JPH10287697A - シスチン導入ペプチドおよびその製造方法 - Google Patents

シスチン導入ペプチドおよびその製造方法

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JPH10287697A
JPH10287697A JP11351697A JP11351697A JPH10287697A JP H10287697 A JPH10287697 A JP H10287697A JP 11351697 A JP11351697 A JP 11351697A JP 11351697 A JP11351697 A JP 11351697A JP H10287697 A JPH10287697 A JP H10287697A
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cystine
hydrolyzed
peptide
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solution
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JP11351697A
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Masato Yoshioka
正人 吉岡
Hiroshi Shintani
博 新谷
Manae Matsukawa
愛絵 松川
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Seiwa Kasei Co Ltd
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Seiwa Kasei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動物、植物、微生物などの天然物由来の蛋白
質を加水分解して得られた加水分解ペプチドまたはその
誘導体に、それらの有する特性を損なうことなく、さら
に有用な特性を付加する。 【解決手段】 動物、植物、微生物などの天然物由来の
蛋白質を加水分解して得られた加水分解ペプチドまたは
その誘導体にN,N’−ジカルボキシ無水シスチンをア
ルカリの存在下で反応させ、その後、酸を用いて脱炭酸
することにより、上記加水分解ペプチドまたはその誘導
体にシスチンを導入して、加水分解ペプチドまたはその
誘導体の有する特性に加え、シスチンの有する特性を付
加したシスチン導入ペプチドを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動物、植物、微生
物などの天然物由来の蛋白質を加水分解して得られた加
水分解ペプチドまたはその誘導体にシスチンを導入した
シスチン導入ペプチドおよびその製造方法に関し、さら
に詳しくは、シスチンを含有しないかあるいはシスチン
含有量の少ない加水分解ペプチドまたはその誘導体にシ
スチンを導入することにより、加水分解ペプチドまたは
その誘導体にシスチンの有する特性を付加したシスチン
導入ペプチドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、動物、植物、微生物由来など
の天然物由来の蛋白質を加水分解することによって得ら
れる加水分解ペプチドやその誘導体を化粧品に配合した
り、それらの加水分解ペプチドやその誘導体で繊維を処
理することが行われている。
【0003】これは、毛髪化粧品の場合、それらの加水
分解ペプチドやその誘導体が毛髪に吸着して毛髪の損傷
を防止したり、損傷した毛髪を回復させる作用を有し、
しかも毛髪上に被膜を形成して毛髪に艶や潤いを付与す
る作用を有することによるものであり、皮膚化粧品の場
合は、それらの加水分解ペプチドやその誘導体が皮膚に
艶を付与したり、それらが有する保湿性により皮膚にし
っとり感を付与する作用を有し、しかも、それらの加水
分解ペプチドやその誘導体が天然の蛋白質から誘導され
る物質であって、皮膚に対する刺激性が少なく、安全性
が高いという理由によるものである。
【0004】また、繊維処理においては、それらの加水
分解ペプチドやその誘導体が繊維を保湿性の高い繊維に
したり、木綿繊維にウール様の感触を付与する作用を有
し、かつ皮膚に触れる部分に用いても刺激性が少なく、
安全性が高いという理由によるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、化粧品
基材や繊維処理剤の研究に携わる者にとっては、加水分
解ペプチドやその誘導体の有する上記特性を損なうこと
なく、加水分解ペプチドやその誘導体にさらに有用な特
性を付加し、それらを化粧品や繊維処理剤に配合するこ
とによって、より高品質のものを得たいという要望があ
る。
【0006】たとえば、ケラチンペプチドは、ジスルフ
ィド結合を有していて毛髪のジスルフィド結合と結合し
やすく、毛髪の保護や損傷回復作用が優れ、フィブロイ
ンペプチドはそのアミノ酸構造から毛髪や皮膚に艶や潤
い感を付与する作用が優れていることが知られている。
また、酸性アミノ酸を多く含む植物由来の大豆蛋白や小
麦蛋白の加水分解ペプチドやリン酸基を含むカゼインペ
プチドなどは保湿性に優れているといわれている。
【0007】しかしながら、上記のような性質のすべて
を併せ持つ加水分解ペプチドはなく、それらの加水分解
ペプチドを2種以上併用することによってユーザーから
の要求に対応しているが、異なった性質を有する加水分
解ペプチドの特性を並立して充分に発揮させることはむ
つかしく、ユーザーからの要求に対して充分な対応がで
きていないのが現状である。
【0008】たとえば、ケラチンペプチドとフィブロイ
ンペプチドを洗い流すタイプのシャンプーやリンスに配
合した場合、ケラチンペプチドはそのジスルフィド結合
の作用により毛髪に収着しやすいが、フィブロインペプ
チドはすすぎにより流されやすいため、それらの化粧料
の使用後にフィブロインペプチドの特性を充分に発揮さ
せることはむつかしい。
【0009】また、加水分解ペプチドにアジド法、アミ
ノ酸エステル縮合法、ジケトピペラジン法などを利用し
て特定のアミノ酸を導入することにより他の特性を付加
することも検討されているが、これらの方法による場
合、ペプチドとの反応前に官能基を保護するため、合成
後に外した保護基を除去して精製する必要があったり、
反応に大量の有機溶媒を必要とするなど、大量生産には
向かず、特定のペプチド合成以外は、工業的にはあまり
利用されていないのが現状である。
【0010】また、最近では遺伝子組み替え技術を利用
して特定のアミノ酸を組み込んだペプチドの合成も行わ
れているが(たとえば、特表平4−504801号公
報)、核酸合成やその核酸を宿主細胞に取り込ませる工
程が必要で、かつ生成したペプチドを精製分離するため
に煩雑な工程と時間を要するため、製造コストが高くな
り、一部の医薬品を除いてほとんど利用されていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の事
情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、動物、植物、微生物な
どの天然物由来の加水分解ペプチドまたはその誘導体に
N,N’−ジカルボキシ無水シスチンをアルカリの存在
下で反応させた後、酸を用いて脱炭酸を行うことによ
り、シスチンを加水分解ペプチドまたはその誘導体に導
入することができ、しかもこの方法によれば、脱炭酸す
ることに基づき、N,N’−ジカルボキシ無水シスチン
と加水分解ペプチドまたはその誘導体との反応液中に保
護基が残らないので、その後の精製が容易であり、ま
た、得られたシスチン導入ペプチドは、保湿性、艶や潤
いの付与作用といった加水分解ペプチドまたはその誘導
体が本来有する特性に加えて、シスチンの導入によりジ
スルフィド結合を有していて毛髪や皮膚への収着性が高
められていることを見出し、本発明を完成するにいたっ
た。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で使用する加水分解ペプチ
ドまたはその誘導体のタンパク(蛋白)源としては、天
然物由来の蛋白質、たとえば、コラーゲン(その変成物
であるゼラチンも含む)、ケラチン、絹フィブロイン、
セリシン、カゼイン、コンキオリン、エラスチン、鶏な
どの卵の卵黄タンパク、卵白タンパクなどの動物由来の
ものや、大豆、小麦、ビール粕、トウモロコシ、米(米
糠)、イモ類のタンパクなどの植物由来のもの、さらに
は、サッカロミセス属、カンディタ属、エンドミコプシ
ス属の酵母菌や、いわゆるビール酵母、清酒酵母といわ
れる酵母菌より分離した酵母タンパク、キノコ類(担子
菌)やクロレラより分離したタンパクなどの微生物由来
のものなどが挙げられる。
【0013】本発明で使用する加水分解ペプチドは、上
記蛋白質を酸、アルカリ、酵素またはそれらの併用によ
り加水分解することによって得られるが、その際、使用
する酸、アルカリ、酵素の量や、反応温度、反応時間な
どを適宜選択することにより、得られる加水分解ペプチ
ドのアミノ酸重合度を種々に変え得るが、本発明のシス
チン導入ペプチドの製造方法によれば、加水分解ペプチ
ドが水溶性である限りは、加水分解ペプチドの大きさ
(アミノ酸重合度)に関係なく使用することができる。
【0014】蛋白質の酸加水分解に際しては、たとえ
ば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸などの無機
酸や、酢酸、蟻酸などの有機酸が用いられ、蛋白質のア
ルカリ加水分解に際しては、たとえば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなど
の無機アルカリが用いられる。そして、蛋白質の酵素加
水分解に際しては、ペプシン、プロクターゼA、プロク
ターゼBなどの酸性蛋白質分解酵素、パパイン、ブロメ
ライン、サーモライシン、トリプシン、プロナーゼ、キ
モトリプシンなどの中性ないしアルカリ性蛋白質分解酵
素が使用される。また、スブチリシン、スタフィロコッ
カスプロテアーゼなどの菌産性の中性ないしアルカリ性
蛋白質分解酵素も使用できる。
【0015】また、加水分解ペプチドの誘導体として
は、上記加水分解ペプチドのカルボキシル基におけるア
ルコールとのエステル、たとえば、メチルエステル、エ
チルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステ
ル、ラウリルエステル、セチルエステル、2−エチルヘ
キシルエステル、2−ヘキシルデシルエステル、ステア
リルエステルなどの炭素数1〜20の炭化水素アルコー
ルとのエステルなどが挙げられる。
【0016】シスチン導入ペプチドを得るには、まず、
シスチンをN,N’−ジカルボキシ無水シスチンに変換
するが、このN,N’−ジカルボキシ無水シスチンを得
る方法としては、公知の方法を採用することができる。
たとえば、まず、シスチンのアルカリ水溶液にクロル炭
酸ベンジル、クロル炭酸メチル、クロル炭酸アリルなど
のクロル炭酸エステルをアルカリ条件下で滴下し、下記
の反応式〔I〕に示すようにシスチンのアミノ基を保護
する。
【0017】
【化1】
【0018】(式中、Rはベンジル基、アルキル基また
はアリル基)
【0019】ついで、反応液を塩酸、硫酸などの鉱酸で
酸性にした後、酢酸エチルなどの有機溶媒で反応生成物
を抽出し、食塩水および水で有機層を洗浄した後、有機
溶媒を減圧濃縮して除去することにより、アミノ基が保
護されたシスチンが得られる。
【0020】つぎに、上記で得られたアミノ基が保護さ
れたシスチンを酢酸エチルなどの溶解可能な有機溶媒に
溶解し、下記の反応式〔II〕に示すように、窒素ガス雰
囲気下で、塩化チオニル(塩化チオニルに代えて、三塩
化リン、五塩化リンなどでもよい)などを作用させてカ
ルボキシル基をカルボニルクロライドにし、ついで減圧
下80℃以上で加熱縮合させると、N,N’−ジカルボ
キシ無水シスチンが得られる。
【0021】
【化2】
【0022】また、シスチンにホスゲン、ホスゲンダイ
マー、ホスゲントリマーなどを直接反応させて、N,
N’−ジカルボキシ無水シスチンを合成することもでき
る。
【0023】加水分解ペプチドまたはその誘導体と上記
のようにして得られたN,N’−ジカルボキシ無水シス
チンとの反応は、下記の反応式〔III 〕に示すように進
行する。
【0024】
【化3】
【0025】(式中、R’は種々のアミノ酸の側鎖を示
し、nはアミノ酸の重合度を示す)
【0026】まず、加水分解ペプチドまたはその誘導体
の水溶液を水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ剤で
pHを10.0〜10.5程度に調整し、その中に酢酸
エチルなどの溶媒に溶解したN,N’−ジカルボキシ無
水シスチンを氷冷下で滴下して反応させるが、同時に水
酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ剤も滴下してpH
を10.0〜10.5に保つ。
【0027】N,N’−ジカルボキシ無水シスチンの滴
下終了後、温度を50〜58℃に上昇させ、2〜5時間
攪拌を続けて反応を完結させる。つぎに反応液にn−ヘ
キサンなどの水と相溶しない溶媒を添加して洗浄し、未
反応のN,N’−ジカルボキシ無水シスチンを有機層に
移して除去した後、水層を硫酸、塩酸などでpH3〜4
に調整して脱炭酸することによって、シスチン導入ペプ
チドが得られる。このシスチン導入ペプチドでは、式
〔III 〕に示すように加水分解ペプチドまたはその誘導
体のアミノ基とシスチンのカルボキシル基とがアミド結
合することにより、加水分解ペプチドまたはその誘導体
にシスチンが導入されている。
【0028】脱炭酸したシスチン導入ペプチド溶液はそ
のままあるいは粉末化して化粧品や繊維処理剤などへの
配合剤などとして使用に供され、また、必要に応じ、イ
オン交換樹脂、透析膜、電気透析、ゲル濾過、限外濾過
などによって精製した後、液体のままあるいは粉末化し
て使用に供される。
【0029】
【発明の効果】上記のようにして得られる本発明のシス
チン導入ペプチドは、加水分解ペプチドまたはその誘導
体が本来有している毛髪の保護・損傷回復作用、保湿作
用、艶、潤いなどの付与作用を保有している上に、シス
チンの導入によりジスルフィド結合を有していて毛髪や
皮膚への収着性が高められているので、たとえば、毛髪
化粧品に配合した時には、毛髪への収着性が高く、毛髪
の保護・損傷回復作用、毛髪への艶、潤いの付与作用な
どがより顕著に発揮される。また、繊維処理剤に配合さ
れた場合は、繊維に動物繊維様の感触を与え、形状記憶
性も増強される。
【0030】
【実施例】つぎに実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定
されるものではない。なお、以下の実施例などにおい
て、溶液や分散液などの濃度を示す%は特にその単位を
付記していないかぎり重量%である。また、実施例に先
立ち、N,N’−ジカルボキシ無水シスチンの製造例を
参考例として示す。
【0031】参考例1(N,N’−ジカルボキシ無水シ
スチンの製造例1) シスチン18gを150mlの1N水酸化ナトリウム水
溶液に溶解し、氷冷下で攪拌しながらクロル炭酸ベンジ
ル38.3gを30分かけて滴下した。その間、水酸化
ナトリウム水溶液を添加して反応液のpHが9〜10に
なるように保った。クロル炭酸ベンジルの滴下終了後、
室温で2時間攪拌を続け、反応を完結させた。
【0032】反応終了後、希塩酸で反応液のpHを1に
し、酢酸エチル300mlを加えて反応生成物を抽出し
た。有機層は2%食塩水150mlで2回洗浄し、さら
に75mlの水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム30
gを加えて有機層を乾燥した。濾過により無水硫酸ナト
リウムを除去した後、濾液を減圧濃縮乾固し、残留物を
クロロホルムにより再結晶して30gのN,N’−ジカ
ルボベンゾキシシスチンを得た。
【0033】つぎに、このN,N’−ジカルボベンゾキ
シシスチンを267mlのベンゼン−ジオキサン混合液
(体積比=250:17)に溶解し、窒素ガス雰囲気下
で攪拌し、その中に17.2mlの塩化チオニルを1時
間かけて滴下した。滴下終了後、反応液の温度を55℃
まで上昇させ、3時間攪拌を続けて反応を完結させた。
【0034】反応終了後、減圧下で反応液の温度を80
〜85℃に保ち、2時間かけて加熱縮合させた後、反応
液を20mlのn−ヘキサンで5回洗浄し、水層を減圧
濃縮して19.3gのN,N’−ジカルボキシ無水シス
チンを得た。
【0035】参考例2(N,N’−ジカルボキシ無水シ
スチンの製造例2) シスチン12gを100mlの1N水酸化ナトリウム水
溶液に溶解し、氷冷下で攪拌しながらクロル炭酸メチル
14.1gを30分かけて滴下した。その間、水酸化ナ
トリウム水溶液を添加して反応液のpHが9〜10にな
るように保った。クロル炭酸メチルの滴下終了後、室温
で2時間攪拌を続け、反応を完結させた。
【0036】反応終了後、希塩酸で反応液のpHを1に
し、酢酸エチル200mlを加えて反応生成物を抽出し
た。有機層は2%食塩水100mlで2回洗浄し、さら
に100mlの水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム2
0gを加えて有機層を乾燥した。濾過により無水硫酸ナ
トリウムを除去した後、濾液を減圧濃縮乾固し、残留物
をn−ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥して10gのメチル
炭酸シスチンを得た。
【0037】つぎに、このメチル炭酸シスチンを30m
lの酢酸エチルに溶解し、窒素ガス雰囲気下で攪拌し、
その中に8.07mlの塩化チオニルを1時間かけて滴
下した。滴下終了後、反応液の温度を55℃まで上昇さ
せ、4時間攪拌を続けて反応を完結させた。
【0038】反応終了後、減圧下で反応液の温度を80
〜85℃に保ち、2時間かけて加熱縮合させた後、反応
液を20mlのn−ヘキサンで5回洗浄し、水層を減圧
濃縮して7.9gのN,N’−ジカルボキシ無水シスチ
ンを得た。
【0039】実施例1 平均分子量450の加水分解コラーゲンの30%水溶液
47g(アミノ態窒素の測定によって得られた化学量論
的モル数として30.5ミリモル)を水酸化ナトリウム
水溶液でpHを10.2に調整し、この溶液に、氷冷
下、上記参考例1で製造したN,N’−ジカルボキシ無
水シスチン3.1g(10ミリモル、加水分解コラーゲ
ンに対して0.65当量)を50mlの酢酸エチルに溶
解した溶液を添加し攪拌して混合し、3時間攪拌を続け
て反応させた。その間、水酸化ナトリウム水溶液を添加
して反応液のpHが10.0〜10.5になるように保
った。
【0040】反応終了後、反応物を100mlのn−ヘ
キサンで3回洗浄して未反応物を除去した後、水層に濃
硫酸を添加してpHを4に調整して減圧下で脱炭酸し、
濃度を調整して、シスチン導入加水分解コラーゲンの3
0%水溶液を45.1g得た。
【0041】上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解コラーゲンの一部を6N塩酸で20時間完全加水
分解した後、アミノ酸オートアナラーザーでアミノ酸分
析したところ、ハーフシスチンとして10.64モル%
が検出された。また、上記のようにして得られたシスチ
ン導入加水分解コラーゲンの一部を、塩酸による加水分
解を行わずにアミノ酸分析したところ、シスチンは検出
されず、上記で検出されたシスチンはすべて加水分解コ
ラーゲンに結合していることが明らかにされた。
【0042】原料の加水分解コラーゲンにはシスチンが
含まれていないため、このシスチンはすべて上記のシス
チン導入法により加水分解コラーゲンに導入されたもの
であることが明らかであった。
【0043】実施例2 平均分子量700の加水分解小麦タンパクの30%水溶
液140g(アミノ態窒素の測定によって得られた化学
量論的モル数として33.6ミリモル)を水酸化ナトリ
ウム水溶液でpHを10.2に調整し、この溶液に、氷
冷下、上記参考例1で製造したN,N’−ジカルボキシ
無水シスチン4.5g(15.4ミリモル、加水分解小
麦タンパクに対して0.9当量)を80mlの酢酸エチ
ルに溶解した溶液を添加し攪拌して混合し、3時間攪拌
を続けて反応させた。その間、水酸化ナトリウム水溶液
を添加して反応液のpHが10.0〜10.5になるよ
うに保った。
【0044】反応終了後、反応物を100mlのn−ヘ
キサンで4回洗浄して未反応物を除去した後、水層に濃
硫酸を添加してpHを4に調整して減圧下で脱炭酸し、
濃度を調整して、シスチン導入加水分解小麦タンパクの
30%水溶液を114.1g得た。
【0045】上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解小麦タンパクの一部を6N塩酸で20時間完全加
水分解した後、アミノ酸オートアナラーザーでアミノ酸
分析したところ、ハーフシスチンとして5.9モル%が
検出された。また、上記のようにして得られたシスチン
導入加水分解小麦タンパクの一部を、塩酸による加水分
解を行わずにアミノ酸分析したところ、シスチンは検出
されず、上記で検出されたシスチンはすべて加水分解小
麦タンパクに結合していることが明らかにされた。
【0046】原料の加水分解小麦タンパクには0.4モ
ル%のシスチンが含まれていたので、検出された5.9
モル%のシスチンのうち5.5モル%は上記のシスチン
導入法により加水分解小麦タンパクに導入されたもので
あることが明らかであった。
【0047】実施例3 加水分解小麦タンパクに代えて平均分子量350の加水
分解シルクの30%水溶液80g(アミノ態窒素の測定
によって得られた化学量論的モル数として77.3ミリ
モル)と、上記参考例1で製造したN,N’−ジカルボ
キシ無水シスチン6.1g(20.8ミリモル、加水分
解シルクに対して0.5当量)を100mlの酢酸エチ
ルに溶解した溶液を用いたほかは、実施例2と同様にし
て、シスチン導入加水分解シルクの30%水溶液を10
2g得た。
【0048】上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解シルクの一部を6N塩酸で20時間完全加水分解
した後、アミノ酸オートアナラーザーでアミノ酸分析し
たところ、ハーフシスチンとして4.2モル%が検出さ
れた。また、上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解シルクの一部を、塩酸による加水分解を行わずに
アミノ酸分析したところ、シスチンは検出されず、上記
で検出されたシスチンはすべて加水分解シルクに結合し
ていることが明らかにされた。
【0049】原料の加水分解シルクにはシスチンが含ま
れていないため、このシスチンはすべて上記のシスチン
導入法により加水分解シルクに導入されたものであるこ
とが明らかであった。
【0050】実施例4 平均分子量600の加水分解大豆タンパクの30%水溶
液50g(アミノ態窒素の測定によって得られた化学量
論的モル数として18.4ミリモル)を水酸化ナトリウ
ム水溶液でpHを10.2に調整し、この溶液に、氷冷
下、上記参考例2で製造したN,N’−ジカルボキシ無
水シスチン2.2g(7.5ミリモル、加水分解大豆タ
ンパクに対して0.8当量)を40mlの酢酸エチルに
溶解した溶液を添加し攪拌して混合し、3時間攪拌を続
けて反応させた。その間、水酸化ナトリウム水溶液を添
加して反応液のpHが10.0〜10.5になるように
保った。
【0051】反応終了後、反応物を80mlのn−ヘキ
サンで3回洗浄して未反応物を除去した後、水層に濃硫
酸を添加してpHを4に調整して減圧下で脱炭酸し、濃
度を調整して、シスチン導入加水分解大豆タンパクの3
0%水溶液を42.8g得た。
【0052】上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解大豆タンパクの一部を6N塩酸で20時間完全加
水分解した後、アミノ酸オートアナラーザーでアミノ酸
分析したところ、ハーフシスチンとして6.1モル%が
検出された。また、上記のようにして得られたシスチン
導入加水分解大豆タンパクの一部を、塩酸による加水分
解を行わずにアミノ酸分析したところ、シスチンは検出
されず、上記で検出されたシスチンはすべて加水分解大
豆タンパクに結合していることが明らかにされた。
【0053】原料の加水分解大豆タンパクには0.8モ
ル%のシスチンが含まれていたので、検出された6.1
モル%のシスチンのうち5.3モル%は上記のシスチン
導入法より加水分解大豆タンパクに導入されたものであ
ることが明らかであった。
【0054】実施例5 加水分解大豆タンパクに代えて平均分子量650の加水
分解酵母タンパクの30%水溶液50g(アミノ態窒素
の測定によって得られた化学量論的モル数として30ミ
リモル)と、上記参考例2で製造したN,N’−ジカル
ボキシ無水シスチン3.1g(10.5ミリモル、加水
分解酵母タンパクに対して0.7当量)を80mlの酢
酸エチルに溶解した溶液を用いたほかは、実施例4と同
様にして、シスチン導入加水分解酵母タンパクの30%
水溶液を38.4g得た。
【0055】上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解酵母タンパクの一部を6N塩酸で20時間完全加
水分解した後、アミノ酸オートアナラーザーでアミノ酸
分析したところ、ハーフシスチンとして5.3モル%が
検出された。また、上記のようにして得られたシスチン
導入加水分解酵母タンパクの一部を、塩酸による加水分
解を行わずにアミノ酸分析したところ、シスチンは検出
されず、上記で検出されたシスチンはすべて加水分解酵
母タンパクに結合していることが明らかにされた。
【0056】原料の加水分解酵母タンパクには0.2モ
ル%のシスチンが含まれていたため、検出された5.3
モル%のシスチンのうち5.1モル%は上記のシスチン
導入法より加水分解酵母タンパクに導入されたものであ
ることが明らかであった。
【0057】〔シスチン導入ペプチドの毛髪への収着性
試験〕上記のようにして製造されたシスチン導入ペプチ
ドの毛髪への収着性を、Journal of SCC
J Vol.21,No.2記載の「毛髪の損傷度評価
法(I)」中のカラム循環法に従って試験した。
【0058】すなわち、直径7.5mm、長さ75mm
の液体クロマト用カラムに、平均長さ2mmに切断した
毛髪1.8gを充填し、その中に試料濃度2%に調整し
た試験液を流速2ml/minで一定時間循環させる。
【0059】循環後の試験液中の試料濃度は試験液をゲ
ル濾過分析することによって求め、循環前後の試験液中
の試料濃度の変化より毛髪1g当たりの試料の収着量を
算出する。なお、毛髪への浸透による試料濃度の低下量
は、対照に平均分子量1000のポリオキシエチレング
リコールの2%水溶液を用いて上記と同じ条件で試験液
を循環させ、ポリオキシエチレングリコール濃度の低下
量を毛髪への浸透によるものとして補正した。
【0060】試験には実施例1〜5で製造したシスチン
導入加水分解コラーゲン、シスチン導入加水分解小麦タ
ンパク、シスチン導入加水分解シルク、シスチン導入加
水分解大豆タンパクおよびシスチン導入加水分解酵母タ
ンパクを用い、それぞれの2%水溶液を調製し、それを
試験液として、上記の方法により、毛髪への収着性を調
べた。なお、比較対照として、シスチン導入ペプチドの
それぞれの原料である、平均分子量450の加水分解コ
ラーゲン、平均分子量700の加水分解小麦タンパク、
平均分子量350の加水分解シルク、平均分子量600
の加水分解大豆タンパクおよび平均分子量650の加水
分解酵母タンパクの毛髪への収着性も調べた。それらの
結果〔毛髪への収着量(mg/g)〕を表1および表2
に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】表1および表2に示す結果から明らかなよ
うに、実施例1〜5のシスチン導入ペプチドは、いずれ
も原料の加水分解ペプチドに比べて毛髪への収着性が向
上していた。特に実施例1のシスチン導入加水分解コラ
ーゲンや実施例3のシスチン導入加水分解シルクでは、
それぞれ原料の加水分解コラーゲンや加水分解シルクに
比べて、毛髪への収着量が約2倍に向上していた。
【手続補正書】
【提出日】平成9年5月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】 N,N’−ジカルボキシ無水シスチンの
滴下終了後、2〜5時間攪拌を続けて反応を完結させ
る。つぎに反応液にn−ヘキサンなどの水と相溶しない
溶媒を添加して洗浄し、未反応のN,N’−ジカルボキ
シ無水シスチンを有機層に移して除去した後、水層を硫
酸、塩酸などでpH3〜4に調整して脱炭酸することに
よって、シスチン導入ペプチドが得られる。このシスチ
ン導入ペプチドでは、式〔III〕に示すように加水分
解ペプチドまたはその誘導体のアミノ基とシスチンのカ
ルボキシル基とがアミド結合することにより、加水分解
ペプチドまたはその誘導体にシスチンが導入されてい
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】 原料の加水分解大豆タンパクには0.8
モル%のシスチンが含まれていたので、検出された6.
1モル%のシスチンのうち5.3モル%は上記のシスチ
ン導入法より加水分解大豆タンパクに導入されたもの
であることが明らかであった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】 原料の加水分解酵母タンパクには0.2
モル%のシスチンが含まれていたため、検出された5.
3モル%のシスチンのうち5.1モル%は上記のシスチ
ン導入法より加水分解酵母タンパクに導入されたもの
であることが明らかであった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動物、植物、微生物などの天然物由来の
    蛋白質を加水分解して得られた加水分解ペプチドまたは
    その誘導体にシスチンを、上記加水分解ペプチドまたは
    その誘導体のアミノ基とシスチンのカルボキシル基との
    アミド結合により、導入したことを特徴とするシスチン
    導入ペプチド。
  2. 【請求項2】 動物、植物、微生物などの天然物由来の
    蛋白質を加水分解して得られた加水分解ペプチドまたは
    その誘導体にN,N’−ジカルボキシ無水シスチンをア
    ルカリの存在下で反応させ、その後、酸を用いて脱炭酸
    することを特徴とするシスチン導入ペプチドの製造方
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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