JPH11274009A - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサおよびその製造方法

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JPH11274009A
JPH11274009A JP7873498A JP7873498A JPH11274009A JP H11274009 A JPH11274009 A JP H11274009A JP 7873498 A JP7873498 A JP 7873498A JP 7873498 A JP7873498 A JP 7873498A JP H11274009 A JPH11274009 A JP H11274009A
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JP
Japan
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layer
electrolytic capacitor
manganese dioxide
solid electrolytic
dioxide powder
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Application number
JP7873498A
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English (en)
Inventor
Takehiro Shimizu
健博 清水
Takashi Dodo
隆史 堂々
Yasuhiro Yano
康洋 矢野
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Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静電容量、誘電正接および等価直列抵抗のコ
ンデンサ特性を保持したまま、熱ストレスによるクラッ
クの発生数を減少させる固体電解コンデンサおよびその
製造方法を提供する。 【解決手段】 弁作用金属からなる陽極基体上に、誘電
体酸化皮膜、半導体層および導電体層を形成してなる固
体電解コンデンサにおいて、半導体層が、第1〜3層を
含んで構成されており、かつ、第1層が、二酸化マンガ
ン層であり、第2層が、二酸化マンガン粉末および樹脂
を含む層であり、第3層が、二酸化マンガン粉末を含む
二酸化マンガン層である固体電解コンデンサおよびその
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解コンデン
サおよびその製造方法に関する。より詳しくは、耐熱ク
ラック性(熱ストレスに起因したクラック)等の特性に
優れた固体電解コンデンサおよびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に固体電解コンデンサは、図1に示
す構造を有し、以下のように作製されている。すなわ
ち、陽極線1を埋め込んだ形で、弁作用(皮膜形成性)
を有する、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、
チタン(Ti)、ニオブ(Nb)等の金属粉末を圧縮成
型して陽極体2とする。次いで、得られた陽極体2上
に、例えば化成処理法(陽極酸化法)を用いて、誘電体
層である陽極酸化皮膜2aを形成する。次いで、形成さ
れた陽極酸化皮膜2a上に半導体層(固体電解質層)4
を形成し、さらに半導体層4上に、陰極層としてのカー
ボン層5および銀層6をそれぞれ形成する。次いで、形
成された陰極層5、6の上に、陰極取り出し用のリード
フレーム8を、はんだあるいは導電性接着剤7等を用い
て電気的に接続し、最後に周囲をモールド樹脂9で外装
して、固体電解コンデンサを構成している。
【0003】ここで、固体電解コンデンサにおける半導
体層としては、二酸化マンガン(MnO2)が多用され
ており、その形成方法としては、工程の簡易さと原料が
安価であるという理由から、硝酸マンガン水溶液を含浸
熱分解する方法が一般的に採られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、硝酸マ
ンガン水溶液を含浸熱分解する方法では、1回の形成処
理により形成することができる二酸化マンガン層の厚さ
が極めて薄く、所望の厚さの二酸化マンガン層を形成す
るためには、この形成処理を例えば10回程度繰り返す
必要があった。また、この含浸熱分解により形成される
二酸化マンガン層は、軟らかくまた剥離し易いという問
題が見られた。加えて、この含浸熱分解により形成され
る二酸化マンガン層の厚さを制御することが容易でな
く、局部的に肥大しやすいという欠点も有していた。
【0005】そこで、特開昭51−76569号公報に
は、二酸化マンガン粉末を水、アルコール、シンナー、
四塩化炭素、炭酸アンモニウム等の揮発性溶剤からなる
混合溶液に浸漬させ、乾燥して、その後硝酸マンガン水
溶液を用いて含浸熱分解することにより、固体電解コン
デンサにおける半導体層として、二酸化マンガン層を形
成する方法が開示されている。
【0006】また、特開昭52−38159号公報に
は、二酸化マンガン粉末を、水、エタノール、アセトン
等の分散媒に懸濁させた溶液に浸漬させ、乾燥して、そ
の後硝酸マンガン水溶液を用いて含浸熱分解することに
より、固体電解コンデンサにおける半導体層として、二
酸化マンガン層を形成する方法が開示されている。
【0007】しかしながら、これらに開示された方法で
は、下地としての陽極酸化皮膜に対する二酸化マンガン
粉末の密着力が乏しく、剥離し易いという問題が見られ
た。また、硝酸マンガン水溶液を用いて含浸熱分解を行
っても、均一な塗膜を形成し難いという問題もあった。
また、ポーラスな陽極体の内部(陽極線近傍)まで二酸
化マンガン粉末を十分に含浸させることができず、陽極
体内部での二酸化マンガン層の形成不足によりコンデン
サ特性として10kHz領域での静電容量の低下が著し
いという問題もあった。したがって、静電容量が低下す
ると、陽極体との接触抵抗も大きくなるため、誘電正接
(tanδ)及び等価直列抵抗(ESR)の値も増大す
るという問題もあった。さらに、上述した方法で作製さ
れた固体電解コンデンサは、この固体電解コンデンサを
外装する際や、基板へ実装するの際のはんだ付けの熱ス
トレスによる応力が緩和できず、二酸化マンガン層にク
ラックが生じやすいという問題を有していた。
【0008】そこで、本発明は、上述した問題に鑑みな
されたものであり、均一な半導体層を形成することがで
き、静電容量の値が大きく、耐熱クラック性に優れた固
体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、弁作用金属か
らなる陽極基体上に、誘電体酸化皮膜、半導体層および
導電体層を形成してなる固体電解コンデンサにおいて、
半導体層が、第1〜3層を含んで構成されており、か
つ、第1層が、二酸化マンガン層であり、第2層が、二
酸化マンガン粉末および樹脂を含む層であり、第3層
が、二酸化マンガン粉末を含む二酸化マンガン層である
固体電解コンデンサに関する。
【0010】また、本発明の固体電解コンデンサを構成
するにあたり、第2層および第3層またはいずれか一方
にカーボン粉末を含有することが好ましい。
【0011】また、本発明の固体電解コンデンサを構成
するにあたり、第2層におけるカーボン粉末の配合量
を、二酸化マンガン粉末100重量部に対して、5.0
〜25.0重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
【0012】また、本発明の固体電解コンデンサを構成
するにあたり、第3層におけるカーボン粉末の配合量
を、二酸化マンガン粉末100重量部に対して、5.0
〜25.0重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
【0013】また、本発明の固体電解コンデンサを構成
するにあたり、第3層における二酸化マンガン粉末の配
合量を、同じく第3層における二酸化マンガン(二酸化
マンガン粉末を除く)100重量部に対して、5.0〜
110重量部の範囲内の値とすることが好ましい。な
お、第3層における二酸化マンガンを、例えば、硝酸マ
ンガン水溶液を熱分解して得る場合には、この得られた
二酸化マンガンを基準として、二酸化マンガン粉末を添
加することが好ましい。
【0014】また、本発明の固体電解コンデンサを構成
するにあたり、第2層および第3層またはいずれか一方
にシラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリン
グ剤、チタネート系カップリング剤およびジルコネート
系カップリング剤からなる群から選択される少なくとも
一つのカップリング剤を含有することが好ましい。
【0015】また、本発明の固体電解コンデンサを構成
するにあたり、第2層の厚さを0.01〜50μmの範
囲内の値とすることが好ましい。
【0016】また、本発明の固体電解コンデンサを構成
するにあたり、第3層の厚さを0.01〜50μmの範
囲内の値とすることが好ましい。
【0017】また、本発明の別の態様は、弁作用金属か
らなる陽極基体上に、誘電体酸化皮膜、半導体層および
導電体層を形成してなる固体電解コンデンサの製造方法
において、半導体層が、第1〜3層を含んで構成されて
おり、かつ、第1層を、硝酸マンガン水溶液を含浸熱分
解することにより形成し、第2層を、二酸化マンガン粉
末および樹脂を含むペーストを塗布乾燥することにより
形成し、第3層を、二酸化マンガン粉末を含む硝酸マン
ガン水溶液を含浸熱分解することにより形成することを
特徴とする固体電解コンデンサの製造方法に関する。
【0018】また、本発明の固体電解コンデンサの製造
方法を実施するにあたり、第1層を、150〜350℃
の範囲内の温度で、硝酸マンガン水溶液を含浸熱分解し
て形成することが好ましい。このような範囲内の温度で
熱分解することにより、より緻密な薄膜としての第1層
を形成することができる。
【0019】また、本発明の固体電解コンデンサの製造
方法を実施するにあたり、第2層を、80〜220℃の
範囲内の温度で、加熱することにより形成するのが好ま
しい。このような範囲内の温度で加熱することにより、
より緻密な薄膜としての第2層を形成することができ
る。したがって、耐熱クラック性を向上させ、等価直列
抵抗の値や漏れ電流の値を低下させることができる。
【0020】また、本発明の固体電解コンデンサの製造
方法を実施するにあたり、第3層を、150〜350℃
の範囲内の温度で、硝酸マンガン水溶液を含浸熱分解し
て形成することが好ましい。このような範囲内の温度で
熱分解することにより、より緻密な薄膜としての第3層
を形成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図1およ
び図2を参照しつつ具体的に説明する。図1は、本発明
のタンタルチップ型固体電解コンデンサ10についての
平面図である。この固体電解コンデンサ10は、陽極線
1を備える陽極体2と、陽極酸化皮膜2aと、半導体層
4と、カーボン層5と、銀層6と、リードフレーム8
と、モールド樹脂9とから構成されている。
【0022】そして、陽極体2は、弁作用(皮膜形成
性)を有する金属粉末に,タンタル等からなる陽極線
(タンタルリード線)1の一端を埋め込んだ状態で、プ
レス機を用いて圧縮成型し、陽極線1のもう一方の片端
が露出した成形体として形成してある。なお、弁作用
(皮膜形成性)を有する金属粉末としては、タンタル、
アルミニウム、チタン、ニオブ等を単独で、または2種
以上を組み合わせて使用することが好ましい。
【0023】また、陽極酸化皮膜2aは、陽極体2の表
面上に形成してある。一例として、陽極酸化皮膜2aを
次のようにして形成することができる。まず、陽極体2
を真空中で2000℃程度の温度で10分間加熱して焼
結体とする。次いで、得られた焼結体における陽極線1
を、ステンレス等の金属製バーに溶接し、これらを、電
圧を印加するための電極とする。次いで、焼結体を例え
ば酢酸、硝酸、リン酸等の化成液中で、電極と化成液と
の間に、所定の電圧を一定時間印加する。そして、Ta
25等から構成される皮膜を、陽極酸化皮膜2aとして
表面に形成することができる。なお、この陽極酸化皮膜
2aを、誘電体層と称する場合もある。
【0024】また、半導体層4は、陽極酸化皮膜2aを
備えた陽極体2の表面上に形成してある。この半導体層
4は、図2に示すように、第1〜3層4a〜4cを含ん
で構成されている。第1層4aは二酸化マンガン層であ
り、第2層4bは二酸化マンガン粉末および樹脂を含む
層であり、第3層4cは二酸化マンガン粉末を含む二酸
化マンガン層である。なお、第2層4bおよび第3層4
cには、それぞれカーボン粉末を含むこともある。
【0025】この第1層4aを、陽極酸化皮膜2aを備
えた陽極体2上に形成することにより、ポーラスで表面
が凸凹している陽極体2である下地になじんで、表面を
概ね均一とすることができる。この点、第1層4aは、
陽極酸化皮膜2aを備えた陽極体2を構成する粒子間に
まで、一部入り込んでいることから理解されるであろ
う。また、樹脂を含んだ第2層4bを、第1層4a上に
形成することにより、半導体層4の耐熱クラック性を顕
著に向上させることができる。さらに、二酸化マンガン
粉末を含む第3層4cを、第2層4b上に形成すること
により、半導体層4を全体として緻密な層とすることが
でき、固体電解コンデンサの静電容量等の特性を向上さ
せることができる。
【0026】ここで、第2層および第3層を形成する際
に使用する二酸化マンガン粉末について説明する。第2
層および第3層に用いられる二酸化マンガン粉末とし
て、例えば、α型、β型、γ型またはε型の結晶構造を
有する二酸化マンガン粉末が挙げられるが、導電性を考
慮するとβ型の結晶構造を有する二酸化マンガン粉末が
好ましい。なお、このβ型の結晶構造を有する二酸化マ
ンガン粉末は、市販の二酸化マンガン粉末を、250〜
400℃の温度で、1〜5時間加熱することにより、容
易に得ることができる。
【0027】また、第2層および第3層に用いられる二
酸化マンガン粉末の平均粒子径も特に制限されるもので
はないが、分散性が良好で、緻密な層形成が容易な観点
から、0.01〜50μmの範囲内のものが好ましく、
0.01〜10μmの範囲内のものがより好ましい。
【0028】また、第2層および第3層に用いられる二
酸化マンガン粉末の配合量も特に制限されるものではな
いが、第2層においては、二酸化マンガン粉末および樹
脂の総量の1〜90重量%の範囲内の値とするのが好ま
しく、5〜80重量%の範囲内の値とするのがより好ま
しく、20〜70重量%の範囲内の値とするのがさらに
好ましい。二酸化マンガン粉末の配合量が1重量%未満
では、第2層を均一に形成することが困難となり、漏れ
電流等の特性が劣化する傾向があり、90重量%を超え
ると、ペーストとしての塗布性や密着性が低下する傾向
がある。
【0029】また、第3層においては、二酸化マンガン
粉末を、例えば硝酸マンガン水溶液を熱分解して得られ
る二酸化マンガン100重量部に対して、5.0〜11
0重量部の範囲内の値とするのが好ましく、20〜10
0重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、30〜
90重量部の範囲内の値とするのがさらに好ましい。二
酸化マンガン粉末の配合量が5.0重量部未満では、第
3層を均一に形成することが困難となり、漏れ電流等の
特性が劣化する傾向があり、110重量部を超えると、
塗布性や密着性が低下する傾向がある。
【0030】次に、第2層および第3層を形成する際に
使用するカップリング剤について説明する。第2層およ
び第3層に用いられるカップリング剤は任意成分である
が、このカップリング剤を添加することにより、二酸化
マンガン粉末の分散性を飛躍的に向上させることができ
る。
【0031】また、カップリング剤の種類も特に制限さ
れるものではないが、シラン系カップリング剤、アルミ
ニウム系カップリング剤、チタネート系カップリング剤
およびジルコネート系カップリング剤からなる群から選
択される少なくとも一つのカップリング剤を使用するこ
とが好ましい。より具体的には、γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシチタン、
γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシチタン等を単
独で、または2種以上を組み合わせて使用することがで
きる。
【0032】また、カップリング剤の配合量も特に制限
さるものではないが、二酸化マンガン粉末100重量部
に対して、0.1〜10重量部の範囲内の値とするのが
好ましく、0.3〜5重量部の範囲内の値とするのがよ
り好ましく、0.5〜2重量部の範囲内の値とするのが
さらに好ましい。カップリング剤の配合量が0.1重量
部未満となると、二酸化マンガン粉末の分散性が低下す
る傾向があり、一方、10重量部を超えると、二酸化マ
ンガン粉末の導電性が低下する傾向がある。
【0033】次に、第2層を形成する際に使用する樹脂
について説明する。第2層に用いられる樹脂は、水溶性
であり、かつ二酸化マンガン粉末との容易に混合可能な
ものであれば好ましい。具体的には、セルロース、メチ
ルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等
のポリグリコール類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸
ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、
水溶性アルキド樹脂、ポリエチレンイミンおよびポリビ
ニルアルコールが好ましいものとして例示される。これ
らの樹脂は、単独で用いても良く、または2種以上を組
み合わせて用いても良い。
【0034】また、第2層に用いられる樹脂の配合量も
特に制限されるものではないが、二酸化マンガン粉末お
よび樹脂の総量の0.5〜40重量%の範囲内の値とす
るのが好ましく、1〜20重量%の範囲内の値とするの
がより好ましく、2〜10重量%の範囲内の値とするの
がさらに好ましい。樹脂の配合量が0.5重量%未満で
は、二酸化マンガン粉末の分散性が低下し、第2層を均
一に形成することが困難となり、漏れ電流等の特性が劣
化する傾向がある。一方40重量%を超えると、第2層
の導電性が低下して、固体電解コンデンサの性能が低下
する傾向がある。
【0035】次に、第2層および第3層またはいずれか
一方に含有させるカーボン粉末について説明する。カー
ボン粉末は任意成分であるが、第2層および第3層に含
有させることにより、固体電解コンデンサにおける静電
容量を増加させることができる点で好ましい。
【0036】第2層および第3層に使用するカーボン粉
末の種類も特に制限されるものではないが、例えば、カ
ーボンブラック、グラファイトカーボン等を使用するこ
とが好ましい。
【0037】また、第2層および第3層におけるカーボ
ン粉末の配合量も特に制限されるものではないが、二酸
化マンガン粉末100重量部に対して、5.0〜25重
量部の範囲内の値とするのが好ましく、10.0〜2
0.0重量の範囲内の値とするのがより好ましい。カー
ボン粉末の配合量が5.0重量部未満であると、固体電
解コンデンサにおける静電容量の増加に寄与しない傾向
があり、一方、25重量部を超えると、漏れ電流の値が
増加する傾向がある。
【0038】また、第2層および第3層に用いられるカ
ーボン粉末の平均粒子径も特に制限されるものではない
が、分散性が良好で、緻密な層形成が容易な観点から、
0.01〜50μmの範囲内のものが好ましく、0.0
1〜10μmの範囲内のものがより好ましい。
【0039】次に、固体電解コンデンサにおける半導体
層4の形成方法について説明する。半導体層4の形成方
法は特に制限されるものではないが、下記工程(A)〜
(C)を含んで形成することが好ましい。 (A)第1層形成工程 誘電体層3が形成された成形体を、硝酸マンガン水溶液
に含浸させ、それを熱分解することにより第1層を形成
する(含浸熱分解と称する。)。含浸熱分解の条件とし
ては、150℃〜350℃の範囲内の温度で、20〜1
20分間焼成することが好ましい。なお、第1層を、誘
電体層3が形成されたポーラスな成形体表面に、密着し
て形成するため、上述した含浸熱分解を、工程短縮の面
から1〜9回繰り返すことが好ましく、2〜7回繰り返
すことがより好ましい。
【0040】(B)第2層形成工程 また、第1層が形成された成形体を、二酸化マンガン粉
末、カーボン粉末および樹脂からなる固体電解質形成用
ペースト中に1〜9秒間、浸漬塗布し、さらに加熱乾燥
することにより、第2層を形成することができる。乾燥
条件としては、まず常温で10〜30分間乾燥し、次い
で80℃〜220℃の範囲内の温度で、オーブン等を用
いて10〜120分間、加熱乾燥することが好ましい。
より好ましくは、180℃〜200℃の範囲内の温度
で、10〜120分間、加熱乾燥することである。な
お、第2層を、第1層表面に、密着して形成するため、
上述した塗布乾燥を、工程短縮の面から1〜3回繰り返
すことが好ましく、1〜2回繰り返すことがより好まし
い。また、第2層をより均一に形成するには、固体電解
質形成用ペースト中に、シランカップリング剤等のカッ
プリング剤を配合したり、またはアルコール系、グリコ
ール系等の分散媒を使用することも好ましい。
【0041】(C)第3層形成工程 また、第1層および第2層が形成された成形体を、二酸
化マンガン粉末およびカーボン粉末を含む硝酸マンガン
水溶液に含浸させ、それを熱分解することにより第3層
を形成することができる(含浸熱分解と称する。)。含
浸熱分解の条件としては、150℃〜350℃の範囲内
の温度で、20〜120分間、焼成することが好まし
い。なお、第3層を、第2層表面に、密着して形成する
ため、上述した含浸熱分解を、工程短縮の面から1〜3
回繰り返すことが好ましく、1〜2回繰り返すことがよ
り好ましい。
【0042】また、このようにして得られた半導体層4
の上に、陰極層の一部としてのカーボン層5を、カーボ
ンペーストの塗布乾燥により形成することができる。ま
た、陰極層のさらに別な一部としての銀層6を、銀ペー
ストの塗布乾燥により形成することができる。なお、こ
のように固体電解コンデンサにおける陰極層を、カーボ
ン層5と銀層6とから構成することにより、抵抗値が低
く、より安定した電極特性が得られる。
【0043】また、固体電解コンデンサにおけるリード
フレーム8を、導電性接着剤7等を用いて、陰極層の一
部である銀層6に対して取り付けることができる。
【0044】また、リードフレーム8が取り付けられた
成形体の周囲を、モールド樹脂9を用いて、例えば浸漬
法等により充填し、本発明の固体電解コンデンサとする
ことができる。なお、モールド樹脂の種類は特に制限さ
れるものではないが、機械的強度に優れ、熱ストレスに
強いことから、エポキシ系樹脂等の絶縁封止樹脂を使用
するのが好ましい。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。但し、以下の記載は、本発明の例示であり、本発
明の範囲はかかる記載に制限されるものではない。ま
た、以下の説明において特に断りがない限り、「部」お
よび「%」は重量基準を意味する。
【0046】[実施例1]直径0.24mmのタンタル
リード線の一端をタンタルの微粉末内に埋め、他端を引
き出した状態で、タンタルの微粉末をプレスして、1.
97mm×2.1mm×2.8mm角の成形体を作製し
た。次いで、得られた成形体を、真空オーブン中で、2
000℃前後の温度にて10分間焼結した。次いで、焼
結後の成形体を、硝酸からなる化成液に浸漬し、さら
に、タンタルリード線と化成液の間に電圧を印加して化
成し、Ta25の陽極酸化皮膜を成形体上に形成した。
次いで、形成した陽極酸化皮膜上に、半導体層である二
酸化マンガン層(3層構造)を以下の方法で順次形成し
た。なお、含浸焼成回数を、第1層(4回)、第2層
(1回)および第3層(1回)の回数を合計して、6回
と表1に示してある。
【0047】第1層 陽極酸化皮膜を形成した成形体を、硝酸マンガン水溶液
中に浸漬し、250℃、60分の条件で焼成し、熱分解
した。そして、同じ処理を4回繰り返すことにより二酸
化マンガン層(第1層)を形成した。
【0048】第2層 平均粒子径が2μmである二酸化マンガン粉末(三井金
属株式会社製、商品名RB−A)を、350℃で3時間
熱処理し、β型結晶構造を含む二酸化マンガン粉末とし
た。次いで、この熱処理した二酸化マンガン粉末100
重量部に対して、樹脂としてポリアクリル酸ソーダAC
−103(日本純薬株式会社製)5重量部、純水40重
量部をそれぞれ添加し、三本ロールを用いてそれぞれ均
一に分散させ、固体電界質形成用ペーストを調製した。
その中に、第1層が形成された成形体を浸漬し、一定量
の固体電界質形成用ペーストを、成形体の周囲に塗布し
た。次いで、200℃、60分の条件で固体電界質形成
用ペーストを加熱乾燥することにより、二酸化マンガン
粉末および樹脂からなる層(第2層)を形成した。
【0049】第3層 二酸化マンガン粉末を硝酸マンガン溶液中に分散した混
合溶液中に、第2層まで形成された成形体を浸漬し、2
50℃、60分の条件で焼成することにより、二酸化マ
ンガン粉末を含む二酸化マンガン層を形成した。
【0050】次いで、カーボン層、銀層を順次ペースト
塗布乾燥により形成した。この形成体の陰極部とリード
フレームとを、導電性接着剤により接続し、樹脂モール
ド法で樹脂外装し、定格16V35μFのタンタルチッ
プ型固体電解コンデンサを作製し、以下の評価に供し
た。
【0051】(1)静電容量、誘電正接および等価直列
抵抗の測定 得られた固体電解コンデンサの静電容量、誘電正接(t
anδ)および等価直列抵抗(ESR)を、JIS C
5102に準拠して、電気絶縁計R8340A(アドバ
ンテスト社製)を用いて、それぞれ測定した。なお測定
は、120Hz(低周波)と10KHz(高周波)の2
種類の周波数を用いて行った。結果を表1に示す。
【0052】この結果から理解されるように、周波数が
低周波および高周波域において、それぞれ33.4μ
F、28.7μFという高い静電容量の値が得られた。
なお、静電容量の値としては、120Hz(低周波)の
周波数において、30μF以上の値が得られれば実用上
問題なく、32μF以上の値となれば好ましい。また、
10KHz(高周波)の周波数において、静電容量とし
て26μF以上の値が得られれば実用上問題なく、27
μF以上の値となれば好ましい。
【0053】また、誘電正接については、低周波および
高周波域において、それぞれ0.03および0.64と
いう低い値が得られた。なお、誘電正接の値としては、
120Hz(低周波)の周波数において、0.1以下の
値が得られれば実用上問題なく、0.08以下の値とな
れば好ましい。また、10KHz(高周波)の周波数に
おいて、誘電正接として0.8以下の値が得られれば実
用上問題なく、0.7以下の値となれば好ましい。
【0054】さらに、等価直列抵抗については、低周波
および高周波域において、それぞれ0.4Ωおよび0.
17Ωという低い値が得られた。なお、等価直列抵抗の
値としては、120Hz(低周波)および10KHz
(高周波)のそれぞれの周波数において、1.0Ω以下
の値が得られれば実用上問題なく、等価直列抵抗の値が
0.5Ω以下となれば好ましい。
【0055】(2)漏れ電流の測定 得られた固体電解コンデンサの漏れ電流(LC)を、J
IS C5102に準拠して、電気絶縁計R8340A
(アドバンテスト社製)を用いて測定した。結果を表1
に示す。この結果から理解されるように、0.13μA
という低い漏れ電流の値が得られた。なお、漏れ電流の
値としては、1.0μA以下の値が得られれば実用上問
題なく、漏れ電流の値が0.2μA以下となれば好まし
い。
【0056】(3)耐熱クラック数の測定 漏れ電流を測定した後の固体電解コンデンサを、260
℃のはんだ浴に5秒間浸漬した。その後、はんだ浴から
固体電解コンデンサを取り出し、ダイヤモンドカッター
を用いて中央付近を切断した。その切断面を、走査電子
顕微鏡を用いて観察し、半導体層(第1〜3層)におけ
るクラックの発生数(500箇所当たり)を測定した。
結果を表1に示す。この結果から理解されるように、半
導体層(第1〜3層)には全くクラックの発生は観察さ
れなかった。なお、クラックの発生数としては、15/
500以下の値であれば、固体電解コンデンサを製造す
る際の部留まりの点で実用上問題なく、クラックの発生
数が5/500以下の値となれば製造上の部留まりの点
で好ましい。
【0057】
【表1】
【0058】[実施例2]実施例1と同様に、タンタル
リード線およびタンタルの微粉末を用い、プレス、焼結
および電圧印加等の工程を経て、Ta25の陽極酸化皮
膜が表面に形成された成形体を作製した。次いで、以下
のようにして、半導体層を陽極酸化皮膜上に形成した。
なお、実施例1と比較して、実施例2では、第2層に、
二酸化マンガン粉末100重量部当たり、カーボン粉末
を10重量部の割合で含有させている点に特徴がある。
また、含浸焼成回数を、第1層(4回)、第2層(1
回)および第3層(1回)の回数を合計して、6回と表
1に示してある。
【0059】第1層 陽極酸化皮膜を形成した成形体を、硝酸マンガン溶液中
に浸漬し、焼成(250℃、60分)、再化成を4回繰
り返すことにより二酸化マンガン層(第1層)を形成し
た。
【0060】第2層 二酸化マンガン粉末とカーボン粉末の混合粉を樹脂溶媒
中に分散したペースト中に、第1層が形成された成形体
を浸漬することにより塗布した。次いで、200℃、6
0分の条件でペーストを乾燥することにより、二酸化マ
ンガン粉末および樹脂からなる層(第2層)を形成し
た。
【0061】第3層 二酸化マンガン粉末を硝酸マンガン溶液中に分散した混
合溶液中に、第2層まで形成された成形体を浸漬し、焼
成(250℃、60分)することにより、二酸化マンガ
ン粉末を含む二酸化マンガン層を形成した。
【0062】次いで、このようにして得られた半導体層
上に、カーボン層、銀層を順次ペースト塗布乾燥により
形成した。この形成体の陰極部とリードフレームとを、
はんだもしくは導電性接着剤により接続し、樹脂モール
ド法で樹脂外装し、定格16V35μFのタンタルチッ
プ型固体電解コンデンサを作製し、実施例1と同様の評
価に供した。
【0063】(1)静電容量、誘電正接および等価直列
抵抗の測定 得られた固体電解コンデンサの静電容量の結果を表1に
示すが、この結果から理解されるように、周波数が低周
波および高周波域において、それぞれ33.5μF、2
9.9μFという高い静電容量の値が得られた。したが
って、第2層にカーボン粉末が含まれていない実施例1
と比較して、高周波域における静電容量の値が増加して
いることが確認された。また、誘電正接については、低
周波および高周波域において、それぞれ0.04および
0.63という低い値が得られた。したがって、第2層
にカーボン粉末が含まれていない実施例1と比較して、
同等の静電正接の値が得られることが確認された。さら
に、等価直列抵抗については、低周波および高周波域に
おいて、それぞれ0.4Ωおよび0.15Ωという低い
値が得られた。したがって、第2層にカーボン粉末が含
まれていない実施例1と比較して、同等の等価直列抵抗
の値が得られることが確認された。
【0064】(2)漏れ電流の測定 得られた固体電解コンデンサの漏れ電流測定の結果を表
1に示すが、この結果から理解されるように、0.14
μAという低い値が得られた。したがって、第2層にカ
ーボン粉末が含まれていない実施例1と比較して、同等
か若干低い漏れ電流の値が得られることが確認された。
【0065】(3)耐熱クラック数の測定 得られた固体電解コンデンサにおけるクラックの発生数
を測定した結果を表1に示すが、この結果から理解され
るように、半導体層(第1〜3層)には全くクラックの
発生は観察されなかった。したがって、第2層にカーボ
ン粉末が含まれていない実施例1と比較して、同等の耐
熱クラック性が得られることが確認された。
【0066】[実施例3]実施例1と同様に、タンタル
リード線およびタンタルの微粉末を用い、プレス、焼結
および電圧印加等の工程を経て、Ta25の陽極酸化皮
膜が表面に形成された成形体を作製した。次いで、以下
のようにして、半導体層を陽極酸化皮膜上に形成した。
なお、実施例1と比較して、実施例3では、第3層にカ
ーボン粉末を二酸化マンガン粉末100重量部に対して
10重量部の割合で含有させている点に特徴がある。ま
た、含浸焼成回数を、第1層(4回)、第2層(1回)
および第3層(1回)の回数を合計して、6回と表1に
示してある。
【0067】第1層:陽極酸化皮膜を形成した成形体
を、硝酸マンガン溶液中に浸漬し、焼成(250℃、6
0分)、再化成を4回繰り返すことにより二酸化マンガ
ン層(第1層)を形成した。
【0068】第2層:二酸化マンガン粉末を樹脂溶媒
中に分散したペースト中に、第1層が形成された成形体
を浸漬することにより塗布した。次いで、200℃、6
0分の条件でペーストを乾燥することにより、二酸化マ
ンガン粉末および樹脂からなる層(第2層)を形成し
た。
【0069】第3層 二酸化マンガン粉末およびカーボン粉末の混合粉を硝酸
マンガン溶液中に分散させた溶液中に、第2層まで形成
された成形体を浸漬し、焼成(250℃、60分)する
ことにより、二酸化マンガン粉末を含む二酸化マンガン
層を形成した。
【0070】次いで、このようにして得られたカーボン
層、銀層を順次ペースト塗布乾燥により形成した。この
形成体の陰極部とリードフレームとを、導電性接着剤に
より接続し、樹脂モールド法で樹脂外装し、定格16V
35μFのタンタルチップ型固体電解コンデンサを作製
し、実施例1と同様の評価に供した。
【0071】(1)静電容量、誘電正接および等価直列
抵抗の測定 得られた固体電解コンデンサの静電容量の結果を表1に
示すが、この結果から理解されるように、周波数が低周
波および高周波域において、それぞれ33.5μF、2
9.8μFという高い静電容量の値が得られた。したが
って、第3層にカーボン粉末が含まれていない実施例1
と比較して、高周波域における静電容量の値が増加して
いることが確認された。また、誘電正接については、低
周波および高周波域において、それぞれ0.04および
0.63という低い値が得られた。したがって、第3層
にカーボン粉末が含まれていない実施例1と比較して、
同等の静電正接の値が得られることが確認された。さら
に、等価直列抵抗については、低周波および高周波域に
おいて、それぞれ0.3Ωおよび0.10Ωという低い
値が得られた。したがって、第3層にカーボン粉末が含
まれていない実施例1と比較して、かなり低い等価直列
抵抗の値が得られることが確認された。
【0072】(2)漏れ電流の測定 得られた固体電解コンデンサの漏れ電流測定の結果を表
1に示すが、この結果から理解されるように、0.14
μAという低い値が得られた。したがって、第3層にカ
ーボン粉末が含まれていない実施例1と比較して、同等
の漏れ電流の値が得られることが確認された。
【0073】(3)耐熱クラック数の測定 得られた固体電解コンデンサにおけるクラックの発生数
を測定した結果を表1に示すが、この結果から理解され
るように、半導体層(第1〜3層)には全くクラックの
発生は観察されなかった。したがって、第3層にカーボ
ン粉末が含まれていない実施例1と比較して、同等の耐
熱クラック性が得られることが確認された。
【0074】[実施例4]実施例1と同様に、タンタル
リード線およびタンタルの微粉末を用い、プレス、焼結
および電圧印加等の工程を経て、Ta25の陽極酸化皮
膜が表面に形成された成形体を作製した。次いで、以下
のようにして、半導体層を陽極酸化皮膜上に形成した。
なお、実施例1と比較して、実施例4では、第2層およ
び第3層にそれぞれカーボン粉末を、二酸化マンガン粉
末100重量部に対して10重量部の割合で含有させて
いる点に特徴がある。また、含浸焼成回数を、第1層
(4回)、第2層(1回)および第3層(1回)の回数
を合計して、6回と表1に示してある。
【0075】第1層 陽極酸化皮膜を形成した成形体を、硝酸マンガン溶液中
に浸漬し、焼成(250℃、60分)、再化成を4回繰
り返すことにより二酸化マンガン層(第1層)を形成し
た。
【0076】第2層 二酸化マンガン粉末およびカーボン粉末の混合粉を樹脂
溶媒中に分散したペースト中に、第1層が形成された成
形体を浸漬することにより塗布した。次いで、200
℃、60分の条件でペーストを乾燥することにより、二
酸化マンガン粉末および樹脂からなる層(第2層)を形
成した。
【0077】第3層 二酸化マンガン粉末およびカーボン粉末の混合粉を硝酸
マンガン溶液中に分散させた溶液中に、第2層まで形成
された成形体を浸漬し、焼成(250℃、60分)する
ことにより、二酸化マンガン粉末を含む二酸化マンガン
層を形成した。
【0078】次いで、このようにして得られた半導体層
上に、カーボン層、銀層を順次ペースト塗布乾燥により
形成した。この形成体の陰極部とリードフレームとを、
はんだもしくは導電性接着剤により接続し、樹脂モール
ド法で樹脂外装し、定格16V35μFのタンタルチッ
プ型固体電解コンデンサを作製し、実施例1と同様の評
価に供した。
【0079】(1)静電容量、誘電正接および等価直列
抵抗の測定 得られた固体電解コンデンサの静電容量の結果を表1に
示すが、この結果から理解されるように、周波数が低周
波および高周波域において、それぞれ33.7μF、3
0.0μFという高い静電容量の値が得られた。したが
って、第2層および第3層にカーボン粉末が含まれてい
ない実施例1と比較して、特に高周波域における静電容
量の値が増加していることが確認された。また、誘電正
接については、低周波および高周波域において、それぞ
れ0.04および0.65という低い値が得られた。し
たがって、第2層および第3層にカーボン粉末が含まれ
ていない実施例1と比較して、同等の静電正接の値が得
られることが確認された。さらに、等価直列抵抗につい
ては、低周波および高周波域において、それぞれ0.3
Ωおよび0.10Ωという低い値が得られた。したがっ
て、第2層および第3層にカーボン粉末が含まれていな
い実施例1と比較して、かなり低い等価直列抵抗の値が
得られることが確認された。
【0080】(2)漏れ電流の測定 得られた固体電解コンデンサの漏れ電流測定の結果を表
1に示すが、この結果から理解されるように、0.15
μAという低い値が得られた。したがって、第2層およ
び第3層にカーボン粉末が含まれていない実施例1と比
較して、同等の漏れ電流の値が得られることが確認され
た。
【0081】(3)耐熱クラック数の測定 得られた固体電解コンデンサにおけるクラックの発生数
を測定した結果を表1に示すが、この結果から理解され
るように、半導体層(第1〜3層)には全くクラックの
発生は観察されなかった。したがって、第2層および第
3層にカーボン粉末が含まれていない実施例1と比較し
て、同等の耐熱クラック性が得られることが確認され
た。
【0082】[比較例1]半導体層である二酸化マンガ
ン層の形成を、硝酸マンガン溶液への浸漬、焼成(25
0℃、60分)、再化成を10回線り返した以外は、実
施例1と同様の条件および手法により、定格16V35
μFのタンタルチップ型固体電解コンデンサを作製し
た。得られた固体電解コンデンサを、実施例1と同様の
評価に供した。
【0083】(1)静電容量、誘電正接および等価直列
抵抗の測定 得られた固体電解コンデンサの静電容量の結果を表1に
示すが、この結果から理解されるように、周波数が低周
波および高周波域において、それぞれ33.4μF、2
8.0μFという静電容量の値が得られた。したがっ
て、実施例1と比較して、高周波域における静電容量の
値が低下していることが確認された。また、誘電正接に
ついては、低周波および高周波域において、それぞれ
0.04および0.65という低い値が得られた。した
がって、実施例1と比較して、同等の静電正接の値が得
られることが確認された。さらに、等価直列抵抗につい
ては、低周波および高周波域において、それぞれ0.5
Ωおよび0.2Ωという比較的高い値が得られた。した
がって、実施例1と比較して、等価直列抵抗の値が若干
高くなることが確認された。
【0084】(2)漏れ電流の測定 得られた固体電解コンデンサの漏れ電流測定の結果を表
1に示すが、この結果から理解されるように、0.15
μAという値が得られた。したがって、実施例1と比較
して、漏れ電流の値が若干高くなることが確認された。
【0085】(3)耐熱クラック数の測定 得られた固体電解コンデンサにおけるクラックの発生数
を測定した結果を表1に示すが、この結果から理解され
るように、半導体層(第1〜3層)に、500箇所あた
り10個のクラックの発生が観察された。したがって、
実施例1と比較して、耐熱クラック性が著しく低いこと
が確認された。
【0086】[比較例2]半導体層である二酸化マンガ
ン層の形成を、二酸化マンガン粉を水に混合した溶液に
浸漬して、乾燥して第1層を形成し、その後、硝酸マン
ガン溶液への浸漬、焼成(400℃、10分)を7回繰
り返して第2層を形成した以外は、実施例1と同様の条
件および手法により、定格16V35μFのタンタルチ
ップ型固体電解コンデンサを作製した。得られた固体電
解コンデンサを、実施例1と同様の評価に供した。な
お、含浸焼成回数を、第1層(1回)および第2層(7
回)の回数を合計して、8回と表1に示してある。
【0087】(1)静電容量、誘電正接および等価直列
抵抗の測定 得られた固体電解コンデンサの静電容量の結果を表1に
示すが、この結果から理解されるように、周波数が低周
波および高周波域において、それぞれ33.6μF、1
3.4μFという静電容量の値が得られた。したがっ
て、実施例1と比較して、高周波域における静電容量の
値が著しく低下していることが確認された。また、誘電
正接については、低周波および高周波域において、それ
ぞれ0.10および0.98という高い値が得られた。
したがって、実施例1と比較して、静電正接の値が増加
することが確認された。さらに、等価直列抵抗について
は、低周波および高周波域において、それぞれ2.0Ω
および1.2Ωという極めて高い値が得られた。したが
って、実施例1と比較して、等価直列抵抗の値が高くな
り、導電性が低下していることが確認された。
【0088】(2)漏れ電流の測定 得られた固体電解コンデンサの漏れ電流測定の結果を表
1に示すが、この結果から理解されるように、0.30
μAという高い値が得られた。したがって、実施例1と
比較して、漏れ電流の値が高くなることが確認された。
【0089】(3)耐熱クラック数の測定 得られた固体電解コンデンサにおけるクラックの発生数
を測定した結果を表1に示すが、この結果から理解され
るように、半導体層(第1〜3層)に、500箇所あた
り200個のクラックの発生が観察された。したがっ
て、実施例1と比較して、耐熱クラック性が著しく低い
ことが確認された。
【0090】
【発明の効果】本発明により、静電容量、誘電正接およ
び等価直列抵抗のコンデンサ特性を保持したまま、熱ス
トレスによるクラックの発生数を減少させることが可能
となった。また、本発明により、半導体層を均一かつ厚
く陽極体上に形成することができるようになり、従来の
半導体層の形成方法と比較して、硝酸マンガン水溶液の
含浸熱分解工程数を削滅することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の固体電解コンデンサを示す平面図で
ある。
【図2】 本発明の固体電解コンデンサにおける半導体
層部分を示す部分拡大図である。
【符号の説明】
1: 陽極線 2: 陽極体 2a:陽極酸化皮膜 3: 誘電体層 4: 半導体層 4a:半導体層第1層 4b:半導体層第2層 4c:半導体層第3層 5: カーボン層 6: 銀層 7: 導電性接着剤 8: リードフレーム 9: モールド樹脂 10:タンタルチップ型固体電解コンデンサ

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁作用金属からなる陽極基体上に、誘電
    体酸化皮膜、半導体層および導電体層を形成してなる固
    体電解コンデンサにおいて、 半導体層が、第1〜3層を含んで構成されており、か
    つ、 第1層が、二酸化マンガン層であり、 第2層が、二酸化マンガン粉末および樹脂を含む層であ
    り、 第3層が、二酸化マンガン粉末を含む二酸化マンガン層
    である固体電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 第2層および第3層またはいずれか一方
    にカーボン粉末を含有してなる請求項1記載の固体電解
    コンデンサ。
  3. 【請求項3】 第2層におけるカーボン粉末の配合量
    を、二酸化マンガン粉末100重量部に対して、5.0
    〜25.0重量部の範囲内の値とする請求項2に記載の
    固体電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】 第3層におけるカーボン粉末の配合量
    を、二酸化マンガン粉末100重量部に対して、5.0
    〜25.0重量部の範囲内の値とする請求項2または3
    に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 第3層における二酸化マンガン粉末の配
    合量を、二酸化マンガン100重量部に対して、5.0
    〜110重量部の範囲内の値とする請求項1〜4のいず
    れか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 【請求項6】 第2層および第3層またはいずれか一方
    にシラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリン
    グ剤、チタネート系カップリング剤およびジルコネート
    系カップリング剤からなる群から選択される少なくとも
    一つのカップリング剤を含有してなる請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  7. 【請求項7】 第2層の厚さを0.01〜50μmの範
    囲内の値とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固
    体電解コンデンサ。
  8. 【請求項8】 第3層の厚さを0.01〜50μmの範
    囲内の値とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の固
    体電解コンデンサ。
  9. 【請求項9】 弁作用金属からなる陽極基体上に、誘電
    体酸化皮膜、半導体層および導電体層を形成してなる固
    体電解コンデンサの製造方法において、 半導体層が、第1〜3層を含んで構成されており、か
    つ、 第1層を、硝酸マンガン水溶液を含浸熱分解することに
    より形成し、 第2層を、二酸化マンガン粉末および樹脂を含むペース
    トを塗布乾燥することにより形成し、 第3層を、二酸化マンガン粉末を含む硝酸マンガン水溶
    液を含浸熱分解することにより形成することを特徴とす
    る固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 【請求項10】 第1層を、150〜350℃の範囲内
    の温度で、硝酸マンガン水溶液を含浸熱分解して形成す
    る請求項9に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  11. 【請求項11】 第2層を、80〜220℃の範囲内の
    温度で、加熱することにより形成する請求項9または1
    0に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  12. 【請求項12】 第3層を、150〜350℃の範囲内
    の温度で、硝酸マンガン水溶液を含浸熱分解して形成す
    る請求項9〜11のいずれか1項に記載の固体電解コン
    デンサの製造方法。
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