JPH11269393A - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物

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JPH11269393A
JPH11269393A JP1229199A JP1229199A JPH11269393A JP H11269393 A JPH11269393 A JP H11269393A JP 1229199 A JP1229199 A JP 1229199A JP 1229199 A JP1229199 A JP 1229199A JP H11269393 A JPH11269393 A JP H11269393A
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resin
amino
thermosetting resin
cured
particles
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JP1229199A
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Masahiko Maeda
雅彦 前田
Kenji Minami
賢次 南
Taketo Toba
健人 鳥羽
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 例えば注型成形用、電気プリント配線基板
用、絶縁板用あるいは繊維強化複合材用の樹脂、更には
塗料用、接着剤用などに用いられる熱硬化性樹脂組成物
として、殊に、難燃性に優れ、かつ耐熱性が良好で成形
時あるいは高温で使用する際にも有害ガスを生成するこ
とのない熱硬化性樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 未硬化の熱硬化性樹脂中に、実質的に不
溶不融性のアミノ系樹脂硬化物粒子が分散している熱硬
化性樹脂組成物であり、上記熱硬化性樹脂としてはラジ
カル重合性樹脂、とりわけ、反応性溶剤を含むビニルエ
ステル系樹脂が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱硬化性樹脂組成物
に関し、例えば注型成形用、電気プリント配線基板用、
絶縁板用あるいは繊維強化複合材用の樹脂、更には塗料
用、接着剤用などの樹脂等として有効に用いられる熱硬
化性樹脂組成物に関し、特に、難燃性に優れ、かつ耐熱
性が良好で成形時あるいは高温で使用する際にも有害ガ
スを生成することのない熱硬化性樹脂組成物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】メラミン系樹脂やグアナミン系樹脂など
のアミノ系樹脂が優れた難燃性を有していることは既に
公知であり、こうしたアミノ系樹脂の特性を成形用材料
として有効に活かすため、例えばビニルエステル系樹脂
の如き成形用ベース樹脂の骨格内にアミノ系化合物を組
み込み、該樹脂に難燃性を付与する方法も開発されてい
る。ところがこれらの方法では、ベース樹脂骨格内への
アミノ系化合物の組込みによりベース樹脂の硬化反応が
阻害されて硬化物の物性が低下したり、あるいは組み込
まれたアミノ系化合物の縮合硬化時にホルマリン等の刺
激性ガスが発生し、作業環境を汚染するといった問題を
生じてくる。更には、成形硬化時に生成する上記ホルマ
リン等の低分子量ガスが気泡状で硬化物の内部に取り込
まれ、これが内部欠陥となって強度低下を起こしたり、
或は生成ガスの放出によって硬化収縮を起こし成形品の
寸法精度が低下するといった問題を生じてくる。
【0003】また樹脂に難燃性を付与する他の方法とし
て、樹脂骨格にブロム等のハロゲン含有有機化合物を導
入もしくは添加する方法、酸化アンチモン等の無機化合
物を添加する方法などが知られているが、前者の方法で
は、焼却処理時に発生するハロゲンガスによる公害問題
がクローズアップされるに及び、最近その使用が忌避さ
れている。これに対し後者の方法では、難燃化と共に充
填強化作用による強度向上効果も期待されるが、酸化ア
ンチモン等の無機質難燃化剤は比較的高価であるという
経済上の問題に加えて、上記ハロゲン系難燃化剤に比べ
ると難燃性に劣る傾向があり、しかもベース樹脂との親
和性が十分でないため充填強化効果も十分とはいえず、
場合によっては衝撃特性等の機械的特性を低下させると
いった問題も生じてくる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、先に
指摘した様な従来の難燃化技術に指摘される問題を生じ
ることなく、特に熱硬化性樹脂を対象としてこれに優れ
た難燃性を付与することのできる技術を開発しようとす
るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物とは、未硬
化の熱硬化性樹脂中に、実質的に不溶不融性のアミノ系
樹脂硬化物粒子が分散しているところに要旨を有してい
る。上記未硬化の熱硬化性樹脂の種類は特に制限されな
いが、好ましいのは、熱硬化反応時に低分子化合物を生
成することのないラジカル重合性の樹脂であり、中でも
特に好ましいのは、ラジカル重合性モノマーを反応性溶
剤として含むビニルエステル系樹脂である。
【0006】
【発明の実施の形態】上記の様に本発明は、未硬化の熱
硬化性樹脂中に、実質的に不溶不融性のアミノ系樹脂完
全硬化物からなる粒子が分散したものであり、該アミノ
系樹脂硬化物の粒子はその中に含まれる窒素(N)によ
る酸素捕捉効果によって優れた難燃性付与作用を発揮す
るばかりでなく、様々の熱硬化性樹脂に対して優れた親
和性を示し、単なる充填強化作用を超えて卓越した物性
改善効果を発揮する。しかも該アミノ系樹脂硬化物粒子
は、追って詳述する如く予め縮合反応を完結したもので
あり、マトリックスとなる未硬化の熱硬化性樹脂と混合
して該樹脂を加熱硬化させる際にも安定でホルムアルデ
ヒド等の低分子化合物を生成することがなく、先に従来
技術で指摘した様な低分子量ガスの生成による雰囲気汚
染や硬化物の気孔欠陥等を起こす恐れもない。
【0007】上記アミノ系樹脂硬化物粒子を構成するア
ミノ系樹脂の具体例としては、メラミン、尿素、アルキ
ル尿素、チオ尿素、アルキルチオ尿素、アニリン、ベン
ゾグアナミン、アセトグアナミン、シクロヘキシルカル
ボグアナミン、アジポグアナミン等のアミノ系化合物と
ホルムアルデヒド等のアルデヒドとの縮合反応によって
得られる樹脂である。上記アミノ系化合物の中でも特に
好ましいのは、メラミンおよびベンゾグアナミンであ
り、これらは夫々単独の縮合物あるいはこれらを併用し
た共縮合物のいずれであっても有効に使用できる。
【0008】本発明で用いられる上記アミノ系樹脂は、
縮合が完結した実質的に不溶不融性の硬化物であり、下
記の方法によって求められる溶剤溶出量が0.5%以下
で、且つ融点および軟化点を実質的に示さず溶融と同時
に熱分解を起こす硬化物をいう。
【0009】[溶剤溶出量]アミノ系樹脂硬化物粒子1
gをメチルエチルケトン100gに入れて、25℃で2
4時間放置した後、濾過して硬化物粒子を除去して得た
メチルエチルケトンを液体クロマトグラフィーにかけて
溶出分を定量する。 液体クロマトグラフィー:トーソ社製の「Rl−802
0」を使用(カラム:ODS−80TM 、メタノール流
量:1ml/min。
【0010】従ってこのアミノ系樹脂硬化物粒子として
は、未硬化物はもとより、部分縮合した所謂プレポリマ
ー状態のものも除外される。しかして本発明では、上記
アミノ系樹脂硬化物からなる粒子を有機質充填剤として
活用し、その優れた難燃性付与効果とベース樹脂に対す
る優れた親和性を活かし、ベース樹脂中に均一に分散さ
せた状態で該ベース樹脂を硬化させることにより、充填
強化効果を有効に発揮させつつ難燃性を付与するもので
あるが、もし未硬化状態のアミノ系樹脂を使用すると、
ベース樹脂の熱硬化時に該アミノ系樹脂の縮合反応が進
行してホルマリン等が生成し、環境汚染や成形硬化物の
気孔欠陥等を起こしたり、あるいはベース樹脂の硬化反
応を阻害する原因になる。
【0011】この様な完全硬化状態のアミノ系樹脂を得
るための具体的方法は特に制限されず、公知の方法を採
用すればよいが、代表的な方法を挙げると、アミノ樹脂
を無水マレイン酸、マレイン酸、パラトルエンスルホン
酸などの酸触媒の存在下で加熱硬化することによって得
られる。この際、アミノ樹脂中に有機および/または無
機の充填剤が含まれていても構わない。
【0012】また該完全硬化したアミノ系樹脂の粒子を
得る方法にも特に制限はなく、上記の様な方法で完全硬
化させて得たアミノ系樹脂を粉砕して任意サイズの粒状
にしたものであっても構わないが、特に好ましいのは、
本願出願人が先に開発した方法(特開昭62−6881
1号)等によって得られる略球形のアミノ系樹脂硬化物
粒子である。即ちこの方法は、メラミンおよび/または
ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドから得られる水親
和性樹脂を、界面活性剤を含む水性液中で炭素数10〜
18程度のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホ
ン酸の存在下で縮合反応させて硬化樹脂の乳濁液を得、
これを分離・乾燥する方法であり、この方法を採用すれ
ばアミノ樹脂の完全硬化物からなる略球形で均一な粒子
径を有する微粒子を容易に得ることができる。この完全
硬化型のアミノ系樹脂は、アミノ系樹脂が本来有してい
る優れた特性(耐熱性、耐水性、耐溶剤性など)に加え
て、水や各種有機溶剤への分散性も良好であり、極めて
好ましい完全硬化アミノ系樹脂粒子として推奨される。
【0013】尚、完全硬化させたアミノ系樹脂を粉砕し
た粒子では、粒度分布が広くなるばかりでなく、粒子形
状も不均一で且つ角張った粒子が多くなり、相対的に安
定した分散強化効果が得られ難くなる傾向が見られる
が、上記方法によって得られる粒子は粒度分布が狭く且
つほぼ球形で均一な形状の粒子として得られるので、分
散強化効果はもとより、後述する如く難燃化効果や硬化
収縮抑制効果なども安定して発揮され易くなるので特に
好ましい。
【0014】なお本発明においては、一種のみのアミノ
系樹脂硬化物粒子を使用し得る他、必要に応じて異なる
種類のアミノ系樹脂硬化物粒子を2種以上併用すること
も勿論可能である。
【0015】該アミノ系樹脂硬化物粒子の好ましい粒径
は、平均粒径で0.1〜100μm、より好ましくは
0.2〜20μmの範囲であり、0.1μm未満では充
填強化効果や硬化収縮抑制作用が不十分になる傾向があ
り、逆に100μmを超えて過度に粒径が大きくなる
と、該粒子の分散が不均一になって充填強化効果や硬化
収縮抑制効果、難燃化効果などが万遍なく発揮され難く
なる傾向が生じてくる。なお該アミノ系樹脂硬化物粒子
の粒度分布も特に制限されず、用途によっては粒度分布
の広いものの方が好まれる場合もあるが、一般的には、
該粒子の添加効果を樹脂組成物全体に万遍なく均等に発
揮させるには、できるだけ粒度分布の狭いものを使用す
ることが望ましい。
【0016】次に、本発明組成物においてベース樹脂、
即ちマトリックスとなる熱硬化性樹脂としては、フェノ
ール系樹脂、フラン系樹脂、メラミン系樹脂、グアナミ
ン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ウ
レア系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂などの
縮・重合型熱硬化性樹脂;あるいは不飽和ポリエステル
系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルア
クリレート系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ビニル
エステル系樹脂、アクリル系樹脂などのラジカル重合硬
化性の樹脂が例示される。
【0017】上記熱硬化性樹脂の中でも好ましいのはラ
ジカル重合型の熱硬化性樹脂であり、とりわけ、ラジカ
ル重合性モノマーを反応性溶剤として含有するビニルエ
ステル系樹脂は、最も好ましい熱硬化性樹脂として推奨
される。しかして、縮合型の熱硬化性樹脂では、熱硬化
時の縮合反応に伴ってホルマリン等の低分子化合物が生
成するため、完全硬化したアミノ系樹脂硬化物粒子を使
用することによってもたらされる前述の効果(硬化時の
ガス発生がなく、硬化物の気孔欠陥、寸法精度の低下が
起こらない等)が、該熱硬化性樹脂の使用によって減殺
される傾向があるが、ラジカル重合型の熱硬化性樹脂
は、重合硬化時に上記の様な低分子化合物の副生が起こ
らず、併用される上記アミノ系樹脂硬化物粒子の特徴を
減殺することなく有効に活かせるからである。このとき
に好ましく使用されるラジカル重合性モノマーとして
は、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなど
の芳香族系ビニル化合物、(メタ)アクリル酸、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ
(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量
体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メ
タ)アクリレート系単量体、(メタ)アクリロニトリル
などのシアン化ビニル系単量体などが非限定的に例示さ
れる。
【0018】尚、前記アミノ系樹脂硬化物粒子の好まし
い添加量は、使用目的に応じて広い範囲から選ぶことが
できるが、好ましいのは、熱硬化性樹脂組成物全体中に
占める比率で10〜70重量%、より好ましくは20〜
50重量%の範囲であり、10重量%未満では該硬化物
粒子の添加効果が十分に発揮されず、また70重量%を
超えて過度に含有させると、樹脂組成物全体としての粘
性が高くなって取扱い性が悪くなる。
【0019】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記未硬
化の熱硬化性樹脂をマトリックスとし、該樹脂中にアミ
ノ系樹脂硬化物の粒子が分散したもので、基本的にはこ
れら2成分によって構成されるが、用途や要求特性など
に応じて様々の改質剤を第三成分として含有させること
も勿論可能である。この様な改質材としては、酸化防止
剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑材、離型剤、染料・顔
料等の着色剤、シランカップリング剤、チクソトロピー
性付与剤、強靱性付与材、光安定剤などが例示される。
【0020】また本発明では必須とされないが、本発明
の熱硬化性樹脂組成物に対し更に繊維状または粒状の充
填強化材を複合することにより、強度、剛性、耐熱性な
どの一層優れた複合材料とすることも可能である。この
様な充填強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属
繊維、あるいはアラミド繊維の如き合成繊維(長繊維や
チョップドストランド等を含む)、チタン酸カリウムウ
イスカー等のウイスカー、ガラスフレーク、ガラスビー
ズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニ
ウム、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウ
ム、水酸化バリウム等が制限なく例示される。
【0021】更に本発明においては、必要に応じて市販
の難燃剤を併用することも可能である。市販難燃剤の種
類にも特に制限がなく、例えばハロゲン系、アンチモン
系、リン酸エステル系などがいずれも使用できるが、中
でもリン酸エステル系の難燃剤を併用すると、更に高度
の難燃化を達成できるので好ましい。
【0022】また、フィラーとして一般的に用いられる
水酸化アルミニウム等にも難燃性付与効果が認められる
が、その効果を有効に発揮させるにはかなり多量使用し
なければならず、特にプリント配線基板等として使用す
る際には、該フィラーの沈降により基板の物性が低下す
る恐れが生じてくる。ところが、本発明の如くアミノ系
樹脂硬化物を難燃成分として併用すると、フィラー成分
の配合量を低減しても十分な難燃性を確保できるので、
フィラーの沈降に伴う物性劣化の問題も解消できる。
【0023】もっとも、本発明の熱硬化性樹脂組成物を
プリント配線基板用等として適用する場合、前述の如く
アミノ系樹脂硬化物粒子によって難燃性や寸法安定性な
どを十分に確保できるので、水酸化アルミ等のフィラー
を殊更に併用しなくとも、高性能のプリント配線基板な
どを得ることが可能である。
【0024】上記の様に本発明の熱硬化性樹脂組成物
は、未硬化の熱硬化性樹脂と不溶不融性のアミノ系樹脂
硬化物粒子を必須成分として含み、必要により前述の如
き第三成分が配合されたものであり、該組成物中に含ま
れる未硬化の熱硬化性樹脂を加熱硬化させることによっ
て任意の形状の成形体やフィルム、塗膜などとすること
ができ、上記アミノ系樹脂硬化物粒子の分散によって硬
化物には優れた難燃性が与えられると共に、充填強化効
果によって機械的特性の高められた成形硬化物を得るこ
とができる。しかもアミノ系樹脂硬化物粒子は、前述の
如く硬化反応を完結したものであり、プレポリマーの如
き不完全硬化物に見られる様な縮合反応はもはや起こら
ないので、加熱硬化過程で低分子化合物が生成して環境
を汚染したり、或は成形硬化物内に気孔欠陥を生じたり
硬化収縮を起こす様な恐れもなくなる。またアミノ系樹
脂硬化物粒子が完全硬化物であることの他の利点とし
て、該粒子中には実質的に反応性官能基が残っていない
ので、未硬化の熱硬化性樹脂の硬化反応性や硬化物の物
性を阻害する恐れもなく、優れた物性の硬化物を与え
る。
【0025】従ってこの熱硬化性樹脂組成物は、様々の
成形材料(押出成形材料、注型成形材料、射出成形材料
などを含む)、繊維強化複合樹脂材料、プリント配線基
板用材料、絶縁基板用材料、あるいは封止剤、接着剤、
塗料等として用いられる樹脂材料など、様々の用途に広
く活用することができる。
【0026】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の構成および作
用効果をより具体的に説明するが、本発明はもとより下
記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記
の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施する
ことも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲
に含まれる。
【0027】(ビニルエステル系樹脂の合成)撹拌機、
還流冷却器、空気導入管、温度計、滴下ロートを備えた
フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「YD−
128」(東都化成社製:エポキシ当量185)370
重量部、メタクリル酸176.3重量部、スチレン23
4.1重量部、トリエチルアミン2.3重量部、ハイド
ロキノン0.2重量部を加え、空気を吹込みながら11
0℃で6時間反応させ、酸価5.9のビニルエステル系
樹脂(A)を製造した。
【0028】(アミノ系樹脂硬化物粒子) A:日本触媒社製の商品名「エポスターMS」 溶剤溶出量:0.31%、熱分解温度:313℃(DT
Aによる測定値) B:日本触媒社製の商品名「エポスターS」 溶剤溶出量:0.22%、熱分解温度:317℃(DT
Aによる測定値) C:日本触媒社製の商品名「エポスターL15」 溶剤溶出量:0.42%、熱分解温度:321℃(DT
Aによる測定値) (溶剤溶出量の測定法は前述の通り)
【0029】実施例1 撹拌機、還流冷却器、空気導入管および温度計を備えた
フラスコに、上記で得たビニルエステル系樹脂(A)1
00重量部を加え、次いでアミノ系樹脂硬化物粒子(日
本触媒社製の商品名「エポスターMS」)20重量部を
少量づつ加え、全量投入後40℃で30分間攪拌して、
アミノ系樹脂硬化物粒子分散ビニルエステル系樹脂組成
物を得た。
【0030】実施例2,3 アミノ系樹脂硬化物粒子を、それぞれ「エポスター
S」,「エポスターL15」(いずれも日本触媒社製)
に代えた以外は、上記実施例1と全く同様にしてアミノ
系樹脂硬化物粒子分散ビニルエステル系樹脂組成物を得
た。上記で用いたアミノ系樹脂硬化物粒子の性状は、下
記表1に示す通りである。
【0031】
【表1】
【0032】比較例1 前記合成例で得たビニルエステル系樹脂(A)をそのま
ま使用した。上記実施例1〜3および比較例1で得た各
樹脂組成物100重量部に対し、t−ブチルパーオキシ
オクトエート1.0重量部を加えてよく混合し、樹脂液
を得た。得られた各樹脂液を2枚のガラス板の間に挟み
込み、熱風乾燥機中で100℃×30分間加熱して硬化
物を作製し、下記の方法で破壊靱性値と体積収縮率を測
定した。
【0033】(破壊靱性値)図1に示したサイズの硬化
物試験片を作製し、中央部の切り欠き部先端に剃刀でス
タータークラックを入れてから10mm/minの速度
で破壊時の荷重(Pc)を求め、次式により破壊靱性値
を算出した。 破壊靱性値(MPs√m)=(3Pc・S/2BW2
・√a・f(x) ただし、f(x)は、次式で表される形状因子であり、
x=a/Wである。 f(x)=1.93-3.07・x+14.53・x2 -25.11・x3 +25.80・x4
【0034】(体積収縮率)適当な大きさ(450cc
のマヨネーズ瓶に十分入る大きさであればよい)の試験
片を作製し、25℃に調温した後、高精度自動比重計
(東洋精機製作所製「DENSIMETER−H」)を
用いて各樹脂組成物の液比重と固体比重を測定し、下記
式によって体積収縮率を算出した。 体積収縮率=[(固体比重−液比重)/固体比重]×1
00
【0035】また、上記実施例1〜3および比較例1で
得た各樹脂組成物100重量部に対し、水酸化アルミニ
ウム80重量部を添加し、十分に混合した後、更にt−
ブチルパーオキシオクトエート1.0重量部を添加して
よく混合し、樹脂液を得た。各樹脂液を2枚のガラス板
間に挟み込み、熱風乾燥機中で100℃×30分加熱し
て硬化させ平板状の硬化物を作製し、「UL−94規
格」に準拠して燃焼試験を行なった[V−0相当のもの
を○、それ以外(以下)のものは×とした]。結果を表
2に一括して示す。
【0036】
【表2】
【0037】実施例4 撹拌機、還流冷却器、空気導入管、温度計、滴下ロート
を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
「YD−128」(東都化成社製、エポキシ当量18
5)100重量部を入れ、次いでアミノ系樹脂硬化物粒
子「エポスターMS」(日本触媒社製)50重量部を少
量づつ加え、全量投入後40℃で30分間攪拌し、アミ
ノ系樹脂硬化物粒子分散エポキシ樹脂組成物を得た。
【0038】比較例2 ビスフェノールA型エポキシ樹脂「YD−128」をそ
のまま使用した。上記実施例4および比較例2で得た各
樹脂組成物100重量部に対し、ジシアンジアミド10
重量部と2−メチルイミダゾール0.5重量部を添加
し、十分に混練して接着剤用の組成物を得、夫々につい
て接着試験を行なった。なお被着体は、厚さ1.5mm
(T型剥離試験は0.5mm)の冷間圧延鋼板をアセト
ンで洗浄脱脂したものを使用し、接着剤組成物の硬化
は、熱風乾燥機中で150℃×30分加熱することによ
って行なった。 引張剪断強度:JIS K 6850に準拠:引張速度
10mm/min T型剥離強度:JIS K 6854に準拠:引張速度
50mm/min 結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、未
硬化の熱硬化性樹脂と組合せる粒状充填材として実質的
に不溶不融性のアミノ系樹脂硬化物粒子を選択すること
により、上記熱硬化性樹脂の硬化速度や硬化物特性に悪
影響を及ぼすことなく、硬化物に優れた難燃性を与える
ことができ、また充填強化効果によって物理的特性の優
れた硬化物を得ることができる。しかも、該アミノ系樹
脂硬化物粒子は既に完全硬化させたものであるから、成
形材料などとして用いてベース樹脂を熱硬化させる際に
もホルムアルデヒド等の低分子化合物が生成するといっ
たことがなく、環境汚染や硬化物の気孔欠陥を招くこと
もなく、更には、硬化収縮も抑えられて寸法精度の高い
成形硬化物を得ることができる。また、上記アミノ系樹
脂硬化物粒子を使用することによる利点は、特に未硬化
の熱硬化性樹脂として硬化時に低分子化合物を生成する
ことのないラジカル重合性樹脂を選択し、特に反応性モ
ノマー併用系のラジカル重合性樹脂を使用すれば、有害
ガスの非放出性や硬化特性に優れ且つ気孔欠陥などがな
く、機械的特性や寸法精度などに優れた硬化物を与える
熱硬化性樹脂組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験で採用した破壊靱性測定試験法を示す説明
図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未硬化の熱硬化性樹脂中に、実質的に不
    溶不融性のアミノ系樹脂硬化物粒子が分散していること
    を特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記熱硬化性樹脂がラジカル重合性樹脂
    である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱硬化性樹脂が、反応性溶剤を含むビニ
    ルエステル系樹脂である請求項2に記載の熱硬化性樹脂
    組成物。
JP1229199A 1998-01-22 1999-01-20 熱硬化性樹脂組成物 Withdrawn JPH11269393A (ja)

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