック図である。
【図3】従来の一般的な張力実績値のフィードバックに
よる張力制御系の例を示すブロック線図である。
【図4】従来の繰り返しコントローラを用いた張力制御
系の例を示すブロック図である。
【図5】本発明による張力制御装置の第1実施形態の構
成を示すブロック線図である。
【図6】本発明による張力制御装置の第2実施形態の構
成を示すブロック線図である。
【図7】本発明による張力制御装置における張力推定器
の実施形態の構成を示すブロック線図である。
【図8】従来技術による張力制御のシミュレーション結
果の一例を示す線図である。
【図9】本発明に基づく張力制御のシミュレーション結
果の一例を示す線図である。
【図10】張力制御系についてのブロック図である。
【図11】本発明による張力制御装置の第4実施形態の
構成を示すブロック線図である。
【図12】張力メモリ及び位相進み要素の構成例を示す
図である。
【図13】第4実施形態における張力制御系についての
ブロック図である。
【図14】第4実施形態に基づく張力制御のシミュレー
ション結果の一例を示す図である。
【図15】第4実施形態に基づく張力制御のシミュレー
ション結果の一例を示す図である。
【図16】切換器のゲインとリール回転数との関係を示
す図である。
【符号の説明】
1 被圧延材 2,31 リール 3 圧延機 4,33 デフレクタロール 5,34 張力検出器 6 張力設定器 7 減算器 8 加算器 9 フィードバックゲイン 10 むだ時間要素 11 位相進み要素 12,37 電流・トルク換算器 13,38 モータ電流制御器 16,32 モータ 17 リール回転角度検出器 21 サンプラ 22 シフトレジスタ 23 位相進みフィル夕の重み係数 24 加算器 25 ホールダ 26 タイミングコントローラ 30 張力メモリ 41 ゲイン 42 張力メモリ要素 43 切換器 44 ゲイン等設定手段 51 電機子電圧から電機子電流までの伝達関数 52 張力推定器 53 回転系の逆モデル 54 低域通過フィル夕 55 単位張力への換算器 56 減算器 62 減算器 71,72 張力制御器 100 周期信号発生器 106 テンションコントローラ 110 繰り返しコントローラ 111 テンションメータ 114 電源制御系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G05D 17/02 B65H 23/185 Z H02P 7/00 B21B 37/00 BBL // B65H 23/185 128Z (72)発明者 小廣 善丈 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 後藤 貴敏 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リールから巻き戻す帯状材またはリール
    に巻き取られる帯状材の張力を、上記リールを回転駆動
    するモータのトルクで操作する張力制御方法であって、 上記帯状材の張力実績値と張力設定値との偏差を、リー
    ル回転の1周期分遅らせるむだ時間要素に入力し、その
    むだ時間要素の出力を、当該むだ時間要素の入力に正帰
    還すると共に位相進み要素に入力し、その位相進み要素
    の出力に基づき上記モータのトルクを調整することを特
    徴とする帯状材の張力制御方法。
  2. 【請求項2】 上記むだ時間要素の出力からの正帰還
    に、値が1より小さい正値のフィードバックゲインを挿
    入することを特徴とする請求項1に記載した帯状材の張
    力制御方法。
  3. 【請求項3】 上記位相進み要素と直列に、値が1より
    小さい正値のゲインを挿入することを特徴とする請求項
    1又は請求項2に記載した帯状材の張力制御方法。
  4. 【請求項4】 上記モータの電機子電流および上記リー
    ルの回転速度に基づき、上記張力実績値を推定すること
    を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載した
    帯状材の張力制御方法。
  5. 【請求項5】 帯状材をリールから巻き戻し又はリール
    に巻き取る際に、リールを回転駆動するモータの発生す
    るトルクを電流指令値として入力し、モータの電機子電
    流を電流指令値に制御する張力制御装置であって、 上記帯状材の張力を検出する張力検出器と、 上記リールの回転角度を検出するリール回転角度検出器
    と、 上記リール回転角度検出器及び張力検出器の検出信号に
    基づき、リール角度が予め定められた所定角度だけ回転
    する毎に、上記張力検出器の検出信号による張力実績値
    と張力設定値との偏差を出力する偏差出力手段と、 上記偏差を入力しリール回転の1周期分遅らせて出力す
    るむだ時間要素を備えると共に、そのむだ時間要素の出
    力を当該むだ時間要素の入力に正帰還することで周期信
    号を発生する周期信号発生器と、 上記周期信号発生器の発生する周期信号の位相を進ませ
    て出力する位相進み要素と、を備えることを特徴とする
    張力制御装置。
  6. 【請求項6】 2以上の整数個の段数を持つシフトレジ
    スタを設け、該シフトレジスタを、上記リール回転角度
    検出器の検出信号に基づき、リールの1回転を(上記シ
    フトレジスタの段数−1)で除した角度だけ当該リール
    が回転するごとに、上記シフトレジスタの各段の値を、
    それぞれ同期をとって一つ下流側の段にシフト可能に構
    成し、 上記周期信号発生器を、上記シフトレジスタの最終段か
    らの出力に1以下の正数値を乗じて当該シフトレジスタ
    の1段目への入力に加算する構成とし、 上記位相進み要素を、上記シフトレジスタの各段のう
    ち、少なくとも1つの段の出力に所定の重み係数を乗じ
    た後の値を加算して出力することにより構成することを
    特徴とする請求項5に記載した張力制御装置。
  7. 【請求項7】 リールから巻き戻す帯状材またはリール
    に巻き取られる帯状材の張力を、上記リールを回転駆動
    するモータのトルクで操作し、そのモータのトルクをト
    ルク指令値に基づき調整する張力制御方法であって、 リール回転で1周期前のトルク演算値に、リール回転で
    1周期前の張力実績値と張力設定値との偏差を加算して
    求まる現時点のトルク演算値を位相進み要素に入力し、
    その位相進み要素の出力に基づいて現時点のトルク指令
    値を決定することを特徴とする帯状材の張力制御方法。
  8. 【請求項8】 リールから巻き戻す帯状材またはリール
    に巻き取られる帯状材の張力を、上記リールを回転駆動
    するモータのトルクで操作し、そのモータのトルクをト
    ルク指令値に基づき調整する張力制御方法であって、 1周期以内の所定リール回転角度を設定回転角度として
    一つ以上設定しておき、現時点から設定回転角度に相当
    する分だけ遡った時点でのトルク演算値に該遡った時点
    での張力実績値と張力設定値との偏差を加算した加算値
    を、上記一つ以上の設定回転角度の一部又は全部につい
    てそれぞれ求め、その求めた各加算値にそれぞれ予め定
    めたゲインを乗じた後に当該各加算値を加算して得られ
    る値に基づき現時点のトルク指令値を決定すると共に、 リール回転で1周期前のトルク演算値に、リール回転で
    1周期前の張力実績値と張力設定値との偏差を加算した
    値を現時点のトルク演算値とすることを特徴とする帯状
    材の張力制御方法。
  9. 【請求項9】 使用する上記設定回転角度、及び上記加
    算値に乗じるゲインのうち少なくとも一方を、現時点の
    リール回転速度によって変更することを特徴とする請求
    項8に記載した帯状材の張力制御方法。
  10. 【請求項10】 帯状材をリールから巻き戻し又はリー
    ルに巻き取る際に、リールを回転駆動するモータが発生
    するトルクを電流指令値として入力し、その電流指令値
    にモータの電機子電流を制御する張力制御装置であっ
    て、 上記帯状材の張力を検出する張力検出器と、 上記リールの回転角度を検出するリール回転角度検出器
    と、 予め定められた正整数Nで360度を除した角度のn倍
    (n=0、1、2、…、N−1)の角度に対応させたN
    個のメモリと、 上記リール回転角度検出器及び張力検出器の検出信号に
    基づき、リールが(360/N)度だけ回転するごと
    に、上記N個のメモリのうち現時点のリール回転角度に
    対応するメモリの値に現時点の張力実績値と張力設定値
    との偏差を加算して当該メモリの値を更新するトルク演
    算値更新手段と、 1周期以内の所定リール回転角度を設定回転角度として
    一つ以上設定されると共に、現時点より各設定回転角度
    だけ遡ったリール角度に対応する各メモリの値にそれぞ
    れ予め定められたゲインを個々に乗じた後の値を加算し
    て得られる値に基づき上記電流指令値を求める電流指令
    値演算手段と、 を備えることを特徴とする帯状材の張力制御装置。
  11. 【請求項11】 上記電流指令値演算手段は、設定回転
    角度を現時点におけるリール回転速度によって変更する
    角度変更手段、およびメモリの値に乗じるゲインをリー
    ル回転速度によって変更するゲイン変更手段のうち、少
    なくとも一方の手段を備えることを特徴とする請求項1
    0に記載した帯状材の張力制御装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103170524A (zh) * 2013-03-18 2013-06-26 中冶南方(武汉)自动化有限公司 冷连轧生产线转盘式高速卷取机控制方法及系统
JP2014094395A (ja) * 2012-11-09 2014-05-22 Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial System Corp 張力制御システム
JP2015036150A (ja) * 2013-08-12 2015-02-23 株式会社日立製作所 圧延制御装置、圧延制御方法および圧延制御プログラム
CN111378915A (zh) * 2020-03-09 2020-07-07 包头钢铁(集团)有限责任公司 一种改善镀锌机组立式活套张力控制精度方法
CN114367543A (zh) * 2021-12-13 2022-04-19 首钢京唐钢铁联合有限责任公司 一种带钢平整轧制控制方法、装置以及设备

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