JPH11267538A - 粉砕機用部材 - Google Patents

粉砕機用部材

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JPH11267538A
JPH11267538A JP7627798A JP7627798A JPH11267538A JP H11267538 A JPH11267538 A JP H11267538A JP 7627798 A JP7627798 A JP 7627798A JP 7627798 A JP7627798 A JP 7627798A JP H11267538 A JPH11267538 A JP H11267538A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】強度、靱性に優れ、割れや欠けの発生がなく、
且つ耐摩耗性に優れた耐久性を有する粉砕機用部材を提
供する。 【解決手段】窒化珪素を主体とするマトリックス1中
に、Tiの窒化物、炭窒化物、炭酸窒化物のうちの少な
くとも1種のTi化合物からなる粒子あるいはそのウイ
スカーからなる分散相2を10〜40体積%の割合で分
散してなる焼結体であって、マトリックス1中に、W、
Mo、Mn、Cu、Fe、NiおよびCoの群から選ば
れる少なくとも1種の遷移金属をマトリックス全量中に
金属換算で0.1〜8重量%の割合で含有させて分散相
2のマトリックス1への濡れ性を改善するとともに、気
孔率が3%以下、マトリックス中に点在するボイドの平
均径を0.5〜5μmの焼結体を粉砕機用部材として用
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種粉砕機におけ
る容器、内張材、粉砕用メディア等の被粉砕物と接触す
る表面を有する粉砕機用部材に関するものである。
【0002】耐摩耗部品、摺動部品、耐蝕性部品、耐熱
用部品、もしくは装飾用部品などに適
【0003】
【従来の技術】従来、粉砕機は耐衝撃性に優れた金属製
の粉砕機用部材により構成されていたが、被粉砕物の高
純度化、ならびに粉砕機および粉砕機部材の軽量化とい
う近年の要求に対しては、満足し得るものではなかっ
た。
【0004】すなわち、金属製粉砕機用部材は耐衝撃性
に優れるが、その反面、耐摩耗性が不十分であって、金
属成分であるFe摩耗粉が混入される場合があり、粉砕
物の高純度化は望めなかった。そこで、金属体にコーテ
イングを施した部材が使用されているが、金属は密度が
高いため、粉砕機および粉砕機用部材の重量が大きくな
り、これにより、被粉砕物の容量に対して、大きなウエ
イトを占めていた。
【0005】そこで、従来の金属製の部材に代えて、ア
ルミナおよびジルコニア等のセラミックスを用いて耐摩
耗性と軽量化を達成したもの、セラミックス表面に金属
コーティングを施して耐熱衝撃性を高めたもの、また、
最近では、耐熱衝撃性に優れた窒化珪素質のセラミック
スを用いたもの(特開平5−301775号)等が提案
されている。
【0006】また、セラミックスの強度や靱性などの機
械的特性を改善する事を目的として、アルミナや窒化珪
素の焼結体中に炭化珪素や炭化チタン等のウイスカーを
分散させることが行われている。代表的なものとして特
開昭63−185869号、登録2700925号等が
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アルミ
ナ系セラミックスは耐熱衝撃性に劣り、しかも熱伝導率
も低いため、天然石等の乾式粉砕における温度上昇によ
って耐熱衝撃性の点から満足し得るものではない。金属
をコーテイングしたセラミックスでは、コーティング層
の摩耗や剥離により不純物の混入や粉砕性能が低下する
という問題点がある。また、窒化ケイ素質焼結体は、ア
ルミナに比較して、優れた強度、耐衝撃性を有する反
面、靱性や耐摩耗特性の点で実用上十分に満足できるも
のではなかった。
【0008】また、窒化珪素質焼結体中に炭化珪素ウイ
スカー等を分散させることにより焼結体の靭性や強度を
向上させることができるものの、窒化珪素及び炭化珪素
は、アルミナに比較して金属との凝着、溶着性が高く、
また硬度が低いために耐摩耗性が低く粉砕機用部材とし
ては十分満足できるものではなかった。
【0009】これに対して、TiC等のTi化合物ウイ
スカーは、金属との凝着、溶着性が小さいことから、炭
化珪素ウイスカーに比較して硬度が高いため、耐摩耗性
の点で優れた効果が期待できる。しかしながら、耐摩耗
性については向上はほとんど見られず、むしろ耐摩耗性
が劣化する傾向にあった。
【0010】これは、Ti化合物が、そもそも窒化珪素
との濡れ性、密着性や親和性が悪く、相互適合性が十分
でないためであり、Ti化合物の形状や添加量などを細
かく制御する必要がある。つまり、相互適合性が悪い物
質を分散させると、添加量や分散粒子の形状によって、
クラックのブリッジング効果により靭性や強度は向上す
るが、焼結性が劣化したり、分散強化物質と窒化珪素マ
トリックスとの相互の結合力が低下し、焼結体表面の分
散相の脱落(脱粒)等が発生するために耐摩耗性は劣化
したものと推察される。
【0011】従って、本発明の目的は、強度、靱性に優
れ、割れや欠けの発生がなく、且つ耐摩耗性に優れた耐
久性を有する粉砕機用部材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、窒化珪素系
マトリックス中に分散させて強度、靱性を高めうる分散
相として、Tiの窒化物、炭窒化物、炭酸窒化物のうち
の少なくとも1種のTi化合物からなる粒子あるいはそ
のウイスカーを選択した場合、マトリックス中に特定の
遷移金属を分散させることにより、窒化珪素系マトリッ
クスと、Ti化合物分散相との濡れ性を改善できるこ
と、さらには、マトリックス中に適度の大きさのボイド
を点在させることにより、強度、靱性のみならず、被粉
砕物との衝撃的な接触に対して、割れや欠けの発生がな
く、優れた耐摩耗性を発揮できることを見いだし、本発
明に至った。
【0013】即ち、本発明の粉砕機用部材は、窒化珪素
を主体とするマトリックス中に、Tiの窒化物、炭窒化
物、炭酸窒化物のうちの少なくとも1種のTi化合物か
らなる粒子あるいはそのウイスカーを10〜40体積%
の割合で分散してなる焼結体であって、前記マトリック
ス中に、W、Mo、Mn、Cu、Fe、NiおよびCo
の群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属をマトリッ
クス全量中に金属換算で0.1〜8重量%の割合で含
み、気孔率が3%以下、且つマトリックス中に点在する
ボイドの平均径が0.5〜5μmであること特徴とする
ものである。
【0014】特に、前記遷移金属が、前記Ti化合物の
粒子あるいはウイスカーの周囲に密に存在すること、ラ
マン分光分析法により検出される窒化珪素の206cm
-1のピーク強度X1 と、Siの521cm-1のピーク強
度X2 との比(X2 /X1 )が0.05〜3であるこ
と、前記マトリックス全量中、周期律表第3a族元素を
酸化物換算で1〜15重量%、AlあるいはMgを酸化
物換算量で0〜7重量%、不純物的酸素を酸化珪素換算
量で10重量%以下の割合で含有することが望ましい。
【0015】
【作用】窒化珪素質焼結体の靭性、強度および硬度を向
上させる場合、セラミックウイスカー等を分散させるこ
とが効果的であるが、本発明によれば、このような分散
相を、TiC等のTi化合物によって構成するととも
に、かかる分散相を分散するマトリックス中に、W、M
o、Mn、Cu、Fe、NiおよびCoの群から選ばれ
る少なくとも1種の遷移金属元素を含有させることによ
り、上記遷移金属がTi化合物の周囲に密に凝集するこ
とにより、Ti化合物からなる分散相のマトリックスへ
の濡れ性を改善して密着性を向上させる作用を成し、焼
結体の靭性や強度とともに、耐摩耗性を向上させること
ができる。
【0016】また、粉砕機用部材においては、被粉砕物
との衝突に伴う衝撃が断続的に加わるために、微小なク
ラックが発生しやすいが、本発明によれば、マトリック
ス中に点在するボイドの平均径を0.5〜5μmとする
ことにより、クラックの進展をボイドによって有効的に
阻止することができる。
【0017】その結果、本発明によれば、高強度、高靱
性を有し、且つ被粉砕物との衝突に対しても優れた耐摩
耗性を有する、耐久性に優れた粉砕機用部材を提供する
ことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の粉砕機用部材は、図1の
概略組織図に示すように、窒化珪素を主体とするマトリ
ックス1と、Ti化合物系分散相2とから構成される。
窒化珪素質マトリックス1は、β−窒化珪素結晶からな
る主相と、少なくとも周期律表第3a族元素を含有する
粒界相とを具備する。一方、Ti化合物系強化相2は、
Tiの窒化物、炭窒化物、炭酸窒化物のうちの少なくと
も1種の粒子あるいはウイスカーを主体とするものであ
る。
【0019】Ti化合物系強化相2中のTi化合物とし
ては、Tiの窒化物、炭窒化物、炭酸窒化物のうちの少
なくとも1種からなる粒子あるいはウイスカー(繊維状
物質)からなり、例えば、TiC,TiC、TiCN、
TiCO、TiNO、TiCNO等が挙げられる。これ
らの粒子及びウイスカーは、化学量論組成であっても、
又は非化学量論組成からなっているものでもよい。
【0020】また、前記Ti化合物は、特にウイスカー
であることが望ましく、その場合、ウイスカーは長繊維
状のもの又は短繊維状のもの、もしくはこれらの混合物
であってもよいが、平均粒径(短軸径)が0.1〜2μ
m、好ましくは0.5〜1.5μmで、平均アスペクト
比が2〜50、好ましくは4〜30であるものが望まし
い。これは、平均粒径が2μmを越えると焼結性が妨げ
られ、マトリックスとウイスカーの結合力が低下し、焼
結体の靱性、強度及び耐摩耗性が低下するからである。
平均アスペクト比も同様の理由による。
【0021】又、粒子形状のTi化合物を用いる場合に
は、平均粒径が0.2〜3μm、好ましくは0.4〜
1.5μmであることが望ましい。これは、粒子形状で
ある場合、平均粒径が3μmをこえるとマトリックスと
の結合力が低下し、焼結体の靱性、強度及び耐摩耗性が
低下するからである。
【0022】上記Ti化合物は、粉砕機用部材全量中に
おいて、10〜40体積%、特に15〜30体積%の割
合で含有されていることが望ましい。上記含有量が10
体積%よりも少ないとTi化合物による機械的特性の向
上効果が期待できず、含有量が40体積%を超えると焼
結性やマトリックスとの結合力が低下し、強度や耐摩耗
性が低下し、耐久性が劣化する。
【0023】本発明によれば、上記マトリックス中に、
W、Mo、Mn、Cu、Fe、NiおよびCoの群から
選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含有することが重
要である。これらの遷移金属の存在によって、Ti化合
物系強化相2のマトリックス1との濡れ性を改善し、相
互適合性を向上させることができるのである。
【0024】上記のようにマトリックス1中に前記遷移
金属が含まれる場合、組織上、図1に示すように、Ti
化合物系分散相2の周囲に前記遷移金属が金属あるいは
酸化物、窒化物、酸窒化物もしくは珪化物等の化合物と
して凝集部3を形成する性質を有する。このように遷移
金属あるいはその化合物として、Ti化合物の周囲に密
に存在した凝集部3を形成することにより、分散相2と
マトリックス1との濡れ性の向上に寄与できる。なお、
上記凝集部3は、必ずしも分散相2の全周囲に形成され
ていなくても、分散相2の50%以上に形成されていれ
ば、その効果が十分に発揮される。この凝集部3の厚み
は、特に限定されるものではないが、好ましくは平均で
0.1〜0.5μm程度が望ましい。
【0025】なお、前記遷移金属は、マトリックス全量
中に、0.1〜8重量%の割合で含有されることが必要
であり、特に強度や耐摩耗性の向上の点で0.3〜5重
量%、また0.5〜4重量%でさらに耐摩耗性を向上で
きる。
【0026】また、マトリックスは、窒化珪素を主体と
するものであり、窒化珪素結晶相は、平均粒径(短軸
径)が0.5〜2μm、平均アスペクト比が3以上の針
状のβ−窒化珪素粒子からなり、それが互いに絡み合っ
た構造となることで、焼結体の破壊靱性および強度の向
上に寄与する。
【0027】さらに、上記マトリックス中には、焼結助
剤成分として、周期律表第3a族元素を含み、その含有
量は酸化物換算で1〜15重量%、好適には3〜10重
量%であることが望ましい。上記周期律表第3a族元素
としては、Y、Er、Yb、Lu、Sm等が挙げられ、
これらの中でもY、Yb,Erが好適である。
【0028】その他の焼結助剤としては、Alあるいは
Mgを酸化物換算量で0〜7重量%、好適には0〜5重
量%、さらに不純物的酸素を酸化珪素換算量で10重量
%以下、好適には1〜8重量%の割合でそれぞれ含むこ
とが望ましい。
【0029】ここで、上記不純物的酸素とは、焼結体中
の全酸素量から焼結体中のYまたは希土類元素(RE)
およびAlあるいはMgに対して化学量論組成(RE2
3、Al2 3 、MgO)で結合していると仮定され
る酸素量を差し引いた残りの酸素量であり、そのほとん
どは窒化珪素粉末中の不可避的酸素または意図的に添加
されたSiO2 成分より構成される。
【0030】前記周期律表第3a族元素、Alあるいは
Mg、不純物的酸素は、窒化珪素結晶相の粒界に、ガラ
ス相を形成するか、または希土類元素−Si3 4 −S
iO2 系の結晶相として存在してもよい。なお、Al
は、β−窒化珪素結晶相中に一部固溶していてもよい。
【0031】また、本発明における焼結体は、優れた機
械的特性を得る上で、相対密度が95%以上、好適には
98%以上であり、気孔率を3%以下、好適には1.5
%以下であることが、優れた耐摩耗性を達成する上で望
ましい。
【0032】さらに、本発明における焼結体には、気孔
率3%以下、特に1.5%以下であり平均径が0.5〜
5μmのボイドを均一に点在させることで、破壊源であ
るクラックが発生した場合において、クラックの伸展を
防止することができる結果、クラックの伸展による破損
や欠損および割損を防止できる。平均径が5μmを越え
たり、気孔率が3%を超えると、微小な脱粒摩耗やチッ
ピングを併発して耐摩耗性が低下し、平均径が0.5μ
mよりも小さいと、ボイドの点在による上記効果が発揮
できない。
【0033】さらに、本発明によれば、かかる焼結体を
ラマン分光分析法によって分析した時に、微小のSiが
検出されることが望ましい。このSiは、X線回折測定
法によって検出することができないレベルの微小な粒子
として存在しているもので、ラマン分光分析法によって
のみ検出されるものである。このSiはおそらく窒化珪
素質マトリックス中の窒化珪素結晶粒界中もしくは窒化
珪素粒内に分散しているものと推察される。
【0034】このようなSiをマトリックス中に存在さ
せることにより、焼結体の強度および靱性を高めること
ができる。この理由は定かではないが、おそらく粒界に
分散するSiがクラックの進展を妨げる作用をなしてい
るためと推察される。
【0035】しかし、ここで粒界に存在するSi粒子
は、ごく微量であることが必要であり、例えば、X線回
折測定法によって検出されるレベルで存在すると、それ
が破壊源となり、焼結体の強度を劣化させてしまう。こ
れに対して、本発明の焼結体は、ごく微量のSiまで検
出可能なラマン分光分析法に従い、特定のレベルで存在
することが必要である。
【0036】具体的にはβ−窒化珪素の206cm-1
近に存在するピークの強度をX1 、Siの521cm-1
付近のピークの強度をX2 としたとき、X2 /X1 で表
されるピーク比が0.05〜3、好ましくは0.1〜2
であることが望ましい。このピーク比が0.05よりも
低いと強度、靱性の向上効果が低く、所望の特性が得ら
れず、3を越えると、析出したSi自体が破壊源となり
強度を劣化させてしまうためである。
【0037】なお、このSiは、焼結体の表面と中心部
とで必ずしも同じレベルで存在しておらず、概して、中
心部におけるSi量が表面部のSi量よりも多くなる傾
向にある。従って、上記X2 /X1 の値も表面部よりも
中心部の方が大きくなる傾向となる。この場合、本発明
におけるX2 /X1 は、表面部と中心部の平均値として
算出される値とする。
【0038】次に、本発明の粉砕機用部材を製造する方
法について説明すると、まず、マトリックス成分とし
て、窒化珪素粉末、特にα化率が90%以上の粉末を用
いるか、あるいは窒化珪素粉末の0〜80重量%相当量
を珪素粉末に置き換え、珪素粉末を低温で窒化するとα
−Si3 4 が生成されやすくなり、窒化後の成形体の
α−Si3 4 の含有量を高めることができる。また、
窒化珪素粉末の平均粒径は、0.4〜1.2μm、不純
物酸素量0.5〜1.5重量%が適当である。
【0039】このようなα−Si3 4 の含有量の大き
い成形体を焼成すると、針状のβ−窒化珪素結晶相の生
成を増加させることができ、焼結体の強度および靱性を
高くさせることができる。
【0040】次に、このような窒化珪素粉末に対して、
周期律表第3a族元素酸化物、場合によっては、Al2
3 、MgO、さらにはSiO2 を、焼成前の成形体組
成が、希土類元素の酸化物換算量が1〜15重量%、特
に3〜10重量%、MgOあるいはAl2 3 を7重量
%以下、特に5重量%以下、さらには、成形体中の全酸
素量から周期律表第3a族元素酸化物粉末、Al2 3
粉末中の酸素分を差し引いた残りの酸素量が、SiO2
換算で10重量%以下、特に8重量%以下となるように
添加する。
【0041】また、上記の成分の他に、W、Mo、M
n、Cu、Fe、NiおよびCoのうちの少なくとも1
種の遷移金属の酸化物、窒化物、炭化物もしくは珪化物
粉末を金属に換算して0.1〜8重量%の割合で添加す
る。
【0042】そして、上記マトリックス成分に対して、
分散相形成成分として、Tiの窒化物、炭窒化物、炭酸
窒化物のうちの少なくとも1種の粒子あるいはウイスカ
ーを10〜40体積%の割合で添加混合する。
【0043】得られた混合粉末を公知の成形法によって
所定の粉砕機部材の形状に成形する。成形方法として
は、プレス成形、鋳込み成形、押し出し成形、射出成
形、冷間静水圧成形などの方法が挙げられる。
【0044】この時、最終的にマトリックス中にボイド
を点在させるには、上記混合粉末を造粒することなく、
成形、焼成するか、あるいは上記混合粉末を一旦30〜
300μmの大きさに造粒した場合には、この造粒粉が
成形時に完全に潰れるような圧力を印加することによ
り、均一に点在させることができる。
【0045】これは、造粒粉を潰れないような圧力で成
形すると、造粒粉の周囲にのみボイドが凝集してしまう
ためである。なお、ボイド径分布は、用いる原料粉末と
成形時の圧力、さらには焼成条件による緻密化の程度に
よって制御できる。
【0046】つぎに、この成形体を1650〜1850
℃、特に1700〜1800℃の窒素雰囲気中、特にS
iO含有雰囲気中で公知の焼成方法により、焼結体密度
が理論密度の95%以上となる条件で焼成緻密化する。
焼成方法としては、常圧焼成、窒素ガス加圧焼成、熱間
静水圧焼成法など周知の焼成方法が採用される。
【0047】SiOの雰囲気は、SiO2 +Si、もし
くはSiO2 +Si3 4 の混合粉末を成形体が収納さ
れる焼成鉢内に一緒に入れて焼成することにより形成す
ることができる。焼成雰囲気中にSiOを含まない場
合、もしくは1850℃を超える焼成温度では、窒化珪
素の分解が激しく、微量の窒化珪素のみを分解させるよ
うな細かな制御が難しい。また、1650℃よりも低い
と、焼結性が低下するため、強度、靱性の向上が望めな
い。
【0048】なお、焼結体中のマトリックス中にSiを
残存させるためには、焼成温度を、窒化珪素が常圧にて
珪素と窒素ガスに分解する平衡温度から約30℃低い温
度範囲内で焼成して、ごく微量のSi3 4 を分解さ
せ、分解によって生成されたSiがマトリックス中の窒
化珪素結晶粒子の粒界中に存在することになる。なお、
Si量は、上記温度範囲での保持時間などにより任意に
制御することが可能である。かかる方法によれば、焼結
体のラマン分光分析におけるSiの検出量は、焼結体の
表面部よりも内部のほうが大きくなる傾向にある。
【0049】また、上記のようにして焼成した焼結体を
さらに熱間静水圧焼成によって、1600〜1800℃
の温度で窒素ガス、またはアルゴンガス中で1000〜
2000atmの圧力下で焼成して、さらに緻密化を図
ることもできる。
【0050】
【実施例】平均粒径が1μm、α化率98%、酸素含有
量が1.2重量%の窒化珪素(Si3 4 )粉末、平均
粒径が0.7μmの珪素粉末、平均粒径が1μm以下の
各種の周期律表第3a族元素酸化物(RE2 3 )、酸
化アルミニウム(Al2 3 )および酸化珪素(SiO
2 )の粉末、さらには遷移金属化合物と、Ti化合物
を、成形体組成が表1,2の比率になるように混合し
た。
【0051】なお、Ti化合物としては、平均粒径が
0.5〜1μmの粒子状、平均粒径(短軸径)が0.8
μm、平均アスペクト比が10〜20のTi化合物ウイ
スカーを用いた。
【0052】得られた混合物をスプレードライによって
粒径が40〜200μmの造粒体を作製した。その後、
0.3〜3t/cm2 の圧力でもってラバープレス(ア
イソスタテイックプレス)成形をおこなった。
【0053】そして、成形体中にSi粉末を含まない場
合には、窒素圧9気圧の窒素中、表1の焼成温度で5時
間焼成し、その後に炉冷して焼結体を得た。また、Si
粉末を含む場合には、1150℃で5時間加熱して窒化
させ、その後に表1の焼成温度で5時間焼成し、続けて
炉冷して焼結体を得た。なお、ボイドの大きさは成形時
の圧力によって制御した。
【0054】なお、焼成は、各成形体を成形体重量の5
%のSiO2 +Si(重量比で1:1)混合粉末を配置
し、炭化珪素質の匣鉢に入れて焼成した。
【0055】かくして得られた各焼結体に対して、相対
密度、気孔率、強度、靭性、硬度および平均ボイド径を
以下の方法で測定し、その結果を表4に示した。相対密
度および気孔率は、JISR1601にて規定された条
件の形状にまで加工し、アルキメデス法に基づく比重測
定から求めた。強度は、JISR1601に基づき室温
の4点曲げ抗折強度試験をおこなって求めた。靭性は鏡
面仕上げをおこなった試料に対して、JIS−R160
7に基づく室温での破壊靱性を測定した。硬度は、ビッ
カース硬度(荷重1kg)により測定した。さらに平均
ボイド径は、マトリックス部分の走査型電子顕微鏡写真
を用いて画像解析によって調べた。また、気孔率は、J
ISC2141に基づく見掛気孔率を求めた。
【0056】また、摩耗試験として下記のとおり摩耗率
を求める試験を行った。摩耗率については、60mm×
30mm×6mmの試料板を作製し、表面を平滑に仕上
げて評価面となし、この面に対して、メディアとして水
を含んだSiC製GC#240番(粒径80〜130μ
m)を噴射圧力4.0kg・cm2 で10分間試料板に
直角(90°)にあてることにより、試料板の重量変化
を測定し、これを摩耗率とした。
【0057】さらに、ラマン分光分析法により窒化珪素
の206cm-1のピーク強度X1 と、Siの521cm
-1のピーク強度X2 とのX2 /X1 比を求めた。なお、
試料No.7についてそのラマン分光分析チャートを図2
に示した。
【0058】また、メディア摩耗率については、上記各
焼結体からなる直径10mmのボール250gをメディ
アとし、水300ccとともに、ポリポットにいれ、振
動ミルで粉砕媒体を混ぜないで行う、からずり試験を1
00時間行った。その後、メディアを取り出し、洗浄お
よび乾燥させ、そのメディアの重量変化により摩耗率を
求めた。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】表1および表3の結果から明らかな通り、
遷移金属を全く添加しない試料No.1では、摩耗率が
2.5%、メディア摩耗率が2%と大きく、粉砕機用部
材としての性能が低いものであった。
【0064】また、表1の結果によると、Ti化合物の
量が本発明範囲より少ない試料No.4,30では、耐摩
耗性の効果が十分でなく、本発明範囲より多い試料No.
9,31では、焼結性が低下するとともに、耐摩耗性は
大幅に劣化した。
【0065】これに対して、本発明に従い、所定量の遷
移金属を添加せしめた本発明試料は、いずれも強度80
0MPa以上、靭性7.0MPa・m1/2 以上、硬度1
5.0GPa以上の機械的特性を有し、摩耗特性におい
ても摩耗率1%以下、メディア摩耗率1.2%以下の優
れた耐摩耗性を有するものであった。
【0066】本発明品の中で、ラマン分光分析による強
度比が0.2〜3の試料は、この範囲から逸脱する試料
No.22.25よりもさらに優れた特性を示し、いずれ
も室温強度900MPa以上、靱性が7.0MPa・m
1/2 以上で、摩耗率1%以下、メディア摩耗率1%以下
の優れた特性であった。
【0067】
【発明の効果】以上の通り、本発明の粉砕用部材は、窒
化珪素を主体とするマトリックス中に、Tiの窒化物、
炭窒化物、炭酸窒化物のうちの少なくとも1種のTi化
合物からなる粒子、あるいはそのウイスカーを分散させ
るとともに、特定の遷移金属を含有せしめ、さらに適当
なサイズのボイドを点在させることにより、強度、靱性
および耐摩耗性に優れ、耐久性に優れた粉砕機用部材を
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における窒化珪素質焼結体の概略組織図
を示す。
【図2】本発明の窒化珪素質焼結体(試料No.7)のラ
マン分光分析チャートの一例を示す。
【符号の説明】
1 マトリックス 2 分散相 3 凝集部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化珪素を主体とするマトリックス中に、
    Tiの窒化物、炭窒化物、炭酸窒化物のうちの少なくと
    も1種のTi化合物からなる粒子あるいはそのウイスカ
    ーを10〜40体積%の割合で分散してなる焼結体であ
    って、前記マトリックス中に、W、Mo、Mn、Cu、
    Fe、NiおよびCoの群から選ばれる少なくとも1種
    の遷移金属をマトリックス全量中に金属換算で0.1〜
    8重量%の割合で含み、気孔率が3%以下、且つマトリ
    ックス中に点在するボイドの平均径が0.5〜5μmで
    あること特徴とする粉砕機用部材。
  2. 【請求項2】前記遷移金属が、前記Ti化合物の粒子あ
    るいはウイスカーの周囲に密に存在することを特徴とす
    る請求項2記載の粉砕機用部材。
  3. 【請求項3】ラマン分光分析法により検出される窒化珪
    素の206cm-1のピーク強度X1 と、Siの521c
    -1のピーク強度X2 との比(X2 /X1 )が0.05
    〜3である請求項1記載の請求項1記載の粉砕機用部
    材。
  4. 【請求項4】前記マトリックス中において、マトリック
    ス全量中、周期律表第3a族元素を酸化物換算で1〜1
    5重量%、AlあるいはMgを酸化物換算量で0〜7重
    量%、不純物的酸素を酸化珪素換算量で10重量%以下
    の割合で含有することを特徴とする請求項1記載の粉砕
    機用部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7642209B2 (en) 2003-08-26 2010-01-05 Kyocera Corporation Silicon nitride sintered material and method for manufacturing
CN106045525A (zh) * 2016-06-01 2016-10-26 中国科学院上海硅酸盐研究所 一种氮化硅烧结体及其制备方法
CN109804253A (zh) * 2016-10-31 2019-05-24 京瓷株式会社 探针卡用基板、探针卡和检测装置

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