JPH11284510A - 信号処理装置または信号測定装置 - Google Patents

信号処理装置または信号測定装置

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JPH11284510A
JPH11284510A JP10103319A JP10331998A JPH11284510A JP H11284510 A JPH11284510 A JP H11284510A JP 10103319 A JP10103319 A JP 10103319A JP 10331998 A JP10331998 A JP 10331998A JP H11284510 A JPH11284510 A JP H11284510A
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JP
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signal
frequency
digital
input
integrator
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JP10103319A
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English (en)
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Hiromichi Tomura
宏通 戸村
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Original Assignee
NF Corp
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  • Measurement Of Resistance Or Impedance (AREA)
  • Analogue/Digital Conversion (AREA)
  • Control Of Amplification And Gain Control (AREA)
  • Monitoring And Testing Of Transmission In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】アンチエイリアスフィルタが不要で構成が簡素
化された信号処理装置及び測定装置を提供する。 【解決手段】積分手段(4)で入力信号を積分し、アナ
ログ・デジタル変換手段(5)でデジタルデータに変換
した後、微分手段により変換されたデジタルデータに対
して微分処理を施す。この微分処理された信号に対して
所定のデジタル演算を施す。また、測定対象に入力信号
を供給したときの上記微分処理された信号に基づいて測
定対象の所定の特性を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、信号処理装置また
は信号測定装置に関し、特に構成を簡易化した信号処理
装置または信号測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子回路等の測定対象の伝達特性を測定
するため、測定対象に印加する信号の周波数を掃引して
その伝達特性を調べるトラッキング方式と呼ばれる測定
方法が使用されている。図4には、従来のこの種の測定
装置の一例が示されている。測定対象からの信号がアナ
ログ・デジタル変換器(以下、AD変換器と略記する)
でデジタル信号に変換されて主要な測定処理をデジタル
的に行なわれる。
【0003】図4に示す測定装置は、測定対象1の周波
数特性をデシベル比で測定するもので、測定対象(DU
T)1は、例えば、増幅器やフィルタである。DUT1
の入力(IN)には、掃引発振器2から正弦波信号(ei
n)が印加されている。この入力に印加された正弦波信
号に対してDUT1の出力(OUT)は、その周波数特性
に応じた信号(eout)を出力する。従って、この測定
対象1の周波数特性Fをデシベル比で求めるには、基準
周波数(例えば、1kHz)での信号レベルを0dBと
し、掃引発振器2の発生周波数を変化させて、それぞれ
の周波数に対して基準周波数の信号レベルに対するデシ
ベル比を算出する。
【0004】測定対象1の出力信号(eout)は、測定
装置300の入力端子(SIG-IN)を経由して信号の振幅
を調整する利得調整器3に入力され、適切な信号振幅に
設定される。この出力は、オペアンプ等で構成される前
置アンプ10に供給され、所定の信号レベルにまで増幅
された後、アンチエイリアスフィルタ20に入力され
る。アンチエイリアスフィルタ20は、サンプリングに
おける折り返し歪を防止するためのものであり、サンプ
リング定理の要請に基づき、入力信号成分のうち「サン
プリング周波数/2」、すなわちナイキスト周波数以上
の周波数成分を阻止する機能をもち、その遮断特性は急
峻(例えば100dB/oct)である。
【0005】アンチエイリアスフィルタ20の出力は、
AD変換器5に入力され、デジタル信号に変換される。
AD変換器5のデジタル信号出力(b)と、測定対象1
の出力信号(eout)とは、アナログ信号とデジタル信
号との違い及びデジタル信号は出力帯域制限を受けてい
るとの違いはあるが相似形である。従って、このAD変
換器5の出力信号のデジタル値は、測定対象1の出力
(eout)と等価であるとみなしてよい。そこで、この
AD変換器5の出力信号のデジタル値を、基準周波数の
信号レベルを0dBとして、周波数の信号レベルとの比
率を演算部7で計算することにより、測定対象1の周波
数特性が得られる。演算部7の結果は、表示部8に送出
され、LED表示器や液晶表示器により伝達特性の値が
表示される。制御部9は、以上の各部のコントロールを
行う部分であり、CPU制御により各種の制御を行って
いる。
【0006】また、図5には図4に示すような掃引発振
器2を使用しない通常の測定装置の構成例が示されてい
る。この例では、測定対象1は本装置400からは駆動
されず測定対象自ら信号を発生するか(発振器等)、あ
るいは他の装置から駆動信号を受け、これに応答して出
力を発生する。この場合の動作は、掃引発生器2がない
だけで、他の動作は図4と同じである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述従
来の測定装置には次のような問題がある。すなわち、図
4に示す周波数特性測定装置は、内部の信号処理がデジ
タル的に行なわれるため入力信号をデジタル化する必要
があるが、その際にサンプリング定理を満足させるため
アンチエイリアスフィルタ20が必須であった。これは
サンプリング定理を満足しない場合サンプリング後に折
り返し歪が発生してデータの信頼性が損なわれるからで
ある。この折り返し歪みは、一旦デジタル信号に変換し
た後では取り除くことは不可能である。
【0008】ところが、このアンチエイリアスフィルタ
20の特性はオクターブ当たり100dB程度以上の性
能という非常に厳しい仕様が要求され、その設計製造に
は高度の技術が必要である。そして実際にこのフィルタ
を製作したとしても経年変化によりその初期性能を維持
することは非常に困難であるのが実状である。同様なア
ンチェイリアスフィルタに関する問題は、図5に示す測
定装置にもある。
【0009】また、図4と図5に示す測定装置では、A
D変換器のサンプリング周波数が非常に高ければ入力信
号の形状を隅々まで忠実にサンプリングできるため問題
はないが、AD変換器のサンプリング周波数をあまり高
く出来ない場合(数倍程度)には問題が発生する。すな
わち、入力信号の1周期を数点しかサンプルできないた
め測定データに誤差が発生する。更に悪いことにはキャ
リア周波数とAD変換器のサンプリングのタイミングは
一般には同期していないため、密な周期的波形同士をわ
ずかにずらして重ね合わせたときに粗い波形が現れる現
象、いってみれば光学の世界でいうところの「モアレ」
が生じるため正しい測定結果が得られない。
【0010】そこで、本発明の目的は、このアンチエイ
リアスフィルタを不要、あるいは簡単なフィルタで済ま
すことができる信号処理装置及び測定装置を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、本発明によるデジタル信号処理装置及び測定装置
は、次のような特徴的構成を採用している。
【0012】(1)入力信号を受け、この入力信号を時
間的に連続して積分する積分手段と、前記積分手段の出
力をデジタルデータに変換するアナログ・デジタル変換
手段と、前記変換されたデジタルデータに対して微分処
理を施す微分手段と、前記微分処理された信号に対して
所定の処理を施すデジタル演算手段と、を備えて成る信
号処理装置。
【0013】(2)測定対象に入力信号を供給する信号
発生手段と、前記入力信号に応答して前記測定対象から
出力される出力信号を積分する積分手段と、前記積分手
段の出力をデジタルデータに変換するアナログ・デジタ
ル変換手段と、前記変換されたデジタル・データに対し
て微分処理を施す微分手段と、前記微分処理された信号
に基づいて前記測定対象の所定の特性を測定する測定手
段と、を備えて成る信号測定装置。
【0014】(3)前記積分手段または前記微分手段の
特性を調整するパラメータを変更するパラメータ変更手
段を有する(1)または(2)の信号処理装置または信
号測定装置。
【0015】(4)前記積分器への入力レベルを調整す
るレベル調整器を設け、該レベル調整器により入力の交
流電圧又は電流の大きさに応じて自動又は手動でそのパ
ラメータを変化する(1)〜(3)のいずれかの信号処
理装置または信号測定装置。
【0016】(5)前記アナログ・デジタル変換器のサ
ンプリングパルスの周期は、前記入力信号の周期の値と
サンプル数とに基づいて決定される(1)または(2)
の信号処理装置または信号測定装置。
【0017】(6)前記測定装置の測定系の特性を変更
する変更手段を有する(2)の信号測定装置。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明による信号処理装置
及び測定装置の実施形態について図面を参照しながら説
明する。本発明は、測定対象からの信号をアナログ・デ
ジタル変換する前に積分し、その後に数値微分すること
が重要な特徴であり、その原理は次の通りである。今、
信号電圧をv(t)とし、これを積分すると
【数1】 となる。次に、このV(t)を微分すると、
【数2】 となり元の信号電圧v(t)に戻る。
【0019】本発明の原理を更に説明すると、デジタル
演算により信号処理を行ないたいが、サンプリング周波
数を信号帯域に比べて充分大きくできない場合には、通
常は急峻な特性のアンチェイリス・フィルタが必要とな
る。
【0020】本発明は、アンチェイリス・フィルタとし
て積分器を用いる。積分器を用いるメリットは、その減
衰特性は−6dB/octで急峻ではないが、その特性
が安定で、且つ安価であるためである。このように、積
分器を用いると、サンプリング周波数の1/2、すなわ
ちナイキスト周波数付近での減衰特性は必ずしも大きく
はないので、測定性能は低下する。そこで、デジタル処
理側で微分処理を行なうことにより上記の性能劣化を補
う。
【0021】すなわち、積分器出力をAD変換してデジ
タル値とし、このデジタル値について微分操作(6dB
/octの周波数特性)を行なうことにより、測定装置
の周波数特性は上記積分器のもつ−6dB/octの特
性を打ち消して平坦になる。しかも、デジタル微分の性
質から周波数特性はナイキスト周波数以上の減衰が大き
くなるので、装置全体としてのアンチェイリス効果は大
となる。このように、本発明では、ナイキスト周波数近
傍以上ではトータルな伝達特性は減衰するので、(積分
+デジタル微分)による信号処理によりサンプリングに
伴なう新たな問題は生じない。
【0022】ここで、本発明の有益性を周波数領域上で
説明する。今、入力信号としてデューティが50%の矩
形波を考えると、基本波の大きさ1に対し、高調波の大
きさは1/3,1/5,1/7…というように、減衰し
て行き、結局、高調波の次数をnとすると、1/nの割
合で減衰していく。すなわち、20dB/decで減衰
する。ここで、「dB/dec」は周波数が10倍変化
したとき何dB変化したかを示す。
【0023】今、高調波のレベルが−60dB以下であ
れば、折り返し歪の影響を無視できると仮定する。そし
て、高調波の大きさが−60dB(つまり、基本波の大
きさの1/1000)のレベルになる周波数を求める
と、周波数が10倍で−20dBの減衰、100倍で−
40dBの減衰、そして1000倍で−60dBとな
る。すなわち、矩形波の場合には、基本波の周波数から
1000倍以上離れたところであれば高調波の大きさは
−60dB以下になることがわかる。
【0024】この矩形波をアンチェイリアスフィルタな
しで問題なくサンプリングするには、矩形波の基本周波
数の1000倍の周波数をナイキスト周波数と見ればよ
いので、サンプリング定理より必要なAD変換器のサン
プリング周波数はナイキスト周波数の倍、すなわち、矩
形波の基本周波数の2000倍が必要となる。
【0025】一例を示すと、矩形波の基本周波数が1k
Hzであれば、AD変換器のサンプリング周波数は上記
の結果から、その基本周波数の2000倍、つまり、2
MHz(=500ns)で動作する必要がある。このサ
ンプリング周波数であれば前述の仮定を考慮すれば、A
D変換器の前にアンチェイリアスフィルタを用いなくと
も折り返し歪みは無視できる。しかし、これはかなり高
速のAD変換器の部類に属し、価格も高価である。ま
た、処理すべきデータ数の増加により、処理に長時間を
要するという問題がある。
【0026】次に、信号である前記矩形波を積分器に通
した場合を考える。すると、積分器の周波数特性は良く
知られているように、−6dB/dec、すなわち、−
20dB/decである。したがって、積分器出力での
高調波の大きさを考えると、矩形波単独での高調波の大
きさは周波数が10倍で、−20dBの減衰であり、こ
れに積分器の周波数特性である、周波数が10倍で−2
0dBの減衰を加え合わせると、結局は積分器の出力で
は、周波数が10倍で−40dBの減衰、すなわち、−
40dB/decで減衰することになる。これは1/n
2で減衰することと等価である。
【0027】したがって、前述の積分器なしの場合と同
様に、この場合の高調波が−60dBとなる周波数を求
めると、これは矩形波の基本周波数の31.62倍とな
る。これがナイキスト周波数に相当するので、サンプリ
ング定理を満足するサンプリング周波数はその2倍以上
の周波数、すなわち63.24倍以上であればよい。
【0028】上記と同様に、この矩形波をアンチェイリ
アスフィルタなしで問題なくサンプリングするには、矩
形波の基本周波数を上記と同じく1kHzとすれば、A
D変換器のサンプリング周波数は矩形波の基本波の6
3.24倍、つまり、63.24kHz以上であればよ
い。このサンプリング周波数以上であれば、折り返し歪
は無視できる。これは積分器なしの場合が2Mzという
高速AD変換器が必要であったのに比べると実に1/3
1.6の変換速度でよく、この程度のAD変換器であれ
ば、安価であり、コスト的にも有利である。
【0029】これは見方を変えれば、本発明を用いれ
ば、従来のAD変換器の速度を31.6倍高速にしたの
と等価である。したがって、従来1MHzのサンプリン
グ周波数のAD変換器を使用していたなら、本発明を適
用することにより実に31.6MHzサンプリングのA
D変換器を使用したのと同じ効果がある。
【0030】以上は、信号として矩形波を想定したが、
信号が三角波、台形波、半波整流波、全波整流波であれ
ば、高調波は1/n2の割合で減衰するのでAD変換器
の速度はより低速なものでよい。この場合における高調
波の減衰は、−40dB/decであるので−60dB
になるのは基本波の31.62倍である。上述と同様に
AD変換器の前で積分するという本発明を適用すれば、
積分器出力すなわちAD変換器の入力では高調波が一6
0dBになるのは基本波の10倍である。すなわち、入
力信号として三角波、台形波等に本発明を適用すれば、
信号の基本周波数の10倍のサンプル速度を有するAD
変換器を用いれば、アンチエイリアスフィルタが無くと
も折り返し歪は無視できるレベルに抑えることが可能で
ある。
【0031】図1は本発明による信号処理装置及び測定
装置の実施形態の構成図である。図1において、測定対
象(DUT)1は伝達特性を測定しようとする増幅器や
フィルタ等である。測定対象1の入力には、掃引発振器
2の出力が供給されている。掃引発振器2は、略連続的
に周波数を変化させた信号を出力する。ここで、「略連
続的」とは、この掃引発振器2はデジタル方式であるた
め原理的には連続ではなく微少ステップで周波数を変化
するからである。
【0032】測定対象1の出力は利得調整器3に供給さ
れ、測定レベルの調整が行なわれる。この測定対象1は
フィルタや増幅器なので、その周波数特性の減衰域では
本測定装置への入力電圧が小さくなるため本測定系のS
N比が劣化する。このため、利得調整器3は、その信号
レベルを手動又は自動に調整できるようにし、これによ
りSN比の劣化を防ぎ、測定条件を最適とするようにし
ている。
【0033】測定レベルの調整が行われた信号は、次段
の積分器4の入力に供給される。積分器4はアナログ型
の積分器であり、例えば、図2(A)に示す構成を有す
る。
【0034】図2(A)に示す積分回路4は、通常の低
域フィルターであるが、コーナー周波数(遮断周波数)
の数倍以上の周波数であれば積分器とみなしてもさしつ
かえない。
【0035】積分回路4への信号は、抵抗102を通し
てオペアンプ101の反転入力端子(−)に供給され
る。この反転端子(−)と出力端子の間にはキャパシタ
104(または105)と抵抗(Rf)103が接続さ
れている。オペアンプの被反転入力端子(+)は接地さ
れている。抵抗103は、直流利得を制限し本積分回路
を直流的に安定化させるためのものである。通常、抵抗
103の抵抗値は、使用周波数帯域の下限におけるキャ
パシタ104(又は105)のリアクタンス以上にす
る。そのようにすれば前記使用周波数帯域以上の周波数
ではこの抵抗103は無視できる。
【0036】図2(A)に示す積分回路の伝達関数H
(s)は、
【数3】 である。従ってその周波数特性は、図2(B)の実線で
示すような1次特性を有し、そのコーナー周波数fcは1/
(2πRfC)であり、この周波数以上では−6dB/oct
の傾斜をもって減衰する。そして直流利得Gdcは(Rf/R
i)であり、利得が0dBとなる周波数は(fc・Gdc)とな
る。具体的な数値を示すと、Ri=1kΩ、Rf=1MΩ、
C=0.1592μFとすると直流利得Gdc=1000倍(60d
B)、fc=1Hz、利得が0dBとなる周波数は1kH
zとなる。ここでCの値を1/10の0.01592μFとする
と、その周波数特性は10倍高い周波数にシフトした特
性となる。
【0037】図2(A)は、帰還回路に抵抗103が存
在するため、いわゆる不完全積分回路と呼ばれている。
ここで不完全といっても積分が行われないわけではな
く、コーナー周波数の数倍以上の周波数で使用する限り
は通常の積分器と同様の動作を行う。ここで図2(A)
の回路は帰還抵抗103が無ければいわゆる完全積分器
として動作することはもちろんである。
【0038】また、この積分器は単純なアナログ積分器
であり、入力信号を時間的に連続に積分するものであ
り、ゲート積分器等のように外部から積分スタート信号
を供給する必要はない。
【0039】この積分器は、スイッチ106を用いてキ
ャパシタンスを切り換え、その時定数を変化できるよう
にしている。これは、積分器が−60dB/octの周
波数特性をもっているので、積分器の時定数が固定であ
ると次段ノアナログ・デジタル変換器への入力電圧が低
下してSN比が劣化する。このため、測定信号の周波数
範囲に合わせて積分器の時定数を切り換え、最適な測定
ができるようにしている。
【0040】更に、この積分器はオペアンプを用いた純
アナログ的なものである。従って、従来の技術で述べた
測定対象のPWM波形のキャリア信号を貰うタイプとは
違い「ヒモ付き」ではないという実用上の非常に大きな
利点を有している。また、AD変換器5は、PWM波形
の基本波周波数(50Hzとか60Hz等)を対象にし
てサンプリングを行うことになり、一般的にはこの基本
周波数とPWM波形のキャリア周波数とは同期関係が無
いため誤差の要因となるが、通常は基本波のサンプル数
を多く(例えば512サンプル/波形)することができ
るので誤差を十分小さくすることができる。
【0041】AD変換器5は、制御部9からのタイミン
グパルスを受け取ってサンプリングを行う。交流電圧を
デジタルサンプリング方式で測定する場合、測定時間が
入力電圧の周期に等しいかあるいはその整数倍でないと
打ち切り誤差を生じる。このため本発明では、入力電圧
の周期を周期カウンタやゼロクロス・コンパレータ等で
検出し、この周期の値を予め定めた1周期分のサンプル
数(例えば512点/波形)で割る事によりタイミング
パルスの周期を算出し、パルス発振器によりこの周期の
タイミングパルスを発生し、このパルスをAD変換器5
に与えている。例えば、入力電圧が50Hzの場合、こ
の周期は20msであるので、サンプル数を512点/
波形とするとタイミングパルスの周期は20ms/51
2=39.06μs(=25.6kHz)となるように
している。入力電圧が60Hzの場合のタイミングパル
スは同様にして32.55μs(=30.72kHz)
となる。
【0042】積分器4の出力は、AD変換器5によりデ
ジタル信号に変換される。このデジタル化された値は次
のデジタル微分器6に加わる。デジタル微分器6は、そ
の伝達特性が微分特性、つまり周波数特性で表すと+2
0dB/デカード(即ち、周波数が10倍になる毎に2
0dBずつ増加。オクターブ当たりに換算すると+6.
02dB/oct)の特性を有している。デジタル微分
器6は、ソフトウェアにより実現しており、具体的には
このデジタル微分器6の入力データの差分をとることに
より微分機能を実現している。また、この微分機能は数
値フィルタを用いても実現できる。
【0043】デジタル微分器6は、等価的に微分特性を
実現できればよいわけであるから、AD変換器5の出力
をFFTして周波数成分と位相成分を抽出し、周波数成
分については+20dB/デカードの特性を、位相成分
についてはπ/2だけ周波数に無関係にシフトしても微
分特性を実現できる。
【0044】今、微分器をz変換で表わすと、1−z-1
であり、ここでz=exp(jωT)として微分器の周
波数特性を求めると、2sin(jωT)となる。但
し、ωT=2π(f/fs)は、fsはサンプリング周波
数である。すなわち、この微分器は周波数(fs/2)
の奇数倍で最大値となり、fsの整数倍でゼロとなる周
波数特性を呈する。したがって、積分器4から、このデ
ジタル微分器6までのトータルな周波数特性は、積分器
4の−6dB/octの特性に、この微分器6の特性を
合わせたものになる。積分器4の時定数を適切に選べ
ば、直流からアナログ・デジタル変換器5のサンプリン
グ周波数の1/10程度までは平坦な特性が得られる。
勿論、それ以上では平坦性は失われるが、これはデジタ
ルデータの段階で補正操作(周波数特性、位相特性等)
を行えば、より高い周波数まで見かけ上は平坦性を保つ
ことができる。
【0045】この微分処理部6には積分回路3の積分時
定数の変更に合わせて対応する微分パラメータを変更す
る機能(図示せず)を有している。
【0046】以上で説明したように、測定対象の電圧を
積分したとしても後処理で数値微分を行っているため、
伝達特性=1であるのでデジタル微分器6の出力値をみ
れば測定対象1の出力値(eout)が分かる。このデジタ
ル微分器6の出力は演算部7で必要な演算(デシベル変
換など)を施され、その結果を表示部8に出力する。
【0047】デジタル微分器6と演算部7は、ともにデ
ジタルデータを扱っており、マイクロプロセッサーによ
るCPUを用いて各種演算処理を行っているが、より高
速の演算処理を行う場合には信号処理専用のプロセッサ
であるDSPを使用することもできる。
【0048】AD変換器5の入力信号の成分を考えてみ
ると、測定対象1からの出力は、積分器4によりその高
域成分は減衰を受ける。このため、アンチェイリアスフ
ィルタなしでサンプリングを行なう場合、信号周波数帯
域が広がることになる。本発明を適用しない場合には、
AD変換器のサンプリング周波数から逆算して、例え
ば、10kHzまでしか使えなかったものとする(すな
わち、10kHz以上の信号成分の大きさがAD変換器
の量子化レベルを超えるため)。
【0049】ここで、本発明を適用すれば、積分器によ
り信号の高域成分が低下する。このため、前記10kH
zの信号成分は、AD変換器の量子化レベルより小さく
なるので、結果的に、10kHx以上まで、すなわち、
本発明を適用しない場合に比べて信号周波数帯域が伸び
たことになる。
【0050】制御部9は、以上の各部のコントロールを
行う部分であり、CPU制御により各種の制御を行なっ
ている。掃引発振器2の制御は、掃引開始と掃引停止の
各周波数、掃引速度、出力振幅等を測定条件に合わせて
設定する。この制御部9は、積分器4の積分時定数の切
り換えも行う。これは最良の測定結果を得るため、測定
周波数に応じて最適な積分時定数を選択する必要がある
ためである。利得調整器3もこの制御部9で制御を行な
う。
【0051】本発明による測定装置は、信号路に積分機
能があるため、従来のものに比べてその測定範囲内での
振幅の変化が大きくなる。例をあげると、測定範囲が1
デカードであればその範囲での振幅の変化は20dBで
あり、これが2ディケードになれば振幅の変化は40d
Bになる。従って、装置への入力レベルを適正にしない
と雑音が増加するために測定の信頼性が低下する。この
ため利得調整器3を調節して最大のS/Nとなるように
する。
【0052】尚、掃引発振器2は前述した理由から周波
数を略連続的に変化させて測定範囲内を周波数掃引して
いるが、測定は周波数掃引でなく飛び飛びのスポット周
波数で測定を行ってもよい。
【0053】上述の実施形態例では、積分回路4と、そ
の出力をアナログ・デジタル変換するAD変換器5とは
別々の回路で構成している。ところで、アナログ・デジ
タル変換器のなかには二重積分方式(デュアルスロープ
方式)等のように等価的に積分動作を行うものも存在す
る。従って、このようなアナログ・デジタル変換器を用
いれば積分回路を省略できるため、回路構成の簡略化や
コストダウンがはかれる。
【0054】図3には本発明の他の実施形態の構成図が
示されている。この実施形態は、従来回路としての図5
の改良型であり、トラッキング方式ではない例である。
この実施形態も入力信号をアナログ積分し、これをデジ
タル値に変換し、その後で数値微分を行なうもので、図
1で掃引発振器2が無いことを除けば他の動作は同じで
ある。
【0055】以上述べたように、本発明になる積分型測
定装置は、積分器により高域成分が減衰しているので、
その分だけ折り返し歪の発生が抑えられるため、使用可
能な周波数帯域が伸びるというメリットがある。また、
アンチエイリアス・フィルタ付きのサンプリング方式の
測定器に比べても、本発明は積分器の持つ安定した傾斜
特性(20dB/デカード)を利用しているので、安価
で且つアンチエイリアス・フィルタのような高次フィル
タにありがちな経年変化の問題を避けることができる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
測定信号を時間的に連続してアナログ的に積分した後に
数値微分を行うという構成をとっている。このため積分
器により信号成分中の高域成分が減衰を受けるので、使
用可能な周波数帯域が伸びる。このため、ある程度以下
の周波数(kHzオーダー)であれば折り返し歪は無視
できる。したがって、高価なアンチエイリアス・フィル
タを使わずとも折り返し歪を低減することができる。こ
のため、コストを低減でき、またアンチエイリアス・フ
ィルタにまつわる経年変化等の測定誤差をも低減でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による信号処理装置と測定装置の一実施
形態を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態における積分器の構成とその
周波数特性である。
【図3】本発明による信号処理装置と測定装置の一実施
形態を示す構成図である。
【図4】従来の測定装置の構成図である。
【図5】従来の測定装置の他の例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 測定対象(DUT) 2 掃引発振器 3 利得調整器 4 積分器 5 アナログ・デジタル変換器(AD変
換器) 6 デジタル微分器 7 演算部 8 表示部 9 制御部 10 前置増幅器 20 アンチエイリアス・フィルタ 101 オペアンプ 102 入力抵抗 103 帰還抵抗 104、105 キャパシタ 106 スイッチ 100、200 積分型測定装置 300、400 従来の測定装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力信号を受け、この入力信号を時間的に
    連続して積分する積分手段と、 前記積分手段の出力をデジタルデータに変換するアナロ
    グ・デジタル変換手段と、 前記変換されたデジタルデータに対して微分処理を施す
    微分手段と、 前記微分処理された信号に対して所定の処理を施すデジ
    タル演算手段と、を備えて成ることを特徴とする信号処
    理装置。
  2. 【請求項2】測定対象に入力信号を供給する信号発生手
    段と、 前記入力信号に応答して前記測定対象から出力される出
    力信号を積分する積分手段と、 前記積分手段の出力をデジタルデータに変換するアナロ
    グ・デジタル変換手段と、 前記変換されたデジタル・データに対して微分処理を施
    す微分手段と、 前記微分処理された信号に基づいて前記測定対象の所定
    の特性を測定する測定手段と、を備えて成ることを特徴
    とする信号測定装置。
  3. 【請求項3】前記積分手段または前記微分手段の特性を
    調整するパラメータを変更するパラメータ変更手段を有
    する請求項1または2に記載の信号処理装置または信号
    測定装置。
  4. 【請求項4】前記積分器への入力レベルを調整するレベ
    ル調整器を設け、該レベル調整器により入力の交流電圧
    又は電流の大きさに応じて自動又は手動でそのパラメー
    タを変化する請求項1〜3のいずれかに記載の信号処理
    装置または信号測定装置。
  5. 【請求項5】前記アナログ・デジタル変換器のサンプリ
    ングパルスの周期は、前記入力信号の周期の値とサンプ
    ル数とに基づいて決定される請求項1または2に記載の
    信号処理装置または信号測定装置。
  6. 【請求項6】前記測定装置の測定系の特性を変更する変
    更手段を有する請求項2に記載の信号測定装置。
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