JPH11264833A - 走査型プローブ顕微鏡及びそのプローブ駆動方法 - Google Patents
走査型プローブ顕微鏡及びそのプローブ駆動方法Info
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- JPH11264833A JPH11264833A JP10089243A JP8924398A JPH11264833A JP H11264833 A JPH11264833 A JP H11264833A JP 10089243 A JP10089243 A JP 10089243A JP 8924398 A JP8924398 A JP 8924398A JP H11264833 A JPH11264833 A JP H11264833A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 試料表面の狭い領域を観察する場合であって
も、駆動部のヒステリシス等を適切に補正しつつプロー
ブを滑らかに駆動し、歪みやノイズのない測定データを
得る。 【解決手段】 制御部59は、試料表面の測定を開始す
る度に当該測定に先立って、当該測定において行おうと
する所望の移動パターンに近いパターンでプローブ1が
X方向及びY方向に移動されるように、X,Y方向駆動
用圧電素子6,7に駆動信号を供給する。このとき、当
該供給した駆動信号に応じたプローブ1の変位を2分割
フォトディテクタ12,15により計測する。この計測
結果に基づいて、前記駆動信号とプローブ1の変位との
関係を示す近似式を求める。当該試料表面の測定におい
て、前記近似式から求めた駆動信号であって前記所望の
移動パターンを実現するための駆動信号を、圧電素子
6,7に供給する。
も、駆動部のヒステリシス等を適切に補正しつつプロー
ブを滑らかに駆動し、歪みやノイズのない測定データを
得る。 【解決手段】 制御部59は、試料表面の測定を開始す
る度に当該測定に先立って、当該測定において行おうと
する所望の移動パターンに近いパターンでプローブ1が
X方向及びY方向に移動されるように、X,Y方向駆動
用圧電素子6,7に駆動信号を供給する。このとき、当
該供給した駆動信号に応じたプローブ1の変位を2分割
フォトディテクタ12,15により計測する。この計測
結果に基づいて、前記駆動信号とプローブ1の変位との
関係を示す近似式を求める。当該試料表面の測定におい
て、前記近似式から求めた駆動信号であって前記所望の
移動パターンを実現するための駆動信号を、圧電素子
6,7に供給する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型プローブ顕
微鏡及びそのプローブ駆動方法に関するものである。
微鏡及びそのプローブ駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】走査型プローブ顕微鏡は、プローブと試
料表面とを相対的に移動させて前記試料表面の所定の情
報を得る測定を行う。例えば、原子間力顕微鏡では、先
端に鋭い探針を持つ微少なカンチレバーをプローブとし
て用い、このカンチレバーを試料表面に接触又は近接さ
せ、カンチレバーと試料とを相対的に走査したとき、試
料の3次元形状によりプローブ先端に作用する力の変化
により起こるカンチレバーの撓みの変化を検出すること
により、試料の表面形状を高分解能で観察できる。
料表面とを相対的に移動させて前記試料表面の所定の情
報を得る測定を行う。例えば、原子間力顕微鏡では、先
端に鋭い探針を持つ微少なカンチレバーをプローブとし
て用い、このカンチレバーを試料表面に接触又は近接さ
せ、カンチレバーと試料とを相対的に走査したとき、試
料の3次元形状によりプローブ先端に作用する力の変化
により起こるカンチレバーの撓みの変化を検出すること
により、試料の表面形状を高分解能で観察できる。
【0003】従来から、走査型プローブ顕微鏡では、プ
ローブの走査のためにプローブを試料表面に対して相対
的に移動させる駆動部として、圧電素子が広く使われて
きた。この圧電素子は電圧を印加すると、内部応力に変
化が生じ、当該素子が変形する。その素子変形はオング
ストロームの位置決めの再現性があるが、印加電圧の範
囲に応じて単位変位量が変化したり、印加電圧に対しヒ
ステリシスを持ったりする。そのため、従来から、走査
型プローブ顕微鏡では、プローブをリニアに駆動するこ
とが難しく、得られるSPM像は歪みを持つことが多か
った。そこで、このような圧電素子の特性に鑑みて、次
の2つの技術が提案されている。
ローブの走査のためにプローブを試料表面に対して相対
的に移動させる駆動部として、圧電素子が広く使われて
きた。この圧電素子は電圧を印加すると、内部応力に変
化が生じ、当該素子が変形する。その素子変形はオング
ストロームの位置決めの再現性があるが、印加電圧の範
囲に応じて単位変位量が変化したり、印加電圧に対しヒ
ステリシスを持ったりする。そのため、従来から、走査
型プローブ顕微鏡では、プローブをリニアに駆動するこ
とが難しく、得られるSPM像は歪みを持つことが多か
った。そこで、このような圧電素子の特性に鑑みて、次
の2つの技術が提案されている。
【0004】第1に、印加電圧の範囲に応じて圧電素子
の単位変位量が変化することに鑑み、圧電素子に印加す
る電圧の範囲の振幅と印加電圧の範囲に含まれる基準電
圧を変数として単位電圧当たりの変位量を決定する近似
式を予め設定し、目標変位を発生するための印加電圧の
大きさを、前記近似式において前記基準電圧を与えるこ
とにより決定する圧電素子の駆動方法が提案されている
(特開平5−35334号公報、米国特許第5,38
4,507号公報)。
の単位変位量が変化することに鑑み、圧電素子に印加す
る電圧の範囲の振幅と印加電圧の範囲に含まれる基準電
圧を変数として単位電圧当たりの変位量を決定する近似
式を予め設定し、目標変位を発生するための印加電圧の
大きさを、前記近似式において前記基準電圧を与えるこ
とにより決定する圧電素子の駆動方法が提案されている
(特開平5−35334号公報、米国特許第5,38
4,507号公報)。
【0005】第2に、圧電素子の変位を光学的あるいは
歪みセンサ等により計測し、その計測された変位が所望
の変位となるように圧電素子に対してフィードバック制
御を行い、圧電素子をリニアに駆動する技術が提案され
ている(米国特許第5,210,410号公報)。
歪みセンサ等により計測し、その計測された変位が所望
の変位となるように圧電素子に対してフィードバック制
御を行い、圧電素子をリニアに駆動する技術が提案され
ている(米国特許第5,210,410号公報)。
【0006】ところで、走査型プローブ顕微鏡が広く使
われている工業分野では、特に半導体分野では、溝やト
レンチの側壁など垂直に近い試料の形状を測定する必要
性が増大している。そこで、プローブと真横にある試料
との相互作用力を検出し、縦方向(試料表面と略垂直な
方向)のみならず横方向(試料表面と略平行な方向)の
移動に対してもフィードバックをかけながら試料の上面
のみならず側面をも正確にトレースする原子間力顕微鏡
の技術が報告されている(Yves Martin and H.Krmar Wi
ckramasinghe, Appl. Phys. Lett. 64 (19), 9 May 199
4, "Method for imaging sidewalls by atomic force m
icroscopy")。
われている工業分野では、特に半導体分野では、溝やト
レンチの側壁など垂直に近い試料の形状を測定する必要
性が増大している。そこで、プローブと真横にある試料
との相互作用力を検出し、縦方向(試料表面と略垂直な
方向)のみならず横方向(試料表面と略平行な方向)の
移動に対してもフィードバックをかけながら試料の上面
のみならず側面をも正確にトレースする原子間力顕微鏡
の技術が報告されている(Yves Martin and H.Krmar Wi
ckramasinghe, Appl. Phys. Lett. 64 (19), 9 May 199
4, "Method for imaging sidewalls by atomic force m
icroscopy")。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述した第1の技術で
は、圧電素子への印加電圧の範囲の振幅と印加電圧の範
囲に含まれる基準電圧を変数として単位電圧当たりの変
位量を決定する近似式を一旦設定した後には、試料表面
の測定の際に毎回常に同じ近似式から目標変位を発生す
るための印加電圧の大きさを決定している。ところが、
圧電素子に印加する電圧の範囲の振幅と印加電圧範囲に
含まれる基準電圧(いわゆる印加電圧範囲のオフセッ
ト)が同一であっても、経時変化やそれまで当該圧電素
子に印加されてきた印加電圧の履歴によって圧電素子の
変位が異なる。したがって、前述した第1の技術では、
圧電素子の経時変化や印加電圧の履歴によって圧電素子
の変位量に誤差が生じ、試料表面の測定像に歪みが生じ
てしまう。また、前述した第1の技術では、圧電素子に
印加する電圧の範囲の振幅と印加電圧の範囲に含まれる
基準電圧を変数として単位電圧当たりの変位量を決定す
る近似式を用いているため、圧電素子に印加する電圧の
範囲の振幅と印加電圧の範囲に含まれる基準電圧であれ
ば、その印加電圧の範囲では印加電圧に応じてリニアに
圧電素子が変位するものとみなしており、ヒステリシス
の影響を精度良く取り除くことができない。さらに、印
加電圧の周波数によってもヒステリシスループが異なり
圧電素子の変位が異なるが、前述した第1の技術では、
圧電素子に印加する電圧の範囲の振幅と印加電圧の範囲
に含まれる基準電圧を変数として単位電圧当たりの変位
量を決定する近似式を用いているため、印加電圧の周波
数の変位によって圧電素子の変位量に誤差が生じ、試料
表面の測定像に歪みが生じてしまう。
は、圧電素子への印加電圧の範囲の振幅と印加電圧の範
囲に含まれる基準電圧を変数として単位電圧当たりの変
位量を決定する近似式を一旦設定した後には、試料表面
の測定の際に毎回常に同じ近似式から目標変位を発生す
るための印加電圧の大きさを決定している。ところが、
圧電素子に印加する電圧の範囲の振幅と印加電圧範囲に
含まれる基準電圧(いわゆる印加電圧範囲のオフセッ
ト)が同一であっても、経時変化やそれまで当該圧電素
子に印加されてきた印加電圧の履歴によって圧電素子の
変位が異なる。したがって、前述した第1の技術では、
圧電素子の経時変化や印加電圧の履歴によって圧電素子
の変位量に誤差が生じ、試料表面の測定像に歪みが生じ
てしまう。また、前述した第1の技術では、圧電素子に
印加する電圧の範囲の振幅と印加電圧の範囲に含まれる
基準電圧を変数として単位電圧当たりの変位量を決定す
る近似式を用いているため、圧電素子に印加する電圧の
範囲の振幅と印加電圧の範囲に含まれる基準電圧であれ
ば、その印加電圧の範囲では印加電圧に応じてリニアに
圧電素子が変位するものとみなしており、ヒステリシス
の影響を精度良く取り除くことができない。さらに、印
加電圧の周波数によってもヒステリシスループが異なり
圧電素子の変位が異なるが、前述した第1の技術では、
圧電素子に印加する電圧の範囲の振幅と印加電圧の範囲
に含まれる基準電圧を変数として単位電圧当たりの変位
量を決定する近似式を用いているため、印加電圧の周波
数の変位によって圧電素子の変位量に誤差が生じ、試料
表面の測定像に歪みが生じてしまう。
【0008】前述した第2の技術では、センサにより計
測された圧電素子の変位が所望の変位となるように圧電
素子に対してフィードバック制御を行っているので、前
記第1の技術で生ずる前述した問題は生じない。
測された圧電素子の変位が所望の変位となるように圧電
素子に対してフィードバック制御を行っているので、前
記第1の技術で生ずる前述した問題は生じない。
【0009】しかしながら、前述した第2の技術では、
試料表面の狭い領域(約1μm以下)を観察しようとす
るときに問題があった。それは、圧電素子の変位を計測
するセンサのノイズが変位に換算して約数nm程度ある
ため、1ラインの走査中500点程度データを測定する
SPMの場合、走査範囲が1μm以下になると、各測定
点の間隔がセンサのノイズレベルと同じになってしま
う。このノイズを含んだセンサからの信号に基づいてフ
ィードバック制御を行うと制御が不安定になり、制御が
発振してしまう。図11はこの状態を示している。図1
1において、曲線は理想的な制御信号の例を示し、折れ
線は実際の制御信号を示している。圧電素子は、印加さ
れた電圧に対し変位にヒステリシスがある。つまり、電
圧を印加し始めたときには圧電素子の変位は少なく、そ
の後急激に変位が大きくなる。そのため、前記第2の技
術によれば、そのヒステリシスを補正し、圧電素子をリ
ニアに駆動するための電圧は、始め急激に印加電圧を増
やし圧電素子を強制的に変位させた後、印加電圧を緩や
かに増加させ、圧電素子の変位を抑えることになる。こ
のため、図11に示すように理想的な制御曲線は上に凸
の曲線となる。しかし、実際に圧電素子を狭い領域(1
μm以下)で駆動する場合、前述したようにセンサから
のノイズが実際の駆動の制御間隔と等しいレベルとなる
ため、そのノイズにより図11中の折れ線のように実際
の制御は不安定となる。そのため、前述した第2の技術
では、試料表面の狭い領域を観察する場合、得られるS
PM像はノイズを多く含んだ不鮮明な像となってしま
う。
試料表面の狭い領域(約1μm以下)を観察しようとす
るときに問題があった。それは、圧電素子の変位を計測
するセンサのノイズが変位に換算して約数nm程度ある
ため、1ラインの走査中500点程度データを測定する
SPMの場合、走査範囲が1μm以下になると、各測定
点の間隔がセンサのノイズレベルと同じになってしま
う。このノイズを含んだセンサからの信号に基づいてフ
ィードバック制御を行うと制御が不安定になり、制御が
発振してしまう。図11はこの状態を示している。図1
1において、曲線は理想的な制御信号の例を示し、折れ
線は実際の制御信号を示している。圧電素子は、印加さ
れた電圧に対し変位にヒステリシスがある。つまり、電
圧を印加し始めたときには圧電素子の変位は少なく、そ
の後急激に変位が大きくなる。そのため、前記第2の技
術によれば、そのヒステリシスを補正し、圧電素子をリ
ニアに駆動するための電圧は、始め急激に印加電圧を増
やし圧電素子を強制的に変位させた後、印加電圧を緩や
かに増加させ、圧電素子の変位を抑えることになる。こ
のため、図11に示すように理想的な制御曲線は上に凸
の曲線となる。しかし、実際に圧電素子を狭い領域(1
μm以下)で駆動する場合、前述したようにセンサから
のノイズが実際の駆動の制御間隔と等しいレベルとなる
ため、そのノイズにより図11中の折れ線のように実際
の制御は不安定となる。そのため、前述した第2の技術
では、試料表面の狭い領域を観察する場合、得られるS
PM像はノイズを多く含んだ不鮮明な像となってしま
う。
【0010】従来技術の一つとして前述した、試料表面
の急峻な側壁をイメージングするために、プローブに作
用する力に基づいてプローブと試料との相対的な移動に
関して縦方向のみならず横方向の移動に対してもフィー
ドバックをかける走査型プローブ顕微鏡においても、プ
ローブを試料表面に対して相対的に移動させる駆動部と
して圧電素子が用いられている。このような走査型プロ
ーブ顕微鏡では、プローブに作用する力に基づいて横方
向の移動を行う圧電素子をフィードバック制御している
ので、当該圧電素子の変位をセンサにより計測してその
計測された変位に基づいて当該圧電素子に対してフィー
ドバックをかけることはできず、前述した第2の技術を
適用することは不可能である。そのため、このような走
査型プローブ顕微鏡では、得られる画像は圧電素子のヒ
ステリシス等の影響を含んだものとなっていた。
の急峻な側壁をイメージングするために、プローブに作
用する力に基づいてプローブと試料との相対的な移動に
関して縦方向のみならず横方向の移動に対してもフィー
ドバックをかける走査型プローブ顕微鏡においても、プ
ローブを試料表面に対して相対的に移動させる駆動部と
して圧電素子が用いられている。このような走査型プロ
ーブ顕微鏡では、プローブに作用する力に基づいて横方
向の移動を行う圧電素子をフィードバック制御している
ので、当該圧電素子の変位をセンサにより計測してその
計測された変位に基づいて当該圧電素子に対してフィー
ドバックをかけることはできず、前述した第2の技術を
適用することは不可能である。そのため、このような走
査型プローブ顕微鏡では、得られる画像は圧電素子のヒ
ステリシス等の影響を含んだものとなっていた。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、試料表面の狭い領域を観察する場合であって
も、駆動部のヒステリシス等を適切に補正しつつプロー
ブを滑らかに駆動することができ、歪みやノイズのない
測定データを得ることができる走査型プローブ顕微鏡及
びそのプローブ駆動方法を提供することを目的とする。
たもので、試料表面の狭い領域を観察する場合であって
も、駆動部のヒステリシス等を適切に補正しつつプロー
ブを滑らかに駆動することができ、歪みやノイズのない
測定データを得ることができる走査型プローブ顕微鏡及
びそのプローブ駆動方法を提供することを目的とする。
【0012】また、本発明は、駆動部のヒステリシス等
の影響のない測定データを得ることができる、プローブ
に作用する力に基づいてプローブと試料表面との相対的
な移動に関して縦方向のみならず横方向の移動に対して
も制御する走査型プローブ顕微鏡を提供することを目的
とする。
の影響のない測定データを得ることができる、プローブ
に作用する力に基づいてプローブと試料表面との相対的
な移動に関して縦方向のみならず横方向の移動に対して
も制御する走査型プローブ顕微鏡を提供することを目的
とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の第1の態様による走査型プローブ顕微鏡の
プローブ駆動方法は、プローブと試料表面とを相対的に
移動させて前記試料表面の所定の情報を得る測定を行う
走査型プローブ顕微鏡において、供給された駆動信号に
応答して前記プローブと前記試料表面とを前記試料表面
と略平行な所定方向に相対的に移動させる駆動部を用
い、前記プローブと前記試料表面とを前記所定方向に相
対的に移動させるプローブ駆動方法であって、(a)前
記測定を開始する度に当該測定に先立って、前記プロー
ブと前記試料表面とが当該測定において行おうとする所
望の移動パターンに近いパターンで前記所定方向に相対
的に移動されるように、前記駆動部に駆動信号を供給し
つつ、当該供給した駆動信号に応じた前記プローブの相
対的な変位を計測し、(b)当該測定に先立って、前記
計測された変位に基づいて、前記駆動信号と前記プロー
ブの相対的な変位との関係を示す近似式を求め、(c)
当該測定において、前記近似式から求めた駆動信号であ
って前記所望の移動パターンを実現するための駆動信号
を、前記駆動部に供給するものである。
め、本発明の第1の態様による走査型プローブ顕微鏡の
プローブ駆動方法は、プローブと試料表面とを相対的に
移動させて前記試料表面の所定の情報を得る測定を行う
走査型プローブ顕微鏡において、供給された駆動信号に
応答して前記プローブと前記試料表面とを前記試料表面
と略平行な所定方向に相対的に移動させる駆動部を用
い、前記プローブと前記試料表面とを前記所定方向に相
対的に移動させるプローブ駆動方法であって、(a)前
記測定を開始する度に当該測定に先立って、前記プロー
ブと前記試料表面とが当該測定において行おうとする所
望の移動パターンに近いパターンで前記所定方向に相対
的に移動されるように、前記駆動部に駆動信号を供給し
つつ、当該供給した駆動信号に応じた前記プローブの相
対的な変位を計測し、(b)当該測定に先立って、前記
計測された変位に基づいて、前記駆動信号と前記プロー
ブの相対的な変位との関係を示す近似式を求め、(c)
当該測定において、前記近似式から求めた駆動信号であ
って前記所望の移動パターンを実現するための駆動信号
を、前記駆動部に供給するものである。
【0014】この第1の態様によれば、試料表面の測定
の度に、当該測定に先立って、当該測定において行おう
とする所望の移動パターンに近い移動パターン(例え
ば、周波数、振幅、オフセット)でプローブと試料表面
とが試料表面と略平行な所定方向に相対的に移動され、
駆動部に印加した駆動信号に応じたプローブの相対的な
変位が計測され、この計測に基づいて、駆動信号とプロ
ーブの相対的な変位との関係を示す近似式が求められ
る。そして、試料表面の当該測定においては、この近似
式から求めた前記所望の移動パターンを実現するための
駆動信号が駆動部に供給される。このように、試料表面
の測定の度に当該測定に先立って実測した駆動信号に応
じたプローブの相対的な変位から求めた近似式に基づい
て得た駆動信号が、試料表面の当該測定において駆動部
に供給される。このため、前記第1の態様によれば、駆
動部が、ヒステリシスを持っていたり、駆動信号の振幅
や、駆動信号のオフセットや、経年変化や、駆動信号の
周波数や、それまでに供給した駆動信号の履歴などによ
り、変位が異なる特性を持っていても、試料表面の測定
においてはこれらの影響を受けない適切なプローブの駆
動を達成することができ、駆動部のヒステリシス等の影
響のない試料表面の測定データを得ることができる。そ
して、前記第1の態様によれば、計測したプローブの相
対的な変位を試料表面の測定において直接駆動部の制御
に用いるのではなく、計測したプローブの相対的な変位
から一旦前記近似式を求め、この近似式を基づいて駆動
部を制御している。このため、試料表面の狭い範囲を観
察する場合であっても、試料表面の測定において制御が
不安定になるようなことがなく、プローブを滑らかに駆
動することができ、ノイズのない試料表面の測定データ
を得ることができる。
の度に、当該測定に先立って、当該測定において行おう
とする所望の移動パターンに近い移動パターン(例え
ば、周波数、振幅、オフセット)でプローブと試料表面
とが試料表面と略平行な所定方向に相対的に移動され、
駆動部に印加した駆動信号に応じたプローブの相対的な
変位が計測され、この計測に基づいて、駆動信号とプロ
ーブの相対的な変位との関係を示す近似式が求められ
る。そして、試料表面の当該測定においては、この近似
式から求めた前記所望の移動パターンを実現するための
駆動信号が駆動部に供給される。このように、試料表面
の測定の度に当該測定に先立って実測した駆動信号に応
じたプローブの相対的な変位から求めた近似式に基づい
て得た駆動信号が、試料表面の当該測定において駆動部
に供給される。このため、前記第1の態様によれば、駆
動部が、ヒステリシスを持っていたり、駆動信号の振幅
や、駆動信号のオフセットや、経年変化や、駆動信号の
周波数や、それまでに供給した駆動信号の履歴などによ
り、変位が異なる特性を持っていても、試料表面の測定
においてはこれらの影響を受けない適切なプローブの駆
動を達成することができ、駆動部のヒステリシス等の影
響のない試料表面の測定データを得ることができる。そ
して、前記第1の態様によれば、計測したプローブの相
対的な変位を試料表面の測定において直接駆動部の制御
に用いるのではなく、計測したプローブの相対的な変位
から一旦前記近似式を求め、この近似式を基づいて駆動
部を制御している。このため、試料表面の狭い範囲を観
察する場合であっても、試料表面の測定において制御が
不安定になるようなことがなく、プローブを滑らかに駆
動することができ、ノイズのない試料表面の測定データ
を得ることができる。
【0015】本発明の第2の態様による走査型プローブ
顕微鏡は、プローブと試料表面とを相対的に移動させて
前記試料表面の所定の情報を得る測定を行う走査型プロ
ーブ顕微鏡において、供給された駆動信号に応答して前
記プローブと前記試料表面とを前記試料表面と略平行な
所定方向に相対的に移動させる駆動部と、前記プローブ
の前記試料表面に対する前記所定方向への相対的な変位
を計測する変位計測部と、前記測定を開始する度に当該
測定に先立って、前記プローブと前記試料表面とが、当
該測定において行おうとする所望の移動パターンに近い
パターンで前記所定方向に相対的に移動されるように、
前記駆動部に駆動信号を供給する第1の制御部と、前記
第1の制御部から前記駆動部に供給された駆動信号に対
応した前記変位計測部により計測された変位に基づい
て、前記駆動信号と前記計測された変位との関係を示す
近似式を求める近似式算出部と、当該測定において、前
記近似式から求めた駆動信号であって前記所望の移動パ
ターンを実現するための駆動信号を、前記駆動部に供給
する第2の制御部と、を備えたものである。
顕微鏡は、プローブと試料表面とを相対的に移動させて
前記試料表面の所定の情報を得る測定を行う走査型プロ
ーブ顕微鏡において、供給された駆動信号に応答して前
記プローブと前記試料表面とを前記試料表面と略平行な
所定方向に相対的に移動させる駆動部と、前記プローブ
の前記試料表面に対する前記所定方向への相対的な変位
を計測する変位計測部と、前記測定を開始する度に当該
測定に先立って、前記プローブと前記試料表面とが、当
該測定において行おうとする所望の移動パターンに近い
パターンで前記所定方向に相対的に移動されるように、
前記駆動部に駆動信号を供給する第1の制御部と、前記
第1の制御部から前記駆動部に供給された駆動信号に対
応した前記変位計測部により計測された変位に基づい
て、前記駆動信号と前記計測された変位との関係を示す
近似式を求める近似式算出部と、当該測定において、前
記近似式から求めた駆動信号であって前記所望の移動パ
ターンを実現するための駆動信号を、前記駆動部に供給
する第2の制御部と、を備えたものである。
【0016】この第2の態様による走査型プローブ顕微
鏡は、前記第1の態様によるプローブ駆動方法を達成す
るものであり、前記第1の態様と同様の利点が得られ
る。
鏡は、前記第1の態様によるプローブ駆動方法を達成す
るものであり、前記第1の態様と同様の利点が得られ
る。
【0017】本発明の第3の態様による走査型プローブ
顕微鏡は、前記第2の態様による走査型プローブ顕微鏡
において、前記駆動部が圧電素子を有し、前記駆動信号
が前記圧電素子への印加電圧であるものである。
顕微鏡は、前記第2の態様による走査型プローブ顕微鏡
において、前記駆動部が圧電素子を有し、前記駆動信号
が前記圧電素子への印加電圧であるものである。
【0018】前記第2の態様や前記第1の態様の場合、
この第3の態様のように前記駆動部が圧電素子である場
合に特に有効であるが、前記駆動部は必ずしも圧電素子
に限定されるものではない。
この第3の態様のように前記駆動部が圧電素子である場
合に特に有効であるが、前記駆動部は必ずしも圧電素子
に限定されるものではない。
【0019】本発明の第4の態様による走査型プローブ
顕微鏡は、プローブと試料表面とを相対的に移動させて
前記試料表面の所定の情報を得る測定を行う走査型プロ
ーブ顕微鏡であって、前記プローブに作用する力を検出
し、当該検出された力に基づいて、前記プローブの前記
試料表面に対する前記試料平面と略垂直な第1の方向へ
の相対的な移動及び前記プローブの前記試料表面に対す
る前記試料平面と略平行な前記第2の方向への相対的な
移動を制御する走査型プローブ顕微鏡において、前記プ
ローブの前記試料表面に対する前記第1の方向への相対
的な変位を計測する第1の変位計測部と、前記プローブ
の前記試料表面に対する前記第2の方向への相対的な変
位を計測する第2の変位計測部と、を備え、前記第1の
変位計測部により計測された変位に相当するデータ及び
第2の変位計測部により計測された変位に相当するデー
タを測定データの一部として用いるものである。
顕微鏡は、プローブと試料表面とを相対的に移動させて
前記試料表面の所定の情報を得る測定を行う走査型プロ
ーブ顕微鏡であって、前記プローブに作用する力を検出
し、当該検出された力に基づいて、前記プローブの前記
試料表面に対する前記試料平面と略垂直な第1の方向へ
の相対的な移動及び前記プローブの前記試料表面に対す
る前記試料平面と略平行な前記第2の方向への相対的な
移動を制御する走査型プローブ顕微鏡において、前記プ
ローブの前記試料表面に対する前記第1の方向への相対
的な変位を計測する第1の変位計測部と、前記プローブ
の前記試料表面に対する前記第2の方向への相対的な変
位を計測する第2の変位計測部と、を備え、前記第1の
変位計測部により計測された変位に相当するデータ及び
第2の変位計測部により計測された変位に相当するデー
タを測定データの一部として用いるものである。
【0020】この第4の態様によれば、プローブの試料
表面に対する縦方向(第1の方向)への相対的な変位が
第1の変位計測部により計測され、プローブの試料表面
に対する横方向(第2の方向)への相対的な変位が第2
の計測部により計測され、これらの計測された変位に相
当するデータが試料表面の測定データの一部として用い
られる。このため、プローブに作用する力に基づいてプ
ローブと試料表面との相対的な移動に関して縦方向のみ
ならず横方向の移動に対しても制御しているにも関わら
ず、駆動部のヒステリシス等の影響のない測定データを
得ることができる。
表面に対する縦方向(第1の方向)への相対的な変位が
第1の変位計測部により計測され、プローブの試料表面
に対する横方向(第2の方向)への相対的な変位が第2
の計測部により計測され、これらの計測された変位に相
当するデータが試料表面の測定データの一部として用い
られる。このため、プローブに作用する力に基づいてプ
ローブと試料表面との相対的な移動に関して縦方向のみ
ならず横方向の移動に対しても制御しているにも関わら
ず、駆動部のヒステリシス等の影響のない測定データを
得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明による走査型プロー
ブ顕微鏡及びそのプローブ駆動方法について、図面を参
照して説明する。
ブ顕微鏡及びそのプローブ駆動方法について、図面を参
照して説明する。
【0022】(第1の実施の形態)まず、本発明の第1
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡について、図
1乃至図5を参照して説明する。
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡について、図
1乃至図5を参照して説明する。
【0023】図1は、本実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡を示す概略構成図である。図2は本実施の形態
による走査型プローブ顕微鏡のプローブ駆動装置2の動
作原理を示す図であり、図2(a)はそのプローブ駆動
装置2の2軸平行ばね3の概念斜視図、図2(b)は2
軸平行ばね3を上から見た図である。図3は、本実施の
形態による走査型プローブ顕微鏡のプローブ装置の他の
動作原理を示す概念斜視図である。説明の便宜上、これ
らの図に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ
軸を定義する(後述する他の図も同様)。XY平面が試
料表面(図示せず)と略平行な面、Z方向が試料表面と
略垂直な方向となる。なお、本実施の形態による走査型
プローブ顕微鏡は、原子間力顕微鏡として構成されてい
る。
ブ顕微鏡を示す概略構成図である。図2は本実施の形態
による走査型プローブ顕微鏡のプローブ駆動装置2の動
作原理を示す図であり、図2(a)はそのプローブ駆動
装置2の2軸平行ばね3の概念斜視図、図2(b)は2
軸平行ばね3を上から見た図である。図3は、本実施の
形態による走査型プローブ顕微鏡のプローブ装置の他の
動作原理を示す概念斜視図である。説明の便宜上、これ
らの図に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ
軸を定義する(後述する他の図も同様)。XY平面が試
料表面(図示せず)と略平行な面、Z方向が試料表面と
略垂直な方向となる。なお、本実施の形態による走査型
プローブ顕微鏡は、原子間力顕微鏡として構成されてい
る。
【0024】本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡
は、図1に示すように、通常の原子間力顕微鏡において
用いられる先端側に探針1aを有するカンチレバーとし
て構成されたプローブ1と、該プローブ1をX方向、Y
方向及びZ方向に移動させるプローブ駆動装置2とを有
している。
は、図1に示すように、通常の原子間力顕微鏡において
用いられる先端側に探針1aを有するカンチレバーとし
て構成されたプローブ1と、該プローブ1をX方向、Y
方向及びZ方向に移動させるプローブ駆動装置2とを有
している。
【0025】プローブ駆動装置2は、図1乃至図3に示
すように、第1の変位部材である2軸平行ばね3と、第
2の変位部材である縦方向平行ばね4と、支持基材5
と、X方向駆動用の駆動部としてのX方向用積層型圧電
素子6(本実施の形態では、駆動力発生装置となってい
る。)と、Y方向駆動用の駆動部としてのY方向用積層
型圧電素子7(本実施の形態では、駆動力発生装置とな
っている。)と、Z方向駆動用の駆動部としてのZ方向
用積層型圧電素子8(本実施の形態では、駆動力発生装
置となっている。)とを有している。図1中、20は支
持基材5を支持するマイクロメータである。
すように、第1の変位部材である2軸平行ばね3と、第
2の変位部材である縦方向平行ばね4と、支持基材5
と、X方向駆動用の駆動部としてのX方向用積層型圧電
素子6(本実施の形態では、駆動力発生装置となってい
る。)と、Y方向駆動用の駆動部としてのY方向用積層
型圧電素子7(本実施の形態では、駆動力発生装置とな
っている。)と、Z方向駆動用の駆動部としてのZ方向
用積層型圧電素子8(本実施の形態では、駆動力発生装
置となっている。)とを有している。図1中、20は支
持基材5を支持するマイクロメータである。
【0026】また、本実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡は、プローブ1の撓みを検出する光てこ法による
光源9及び2分割フォトディテクタ10と、X方向用積
層型圧電素子6による駆動量を計測することによりプロ
ーブ1のX方向の変位を計測する変位計測部としての、
光てこ法による光源11、2分割フォトディテクタ12
及びミラー13と、Y方向用積層型圧電素子7による駆
動量を計測することによりプローブ1のY方向の変位を
計測する変位計測部としての、光てこ法による光源1
4、2分割フォトディテクタ15及びミラー16と、Z
方向用積層型圧電素子8による駆動量を計測することに
よりプローブ1のZ方向の変位を計測する変位計測部と
しての、光てこ法による光源17、2分割フォトディテ
クタ18及びミラー19と、を有している。前記光源1
1,14,17及び2分割フォトディテクタ12,1
5,18は支持基材5に固定されている。一方、ミラー
13,16,19は2軸平行ばね3を構成する後述する
部材24,23及び縦方向平行ばね4の後述する突起部
36にそれぞれ設けられている。2軸平行ばね3の先端
(自由端)には、プローブ1とそのプローブ1の撓みを
検出するための光源9及び2分割フォトディテクタ10
が位置調整されて固定されている。光源9,11,1
4,17としては、半導体レーザやLED等が使用可能
であるが、本実施の形態では、より指向性の良い半導体
レーザを使用している。
顕微鏡は、プローブ1の撓みを検出する光てこ法による
光源9及び2分割フォトディテクタ10と、X方向用積
層型圧電素子6による駆動量を計測することによりプロ
ーブ1のX方向の変位を計測する変位計測部としての、
光てこ法による光源11、2分割フォトディテクタ12
及びミラー13と、Y方向用積層型圧電素子7による駆
動量を計測することによりプローブ1のY方向の変位を
計測する変位計測部としての、光てこ法による光源1
4、2分割フォトディテクタ15及びミラー16と、Z
方向用積層型圧電素子8による駆動量を計測することに
よりプローブ1のZ方向の変位を計測する変位計測部と
しての、光てこ法による光源17、2分割フォトディテ
クタ18及びミラー19と、を有している。前記光源1
1,14,17及び2分割フォトディテクタ12,1
5,18は支持基材5に固定されている。一方、ミラー
13,16,19は2軸平行ばね3を構成する後述する
部材24,23及び縦方向平行ばね4の後述する突起部
36にそれぞれ設けられている。2軸平行ばね3の先端
(自由端)には、プローブ1とそのプローブ1の撓みを
検出するための光源9及び2分割フォトディテクタ10
が位置調整されて固定されている。光源9,11,1
4,17としては、半導体レーザやLED等が使用可能
であるが、本実施の形態では、より指向性の良い半導体
レーザを使用している。
【0027】前記2軸平行ばね3は、金属板、例えば、
剛性の高い金属であるステンレスからなる板や、軽量の
アルミや、軽量かつ剛性に富むチタンなどを、例えばワ
イヤーカット法により形成した略々正方形の枠状の構造
を有している。2軸平行ばね3の固定端30は、2軸平
行ばね3と同様の材料と方法により略々正方形の枠状に
形成した、縦方向平行ばね4の自由端により支持されて
おり、縦方向平行ばね4の他端(固定端)は支持基材5
に固定されている。
剛性の高い金属であるステンレスからなる板や、軽量の
アルミや、軽量かつ剛性に富むチタンなどを、例えばワ
イヤーカット法により形成した略々正方形の枠状の構造
を有している。2軸平行ばね3の固定端30は、2軸平
行ばね3と同様の材料と方法により略々正方形の枠状に
形成した、縦方向平行ばね4の自由端により支持されて
おり、縦方向平行ばね4の他端(固定端)は支持基材5
に固定されている。
【0028】前記2軸平行ばね3と縦方向平行ばね4を
駆動するための前記圧電素子6,7,8は、図1に示す
ように、それぞれの平行ばね3,4と支持基材5との間
に挟み込まれている。後に詳細に説明するが、圧電素子
6が伸張すると、2軸平行ばね3がX方向に押され、そ
れにより2軸平行ばね3が変形してプローブ1がX方向
に変位する。圧電素子7が伸張すると、2軸平行ばね3
がY方向に押され、それにより2軸平行ばね3が変形し
てプローブ1がY方向に変位する。圧電素子8が伸張す
ると、縦方向平行ばね4がZ方向に押され、それにより
縦方向平行ばね4が変形してプローブ1がZ方向に変位
する。いずれの圧電素子6,7,8も、2軸平行ばね3
及び縦方向平行ばね4とは固着されておらず、当接され
ているのみである。よって、圧電素子6,7,8が縮小
した場合には、2軸平行ばね3及び縦方向平行ばね4
は、自己の弾性力により元の位置に戻る。
駆動するための前記圧電素子6,7,8は、図1に示す
ように、それぞれの平行ばね3,4と支持基材5との間
に挟み込まれている。後に詳細に説明するが、圧電素子
6が伸張すると、2軸平行ばね3がX方向に押され、そ
れにより2軸平行ばね3が変形してプローブ1がX方向
に変位する。圧電素子7が伸張すると、2軸平行ばね3
がY方向に押され、それにより2軸平行ばね3が変形し
てプローブ1がY方向に変位する。圧電素子8が伸張す
ると、縦方向平行ばね4がZ方向に押され、それにより
縦方向平行ばね4が変形してプローブ1がZ方向に変位
する。いずれの圧電素子6,7,8も、2軸平行ばね3
及び縦方向平行ばね4とは固着されておらず、当接され
ているのみである。よって、圧電素子6,7,8が縮小
した場合には、2軸平行ばね3及び縦方向平行ばね4
は、自己の弾性力により元の位置に戻る。
【0029】ここで、2軸平行ばね3について、図2を
参照して詳細に説明する。なお、図2においては、圧電
素子6,7,8や光てこ法による検出系9〜19は示し
ていない。図2において、21〜24は4つの曲げ剛性
の強い部材であり、25〜29は、部材21〜24の端
部に設けられた曲げ剛性の弱いヒンジ部である。また、
30は2軸平行ばね3の固定端、31は圧電素子6によ
って発生する力の方向、32はこの力によるプローブ1
0の移動方向を示している。
参照して詳細に説明する。なお、図2においては、圧電
素子6,7,8や光てこ法による検出系9〜19は示し
ていない。図2において、21〜24は4つの曲げ剛性
の強い部材であり、25〜29は、部材21〜24の端
部に設けられた曲げ剛性の弱いヒンジ部である。また、
30は2軸平行ばね3の固定端、31は圧電素子6によ
って発生する力の方向、32はこの力によるプローブ1
0の移動方向を示している。
【0030】この2軸平行ばね3においては、4つの曲
げ剛性の高い部材21〜24によって枠が形成され、当
該枠は正方形の1角が削られて5角形となった形状をし
ている。そして、削られた1角が固定端30となり、そ
れと相対する角が自由端となっている。その自由端にプ
ローブ1が取り付けられている。図面には示していない
が、X方向駆動用の圧電素子6の一端及びY方向駆動用
の圧電素子7の一端は、前記部材21〜24のうち、固
定端30に近い部材24,23にそれぞれ当接してい
る。
げ剛性の高い部材21〜24によって枠が形成され、当
該枠は正方形の1角が削られて5角形となった形状をし
ている。そして、削られた1角が固定端30となり、そ
れと相対する角が自由端となっている。その自由端にプ
ローブ1が取り付けられている。図面には示していない
が、X方向駆動用の圧電素子6の一端及びY方向駆動用
の圧電素子7の一端は、前記部材21〜24のうち、固
定端30に近い部材24,23にそれぞれ当接してい
る。
【0031】図2(a)において、圧電素子6により発
生する力31を、部材24に垂直な方向(X方向)によ
り加えると、2軸平行ばね3は実線で示した形状から各
5つのヒンジ部25〜29を中心に機械てこ部分(部材
21〜24)が回転運動し、図中の破線の形状に変形す
る。このとき、2軸平行ばね3の自由端に設けられたプ
ローブ1は図中矢印32の方向に駆動される。このと
き、部材23は、後に述べる理由のためほとんど変位せ
ず、部材24はヒンジ部29を中心に回転し、部材22
はヒンジ部27を中心に回転し、部材21は力31の方
向に略平行に移動するような変形をする。よって、プロ
ーブ1は、力31の方向と同じ方向(X方向)に移動す
る。プローブ1の移動軌跡は、厳密に言えば、緩やかな
円弧を描くが、その変位が微小であるため直線とみなす
ことができる。
生する力31を、部材24に垂直な方向(X方向)によ
り加えると、2軸平行ばね3は実線で示した形状から各
5つのヒンジ部25〜29を中心に機械てこ部分(部材
21〜24)が回転運動し、図中の破線の形状に変形す
る。このとき、2軸平行ばね3の自由端に設けられたプ
ローブ1は図中矢印32の方向に駆動される。このと
き、部材23は、後に述べる理由のためほとんど変位せ
ず、部材24はヒンジ部29を中心に回転し、部材22
はヒンジ部27を中心に回転し、部材21は力31の方
向に略平行に移動するような変形をする。よって、プロ
ーブ1は、力31の方向と同じ方向(X方向)に移動す
る。プローブ1の移動軌跡は、厳密に言えば、緩やかな
円弧を描くが、その変位が微小であるため直線とみなす
ことができる。
【0032】ここで、圧電素子6による力を2軸平行ば
ね3の固定端30付近に加えると、てこの原理により、
てこの変位端は大きく変位するため、結果としてプロー
ブ1の駆動量を大きくすることができる。
ね3の固定端30付近に加えると、てこの原理により、
てこの変位端は大きく変位するため、結果としてプロー
ブ1の駆動量を大きくすることができる。
【0033】また、圧電素子7による力を、部材23に
垂直な方向(Y方向)から当該部材23に加えた場合、
同様の理由により、プローブ1はY方向に移動する。
垂直な方向(Y方向)から当該部材23に加えた場合、
同様の理由により、プローブ1はY方向に移動する。
【0034】このように、変位部材である2軸平行ばね
3は、固定端30の中心と自由端の中心とを結ぶ線に対
して軸対称となっているため、部材23と部材24に力
が加えられた場合に、それぞれ場合のプローブ1の変位
に干渉がない。それゆえ、このような平行ばねを2軸平
行ばねと呼んでいる。
3は、固定端30の中心と自由端の中心とを結ぶ線に対
して軸対称となっているため、部材23と部材24に力
が加えられた場合に、それぞれ場合のプローブ1の変位
に干渉がない。それゆえ、このような平行ばねを2軸平
行ばねと呼んでいる。
【0035】なお、2軸平行ばね3の部材23,24の
固定端30に近い方のヒンジ部28,29は、その他の
ヒンジ部25,26,27に比べて強い弾性を持つよう
に設計されている。このため、圧電素子6により部材2
4に加えられた駆動力の大部分は、2軸平行ばね3の固
定端30に近い方のヒンジ部29により受け止められ、
圧電素子7により部材23に加えられた駆動力の大部分
は、2軸平行ばね3の固定端30に近い方のヒンジ部2
8により受け止められる。このように設計することによ
り、圧電素子6により部材24に力が加わった場合にお
いては、部材23はほとんど変位せず、プローブ1の変
位はX方向に限られる。同様に、圧電素子7により部材
23に力が加わった場合においては、部材24はほとん
ど変位せず、プローブ1の変位はY方向に限られる。
固定端30に近い方のヒンジ部28,29は、その他の
ヒンジ部25,26,27に比べて強い弾性を持つよう
に設計されている。このため、圧電素子6により部材2
4に加えられた駆動力の大部分は、2軸平行ばね3の固
定端30に近い方のヒンジ部29により受け止められ、
圧電素子7により部材23に加えられた駆動力の大部分
は、2軸平行ばね3の固定端30に近い方のヒンジ部2
8により受け止められる。このように設計することによ
り、圧電素子6により部材24に力が加わった場合にお
いては、部材23はほとんど変位せず、プローブ1の変
位はX方向に限られる。同様に、圧電素子7により部材
23に力が加わった場合においては、部材24はほとん
ど変位せず、プローブ1の変位はY方向に限られる。
【0036】次に、図2(b)を参照して、圧電素子
6,7による2軸平行ばね3の駆動量、すなわち、プロ
ーブ1のX方向の変位及びY方向の変位を計測する原理
について説明する。2軸平行ばね3の支持端(固定端)
30に近い方の2つの部材24,23にそれぞれミラー
13,16が設けられている(図2(b)では、ミラー
16は省略されている。)。圧電素子6による駆動力に
より部材24が回転運動を起こすと、図2(b)中の破
線で示すように、ミラー13も同時に傾く。そのミラー
13に光源11からの光33を入射させ、反射光34を
2分割フォトディテクタ12に入射させる。2分割フォ
トディテクタ12は、分割された各受光面に入射する光
量を引き算することにより入射光の重心の位置を検出す
ることができる。機械てこ24が駆動され、ミラー13
が傾くと、そこから反射する反射光34の光軸が傾く。
それにより2分割フォトディテクタ12に入射する光ス
ポットの位置が動くため、2軸平行ばね3のX方向の駆
動量、すなわち、プローブ1のX方向の変位を計測する
ことができる。
6,7による2軸平行ばね3の駆動量、すなわち、プロ
ーブ1のX方向の変位及びY方向の変位を計測する原理
について説明する。2軸平行ばね3の支持端(固定端)
30に近い方の2つの部材24,23にそれぞれミラー
13,16が設けられている(図2(b)では、ミラー
16は省略されている。)。圧電素子6による駆動力に
より部材24が回転運動を起こすと、図2(b)中の破
線で示すように、ミラー13も同時に傾く。そのミラー
13に光源11からの光33を入射させ、反射光34を
2分割フォトディテクタ12に入射させる。2分割フォ
トディテクタ12は、分割された各受光面に入射する光
量を引き算することにより入射光の重心の位置を検出す
ることができる。機械てこ24が駆動され、ミラー13
が傾くと、そこから反射する反射光34の光軸が傾く。
それにより2分割フォトディテクタ12に入射する光ス
ポットの位置が動くため、2軸平行ばね3のX方向の駆
動量、すなわち、プローブ1のX方向の変位を計測する
ことができる。
【0037】同様に、圧電素子7による駆動力により部
材23が回転運動を起こすと、ミラー16が同時に傾
く。そのミラー16に光源14からの光を入射させ、反
射光を2分割フォトディテクタ15に入射させる。2分
割フォトディテクタ15は、分割された各受光面に入射
する光量を引き算することにより入射光の重心の位置を
検出することができる。機械てこ23が駆動され、ミラ
ー16が傾くと、そこから反射する反射光の光軸が傾
く。それにより2分割フォトディテクタ15に入射する
光スポットの位置が動くため、2軸平行ばね3のY方向
の駆動量、すなわち、プローブ1のY方向の変位を計測
することができる。
材23が回転運動を起こすと、ミラー16が同時に傾
く。そのミラー16に光源14からの光を入射させ、反
射光を2分割フォトディテクタ15に入射させる。2分
割フォトディテクタ15は、分割された各受光面に入射
する光量を引き算することにより入射光の重心の位置を
検出することができる。機械てこ23が駆動され、ミラ
ー16が傾くと、そこから反射する反射光の光軸が傾
く。それにより2分割フォトディテクタ15に入射する
光スポットの位置が動くため、2軸平行ばね3のY方向
の駆動量、すなわち、プローブ1のY方向の変位を計測
することができる。
【0038】次に、プローブ1を縦方向に駆動する原理
とその駆動量の計測の原理について、図3を参照して説
明する。本実施の形態では、縦方向平行ばね4によりプ
ローブ1を縦方向(Z方向)に駆動する。縦方向平行ば
ね4は、略正方形を形成するように結合された4つの部
材から構成され、その4隅には曲げ剛性の弱いヒンジ部
が形成されていて、2軸平行ばね3と同様の働きをす
る。
とその駆動量の計測の原理について、図3を参照して説
明する。本実施の形態では、縦方向平行ばね4によりプ
ローブ1を縦方向(Z方向)に駆動する。縦方向平行ば
ね4は、略正方形を形成するように結合された4つの部
材から構成され、その4隅には曲げ剛性の弱いヒンジ部
が形成されていて、2軸平行ばね3と同様の働きをす
る。
【0039】縦方向平行ばね4は、その上部の部材の上
面に突起部36を有している。そして、その突起部36
に縦方向駆動用の圧電素子8からの駆動力が矢印37の
方向に加えられると、前記4つの部材が前記ヒンジ部を
中心に回転運動する。そのため、前記突起部36も円弧
の矢印38の方向に傾く。その結果、縦方向平行ばね4
の自由端は縦方向に変位する。このとき実際には縦方向
平行ばね4の自由端の軌跡は円弧となるが、その変位が
前記部材(機械てこ)の長さに比べて微小であるため、
直線とみなすことができる。そのため、縦方向平行ばね
4の自由端に固定されている2軸平行ばね3とその先端
のプローブ1は直線的に上下方向(矢印39の方向)に
駆動され、他の軸との干渉がない。
面に突起部36を有している。そして、その突起部36
に縦方向駆動用の圧電素子8からの駆動力が矢印37の
方向に加えられると、前記4つの部材が前記ヒンジ部を
中心に回転運動する。そのため、前記突起部36も円弧
の矢印38の方向に傾く。その結果、縦方向平行ばね4
の自由端は縦方向に変位する。このとき実際には縦方向
平行ばね4の自由端の軌跡は円弧となるが、その変位が
前記部材(機械てこ)の長さに比べて微小であるため、
直線とみなすことができる。そのため、縦方向平行ばね
4の自由端に固定されている2軸平行ばね3とその先端
のプローブ1は直線的に上下方向(矢印39の方向)に
駆動され、他の軸との干渉がない。
【0040】縦方向平行ばね4の縦方向の変位量、すな
わち、プローブ1のZ方向の変位の計測は、前述したX
方向及びY方向の変位の計測と原理的に等しい。前記突
起部36にはミラー19が設けられていて、そのミラー
19に光源17から光40を入射させ、その反射光41
を2分割フォトディテクタ18に入射させることによ
り、反射光41の重心の位置を計測する。この位置が、
縦方向平行ばね4の駆動量、すなわち、プローブ1のZ
方向の変位に比例した値となる。
わち、プローブ1のZ方向の変位の計測は、前述したX
方向及びY方向の変位の計測と原理的に等しい。前記突
起部36にはミラー19が設けられていて、そのミラー
19に光源17から光40を入射させ、その反射光41
を2分割フォトディテクタ18に入射させることによ
り、反射光41の重心の位置を計測する。この位置が、
縦方向平行ばね4の駆動量、すなわち、プローブ1のZ
方向の変位に比例した値となる。
【0041】以上説明したように、本実施の形態では、
プローブ1をX方向、Y方向及びZ方向に駆動するため
に前述したプローブ装置2が用いられ、圧電素子6,
7,8がそれぞれX方向用駆動部、Y方向用駆動部及び
Z方向用駆動部を構成している。もっとも、このプロー
ブ装置2に代えて、例えば、いわゆるチューブスキャナ
やトライポット型スキャナ等を用いてもよい。また、本
実施の形態では、前述したように、プローブ1のX方
向、Y方向及びZ方向の変位をそれぞれ計測する各変位
計測部として光てこ法によるものが用いられているが、
容量性方式や歪み計方式などの他の種々の変位計測部を
用いてもよい。
プローブ1をX方向、Y方向及びZ方向に駆動するため
に前述したプローブ装置2が用いられ、圧電素子6,
7,8がそれぞれX方向用駆動部、Y方向用駆動部及び
Z方向用駆動部を構成している。もっとも、このプロー
ブ装置2に代えて、例えば、いわゆるチューブスキャナ
やトライポット型スキャナ等を用いてもよい。また、本
実施の形態では、前述したように、プローブ1のX方
向、Y方向及びZ方向の変位をそれぞれ計測する各変位
計測部として光てこ法によるものが用いられているが、
容量性方式や歪み計方式などの他の種々の変位計測部を
用いてもよい。
【0042】また、本実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡は、図1に示すように、前述した各要素の他に、
信号処理回路51〜54と、A/D変換器55〜58
と、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)59と、パ
ーソナルコンピュータ(PC)60と、CRT等の表示
装置61と、D/A変換器62〜64と、駆動回路65
とを備えている。
顕微鏡は、図1に示すように、前述した各要素の他に、
信号処理回路51〜54と、A/D変換器55〜58
と、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)59と、パ
ーソナルコンピュータ(PC)60と、CRT等の表示
装置61と、D/A変換器62〜64と、駆動回路65
とを備えている。
【0043】前記信号処理回路51は、X方向変位計測
用の2分割フォトディテクタ12の受光面の2つの領域
からの出力信号をそれぞれ増幅して両者の差を示す信号
(すなわち、プローブ1のX方向の変位を示す信号)を
出力する。この信号は、A/D変換器55によりA/D
変換されて前記DSP59に供給される。同様に、前記
信号処理回路52は、Y方向変位計測用の2分割フォト
ディテクタ15の受光面の2つの領域からの出力信号を
それぞれ増幅して両者の差を示す信号(すなわち、プロ
ーブ1のY方向の変位を示す信号)を出力する。この信
号も、A/D変換器56によりA/D変換されて前記D
SP59に供給される。同様に、前記信号処理回路53
は、Z方向変位計測用の2分割フォトディテクタ18の
受光面の2つの領域からの出力信号をそれぞれ増幅して
両者の差を示す信号(すなわち、プローブ1のZ方向の
変位を示す信号)を出力する。この信号も、A/D変換
器57によりA/D変換されて前記DSP59に供給さ
れる。同様に、前記信号処理回路54は、プローブ1の
撓み検出用の2分割フォトディテクタ10の受光面の2
つの領域からの出力信号をそれぞれ増幅して両者の差を
示す信号(すなわち、プローブ1の撓みを示す信号)を
出力する。この信号も、A/D変換器58によりA/D
変換されて前記DSP59に供給される。
用の2分割フォトディテクタ12の受光面の2つの領域
からの出力信号をそれぞれ増幅して両者の差を示す信号
(すなわち、プローブ1のX方向の変位を示す信号)を
出力する。この信号は、A/D変換器55によりA/D
変換されて前記DSP59に供給される。同様に、前記
信号処理回路52は、Y方向変位計測用の2分割フォト
ディテクタ15の受光面の2つの領域からの出力信号を
それぞれ増幅して両者の差を示す信号(すなわち、プロ
ーブ1のY方向の変位を示す信号)を出力する。この信
号も、A/D変換器56によりA/D変換されて前記D
SP59に供給される。同様に、前記信号処理回路53
は、Z方向変位計測用の2分割フォトディテクタ18の
受光面の2つの領域からの出力信号をそれぞれ増幅して
両者の差を示す信号(すなわち、プローブ1のZ方向の
変位を示す信号)を出力する。この信号も、A/D変換
器57によりA/D変換されて前記DSP59に供給さ
れる。同様に、前記信号処理回路54は、プローブ1の
撓み検出用の2分割フォトディテクタ10の受光面の2
つの領域からの出力信号をそれぞれ増幅して両者の差を
示す信号(すなわち、プローブ1の撓みを示す信号)を
出力する。この信号も、A/D変換器58によりA/D
変換されて前記DSP59に供給される。
【0044】前記D/A変換器62,63,64は、D
SP59からのX,Y,Z方向の各移動指令値をそれぞ
れD/A変換し、前記駆動回路32はD/A変換された
各信号を増幅して駆動信号(印加電圧)として各圧電素
子6,7,8にそれぞれ供給する。
SP59からのX,Y,Z方向の各移動指令値をそれぞ
れD/A変換し、前記駆動回路32はD/A変換された
各信号を増幅して駆動信号(印加電圧)として各圧電素
子6,7,8にそれぞれ供給する。
【0045】本実施の形態では、前記DSP59は、図
4に示す動作を行う。図4は、DSP59の動作を示す
概略フローチャートである。
4に示す動作を行う。図4は、DSP59の動作を示す
概略フローチャートである。
【0046】まず、DSP59は、パーソナルコンピュ
ータ60から測定開始指令が与えられるまで待つ(ステ
ップS1)。この測定開始指令は、キーボートやマウス
等の図示しない入力装置による測定者からの指令に応じ
てパーソナルコンピュータ60がDSP59に与えるも
のである。パーソナルコンピュータ60は、測定者から
の指令(例えば、試料表面の走査領域や走査速度などの
指令を含む)を解析して、測定者が指定した試料表面の
測定の動作を実現するのに必要な、プローブ1のX方向
の移動パターン(例えば、周波数あるいは速度、振幅、
オフセット(移動範囲の基準位置)等)及びY方向の移
動パターン(例えば、周波数あるいは速度、振幅、オフ
セット(移動範囲の基準位置)等)を示すデータを、測
定開始指令と共にDSP59に供給する。
ータ60から測定開始指令が与えられるまで待つ(ステ
ップS1)。この測定開始指令は、キーボートやマウス
等の図示しない入力装置による測定者からの指令に応じ
てパーソナルコンピュータ60がDSP59に与えるも
のである。パーソナルコンピュータ60は、測定者から
の指令(例えば、試料表面の走査領域や走査速度などの
指令を含む)を解析して、測定者が指定した試料表面の
測定の動作を実現するのに必要な、プローブ1のX方向
の移動パターン(例えば、周波数あるいは速度、振幅、
オフセット(移動範囲の基準位置)等)及びY方向の移
動パターン(例えば、周波数あるいは速度、振幅、オフ
セット(移動範囲の基準位置)等)を示すデータを、測
定開始指令と共にDSP59に供給する。
【0047】前記測定開始指令がDSP59に供給され
ると、試料表面の形状データを得るいわば本測定に先立
って、変位計測を行う(ステップS2)。すなわち、ス
テップS2において、DSP59は、当該測定開始指令
と共に受け取ったプローブ1のX方向及びY方向の移動
パターンを示すデータに基づいて、当該移動パターンに
応じた駆動信号(印加電圧)をD/A変換器62,63
及び駆動回路65を介してX方向駆動用圧電素子6及び
Y方向駆動用圧電素子7にそれぞれ与え、パーソナルコ
ンピュータ60により指示された移動パターンに近い移
動パターンでプローブ1をX方向及びY方向に移動させ
る。このとき、DSP59は、各圧電素子6,7への各
印加電圧の大きさ(すなわち、DSP59からD/A変
換器62,63へそれぞれ供給した移動指令値に相当)
に応じたプローブ1のX方向及びY方向の変位の計測値
をA/D変換器55,56から取り込み、DSP59の
内部のメモリ(図示せず)に格納する。
ると、試料表面の形状データを得るいわば本測定に先立
って、変位計測を行う(ステップS2)。すなわち、ス
テップS2において、DSP59は、当該測定開始指令
と共に受け取ったプローブ1のX方向及びY方向の移動
パターンを示すデータに基づいて、当該移動パターンに
応じた駆動信号(印加電圧)をD/A変換器62,63
及び駆動回路65を介してX方向駆動用圧電素子6及び
Y方向駆動用圧電素子7にそれぞれ与え、パーソナルコ
ンピュータ60により指示された移動パターンに近い移
動パターンでプローブ1をX方向及びY方向に移動させ
る。このとき、DSP59は、各圧電素子6,7への各
印加電圧の大きさ(すなわち、DSP59からD/A変
換器62,63へそれぞれ供給した移動指令値に相当)
に応じたプローブ1のX方向及びY方向の変位の計測値
をA/D変換器55,56から取り込み、DSP59の
内部のメモリ(図示せず)に格納する。
【0048】ここで、このステップS2の変位計測につ
いて、図5(a)を参照して具体的に説明する。図5
(a)は、圧電素子6の印加電圧と変位との関係を示す
図である。図5(a)において、大きなヒステリシス曲
線100は、圧電素子6に印加電圧をかけない状態と印
加可能な最大電圧を印加した状態との間で所定周波数で
電圧の大きさを大きくしていったり小さくしていったり
した場合のヒステリシス曲線を示す。図5(a)におい
て、小さなヒステリシス曲線101は、任意のオフセッ
ト及び任意の振幅を有する任意の印加電圧範囲の印加電
圧を周期的に任意の周波数で印加した場合のヒステリシ
ス曲線を示す。ヒステリシス曲線101において、最小
印加電圧及び最大印加電圧をそれぞれVmin及びVm
axとし、これらにそれぞれ対応して得られる圧電素子
6の変位をそれぞれDmin及びDmaxとする。今、
パーソナルコンピュータ60から指示されたプローブ1
のX方向の走査範囲がDmin〜Dmaxであるとする
と、前記ステップS2では、この範囲Dmin〜Dma
xの変位がほぼ得られるであろう印加電圧範囲(すなわ
ち、電圧範囲Vmin〜Vmaxに近い電圧範囲)の印
加電圧を、パーソナルコンピュータ60により指示され
た周波数で圧電素子6に印加するように、DSP59は
移動指令値をD/A変換器62に与えていく。このと
き、前述したように、DSP59は、圧電素子6への各
印加電圧の大きさ(すなわち、DSP59からD/A変
換器62へ供給した移動指令値に相当)に応じたプロー
ブ1のX方向の変位の計測値をA/D変換器55から計
測結果として取り込み、DSP59の内部のメモリ(図
示せず)に格納する。図5(a)には、その計測結果を
計測点として×印102で示している。前述した変位計
測部のノイズのため、測定結果を示す×印102は、本
来のヒステリシス曲線102からばらついている。以上
の説明では、X方向駆動用の圧電素子6に関して説明し
たが、Y方向駆動用の圧電素子7についても同様であ
る。
いて、図5(a)を参照して具体的に説明する。図5
(a)は、圧電素子6の印加電圧と変位との関係を示す
図である。図5(a)において、大きなヒステリシス曲
線100は、圧電素子6に印加電圧をかけない状態と印
加可能な最大電圧を印加した状態との間で所定周波数で
電圧の大きさを大きくしていったり小さくしていったり
した場合のヒステリシス曲線を示す。図5(a)におい
て、小さなヒステリシス曲線101は、任意のオフセッ
ト及び任意の振幅を有する任意の印加電圧範囲の印加電
圧を周期的に任意の周波数で印加した場合のヒステリシ
ス曲線を示す。ヒステリシス曲線101において、最小
印加電圧及び最大印加電圧をそれぞれVmin及びVm
axとし、これらにそれぞれ対応して得られる圧電素子
6の変位をそれぞれDmin及びDmaxとする。今、
パーソナルコンピュータ60から指示されたプローブ1
のX方向の走査範囲がDmin〜Dmaxであるとする
と、前記ステップS2では、この範囲Dmin〜Dma
xの変位がほぼ得られるであろう印加電圧範囲(すなわ
ち、電圧範囲Vmin〜Vmaxに近い電圧範囲)の印
加電圧を、パーソナルコンピュータ60により指示され
た周波数で圧電素子6に印加するように、DSP59は
移動指令値をD/A変換器62に与えていく。このと
き、前述したように、DSP59は、圧電素子6への各
印加電圧の大きさ(すなわち、DSP59からD/A変
換器62へ供給した移動指令値に相当)に応じたプロー
ブ1のX方向の変位の計測値をA/D変換器55から計
測結果として取り込み、DSP59の内部のメモリ(図
示せず)に格納する。図5(a)には、その計測結果を
計測点として×印102で示している。前述した変位計
測部のノイズのため、測定結果を示す×印102は、本
来のヒステリシス曲線102からばらついている。以上
の説明では、X方向駆動用の圧電素子6に関して説明し
たが、Y方向駆動用の圧電素子7についても同様であ
る。
【0049】再び図4を参照すると、前記ステップS2
が終了した後、DSP59は、ステップS2で各圧電素
子6,7に関して得られた計測結果から、圧電素子6の
印加電圧とプローブ1のX方向の変位(すなわち、圧電
素子6の変位)との関係を示す近似式及び圧電素子7の
印加電圧とプローブ1のY方向の変位(すなわち、圧電
素子7の変位)との関係を示す近似式を算出する(ステ
ップS3)。圧電素子6に関して説明すると、例えば、
DSP59は、前述した図5(a)中の×印で示す各計
測点に対し圧電素子6が伸びていく場合(印加電圧を大
きくしていく場合)と縮んでいく場合(印加電圧を小さ
くしていく場合)のそれぞれの場合においてフィッティ
ングした各2次曲線を、近似式として最小二乗法により
算出する。これらの2次曲線のうちの圧電素子6が伸び
ていく場合の計測点に対してフィッティングした2次曲
線D=f(V)を図5(b)に示す。圧電素子7に関し
ても以上の説明と同様である。なお、この例では、ヒス
テリシス曲線を2次曲線により近似したが、例えば、3
次曲線、4次曲線や更に次数の高い曲線などで近似して
もよい。
が終了した後、DSP59は、ステップS2で各圧電素
子6,7に関して得られた計測結果から、圧電素子6の
印加電圧とプローブ1のX方向の変位(すなわち、圧電
素子6の変位)との関係を示す近似式及び圧電素子7の
印加電圧とプローブ1のY方向の変位(すなわち、圧電
素子7の変位)との関係を示す近似式を算出する(ステ
ップS3)。圧電素子6に関して説明すると、例えば、
DSP59は、前述した図5(a)中の×印で示す各計
測点に対し圧電素子6が伸びていく場合(印加電圧を大
きくしていく場合)と縮んでいく場合(印加電圧を小さ
くしていく場合)のそれぞれの場合においてフィッティ
ングした各2次曲線を、近似式として最小二乗法により
算出する。これらの2次曲線のうちの圧電素子6が伸び
ていく場合の計測点に対してフィッティングした2次曲
線D=f(V)を図5(b)に示す。圧電素子7に関し
ても以上の説明と同様である。なお、この例では、ヒス
テリシス曲線を2次曲線により近似したが、例えば、3
次曲線、4次曲線や更に次数の高い曲線などで近似して
もよい。
【0050】前記ステップS3が終了した後、DSP5
9は、ステップS1においてパーソナルコンピュータ6
0から指示された移動パターンを実現するための、X方
向及びY方向用の駆動信号(印加電圧)(厳密に言え
ば、D/A変換器62,63に供給すべき移動指令値)
を、ステップS3で求めた近似式から算出する(ステッ
プS4)。圧電素子6が伸びていく場合について説明す
ると、DSP59は、前記移動パターンを実現するため
のX方向のプローブ1の変位(圧電素子6の変位)が図
5(b)中の変位D1,D2,D3,D4(図示の例で
は、それぞれの間隔は一定)である場合には、これらの
変位D1,D2,D3,D4をもたらす印加電圧V1,
V2,V3,V4を前記近似式D=f(V)を解くこと
により求める。この関数を解く方法としては、解の公式
を使って簡単に求めることができる。もっとも、ヒステ
リシス曲線を高次の曲線で近似した場合、解の公式を用
いるより、ニュートン法により数値計算により求めた方
が計算が速い場合、例えば、ニュートン法を用いて印加
電圧を求めてもよい。図5(b)に示す例では、変位D
の間隔はD1からD4まで一定であるが、これに対し、
その変位を生じさせる印加電圧V1からV4までの印加
電圧Vの間隔はだんだん狭くなっていっているのが分か
る。なお、圧電素子6を縮ませる場合には、ステップS
3において圧電素子6が縮んでいく場合の計測点より求
めた近似式から、前述と同様にして印加電圧を求めれば
よい。圧電素子7に関しても以上の説明と同様である。
9は、ステップS1においてパーソナルコンピュータ6
0から指示された移動パターンを実現するための、X方
向及びY方向用の駆動信号(印加電圧)(厳密に言え
ば、D/A変換器62,63に供給すべき移動指令値)
を、ステップS3で求めた近似式から算出する(ステッ
プS4)。圧電素子6が伸びていく場合について説明す
ると、DSP59は、前記移動パターンを実現するため
のX方向のプローブ1の変位(圧電素子6の変位)が図
5(b)中の変位D1,D2,D3,D4(図示の例で
は、それぞれの間隔は一定)である場合には、これらの
変位D1,D2,D3,D4をもたらす印加電圧V1,
V2,V3,V4を前記近似式D=f(V)を解くこと
により求める。この関数を解く方法としては、解の公式
を使って簡単に求めることができる。もっとも、ヒステ
リシス曲線を高次の曲線で近似した場合、解の公式を用
いるより、ニュートン法により数値計算により求めた方
が計算が速い場合、例えば、ニュートン法を用いて印加
電圧を求めてもよい。図5(b)に示す例では、変位D
の間隔はD1からD4まで一定であるが、これに対し、
その変位を生じさせる印加電圧V1からV4までの印加
電圧Vの間隔はだんだん狭くなっていっているのが分か
る。なお、圧電素子6を縮ませる場合には、ステップS
3において圧電素子6が縮んでいく場合の計測点より求
めた近似式から、前述と同様にして印加電圧を求めれば
よい。圧電素子7に関しても以上の説明と同様である。
【0051】以上説明したステップS2〜S4は本測定
に先立って行われる準備段階であるが、この準備段階が
終了すると、本測定が行われる(ステップS5)。本実
施の形態では、いわゆるコンタクトモードにより本測定
を行う。なお、本発明では、本測定の測定モードはコン
タクトモードに限定されるものではないことは言うまで
もない。具体的には、本実施の形態では、DSP59
は、ステップS4で求めたX方向及びY方向用の駆動信
号(印加電圧)を圧電素子6,7にそれぞれ印加して、
ステップS1においてパーソナルコンピュータ60から
指示された移動パターンを実現することによって、プロ
ーブ1を試料表面に対してXY平面内で走査しながら、
A/D変換器58からプローブ1の撓み検出信号に基づ
いてこの検出信号が一定となるようにD/A変換器64
及び駆動回路65を介してZ方向駆動用の圧電素子8に
駆動信号を与える。このとき、DSP59は、各X方向
及びY方向の駆動信号に対応する移動指令値と、これに
対応してA/D変換器58から得られたZ方向の変位の
計測値(Z方向の駆動信号に対応する移動指令値でもよ
い。)とを互いに関連付けて、試料表面の形状データと
してDSP59の内部のメモリに格納する。この形状デ
ータは、パーソナルコンピュータ60に取り込まれ、表
示装置61により画像表示される。
に先立って行われる準備段階であるが、この準備段階が
終了すると、本測定が行われる(ステップS5)。本実
施の形態では、いわゆるコンタクトモードにより本測定
を行う。なお、本発明では、本測定の測定モードはコン
タクトモードに限定されるものではないことは言うまで
もない。具体的には、本実施の形態では、DSP59
は、ステップS4で求めたX方向及びY方向用の駆動信
号(印加電圧)を圧電素子6,7にそれぞれ印加して、
ステップS1においてパーソナルコンピュータ60から
指示された移動パターンを実現することによって、プロ
ーブ1を試料表面に対してXY平面内で走査しながら、
A/D変換器58からプローブ1の撓み検出信号に基づ
いてこの検出信号が一定となるようにD/A変換器64
及び駆動回路65を介してZ方向駆動用の圧電素子8に
駆動信号を与える。このとき、DSP59は、各X方向
及びY方向の駆動信号に対応する移動指令値と、これに
対応してA/D変換器58から得られたZ方向の変位の
計測値(Z方向の駆動信号に対応する移動指令値でもよ
い。)とを互いに関連付けて、試料表面の形状データと
してDSP59の内部のメモリに格納する。この形状デ
ータは、パーソナルコンピュータ60に取り込まれ、表
示装置61により画像表示される。
【0052】なお、前述した図5(b)に示す例では、
前述したように、ステップS4において、圧電素子6が
伸びて行く場合に関して変位D1からD4まで変位Dの
間隔が一定である変位D1〜D4に対してこれらをもた
らす印加電圧V1〜V4を求めている。このため、ステ
ップS5において、これらの印加電圧V1〜V4を圧電
素子6に順に印加することにより、印加電圧を非線型に
圧電素子6に印加して、プローブ1をD1からD4まで
の距離をリニアに駆動することができる。
前述したように、ステップS4において、圧電素子6が
伸びて行く場合に関して変位D1からD4まで変位Dの
間隔が一定である変位D1〜D4に対してこれらをもた
らす印加電圧V1〜V4を求めている。このため、ステ
ップS5において、これらの印加電圧V1〜V4を圧電
素子6に順に印加することにより、印加電圧を非線型に
圧電素子6に印加して、プローブ1をD1からD4まで
の距離をリニアに駆動することができる。
【0053】以上説明したように、本実施の形態によれ
ば、本測定(ステップS5)の度に、当該本測定に先立
って、当該本測定において行おうとする所望の移動パタ
ーンに近い移動パターンでプローブ1がX方向及びY方
向に移動され、圧電素子6,7に印加した駆動信号に応
じたプローブ1の相対的な変位が計測され(ステップS
2)、この計測に基づいて、駆動信号とプローブ1の変
位との関係を示す近似式が求められ(ステップS3)、
この近似式から求めた前記所望の移動パターンを実現す
るための駆動信号が求められる(ステップS4)。そし
て、当該本測定(ステップS5)においては、前記近似
式から求めた前記所望の移動パターンを実現するための
駆動信号が圧電素子6,7に供給される。このため、本
実施の形態によれば、圧電素子6,7が、ヒステリシス
を持っていたり、駆動信号の振幅や、駆動信号のオフセ
ットや、経年変化や、駆動信号の周波数や、それまでに
供給した駆動信号の履歴などにより、変位が異なる特性
を持っているにも関わらず、本測定(ステップS5)に
おいてこれらの影響のない試料表面の形状データを得る
ことができる。そして、本実施の形態によれば、計測し
たプローブ1の変位を本測定において直接圧電素子6,
7の制御に用いるのではなく、計測したプローブ1の変
位から一旦前記近似式を求め、この近似式を基づいて圧
電素子6,7を制御している。このため、試料表面の狭
い範囲を観察する場合のように、変位計測部のノイズに
起因して生ずる図5(a)中の×印102のような変位
計測点のバラツキが大きくなるであっても、本測定にお
いて制御が不安定になるようなことがなく、プローブ1
を滑らかに駆動することができ、ノイズのない試料表面
の形状データを得ることができる。
ば、本測定(ステップS5)の度に、当該本測定に先立
って、当該本測定において行おうとする所望の移動パタ
ーンに近い移動パターンでプローブ1がX方向及びY方
向に移動され、圧電素子6,7に印加した駆動信号に応
じたプローブ1の相対的な変位が計測され(ステップS
2)、この計測に基づいて、駆動信号とプローブ1の変
位との関係を示す近似式が求められ(ステップS3)、
この近似式から求めた前記所望の移動パターンを実現す
るための駆動信号が求められる(ステップS4)。そし
て、当該本測定(ステップS5)においては、前記近似
式から求めた前記所望の移動パターンを実現するための
駆動信号が圧電素子6,7に供給される。このため、本
実施の形態によれば、圧電素子6,7が、ヒステリシス
を持っていたり、駆動信号の振幅や、駆動信号のオフセ
ットや、経年変化や、駆動信号の周波数や、それまでに
供給した駆動信号の履歴などにより、変位が異なる特性
を持っているにも関わらず、本測定(ステップS5)に
おいてこれらの影響のない試料表面の形状データを得る
ことができる。そして、本実施の形態によれば、計測し
たプローブ1の変位を本測定において直接圧電素子6,
7の制御に用いるのではなく、計測したプローブ1の変
位から一旦前記近似式を求め、この近似式を基づいて圧
電素子6,7を制御している。このため、試料表面の狭
い範囲を観察する場合のように、変位計測部のノイズに
起因して生ずる図5(a)中の×印102のような変位
計測点のバラツキが大きくなるであっても、本測定にお
いて制御が不安定になるようなことがなく、プローブ1
を滑らかに駆動することができ、ノイズのない試料表面
の形状データを得ることができる。
【0054】また、本実施の形態では、ステップS5の
本測定においては、予めステップS4で算出した駆動信
号を圧電素子6,7に印加している。このため、前述し
た従来の第2の技術のように圧電素子の変位に対しフィ
ードバックをかけて圧電素子をリニアに駆動する方式に
比べてプローブ1を高速に圧電素子6,7を駆動するこ
とができる。すなわち、圧電素子の変位に対しフィード
バックをかけて圧電素子をリニアに駆動する従来の方式
では、各駆動ごとに圧電素子の変位の目標変位とのずれ
を圧電素子にフィードバックしなければならない。その
ため、フィードバック用の回路が必要であり、また、デ
ジタルサーボを行う場合、フィードバック量を計算しな
ければならず、CPUの負荷が増大し、高速な圧電素子
の駆動が困難である。これに対し、本実施の形態では、
ステップS5の本測定においては、予めステップS4で
算出した駆動信号を圧電素子6,7に印加しているの
で、圧電素子6,7を高速に駆動することができる。
本測定においては、予めステップS4で算出した駆動信
号を圧電素子6,7に印加している。このため、前述し
た従来の第2の技術のように圧電素子の変位に対しフィ
ードバックをかけて圧電素子をリニアに駆動する方式に
比べてプローブ1を高速に圧電素子6,7を駆動するこ
とができる。すなわち、圧電素子の変位に対しフィード
バックをかけて圧電素子をリニアに駆動する従来の方式
では、各駆動ごとに圧電素子の変位の目標変位とのずれ
を圧電素子にフィードバックしなければならない。その
ため、フィードバック用の回路が必要であり、また、デ
ジタルサーボを行う場合、フィードバック量を計算しな
ければならず、CPUの負荷が増大し、高速な圧電素子
の駆動が困難である。これに対し、本実施の形態では、
ステップS5の本測定においては、予めステップS4で
算出した駆動信号を圧電素子6,7に印加しているの
で、圧電素子6,7を高速に駆動することができる。
【0055】なお、本実施の形態では、ステップS4の
駆動信号の算出をステップS5の本測定に先立って行っ
ているが、ステップS5において駆動信号の算出を行い
ながら本測定を行うことも可能である。
駆動信号の算出をステップS5の本測定に先立って行っ
ているが、ステップS5において駆動信号の算出を行い
ながら本測定を行うことも可能である。
【0056】また、本実施の形態では、X方向駆動用及
びY方向駆動用の圧電素子6,7の両方に関してステッ
プS2〜S4を行っているが、本実施の形態では、圧電
素子6,7のうちの一方のみにステップS2〜S5を適
用し、他方の圧電素子に関しては本測定において従来の
通常の原子間力顕微鏡における駆動を行ってもよい。
びY方向駆動用の圧電素子6,7の両方に関してステッ
プS2〜S4を行っているが、本実施の形態では、圧電
素子6,7のうちの一方のみにステップS2〜S5を適
用し、他方の圧電素子に関しては本測定において従来の
通常の原子間力顕微鏡における駆動を行ってもよい。
【0057】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡について、図
6乃至図10を参照して説明する。
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡について、図
6乃至図10を参照して説明する。
【0058】図6は、本実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡を示す概略構成図である。図7は、そのプロー
ブ200の部分を拡大した概略斜視図である。図8は、
そのプローブ200のねじれ振動の様子を示す概念斜視
図であり、図8(a)は探針部先端が相互作用を受けて
いない状態を示す図、図8(b)は探針部先端が相互作
用を受けている状態を示す図である。図6において、図
1乃至図3中の要素と同一又は対応する要素には同一符
号を付し、その重複した説明は省略する。
ブ顕微鏡を示す概略構成図である。図7は、そのプロー
ブ200の部分を拡大した概略斜視図である。図8は、
そのプローブ200のねじれ振動の様子を示す概念斜視
図であり、図8(a)は探針部先端が相互作用を受けて
いない状態を示す図、図8(b)は探針部先端が相互作
用を受けている状態を示す図である。図6において、図
1乃至図3中の要素と同一又は対応する要素には同一符
号を付し、その重複した説明は省略する。
【0059】本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡
は、原子間力顕微鏡として構成されているが、プローブ
200に作用する力を検出し、当該検出された力に基づ
いて、プローブ200のX方向及びZ方向への移動を制
御するように、構成されている。
は、原子間力顕微鏡として構成されているが、プローブ
200に作用する力を検出し、当該検出された力に基づ
いて、プローブ200のX方向及びZ方向への移動を制
御するように、構成されている。
【0060】本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡
が前述した第1の実施の形態による走査型プローブ顕微
鏡と異なる所は、プローブ1に代えてプローブ200が
用いられている点、プローブ200にねじれ振動を励振
する圧電振動子210が追加されている点、圧電振動子
210に励振信号を供給する発振回路220が追加され
ている点、信号処理回路54とA/D変換器58との間
にロックインアンプ230が追加されている点、光源9
及び2分割フォトディテクタ10が2軸平行ばね3の先
端(自由端)に固定されたミラー215を介してプロー
ブ200のミラー部201に光を照射しその反射光を受
光するようになっている点、及び、DSP59の動作で
ある。
が前述した第1の実施の形態による走査型プローブ顕微
鏡と異なる所は、プローブ1に代えてプローブ200が
用いられている点、プローブ200にねじれ振動を励振
する圧電振動子210が追加されている点、圧電振動子
210に励振信号を供給する発振回路220が追加され
ている点、信号処理回路54とA/D変換器58との間
にロックインアンプ230が追加されている点、光源9
及び2分割フォトディテクタ10が2軸平行ばね3の先
端(自由端)に固定されたミラー215を介してプロー
ブ200のミラー部201に光を照射しその反射光を受
光するようになっている点、及び、DSP59の動作で
ある。
【0061】まず、プローブ200について説明する。
プローブ200は、図7及び図8に示すように、プロー
ブ200は、反射面を有するミラー部201と、探針部
202と、ねじれ部203と、支持体204とを備えて
いる。本実施の形態では探針部202の先端は曲がって
いないが、探針部202の先端を少し曲げ、試料表面に
ほぼ垂直に切り立った側壁がある場合にも、その側壁と
探針部202先端との相互作用が検出し易くなるように
してもよい。
プローブ200は、図7及び図8に示すように、プロー
ブ200は、反射面を有するミラー部201と、探針部
202と、ねじれ部203と、支持体204とを備えて
いる。本実施の形態では探針部202の先端は曲がって
いないが、探針部202の先端を少し曲げ、試料表面に
ほぼ垂直に切り立った側壁がある場合にも、その側壁と
探針部202先端との相互作用が検出し易くなるように
してもよい。
【0062】このプローブ200は、後述する圧電振動
子210によって、図8(a)(b)に示すねじれ方向
207に加振させて用いる。なお、加振させるときの回
転軸は、軸209を中心に回転させる。
子210によって、図8(a)(b)に示すねじれ方向
207に加振させて用いる。なお、加振させるときの回
転軸は、軸209を中心に回転させる。
【0063】図8(a)は、プローブ200の探針部2
02の先端が、試料と相互作用を受けておらず、プロー
ブ200がねじれ共振状態であるときの様子を示してい
る。図8(b)は、プローブ200の探針部202の先
端が、試料と相互作用を受けた時の状態を示している。
なお、図8(a)(b)中の矢印208は、探針部20
2の先端の軌跡を示しており、軸209は、プローブ2
00がねじれ共振にあるときのプローブ200の回転軸
を示している。
02の先端が、試料と相互作用を受けておらず、プロー
ブ200がねじれ共振状態であるときの様子を示してい
る。図8(b)は、プローブ200の探針部202の先
端が、試料と相互作用を受けた時の状態を示している。
なお、図8(a)(b)中の矢印208は、探針部20
2の先端の軌跡を示しており、軸209は、プローブ2
00がねじれ共振にあるときのプローブ200の回転軸
を示している。
【0064】このようにプローブ200は加振を受けて
いるため、プローブ200の一番細い部分であるねじれ
部203が捻れながら、左右に回転する。そのため、ね
じれ部204より先にあるミラー部201と探針部20
2はねじれ共振の状態になり、軸209を中心に周期的
に左右に回転する。この状態を図8(a)に示す。この
ように、プローブ200がねじれ共振にある状態で、探
針部202の先端が試料等からの相互作用を受けると、
例えば試料からのファンデルワールス力などの力を探針
部202の先端が矢印204が示す方向に受けると、探
針先端がその方向に引き寄せられる。この状態を図8
(b)に示す。そうすると、ミラー部201と探針部2
02が回転軸209から外れるため、軸周りの慣性モー
メントが急激に増大する。慣性モーメントが増大する
と、ねじれ方向の共振周波数低くなるため、プローブ2
00自体のねじれ共振状態から外れ、ミラー部201が
軸209を中心に振られる角度範囲は小さくなる。な
お、以降、ミラー部201の振られる角度量をねじれ方
向の振幅と言う。このミラー部201の振幅の減少を検
出することにより、探針部202の先端と試料に存在す
る側壁との距離の変化を検出することができる。また、
プローブ200が試料底面に近づいたときは、試料底面
と探針先端との間にダンピングが働き、同じくプローブ
200のねじれ共振の振幅が減少する。そのことによ
り、探針202の先端と試料底面との距離の変化も検出
することができる。
いるため、プローブ200の一番細い部分であるねじれ
部203が捻れながら、左右に回転する。そのため、ね
じれ部204より先にあるミラー部201と探針部20
2はねじれ共振の状態になり、軸209を中心に周期的
に左右に回転する。この状態を図8(a)に示す。この
ように、プローブ200がねじれ共振にある状態で、探
針部202の先端が試料等からの相互作用を受けると、
例えば試料からのファンデルワールス力などの力を探針
部202の先端が矢印204が示す方向に受けると、探
針先端がその方向に引き寄せられる。この状態を図8
(b)に示す。そうすると、ミラー部201と探針部2
02が回転軸209から外れるため、軸周りの慣性モー
メントが急激に増大する。慣性モーメントが増大する
と、ねじれ方向の共振周波数低くなるため、プローブ2
00自体のねじれ共振状態から外れ、ミラー部201が
軸209を中心に振られる角度範囲は小さくなる。な
お、以降、ミラー部201の振られる角度量をねじれ方
向の振幅と言う。このミラー部201の振幅の減少を検
出することにより、探針部202の先端と試料に存在す
る側壁との距離の変化を検出することができる。また、
プローブ200が試料底面に近づいたときは、試料底面
と探針先端との間にダンピングが働き、同じくプローブ
200のねじれ共振の振幅が減少する。そのことによ
り、探針202の先端と試料底面との距離の変化も検出
することができる。
【0065】前記プローブ200の支持体204は、図
7に示すように、プローブホルダとしてのクリップ21
3により保持されている。クリップ213の上側部分2
13aの上面は、前記回転軸209がZ方向に一致して
支持体204がクリップ213により保持されるよう
に、2軸平行ばね3の先端(自由端)に固定されてい
る。プローブ200にねじれ振動を励振する圧電振動子
210は、支持部材としてのボール211,212と共
にクリップ213に設けられている。なお、図7では、
理解を容易にするため、クリップ213が透明であるか
の如く示している。圧電振動子210は、X方向に伸縮
して振動する。また、振動子210上面及びボール21
1,212の上部はクリップ213の上側部分213a
の下面に固定されている。クリップ213のバネ力によ
って、振動子210及びボール211,212の各下面
がプローブ200の支持体204の上面に接触するとと
もに、クリップ213の下側部分203bの上面がプロ
ーブ200の支持体4の下面に接触し、プローブ200
の支持体204が振動子210及びボール211,21
2の各下面とクリップ213の下側部分213bの上面
との間に挟持されている。振動子2105及びボール2
11,212は、XZ平面と平行な所定面内において、
ボール211を直角の頂点とする直角三角形の、それぞ
れの頂点の位置に配置されている。すなわち、振動子2
10及びボール211はX軸と平行な直線上に配置さ
れ、振動子211及びボール212はZ軸と平行な直線
上に配置されている。したがって、圧電振動子210に
励振信号を与えると、プローブ200は、前述したねじ
れ方向207に励振されることになる。
7に示すように、プローブホルダとしてのクリップ21
3により保持されている。クリップ213の上側部分2
13aの上面は、前記回転軸209がZ方向に一致して
支持体204がクリップ213により保持されるよう
に、2軸平行ばね3の先端(自由端)に固定されてい
る。プローブ200にねじれ振動を励振する圧電振動子
210は、支持部材としてのボール211,212と共
にクリップ213に設けられている。なお、図7では、
理解を容易にするため、クリップ213が透明であるか
の如く示している。圧電振動子210は、X方向に伸縮
して振動する。また、振動子210上面及びボール21
1,212の上部はクリップ213の上側部分213a
の下面に固定されている。クリップ213のバネ力によ
って、振動子210及びボール211,212の各下面
がプローブ200の支持体204の上面に接触するとと
もに、クリップ213の下側部分203bの上面がプロ
ーブ200の支持体4の下面に接触し、プローブ200
の支持体204が振動子210及びボール211,21
2の各下面とクリップ213の下側部分213bの上面
との間に挟持されている。振動子2105及びボール2
11,212は、XZ平面と平行な所定面内において、
ボール211を直角の頂点とする直角三角形の、それぞ
れの頂点の位置に配置されている。すなわち、振動子2
10及びボール211はX軸と平行な直線上に配置さ
れ、振動子211及びボール212はZ軸と平行な直線
上に配置されている。したがって、圧電振動子210に
励振信号を与えると、プローブ200は、前述したねじ
れ方向207に励振されることになる。
【0066】前記発振回路は、DSP59の制御下にお
いて、プローブ200のねじれ共振周波数に近い周波数
を有する励振信号(正弦波信号)を圧電振動子210に
与えるとともに、当該励振信号を参照信号としてロック
インアンプ230に与える。これにより、プローブ20
0にはねじれ共振が励起される。
いて、プローブ200のねじれ共振周波数に近い周波数
を有する励振信号(正弦波信号)を圧電振動子210に
与えるとともに、当該励振信号を参照信号としてロック
インアンプ230に与える。これにより、プローブ20
0にはねじれ共振が励起される。
【0067】前記光源9、2分割フォトディテクタ10
及びミラーが、プローブ200のミラー部201の変位
を検出する検出部を構成している。光源9からの光は、
ミラー215で反射されることで、プローブ200のミ
ラー部201に照射される。そして、ミラー部201を
反射した光は、再びミラー215により反射されて、2
分割フォトディテクタ10に入射される。この2分割フ
ォトディテクタ10により入射した光スポットの位置の
変化を検出することで、ミラー部201の反射面の角度
の変位量を検出する。このミラー201の反射面の角度
の変位量がプローブ200のねじれ方向の振幅となる。
及びミラーが、プローブ200のミラー部201の変位
を検出する検出部を構成している。光源9からの光は、
ミラー215で反射されることで、プローブ200のミ
ラー部201に照射される。そして、ミラー部201を
反射した光は、再びミラー215により反射されて、2
分割フォトディテクタ10に入射される。この2分割フ
ォトディテクタ10により入射した光スポットの位置の
変化を検出することで、ミラー部201の反射面の角度
の変位量を検出する。このミラー201の反射面の角度
の変位量がプローブ200のねじれ方向の振幅となる。
【0068】前記信号処理回路54は、2分割フォトデ
ィテクタ10の受光面の2つの領域からの出力信号をそ
れぞれ増幅して両者の差を示す信号(すなわち、プロー
ブ200のねじれ振動の状態を示す信号)を出力する。
前記ロックインアンプ230は、信号処理回路54から
の信号の周波数成分のうち、発振回路220から振動子
210に与えられた励振信号の周波数と同じ周波数成分
の振幅に比例したレベルの信号(ねじれ振動の振幅信
号)を出力する。この信号は、A/D変換器58により
A/D変換されて前記DSP59に供給される。このよ
うにして、DSP59には、プローブ200のねじれ振
動の振幅の検出値、すなわち、プローブ1に作用する力
を示す値が、A/D変換器58から入力される。
ィテクタ10の受光面の2つの領域からの出力信号をそ
れぞれ増幅して両者の差を示す信号(すなわち、プロー
ブ200のねじれ振動の状態を示す信号)を出力する。
前記ロックインアンプ230は、信号処理回路54から
の信号の周波数成分のうち、発振回路220から振動子
210に与えられた励振信号の周波数と同じ周波数成分
の振幅に比例したレベルの信号(ねじれ振動の振幅信
号)を出力する。この信号は、A/D変換器58により
A/D変換されて前記DSP59に供給される。このよ
うにして、DSP59には、プローブ200のねじれ振
動の振幅の検出値、すなわち、プローブ1に作用する力
を示す値が、A/D変換器58から入力される。
【0069】前記DSP59は、基本的には、発振回路
220を介して振動子210を励振し、また、A/D変
換器58からのねじれ振動の振幅の検出値に基づいて、
D/A変換器62,63,64及び駆動回路65を介し
てX,Y,Z方向用圧電素子6,7,8にそれぞれ駆動
信号を与え、プローブ200の試料表面に対する相対的
な移動を制御する。そして、DSP59は、この際に、
A/D変換器55,56,57から得られたプローブ2
00のX方向、Y方向及びZ方向の変位を、試料表面の
形状を示すデータとして、DSP59内のメモリ(図示
せず)に記憶する。
220を介して振動子210を励振し、また、A/D変
換器58からのねじれ振動の振幅の検出値に基づいて、
D/A変換器62,63,64及び駆動回路65を介し
てX,Y,Z方向用圧電素子6,7,8にそれぞれ駆動
信号を与え、プローブ200の試料表面に対する相対的
な移動を制御する。そして、DSP59は、この際に、
A/D変換器55,56,57から得られたプローブ2
00のX方向、Y方向及びZ方向の変位を、試料表面の
形状を示すデータとして、DSP59内のメモリ(図示
せず)に記憶する。
【0070】DSP59の前記メモリ内の前記データ
は、パーソナルコンピュータ60に取り込まれ、表示装
置61により画像表示される。
は、パーソナルコンピュータ60に取り込まれ、表示装
置61により画像表示される。
【0071】本実施の形態では、DSP59は、発振回
路220を介して振動子210を励振させつつ、各Y方
向位置におけるXZ平面と平行な各面内において、当該
面内の方向であって、ねじれ振動の振幅が一定となるよ
うな方向に、プローブ200が移動するように、A/D
変換器58からのねじれ振動の振幅の検出値に基づい
て、D/A変換器62,63,64及び駆動回路65を
介してX,Y,Z方向用圧電素子6,7,8にそれぞれ
駆動信号を与え、プローブ200の試料表面に対する相
対的な移動を制御する。すなわち、A/D変換器58か
らのねじれ振動の振幅の検出値は、DSP59により絶
えずプローブ1のXZ平面と平行な面内における移動方
向にフィードバックされる。
路220を介して振動子210を励振させつつ、各Y方
向位置におけるXZ平面と平行な各面内において、当該
面内の方向であって、ねじれ振動の振幅が一定となるよ
うな方向に、プローブ200が移動するように、A/D
変換器58からのねじれ振動の振幅の検出値に基づい
て、D/A変換器62,63,64及び駆動回路65を
介してX,Y,Z方向用圧電素子6,7,8にそれぞれ
駆動信号を与え、プローブ200の試料表面に対する相
対的な移動を制御する。すなわち、A/D変換器58か
らのねじれ振動の振幅の検出値は、DSP59により絶
えずプローブ1のXZ平面と平行な面内における移動方
向にフィードバックされる。
【0072】ここで、このようなDSP59の動作の一
具体例について、図9を参照して説明する。図9は、本
実施の形態におけるDSP59の動作の一例を示す概略
フローチャートである。
具体例について、図9を参照して説明する。図9は、本
実施の形態におけるDSP59の動作の一例を示す概略
フローチャートである。
【0073】まず、DSP59は、オートチューニング
動作を行う(ステップS11)。すなわち、DSP59
は、発振回路220を作動させてその励振周波数を変化
させつつ、A/D変換器58からの信号を得、このデー
タに基づいて以後の動作において使用する励振周波数を
自動的に決定する。本実施の形態では、以後の動作にお
いては、DSP59は、この決定した励振周波数で発振
回路220を作動させ続ける。
動作を行う(ステップS11)。すなわち、DSP59
は、発振回路220を作動させてその励振周波数を変化
させつつ、A/D変換器58からの信号を得、このデー
タに基づいて以後の動作において使用する励振周波数を
自動的に決定する。本実施の形態では、以後の動作にお
いては、DSP59は、この決定した励振周波数で発振
回路220を作動させ続ける。
【0074】次に、DSP59は、予め定めたY方向位
置及びX方向位置において、プローブ200が試料表面
から十分に離れたZ方向位置からZ方向に移動して試料
に近接していくように、駆動指令を発生してプローブ2
00をZ方向に移動させていく。そして、DSP59
は、A/D変換器58からのねじれ振動の振幅の検出値
が所定の目標値になったときに、駆動指令を停止し、探
針部2の試料への接近を止める(ステップS12)。
置及びX方向位置において、プローブ200が試料表面
から十分に離れたZ方向位置からZ方向に移動して試料
に近接していくように、駆動指令を発生してプローブ2
00をZ方向に移動させていく。そして、DSP59
は、A/D変換器58からのねじれ振動の振幅の検出値
が所定の目標値になったときに、駆動指令を停止し、探
針部2の試料への接近を止める(ステップS12)。
【0075】以上のステップS11,S12がいわば測
定の準備段階である。
定の準備段階である。
【0076】その後、DSP59は、現時点で得られて
いる最新の探針駆動ベクトルに従った駆動指令を発生
し、当該探針駆動ベクトルに従ってプローブ200を移
動させる(ステップS13)。探針駆動ベクトルは、1
ステップの駆動により、現時点の位置から移動させるべ
き次の時点の位置までの、XZ平面と平行な面内におけ
る方向と移動距離を示すベクトルである。したがって、
ステップS13では、当該探針駆動ベクトルのX成分が
示す距離だけ探針部2をX方向に移動させるとともに、
当該探針駆動ベクトルのZ成分が示す距離だけ探針部2
をZ方向に移動させることとなる。ステップS12から
ステップS13に最初に移行し場合には、未だ後述する
ステップS14,S15,S16を経ておらずに探針駆
動ベクトルが得られていないので、本実施の形態では、
初期の探針駆動ベクトルとしてX成分が所定値でZ成分
がゼロのベクトルを用いる。すなわち、最初にステップ
S13に移行した際には、プローブ200をZ方向に移
動させることなく、X方向に所定距離移動させる。もっ
とも、初期の探針駆動ベクトルはこのようなベクトルに
限定されるものではなく、任意のベクトルを採用するこ
とができる。本実施の形態では、探針駆動ベクトルの長
さ(1ステップの駆動により移動させる距離)は常に一
定とし、その方向のみを制御することとしている。
いる最新の探針駆動ベクトルに従った駆動指令を発生
し、当該探針駆動ベクトルに従ってプローブ200を移
動させる(ステップS13)。探針駆動ベクトルは、1
ステップの駆動により、現時点の位置から移動させるべ
き次の時点の位置までの、XZ平面と平行な面内におけ
る方向と移動距離を示すベクトルである。したがって、
ステップS13では、当該探針駆動ベクトルのX成分が
示す距離だけ探針部2をX方向に移動させるとともに、
当該探針駆動ベクトルのZ成分が示す距離だけ探針部2
をZ方向に移動させることとなる。ステップS12から
ステップS13に最初に移行し場合には、未だ後述する
ステップS14,S15,S16を経ておらずに探針駆
動ベクトルが得られていないので、本実施の形態では、
初期の探針駆動ベクトルとしてX成分が所定値でZ成分
がゼロのベクトルを用いる。すなわち、最初にステップ
S13に移行した際には、プローブ200をZ方向に移
動させることなく、X方向に所定距離移動させる。もっ
とも、初期の探針駆動ベクトルはこのようなベクトルに
限定されるものではなく、任意のベクトルを採用するこ
とができる。本実施の形態では、探針駆動ベクトルの長
さ(1ステップの駆動により移動させる距離)は常に一
定とし、その方向のみを制御することとしている。
【0077】次に、DSP59は、A/D変換器58か
らのねじれ振動の振幅の検出値を取り込み、ねじれ振動
の振幅の検出値とその振幅の所定の目標値との偏差ΔA
rを算出する(ステップS14)。
らのねじれ振動の振幅の検出値を取り込み、ねじれ振動
の振幅の検出値とその振幅の所定の目標値との偏差ΔA
rを算出する(ステップS14)。
【0078】すなわち、DSP59は、ステップS14
において、まず、下記の数1によって、前記偏差ΔAr
から、サーボ角(すなわち、プローブ200のXZ平面
と平行な当該面内の移動方向の補正量)θを求める。つ
まり、前記偏差ΔArに所定のゲイン(所定係数)Gr
を乗算した値のアークタンジェントにより求めた角度
を、サーボ角θとする。
において、まず、下記の数1によって、前記偏差ΔAr
から、サーボ角(すなわち、プローブ200のXZ平面
と平行な当該面内の移動方向の補正量)θを求める。つ
まり、前記偏差ΔArに所定のゲイン(所定係数)Gr
を乗算した値のアークタンジェントにより求めた角度
を、サーボ角θとする。
【0079】
【数1】θ=ArcTan(Gr・ΔAr)
【0080】次に、DSP59は、ステップS15にお
いて、ベクトルの回転の行列を計算することにより、現
時点で得られている最新の探針駆動ベクトルを前記サー
ボ角θだけ回転して新たな探針駆動ベクトルを求める。
いて、ベクトルの回転の行列を計算することにより、現
時点で得られている最新の探針駆動ベクトルを前記サー
ボ角θだけ回転して新たな探針駆動ベクトルを求める。
【0081】ステップS15の後に、DSP26は、A
/D変換器55,56,57から現時点で得られたX方
向、Y方向及びZ方向の計測値を、試料表面の形状デー
タとして、当該DSP59内のメモリに記憶する(ステ
ップS16)。
/D変換器55,56,57から現時点で得られたX方
向、Y方向及びZ方向の計測値を、試料表面の形状デー
タとして、当該DSP59内のメモリに記憶する(ステ
ップS16)。
【0082】ステップS16が終了すると、ステップS
13に戻り、ステップS13〜S16の動作を繰り返
す。
13に戻り、ステップS13〜S16の動作を繰り返
す。
【0083】図9においては省略しているが、ステップ
S13〜S16を繰り返すことにより、プローブ200
がX方向の所定の位置まで到達すると(すなわち、探針
がX方向の所定の範囲をトレースすると)、DSP59
は、プローブ200をY方向に所定距離移動させる移動
指令を発生し、その後、当該Y方向位置におけるXZ平
面内において、ステップS13〜S16を繰り返し、こ
れらの動作を繰り返してXY平面における所定の2次元
の範囲について探針部2を移動させる。これにより、測
定が完了する。このように、本実施の形態では、各Y方
向位置においてステップS13〜16を繰り返すが、場
合によっては、1つのY方向位置においてのみステップ
S13〜S16を繰り返すだけでもよい。
S13〜S16を繰り返すことにより、プローブ200
がX方向の所定の位置まで到達すると(すなわち、探針
がX方向の所定の範囲をトレースすると)、DSP59
は、プローブ200をY方向に所定距離移動させる移動
指令を発生し、その後、当該Y方向位置におけるXZ平
面内において、ステップS13〜S16を繰り返し、こ
れらの動作を繰り返してXY平面における所定の2次元
の範囲について探針部2を移動させる。これにより、測
定が完了する。このように、本実施の形態では、各Y方
向位置においてステップS13〜16を繰り返すが、場
合によっては、1つのY方向位置においてのみステップ
S13〜S16を繰り返すだけでもよい。
【0084】次に、図10を参照して説明したDSP5
9動作に従ったプローブ200の制御の具体的な様子の
一例とその物理的な意味について、図5を参照して説明
する。図5は、本実施の形態による走査型プローブ顕微
鏡におけるプローブ200の制御の様子を模式的に示す
図である。
9動作に従ったプローブ200の制御の具体的な様子の
一例とその物理的な意味について、図5を参照して説明
する。図5は、本実施の形態による走査型プローブ顕微
鏡におけるプローブ200の制御の様子を模式的に示す
図である。
【0085】前記ステップS11の動作が終了した後、
試料300から遠く離れた自由空間において、前記手法
によりプローブ200をねじれ方向に励振し、以後測定
が完了するまでこれらの励振を継続する。その励振によ
るプローブ200のねじれ振動の振幅を、図10中に矢
印91で示す。探針部2は自由空間において振動してい
るため、そのねじれ方向の振幅91は比較的大きい。
試料300から遠く離れた自由空間において、前記手法
によりプローブ200をねじれ方向に励振し、以後測定
が完了するまでこれらの励振を継続する。その励振によ
るプローブ200のねじれ振動の振幅を、図10中に矢
印91で示す。探針部2は自由空間において振動してい
るため、そのねじれ方向の振幅91は比較的大きい。
【0086】次に、前記ステップS12によって、プロ
ーブ200をZ方向の矢印92の方向に動かし、プロー
ブ200を試料300に近づける。すると、プローブ2
00には試料300からのファンデルワールス力が作用
し始める。プローブ200が近づく試料300の箇所が
XY平面と略平行であるとすると、ねじれ方向の振幅は
ファンデルワールス力がシェアーフォースとして働くた
めのダンピングにより、減少する。その減少により、ね
じれ方向の振幅が予め決められた目標値となったところ
で、プローブ200の試料300への接近を止める。こ
の状態が前記ステップS12が終了して試料観察の準備
が整った状態である。このときのねじれ振動の振幅の目
標値を、矢印93として示す。なお、図10に示す例で
は、プローブ200の試料300への接近が終了したと
きねじれ方向の振幅が予め決められた目標値となったも
のとしている。
ーブ200をZ方向の矢印92の方向に動かし、プロー
ブ200を試料300に近づける。すると、プローブ2
00には試料300からのファンデルワールス力が作用
し始める。プローブ200が近づく試料300の箇所が
XY平面と略平行であるとすると、ねじれ方向の振幅は
ファンデルワールス力がシェアーフォースとして働くた
めのダンピングにより、減少する。その減少により、ね
じれ方向の振幅が予め決められた目標値となったところ
で、プローブ200の試料300への接近を止める。こ
の状態が前記ステップS12が終了して試料観察の準備
が整った状態である。このときのねじれ振動の振幅の目
標値を、矢印93として示す。なお、図10に示す例で
は、プローブ200の試料300への接近が終了したと
きねじれ方向の振幅が予め決められた目標値となったも
のとしている。
【0087】次に、前記ステップS13により、測定開
始時(時点t=0)において、予め決めておいた長さの
水平方向(X方向)の探針駆動ベクトル94の指示する
地点にプローブ200を駆動する。この地点にプローブ
200が移動した時点が時点t=1である。時点t=1
において、プローブ200と試料300との相対距離は
時点t=0の時と変わらないため、ねじれ振動の振幅は
目標値からの差はない。そのため、時点t=1のときの
プローブ200のねじれ振動の振幅を示す矢印95は、
時点t=0のときの矢印93と同じ大きさである。した
がって、前記ステップS14,S15により求められた
新たな探針駆動ベクトルは前記探針駆動ベクトル94と
同じになる。
始時(時点t=0)において、予め決めておいた長さの
水平方向(X方向)の探針駆動ベクトル94の指示する
地点にプローブ200を駆動する。この地点にプローブ
200が移動した時点が時点t=1である。時点t=1
において、プローブ200と試料300との相対距離は
時点t=0の時と変わらないため、ねじれ振動の振幅は
目標値からの差はない。そのため、時点t=1のときの
プローブ200のねじれ振動の振幅を示す矢印95は、
時点t=0のときの矢印93と同じ大きさである。した
がって、前記ステップS14,S15により求められた
新たな探針駆動ベクトルは前記探針駆動ベクトル94と
同じになる。
【0088】そして、前記ステップS13により、再び
探針駆動ベクトル94の指示する地点にプローブ200
を駆動する。この時点t=2において、プローブ200
と試料300の表面の凸部の側壁との間の相対距離が狭
くなる。すると、試料側壁からのファンデルワールス力
によりプローブ200のねじれ振動の振幅が減少する。
そのため、時点t=2においてねじれ振動の振幅が目標
値から小さくなり、時点t=2のときのプローブ200
のねじれ振動の振幅を示す矢印96は、t=0のときの
矢印93及びt=1のときの矢印95より小さくなる。
そのため、時点t=2において、前記ステップS14で
求めたねじれ振動の振幅の偏差ΔArは、ゼロでなくあ
る値をとる。このため、時点t=2において前記ステッ
プS15で求めたサーボ角θはゼロではなくその偏差Δ
Arに応じたある値をとり、時点t=2において前記ス
テップS15で求めた探針駆動ベクトル97は、時点t
=1で求められた探針駆動ベクトル94に対して当該サ
ーボ角θだけ回転したものとなる。
探針駆動ベクトル94の指示する地点にプローブ200
を駆動する。この時点t=2において、プローブ200
と試料300の表面の凸部の側壁との間の相対距離が狭
くなる。すると、試料側壁からのファンデルワールス力
によりプローブ200のねじれ振動の振幅が減少する。
そのため、時点t=2においてねじれ振動の振幅が目標
値から小さくなり、時点t=2のときのプローブ200
のねじれ振動の振幅を示す矢印96は、t=0のときの
矢印93及びt=1のときの矢印95より小さくなる。
そのため、時点t=2において、前記ステップS14で
求めたねじれ振動の振幅の偏差ΔArは、ゼロでなくあ
る値をとる。このため、時点t=2において前記ステッ
プS15で求めたサーボ角θはゼロではなくその偏差Δ
Arに応じたある値をとり、時点t=2において前記ス
テップS15で求めた探針駆動ベクトル97は、時点t
=1で求められた探針駆動ベクトル94に対して当該サ
ーボ角θだけ回転したものとなる。
【0089】次に、前記ステップS13により、新しく
得られた探針駆動ベクトル97の指示する地点にプロー
ブ200を駆動する。この地点にプローブ200が移動
した時点が時点t=3である。
得られた探針駆動ベクトル97の指示する地点にプロー
ブ200を駆動する。この地点にプローブ200が移動
した時点が時点t=3である。
【0090】このように順次プローブ200のねじれ振
動の振幅の偏差ΔArから、サーボ角θを決定し、探針
駆動ベクトルに作用させて行くことにより、試料300
の表面の凸部又は凹部の側壁部も正確にトレースするこ
とができる。
動の振幅の偏差ΔArから、サーボ角θを決定し、探針
駆動ベクトルに作用させて行くことにより、試料300
の表面の凸部又は凹部の側壁部も正確にトレースするこ
とができる。
【0091】本実施の形態によれば、前述したように、
プローブ200に作用する力を示すA/D変換器58か
らのねじれ振動の振幅の検出値に基づいて、プローブ1
をX方向のみならずZ方向にも制御している。しかしな
がら、本実施の形態によれば、前述したように、A/D
変換器55,56,57から得られたプローブ200の
X方向、Y方向及びZ方向の変位を、試料表面の形状を
示すデータとして得ている。プローブ200は試料表面
をトレースすることから、プローブ200の位置は試料
表面を表しているのである。このため、プローブ200
に作用する力に基づいてプローブ200をZ方向のみな
らずZ方向にも制御しているのにもかかわらず、圧電素
子6,7,8のヒステリシス等の影響のない試料表面形
状の測定データを得ることができる。
プローブ200に作用する力を示すA/D変換器58か
らのねじれ振動の振幅の検出値に基づいて、プローブ1
をX方向のみならずZ方向にも制御している。しかしな
がら、本実施の形態によれば、前述したように、A/D
変換器55,56,57から得られたプローブ200の
X方向、Y方向及びZ方向の変位を、試料表面の形状を
示すデータとして得ている。プローブ200は試料表面
をトレースすることから、プローブ200の位置は試料
表面を表しているのである。このため、プローブ200
に作用する力に基づいてプローブ200をZ方向のみな
らずZ方向にも制御しているのにもかかわらず、圧電素
子6,7,8のヒステリシス等の影響のない試料表面形
状の測定データを得ることができる。
【0092】なお、本実施の形態では、Y方向の変位も
試料表面の形状を示すデータの一部として用いられてい
るが、本発明では、Y方向に関しては、DSP59から
のY方向の移動指令値を、試料表面の形状を示すデータ
の一部として用いてもよい。
試料表面の形状を示すデータの一部として用いられてい
るが、本発明では、Y方向に関しては、DSP59から
のY方向の移動指令値を、試料表面の形状を示すデータ
の一部として用いてもよい。
【0093】以上、本発明の各実施の形態について説明
したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるもの
ではない。例えば、本発明は、原子間力顕微鏡以外の他
の種々の走査型プローブ顕微鏡にも適用することができ
ることは言うまでもない。
したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるもの
ではない。例えば、本発明は、原子間力顕微鏡以外の他
の種々の走査型プローブ顕微鏡にも適用することができ
ることは言うまでもない。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
試料表面の狭い領域を観察する場合であっても、駆動部
のヒステリシス等を適切に補正しつつプローブを滑らか
に駆動することができ、歪みやノイズのない測定データ
を得ることができる走査型プローブ顕微鏡及びそのプロ
ーブ駆動方法を提供することができる。
試料表面の狭い領域を観察する場合であっても、駆動部
のヒステリシス等を適切に補正しつつプローブを滑らか
に駆動することができ、歪みやノイズのない測定データ
を得ることができる走査型プローブ顕微鏡及びそのプロ
ーブ駆動方法を提供することができる。
【0095】また、本発明によれば、駆動部のヒステリ
シス等の影響のない測定データを得ることができる、プ
ローブに作用する力に基づいてプローブと試料表面との
相対的な移動に関して縦方向のみならず横方向の移動に
対しても制御する走査型プローブ顕微鏡を提供すること
ができる。
シス等の影響のない測定データを得ることができる、プ
ローブに作用する力に基づいてプローブと試料表面との
相対的な移動に関して縦方向のみならず横方向の移動に
対しても制御する走査型プローブ顕微鏡を提供すること
ができる。
【図1】本発明の第1の実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡を示す概略構成図である。
ブ顕微鏡を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す走査型プローブ顕微鏡のプローブ駆
動装置の動作原理を示す図であり、図2(a)はそのプ
ローブ駆動装置の2軸平行ばねの概念斜視図、図2
(b)はその2軸平行ばねを上から見た図である。
動装置の動作原理を示す図であり、図2(a)はそのプ
ローブ駆動装置の2軸平行ばねの概念斜視図、図2
(b)はその2軸平行ばねを上から見た図である。
【図3】図1に示す走査型プローブ顕微鏡のプローブ装
置の他の動作原理を示す概念斜視図である。
置の他の動作原理を示す概念斜視図である。
【図4】図1に示す走査型プローブ顕微鏡のデジタルシ
グナルプロセッサ(DSP)の動作を示す概略フローチ
ャートである。
グナルプロセッサ(DSP)の動作を示す概略フローチ
ャートである。
【図5】圧電素子の印加電圧と変位との関係を示す図で
あり、図5(a)は変位の計測値を示す図、図5(b)
は印加電圧の求め方を示す図である。
あり、図5(a)は変位の計測値を示す図、図5(b)
は印加電圧の求め方を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡を示す概略構成図である。
ブ顕微鏡を示す概略構成図である。
【図7】図6に示す走査型プローブ顕微鏡のプローブの
部分を拡大した概略斜視図である。
部分を拡大した概略斜視図である。
【図8】図8は図7に示すプローブのねじれ振動の様子
を示す概念斜視図である。
を示す概念斜視図である。
【図9】図6に示す走査型プローブ顕微鏡のデジタルシ
グナルプロセッサ(DSP)の動作を示す概略フローチ
ャートである。
グナルプロセッサ(DSP)の動作を示す概略フローチ
ャートである。
【図10】図6に示す走査型プローブ顕微鏡におけるプ
ローブの制御の様子を模式的に示す図である。
ローブの制御の様子を模式的に示す図である。
【図11】従来技術における理想的な制御信号及び実際
の制御信号を示す図である。
の制御信号を示す図である。
1,200 プローブ 2 プローブ駆動装置 6 X方向駆動用圧電素子 7 Y方向駆動用圧電素子 8 Z方向駆動用圧電素子 9,11,14,17 光源 10,12,15,18 2分割フォトディテクタ ミラー 13,16,19 51〜54 信号処理回路 55〜58 A/D変換器 59 デジタルシグナルプロセッサ(DSP) 60 パーソナルコンピュータ 61 表示装置 62〜64 D/A変換器 210 圧電振動子 220 発振回路 230 ロックインアンプ 201 ミラー部 202 探針部 203 ねじれ部 204 支持体 208 探針部の軌跡 209 回転軸 212 クリップ 300 試料
Claims (4)
- 【請求項1】 プローブと試料表面とを相対的に移動さ
せて前記試料表面の所定の情報を得る測定を行う走査型
プローブ顕微鏡において、供給された駆動信号に応答し
て前記プローブと前記試料表面とを前記試料表面と略平
行な所定方向に相対的に移動させる駆動部を用い、前記
プローブと前記試料表面とを前記所定方向に相対的に移
動させるプローブ駆動方法であって、 前記測定を開始する度に当該測定に先立って、前記プロ
ーブと前記試料表面とが当該測定において行おうとする
所望の移動パターンに近いパターンで前記所定方向に相
対的に移動されるように、前記駆動部に駆動信号を供給
しつつ、当該供給した駆動信号に応じた前記プローブの
相対的な変位を計測し、 当該測定に先立って、前記計測された変位に基づいて、
前記駆動信号と前記プローブの相対的な変位との関係を
示す近似式を求め、 当該測定において、前記近似式から求めた駆動信号であ
って前記所望の移動パターンを実現するための駆動信号
を、前記駆動部に供給することを特徴とする走査型プロ
ーブ顕微鏡のプローブ駆動方法。 - 【請求項2】 プローブと試料表面とを相対的に移動さ
せて前記試料表面の所定の情報を得る測定を行う走査型
プローブ顕微鏡において、 供給された駆動信号に応答して前記プローブと前記試料
表面とを前記試料表面と略平行な所定方向に相対的に移
動させる駆動部と、 前記プローブの前記試料表面に対する前記所定方向への
相対的な変位を計測する変位計測部と、 前記測定を開始する度に当該測定に先立って、前記プロ
ーブと前記試料表面とが、当該測定において行おうとす
る所望の移動パターンに近いパターンで前記所定方向に
相対的に移動されるように、前記駆動部に駆動信号を供
給する第1の制御部と、 前記第1の制御部から前記駆動部に供給された駆動信号
に対応した前記変位計測部により計測された変位に基づ
いて、前記駆動信号と前記計測された変位との関係を示
す近似式を求める近似式算出部と、 当該測定において、前記近似式から求めた駆動信号であ
って前記所望の移動パターンを実現するための駆動信号
を、前記駆動部に供給する第2の制御部と、 を備えたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 【請求項3】 前記駆動部が圧電素子を有し、前記駆動
信号が前記圧電素子への印加電圧であることを特徴とす
る請求項2記載の走査型プローブ顕微鏡。 - 【請求項4】 プローブと試料表面とを相対的に移動さ
せて前記試料表面の所定の情報を得る測定を行う走査型
プローブ顕微鏡であって、前記プローブに作用する力を
検出し、当該検出された力に基づいて、前記プローブの
前記試料表面に対する前記試料平面と略垂直な第1の方
向への相対的な移動及び前記プローブの前記試料表面に
対する前記試料平面と略平行な前記第2の方向への相対
的な移動を制御する走査型プローブ顕微鏡において、 前記プローブの前記試料表面に対する前記第1の方向へ
の相対的な変位を計測する第1の変位計測部と、 前記プローブの前記試料表面に対する前記第2の方向へ
の相対的な変位を計測する第2の変位計測部と、 を備え、 前記第1の変位計測部により計測された変位に相当する
データ及び第2の変位計測部により計測された変位に相
当するデータを測定データの一部として用いることを特
徴とする走査型プローブ顕微鏡。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10089243A JPH11264833A (ja) | 1998-03-18 | 1998-03-18 | 走査型プローブ顕微鏡及びそのプローブ駆動方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10089243A JPH11264833A (ja) | 1998-03-18 | 1998-03-18 | 走査型プローブ顕微鏡及びそのプローブ駆動方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11264833A true JPH11264833A (ja) | 1999-09-28 |
Family
ID=13965320
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10089243A Pending JPH11264833A (ja) | 1998-03-18 | 1998-03-18 | 走査型プローブ顕微鏡及びそのプローブ駆動方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11264833A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009536325A (ja) * | 2006-05-10 | 2009-10-08 | カール ツァイス インドゥストリーレ メステクニーク ゲーエムベーハー | 加工品の表面点に接触するための方法および装置 |
KR20180030079A (ko) * | 2015-07-15 | 2018-03-21 | 네덜란제 오르가니자티에 포오르 토에게파스트-나투우르베텐샤펠리즈크 온데르조에크 테엔오 | 지지 표면 상에 스캔 헤드를 포지셔닝하기 위한 포지셔닝 암 및 방법 |
-
1998
- 1998-03-18 JP JP10089243A patent/JPH11264833A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009536325A (ja) * | 2006-05-10 | 2009-10-08 | カール ツァイス インドゥストリーレ メステクニーク ゲーエムベーハー | 加工品の表面点に接触するための方法および装置 |
KR20180030079A (ko) * | 2015-07-15 | 2018-03-21 | 네덜란제 오르가니자티에 포오르 토에게파스트-나투우르베텐샤펠리즈크 온데르조에크 테엔오 | 지지 표면 상에 스캔 헤드를 포지셔닝하기 위한 포지셔닝 암 및 방법 |
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