JPH1171398A - シスチン導入加水分解ケラチンおよびその製造方法 - Google Patents

シスチン導入加水分解ケラチンおよびその製造方法

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JPH1171398A
JPH1171398A JP24611097A JP24611097A JPH1171398A JP H1171398 A JPH1171398 A JP H1171398A JP 24611097 A JP24611097 A JP 24611097A JP 24611097 A JP24611097 A JP 24611097A JP H1171398 A JPH1171398 A JP H1171398A
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cystine
hydrolyzed keratin
keratin
hydrolyzed
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JP24611097A
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Masato Yoshioka
正人 吉岡
Hiroshi Shintani
博 新谷
Yoshie Matsukawa
愛絵 松川
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Seiwa Kasei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケラチン蛋白を加水分解して得られた加水分
解ケラチンまたはその誘導体に、それらの有する特性を
損なうことなく、さらに有用な特性を付加する。 【解決手段】 ケラチン蛋白を加水分解して得られた加
水分解ケラチンまたはその誘導体にN,N’−ジカルボ
キシ無水シスチンをアルカリの存在下で反応させ、その
後、酸を用いて脱炭酸することにより、上記加水分解ケ
ラチンまたはその誘導体にシスチンを導入して、加水分
解ケラチンまたはその誘導体の有する特性に加え、シス
チンの有する特性を付加したシスチン導入加水分解ケラ
チンを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然物由来のケラ
チン蛋白を加水分解して得られた加水分解ケラチンまた
はその誘導体にシスチンを導入したシスチン導入加水分
解ケラチンおよびその製造方法に関し、さらに詳しく
は、加水分解ケラチンまたはその誘導体の有するシスチ
ンに基づく特性をさらに強めたシスチン導入加水分解ケ
ラチンおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、動物、植物、微生物由来など
の天然物由来の蛋白質を加水分解することによって得ら
れる加水分解ペプチドやその誘導体を化粧品に配合した
り、それらの加水分解ペプチドやその誘導体で繊維を処
理することが行われている。
【0003】これは、毛髪化粧品の場合、それらの加水
分解ペプチドやその誘導体が毛髪に収着して毛髪の損傷
を防止したり、損傷した毛髪を回復させる作用を有し、
しかも毛髪上に被膜を形成して毛髪に艶や潤いを付与す
る作用を有することによるものであり、皮膚化粧品の場
合は、それらの加水分解ペプチドやその誘導体が皮膚に
艶を付与したり、それらが有する保湿性により皮膚にし
っとり感を付与する作用を有し、しかも、それらの加水
分解ペプチドやその誘導体が天然の蛋白質から誘導され
る物質であって、皮膚に対する刺激性が少なく、安全性
が高いという理由によるものである。
【0004】また、繊維処理においては、加水分解ケラ
チンやその誘導体が繊維を保湿性の高い繊維にしたり、
木綿繊維にウール様の感触を付与する作用を有し、かつ
皮膚に触れる部分に用いても刺激性が少なく、安全性が
高いという理由によるものである。
【0005】天然物由来の蛋白質の加水分解ペプチドや
その誘導体の中でも、特に加水分解ケラチンやその誘導
体は、ジスルフィド結合を有していて毛髪とジスルフィ
ド結合を介して結合しやすく、毛髪の保護や損傷回復作
用が優れていることから、毛髪化粧品に広く使用されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、化粧品
基材の研究に携わる者にとっては、さらに毛髪に結合し
やすく、毛髪の保護作用や損傷回復作用がさらに向上し
た、より高品質の加水分解ペプチドやその誘導体を得た
いという要望がある。
【0007】また、ケラチンのアミノ酸組成は表1に示
すように、シスチンをハーフシスチンとして約10モル
%、すなわちアミノ酸約10個に1個の割合でハーフシ
スチンを含んでいるが、加水分解ケラチン中のシスチン
量は分解方法や分解度により異なり、しかも、精製によ
りシスチンが失われるため、現実には10モル%以下に
なり、加水分解の度合いの大きいペプチド、すなわち平
均分子量の小さい加水分解ケラチンでは、シスチンをま
ったく含まないペプチド鎖も存在することになり、ジス
ルフィド結合による毛髪の保護作用や損傷回復作用を発
揮するペプチドが少なくなるという問題もある。
【0008】
【表1】
【0009】加水分解ペプチドなどのペプチド類にアジ
ド法、アミノ酸エステル縮合法、ジケトピペラジン法な
どを利用して特定のアミノ酸を導入することにより他の
特性を付加することも検討されているが、これらの方法
による場合、ペプチドとの反応前に官能基を保護するた
め、アミノ酸を導入後に外した保護基を除去して精製す
る必要があったり、反応に大量の有機溶媒を必要とする
など、大量生産には向かず、特定のペプチド合成以外
に、工業的にはあまり利用されていないのが現状であ
る。
【0010】また、最近では遺伝子組み替え技術を利用
して特定のアミノ酸を組み込んだペプチドの合成も行わ
れているが(たとえば、特表平4−504801号公
報)、核酸合成やその核酸を宿主細胞に取り込ませる工
程が必要で、かつ生成したペプチドを精製分離するため
に煩雑な工程と時間を要するため、製造コストが高くな
り、一部の医薬品を除いてほとんど利用されていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の事
情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ケラチン蛋白の加水分
解物またはその誘導体にN,N’−ジカルボキシ無水シ
スチンをアルカリの存在下で反応させた後、酸を用いて
脱炭酸を行うことにより、シスチンを加水分解ケラチン
に導入することができ、しかもこの方法によれば、脱炭
酸をすることに基づき、N,N’−ジカルボキシ無水シ
スチンと加水分解ケラチンまたはその誘導体との反応液
中に保護基が残らないので、その後の精製が容易であ
り、また、得られたシスチン導入加水分解ケラチンは、
シスチンの導入によりジスルフィド結合が増加し、毛髪
や皮膚への艶や潤いの付与作用がシスチン導入前よりも
さらに高められていることを見出し、本発明を完成する
にいたった。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で使用する加水分解ケラチ
ンまたはその誘導体の原料としては、たとえば、獣毛、
羽毛、爪、角、ひずめなどが挙げられるが、特に羊毛、
毛髪、羽毛が好ましい。
【0013】本発明で使用する加水分解ケラチンは、上
記原料を酸、アルカリ、酵素またはそれらの併用により
加水分解することによって得られるが、その際、使用す
る酸、アルカリ、酵素の量や、反応温度、反応時間など
を適宜選択することにより、得られる加水分解ケラチン
のアミノ酸重合度を種々に変え得るが、本発明のシスチ
ン導入加水分解ペプチドの製造方法によれば、加水分解
ケラチンが水溶性である限りは、加水分解ケラチンの大
きさ(アミノ酸重合度)に関係なく使用することができ
る。
【0014】ケラチンの酸加水分解に際しては、たとえ
ば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸などの無機
酸や、酢酸、蟻酸などの有機酸が用いられ、ケラチンの
アルカリ加水分解に際しては、たとえば、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなど
の無機アルカリが用いられる。そして、ケラチンの酵素
加水分解に際しては、ペプシン、プロクターゼA、プロ
クターゼBなどの酸性蛋白質分解酵素、パパイン、ブロ
メライン、サーモライシン、トリプシン、プロナーゼ、
キモトリプシンなどの中性ないしアルカリ性蛋白質分解
酵素が使用される。また、スブチリシン、スタフィロコ
ッカスプロテアーゼなどの歯産生の中性ないしアルカリ
性蛋白質分解酵素も使用できる。
【0015】加水分解ケラチンの誘導体としては、上記
加水分解ケラチンのカルボキシル基におけるアルコール
とのエステル、たとえば、メチルエステル、エチルエス
テル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ラウ
リルエステル、セチルエステル、2−エチルヘキシルエ
ステル、2−ヘキシルデシルエステル、ステアリルエス
テルなどの炭素数1〜20の炭化水素アルコールとのエ
ステルなどが挙げられる。
【0016】シスチン導入加水分解ケラチンを得るに
は、まず、シスチンをN,N’−ジカルボキシ無水シス
チンに変換するが、このN,N’−ジカルボキシ無水シ
スチンを得る方法としては、公知の方法を採用すること
ができる。たとえば、まず、シスチンのアルカリ水溶液
にクロル炭酸ベンジル、クロル炭酸メチル、クロル炭酸
アリルなどのクロル炭酸エステルをアルカリ条件下で滴
下し、下記の反応式〔I〕に示すようにシスチンのアミ
ノ基を保護する。
【0017】
【化1】
【0018】(式中、Rはベンジル基、アルキル基また
はアリル基)
【0019】ついで、反応液を塩酸、硫酸などの鉱酸で
酸性にした後、酢酸エチルなどの有機溶媒で反応生成物
を抽出し、食塩水および水で有機層を洗浄した後、有機
溶媒を減圧濃縮して除去することにより、アミノ基が保
護されたシスチンが得られる。
【0020】つぎに、上記で得られたアミノ基が保護さ
れたシスチンを酢酸エチルなどの溶解可能な有機溶媒に
溶解し、下記の反応式〔II〕に示すように、窒素ガス雰
囲気下で、塩化チオニル(塩化チオニルに代えて、三塩
化リン、五塩化リンなどでもよい)などを反応させてカ
ルボキシル基をカルボニルクロライドにし、ついで減圧
下80℃以上で加熱縮合させると、N,N’−ジカルボ
キシ無水シスチンが得られる。
【0021】
【化2】
【0022】また、シスチンにホスゲン、ホスゲンダイ
マー、ホスゲントリマーなどを直接反応させて、N,
N’−ジカルボキシ無水シスチンを合成することもでき
る。
【0023】加水分解ケラチンまたはその誘導体と上記
のようにして得られたN,N’−ジカルボキシ無水シス
チンとの反応は、下記の反応式〔III 〕に示すように進
行する。
【0024】
【化3】
【0025】(式中、R’は種々のアミノ酸側鎖を示
し、nはアミノ酸の重合度を示す)
【0026】まず、加水分解ケラチンまたはその誘導体
の水溶液を水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ剤で
pHを10.0〜10.5程度に調整し、その中に酢酸
エチルなどの溶媒に溶解したN,N’−ジカルボキシ無
水シスチンを氷冷下で滴下して反応させるが、同時に水
酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ剤も滴下してpH
を10.0〜10.5に保つ。
【0027】N,N’−ジカルボキシ無水シスチンの滴
下終了後、氷冷下で2〜5時間攪拌を続けて反応を完結
させる。つぎに反応液にn−ヘキサンなどの水と相溶し
ない溶媒を添加して洗浄し、未反応のN,N’−ジカル
ボキシ無水シスチンを有機層に移して除去した後、水層
を硫酸、塩酸などでpH3〜4に調整して脱炭酸するこ
とによって、シスチン導入加水分解ケラチンが得られ
る。このシスチン導入加水分解ケラチンでは、式〔III
〕に示すように加水分解ケラチンまたはその誘導体の
アミノ基とシスチンのカルボキシル基とがアミド結合す
ることにより、加水分解ケラチンまたはその誘導体にシ
スチンが導入されている。
【0028】脱炭酸したシスチン導入加水分解ケラチン
溶液はそのままあるいは粉末化して化粧品や繊維処理剤
などへの配合剤などとして使用に供され、また、必要に
応じ、イオン交換樹脂、透析膜、電気透析、ゲル濾過、
限外濾過などによって精製した後、液体のままあるいは
粉末化して使用に供される。
【0029】
【発明の効果】上記のようにして得られる本発明のシス
チン導入加水分解ケラチンは、シスチン導入によりジス
ルフィド結合が増加しているので、毛髪や皮膚への収着
性が高められていて、たとえば、毛髪化粧品に配合した
場合には、毛髪への収着性が高く、加水分解ケラチンま
たはその誘導体が本来有している毛髪の保護・損傷回復
作用、保湿作用、艶、潤いなどの付与作用が一層高めら
れ、それらの作用がより強力に発揮される。また、繊維
処理剤に配合した場合には、繊維に動物繊維様の感触を
与え、形状記憶性も増強される。
【0030】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。なお、以下の実施例などにおい
て、溶液や分散液などの濃度を示す%は特にその単位を
付記していないかぎり重量%である。また、実施例に先
立ち、N,N’−ジカルボキシ無水シスチンの製造例を
参考例として示す。
【0031】参考例1(N,N’−ジカルボキシ無水シ
スチンの製造例1) シスチン18gを150mlの1N水酸化ナトリウム水
溶液に溶解し、氷冷下で攪拌しながらクロル炭酸ベンジ
ル38.3gを30分かけて滴下した。その間、水酸化
ナトリウム水溶液を添加して反応液のpHが9〜10に
なるように保った。クロル炭酸ベンジルの滴下終了後、
室温で2時間攪拌を続け、反応を完結させた。
【0032】反応終了後、希塩酸で反応液のpHを1に
し、酢酸エチル300mlを加えて反応生成物を抽出し
た。有機層は2%食塩水150mlで2回洗浄し、さら
に75mlの水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム30
gを加えて有機層を乾燥した。濾過により無水硫酸ナト
リウムを除去した後、濾液を減圧濃縮乾固し、残留物を
クロロホルムより再結晶して30gのN,N’−ジカル
ボベンゾキシシスチンを得た。
【0033】つぎに、このN,N’−ジカルボベンゾキ
シシスチンを267mlのベンゼン−ジオキサン混合液
(体積比=250:17)に溶解し、窒素ガス雰囲気下
で攪拌し、その中に17.2mlの塩化チオニルを1時
間かけて滴下した。滴下終了後、反応液の温度を55℃
まで上昇させ、3時間攪拌を続けて反応を完結させた。
【0034】反応終了後、減圧下で反応液の温度を80
〜85℃に保ち、2時間かけて加熱縮合させた後、反応
液を20mlのn−ヘキサンで5回洗浄し、水層を減圧
濃縮して19.3gのN,N’−ジカルボキシ無水シス
チンを得た。
【0035】参考例2(N,N’−ジカルボキシ無水シ
スチンの製造例2) シスチン12gを100mlの1N水酸化ナトリウム水
溶液に溶解し、氷冷下で攪拌しながらクロル炭酸メチル
14.1gを30分かけて滴下した。その間、水酸化ナ
トリウム水溶液を添加して反応液のpHが9〜10にな
るように保った。クロル炭酸メチルの滴下終了後、室温
で2時間攪拌を続け、反応を完結させた。
【0036】反応終了後、希塩酸で反応液のpHを1に
し、酢酸エチル200mlを加えて反応生成物を抽出し
た。有機層は2%食塩水100mlで2回洗浄し、さら
に100mlの水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム2
0gを加えて有機層を乾燥した。濾過により無水硫酸ナ
トリウムを除去した後、濾液を減圧濃縮乾固し、残留物
をn−ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥して10gのメチル
炭酸シスチンを得た。
【0037】つぎに、このメチル炭酸シスチンを30m
lの酢酸エチルに溶解し、窒素ガス雰囲気下で攪拌し、
その中に8.07mlの塩化チオニルを1時間かけて滴
下した。滴下終了後、反応液の温度を55℃まで上昇さ
せ、4時間攪拌を続けて反応を完結させた。
【0038】反応終了後、減圧下で反応液の温度を80
〜85℃に保ち、2時間かけて加熱縮合させた後、反応
液を20mlのn−ヘキサンで5回洗浄し、水層を減圧
濃縮して7.9gのN,N’−ジカルボキシ無水シスチ
ンを得た。
【0039】実施例1 平均分子量400の加水分解ケラチンの25%水溶液5
0g(アミノ態窒素の測定によって得られた化学量論的
モル数として43.3ミリモル)を水酸化ナトリウム水
溶液でpHを10.2に調整し、この溶液に、氷冷下、
上記参考例1で製造したN,N’−ジカルボキシ無水シ
スチン5g(17.1ミリモル、加水分解ケラチンに対
し0.8当量)を100mlの酢酸エチルに溶解した溶
液を添加し攪拌して混合し、4時間攪拌を続けて反応さ
せた。その間、水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応
液のpHが10.0〜10.5になるように保った。
【0040】反応終了後、反応物を80mlのn−ヘキ
サンで3回洗浄して未反応物を除去した後、水層に濃硫
酸を添加してpHを4に調整して減圧下で脱炭酸した。
ついで、この水溶液を水酸化ナトリム水溶液でpHを
6.5とし、電気透析で精製後、濃縮により濃度を調整
して、シスチン導入加水分解ケラチンの25%水溶液を
41.3g得た。
【0041】上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解ケラチンの一部を6N塩酸で20時間完全加水分
解した後、アミノ酸オートアナライザーでアミノ酸分析
したところ、ハーフシスチンとして15.72モル%が
検出された。また、上記のようにして得られたシスチン
導入加水分解ケラチンの一部を、塩酸による加水分解を
行わずにアミノ酸分析したところ、シスチンは検出され
ず、上記で検出されたシスチンはすべて加水分解ケラチ
ンに結合していることが明らかにされた。
【0042】原料の加水分解ケラチンには8.86モル
%のシスチンが含まれていたので、検出された15.7
2モル%のシスチンのうち6.86モル%は上記のシス
チン導入法により加水分解ケラチンに導入されたもので
あることが明らかであった。
【0043】実施例2 平均分子量400の加水分解ケラチンに代えて平均分子
量1000の加水分解ケラチンの25%水溶液50g
(アミノ態窒素の測定によって得られた化学量論的モル
数として36.6ミリモル)と上記参考例1で製造した
N,N’−ジカルボキシ無水シスチン4.3g(14.
6ミリモル、加水分解ケラチンに対し0.8当量)を8
0mlの酢酸エチルに溶解した溶液を用いたほかは、実
施例1と同様にして、シスチン導入加水分解ケラチンの
25%水溶液を39.7得た。
【0044】上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解ケラチンの一部を6N塩酸で20時間完全加水分
解した後、アミノ酸オートアナライザーでアミノ酸分析
したところ、ハーフシスチンとして17.24モル%が
検出された。また、上記のようにして得られたシスチン
導入加水分解ケラチンの一部を、塩酸による加水分解を
行わずにアミノ酸分析したところ、シスチンは検出され
ず、上記で検出されたシスチンはすべて加水分解ケラチ
ンに結合していることが明らかにされた。
【0045】原料の加水分解ケラチンには9.05モル
%のシスチンが含まれていたので、検出された17.2
4モル%のシスチンのうち8.19モル%は上記のシス
チン導入法により加水分解ケラチンに導入されたもので
あることが明らかであった。
【0046】実施例3 平均分子量2000の加水分解ケラチンの25%水溶液
50g(アミノ態窒素の測定によって得られた化学量論
的モル数として27.8ミリモル)を水酸化ナトリウム
水溶液でpHを10.2に調整し、この溶液に、氷冷
下、上記参考例2で製造したN,N’−ジカルボキシ無
水シスチン3.6g(12.5ミリモル、加水分解ケラ
チンに対し0.9当量)を60mlの酢酸エチルに溶解
した溶液を添加し攪拌して混合し、4時間攪拌を続けて
反応させた。その間、水酸化ナトリウム水溶液を添加し
て反応液のpHが10.0〜10.5になるように保っ
た。
【0047】反応終了後、反応物を50mlのn−ヘキ
サンで3回洗浄して未反応物を除去した後、水層に濃硫
酸を添加してpHを4に調整して減圧下で脱炭酸した。
ついで、この水溶液を水酸化ナトリム水溶液でpHを
6.5とし、透析用セロファンチューブ(和光純薬製、
分画分子量10000)に移し、5リットルのイオン交
換水で3回透析を繰り返し精製した。透析による精製
後、濃縮により濃度を調整して、シスチン導入加水分解
ケラチンの25%水溶液を38.3g得た。
【0048】上記のようにして得られたシスチン導入加
水分解ケラチンの一部を6N塩酸で20時間完全加水分
解した後、アミノ酸オートアナライザーでアミノ酸分析
したところ、ハーフシスチンとして19.01モル%が
検出された。また、上記のようにして得られたシスチン
導入加水分解ケラチンの一部を、塩酸による加水分解を
行わずにアミノ酸分析したところ、シスチンは検出され
ず、上記で検出されたシスチンはすべて加水分解ケラチ
ンに結合していることが明らかにされた。
【0049】原料の加水分解ケラチンには9.53モル
%のシスチンが含まれていたので、検出された19.0
1モル%のシスチンのうち9.48モル%は上記のシス
チン導入法により加水分解ケラチンに導入されたもので
あることが明らかであった。
【0050】〔シスチン導入加水分解ケラチンの毛髪へ
の収着性試験〕上記のようにして製造されたシスチン導
入加水分解ケラチンの毛髪への収着性を、Journa
l of SCCJ Vol.21,No.2記載の
「毛髪の損傷度評価法(I)」中のカラム循環法に従っ
て試験した。
【0051】すなわち、直径7.5mm、長さ75mm
の液体クロマト用カラムに、平均長さ2mmに切断した
毛髪1.8gを充填し、その中に試料濃度2%に調整し
た試験液を流速2ml/minで一定時間循環させる。
【0052】循環後の試験液中の試料濃度は試験液をゲ
ル濾過分析することによって求め、循環前後の試験液中
の試料濃度の変化より毛髪1g当たりの試料の収着量を
算出する。なお、毛髪への浸透による試料濃度の低下量
は、対照に平均分子量1000のポリオキシエチレング
リコールの2%水溶液を用いて上記と同じ条件で試験液
を循環させ、ポリオキシエチレングリコール濃度の低下
量を毛髪への浸透によるものとして補正した。
【0053】試験には実施例1〜3で製造したシスチン
導入加水分解ケラチンのそれぞれ2%水溶液を調製し、
それを試験液として、上記の方法により、毛髪への収着
量を調べた。なお、比較対照として、シスチン導入加水
分解ケラチンのそれぞれの原料である、平均分子量40
0、平均分子量1000、平均分子量2000の加水分
解ケラチンの毛髪への収着量も調べた。それらの結果を
表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】表2に示す結果から明らかなように、実施
例1〜3のシスチン導入加水分解ケラチンは、それぞれ
の原料の加水分解ケラチンに比べて毛髪への収着性が4
0〜60%向上していた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケラチン蛋白を加水分解して得られた加
    水分解ケラチンまたはその誘導体にシスチンを、上記加
    水分解ケラチンまたはその誘導体のアミノ基とシスチン
    のカルボキシル基とのアミド結合により、導入したこと
    を特徴とするシスチン導入加水分解ケラチンペプチド。
  2. 【請求項2】 ケラチン蛋白を加水分解して得られた加
    水分解ケラチンまたはその誘導体にN,N’−ジカルボ
    キシ無水シスチンをアルカリの存在下で反応させ、その
    後、酸を用いて脱炭酸することを特徴とするシスチン導
    入加水分解ケラチンの製造方法。
JP24611097A 1997-08-26 1997-08-26 シスチン導入加水分解ケラチンおよびその製造方法 Pending JPH1171398A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010241833A (ja) * 2008-12-03 2010-10-28 Milbon Co Ltd 毛髪処理剤
US9310351B2 (en) 2010-05-17 2016-04-12 The Procter & Gamble Company Systems and methods of detecting and demonstrating hair damage via evaluation of protein fragments
WO2023190689A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 富士フイルム株式会社 混合粉体の製造方法、混合粉体、粉体、及び、粉体培地

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