JP3373742B2 - Ac/dc変換装置及び方法 - Google Patents

Ac/dc変換装置及び方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、AC波形を測定す
る場合に、AC電圧をDC電圧に変換する変換部に周波
数特性を補正して動作するキャリブレーション部を有
し、簡易で精度の良いAC測定を行うことのできる、A
C/DC変換装置及び変換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術の例について、図3と、図4
と、図5とを参照して説明する。AC電圧を測定する装
置の従来の構成例として、図4に示すようなAC/DC
変換装置がある。図4においては、ステップ電圧の信号
発生器11と、スイッチ31と、周波数特性補正機能を
もつ増幅器20と、スイッチ32と、サンプルホールド
30と、AC電圧の実効値をDC電圧に変換するRMS
/DC変換器40と、スイッチ33と、A/Dコンバー
タ50とで構成している。
【0003】被測定信号であるAC電圧を測定するとき
は、スイッチ31をa側に切り換えて、スイッチ32と
スイッチ33をそれぞれb側に切り換えて用いる。被測
定AC電圧は、増幅器20に印加され、増幅器20の出
力電圧は、RMS/DC変換器40でDC電圧に変換さ
れ、A/Dコンバータ50でデジタルデータに変換され
て、読み出される。
【0004】一般に、被測定信号であるAC波形は、多
くの周波数成分を含んでいるため、AC/DC変換装置
は周波数特性がフラットなものが要求される。これを満
たすため、被測定AC波形の測定に先だって、キャリブ
レーション動作が行われる。
【0005】キャリブレーション動作として、増幅器2
0の周波数特性の補正を行う場合には、スイッチ31を
b側に切り換え、スイッチ32とスイッチ33をそれぞ
れa側に切り換えて用いる。
【0006】先ず、ステップ信号を信号発生器11から
発生して、増幅器20に与える。このステップ信号は、
図5の(a)の100に示すように、ステップ応答の良
好な波形を印加する。そして、増幅器20の出力電圧を
サンプルホールド30に与える。サンプルホールド30
は、このステップ波形の過渡波形をとらえることのでき
る、高速・高精度なものが用いられる。
【0007】増幅器20の出力波形は高速・高精度にサ
ンプリングされ、サンプルホールド30はこの電圧を保
持し、このDC電圧をA/Dコンバータ50で読み取
る。この読み取った値は、増幅部の周波数特性により、
増幅器20の異なった出力波形となる。例えば図5
(a)の101や103は、周波数特性が不適正な例を
示す。
【0008】次に、増幅器20の補正機能を働かせて、
信号発生器11が与える電圧レベルと比較し、増幅器2
0の出力電圧が図5(a)の102に示すような、ステ
ップ応答の適正な波形になるように調整を行う。あるい
は、次のように調整を行ってもよい。すなわち、図5の
(a)の100に示すように、ステップ応答の良好な波
形を印加しておき、増幅器20の出力電圧について、デ
ータ測定を2回行う。1回は、ステップ応答直後の過渡
波形を測定し、他の1回は、ステップ応答後、十分に過
渡波形が定常値に定まった後で測定する。この2回の測
定値を比較して、同一値になるように調整を行う。
【0009】これらの場合、信号発生器11のステップ
信号は波形品質が理想の矩形波形に近い、すなわち、実
用上理想の矩形波形を発生する、高精度の信号発生器が
必要である。
【0010】ここで、周波数特性補正機能をもつ増幅器
の例として、 図3に示す構成例がある。図3に示すよ
うに、周波数特性補正機能をもつ増幅器20は、ACラ
ダー回路型アッテネータ21と、補正抵抗Raと、バッ
ファ用アンプ22と、可変ゲインアンプ23と、DAコ
ンバータ24とで構成されている。このような周波数特
性補正機能をもつ増幅器としては、例えば「実用新案出
願1993−4342のアッテネータの周波数特性補正回
路」に記載されている技術が知られている。以下、ここ
で用いられている、周波数特性補正機能を説明する。
【0011】ACラダー回路型アッテネータ21におい
て、周波数特性を補正するには、コンデンサの容量また
は抵抗値を可変させて行うこともできる。本増幅器20
においては、補正抵抗Raと、可変ゲインアンプ23と
が可変抵抗の機能をもち、バッファ用アンプ22と組み
合わせて周波数特性補正の働きをしている。また、プロ
グラマブルなデータにより制御電圧を発生させるDAコ
ンバータ24により、可変ゲインアンプ23を制御して
自動によるデータ補正を可能としている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記説明のように、信
号発生器11のステップ信号は波形品質が実用上理想の
矩形波形が必要である。また、ステップ波形の立ち上が
り後の過渡時の波形のタイミングをサンプリングしなけ
ればならないので、高速・高精度のサンプルホールドが
必要になり、技術的にも難しい場合が多く実用上の不便
があった。
【0013】そこで、本発明が解決しようとする課題
は、従来のような、波形品質の良いステップ信号の信号
発生器や、高速・高精度のサンプルホールドを使用する
ことなく、簡易な周波数特性補正回路を有して補正し、
しかも高精度なAC/DC変換を行える、AC/DC変
換装置及び変換方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決する為の手段】上記目的を解決するため
に、本発明では、信号発生器10として、エネルギーが
等しく、スペクトラムが異なる、少なくとも2種類の信
号を発生させ、RMS/DC変換器40によりAC電圧
をDC電圧に変換する。キャリブレーション時には、2
種類の各信号を、A/Dコンバータ50により、デジタ
ルデータに変換して比較し、出力レベルの測定値が等し
くなるように周波数補正機能をもつ増幅器20の補正機
能を調整する。その結果、ACラダー回路を含めた増幅
器20の周波数特性の補正ができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態は、下記の実
施例において説明する。
【0016】
【実施例】本発明の実施例について、図1と、図2と、
図3とを参照して説明する。本装置の構成は、図1に示
すように、信号発生器10と、スイッチ31と、周波数
特性補正機能をもつ増幅器20と、AC電圧の実効値を
DC電圧に変換するRMS/DC変換器40とで構成さ
れる、AC/DC変換部60、及びA/Dコンバータ5
0とで構成している。
【0017】AC電圧測定時は、信号切り換え手段であ
る、スイッチ31をa側に切り換えて、RMS/DC変
換器40により被測定電圧のAC電圧の実効値をDC電
圧に変換し、A/Dコンバータ50により、デジタルデ
ータに変換される。周波数特性補正を行うキャリブレー
ション時には、スイッチ31をb側に切り換えて、信号
発生器10に接続する。
【0018】信号発生器10は、エネルギーが等しく、
スペクトラムが異なる、少なくとも2種類の信号を発生
することができる。これらの2種類の信号としては、図
5(b)に示すように、変曲点200を挟む周波数成分
を含む2種類を与える。先ず、2種類の信号のうち、比
較的周波数成分の高い種類の信号を、信号発生器10か
ら与える。そして、この信号は増幅器20を通過し、R
MS/DC変換器40によりAC電圧を直流電圧に変換
される。この信号振幅をA/Dコンバータ50により、
デジタルデータに変換して記録する。
【0019】次に、2種類の信号のうち、比較的周波数
成分の低い種類の信号を、同様に測定し、A/Dコンバ
ータ50により、デジタルデータに変換する。これら2
種類の信号を、比較し、出力レベルの測定値が等しくな
るように周波数補正機能をもつ増幅器20の補正機能を
調整する。適正な周波数補正の波形の例を図5(b)に
示す。
【0020】なお、周波数補正機能をもつ増幅器20の
補正機能を調整した結果、第1番目の出力レベルに影響
を与える場合には、変曲点を挟む周波数成分を含む2種
類の信号を交互に再測定を行って調整を進める。このキ
ャリブレーション動作の結果、ACラダー回路を含めた
増幅器20の周波数補正ができる。
【0021】なお、上記構成例に於いては、信号発生器
10を一台設け、2種類の信号を発生しているが、図6
に示すように、信号発生器を2台設け、各々、1種類の
信号を発生するように構成してもよい。また、信号発生
器の配置は、図1に於いては、AC/DC変換部60の
内側に設けているが、信号発生器をAC/DC変換部6
0の外側に配置してもよい。この場合、スイッチ31を
使用せずに、信号発生器の出力信号を測定電圧入力端に
直接与えてもよい。
【0022】図2に、エネルギーが等しく、スペクトラ
ムが異なる、信号の例を示す。図2(a)に示すような
単一スペクトラムや、(b)と(c)に示すような単一
スペクトラム以外の信号でも使用できる。(b)と
(c)に示すとの矩形波の信号は、トータルのエネ
ルギーが等しくスペクトラムが異なる波形として発生し
やすい信号の具体例である。エネルギーはスペクトラム
のトータルパワーと同じで、実効値RMSとも同じであ
る。図2の(c)に示す周期的矩形波の場合は、基準電
圧を発生させて、その出力を0電圧とを周期的に切り換
えることにより実現できる。また周期的矩形波の組み合
わせを信号源とする場合は、それぞれの立ち上がりと立
ち下がりの数が同じで、立ち上がりと立ち下がりのセッ
トリング時間が電圧0の時間よりも長い場合、立ち上が
りと立ち下がりの波形なまりがキャンセルできる。
【0023】RMS/DC変換器40は、演算方式また
はサーマル方式のものでも使用できる。また、被測定A
C電圧が平均値にて測定したい場合、信号発生器に平均
値が等しく、スペクトラムの異なる信号を用いて、RM
S/DC変換器に代えて、AC平均値/DC変換器を使
用すれば、平均値型のAC/DC変換装置が構成でき
る。
【0024】図7は、本発明のAC/DC変換の方法を
示す、フローチャートである。被測定信号の測定に先だ
って、キャリブレーション動作を行う。校正開始(ステ
ップ501)後、信号発生器から、周波数特性補正機能
を持つ増幅器の周波数の変曲点よりも基本周波数の高い
信号を印加する(ステップ502)。この状態で、RM
S/DC変換器の出力値を記録してVoとする(ステッ
プ503)。
【0025】次に、信号発生器から、エネルギーが等し
くスペクトラムが異なり、該増幅器の周波数の変曲点よ
りも基本周波数の低い信号を印加する(ステップ50
4)。この状態で、RMS/DC変換器の出力値を測定
してVmとする(ステップ505)。上記の各値を比較
して、一致しているか調べる(Vm=Vo?)(ステッ
プ506)。もし、一致していない場合には、周波数補
正部の設定値を(Vm=Vo)となる方向に再設定を行
う(ステップ507)。この後にステップ504と50
5の動作に戻り、再測定を行う。
【0026】なお、周波数補正部の設定値の再設定を行
った結果、Voの値に影響を与える場合には、ステップ
502と503と504と505の動作に戻り、再測定
を行う。これは、変曲点を挟む周波数成分を含む2種類
の信号を交互に再測定を行って調整を進めるためであ
る。以上の測定の結果、各値の一致(Vm=Vo)が完
了すると、校正動作を終了する(ステップ508)。以
上のキャリブレーション動作の後に、被測定信号の測定
(ステップ509)に移る。
【0027】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、下記に記載されるような効果を奏する。信
号発生器に波形品質のよいステップ電圧信号発生器を使
用しないで、実現の容易なエネルギーが等しく、スペク
トラムが異なる信号発生器を使用している。また、高速
・高精度のサンプルホールドを使用しないでも、RMS
/DC変換器のみで、AC/DC変換装置の周波数特性
の補正ができる装置及び方法を提供できた。また、切り
換えスイッチも2つ削減できたので、信頼性も向上でき
る。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のブロック図である。
【図2】本発明の信号発生器で発生するエネルギーが等
しく、スペクトラムが異なる信号の組み合わせ例であ
る。
【図3】周波数特性補正機能をもつ増幅器の具体例であ
る。
【図4】従来のブロック図である。
【図5】従来のAC/DC変換回路の周波数特性を補正
するときの波形図である。
【図6】本発明の他の実施例のブロック図である。
【図7】本発明のAC/DC変換の方法を示す、フロー
チャートである。
【符号の説明】
10、11 信号発生器 20 増幅器 21 ACラダー回路型アッテネータ 22 バッファ用アンプ 23 可変ゲインアンプ 24 DAコンバータ 30 サンプルホールド 31、32、33 スイッチ 40 RMS/DC変換器 50 A/Dコンバータ 60 AC/DC変換部 Ra 補正抵抗
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 35/00 H03F 1/30 H03G 5/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 校正機能を有するAC/DC変換装置に
    於いて、 エネルギーが等しく、スペクトラムが異なる、少なくと
    も2種類の信号を発生する信号発生器(10)を設け、 被測定信号と、該信号発生器(10)の出力信号とを切
    り換える、切り換え手段(31)を設け、 該切り換え手段(31)の信号を受けて、周波数特性を
    補正して出力する増幅器(20)を設け、 該増幅器(20)の出力信号を受けて、DC電圧に変換
    するAC/DC変換手段(40)を設け、 以上を具備していることを特徴としたAC/DC変換装
    置。
  2. 【請求項2】 校正機能を有するAC/DC変換装置
    に於いて、 周波数特性補正機能を持つ増幅器(20)を設け、 該増幅器(20)の周波数の変曲点よりも基本周波数の
    高い信号を印加する、第1の信号発生器(10)を設
    け、 エネルギーが等しくスペクトラムが異なり、該増幅器
    (20)の周波数の変曲点よりも基本周波数の低い信号
    を印加する、第2の信号発生器(19)を設け、 被測定信号と、該信号発生器(10)の出力信号と、該
    信号発生器(19)の出力信号とを切り換え、いずれか
    の選択信号を該増幅器(20)に印加する、切り換え手
    段(31)を設け、 該増幅器(20)の出力信号を受けて、DC電圧に変換
    するAC/DC変換手段(40)を設け、 以上を具備していることを特徴としたAC/DC変換装
    置。
  3. 【請求項3】 AC/DC変換手段(40)は、AC電
    圧の実効値をDC電圧に変換するRMS/DC変換器で
    構成したことを特徴とする、請求項1または2記載のA
    C/DC変換装置。
  4. 【請求項4】 AC/DC変換手段(40)は、AC電
    圧の平均値をDC電圧に変換するAC平均値/DC変換
    器で構成したことを特徴とする、請求項1または2記載
    のAC/DC変換装置。
  5. 【請求項5】 校正機能を有するAC/DC変換方法に
    於いて、 校正開始(ステップ501)後、 信号発生器から、周波数特性補正機能を持つ増幅器の周
    波数の変曲点よりも基本周波数の高い信号を印加し(ス
    テップ502)、 この状態で、AC/DC変換器の出力値を記録してVo
    とし(ステップ503)、 次に、信号発生器から、エネルギーが等しくスペクトラ
    ムが異なり、該増幅器の周波数の変曲点よりも基本周波
    数の低い信号を印加し(ステップ504)、 この状態で、AC/DC変換器の出力値を測定してVm
    とし(ステップ505)、 上記の各値を比較して、(Vm=Vo)に一致している
    か調べ(ステップ506)、 もし、一致していない場合には、周波数補正部の設定値
    を(Vm=Vo)となる方向に再設定を行い、この後に
    ステップ(504)と(505)の動作に戻り、再測定
    を行い、(ステップ507)、 以上の測定の結果、各値の一致(Vm=Vo)が完了す
    ると、校正動作を終了し(ステップ508)、 以上のキャリブレーション動作の後に、被測定信号の測
    定に移り(ステップ509)以上の行程を特徴とするA
    C/DC変換方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のステップ507を変更し
    て、 もし、一致していない場合には、周波数補正部の設定値
    を(Vm=Vo)となる方向に再設定を行い、この後に
    ステップ(502)と(503)と(504)と(50
    5)の動作に戻り、再測定を行い、(ステップ50
    7)、 以上の行程としたことを特徴とする、AC/DC変換方
    法。
  7. 【請求項7】 AC/DC変換器の出力値は、AC電圧
    の実効値をDC電圧に変換するRMS/DC変換器の出
    力値であることを特徴とする、請求項5または6記載の
    AC/DC変換方法。
  8. 【請求項8】 AC/DC変換器の出力値は、AC電圧
    の平均値をDC電圧に変換するAC平均値/DC変換器
    の出力値であることを特徴とする、請求項5または6記
    載のAC/DC変換方法。
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