JPH06248072A - 水溶性ポリアミノ酸誘導体,その製法,及び毛髪処理剤組成物 - Google Patents

水溶性ポリアミノ酸誘導体,その製法,及び毛髪処理剤組成物

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JPH06248072A
JPH06248072A JP6145693A JP6145693A JPH06248072A JP H06248072 A JPH06248072 A JP H06248072A JP 6145693 A JP6145693 A JP 6145693A JP 6145693 A JP6145693 A JP 6145693A JP H06248072 A JPH06248072 A JP H06248072A
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amino acid
water
carboxylic acid
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JP6145693A
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Yasuyoshi Miyaji
保好 宮地
Makoto Iwatsuki
誠 岩月
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 毛髪処理剤組成物として優れた素材、即ち、
安価、且つ、簡便に製造できるチオール基及び/または
ジスルフィド基を有する素材を得る。 【構成】 ペプチド鎖に、化1の構造式に示す酸性アミ
ノ酸ω−アミド残基及び化2の構造式に示す酸性アミノ
酸残基を担持してなる水溶性ポリアミノ酸誘導体。 【化1】 【化2】 【効果】 本水溶性ポリアミノ酸誘導体よりなる毛髪処
理剤組成物は、優れた保湿性、コンディショニング性、
ヘアケア性を有し、毛髪への残留性にも優れている。シ
ャンプー添加剤、ヘアクリーム、ヘアローション、ヘア
ブラッシング剤等への用途に最適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水溶性ポリアミノ酸誘導
体、その製法、及びそれを用いた毛髪処理剤組成物に関
する。本発明の毛髪処理剤組成物は毛髪に対する優れた
保湿性、コンディショニング性を有し、自然な色艶を与
えると共に、毛髪への残留性にも優れている。
【0002】
【従来の技術】ポリ−α−アミノ酸は合成高分子であり
ながら化学構造上、天然蛋白に近似し生体高分子モデル
として古くより研究が行われている。そして、天然皮
革、絹といった汎用の天然蛋白の代替素材としての用途
に加え、人工皮膚、酵素固定化用担体、圧電素子、化粧
品等への用途研究も行われている[”ポリアミノ酸−応
用と展望−”,講談社(1974)]。
【0003】また、ポリ酸性アミノ酸ω−エステルの側
鎖のエステル基を、エステル交換反応やアミド化反応に
より変換し、種々の機能を導入する試みも行われている
[ Journal of Polymer Science : Part C :Polymer Le
tters,27,339(1989)]。そしてその応用例として、側鎖
にメルカプト基又はジスルフィド基を担持したポリ−α
−アミノ酸を素材とし、人毛のようにパーマのかかる人
工毛髪が提案されている(特開昭63−191829
号)。
【0004】一方、水溶性のポリ−α−アミノ酸の香粧
品分野への利用としては、ポリ酸性アミノ酸塩が挙げら
れる(特開昭59−209635号、特開昭63−35
698号等)。ポリ酸性アミノ酸塩、例えばポリグルタ
ミン酸ナトリウムは、その化学構造が天然蛋白に近似し
ており、毛髪処理剤として用いた場合、高い安全性、且
つ、優れた保湿性、自然な滑らかさ等の付与に加え、洗
髪等により毛髪から失われるポリペプチドを補い、優れ
たヘアケア効果を有する。しかも工業的に容易に大量生
産できるという長所も有している。
【0005】一般的に毛髪処理剤にポリマーが用いられ
る場合、その毛髪への残留性の特性を期待する場合が多
いものの、しばしば、カチオン化セルロースの様に、残
留性が強すぎ毛髪に不自然な風合いを与え、仕上がりが
問題となる場合もある。水溶性のポリアミノ酸は、上記
の様に非常に優れた効果を有するため、より高い残留性
が望まれており、従来知られているポリ酸性アミノ酸塩
より更に優れた残留性を有する水溶性ポリアミノ酸誘導
体が得られれば、非常に優れた毛髪処理剤が得られる。
【0006】また、類似の香粧品素材として、ジスルフ
ィド基やチオール基を有する水溶性のポリ−α−アミノ
酸よりなる毛髪処理剤組成物がある(特開平2−306
911号)。この場合は、ポリマー分子中にジスルフィ
ド基および/またはチオール基を有するため、毛髪ケラ
チン蛋白のジスルフィド基、チオール基とのSS結合等
相互作用により特に優れた残留性を有する毛髪処理剤が
期待できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この水
溶性ポリアミノ酸を合成する際には、チオール基及び/
またはジスルフィド基を大量に導入する(アミノ酸残基
数で50%以上)ことではじめて水溶性を付与できるた
め、高価な反応剤、触媒を大過剰量使用する必要があ
り、また、目的とする水溶性ポリアミノ酸を分取するた
めには、セルロース膜による透析等の、複雑な手段を要
するため、工業化が難しく、従って生産コストも高くな
ってしまう。それ故、安価で簡便に製造できる、チオー
ル基及び/またはジスルフィド基を有する水溶性ポリア
ミノ酸誘導体及びそれを用いた毛髪処理剤が望まれてい
た。
【0008】本発明の目的は上記の、毛髪処理剤組成物
として優れた素材、即ち、安価、且つ、簡便に製造でき
る、チオール基及び/またはジスルフィド基を有する水
溶性ポリアミノ酸誘導体を提供することにある。
【0009】本発明者はかかる上記の要望に鑑み、その
ω鎖にチオール基及び/またはジスルフィド基を適度に
担持してなる酸性アミノ酸のポリマー誘導体を用い、工
業的に容易に製造でき、且つ、安全性の高い優れた毛髪
処理剤組成物を開発し、本発明を完成した。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本請求項1に記載
の水溶性ポリアミノ酸誘導体では、ペプチド鎖に、下記
の化5の構造式に示す酸性アミノ酸ω−アミド残基及び
下記の化6の構造式に示す酸性アミノ酸残基を担持して
なるものである。(但し、式中のn,mは1又は2を、
pは1〜4の整数を表す。R1 は水素原子または炭素原
子数1〜4のアルキル基を表す。Xは水素原子,−S
(CH2)q-(NR2)−R3 (qは1〜4の整数を表す。
2 及びR3 は水素原子または炭素原子数1〜4のアル
キル基を表す。),又は,他のチオ−ル含有アミノ酸残
基と分子内及び/または分子間でのジスルフィド結合を
表す。Mは水素原子,アルカリ金属原子,アンモニウム
基又はアミン基を表す。)
【0011】
【化5】
【化6】
【0012】また、請求項2に記載の水溶性ポリアミノ
酸誘導体の製法では、酸性アミノ酸−ω−アルキルN−
カルボン酸無水物,又は,酸性アミノ酸−ω−アルキル
N−カルボン酸無水物及び中性アミノ酸−N−カルボン
酸無水物を重合させた後、下記の化7又は化8の構造式
に示すチオ−ル基又はジスルフィド基を有する有機アミ
ンにより、前記重合物のω−エステル基をアミド化し、
引続き残余のエステル基を加水分解する方法である。
(但し、式中のp,qは1〜4の整数を表す。R1 ,R
2 ,R3 は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル
基を表す。)
【0013】
【化7】
【化8】
【0014】更に、請求項3に記載の毛髪処理剤組成物
では、請求項1記載の水溶性ポリアミノ酸誘導体を含ん
でなるものである。
【0015】
【作用】本発明の水溶性ポリアミノ酸誘導体は、ペプチ
ド鎖に、前記化5の構造式に示す酸性アミノ酸ω−アミ
ド残基及び前記化6の構造式に示す酸性アミノ酸残基を
担持してなるものであるため、毛髪処理剤組成物として
優れた素材、即ち、安価、且つ、簡便に製造できるチオ
ール基及び/またはジスルフィド基を有する素材として
用いることができる。
【0016】また具体的な水溶性ポリアミノ酸誘導体の
製法では、酸性アミノ酸−ω−アルキルN−カルボン酸
無水物,又は,酸性アミノ酸−ω−アルキルN−カルボ
ン酸無水物及び中性アミノ酸−N−カルボン酸無水物を
重合させた後、前記化7又は化8の構造式に示すチオ−
ル基又はジスルフィド基を有する有機アミンにより、前
記重合物のω−エステル基をアミド化し、引続き残余の
エステル基を加水分解する方法であるため、工業的に容
易に製造できる。
【0017】尚、本発明に用いる前記酸性アミノ酸ω−
置換−N−カルボン酸無水物は次の化9に示す構造式で
表され、その代表例としては、γ−メチルグルタメー
ト、γ−ベンジルグルタメート、β−メチルアスパルテ
ート等のアミノ酸N−カルボン酸無水物が挙げられる。
また、これらの酸性アミノ酸ω−アルキルN−カルボン
酸無水物の混合物であってもよい。(尚、式中のnは1
または2を表す。R4 は炭素原子数1〜4のアルキル基
又はベンジル基を表す)
【0018】
【化9】
【0019】また、前記中性アミノ酸N−カルボン酸無
水物は次の化10に示す構造式で表され、その代表例と
しては、グリシン、ロイシン、フェニルアラニン等の中
性アミノ酸N−カルボン酸無水物が挙げられる。また、
これらの中性アミノ酸の混合物であってもよい。(尚、
式中のR5 はH,炭素原子数1〜7のアルキル基,又は
ベンジル基を表す)
【0020】
【化10】
【0021】本発明における原料ポリアミノ酸の調製に
は、 (1) 酸性アミノ酸ω−アルキルN−カルボン酸無水物ま
たは同無水物及び中性アミノ酸N−カルボン酸無水物よ
り成る混合物を、生成するポリマーは溶解しないメチル
エチルケトン、酢酸エチル、アセトニトリルのような溶
媒に分散または溶解し、攪拌しながら、アミン化合物、
アルコール類または水のような活性水素を有する重合開
始剤を、必要に応じて触媒の第3級アミンと共に、滴下
して反応させることにより、ポリアミノ酸粉末分散液を
得て、この分散液を濾別乾燥する方法。
【0022】(2) 上記アミノ酸N−カルボン酸無水物を
単独で機械的に流動させた中に上記の活性水素を有する
重合開始剤を添加して直接生成させる方法。
【0023】(3) 上記アミノ酸N−カルボン酸無水物を
1,2−ジクロロエタン、クロロホルムのような有機溶
媒に溶解し、攪拌しつつ上記の重合開始剤を添加してポ
リマー溶液を調製し、その溶媒を除去、固形に成形し得
られる方法。等がある。
【0024】尚、固形の原料ポリアミノ酸の形状は、粉
末状、フィルム状、繊維状、ペレット状如何なる形状で
もよいが、後のアミド化、加水分解反応場合の効率を考
慮して、表面積の大きい粉末状であることが望ましい。
【0025】本発明の水溶性ポリアミノ酸誘導体は、毛
髪処理剤組成物として用いる場合には、原料ポリアミノ
酸のポリマー側鎖のエステル基の一部をアミド化反応す
ることによりチオール基及び/またはジスルフィド基を
担持させ、且つ、残部のエステル基の一部または全部を
カルボン酸塩に加水分解して用いる。毛髪処理剤組成物
としての優れた性能はポリマー側鎖のエステル基の化学
修飾に起因している部分が大きい。
【0026】この目的のためには、原料ポリアミノ酸を
重合反応により調製する際、原料のアミノ酸N−カルボ
ン酸無水物中に占める酸性アミノ酸ω−アルキルN−カ
ルボン酸無水物量は30モル%以上100モル%以下で
あることが望ましく、特に50モル%以上100モル%
以下であることが望ましい。酸性アミノ酸ω−アルキル
N−カルボン酸無水物が30モル%未満である場合、残
留性向上のために有効な程度のチオール基及び/または
ジスルフィド基を導入することは困難であり、且つ、加
水分解による水溶性化もまた、困難となる。酸性アミノ
酸ω−アルキルN−カルボン酸無水物は単独で使用して
もよい。
【0027】引続き、上記原料ポリアミノ酸を、チオー
ル基またはジスルフィド基を有する有機アミンによりア
ミド化することにより、ポリマー側鎖にチオール基及び
/またはジスルフィド基を担持させる。チオール基また
はジスルフィド基を有する有機アミンとしては、前記化
7及び化8で表されるアミン化合物であり、具体的には
システアミン、シスタミン等が挙げられる。
【0028】上記アミド化反応は、上記アミンを溶解し
た溶液に原料ポリアミノ酸を添加分散し、不均一系にて
室温〜還流温度にて1時間〜1週間、望ましくは50℃
以上150℃以下にて5〜72時間攪拌下に反応させ
る。この際、溶媒としては、原料ポリアミノ酸に対して
貧溶媒であり、且つ、アミンと反応しない溶媒、即ち、
水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙
げられ、また、これらの混合溶媒であってもよい。
【0029】溶液中のアミン濃度は0.1〜70重量
%、好ましくは1〜50重量%である。反応後は、反応
生成物を分取し、水、メタノール等で洗浄して、目的と
するポリマー側鎖にチオール基及び/またはジスルフィ
ド基を担持したポリアミノ酸(以下、ポリアミノ酸誘導
体と呼ぶことがある)が得られる。生成物を分取した後
のアミン溶液は、アミン濃度を調整後、再びアミド化反
応に使用することができる。
【0030】上記のアミド化後のポリアミノ酸誘導体に
おいては、残留性を向上させるだけのチオール基及び/
またはジスルフィド基を担持し、且つ、加水分解による
水溶性化を容易になし得る程度の未反応ω−エステル基
を有していなくてはならない。
【0031】過度のアミド化が進行した場合、側鎖の加
水分解による水溶性化が困難になる一方、主鎖の過剰な
加水分解が起こりポリアミノ酸誘導体の低分子化が起こ
るため、ヘアケア性等の性能面に悪い影響を与える。こ
れらの条件を満たすために、チオール基及び/またはジ
スルフィド基を担持するアミノ酸残基は、全アミノ酸残
基中の1モル%以上80モル%未満、特に5モル%以上
60モル%未満であることが望ましく、且つ未反応ω−
エステル基を有するアミノ酸残基は20モル%以上99
モル%未満、特に40モル%以上95モル%未満である
ことが望ましい。この所望のポリアミノ酸誘導体が得ら
れるように、上記アミド化反応は、原料ポリアミノ酸の
組成、形状、有機アミンの種類等の種々の条件を選定し
て実施する。
【0032】上記ポリアミノ酸誘導体を加水分解するこ
とにより、本発明の水溶性ポリアミノ酸誘導体を得る。
加水分解反応に使用するアルカリは、上記のポリアミノ
酸誘導体中のエステル残基に対し、等モル以上使用する
ことが望ましい。大過剰用いた場合ポリアミノ酸主鎖の
過剰な切断が起こり低重合度化してしまう。
【0033】アルカリは0.8〜10等モル程度、即
ち、エステル基を完全に加水分解、除去する必要はな
く、エステル基がある程度残存しており、そのため水溶
性ポリアミノ酸誘導体が適度の水溶性を示す程度に加水
分解を行う。尚、使用するアルカリとしては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げら
れる。
【0034】ポリアミノ酸誘導体及び所定量のアルカリ
を水またはメタノール中に加え、室温〜還流温度にて1
0分間〜1週間、望ましくは50℃以上にて30分間〜
10時間攪拌し、反応系内が均一になるまで反応させ
る。得られた反応液はそのままで本発明の水溶性ポリア
ミノ酸誘導体溶液として毛髪処理剤に使用できる。ま
た、反応液のpHを酸性側(pH3以下)にすることに
より、水溶性ポリアミノ酸誘導体を不溶化し沈澱させ濾
別、酸性水で洗浄し、固体状態の水溶性ポリアミノ酸誘
導体を得ることができる。
【0035】さらに、反応溶媒に、エタノール、イソプ
ロパノール、水及びメタノール等よりなる特定の組成範
囲の混合溶媒を用い、上記と同様の条件下で反応を行
い、反応の終了時に水溶性ポリアミノ酸誘導体を溶媒中
に溶解せずに存在せしめ、そのまま濾別、酸性水で洗浄
することにより、目的の水溶性ポリアミノ酸誘導体を固
体状態で得ることもできる。
【0036】本発明の水溶性ポリアミノ酸誘導体は、多
塩基酸であるため、種々のアルカリと種々の中和度を有
する塩を形成し得る。その塩の水溶液はpH3〜10の
範囲を保つように使用目的に応じて中和度を任意に選ぶ
ことができる。形成する塩としては、ナトリウム、カリ
ウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、エタノール
アミン塩、ジエタノールアミン塩、塩基性アミノ酸塩等
が挙げられる。
【0037】本発明の水溶性ポリアミノ酸誘導体よりな
る毛髪処理剤組成物は、化学構造上、天然蛋白に近似す
る。それ故、髪に自然な色艶を与え、且つ、傷んだ毛髪
を自然の状態に改善できる。また、毛髪に適度の吸水性
を付与し、しっとり感が増し風合いも改善され櫛通り性
もよくなる。しかも、ポリマー分子中にチオール基やジ
スルフィド基を担持しているので、高い毛髪への残留性
を有している。パーマ液との併用により、残留性はさら
に一層高くなる。
【0038】毛髪処理剤組成物は、毛髪に適度の吸水性
を付与し、べとつくことなく、しっとり感が増し、風合
い、櫛通り性等を改善する。また、洗髪等で毛髪より失
われるポリペプチド成分の補い、高分子構造に由来する
皮膜形成力により、枝毛等の傷んだ毛髪の改善に効果を
示す高いヘアケア性も有する。天然蛋白に近似した素材
の故に、毛髪に自然な光沢も与える。しかも、ポリマー
分子中にジスルフィド基やチオール基を有するため、毛
髪ケラチン蛋白のジスルフィド基、チオール基とのSS
結合を形成する等の相互作用を有するので、非常に優れ
た残留性を有している。本発明に用いる水溶性ポリアミ
ノ酸誘導体の重合度はアミノ酸残基単位で10〜100
00の範囲であるが、保湿性及び処理後の毛髪の風合い
の観点から、特に重合度20〜5000のものが一層、
優れている。
【0039】さらに本発明の特徴をより具体的に明らか
にすべく、実施例にて説明するが、本発明はこの実施例
に限定されるものではない。
【0040】
【実施例】実施例1(原料ポリアミノ酸の製造) γ−メチル−L−グルタメートN−カルボン酸無水物1
00重量部を30℃で酢酸エチル600重量部中に溶解
した溶液に、ジブチルアミン0.09重量部、トリエチ
ルアミン0.5重量部を含む溶液を滴下しつつ、同温度
で5時間反応した。反応後、反応液にメタノール500
重量部を加えた。生成物を遠心分離機で遠心濾別後、減
圧乾燥し、ポリ−γ−メチル−L−グルタメート(以
下、PMGと呼ぶ)粉末70重量部を得た(重合度63
0)。
【0041】実施例2(原料ポリアミノ酸の製造) γ−メチル−L−グルタメートN−カルボン酸無水物8
0重量部、ロイシンN−カルボン酸無水物10重量部、
フェニルアラニンN−カルボン酸無水物10重量部を酢
酸エチル1000重量部に溶解した溶液に、N,N−ジ
メチル−1,3−ジアミノプロパンを0.1重量部を含
む溶液を滴下し、30℃で5時間反応した。析出したポ
リアミノ酸を遠心分離機で遠心濾別後、減圧乾燥し、ポ
リアミノ酸粉末70重量部を得た(重合度550)。
【0042】実施例3(水溶性ポリアミノ酸誘導体の製
造) 実施例1で得たPMG粉末10gを、10重量%のシス
テアミンを含むメタノール溶液100gに加え、65℃
にて24時間、アミド化反応を行った。沈澱しているア
ミド化したPMGを濾過、メタノール洗浄した後、水/
メタノール/イソプロパノール=1/2/1の混合溶媒
100g中にて水酸化ナトリウム3gと65℃にて10
時間反応した。反応物を濾別し、希塩酸にて洗浄、減圧
乾燥して水溶性ポリアミノ酸樹脂7.2gを得た(側鎖
のアミド化率15%、重合度300)。
【0043】実施例4(水溶性ポリアミノ酸誘導体の製
造) 実施例2で得たポリアミノ酸粉末10gを、15重量%
のシスタミン/水溶液100gに加え、100℃にて3
時間アミド化反応を行った。沈澱しているアミド化した
ポリアミノ酸を濾過、水洗浄した後、水酸化カリウム4
gと水200ml中にて100℃で均一になるまで6時
間反応した。得られた反応溶液に塩酸を滴下しpH2と
し、析出物を濾別、希塩酸にて洗浄、減圧乾燥して水溶
性ポリアミノ酸樹脂6.5gを得た(側鎖のアミド化率
20%、重合度230)。
【0044】実施例5(毛髪処理剤の調製および評価) 実施例3による水溶性ポリアミノ酸誘導体を用い、表1
に示す種々の組成の毛髪処理剤を調製し、ヘアコンディ
ショニング性を評価した。結果を表1の下半部に示す。
この際、被処理物としての試験毛髪としては、5人の女
性の毛髪を用い、大きさ、重さ及び方向性を揃えた長さ
11cm、幅4cm、重さ4gに調整し、坂本らの方法
[日本香粧品科学会誌 8,330(1984)]に準
じ作成したヘアピースを使用した。また、ヘアコンディ
ショニング性は櫛通り性と滑らかさ及び色艶について官
能評価した。評価は未処理の試験用毛髪を基準とする3
段階評価で行った。 ○:優れる △:やや良い ×:差なし
【0045】
【表1】
【0046】実施例6(毛髪処理剤の調製および評価) 実施例3による水溶性ポリアミノ酸誘導体を用い、表2
に示す組成の毛髪処理剤を調製し、洗髪後のヘアコンデ
ィショニングの持続の程度を見ることにより、毛髪への
残留性を評価した。比較のためにポリ−L−グルタミン
酸ナトリウム(重合度300)についても評価した。ヘ
アコンディショニング性の評価は実施例5と同一の方法
で行った。残留性の評価は3段階評価で行った。 ○:優れる △:普通〜やや良い ×:劣る 結果を表2の下半部に示す。
【0047】
【表2】
【0048】実施例7(毛髪処理剤の調製および評価) 本発明に基づき、表3に示す組成を有するヘアクリーム
組成物を調製し、性能を評価した。評価は年齢25〜3
0才の通常の長さの毛髪を有する5人の男性による。結
果を表3の下半部に示す。
【0049】
【表3】
【0050】このヘアクリーム組成物は毛髪処理剤組成
物未添加のものに比べて、ブラッシング時の帯電防止性
能、及び櫛通り性に優れ、枝毛、切れ毛等の発生を防止
する効果を有し、且つ、より自然な色艶を与え、その持
続性にも優れていた。
【0051】実施例8(毛髪処理剤の調製および評価) 本発明に基づき、表4に示す組成を有するヘアシャンプ
ー組成物を調製し、性能を評価した。評価は年齢25〜
30才の中程度の長さの毛髪を有する5人の女性によ
る。結果を表4の下半部に示す。
【0052】
【表4】
【0053】このヘアシャンプー組成物は毛髪処理剤組
成物未添加のものに比べて、洗浄後頭髪にしっとり感が
賦与され風合いが優れ、且つ、より自然な色艶を与え、
加えて、その持続性にも優れていた。
【0054】実施例9(毛髪処理剤組成物の調製および
評価) 本発明に基づき、表5に示す組成を有するセットローシ
ョン組成物を調製し、性能を評価した。評価は、実施例
8と同一の評価者による。評価時は実施例8の評価後2
週間経過後。結果は表5の下半部に示す。
【0055】
【表5】
【0056】このセットローション組成物は毛髪処理剤
組成物未添加のものに比べて、ブラッシング時の帯電防
止性能及び櫛通り性に優れ、枝毛、切れ毛等の発生を防
止する効果を有し、且つ、より自然な色艶を与え、加え
て、その持続性にも優れていた。
【0057】
【発明の効果】本発明の水溶性ポリアミノ酸誘導体で
は、ペプチド鎖に、前記化5の構造式に示す酸性アミノ
酸ω−アミド残基及び前記化6の構造式に示す酸性アミ
ノ酸残基を担持してなるものであるため、毛髪処理剤組
成物として優れた素材、即ち、安価、且つ、簡便に製造
できる、チオール基及び/またはジスルフィド基を有す
る素材として用いることができる。
【0058】また具体的な水溶性ポリアミノ酸誘導体の
製法では、酸性アミノ酸−ω−アルキルN−カルボン酸
無水物,又は,酸性アミノ酸−ω−アルキルN−カルボ
ン酸無水物及び中性アミノ酸−N−カルボン酸無水物を
重合させた後、前記化7又は化8の構造式に示すチオ−
ル基又はジスルフィド基を有する有機アミンにより、前
記重合物のω−エステル基をアミド化し、引続き残余の
エステル基を加水分解する方法であるため、工業的に容
易に製造できる。
【0059】更に、本水溶性ポリアミノ酸誘導体よりな
る毛髪処理剤組成物は、化学構造上、天然蛋白に近似す
る。それ故、髪に自然な色艶を与え、且つ、傷んだ毛髪
の状態を改善するとともに、優れたヘアケア性を有す
る。また、毛髪に適度の吸水性を付与し、しっとり感が
増し、風合いが改善され、櫛通り性もよくなる。しか
も、本発明の水溶性ポリアミノ酸誘導体の分子中にはチ
オール基やジスルフィド基を担持しているので、高い毛
髪への残留性を有している。それ故、本発明の毛髪処理
剤組成物は、シャンプー添加剤、ヘアブラッシング剤、
ヘアローション、ヘアクリーム、セットローション、ヘ
アスプレー等の用途に好適である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペプチド鎖に、下記の化1の構造式に示
    す酸性アミノ酸ω−アミド残基及び下記の化2の構造式
    に示す酸性アミノ酸残基を担持してなることを特徴とす
    る水溶性ポリアミノ酸誘導体。 【化1】 【化2】 (但し、式中のn,mは1又は2を、pは1〜4の整数
    を表す。R1 は水素原子または炭素原子数1〜4のアル
    キル基を表す。Xは水素原子,−S(CH2)q-(NR2)
    −R3 (qは1〜4の整数を表す。R2 及びR3 は水素
    原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。),
    又は,他のチオ−ル含有アミノ酸残基と分子内及び/ま
    たは分子間でのジスルフィド結合を表す。Mは水素原
    子,アルカリ金属原子,アンモニウム基又はアミン基を
    表す。)
  2. 【請求項2】 酸性アミノ酸−ω−アルキルN−カルボ
    ン酸無水物,又は,酸性アミノ酸−ω−アルキルN−カ
    ルボン酸無水物及び中性アミノ酸−N−カルボン酸無水
    物を重合させた後、下記の化3又は化4の構造式に示す
    チオ−ル基又はジスルフィド基を有する有機アミンによ
    り、前記重合物のω−エステル基をアミド化し、引続き
    残余のエステル基を加水分解することを特徴とする水溶
    性ポリアミノ酸誘導体の製法。 【化3】 【化4】 (但し、式中のp,qは1〜4の整数を表す。R1 ,R
    2 ,R3 は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル
    基を表す。)
  3. 【請求項3】 前記請求項1に記載の水溶性ポリアミノ
    酸誘導体を含んでなる毛髪処理剤組成物。
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