JPH11267463A - 血漿または血清分離フィルター - Google Patents

血漿または血清分離フィルター

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JPH11267463A
JPH11267463A JP7767398A JP7767398A JPH11267463A JP H11267463 A JPH11267463 A JP H11267463A JP 7767398 A JP7767398 A JP 7767398A JP 7767398 A JP7767398 A JP 7767398A JP H11267463 A JPH11267463 A JP H11267463A
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基樹 京
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全血から短時間で効率的に血清・血漿を得る
手段において、より効率的でかつ正確なフィルターを提
供する。 【解決手段】 入口と出口を有する容器内に高分子極細
繊維集合体または多孔質ポリマーで構成される濾過材を
装着し、濾過材中で血液を移動させ、血液中の血漿また
は血清と血球成分の移動速度差を利用することにより、
血漿または血清と血球成分を分離採取する血漿または血
清分離フィルターにおいて、親水性ポリマーが濾過材に
固定化され、濾過材に固定化される親水性ポリマーがポ
リビニルアルコールまたはゼラチンであることを特徴と
する血漿または血清分離フィルター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血球成分を含んだ
血液中から、血漿または血清を分離回収できるフィルタ
ーに関する。さらに詳しくは臨床検査に必要となる血漿
または血清を短時間で得ることのできる血漿または血清
分離フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】ヒトの健康状態を観察する手段として、
各種検査方法が開発され、病気の予防、診断、経過観察
等に有効に利用されてきた。なかでも血液検査はその歴
史が長く、最も基本的な臨床検査法である。血液検査は
近年著しく進歩し、各種自動診断検査装置が開発され、
検査に必要な時間もかなり短縮された。
【0003】こうした血液検査の生化学検査の多くは赤
血球などの血球成分が検査値に影響を与える。そのた
め、採取された血液はすぐに遠心分離を行い、その上澄
みとして得られる血漿、または血液を凝固させたのち遠
心分離を行い、その上澄みとして得られる血清が生化学
検査に必要となる。すなわちほとんどの生化学検査には
遠心分離が必要である。
【0004】しかし、遠心分離は10分以上の時間がか
かるだけでなく、大型で高価な遠心分離機が必要であ
る。特に血清を得る場合には、血液を凝固させる時間も
必要であり、短時間に検査結果が得られていない。検体
分離作業の運用方法などに工夫を加えて、無駄になって
いる時間を節約したとしても、採血から検査結果が出さ
れるまで最短で30分、平均で1時間はかかっているの
が現状である。
【0005】特に救急治療においては患者の状態をいち
早く把握して的確な治療を実施することが重要であり、
早急に血液検査を実施し、その結果から治療方針を判断
しなければならない。
【0006】そこで上記問題を解決する手段として、一
般にドライケミストリーと呼ばれる技術が知られてい
る。これはガラス繊維などの極細繊維フィルターからな
る血清分離層と、その下層に位置する反応層とから成り
立つ小型プレートに微量の血液を滴下すると血清分離層
にて血清が分離されその下層の反応層にて反応、発色
し、これを分光光度計で測定する。このドライケミスト
リーは、液状の発色試薬を使わず、遠心分離による面倒
な血清採取も必要としない簡便な方法であるが、測定で
きる項目が一般の生化学分析や免疫分析に比べて数が限
られていること、一つのプレートに一つの検査項目を用
いるため、複数の項目を検査するためには多数のプレー
トを用いなければならず、簡便であるわりには時間的メ
リットが少ないこと、高価であることなどから普及する
には至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】血漿または血清を遠心
分離を使わずに得る方法としては、特開昭53−726
91号に一端が閉塞された細かいチューブ状フィルター
素子を濾材として、血液から血漿を分離する方法や、特
開昭60−11166号に中空繊維束を用いた濾過カー
トリッジを使用し、血液から血漿を分離する方法が提案
されている。しかしながら前者の方法では蛋白質の透過
率が悪い上に、血球がフィルター表面に付着するため、
血漿の濾過に極めて長時間を要し、また逆に濾過速度を
速くするために濾過圧を高くすると、赤血球の溶血を生
じるといった問題がある。また、後者の中空繊維束を用
いた濾過カートリッジを使用した方法では、血漿分離作
業の準備としてプライミングによる前処理、つまり生理
食塩水などで中空糸膜を濡らす作業が必要となり、得ら
れる血漿が希釈されてしまったり、血漿分離の作業その
ものより準備の作業に手間がかかる問題点を有する。
【0008】また、これらの膜分離による方法は、血球
と血漿・血清の分子サイズの違いによる分離法であるた
めに、血液中の蛋白質など比較的分子量の大きな物質は
膜を十分に透過できず、得られた血漿中の各蛋白の組成
は、正確に元の血液中の蛋白質の組成を反映しない問題
がある。さらに膜の孔径を大きくしすぎると赤血球が目
詰まりをおこし、溶血する問題があり、実用化には至っ
ていない。
【0009】上記とは別に繊維状フィルターを用い、臨
床検査用血清または血漿分離技術が種々提案されてい
る。特開昭61−38608号には体積濾過効果を用い
た繊維質からなる固液分離器具が開示されている。特開
平4−208856号にはポリアクリルエステル誘導体
とポリエチレングリコールを含有するガラス繊維とレク
チン含浸層からなる血清または血漿成分の分離回収方法
が開示されている。また、特開平5−196620号に
は、特開平4−208856号で示された分離フィルタ
ーを用いた血清・血漿分離器具が開示されている。
【0010】特開平5−99918ではガラス繊維を用
い全血から血漿を分離する方法が検討されている。ここ
では親水化を目的としたものではなく、分離の際の溶血
を防ぐために、ガラス繊維をポリビニルアルコールまた
はポリ酢酸ビニルで被覆させている。
【0011】これらの方法および器具は、遠心分離を用
いずに臨床検査用の血清または血清を得ることができる
ものの、得られる血漿の量が100μLと非常に少ない
うえに、繊維からの溶出や、繊維への吸着が大きく、得
られた血漿中の電解質、リン、脂質の測定値が、遠心分
離での値と一致しないことがあり、応用できる検査項目
が限られ、ほとんど普及していない。
【0012】また特開平9−143081にはメルトブ
ロー法で得られたポリエステル製極細繊維を用いた血清
・血漿分離フィルターが開示されている。このフィルタ
ーは繊維間隙を示す平均動水半径と、血液流路径(L)
と血液流路長(D)の比(L/D)、さらには繊維径、
充填率を最適化することにより、得られる血清・血漿が
数百μLで、分離に必要な時間も一分以内で短いこと
と、フィルター素材と血液成分の相互作用が少なく、得
られた血清・血漿中の濃度が分離前の血液と変わらない
という特徴を有する。
【0013】また、特願平8−348746には三次元
多孔質体を用いた、血清・血漿分離フィルターが開示さ
れている。このフィルターは、特開平9−143081
のポリエステル製極細繊維の代わりに、三次元多孔質体
を用いることで、フィルターの組立性を改善している。
【0014】しかしながら、ポリエステル製極細繊維ま
たは三次元多孔質体を無処理でフィルターを構成する
と、フィルター内濾過材に血液中の蛋白質が吸着し、得
られた血清・血漿中の蛋白質濃度が分離前と比べてわず
かな差を生じる。よって、上記の差をなくす手段とし
て、極細繊維を親水化処理して蛋白吸着を抑制する方法
が考えられるが、親水化処理は簡便かつ、他の分析項目
への影響が極力少ないものが要求される。このように、
全血から短時間で血清・血漿を得る手段において、より
効率的でかつ正確なフィルターを簡便に得る方法が望ま
れている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の乃至
の血漿または血清分離フィルターを提供するものであ
る。 入口と出口を有する容器内に高分子極細繊維集合体
または多孔質ポリマーで構成される濾過材を装着し、濾
過材中で血液を移動させ、血液中の血漿または血清と血
球成分の移動速度差を利用することにより、血漿または
血清と血球成分を分離採取する血漿または血清分離フィ
ルターにおいて、親水性ポリマーが濾過材に固定化さ
れ、濾過材に固定化される親水性ポリマーがポリビニル
アルコールまたはゼラチンであることを特徴とする血漿
または血清分離フィルター。 血漿または血清分離フィルターを用いて得られた血
漿または血清の総蛋白、アルブミンおよび電解質濃度の
値と通常の遠心分離で得られた血漿または血清の前記項
目についての検査測定値との差の割合が10%以内であ
る上記に記載の血漿または血清分離フィルター。 濾過材に使用される極細繊維または多孔質ポリマー
がポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエ
チレン、ポリウレタン、ポリビニルホルマールからなる
上記またはに記載の血漿または血清分離フィルタ
ー。 極細繊維の集合体または多孔質ポリマーの形状が円
盤状であり、円盤の外周部から中心部に向かって血液が
流れ、円盤の中心部より血漿または血清を採取する上記
ないしに記載の血漿または血清分離フィルター。 容器内に収納される極細繊維の集合体または多孔質
ポリマーが容器内にて圧縮されることで0.25g/cm
3 以上、0.50g/cm3 以下の密度を有する上記な
いしに記載の血漿または血清分離フィルター。 採取された液のフィブリノーゲン濃度が15mg/
dl以下であることを特徴とする上記ないし記載の
血清分離フィルター。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明による血漿、血清採取の原
理は以下に述べる通りである。血液が極細繊維集合体ま
たは多孔質ポリマーで構成される濾過材中を移動すると
き、血球は繊維または濾過材に衝突したりして摩擦抵抗
を受けて、移動速度が低下する。しかし、血液の液状成
分である血漿や血清は抵抗を受けずに移動するので、血
球と血漿または血清成分には移動速度差が生じる。ここ
で分離長を充分に大きくして、繊維集合体の繊維径や嵩
密度、多孔質ポリマーのポアサイズや空孔率を制御し、
分離材中に血液を流して血球が移動してくるまでの間、
血漿または血清を採取することができる。
【0017】極細繊維集合体や多孔質ポリマーの素材に
もよるが、一般的に、そのまま何も処理せずに用いて
は、分離できなかったり、たとえ分離できたとしても、
血液中の蛋白や脂質を吸着して、測定値に誤差を与えて
しまう。これでは臨床検査の意味が失われるため好まし
くなく、極細繊維集合体や多孔質ポリマーを親水化して
物質の吸着を妨げることが必要である。
【0018】そこで、極細繊維集合体や多孔質ポリマー
を親水化するために、親水性ポリマーを固定化する方法
に関して鋭意検討を実施した結果、親水性ポリマーには
ポリビニルアルコールまたはゼラチンが良好であること
を見いだした。使用されるポリビニルアルコールは特に
限定されるものではないが、ケン化度の低い部分ケン化
型ポリビニルアルコールは吸水性が高く、得られる血漿
または血清を濃縮して検査値が高く測定されることと、
わずかに溶血する傾向があるため、完全ケン化型ポリビ
ニルアルコールが好ましい。また、ポリビニルアルコー
ルの重合度が低いと、血漿または血清を分離している途
中にポリビニルアルコールが溶出して血漿または血清中
に混入する可能性があるため、重合度は1000以上が
好ましい。
【0019】固定化する方法としては、特に限定される
ものでなく、グルタルアルデヒド、水溶性カルボジイミ
ドといった化合物を用いて、極細繊維集合体や多孔質ポ
リマーの表面に固定化する方法、またはゼラチンまたは
ポリビニルアルコールを架橋させて極細繊維集合体や多
孔質ポリマーのまわりに絡ませる方法、またはただ単に
極細繊維集合体や多孔質ポリマーにゼラチンまたはポリ
ビニルアルコールを付着させる方法などがある。
【0020】なかでも、極細繊維集合体や多孔質ポリマ
ーにゼラチンまたはポリビニルアルコールを付着させる
方法は、極細繊維集合体や多孔質ポリマーをゼラチンま
たはポリビニルアルコールの水溶液に浸して乾燥させる
だけであり、非常に簡便に親水化できる手段であるばか
りではなく、血液を濾過材中に流しても、ゼラチンまた
はポリビニルアルコールはやや膨潤するだけで、容易に
は溶出されない。たとえ溶出して検体に混入したとして
も、ゼラチンまたはポリビニルアルコールは不活性物質
であるため、生化学検査の測定値には影響を与えない。
【0021】ゼラチンまたはポリビニルアルコールを固
定化する量は、その水溶液の濃度を変化させて、極細繊
維集合体や多孔質ポリマーを浸し、乾燥させるだけでよ
い。固定化する量が少ないと、親水化が充分でなく、極
細繊維集合体や多孔質ポリマーに血液中の蛋白が吸着さ
れて、採取される血漿または血清の蛋白濃度は遠心分離
法で得られる検査値に比べて低下する。逆に固定化する
量が多いと、親水性ポリマーが膨潤して血液中の水分を
多量に奪うために、採取される血漿または血清の蛋白濃
度が上昇する。そこで正確な検査値が得られるように、
固定化する親水性ポリマーの量をコントロールする必要
がある。
【0022】並行して親水化ポリマーとしてポリビニル
ピロリドンを極細繊維集合体や多孔質ポリマーに固定化
する方法も検討したが、親水化する手段として不十分で
あるのに加え、金属成分にも悪影響を与えるだけでな
く、親水化する方法が煩雑でかつ時間もかかり、本発明
による血漿または血清分離フィルターが明らかに有効で
ある。
【0023】極細繊維集合体としてポリエチレンテレフ
タレート不織布を用いると、分離中にフィブリノーゲン
が除去されて、フィブリノーゲン濃度が15mg/dl
以下の血清が得られるため、非常に好ましい。しかし、
親水性ポリマーとしてポリビニルアルコールを用いる場
合、ポリエチレンテレフタレート不織布へのポリビニル
アルコール固定化量が多いときは、ポリエチレンテレフ
タレート不織布のフィブリノーゲン吸着能が減少し、血
清ではなく血漿が得られる。よって、血清を得るために
はポリビニルアルコールの固定化量をコントロールする
必要がある。また、ゼラチンをポリエチレンテレフタレ
ート不織布に固定化する場合は、たとえ固定化量を増加
させたとしてもフィブリノーゲン吸着能は保持されるた
め特に好ましい。
【0024】使用する極細繊維集合体や多孔質ポリマ
ー、固定化する親水性ポリマーに不純物が含まれていた
り、血液中のイオンなどを拘束する性質がある場合も採
取された血漿または血清の電解質濃度の検査値に大きな
影響を及ぼす。本発明により得られた血漿または血清分
離フィルターを用いて、採取した血漿または血清の電解
質濃度が遠心分離法による血漿または血清と比べて差が
ないためには、電解質、金属等を含まず、イオンを拘束
する性質をもたない極細繊維集合体や多孔質ポリマーを
用いることが必要であるだけではなく、使用する親水性
ポリマーであるゼラチンまたはポリビニルアルコールが
電解質や金属を含んでいないことが必要である。
【0025】電解質、金属等を含まず、イオンを拘束す
る性質をもたない極細繊維集合体または多孔質ポリマー
の素材としては特に限定されるものではないが、ポリエ
ステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタ
ン、ポリビニルホルマールが好ましい。特に、フィブリ
ノーゲンを除去でき、血清を得られるといった点でポリ
エステル、なかでもポリエチレンテレフタレートの極細
繊維不織布集合体が好ましい。
【0026】フィルターの形状は円盤状が好ましく、円
盤の外周部から中心部に向かって血液が流れ、円盤の中
心部より血漿または血清を採取する手段が、分離長を充
分に得ることができ、かつ血液の漏れを防ぐことが容易
であり、さらに好ましい。
【0027】フィルター内に収納される極細繊維の集合
体または多孔質ポリマーの密度は0.25g/cm3 以下
の場合、血球が摩擦抵抗を充分に得ることができず、血
漿または血清を分離採取できない。また、0.50g/
cm3 以上であると血球が移動する空間を確保することが
できず、溶血してしまうので好ましくない。
【0028】本発明における血球成分と血漿または血清
成分の分離機構は両成分の極細繊維の集合体または多孔
質ポリマー中の移動速度差を利用しており従来の遠心分
離法や、サイズを利用した膜分離とは根本的に異なる。
極細繊維の集合体または多孔質ポリマー中の移動速度
は、血漿または血清成分の方が、血球成分に比べて速い
ため、先に血漿または血清成分が到達し、その後血球成
分が到達するので、血球成分が到達するまでの間、血液
から血漿または血清を採取することができる。
【0029】上記の採取方法において、正確な検査値を
得ることが重要であり、そのためには極細繊維の集合体
または多孔質ポリマーの親水化が必要である。親水化す
る手段として、親水性ポリマーとしてゼラチンまたはポ
リビニルアルコールをポリエチレンテレフタレートに付
着させる手段を検討した結果、採取された血漿または血
清の総蛋白、アルブミンおよび電解質濃度の値と通常の
遠心分離で得られた血漿または血清の測定値との差が1
0%以内であり、短時間に血漿または血清を得る手段と
して有用である。
【0030】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらに何等限定されるものではな
い。
【0031】〔実施例1〕分離材としてメルトブロー法
によって得られた平均繊維直径1.8μmのポリエチレ
ンテレフタレート極細繊維不織布に親水性ポリマーであ
るゼラチンを付着させたものを用いた。ゼラチンを不織
布に付着させる方法としては、ゼラチン0.025%水
溶液に不織布を1時間浸漬した後、800rpmで5分
間余分な水分を絞り出し、70℃で20時間乾燥させ
た。こうして得られた親水化不織布を直径29.0mm
の円形に切断したものを48枚積層し、容器に充填し
た。充填した極細繊維集合体は0.30g/cm3 の密度
を有していた。容器には図1に示すようなものを用いて
血漿または血清分離フィルターを作製した。すなわち入
口として容器の上面端部に直径1.0mmの穴、出口と
して底面中央部に直径1.0mmの穴を有し、容器内部
の直径30.0mm、厚さ7mmの円盤状容器である。
血液には抗凝固剤としてヘパリンを用いヘマトクリット
40%のヒトの血液を使用し、容器の外周部から内側へ
送液したところ、血清が採取でき、血清を0.83ml
採取できたところで血球が混入し始めたため採取を終え
た。得られた血清の生化学的検査値の値を表1に示す
が、いずれも通常の遠心分離法である3000rpmに
て遠心操作を10分行ったときの上澄みである血漿を測
定したものと比べて10%以内の差であり、フィブリノ
ーゲンも検出限界以下の15mg/dl以下であった。
総蛋白がやや低下している分については、フィブリノー
ゲンが除去された分であると考えられる。ほぼ遠心分離
法と同等の成績が得られた。
【0032】〔実施例2〕上記実施例1と同様のメルト
ブローポリエチレンテレフタレート極細繊維不織布を用
い、不織布に固定化させる親水性ポリマーとしてポリビ
ニルアルコール(重合度1000、完全ケン化型)を用
いた。ポリビニルアルコールを不織布に付着させる方法
としては、ゼラチンと同様に0.01%水溶液に不織布
を1時間浸漬した後、800rpmで5分間余分な水分
を絞り出し、70℃で20時間乾燥させた。こうして得
られた親水化不織布を直径29.0mmの円形に切断し
たものを58枚積層し、上記容器に充填した。充填した
極細繊維集合体は0.37g/cm3 の密度を有してい
た。血液には抗凝固剤としてACDを用いヘマトクリッ
ト41%のウシの血液を使用し、容器の外周部から内側
へ送液したところ、血清が採取でき、血清を0.50m
l採取できたところで血球が混入し始めたため採取を終
えた。得られた血清の生化学的検査値の値は表2に示す
が、いずれも遠心分離法によるものと比べて10%以内
の差であり、フィブリノーゲンもかなり除去されて42
mg/dlであった。
【0033】〔実施例3〕上記実施例2と同様にメルト
ブローポリエチレンテレフタレート極細繊維不織布を用
い、不織布に固定化させる親水性ポリマーとしてポリビ
ニルアルコールを用いた。固定化するポリビニルアルコ
ールの量を増やすために、0.1%水溶液に浸漬させて
付着させた。上記実施例1、2と同様の容器を用い、不
織布を54枚積層させて得たフィルターは0.37g/
cm3 の密度を有していた。血液には実施例2と同じく、
抗凝固剤としてACDを用いヘマトクリット41%のウ
シの血液を使用し、容器の外周部から内側へ送液したと
ころ、血漿を0.31ml採取できたところで血球が混
入し始めたため採取を終えた。得られた血清の生化学的
検査値の値は表2に示すが、いずれも遠心分離法による
ものと比べて10%以内の差であったが、フィブリノー
ゲンは全く除去されず血漿が得られた。
【0034】〔比較例1〕分離材としてメルトブロー法
によって得られた平均繊維直径1.8μmのポリエチレ
ンテレフタレート極細繊維不織布を処理せずにそのま
ま、直径29.0mmの円形に切断して48枚積層し、
容器に充填した。充填した極細繊維集合体は0.28g
/cm3 の密度を有していた。血液には抗凝固剤としてヘ
パリンを用いヘマトクリット40%のヒトの血液を使用
し、容器の外周部から内側へ送液したところ、血清が採
取でき、血清を0.80ml採取できたところで血球が
混入し始めたため採取を終えた。総蛋白は6.7から
6.0へと低下し、不織布内に蛋白が吸着されているこ
とが示唆される。
【0035】〔比較例2〕比較例1で使用したフィルタ
ーと全く同じものを用い、血液に抗凝固剤としてACD
を用いヘマトクリット41%のウシの血液を使用し、容
器の外周部から内側へ送液したところ、血清が採取で
き、血清を0.33ml採取できたところで血球が混入
し始めたため採取を終えた。総蛋白は6.5から5.1
へと低下し、不織布内に蛋白が吸着されていることが示
唆される。
【0036】〔比較例3〕分離材としてメルトブロー法
によって得られた平均繊維直径1.8μmのポリエチレ
ンテレフタレート極細繊維不織布に親水性ポリマーであ
るポリビニルピロリドン(PVP)を固定化したものを
用いた。PVPを不織布に付着させる方法としては、P
VP1%水溶液に不織布を1時間浸漬した後、800r
pmで5分間遠心して余分な水分を絞り出し、γ線を2
0kGy照射してPVPを架橋させ、不織布へPVPを
固定化して親水性を付与した。この不織布を一時間以上
水洗したのち、70℃で20時間乾燥した。こうして得
られた親水化不織布を上記と同様に、直径29.0mm
の円形に切断したものを48枚積層し、容器に充填し
た。充填した極細繊維集合体は0.32g/cm3 の密度
を有していた。血液には抗凝固剤としてACDを用いヘ
マトクリット41%のウシの血液を使用し、容器の外周
部から内側へ送液したところ、血清を0.43ml採取
できた。総蛋白は6.5から5.6へと低下し、親水化
は不十分であり、不織布内に蛋白が吸着されていること
が示唆される。また、血清鉄にも異常がみられた。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の血漿または血清分離フィルターの例
を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入口と出口を有する容器内に高分子極細
    繊維集合体または多孔質ポリマーで構成される濾過材を
    装着し、濾過材中で血液を移動させ、血液中の血漿また
    は血清と血球成分の移動速度差を利用することにより、
    血漿または血清と血球成分を分離採取する血漿または血
    清分離フィルターにおいて、親水性ポリマーが濾過材に
    固定化され、濾過材に固定化される親水性ポリマーがポ
    リビニルアルコールまたはゼラチンであることを特徴と
    する血漿または血清分離フィルター。
  2. 【請求項2】 血漿または血清分離フィルターを用いて
    得られた血漿または血清の総蛋白、アルブミンおよび電
    解質濃度の値と通常の遠心分離で得られた血漿または血
    清の前記項目についての検査測定値との差の割合が10
    %以内である請求項1に記載の血漿または血清分離フィ
    ルター。
  3. 【請求項3】 濾過材に使用される極細繊維または多孔
    質ポリマーがポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミ
    ド、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリビニルホルマー
    ルからなる請求項1または2に記載の血漿または血清分
    離フィルター。
  4. 【請求項4】 極細繊維の集合体または多孔質ポリマー
    の形状が円盤状であり、円盤の外周部から中心部に向か
    って血液が流れ、円盤の中心部より血漿または血清を採
    取する請求項1ないし3に記載の血漿または血清分離フ
    ィルター。
  5. 【請求項5】 容器内に収納される極細繊維の集合体ま
    たは多孔質ポリマーが容器内にて圧縮されることで0.
    25g/cm3 以上、0.50g/cm3 以下の密度を有す
    る請求項1ないし4に記載の血漿または血清分離フィル
    ター。
  6. 【請求項6】 採取された液のフィブリノーゲン濃度が
    15mg/dl以下であることを特徴とする請求項1な
    いし〜5記載の血清分離フィルター。
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WO2004065958A1 (ja) * 2003-01-22 2004-08-05 Sekisui Chemical Co., Ltd. フィブリノーゲン除去用フィルタ、フィブリノーゲン除去用フィルタデバイス、及び、それらを用いるフィブリノーゲン除去方法
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JP2015213882A (ja) * 2014-05-12 2015-12-03 第一工業製薬株式会社 水処理濾材用コーティング剤

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