JPH11269047A - パーマネントウエーブ用第1剤 - Google Patents

パーマネントウエーブ用第1剤

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JPH11269047A
JPH11269047A JP9246898A JP9246898A JPH11269047A JP H11269047 A JPH11269047 A JP H11269047A JP 9246898 A JP9246898 A JP 9246898A JP 9246898 A JP9246898 A JP 9246898A JP H11269047 A JPH11269047 A JP H11269047A
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JP
Japan
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cystine
hair
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hydrolyzed
permanent wave
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Application number
JP9246898A
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English (en)
Inventor
Masato Yoshioka
正人 吉岡
Sueko Omi
須恵子 大海
Hiroshi Shintani
博 新谷
Yoshie Matsukawa
愛絵 松川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiwa Kasei Co Ltd
Original Assignee
Seiwa Kasei Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理時の毛髪の損傷を防止し、毛髪に優れた
ウェーブを付与でき、処理後の毛髪に艶、潤いなどを付
与することができるパーマネントウェーブ用第1剤を提
供する。 【解決手段】 還元剤を含有するパーマネントウェーブ
用第1剤に、動物、植物または微生物などの天然物由来
の蛋白質を加水分解して得られた加水分解ペプチドまた
はその誘導体に、該加水分解ペプチドまたはその誘導体
のアミノ基とシスチンのカルボキシル基とのアミド結合
により、シスチンを導入したシスチン導入ペプチドを含
有させる。上記シスチン導入ペプチドのパーマネントウ
ェーブ用第1剤中での含有量としては0.5〜20重量
%が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パーマネントウェ
ーブ用第1剤に関し、さらに詳しくは、毛髪や頭皮の損
傷を防止しつつ、毛髪に優れたウェーブを付与しうるパ
ーマネントウェーブ用第1剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、一般的に用いられているパー
マネントウェーブ用剤は、チオグリコール酸やシステイ
ンなどの還元剤を主剤とする水溶液に、アンモニア、モ
ノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの塩基
性物質を加えてpH8〜10に調整したものを第1剤と
し、臭素酸ナトリウム、過酸化水素などの酸化剤の水溶
液を第2剤としたものからなる。
【0003】そして、このようなパーマネントウェーブ
用剤によって毛髪にウェーブをかけるメカニズムは、通
常、第1剤を毛髪に塗布し、毛髪をロッドに巻き付けて
毛髪をカールした状態で、第1剤により毛髪の構成タン
パク(蛋白)であるケラチンに含まれるシスチンのジス
ルフィド結合を還元することによってメルカプト基を生
成させ、ついで第2剤によってメルカプト基を酸化して
毛髪に新たな位置でジスルフィド結合を生成させ、ウェ
ーブを固定化させるものである。
【0004】しかしながら、このようなパーマネントウ
ェーブ用剤による場合には、第1剤による還元剤で切断
されたシスチンのジスルフィド結合が、つづく第2剤に
よる酸化で完全に元通りにジスルフィド結合を生成して
シスチンを再生するとは限らず、第1剤による処理によ
って生じたメルカプト基の一部は、第2剤によって過剰
酸化を受け、毛髪中に残存しているチオグリコール酸ま
たはシステインのメルカプト基と反応してジスルフィド
結合を生成するなどの副反応を生じる。その結果、毛髪
中のケラチンタンパクの一部が溶離したり、毛髪中の他
の部分も物理的、化学的変化を受けるなどの損傷が生じ
る。その結果、毛髪に違和感やパサパサした感じを与え
るばかりでなく、毛髪が多大な損傷を受けることにな
る。
【0005】このような毛髪の損傷の度合いはウェーブ
効果と関連性を有しており、チオグリコール酸やチオグ
リコール酸塩などのチオグリコール酸系の還元剤を主剤
とする第1剤では、ウェーブ効果は優れているものの、
毛髪の損傷が非常に大きいという問題がある。
【0006】そのため、パーマネントウェーブ用剤にシ
リコーン類や蛋白質加水分解物(加水分解ペプチド)を
配合して、パーマネントウェーブ処理後の毛髪のパサツ
キ感を軽減したり、櫛通り性を改善し、損傷毛の強度の
回復をはかることが試みられている。
【0007】しかしながら、シリコーン類は毛髪上に被
膜を形成するので、表面上のパサツキ感は軽減するもの
の、毛髪中からのケラチンタンパクの溶出による毛髪の
損傷に対して根本的な修復作用がなく、また、毛髪に潤
いを付与することができない上に、毛髪上に形成された
シリコーン類の被膜によって、毛髪にウェーブがかかり
にくくなるという問題があった。
【0008】また、蛋白質加水分解物は、毛髪に対し
て、浸透性、被膜形成能を有し、損傷した毛髪を修復
し、毛髪に艶、潤い、良好な櫛通り性を付与する作用が
優れ、また、その被膜が蛋白質由来のペプチドによるた
め、ウェーブがかかりにくくなるという弊害は生じない
が、ジスルフィド結合を有するシスチンを多く含むケラ
チン加水分解物以外の蛋白質加水分解物では、毛髪への
収着力が弱く、洗浄により容易に流出し、その作用を充
分に発揮することができないという問題があった。
【0009】蛋白質加水分解物は、その蛋白起源によ
り、たとえば、加水分解シルクは毛髪上に緻密な被膜を
形成するので毛髪に優れた艶を付与することができ、植
物蛋白由来の加水分解小麦タンパクや加水分解大豆タン
パクは保湿性が強く、毛髪に潤い感を付与する作用が優
れているといった特徴を有するが、これらの蛋白質加水
分解物はシスチンを含まないかあるいはシスチン含有量
が非常に少ないため毛髪への収着力が弱く、パーマネン
トウェーブ用第1剤に配合してもその作用を充分に発揮
することができないという問題があった。
【0010】そのため、蛋白質加水分解物に第4級アン
モニウム塩を導入した蛋白質加水分解物のトリメチルア
ンモニウム誘導体や高級アルキルアンモニウム誘導体を
パーマネントウェーブ用第1剤に配合して、パーマネン
トウェーブ処理による毛髪の損傷の防止や損傷した毛髪
の修復作用だけでなく、蛋白質加水分解物の有する艶、
潤い、良好な櫛通り性などの付与作用を発揮させること
が試みられているが(たとえば、特開昭60−2430
11号公報、特開平5−8555922号公報など)、
その成果も充分とはいえなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来のパーマネントウェーブ用第1剤の問題点を解消
し、パーマネントウェーブ処理時の毛髪の損傷を防止
し、損傷した毛髪を修復し、かつ毛髪に優れたウェーブ
を付与し、しかもパーマネントウェーブ処理後の毛髪に
良好な艶、潤いなどを付与できるパーマネントウェーブ
用第1剤を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、動物、植物また
は微生物などの天然物由来の蛋白質を加水分解して得ら
れた加水分解ペプチドまたはその誘導体に、該加水分解
ペプチドまたはその誘導体のアミノ基とシスチンのカル
ボキシル基とのアミド結合により、シスチンを導入した
シスチン導入ペプチドをパーマネントウェーブ用第1剤
に含有させるときは、パーマネントウェーブ処理時の毛
髪の損傷を防止し、損傷した毛髪を修復し、かつ毛髪に
優れたウエーブを付与し、しかもパーマネントウェーブ
処理後の毛髪に艶、潤いなどを付与することができるこ
とを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0013】すなわち、シスチンを含まないかあるいは
シスチン含有量の少ない加水分解ペプチドまたはその誘
導体にシスチンを導入してジスルフィド結合に基づく特
性を高めたシスチン導入ペプチドが、毛髪に収着し、パ
ーマネントウェーブ処理時に毛髪を保護して、パーマネ
ントウェーブ処理による毛髪の損傷を防止し、損傷した
毛髪を修復し、かつ還元剤などによる毛髪へのウェーブ
付与作用を阻害せずに毛髪に優れたウェーブを付与さ
せ、しかもパーマネントウェーブ処理後の毛髪に、それ
ぞれの加水分解ペプチドまたはその誘導体の有する毛髪
への艶、潤いなどの付与作用を発揮させることができる
のである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明で用いるシスチン導入ペプ
チドは、動物、植物または微生物などの天然物由来の蛋
白質を、酸、アルカリ、酵素またはそれらの併用によっ
て加水分解して得られた加水分解ペプチドまたはその誘
導体にシスチンを導入したものであるが、加水分解ペプ
チドまたはその誘導体のタンパク(蛋白)源としては、
天然物由来の蛋白質、たとえば、コラ−ゲン(その変成
物であるゼラチンも含む)、絹フィブロイン(シル
ク)、セリシン、カゼイン、コンキオリン、エラスチ
ン、鶏などの卵の卵黄タンパク、卵白タンパクなどの動
物由来のものや、大豆、小麦、ビ−ル粕、トウモロコ
シ、米(米糠)、イモ類のタンパクなどの植物由来のも
の、さらには、サッカロミセス属、カンディダ属、エン
ドミコプシス属の酵母菌や、いわゆるビ−ル酵母、清酒
酵母といわれる酵母菌より分離した酵母タンパク、キノ
コ類(担子菌)やクロレラより分離したタンパクなどの
微生物由来のものなどが挙げられる。また、シスチン含
有量の多いケラチンを使用した場合は、シスチンの導入
によってさらに毛髪への収着性を高めることができる。
【0015】本発明で用いる加水分解ペプチドは、上記
蛋白質を酸、アルカリ、酵素またはそれらの併用により
加水分解することによって得られ、その際、使用する
酸、アルカリ、酵素の量や、反応温度、反応時間などを
適宜選択することにより、得られる加水分解ペプチドの
アミノ酸重合度を種々に変え得るが、毛髪への収着性や
造膜性を考慮すると、数平均分子量が150〜1000
0、特に200〜5000のものが好ましい。すなわ
ち、加水分解ペプチドの数平均分子量が上記範囲より大
きくなると毛髪への収着性や浸透性が低下するおそれが
あり、また、加水分解ペプチドの数平均分子量が上記範
囲より小さくなると毛髪への収着性や浸透性は優れてい
るものの毛髪上での造膜作用が低下して、毛髪の保護作
用が低下するおそれがある。なお、シスチンを導入する
とシスチンを介してペプチド鎖が2つ結合することにな
るので、シスチン導入ペプチドの数平均分子量は上記数
値の約2倍になる。
【0016】蛋白質の酸加水分解に際しては、たとえ
ば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸などの無機
酸や、酢酸、蟻酸などの有機酸が用いられ、蛋白質のア
ルカリ加水分解に際しては、たとえば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなど
の無機アルカリが用いられる。そして、蛋白質の酵素加
水分解に際しては、ペプシン、プロクターゼA、プロク
ターゼBなどの酸性蛋白質分解酵素、パパイン、ブロメ
ライン、サーモライシン、トリプシン、プロナーゼ、キ
モトリプシンなどの中性ないしアルカリ性蛋白質分解酵
素が使用される。また、スブチリシン、スタフィロコッ
カスプロテアーゼなどの菌産製の中性ないしアルカリ性
蛋白質分解酵素も使用できる。
【0017】また、加水分解ペプチドの誘導体として
は、上記加水分解ペプチドのカルボキシル基におけるア
ルコールとのエステル、たとえば、メチルエステル、エ
チルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステ
ル、ラウリルエステル、セチルエステル、2−エチルヘ
キシルエステル、2−ヘキシルデシルエステル、ステア
リルエステルなどの炭素数1〜20の炭化水素アルコー
ルとのエステルなどが挙げられる。
【0018】シスチン導入ペプチドを得るには、まず、
シスチンをN,N’−ジカルボキシ無水シスチンに変換
するが、このN,N’−ジカルボキシ無水シスチンを得
る方法としては、公知の方法を採用することができる。
【0019】たとえば、まず、シスチンのアルカリ水溶
液にクロル炭酸ベンジル、クロル炭酸メチル、クロル炭
酸アリルなどのクロル炭酸エステルをアルカリ条件下で
滴下し、下記反応式〔I〕のようにシスチンのアミノ基
を保護する。
【0020】
【化1】
【0021】(式中、Rはベンジル基、アルキル基また
はアリル基)
【0022】ついで、反応液を塩酸、硫酸などの鉱酸で
酸性にした後、酢酸エチルなどの有機溶媒で反応生成物
を抽出し、食塩水および水で有機層を洗浄した後、有機
溶媒を減圧濃縮して除去することにより、アミノ基が保
護されたシスチンが得られる。
【0023】つぎに、上記で得られたアミノ基が保護さ
れたシスチンを酢酸エチルなどの溶解可能な有機溶媒に
溶解し、下記の反応式〔II〕に示すように、窒素ガス雰
囲気下で、塩化チオニル(塩化チオニルに代えて、三塩
化リン、五塩化リンなどでもよい)などを作用させてカ
ルボキシル基をカルボニルクロライドにし、ついで減圧
下80℃以上で加熱縮合させると、N,N’−ジカルボ
キシ無水シスチンが得られる。
【0024】
【化2】
【0025】また、シスチンにホスゲン、ホスゲンダイ
マー、ホスゲントリマーなどを直接反応させて、N,
N’−ジカルボキシ無水シスチンを合成することもでき
る。
【0026】加水分解ペプチドまたはその誘導体と上記
のようにして得られたN,N’−ジカルボキシ無水シス
チンとの反応は、下記の反応式〔III 〕に示すように進
行する。
【0027】
【化3】
【0028】(式中、R’は種々のアミノ酸側鎖を示
し、nはアミノ酸の重合度を示す)
【0029】まず、加水分解ペプチドまたはその誘導体
の水溶液を水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ剤で
pHを10.0〜10.5程度に調整し、その中に酢酸
エチルなどの溶媒に溶解したN,N’−ジカルボキシ無
水シスチンを氷冷下で滴下して反応させるが、同時に水
酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ剤を滴下してpH
を10.0〜10.5に保つ。
【0030】N,N’−ジカルボキシ無水シスチンの滴
下終了後、氷冷下で2〜5時間攪拌を続けて反応を完結
させる。つぎに反応液にn−ヘキサンなどの水と相溶し
ない溶媒を添加して洗浄し、未反応のN,N’−ジカル
ボキシ無水シスチンを有機層に移して除去した後、水層
を硫酸、塩酸などでpHを3〜4に調整して脱炭酸する
ことにより、シスチン導入ペプチドが得られる。このシ
スチン導入ペプチドでは、式〔III 〕に示すように加水
分解ペプチドまたはその誘導体のアミノ基とシスチンの
カルボキシル基とがアミド結合することにより、加水分
解ペプチドまたはその誘導体にシスチンが導入されてい
る。
【0031】脱炭酸したシスチン導入ペプチド溶液はそ
のままあるいは粉末化してパーマネントウェーブ用第1
剤中に含有させるか、または、必要に応じ、イオン交換
樹脂、透析膜、電気透析、ゲル濾過、限外濾過などによ
って精製した後、液体のままあるいは粉末化してパーマ
ネントウェーブ用第1剤中に含有させる。
【0032】本発明において、シスチン導入ペプチドは
毛髪とジスルフィド結合を生成することに特徴があるの
で、全含有アミノ酸のうちハーフシスチンとして5モル
%以上のシスチンを含有しているものが好ましい。ま
た、シスチン導入ペプチドをパーマネントウェーブ用第
1剤に含有させるにあたっては、蛋白源の異なるシスチ
ン導入ペプチドを2種以上用いてもよい。そして、シス
チン導入ペプチドのパーマネントウェーブ用第1剤中で
の含有量(パーマネントウェーブ用第1剤への配合量)
としては0.5〜20重量%、特に1〜10重量%が好
ましい。すなわち、シスチン導入ペプチドのパーマネン
トウェーブ用第1剤中での含有量が上記範囲より少ない
場合は、毛髪を保護して毛髪の損傷を防止したり、損傷
した毛髪を修復したり、毛髪に艶、潤いなどを付与する
というペプチド部分の特性を充分に発揮させることがで
きなくなるおそれがあり、また、シスチン導入ペプチド
のパーマネントウェーブ用第1剤中での含有量が上記範
囲より多くなっても、含有量の増加に見合う効果の増加
が認められない上に、シスチン導入ペプチドの毛髪への
過剰吸着によって毛髪がベトツクようになるおそれがあ
る。
【0033】還元剤は、毛髪の構成タンパクであるケラ
チン中のシスチンのジスルフィド結合を還元して切断
し、毛髪にウェーブをかけるようにするための主剤とな
るものであるが、この還元剤としては、たとえば、チオ
グリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオグ
リコール酸ナトリウム、チオグリコール酸モノエタノー
ルアミン、チオグリコール酸トリエタノールアミンなど
のチオグリコール酸塩、グリセリンチオグリコレートな
どのチオグリコール酸のエステル、システイン、システ
イン塩酸塩、アセチルシステインなどのシステイン塩、
チオグリセロール、チオ乳酸、チオリンゴ酸、システア
ミン、システアミン塩などの有機メルカプタン化合物、
亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カリ
ウム、亜硫酸アンモニウムなどの亜硫酸塩などが用いら
れる。
【0034】これらの還元剤は、それぞれ単独で用いて
もよいし、また2種以上併用してもよい。そして、この
還元剤のパーマネントウェーブ用第1剤中での含有量と
しては1〜15重量%、特に2〜8重量%が好ましい。
すなわち、還元剤のパーマネントウェーブ用第1剤中で
の含有量が上記範囲より少ない場合は、毛髪に充分なウ
ェーブをかけることができなくなるおそれがあり、還元
剤のパーマネントウェーブ用第1剤中での含有量が上記
範囲より多い場合は、毛髪のジスルフィド結合を還元し
すぎて、毛髪中からのタンパクの溶離が激しくなり、毛
髪の損傷が多大になるおそれがある。
【0035】本発明のパーマネントウェーブ用第1剤
は、上記還元剤とシスチン導入ペプチドとを必須成分と
し、これらを水または水を主成分とする液に含有させる
ことによって調製される。もとより、還元剤を含有する
調製済みまたは調製中のパーマネントウェーブ用第1剤
にシスチン導入ペプチドを添加してもよく、還元剤やシ
スチン導入ペプチドの添加順序はいずれが先でもよい。
【0036】本発明のパーマネントウェーブ用第1剤
は、上記の必須成分以外にも、本発明の効果を損なわな
い範囲で他の成分を適宜添加することができる。
【0037】それらの成分としては、たとえば、グリチ
ルリチン酸、カルベノキロソン二ナトリウムをはじめと
する甘草誘導体、アラントイン、グアイアズレン、α−
ビサボロールなどの消炎剤、ヤシ油脂肪酸ジエタノール
アミド、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル、ベンジルアルコールなどの
浸透剤、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル
硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、ポリオキシエチ
レン(2EO)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールア
ミン(なお、EOはエチレンオキサイドで、EOの前の
数値はエチレンオキサイドの付加モル数を示す)などの
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ラウリル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスル
ホン酸トリエタノールアミンなどのアルキルベンゼンス
ルホン酸塩、ポリオキシエチレン(3EO)トリデシル
エーテル酢酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアル
キルエーテル酢酸塩、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウ
ム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム、ラウ
ロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸−
L−グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウ
リンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム
などのN−アシルアミノ酸塩、エーテル硫酸アルカンス
ルホン酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸
ナトリウム、オレイン酸アミドスルホコハク酸二ナトリ
ウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキ
シエチレンアルキル(炭素数12〜16)エーテルリン
酸(2〜12EO)、ポリオキシエチレンセチルエーテ
ルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク
酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル
エーテルリン酸ナトリウム、ウンデシレノイル加水分解
コラーゲンカリウム、ラウリン酸加水分解コラーゲンナ
トリウム、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンのナトリウ
ム、カリウム、トリエタノールアミンなどの塩類などの
アニオン性界面活性剤、2−アルキル−N−カルボキシ
メチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイ
ン、ウンデシル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウ
ムベタインナトリウム、ウンデシル−N−ヒドロキシエ
チル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイ
ン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ステアリ
ルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプ
ロピルベタイン、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエチ
ル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナ
トリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチ
ル・DL−ピロリドンカルボン酸塩などの両性界面活性
剤、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)
エーテル(7EO)、ポリオキシエチレンオクチルフェ
ニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、
ポリオキシエチレンオレイン酸グリセリル、ポリオキシ
エチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチ
ルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール・ラノリ
ン(40EO)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピ
レンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポ
リオキシエチレンラノリンアルコールなどのノニオン性
界面活性剤、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、
塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリ
ルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルア
ンモニウム、ヨウ化セチルトリメチルアンモニウム、塩
化オレイルベンジルジメチルアンモニウム、塩化オレイ
ルビス〔ポリオキシエチレン(15EO)〕メチルアン
モニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ミ
ンク油脂肪酸アミドプロピルジメチルヒドロキシエチル
アンモニウム、アルキルピリジニウム塩、塩化−γ−グ
ルコンアミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモ
ニウムなどのカチオン性界面活性剤、カチオン化セルロ
ース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、ポリ
(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリビニルピ
ロリドン、ポリエチレンイミンなどのカチオン性ポリマ
ー、両性ポリマー、アニオン性ポリマーなどの合成ポリ
マー、イソステアリン酸ジエタノールアミド、ウンデシ
レン酸モノエタノールアミド、オレイン酸ジエタノール
アミド、牛脂脂肪酸モノエタノールアミド、ステアリン
酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエ
チルアミド、ヤシ油脂肪酸エタノールアミド、ヤシ油脂
肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノール
アミド、ラウリン酸エタノールアミド、ラウリン酸ジエ
タノールアミド、ラノリン脂肪酸ジエタノールアミド、
カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエ
チルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カラギー
ナン、キサンタンガムなどの増粘剤、ワックス、パラフ
ィン、脂肪酸エステル、グリセライド、レシチン、スク
アラン、アボガドオイルなどの動植物油などの油脂類、
動植物抽出物、コラーゲン、ケラチン、シルク、カゼイ
ン、大豆、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、酵母、キ
ノコ類などの動植物および微生物由来のタンパク質の加
水分解ペプチドやそのペプチドエステル誘導体、動植物
および微生物由来のタンパク質の加水分解ペプチドのN
−第4級アンモニウム誘導体、ポリサッカライドまたは
その誘導体、プロピレングリコール、1,3−ブチレン
グリコール、エチレングリコール、グリセリン、ポリエ
チレングリコールなどの湿潤剤、エタノール、メタノー
ル、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなど
の低級アルコール類、ベヘニルアルコール、セチルアル
コール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール
類、L−アスパラギン酸、DL−アラニン、L−アルギ
ニン、グリシン、L−グルタミン酸、L−システイン、
L−スレオニンなどのアミノ酸などが挙げられる。
【0038】
【発明の効果】本発明のパーマネントウェーブ用第1剤
は、毛髪に損傷を与えることなく、毛髪の状態を良好に
保ちながら、毛髪に良好なウェーブをかけることができ
る。すなわち、パーマネントウェーブ用第1剤中に含有
するシスチン導入ペプチドが、パーマネントウェーブ処
理に伴う毛髪の損傷を防止し、損傷した毛髪を修復し、
かつシスチン導入ペプチドがパーマネントウェーブ処理
を妨げることがないので、毛髪に優れたウェーブを付与
することができ、しかもパーマネントウェーブ処理後の
毛髪に艶、潤いなどを付与することができる。
【0039】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。なお、以下の実施例などにおい
て、溶液や分散液などの濃度を示す%は特にその単位を
付記していないがぎり重量%である。また、実施例に先
立ち、実施例で使用するシスチン導入ペプチドの製造例
および該シスチン導入ペプチドの製造にあたって使用す
るN,N’−ジカルボキシ無水シスチンの製造を参考例
として示す。また、実施例などで実施する毛髪の引張り
強度試験および毛髪中のシステイン酸含量の測定方法に
ついても実施例に先立って示す。
【0040】参考例1(N,N’−ジカルボキシ無水シ
スチンの製造例1) シスチン18gを150mlの1N水酸化ナトリウム水
溶液に溶解し、氷冷下で攪拌しながらクロル炭酸ベンジ
ル38.3gを30分かけて滴下した。その間、水酸化
ナトリウム水溶液を添加して反応液のpHが9〜10に
なるように保った。クロル炭酸ベンジルの滴下終了後、
室温で2時間攪拌を続け、反応を完結させた。
【0041】反応終了後、希塩酸で反応液のpHを1に
し、酢酸エチル300mlを加えて反応生成物を抽出し
た。有機層は2%食塩水150mlで2回洗浄し、さら
に75mlの水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム30
gを加えて有機層を乾燥した。濾過により無水硫酸ナト
リウムを除去した後、濾液を減圧濃縮乾固し、残留物を
クロロホルムにより再結晶して30gのN,N’−ジカ
ルボベンゾキシシスチンを得た。
【0042】つぎに、このN,N’−ジカルボベンゾキ
シシスチンを267mlのベンゼン−ジオキサン混合液
(体積比=250:17)に溶解し、窒素ガス雰囲気下
で攪拌し、その中に17.2mlの塩化チオニルを1時
間かけて滴下した。滴下終了後、反応液の温度を55℃
まで上昇させ、3時間攪拌を続けて反応を完結させた。
【0043】反応終了後、減圧下で反応液の温度を80
〜85℃に保ち、2時間かけて加熱縮合させた後、反応
液を20mlのn−ヘキサンで5回洗浄し、水層を減圧
濃縮して19.3gのN,N’−ジカルボキシ無水シス
チンを得た。
【0044】参考例2(N,N’−ジカルボキシ無水シ
スチンの製造例2) シスチン12gを100mlの1N水酸化ナトリウム水
溶液に溶解し、氷冷下で攪拌しながらクロル炭酸メチル
14.1gを30分かけて滴下した。その間、水酸化ナ
トリウム水溶液を添加して反応液のpHが9〜10にな
るように保った。クロル炭酸メチルの滴下終了後、室温
で2時間攪拌を続け、反応を完結させた。
【0045】反応終了後、希塩酸で反応液のpHを1に
し、酢酸エチル200mlを加えて反応生成物を抽出し
た。有機層は2%食塩水100mlで2回洗浄し、さら
に100mlの水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム2
0gを加えて有機層を乾燥した。濾過により無水硫酸ナ
トリウムを除去した後、濾液を減圧濃縮乾固し、残留物
をn−ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥して10gのメチル
炭酸シスチンを得た。
【0046】つぎに、このメチル炭酸シスチンを30m
lの酢酸エチルに溶解し、窒素ガス雰囲気下で攪拌し、
その中に8.07mlの塩化チオニルを1時間かけて滴
下した。滴下終了後、反応液の温度を55℃まで上昇さ
せ、4時間攪拌を続けて反応を完結させた。
【0047】反応終了後、減圧下で反応液の温度を80
〜85℃に保ち、2時間かけて加熱縮合させた後、反応
液を20mlのn−ヘキサンで5回洗浄し、水層を減圧
濃縮して7.9gのN,N’−ジカルボキシ無水シスチ
ンを得た。
【0048】製造例1(シスチン導入加水分解コラーゲ
ンの製造例) 数平均分子量450の加水分解コラーゲンの30%水溶
液47g(アミノ態窒素の測定によって得られた化学量
論的モル数として30.5ミリモル)を水酸化ナトリウ
ム水溶液でpHを10.2に調整し、この溶液に、氷冷
下、上記参考例1で製造したN,N’−ジカルボキシ無
水シスチン3.1g(10ミリモル、加水分解コラーゲ
ンに対して0.65当量)を50mlの酢酸エチルに溶
解した溶液を添加し攪拌して混合し、3時間攪拌を続け
て反応させた。その間、水酸化ナトリウム水溶液を添加
して反応液のpHが10.0〜10.5になるように保
った。
【0049】反応終了後、反応物を100mlのn−ヘ
キサンで3回洗浄して未反応物を除去した後、水層に濃
硫酸を添加してpHを4に調整して減圧下で脱炭酸し、
濃度を調整して、シスチン導入加水分解コラーゲンの3
0%水溶液を45.1g得た。
【0050】上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解コラーゲンの一部を6N塩酸で20時間完全加水
分解した後、アミノ酸オートアナラーザーでアミノ酸分
析したところ、ハーフシスチンとして10.64モル%
が検出された。また、上記のようにして得られたシスチ
ン導入加水分解コラーゲンの一部を、塩酸による加水分
解を行わずにアミノ酸分析したところ、シスチンは検出
されず、上記で検出されたシスチンはすべて加水分解コ
ラーゲンに結合していることが明らかにされた。
【0051】原料の加水分解コラーゲンにはシスチンが
含まれていないため、このシスチンはすべて上記のシス
チン導入法により加水分解コラーゲンに導入されたもの
であることが明らかであった。
【0052】製造例2(シスチン導入加水分解小麦タン
パクの製造例) 数平均分子量700の加水分解小麦タンパクの30%水
溶液80g(アミノ態窒素の測定によって得られた化学
量論的モル数として34.2ミリモル)を水酸化ナトリ
ウム水溶液でpHを10.2に調整し、この溶液に、氷
冷下、上記参考例1で製造したN,N’−ジカルボキシ
無水シスチン4.5g(15.4ミリモル、加水分解小
麦タンパクに対して0.9当量)を80mlの酢酸エチ
ルに溶解した溶液を添加し攪拌して混合し、3時間攪拌
を続けて反応させた。その間、水酸化ナトリウム水溶液
を添加して反応液のpHが10.0〜10.5になるよ
うに保った。
【0053】反応終了後、反応物を100mlのn−ヘ
キサンで4回洗浄して未反応物を除去した後、水層に濃
硫酸を添加してpHを4に調整して減圧下で脱炭酸し、
濃度を調整して、シスチン導入加水分解小麦タンパクの
30%水溶液を75.5g得た。
【0054】上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解小麦タンパクの一部を6N塩酸で20時間完全加
水分解した後、アミノ酸オートアナラーザーでアミノ酸
分析したところ、ハーフシスチンとして5.9モル%が
検出された。また、上記のようにして得られたシスチン
導入加水分解小麦タンパクの一部を、塩酸による加水分
解を行わずにアミノ酸分析したところ、シスチンは検出
されず、上記で検出されたシスチンはすべて加水分解小
麦タンパクに結合していることが明らかにされた。
【0055】原料の加水分解小麦タンパクには0.4モ
ル%のシスチンが含まれていたので、検出された5.9
モル%のシスチンのうち5.5モル%は上記のシスチン
導入法により加水分解小麦タンパクに導入されたもので
あることが明らかであった。
【0056】製造例3(シスチン導入加水分解シルクの
製造例) 加水分解小麦タンパクに代えて数平均分子量350の加
水分解シルクの30%水溶液80g(アミノ態窒素の測
定によって得られた化学量論的モル数として77.3ミ
リモル)と、上記参考例1で製造したN,N’−ジカル
ボキシ無水シスチン6.1g(20.8ミリモル、加水
分解シルクに対して0.5当量)を100mlの酢酸エ
チルに溶解した溶液を用いたほかは、製造例2と同様に
して、シスチン導入加水分解シルクの30%水溶液を7
2g得た。
【0057】上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解シルクの一部を6N塩酸で20時間完全加水分解
した後、アミノ酸オートアナラーザーでアミノ酸分析し
たところ、ハーフシスチンとして6.2モル%が検出さ
れた。また、上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解シルクの一部を、塩酸による加水分解を行わずに
アミノ酸分析したところ、シスチンは検出されず、上記
で検出されたシスチンはすべて加水分解シルクに結合し
ていることが明らかにされた。
【0058】原料の加水分解シルクにはシスチンが含ま
れていないため、このシスチンはすべて上記のシスチン
導入法により加水分解シルクに導入されたものであるこ
とが明らかであった。
【0059】製造例4(シスチン導入加水分解酵母タン
パクの製造例) 数平均分子量450の加水分解酵母タンパクの30%水
溶液50g(アミノ態窒素の測定によって得られた化学
量論的モル数として30.3ミリモル)と、上記参考例
2で製造したN,N’−ジカルボキシ無水シスチン3.
1g(10.5ミリモル、加水分解酵母タンパクに対し
て0.7当量)を80mlの酢酸エチルに溶解した溶液
を添加し攪拌して混合し、3時間攪拌を続けて反応させ
た。その間、水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応液
のpHが10.0〜10.5になるように保った。
【0060】反応終了後、反応物を80mlのn−ヘキ
サンで3回洗浄して未反応物を除去した後、水層に濃硫
酸を添加してpHを4に調整して減圧下で脱炭酸し、濃
度を調整して、シスチン導入加水分解酵母タンパクの3
0%水溶液を38.4g得た。
【0061】上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解酵母タンパクの一部を6N塩酸で20時間完全加
水分解した後、アミノ酸オートアナラーザーでアミノ酸
分析したところ、ハーフシスチンとして5.3モル%が
検出された。また、上記のようにして得られたシスチン
導入加水分解酵母タンパクの一部を、塩酸による加水分
解を行わずにアミノ酸分析したところ、シスチンは検出
されず、上記で検出されたシスチンはすべて加水分解酵
母タンパクに結合していることが明らかにされた。
【0062】原料の加水分解酵母タンパクには0.2モ
ル%のシスチンが含まれていたため、検出された5.3
モル%のシスチンのうち5.1モル%は上記のシスチン
導入法により加水分解酵母タンパクに導入されたもので
あることが明らかであった。
【0063】〔毛髪の引張り強度試験〕毛髪の引張り強
度を測定する部位(実施例中では18cmの毛髪の中央
部位)の長径および短径をマイクロメータで測定し、断
面積を計算する。つぎに、その点を中心に前後0.5m
mずつの間隔をあけ、粘着テープ〔スコッチフィラメン
トテープ、住友スリーエム(株)製〕を毛髪に固定す
る。このテープを固定した部分を引張り試験機〔不動工
業(株)製レオメータ〕のクランプに固定し、毛髪の切
断時の強度を測定し、先に求めておいた断面積より、断
面積当たりの引張り強度(kgf/mm2 )を算出す
る。一試料につき30本の毛髪の引張り強度を測定し、
試料ごとに平均値を求め、結果をその平均値で示す。
【0064】〔毛髪中のシステイン酸量〕毛髪0.01
gに6N塩酸2gを加え、105℃で20時間完全加水
分解し、アミノ酸自動分析機により、システイン酸量
(μmol/g)を求める。なお、毛髪中のシステイン
酸量は、毛髪の損傷の度合いを示しており、その値が小
さいほど、毛髪の損傷が少ないことを示す。
【0065】実施例1および比較例1〜2 表1に示す3種類のパーマネントウェーブ用第1剤を調
製し、それぞれのパーマネントウェーブ用第1剤と、6
%臭素酸ナトリウム水溶液からなるパーマネントウェー
ブ用第2剤を用いて毛束にパーマネントウェーブ処理を
行い、処理後の毛髪の艶、潤いを評価し、毛髪の引張り
強度および毛髪中のシステイン酸量を調べた。
【0066】実施例1では、シスチン導入ペプチドとし
て、前記製造例1で製造したシスチン量がアミノ酸分析
でハーフシスチンとして10.64モル%のシスチン導
入加水分解コラーゲン(数平均分子量1000)を用
い、比較例1ではシスチン導入加水分解コラーゲンに代
えて数平均分子量1000の加水分解コラーゲンを用
い、比較例2ではシスチン導入ペプチドや加水分解ペプ
チドなどをまったく用いなかった。
【0067】なお、実施例や比較例ではパーマネントウ
ェーブ用第1剤を調製していく関係上、各成分の量は調
製後のパーマネントウェーブ用第1剤中での含有量とい
う表現ではなく、配合量という表現で説明していくが、
表中の各成分の配合量は、重量部基準によるものであ
り、配合量が固形分量でないものについては成分名の後
に括弧書きで固形分濃度を示している。これらは、以後
の実施例などにおいても同様である。
【0068】
【表1】
【0069】上記実施例1および比較例1〜2のパーマ
ネントウェーブ用第1剤をそれぞれ重さ1gで長さ18
cmの毛束に塗布し、それを直径1cmのロッドに巻き
付け、第2剤には6%臭素酸ナトリウム水溶液を用いて
パーマネントウェーブ処理を行った。処理後の毛髪の艶
および潤いを10人のパネラー(女性7人、男性3人)
に評価させた。評価基準は、最も良いものを2点とし、
つぎに良いものを1点とし、悪いものを0点として、結
果を10人の平均値で示す。また、官能評価後の各毛束
を引張り強度試験に供し、40本の毛髪について、その
端から9cmの部分の断面積を測定し、断面積の大きい
方と小さい方から各5本ずつの毛髪を試験対象より除外
し、残り30本の毛髪の引張り強度を測定し、その平均
値を求めた。さらに、パーマネントウェーブ処理後の毛
髪の一部を塩酸で加水分解してシステイン酸量を測定し
た。それらの結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】表2に示す結果から明らかなように、シス
チン導入加水分解コラーゲンを含有する実施例1のパー
マネントウェーブ用第1剤で処理した場合は、比較例1
〜2のパーマネントウェーブ用第1剤で処理した場合に
比べて、毛髪の艶、潤いのいずれも評価値が高く、かつ
毛髪の引張り強度が大きく、毛髪中のシステイン酸量が
少なく、シスチン導入加水分解コラーゲンが毛髪によく
収着し、パーマネントウェーブ処理時の毛髪の損傷を防
止し、毛髪の引張り強度を増加させることが明らかにさ
れていた。
【0072】実施例2および比較例3〜4 表3に示す3種類のパーマネントウェーブ用第1剤を調
製し、それぞれのパーマネントウェーブ用第1剤と、2
%過酸化水素水からなるパーマネントウェーブ用第2剤
を用いて毛束にパーマネントウェーブ処理を行い、処理
後の毛髪の艶、潤いを評価し、毛髪の引張り強度および
毛髪中のシステイン酸量を調べた。
【0073】実施例2では、シスチン導入ペプチドとし
て、前記製造例2で製造したシスチン量がアミノ酸分析
でハーフシスチンとして5.9モル%のシスチン導入加
水分解小麦タンパク(数平均分子量1500)を用い、
比較例3ではシスチン導入加水分解小麦タンパクに代え
て数平均分子量1500の加水分解小麦タンパクを用
い、比較例4ではシスチン導入ペプチドや加水分解ペプ
チドなどをまったく用いなかった。
【0074】
【表3】
【0075】上記実施例2および比較例3〜4のパーマ
ネントウェーブ用第1剤と、2%過酸化水素水からなる
パーマネントウェーブ用第2剤とを用い、実施例1と同
様に、重さ1gで長さ18cmの毛束にパーマネントウ
ェーブ処理を行い、処理後の毛髪の艶、潤いを実施例1
と同様の評価基準で10人のパネラーに評価させた。ま
た、パーマネントウェーブ処理後の毛髪の引張り強度お
よび毛髪中のシステイン酸量を測定した。なお、引張り
強度の測定は、各毛束から30本の毛髪を実施例1と同
様の方法で選び出して行った。それらの結果(平均値)
を表4に示す。
【0076】
【表4】
【0077】表4に示す結果から明らかなように、シス
チン導入加水分解小麦タンパクを含有する実施例2のパ
ーマネントウェーブ用第1剤で処理した場合は、比較例
3〜4のパーマネントウェーブ用第1剤で処理した場合
に比べて、毛髪の艶、潤いのいずれも評価値が高く、か
つ毛髪の引張り強度が大きく、毛髪中のシステイン酸量
が少なく、シスチン導入加水分解小麦タンパクが毛髪に
よく収着し、パーマネントウェーブ処理時の毛髪の損傷
を防止し、毛髪の引張り強度を増加させることが明らか
にされていた。
【0078】実施例3および比較例5〜6 表5に示す3種類のパーマネントウェーブ用第1剤を調
製し、それぞれのパーマネントウェーブ用第1剤と、6
%臭素酸ナトリウム水溶液からなるパーマネントウェー
ブ用第2剤を用いて毛束にパーマネントウェーブ処理を
行い、処理後の毛髪の艶、潤いを評価し、毛髪の引張り
強度および毛髪中のシステイン酸量を調べた。
【0079】実施例3では、シスチン導入ペプチドとし
て、前記製造例3で製造したシスチン量がアミノ酸分析
でハーフシスチンとして6.2モル%のシスチン導入加
水分解シルク(数平均分子量700)を用い、比較例5
ではシスチン導入加水分解シルクに代えて数平均分子量
700の加水分解シルクを用い、比較例4ではシスチン
導入ペプチドや加水分解ペプチドなどをまったく用いな
かった。
【0080】
【表5】
【0081】上記実施例3および比較例5〜6のパーマ
ネントウェーブ用第1剤と、6%臭素酸ナトリウム水溶
液からなるパーマネントウェーブ用第2剤とを用い、実
施例1と同様に、重さ1gで長さ18cmの毛束にパー
マネントウェーブ処理を行い、処理後の毛髪の艶、潤い
を実施例1と同様の評価基準で10人のパネラーに評価
させた。また、パーマネントウェーブ処理後の毛髪の引
張り強度および毛髪中のシステイン酸量を測定した。な
お、引張り強度の測定は、各毛束から30本の毛髪を実
施例1と同様の方法で選び出して行った。それらの結果
(平均値)を表6に示す。
【0082】
【表6】
【0083】表6に示す結果から明らかなように、シス
チン導入加水分解シルクを含有する実施例3のパーマネ
ントウェーブ用第1剤で処理した場合は、比較例5〜6
のパーマネントウェーブ用第1剤で処理した場合に比べ
て、毛髪の艶、潤いのいずれも評価値が高かった。シス
テインパーマでは、チオグリコール酸を還元剤として用
いたパーマネントウェーブ処理に比べて、毛髪の損傷が
少なく、そのため引張り強度や毛髪中のシステイン酸量
の差は、実施例と比較例との間でそれほど大きくならな
いが、それでも実施例3のパーマネントウェーブ用第1
剤で処理した毛髪は、比較例5〜6のパーマネントウェ
ーブ用第1剤で処理した毛髪に比べて、引張り強度が大
きく、かつ毛髪中のシステイン酸量が少なく、シスチン
導入加水分解シルクが毛髪によく収着し、パーマネント
ウェーブ処理時の毛髪の損傷を防止することが明らかに
されていた。
【0084】実施例4 シスチン導入ペプチドとして、前記製造例4で製造した
シスチン量がアミノ酸分析でハーフシスチンとして5.
3%モルのシスチン導入加水分解酵母タンパク(数平均
分子量1000)を用いて下記組成のパーマネントウェ
ーブ用第1剤を調製した。配合量はいずれも重量部によ
るものである。
【0085】 シスチン導入加水分解酵母タンパク(30%) 6.0 亜硫酸水素ナトリウム 3.5 重炭酸アンモニウム 2.0 エデト酸二ナトリウム 0.1 モノエタノールアミン pH7.2にする 香料 適 量 滅菌イオン交換水 計100とする
【0086】上記のように調製された実施例4のパーマ
ネントウェーブ用第1剤を用い、第2剤には6%臭素酸
ナトリウム水溶液を用い、毛髪にパーマネントウェーブ
処理を行ったところ、毛髪には良好なウェーブが付与さ
れ、処理後の毛髪は良好な艶、潤いを有していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松川 愛絵 大阪府東大阪市布市町1丁目2番14号 株 式会社成和化成内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還元剤を含有するパーマネントウェーブ
    用第1剤において、動物、植物または微生物などの天然
    物由来の蛋白質を加水分解して得られた加水分解ペプチ
    ドまたはその誘導体に、該加水分解ペプチドまたはその
    誘導体のアミノ基とシスチンのカルボキシル基とのアミ
    ド結合により、シスチンを導入したシスチン導入ペプチ
    ドを含有することを特徴とするパーマネントウェーブ用
    第1剤。
  2. 【請求項2】 シスチン導入ペプチドの含有量が0.5
    〜20重量%である請求項1記載のパーマネントウェー
    ブ用第1剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009090937A1 (ja) * 2008-01-17 2009-07-23 Seiren Kabushiki Kaisha 毛髪改質剤組成物および毛髪の改質方法
JP2010037236A (ja) * 2008-08-01 2010-02-18 Uha Mikakuto Co Ltd シスチン−コラーゲンペプチド複合体およびその製造方法
CN102150866A (zh) * 2010-02-12 2011-08-17 悠哈味觉糖有限公司 含胱氨酸复合体及其制造方法

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