JPH11279306A - ガスバリア性フィルムおよびその製造法 - Google Patents

ガスバリア性フィルムおよびその製造法

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JPH11279306A
JPH11279306A JP10186798A JP10186798A JPH11279306A JP H11279306 A JPH11279306 A JP H11279306A JP 10186798 A JP10186798 A JP 10186798A JP 10186798 A JP10186798 A JP 10186798A JP H11279306 A JPH11279306 A JP H11279306A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素ガスあるいは水蒸気等に対するハイバリ
ア性を有し、かつ、印刷加工適性、ラミネ−ト加工適
性、製袋加工適性等の後処理加工適性に優れ、例えば、
飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等
の種々の物品を充填包装するに有用なガスバリア性フィ
ルムを提供することである。 【解決手段】 無延伸ポリプロピレンフィルムの表面
に、酸素ガスによるプラズマ処理面、または、酸素ガス
とアルゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガスによる
プラズマ処理面を設け、更に、該プラズマ処理面に、ア
ルミニウムの蒸着膜を設けてなることを特徴とするガス
バリア性フィルムおよびその製造法に関するものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリア性フィ
ルムおよびその製造法に関し、更に詳しくは、酸素ガス
あるいは水蒸気等に対するバリア性等に優れ、更に、ラ
ミネ−ト適性を有し、飲食品、医薬品、化粧品、化学
品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装する包
装材料として有用なガスバリア性フィルムおよびその製
造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、飲食品、医薬品、化粧品、その他
等の種々の物品を充填包装するために、種々の包装用素
材が開発され、提案されている。而して、それらの一つ
に、例えば、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア
性素材として、アルミニウム箔あるいは、アルミニウム
蒸着フィルム等が知られている。また、近年、プラスチ
ック基材の表面に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、その他等の無機酸化物を使用し、真空
蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等
の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化
学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等
の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、その無機
酸化物の蒸着膜を形成してなる透明ガスバリア性フィル
ムが開発され、提案されている。ところで、上記のアル
ミニウム蒸着フィルムの一つとして、蒸着用基材とし
て、無延伸ポリプロピレンフィルムを使用したガスバリ
ア性フィルムがある。このものは、無延伸ポリプロピレ
ンフィルムが、シ−ル性、耐熱性、耐油性等を有し、更
に、水蒸気に対するバリア性に優れ、また、ポリエチレ
ン系樹脂のフィルムと比較して樹脂臭がない等の利点を
有することから、この表面にアルミニウムの蒸着膜を良
好に形成し、かつ、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア
性を有するヒ−トシ−ラント素材として、その有用性が
期待されているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
アルミニウム蒸着フィルムにおいて、蒸着用基材とし
て、無延伸ポリプロピレンフィルムを使用したガスバリ
ア性フィルムにおいては、酸素ガスあるいは水蒸気等に
対するバリア性が優れているとは言うものの、アルミニ
ウム箔等の従来のバリア性素材と比較して劣るものであ
り、例えば、酸素透過度が、約30〜50cc/m2
day位しか有しないものである。このため、上記のア
ルミニウム蒸着フィルムにおいて、そのバリア性を向上
させるために、種々の方法が試みられており、例えば、
アルミニウムの蒸着膜の膜厚をある程度の厚さにするこ
と等が試みられている。しかしながら、上記のようにア
ルミニウムの蒸着膜の膜厚を厚くすると、該アルミニウ
ムの蒸着膜は、可撓性に欠けることから、例えば、フィ
ルムの巻き取り、印刷加工、ラミネ−ト加工、あるい
は、製袋加工等の後処理加工において、該アルミニウム
の蒸着膜にクラック等を発生し、それに伴って、酸素ガ
スあるいは水蒸気等に対するバリア性を著しく低下させ
るという問題点があるものである。更に、上記のガスバ
リア性フィルムにおいて、そのバリア性を向上させるた
めに、無延伸ポリプロピレンフィルムの表面に、予め、
前処理を行う方法、あるいは、上記の無延伸ポリプロピ
レンフィルムの表面に、予め、アンカ−コ−ト剤層を形
成する方法、更に、上記のアルミニウムの蒸着膜面に過
酸化水素をコ−ティングしてバリア性を向上させる方法
等も提案されているが、それによる効果は、それなりに
期待し得るものであるが、未だ、十分に満足し得るハイ
バリア性を有するガスバリア性フィルムを製造すること
は困難であるというのが実状であり、更に、付言すれ
ば、そのような操作を行うこと自体、その製造工程が増
えることからその製造コストを高めるという問題点があ
る。例えば、ポリウレタン系の有機系アンカ−コ−ト剤
を使用し、予め、これを無延伸ポリプロピレンフィルム
の表面にコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成
し、次いで、該アンカ−コ−ト剤層を介して、アルミニ
ウムの蒸着膜を形成すると、ア−カ−コ−ト剤層中に含
まれる残留溶剤等のために、蒸着中の真空度が低下し、
更には、アンカ−コ−ト剤層自体が、柔らかいために、
アンカ−コ−ト剤層表面において、蒸着膜がうまく成長
せず、所望どおりの蒸着膜を形成することが困難であ
り、その結果、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリ
ア性に優れたガスバリア性フィルムを製造することが困
難であるというのが実状である。更に、上記の蒸着用基
材として、無延伸ポリプロピレンフィルムを使用したガ
スバリア性フィルムにおいては、無延伸ポリプロピレン
フィルムとアルミニウムの蒸着膜との密着性に問題点が
あり、例えば、無延伸ポリプロピレンフィルムの表面に
アルミニウムの蒸着膜を設けたガスバリア性フィルム
と、他の樹脂のフィルムないしシ−ト等とラミネ−トし
て積層体を製造し、これを使用して種々の物品を充填包
装する包装用容器を製造したとしても、包装用容器、あ
るいは、これを構成する積層体において、その包装用容
器を構成するシ−ル強度、あるいは、積層体を構成する
ラミネ−ト強度等が、不十分であり、しばしば、包装用
容器を構成するシ−ル間、或いは、積層体を構成するラ
ミネ−ト層間等において層間剥離等の現象を発生し、そ
の用をなさないとうい問題点がある。そこで本発明は、
酸素ガスあるいは水蒸気等に対するハイバリア性を有
し、かつ、印刷加工適性、ラミネ−ト加工適性、製袋加
工適性等の後処理加工適性に優れ、例えば、飲食品、医
薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物
品を充填包装するに有用なガスバリア性フィルムを提供
することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な問題点を解決すべく種々研究の結果、蒸着膜形成直前
の無延伸ポリプロピレンフィルムの表面に、酸素ガスに
よるプラズマ処理、または、酸素ガスとアルゴンガスま
たはヘリウムガスとの混合ガスによるプラズマ処理を行
い、次いで、そのプラズマ処理面に、アルミニウムの蒸
着膜を形成したところ、緻密なアルミニウムの蒸着膜を
形成することができ、かつ、従来品と比較して、より薄
い膜厚でも十分にハイバリア性を有し、更に、無延伸ポ
リプロピレンフィルムの表面とアルミニウムの蒸着膜と
の密着性に優れ、その結果、酸素ガスあるいは水蒸気等
に対する極めて高いバリア性を有し、かつ、透明性に優
れ、更に、印刷加工適性、ラミネ−ト加工適性、製袋加
工適性等の後処理加工適性に優れ、例えば、飲食品、医
薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物
品を充填包装するに有用なガスバリア性フィルムを製造
し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0005】すなわち、本発明は、無延伸ポリプロピレ
ンフィルムの表面に、酸素ガスによるプラズマ処理面、
または、酸素ガスとアルゴンガスまたはヘリウムガスと
の混合ガスによるプラズマ処理面を設け、更に、該プラ
ズマ処理面に、アルミニウムの蒸着膜を設けてなること
を特徴とするガスバリア性フィルムおよびその製造法に
関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】上記の本発明について以下に更に
詳しく説明する。まず、本発明にかかるガスバリア性フ
ィルムの構成について、その一例を例示して図面を用い
て説明すると、図1は、本発明にかかるガスバリア性フ
ィルムについてその一例の層構成を示す模式的断面図で
ある。
【0007】すなわち、本発明にかかるガスバリア性フ
ィルム1は、図1に示すように、無延伸ポリプロピレン
フィルム2の表面に、アルミニウムの蒸着膜形成直前
に、酸素ガスによるプラズマ処理面3a、または、酸素
ガスとアルゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガスに
よるプラズマ処理面3bを形成し、更に、該プラズマ処
理面3a(3b)に、アルミニウムの蒸着膜4を設けた
構成からなるものである。
【0008】上記の本発明において、本発明にかかるガ
スバリア性フィルムを構成する無延伸ポリプロピレンフ
ィルムとしては、例えば、プロピレンの単独重合体等か
らなるポリプロピレンホモポリマ−、あるいは、プロピ
レンとエチレン、ブテン−1等の他のオレフィン系モノ
マ−との共重合体等からなるポリプロピレンコポリマ−
等のポリプロピレン系樹脂を使用し、これを押し出し成
形法、Tダイ成形法、インフレ−ション成形法、あるい
は、キャスト成形法等による公知のフィルム成形法にて
成形してなるポリプロピレン系樹脂の未延伸のフィルム
ないしシ−トを使用することができる。而して、本発明
において、上記の無延伸ポリプロピレンフィルムは、ヒ
−トシ−ル性、耐熱性、耐油性等を有し、かつ、表面平
滑性に優れ、更に、水蒸気に対するバリア性に優れてい
ることが望ましいものであり、また、内容物を見えるこ
とができること等の観点から透明性を有することが好ま
しい。なお、上記の無延伸ポリプロピレンフィルムの厚
さとしては、製造時の安定性等から適宜に設定すること
が可能であるが、約10μmないし100μm位が好ま
しくは、更には、20μmないし50μm位が望まし
い。次に、本発明において、上記の無延伸ポリプロピレ
ンフィルムとしては、例えば、低〜高密度ポリエチレ
ン、線状低密度ポリエチレン、酸変性ポリエチレン、酸
変性ポリプロピレン等のヒ−トシ−ル性を有するポリオ
レフィン系樹脂を使用し、これとポリプロピレンとを組
み合わせて、これらを、例えば、Tダイ共押し出し成形
法、あるいは、共押し出しインフレ−ション成形法等を
利用して共押し出してなる共押し出し積層体フィルム等
も使用することができる。なお、本発明において、用途
に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑
剤、滑剤、充填剤、その他等の所望の添加剤を、その透
明性に影響しない範囲内で任意に添加し、それらを含有
するポリプロピレン系樹脂のフィルムないしシ−ト等も
使用することができる。
【0009】また、上記の本発明において、本発明にか
かる透明バリア性フィルムを構成するプラズマ処理面に
ついて説明すると、かかるプラズマ処理面は、気体をア
−ク放電により電離させることにより生じるプラズマガ
スを利用して表面改質を行なうプラズマ表面処理法等を
利用してプラズマ処理面を形成することができるもので
ある。すなわは、本発明においては、酸素ガス、窒素ガ
ス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の無機ガスをプラズ
マガスとして使用する方法でプラズマ処理を行って、プ
ラズマ処理面を形成することができる。而して、本発明
において、無延伸ポリプロピレンフィルムの表面に行う
プラズマ処理としては、プラズマ放電処理の際に、酸素
ガス、または、酸素ガスとアルゴンガスまたはヘリウム
ガスとの混合ガスを使用してプラズマ処理を行なうこと
が好ましく、このようなプラズマ処理により、より低い
電圧でプラズマ処理を行なうことが可能であり、これに
より、無延伸ポリプロピレンフィルムの表面の変色等を
防止して、無延伸ポリプロピレンフィルムの表面に、良
好にプラズマ処理面を設けることができるものである。
【0010】ところで、本発明において、上記のプラズ
マ処理としては、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス
を使用してプラズマ処理を行うことが最も望ましく、ま
た、そのプラズマ処理は、無延伸ポリプロピレンフィル
ムの表面にアルミニウムの蒸着膜を形成する直前にイン
ラインで行うことが望ましいものである。すなわち、本
発明においては、無延伸ポリプロピレンフィルムの表面
に、アルミニウムの蒸着膜を形成する直前に、インライ
ンでプラズマ処理を行うことにより、無延伸ポリプロピ
レンフィルムの表面に付着している水分や塵等を除去す
ると共に、更に、プラズマ中で活性化された酸素分子が
無延伸ポリプロピレンフィルムの表面と化学反応を起こ
すことによって、その処理面に薄くて平滑性の高い酸化
被膜を形成したプラズマ処理面を設けることができもの
である。更に、本発明においては、無延伸ポリプロピレ
ンフィルムの表面に、アルミニウムの蒸着膜を形成する
直前に、インラインでプラズマ処理を行うことにより、
無延伸ポリプロピレンフィルムの表面に、例えば、水酸
基(−OH基)等が形成されているプラズマ処理面を設
けることもできるものである。而して、本発明において
は、上記のようなプラズマ処理により、無延伸ポリプロ
ピレンフィルムの表面に酸化被膜、あるいは、水酸基
(−OH基)等が形成されているプラズマ処理面上に、
後述するように、蒸着により、アルミニウムの蒸着膜を
形成すると、非常に緻密なアルミニウムの蒸着膜を形成
することができ、しかも、無延伸ポリプロピレンフィル
ムとアルミニウムの蒸着膜との密着性に優れ、その結
果、アルミニウムの蒸着膜の膜厚は、従来のそれと比較
して、より薄い膜厚で、十分に、酸素ガスあるいは水蒸
気等に対する極めて高いバリア性薄膜を形成することが
できるものである。しかも、本発明においては、上記の
ようにアルミニウムの蒸着膜を、従来のそれと比較し
て、より薄い膜厚で形成して、十分に酸素ガスあるいは
水蒸気等に対するハイバリア性薄膜とすることができる
ことから、例えば、フィルムの巻き取り、印刷加工、ラ
ミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後処理加工にお
いて、上記のアルミニウムの蒸着膜にクラック等の発生
等を防止することができ、いわゆる、後加工適性を向上
させることができるという利点も有するものである。更
に、本発明においては、上記のように、無延伸ポリプロ
ピレンフィルムとアルミニウムの蒸着膜との密着性が優
れていることから、他の樹脂のフィルムないしシ−ト等
のラミネ−ト適性も向上するものである。また、本発明
においては、無延伸ポリプロピレンフィルムの表面に、
そのアルミニウムの蒸着膜形成直前にインラインでプラ
ズマ処理を行うことから、ガスバリア性フィルムの製造
コスト面においても、他の方法等と比較して極めて優れ
ているものである。
【0011】なお、本発明において、上記のプラズマ処
理においては、プラズマ処理条件が極めて重要であり、
その条件によって得られる効果は、全く異なる。而し
て、本発明において、プラズマ処理と化学反応に影響す
る要因としては、プラズマ出力、ガスの種類、ガスの供
給量、および、処理時間等を挙げることができる。本発
明において、プラズマ処理としては、具体的には、酸素
ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用することが望ま
しく、そして、その酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガ
スのガス圧としては、1×10-1〜1×10-10 Tor
r位、より好ましくは、1×10-4〜1×10-8Tor
r位が望ましく、また、酸素ガスとアルゴンガスとの比
率としては、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス=10
0:0〜30:70位、より好ましくは、90:10〜
70:30位が望ましく、更に、そのプラズマ出力とし
ては、5〜70kW位、より好ましくは、10〜50k
W位が望ましく、更にまた、その処理速度としては、5
0〜800m/min位、より好ましくは、200〜6
00m/min位が望ましい。上記の酸素ガスとアルゴ
ンガスとの分圧比において、アルゴンガス分圧が高くな
ると、プラズマで活性化される酸素分子が少なくなり、
アルゴンガスが還元性ガスとして無延伸ポリプロピレン
フィルムと反応し、無延伸ポリプロピレンフィルムの表
面の酸化による酸化被膜、あるいは、水酸基等の導入が
阻害されることから好ましくないものである。また、上
記のプラズマ出力が、5kW未満、更には、10kW未
満の場合には、酸素ガスの活性化が低下し、高活性の酸
素原子が生成しにくいことから好ましくなく、また、7
0kWを越えると、更には、50kWを越えると、プラ
ズマ出力が高すぎるので、無延伸ポリプロピレンフィル
ムの劣化によりガスバリア性フィルムそのものの物性が
低下するという問題を引き起こすことから好ましくない
ものである。更に、上記の処理速度が、50m/min
未満、更には、200m/min未満であると、無延伸
ポリプロピレンフィルムに対する酸素プラズマ量が少な
く、また、800m/minを越えると、更には、60
0m/minを越えると、無延伸ポリプロピレンフィル
ムの酸化が急速に進み、無延伸ポリプロピレンフィルム
が多孔質状になり、バリア性が低下して好ましくないも
のである。
【0012】ところで、本発明において、プラズマ処理
において、プラズマを発生させる方法としては、例え
ば、直流グロ−放電、高周波(Audio Frequ
ency:AF、Radio Frequency:R
F)放電、マイクロ波放電等の3通りの装置を利用して
行うことができる。而して、本発明においては、通常
は、13.56MHzの高周波(AF)放電装置を利用
して行うことができる。
【0013】なお、本発明において、アルミニウムの蒸
着膜形成直前の無延伸ポリプロピレンフィルムの表面
に、上記のようなプラズマ処理により形成されるプラズ
マ処理面について、例えば、X線光電子分光装置(Xr
ay Photoelectron Spectros
copy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Sec
ondary Ion Mass Spectrosc
opy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向
にイオンエッチングする等して分析する方法を利用し
て、プラズマ処理面の分析を行うことより、前述のよう
に、無延伸ポリプロピレンフィルムの表面に付着してい
る水分や塵等を除去されると共に、更に、プラズマ中で
活性化された酸素分子が無延伸ポリプロピレンフィルム
の表面と化学反応を起こすことによって、その処理面に
薄くて平滑性の高い酸化被膜を形成したプラズマ処理面
であること、更に、無延伸ポリプロピレンフィルムの表
面に、例えば、水酸基(−OH基)等の官能基が形成さ
れているプラズマ処理面であることを確認することがで
きるものである。具体的には、X線源として、MgKα
1.2、X線出力として15Kv、20mAの測定条件
で表面〜100ÅのXPS分析を行い、而して、酸化被
膜の形成状態は、表面のO/Cの組成比を測定して確認
することができ、処理前のO/C組成比と処理後のO/
C組成比は、処理後の方が、酸化物が形成される分、大
きくなる。また、水酸基(−OH基)等の形成状態は、
O1sの532eV位置のピ−クを測定して確認するこ
とができ、処理前は、532eVの位置にピ−クは存在
しないが、O2 プラズマ処理することによって、0H基
の存在を意味するO1sの532eVの位置にピ−クが
生じるものである。
【0014】次に、本発明において、本発明にかかるガ
スバリア性フィルムを構成するアルミニウムの蒸着膜と
しては、蒸着源として、アルミニウム金属を使用し、こ
れを蒸発させ蒸着させてなる非結晶性のアルミニウムの
蒸着膜を使用することができる。また、本発明におい
て、上記のアルミニウムの蒸着膜の膜厚としては、10
0〜2000Å位、より好ましくは、100〜1000
Å位が望ましく、而して、上記において、2000Å、
更には、1000Åより厚くなると、その膜の可撓性が
低下し、膜にクラック等が発生し易くなるので好ましく
なく、また、100Å未満であると、そのバリア性等の
効果を奏することが困難になることから好ましくないも
のである。而して、本発明において、上記のアルミニウ
ムの蒸着膜は、具体的には、例えば、上記のようなアル
ミニウム等の金属等を使用し、例えば、真空蒸着法、ス
パッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相
成長法(物理気相成長法、Physical Vapo
r Deposition法、PVD法)によって、ア
ルミニウムの蒸着膜を形成し、これを使用することがで
きる。上記において、蒸着原料の加熱方式としては、例
えば、エレクトロンビ−ム(EB)方式、高周波誘導加
熱方式、抵抗加熱方式等を用いられる。
【0015】次に、本発明において、上記のようなプラ
ズマ処理面、および、アルミニウムの蒸着膜の形成等か
らなる本発明にかかるガスバリア性フィルムの製造法に
ついて具体的に説明すると、図2は、本発明にかかるガ
スバリア性フィルムの製造法についてその一例を例示す
る巻き取り式真空蒸着装置の概略的構成図である。
【0016】本発明において、本発明にかかるガスバリ
ア性フィルムの製造法は、具体的には、図2に示すよう
に、まず、巻き取り式真空蒸着装置11の真空チャンバ
−12の中で、巻き出しロ−ル13から無延伸ポリプロ
ピレンフィルム14を繰り出し、更に、該無延伸ポリプ
ロピレンフィルム14をガイドロ−ル15、16を介し
て、冷却したコ−ティングドラム17に案内する。而し
て、本発明においては、上記のガイドロ−ル16と冷却
したコ−ティングドラム17との間にプラズマ発生口1
8を配置し、ここで、無延伸ポリプロピレンフィルム1
4の表面に、上記のプラズマ発生口18を利用して、該
プラズマ発生口18から酸素ガスプラズマ、または、酸
素ガスとアルゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガス
プラズマを発生させてプラズマ処理を行って、上記の無
延伸ポリプロピレンフィルム14の表面に、プラズマ処
理面を形成する。次いで、本発明においては、上記でプ
ラズマ処理面を設けた無延伸ポリプロピレンフィルム1
4を冷却したコ−ティングドラム17の上に案内し、次
いで、無延伸ポリプロピレンフィルム14のプラズマ処
理面に、蒸着源19として、アルミニウム(金属)等を
使用し、これらをるつぼ20の中に入れ、該るつぼ20
中で熱せられたアルミニウム(金属)を蒸発させ、マス
ク21、21を介してアルミニウムの蒸着膜を成膜化
し、次いで、該アルミニウムの蒸着膜を形成した無延伸
ポリプロピレンフィルム14を、ガイドロ−ル15´、
16´を介して、巻き取りロ−ル23に巻き取って、本
発明にかかるガスバリア性フィルムを製造することがで
きるものである。上記の例示は、その製造法の一例であ
り、本発明は、この例示により限定されるものではな
い。
【0017】上記のように、本発明において、アルミニ
ウムの蒸着膜形成直前の無延伸ポリプロピレンフィルム
の表面に、酸素ガスによるプラズマ処理面、または、酸
素ガスとアルゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガス
によるプラズマ処理面を設け、次いで、該プラズマ処理
面にアルミニウムの蒸着膜を形成して、本発明にかかる
ガスバリア性フィルムを製造するものである。而して、
上記の本発明にかかるガスバリア性フィルムは、前述の
ように、無延伸ポリプロピレンフィルムの表面に、アル
ミニウムの蒸着膜を形成する直前に、インラインでプラ
ズマ処理を行うことにより、無延伸ポリプロピレンフィ
ルムの表面に付着している水分や塵等を除去すると共
に、更に、プラズマ中で活性化された酸素分子が無延伸
ポリプロピレンフィルムの表面と化学反応を起こすこと
によって、その処理面に薄くて平滑性の高い被膜を形成
したプラズマ処理面を設けることができものであり、更
に、無延伸ポリプロピレンフィルムの表面に、例えば、
水酸基(−OH基)等が形成されているプラズマ処理面
を設けることもできるものである。而して、本発明にお
いては、無延伸ポリプロピレンフィルムの表面に酸化被
膜、あるいは、水酸基(−OH基)等が形成されている
プラズマ処理面上に、アルミニウムの蒸着膜を蒸着する
と、非常に緻密なアルミニウムの蒸着膜を形成すること
ができ、しかも、無延伸ポリプロピレンフィルムとアル
ミニウムの蒸着膜との密着性に優れ、その結果、アルミ
ニウムの蒸着膜の膜厚は、従来のそれと比較して、より
薄い膜厚で、十分に、酸素ガスあるいは水蒸気等に対す
る極めて高いバリア性薄膜を形成することができるもの
である。しかも、本発明においては、上記のようにアル
ミニウムの蒸着膜を、従来のそれと比較して、より薄い
膜厚で形成して、十分に酸素ガスあるいは水蒸気等に対
するハイバリア性薄膜とすることができることから、例
えば、フィルムの巻き取り、印刷加工、ラミネ−ト加
工、あるいは、製袋加工等の後処理加工において、上記
の酸化アルミニウムの蒸着膜にクラック等の発生等を防
止することができ、いわゆる、後加工適性等を向上させ
ることができるという利点も有するものである。更に、
本発明においては、上記のように、無延伸ポリプロピレ
ンフィルムとアルミニウムの蒸着膜との密着性が優れて
いることから、他の樹脂のフィルムないしシ−ト等のラ
ミネ−ト適性も向上するものである。また、本発明にお
いては、アルミニウムの蒸着膜を形成するインラインで
プラズマ処理を行うことができることから、その製造コ
ストを著しく低減することが可能であり、他の方法とコ
スト面において極めて優れているものである。
【0018】上記のようにして製造した本発明にかかる
ガスバリア性フィルムは、例えば、樹脂のフィルム、紙
基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等の包装用
容器を構成する包装用素材等と任意に組み合わせて、例
えば、ラミネ−トして種々の積層体を製造し、種々の物
品を充填包装する適した包装材料を製造可能とするもの
である。上記の樹脂のフィルムとしては、具体的には、
例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高
密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アク
リル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメ
タクリル酸共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、メ
チルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビ
ニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデ
ン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ
(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン
共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェ
ン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル
系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、
ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共
重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリ
アセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ
−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トか
ら任意に選択して使用することができる。本発明におい
て、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ない
し二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用
することができる。また、その厚さは、任意であるが、
数μmから300μm位の範囲から選択して使用するこ
とができる。更に、本発明においては、フィルムないし
シ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成
膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。ま
た、上記において、紙基材としては、例えば、強サイズ
性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、ク
ラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用す
ることができる。上記において、紙層を構成する紙基材
としては、坪量約80〜600g/m2位のもの、好ま
しくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用
することが望ましい。また、上記にといて、金属素材と
しては、例えば、アルミニウム箔等を使用することがで
きる。
【0019】次に、上記の本発明において、上記のよう
な材料を使用して積層体を製造する方法について説明す
ると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−
トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドラ
イラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション
法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形
法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション
法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うこ
とができる。而して、本発明においては、上記の積層を
行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処
理、フレ−ム処理、その他等の前処理をフィルムに施す
ことができ、また、例えば、ポリエステル系、イソシア
ネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリ
ブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング
剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエ
ステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス
系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−
コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0020】次に、本発明において、上記のような積層
体を使用して製袋ないし製函する方法について説明する
と、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等から
なる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した積層
体を使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対
向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね
合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部
を設けて袋体を構成することができる。而して、その製
袋方法としては、上記の積層体を、その内層の面を対向
させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、
更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二
方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ
−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付
シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ
−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかか
る種々の形態の包装用容器を製造することができる。そ
の他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)
等も製造することが可能であり、更に、本発明において
は、上記の積層材を使用してチュ−ブ容器等も製造する
ことができる。上記において、ヒ−トシ−ルの方法とし
ては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルト
シ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−
ル等の公知の方法で行うことができる。なお、本発明に
おいては、上記のような包装用容器には、例えば、ワン
ピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出
口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けること
ができる。
【0021】次にまた、包装用容器として、紙基材を含
む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙
基材を積層した積層材を製造し、これから所望の紙容器
を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板
を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブ
リックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップ
タイプの液体用紙容器等を製造することができる。ま
た、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等の
いずれのものでも製造することができる。
【0022】本発明において、上記のようにして製造し
た包装用容器は、透明性、酸素ガス、水蒸気等に対する
ガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加
工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有
し、また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止
し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化
を防止して、バリア性膜として優れた耐性を発揮し、例
えば、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯
磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他
等の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れてい
るものである。
【0023】
【実施例】実施例1 巻き取り式の真空蒸着装置を使用し、厚さ25μmの無
延伸ポリプロピレンフィルム(東レ合成株式会社製、製
品名、3259T)を基材とし、その片面に、放電プラ
ズマ発生装置を用いて、プラズマ出力20kW、酸素
(O2 ):アルゴン(Ar)=19:1からなる混合ガ
スを使用し、その混合ガス圧6×10-5Torr、処理
速度600mm/minで酸素/アルゴン混合ガスプラ
ズマ処理を蒸着前にインラインで行い、次いで、アルミ
ニウムを蒸着源に用いてエレクトロンビ−ム(EB)加
熱方式による真空蒸着法により、膜厚300Åのアルミ
ニウムの蒸着膜を形成して、本発明にかかるガスバリア
性フィルムを製造した。
【0024】実施例2 上記の実施例1と同様に、巻き取り式の真空蒸着装置を
使用し、厚さ25μmの無延伸ポリプロピレンフィルム
(東レ合成株式会社製、製品名、3259T)を基材と
し、その片面に、放電プラズマ発生装置を用いて、プラ
ズマ出力35kW、酸素(O2 ):アルゴン(Ar)=
19:1からなる混合ガスを使用し、その混合ガス圧6
×10-5Torr、処理速度600mm/minで酸素
/アルゴン混合ガスプラズマ処理を蒸着前にインライン
で行い、次いで、アルミニウムを蒸着源に用いてエレク
トロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法によ
り、膜厚200Åのアルミニウムの蒸着膜を形成して、
本発明にかかるガスバリア性フィルムを製造した。
【0025】比較例1 上記の実施例1と同様に、厚さ25μmの無延伸ポリプ
ロピレンフィルム(東レ合成株式会社製、製品名、32
59T)を基材とし、その片面に、アルミニウムを蒸着
源に用いてエレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による
真空蒸着法により、蒸着速度600m/sで、膜厚30
0Åのアルミニウムの蒸着膜を形成して、アルミニウム
蒸着フィルムを製造した(酸素ガスとアルゴンガスとの
混合ガスを使用してプラズマ処理を行わなかった。)。
【0026】比較例2 上記の実施例1と同様に、巻き取り式の真空蒸着装置を
使用し、厚さ25μmの無延伸ポリプロピレンフィルム
(東レ合成株式会社製、製品名、3259T)を基材と
し、その片面に、放電プラズマ発生装置を用いて、プラ
ズマ出力20kW、ガス圧6×10-5Torr、処理速
度600mm/minでアルゴンガスだけを用いたプラ
ズマ処理を蒸着前にインラインで行い、次いで、アルミ
ニウムを蒸着源に用いてエレクトロンビ−ム(EB)加
熱方式による真空蒸着法により、膜厚300Åのアルミ
ニウムの蒸着膜を形成して、アルミニウム蒸着フィルム
を製造した(アルゴンガスのみによるプラズマ前処
理)。
【0027】実験例 上記の実施例1〜2、および、比較例1〜2で製造した
各ガスバリア性フィルム、および、アルミニウム蒸着フ
ィルムを使用し、下記に示す評価項目について試験を行
い、そのデ−タを測定した。 (1).酸素透過度の測定 上記で製造した各蒸着フィルムを使用し、温度25℃、
湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)
社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN
2/20)〕を使用して測定した。 (2).水蒸気透過度の測定 上記で製造した各蒸着フィルムを使用し、温度37.8
℃、湿度100%RHの条件で、米国、モコン(MOC
ON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERM
ATRAN 3/31)〕を使用して測定した。 (3).ラミネ−ト適性評価 上記で製造した各ガスバリア性フィルム、および、アル
ミニウム蒸着フィルムを使用し、まず、その蒸着膜面
に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−
トフィルム(二村化学工業株式会社製、製品名、FE2
001)を重ね合わせ、その両者を2液硬化型のポリウ
レタン系接着剤(武田薬品工業株式会社製、製品名、タ
ケラック A−515/タケネ−ト A−50)を用い
て、塗工量4g/m2 (dry)でドライラミネ−ト
し、しかる後、24時間エ−ジング処理して、積層体を
製造し、その積層体についてラミネ−ト強度、バリア
性、ゲルボテストを実施した。ラミネ−ト強度の測定法
は、ラミネートフィルムを15mm幅短冊状に切ったサ
ンプルを低速引張試験機により、引張速度300mm/
min、180度剥離にてラミネート強度測定を行っ
た。上記の測定結果について、下記の表1、表2、表
3、および、表4に示す。
【0028】
【表1】ガスバリア性フィルム、および、アルミニウム
蒸着フィルムの酸素透過度、および、水蒸気透過度の評
価結果
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】上記の結果より明らかなように、実施例1
〜2のものは、いずれの測定項目においても優れてい
た。
【0033】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明
は、蒸着膜形成直前の無延伸ポリプロピレンフィルムの
表面に、酸素ガスによるプラズマ処理、または、酸素ガ
スとアルゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガスによ
るプラズマ処理を行い、次いで、そのプラズマ処理面
に、アルミニウムの蒸着膜を形成したところ、緻密なア
ルミニウムの蒸着膜を形成することができ、かつ、従来
品と比較して、より薄い膜厚でも十分にハイバリア性を
有し、更に、無延伸ポリプロピレンフィルムの表面とア
ルミニウムの蒸着膜との密着性に優れ、その結果、酸素
ガスあるいは水蒸気等に対する極めて高いバリア性を有
し、かつ、印刷加工適性、ラミネ−ト加工適性、製袋加
工適性等の後処理加工適性に優れ、例えば、飲食品、医
薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物
品を充填包装するに有用なガスガスバリア性フィルムを
製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるガスバリア性フィルムについて
その一例の層構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明にかかるガスバリア性フィルムの製造法
についてその一例を例示する巻き取り式真空蒸着装置の
概略的構成図である。
【符号の説明】
1 ガスバリア性フィルム 2 無延伸ポリプロピレンフィルム 3a プラズマ処理面 3b プラズマ処理面 4 アルミニウムの蒸着膜 11 巻き取り式真空蒸着装置 12 真空チャンバ− 13 巻き出しロ−ル 14 無延伸ポリプロピレンフィルム 15、16 ガイドロ−ル 15´、16´ ガイドロ−ル 17 冷却したコ−ティングドラム 18 プラズマ発生口 19 蒸着源 20 るつぼ 21 マスク 22 巻き取りロ−ル

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無延伸ポリプロピレンフィルムの表面
    に、酸素ガスによるプラズマ処理面、または、酸素ガス
    とアルゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガスによる
    プラズマ処理面を設け、更に、該プラズマ処理面に、ア
    ルミニウムの蒸着膜を設けたことを特徴とするガスバリ
    ア性フィルム。
  2. 【請求項2】 アルミニウムの蒸着膜を設ける直前の無
    延伸ポリプロピレンフィルムの表面に、インラインでプ
    ラズマ処理面を設けたことを特徴とする上記の請求項1
    に記載するガスバリア性フィルム。
  3. 【請求項3】 アルミニウムの蒸着膜が、膜厚100Å
    〜2000Åであることを特徴とする上記の請求項1ま
    たは2に記載するガスバリア性フィルム。
  4. 【請求項4】 アルミニウムの蒸着膜が、膜厚100Å
    〜1000Åであることを特徴とする上記の請求項1、
    2または3に記載するガスバリア性フィルム。
  5. 【請求項5】 無延伸ポリプロピレンフィルムの表面
    に、酸素ガスによるプラズマ処理、または、酸素ガスと
    アルゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガスによるプ
    ラズマ処理を行い、次いで、アルミニウムの蒸着膜を形
    成することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造
    法。
  6. 【請求項6】 アルミニウムの蒸着膜を形成する直前の
    無延伸ポリプロピレンフィルムの表面に、インラインで
    プラズマ処理を行うことを特徴とする上記の請求項5に
    記載するガスバリア性フィルムの製造法。
  7. 【請求項7】 酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス
    が、そのガス圧が、1×10-1〜1×10-10 Torr
    であり、その比率が、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス
    =100:0〜30:70であり、そのプラズマ出力
    が、5〜70kWであり、その処理速度が、50〜80
    0m/minであることを特徴とする上記の請求項5ま
    たは6に記載するガスバリア性フィルムの製造法。
  8. 【請求項8】 酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス
    が、そのガス圧が、1×10-4〜1×10-8Torrで
    あり、その比率が、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス=
    90:10〜70:30であり、そのプラズマ出力が、
    10〜50kWであり、その処理速度が、200〜60
    0m/minであることを特徴とする上記の請求項5、
    6または7に記載するガスバリア性フィルムの製造法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004203022A (ja) * 2002-12-10 2004-07-22 Toppan Printing Co Ltd 帯電防止性能を有する強密着蒸着フィルム
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US6800573B2 (en) 2000-09-01 2004-10-05 Sympatex Technologies Gmbh Water-vapor-permeable, watertight, and heat-reflecting flat composite, process for its manufacture, and use thereof
JP2012097331A (ja) * 2010-11-04 2012-05-24 Toray Advanced Film Co Ltd 金属蒸着フィルムの製造方法

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