JPH11174066A - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡

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JPH11174066A
JPH11174066A JP9363129A JP36312997A JPH11174066A JP H11174066 A JPH11174066 A JP H11174066A JP 9363129 A JP9363129 A JP 9363129A JP 36312997 A JP36312997 A JP 36312997A JP H11174066 A JPH11174066 A JP H11174066A
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scanning
dsp
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JP9363129A
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Katsushi Nakano
勝志 中野
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料表面の凸部又は凹部の側面等に関して
も、高精度な測定を行う。 【解決手段】 振動子14によって、プローブ1のカン
チレバー部3が撓み振動を起こし、プローブ1の探針部
2が実質的にZ方向に振動する。振動子15によって、
カンチレバー部3がねじれ振動を起こし、探針部2が実
質的にX方向に振動する。カンチレバー部3の撓み振動
の成分の振動状態及びカンチレバー部3のねじれ振動の
成分の振動状態が、4分割フォトダイオード18により
検出される。DSP26は、検出されたプローブ1の撓
み振動及びねじれ振動の振動状態が所定状態となるよう
にプローブ1の移動方向を変え、当該移動方向にプロー
ブ1を移動させるようにX,Y,Z方向用圧電駆動部材
10,11,8を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型プローブ顕
微鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】原子間力顕微鏡等の走査型プローブ顕微
鏡では、先端側に探針部を有するカンチレバー部と該レ
バー部を支持する支持体とを有するプローブが用いられ
る。そして、原子間力顕微鏡には、探針先端を試料に接
触させる接触モードのものや、探針を試料に接触させず
に試料と探針との間に作用する相互作用力を検出する非
接触モードのもの等がある。
【0003】以下、説明の便宜上、試料表面と垂直な方
向をZ方向とし、試料表面と平行な面内において互いに
直交する2つの方向をX方向及びY方向とする。
【0004】接触モードの原子間力顕微鏡では、探針部
を試料表面に接触させ、プローブと試料とをX方向及び
Y方向に相対的に移動(走査)させつつ、試料表面の凹
凸により変化する探針部と試料表面との間の相互作用力
をレバー部の撓みとして検出し、検出した撓みに基づい
て、プローブのカンチレバー部の撓みが一定となるよう
に、プローブを試料に対して相対的にZ方向に移動させ
る。これにより、X方向及びY方向の位置に対するZ方
向の位置を求め、試料の表面形状を高分解能で観察す
る。なお、プローブのカンチレバー部の撓み検出は、一
般的に、光源としての半導体レーザと、該半導体レーザ
から発してカンチレバー部にて反射された光を受光する
2分割フォトダイオードとを使った光てこ法により行わ
れる。
【0005】一方、非接触モードの原子間力顕微鏡は、
探針を試料に接触させずに、試料と探針との間に作用す
る力を検出する技術(例えば、次の文献に開示されてい
る:Y. Martin, C. C. Williams, and H. K. Wickramas
inghe, J. Appl. Phys. 61 (10), 15 May 1987)を利用
したものである。この力検出の技術は、探針と試料との
間のファンデルワールス力等による相互作用力の変化に
より、事実上のカンチレバー部の撓み振動の共振周波数
がシフトすることを利用している。すなわち、まずカン
チレバー部を縦方向に共振させ、探針を周期的に試料に
近づけたり遠ざけたりする。すると、試料と探針とに働
くファンデルワールス力等の引力が、探針が試料に近い
ときに強く働き、試料から遠ざかると弱くなる。その引
力の周期的な変化によりカンチレバー部の共振周波数が
変化し、そのためカンチレバー部の共振の振幅も変化す
る。カンチレバー部の振幅は例えば光てこ法とロックイ
ンアンプにより検出でき、結果として試料と探針の相対
距離の変化が検出できる。
【0006】そして、非接触モードの原子間力顕微鏡で
は、プローブを試料に対してX方向及びY方向に相対的
に移動(走査)させつつ、前記原理に従って、カンチレ
バーを共振周波数付近の周波数で撓み振動を起こすよう
に励振させ、カンチレバー部の振動状態を前記光てこ法
等により検出し、その振動状態が一定になるように、プ
ローブを試料に対してZ方向に相対的に移動させること
により、試料表面の形状を測定する。
【0007】また、探針と試料の相対距離の変化を検出
する別の方法として、主に近接場光学顕微鏡に用いられ
ているシェアフォース検出法がある("A simple latera
l force sensing technique for near-field micropatt
ern generation", Rev. Sci.Instrum. 64 (12) 3538, 1
993)。この手法について、図11を参照して説明す
る。図11は、シェアフォース検出法を示す図である。
図11において、この手法では、まず、図11(a)に
示すように、近接場光用の光ファイバー101を、試料
100の表面と平行な方向(図11中のX方向)に共振
させる。その振幅102を計測するために、レーザー光
源103からレーザー光104を光ファイバー101に
横方向(図11では厳密には描かれていないが、図11
中のY方向)から照射し、そこで生じる回折光を分割型
フォトダイオード105で受光する。光ファイバー10
1の振動により、回折光のスポットも水平方向に振動す
るため、フォトダイオード105の出力信号から当該ス
ポットの振幅を測定することにより、光ファイバー10
1の振動振幅102を測定することができる。ここで、
図11(b)に示すように、光ファイバー101を試料
100に近づけて行くと、試料100と光ファイバー1
01との間にファンデルワールス力等のシェアーフォー
スが働き、光ファイバーにダンピングがかかる。そのた
め、光ファイバー101の振動振幅が減少し、試料10
0と光ファイバー101との間の相対距離の変化を検出
することができる。
【0008】このようなシェアフォース検出法による場
合も、光ファイバー101と試料101とをX方向及び
Y方向に相対的に移動(走査)させつつ、光ファイバー
101の振動振幅をレーザー光源103及び分割型フォ
トダイオード105で検出し、検出した振幅に基づい
て、当該振幅が一定となるように、光ファイバー101
を試料に対して相対的にZ方向に移動させる。これによ
り、X方向及びY方向の位置に対するZ方向の位置を求
め、試料の表面形状を観察する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、走査型プロ
ーブ顕微鏡が広く使われている工業分野では、例えば半
導体分野においては、試料表面の凸部又は凹部の垂直に
近い側面形状を測定する必要性が増大している。
【0010】しかしながら、前述した従来の走査型プロ
ーブ顕微鏡では、試料表面の凸部又は凹部の側面形状が
垂直に近くなると、その観察が困難であり、当該側面形
状を精度良く観察することができなかった。その理由
は、従来の走査型プローブ顕微鏡では、前述したよう
に、探針を一定速度で試料表面と水平な方向(X方向又
はY方向)に走査しながら、探針と試料との間の相互作
用が一定になるように探針をZ方向に移動させており、
試料と探針との間の相対距離の変化を試料表面と垂直な
縦方向(Z方向)にのみフィードバックしていたためで
ある。このようなフィードバック制御の結果、試料表面
の凸部又は凹部の急峻な側壁においてデータ数が少なく
ならざるを得ず、当該側面形状を精度良く観察すること
ができなかったのである。しかも、前述したフィードバ
ック制御の結果、急峻な側壁対し探針がそれを乗り越え
るためには、縦方向(Z方向)に急激に探針を移動させ
ることとなり、そのため、急峻な側壁の角部分で、探針
のフィードバックが不安定になり、探針が試料表面を正
確にトレースできず、この点からも、試料表面を高精度
に観察することができなかったのである。
【0011】なお、以上説明した事情は、原子間力顕微
鏡に限らず、走査型電気容量顕微鏡、走査型静電気力顕
微鏡及び走査型磁気力顕微鏡などの他の種々の走査型プ
ローブ顕微鏡用についても、同様である。
【0012】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、試料表面の凸部又は凹部の側面等に関して
も、データの数を多くすることができるとともに、探針
部を試料表面に対して両者に作用する相互作用に応じて
正確にトレースさせることができ、高精度な測定を行う
ことができる走査型プローブ顕微鏡を提供することを目
的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の第1の態様による走査型プローブ顕微鏡
は、プローブと、プローブと試料表面とを相対的に試料
表面と略垂直な第1の方向及び試料表面と略平行な第2
の方向に移動させるプローブ駆動部と、プローブを励振
するための励振部材と、プローブの振動状態を検出する
検出手段と、検出手段で検出されたプローブの振動状態
が所定の振動状態になるようにプローブの移動方向を変
え、移動方向に前記プローブを移動させるようプローブ
駆動部を制御する制御手段とを備えたものである。
【0014】この様に、プローブを励振させながら、プ
ローブを試料表面上で移動させたときに、生ずるプロー
ブの振動状態の変化を、プローブの振動状態を検出する
検出手段でもって検出し、プローブの所定の振動状態に
なるようにプローブの移動方向を変えることで、探針の
移動制御を行うようにした。
【0015】本発明の第2の態様による走査型プローブ
顕微鏡は、前記第1の態様において、制御手段におい
て、検出手段で検出されたプローブの振動状態とあらか
じめ決められた振動状態とを比較し、新たに決定するプ
ローブの移動方向にするための移動方向の変化量を角度
として算出する移動方向決定手段を備え、移動方向決定
手段で決定された角度に応じて、移動方向を変更するこ
とでプローブ駆動部を制御することとした。
【0016】この様に制御手段としては、プローブの移
動方向の決定の際に、移動方向の変化量を角度でもって
算出し、算出された角度と今までの移動方向とを加味し
て、新たな移動方向を決定するようにした。
【0017】また、本発明の第3の態様による走査型プ
ローブ顕微鏡は、前記第1又は第2の態様において、励
振部材は、少なくとも一方向にプローブを振動させる部
材であることとした。この様に少なくとも一方向に励振
させ、その振動方向における振動状態の変化を掴むこと
で、本発明では、プローブの移動方向を決定できる。
【0018】本発明の第4の態様による走査型プローブ
顕微鏡は、前記第3の態様において、励振部材について
は、プローブに対して、第1の方向とほぼ平行な方向に
振動する第1のモードの振動を励振させるために支持体
に備えられ、検出手段は、プローブにおける第1のモー
ドの振動を検出する第1の検出器を備え、そして制御手
段については、第1の検出器から得られる信号を基に、
第1のモードの振動成分の振動状態が一定となるよう
に、プローブの移動方向を決定することとした。この様
に試料表面に垂直な方向にプローブを励振させ、試料表
面と垂直な方向での振動成分の変化を検出することで、
プローブの移動方向を決定するようにした。
【0019】また、本発明の第5の態様による走査型プ
ローブ顕微鏡は、前記第3の態様において、励振部材に
ついては、プローブが捻れる方向に振動する第2のモー
ドの振動を励振させるために支持体に備えられ、検出手
段については、プローブにおける第2のモードの振動を
検出する第2の検出器を備え、制御手段については、第
2の検出器から得られる信号を基に、第2のモードの振
動成分の振動状態が一定となるように、プローブの移動
方向を決定することとした。この様にプローブが捻れる
方向で励振させ、捻れる方向における振動成分を検出
し、その振動状態が一定になるようにすることで、プロ
ーブの移動方向を決定するようにした。
【0020】本発明の第6の態様による走査型プローブ
顕微鏡では、前記第1又は第2の態様において、励振部
材については、プローブに対して、第1の方向に振動す
る第1のモードの振動を励振させるための第1の励振部
材と、プローブが捻れる方向に振動する第2のモードの
振動を励振させるための第2の励振部材とを備え、検出
手段ついては、プローブでの第1のモードの振動の成分
の振動状態を検出する第1の検出手段と、プローブでの
第2のモードの成分の状態を検出する第2の検出手段と
を備え、制御手段については、第1の方向及び第2の方
向を含む面と平行面内において当該面内の方向でプロー
ブの移動方向を変えて、プローブの振動状態が所定の状
態となるようにプローブ駆動部材を制御することとし
た。この様に、複合させて異なる二つの方向にプローブ
を励振させ、励振させた二つの方向における振動状態を
検出し、それらの振動状態が一定になるようにプローブ
の移動方向が一定になるように、移動方向を決定した。
【0021】本発明の第7の態様による走査型プローブ
顕微鏡では、前記第6の態様において、制御手段では、
プローブの移動方向に応じて、第1の検出手段から得ら
れる信号と第2の検出手段から得られる信号とのどちら
か一方を選択する選択手段を更に備え、選択手段で選択
された信号からプローブの振動状態が所定の状態になる
ようプローブ駆動部材を制御することとした。この様
に、本発明の第6の形態の構成を有して、更にプローブ
の移動方向に応じて、検出手段から得られる信号を選択
するようにした。
【0022】また、本発明の第8の態様による走査型プ
ローブ顕微鏡では、前記第7の態様において、制御手段
では、第1の励振部材と第2の励振部材とのどちらか一
方のみが駆動するように選択する励振部材選択手段を備
えた。
【0023】更に、本発明の第9の態様による走査型プ
ローブ顕微鏡では、前記第8の態様において、選択手段
は、第2の方向に対する前記プローブの移動方向のなす
角度と所定の値とを比較することで、駆動する励振部材
を決定することとした。
【0024】本発明の第10の態様による走査型プロー
ブ顕微鏡では、前記第1乃至第9のいずれかの態様にお
いて、プローブは、先端部に探針を有するレバー部(カ
ンチレバー部)を備え、レバー部を支持する支持体に備
えられたこととした。
【0025】また、本発明の第11の態様による走査型
プローブ顕微鏡では、前記第1乃至第9のいずれかの態
様において、プローブは、試料との相互作用を受ける探
針部と、プローブを支持する支持体と探針部との間に設
けられ、探針部と試料との相互作用を検出する検出部と
を具備し、検出部および探針部が実質的に同一軸上に形
成されていることプローブを用いることとした。この様
なプローブであれば、深い溝の側壁の状態も本走査型プ
ローブ顕微鏡で検出することが可能となる。
【0026】本発明の第12の態様による走査型プロー
ブ顕微鏡では、プローブと、プローブと試料表面とを相
対的に試料表面と略垂直な第1の方向及び試料表面と略
平行な第2の方向に移動させるプローブ駆動部と、プロ
ーブと試料との間の相互作用に応じた検出信号を得る検
出手段と、検出手段からの検出信号が所定の状態になる
様にプローブの移動方向を変化させ、かつプローブの移
動方向にプローブを走査させるようプローブ駆動部を制
御する制御手段を備えた。この様にプローブを駆動しな
がら、プローブと試料との相互作用を検出し、検出され
た情報に基づき、プローブの移動方向を決定するように
している。
【0027】また、本発明の第13の態様による走査型
プローブ顕微鏡は、前記第12の態様において、検出手
段については、プローブの変位を検出することでプロー
ブと試料との相互作用を得ることした。
【0028】本発明の第14の態様による走査型プロー
ブ顕微鏡は、前記第12の態様において、制御手段につ
いては、検出手段で検出された信号があらかじめ定めら
れた信号であるか否かを比較し、新たに決定するプロー
ブの移動方向にするための移動方向の変化量を角度とし
て算出する移動方向決定手段を備え、移動方向決定手段
で決定された角度に応じて、移動方向を変更することで
プローブ駆動部を制御することとし、検出手段で検出さ
れた信号と予め定められた信号とを比較し、移動方向の
変更を角度して算出する。そして、算出された角度に応
じて移動方向変更することでプローブと試料との相互作
用が一定になるようにした。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明による走査型プロー
ブ顕微鏡について、図面を参照して説明する。
【0030】(第1の実施の形態)まず、本発明の第1
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡について、図
1乃至図5を参照して説明する。
【0031】図1は、本実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡を示す概略構成図である。図2(a)はその一
部を拡大した概略斜視図、図2(b)は4分割フォトダ
イオード18の受光部を示す図である。説明の便宜上、
これらの図に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及
びZ軸を定義する(後述する他の図も同様)。XY平面
が試料表面と略平行な面、Z方向が試料表面と略垂直な
方向となる。なお、本実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡は、原子間力顕微鏡として構成されている。
【0032】本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡
は、図1及び図2(a)に示すように、先端側に探針部
2を有する薄板状のカンチレバー部3と、該カンチレバ
ー部3を支持する支持体4とを有するプローブ1を備え
ている。探針部2は、カンチレバー部3の先端側に突設
された四角柱状のポスト部5と、底面側部分がポスト部
5の先端に連結された四角錐状の先端部6とから構成さ
れている。本実施の形態では、先端部6の先端の頂点6
aに向かう全ての稜線が内側に湾曲しており、先端部6
の先端の頂点6aが極めて先鋭化されている。また、本
実施の形態では、先端部6の底面側部分の4つの角部6
bがポスト部5の先端の付近の部分の側方位置よりも側
方に突出している。カンチレバー部3が窒化珪素膜で構
成され、ポスト部5及び先端部6も同じく窒化珪素で構
成されている。前記支持体4は、パイレックスガラス
(商品名)部材と、該パイレックスガラス部材が接合さ
れている箇所の前記窒化珪素膜とから構成されている。
【0033】このような構成のプローブ1は、例えば、
次のような方法で製造することができる。まず、半導体
製造技術を用いて、型部材を用意する。該型部材は、第
1の部材と第2の部材とが接合されてなる。前記第1の
部材は前記ポスト部5の形状を転写するための転写用貫
通穴を有する。前記第2の部材は前記先端部6の形状を
転写するための四角錐状の転写用凹部であって前記転写
用貫通穴と連通する転写用凹部を有する。前記転写用貫
通穴及び前記転写用凹部は前記転写用貫通穴の一方の開
口のみで外部に開口する空間を形成する。次に、前記転
写用貫通穴を含む前記型部材上の領域に前記カンチレバ
ー部3、前記ポスト部5及び前記先端部6を構成すべき
窒化珪素を成膜させる。その後、成膜された窒化珪素膜
を所定形状にパターニングし、支持体4を構成するパイ
レックスガラス部材を接合する。最後に、前記型部材を
除去する。これにより、前記プローブ1を製造すること
ができる。
【0034】もっとも、本発明で用いるプローブは、こ
のような構成のプローブ1に限定されるものではない。
例えば、カンチレバー部の先端側に突設した細長い部分
と、前記細長い部分の先端に前記細長い部分の軸方向に
向いて突出した1つの円錐状の突起(スパイク)と、前
記細長い部分の先端付近における周囲表面に前記細長い
部分の軸と垂直な方向に向いて突出した2つの円錐状の
突起(スパイク)とからなる探針を有する、プローブ
(特開平8−285872号公報参照)であってもよ
い。また、本発明で用いるプローブでは、探針部は、必
ずしも、前記角部6bや前記スパイクのような側方突出
部を有していなくてもよい。
【0035】前記プローブ1の支持体4は、プローブホ
ルダとしてのクリップ7により保持されている。クリッ
プ7の上側部分7aの上面は、Z方向に伸縮するZ方向
用圧電駆動部材8の下端(自由端)に固定されている。
Z方向用圧電駆動部材8の上端は、ブロック9に固定さ
れている。X方向に伸縮するX方向用圧電駆動部材10
の一端(自由端)及びY方向に伸縮するY方向用圧電駆
動部材11の一端(自由端)は、それぞれブロック9に
固定されている。圧電駆動部材10,11の他端(固定
端)はそれぞれフレーム12に固定されている。フレー
ム12は、3つのマイクロメータ13により支持されて
いる。本実施の形態では、前記圧電駆動部材8,10,
11が、プローブ1を試料表面に対して試料表面と略垂
直な第1の方向(Z方向)、試料表面と略平行な第2の
方向(X方向)及び試料表面と略平行でY方向と直交す
るX方向に相対的に移動させる移動手段(プローブ駆動
部)を構成している。もっとも、該移動手段の構成はこ
のような構成に限定されないことは勿論である。
【0036】また、本実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡は、プローブ1の探針部2が実質的にZ方向に振
動するような第1のモードの振動(本実施の形態では、
撓み振動)をプローブ1のカンチレバー部3に発生させ
る第1の励振手段(第1の励振部材)として、圧電素子
からなる第1の振動子14を備えている。また、本実施
の形態による走査型プローブ顕微鏡は、プローブ1の探
針部2が実質的にX方向に振動するような第2のモード
の振動(本実施の形態では、ねじれ振動)をプローブ1
のカンチレバー部3に発生させる第2の励振手段(第2
の励振部材)として、圧電素子からなる第2の振動子1
5を備えている。なお、本発明では、前記第1の励振手
段や前記第2の励振手段は、このような構成に限定され
るものではなく、例えば、カンチレバー部3に形成した
圧電特性又は電歪特性を持った薄膜でもよい。
【0037】前記振動子14,15は、図2(a)に示
すように、支持部材としてのボール16と共にクリップ
7に設けられている。なお、図2(a)では、理解を容
易にするため、クリップ7が透明であるかの如く示して
いる。振動子14,15は、それぞれZ方向に伸縮して
振動する。また、振動子14,15の各上面及びボール
16の上部はクリップ7の上側部分7aの下面に固定さ
れている。なお、本実施の形態では、振動子14,15
は、それらの上面の一部がクリップ7の上側部分7aの
下面から側方にはみ出すように設けられているが、その
ようなはみ出しをなくすようにしてもよい。クリップ7
のバネ力によって、振動子14,15及びボール16の
各下面がプローブ1の支持体4の上面に接触するととも
に、クリップ7の下側部分7bの上面がプローブ1の支
持体4の下面に接触し、プローブ1の支持体4が振動子
14,15及びボール16の各下面とクリップ7の下側
部分7bの上面との間に挟持されている。振動子14,
15及びボール16は、XY平面と平行な所定面内にお
いて、ボール16を直角の頂点とする直角三角形の、そ
れぞれの頂点の位置に配置されている。すなわち、振動
子14及びボール16はY軸と平行な直線上に配置さ
れ、振動子14及びボール16はX軸と平行な直線上に
配置されている。
【0038】次に、前記2つの振動子14,15による
プローブ1の励振動作について、説明する。
【0039】図3(a)は、振動子15を停止させた状
態において振動子14をZ方向に振動させたときのプロ
ーブ1のカンチレバー部3の振動の様子を模式的に示し
ている。振動子14をZ方向に振動させると、プローブ
1の支持体4はボール16と振動子15を結ぶX軸と平
行な直線を回転軸として往復回転運動をする。したがっ
て、振動子14が振動すると、プローブ1の探針部2は
実質的にZ方向に振動することとなる。この時の励振の
周波数が、カンチレバー部3のZ方向の1次の撓み振動
の共振周波数に近いと、カンチレバー部3は図3(a)
に示すように1次の縦方向撓み振動モードの共振状態と
なる。
【0040】また、図3(b)は、振動子14を停止さ
せた状態において振動子15をZ方向に振動させたとき
のプローブ1のカンチレバー部3の振動の様子を模式的
に示す。振動子15をZ方向に振動させると、プローブ
1の支持体4はボール16と振動子14を結ぶY軸と平
行な直線を回転軸として往復回転運動をする。したがっ
て、振動子15が振動すると、プローブ1の探針部2は
実質的にX方向に振動することとなる。この時の励振の
周波数が、カンチレバー部3の1次のねじれ振動の共振
周波数に近いと、カンチレバー部3は図3(b)に示す
ように1次のねじれ振動モードの共振状態となる。
【0041】以上のように、本実施の形態では励振手段
として前記振動子14,15が用いられている。もっと
も、本発明では、振動子14に代えて、カンチレバー部
3に前記撓み振動を引き起こす圧電特性又は電歪特性を
持った薄膜をカンチレバー部3自体に形成しておいても
よい。同様に、振動子15に代えて、カンチレバー部3
に前記ねじれ振動を引き起こす圧電又は電歪特性を持っ
た薄膜をカンチレバー部3自体に形成しておいてもよ
い。
【0042】また、本実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡は、図1に示すように、前述した各要素の他に、
レーザ光源17と、4分割フォトディテクタとしての4
分割フォトダイオード18と、信号処理回路19と、ロ
ックインアンプ20,21と、A/D変換器22,23
と、発振回路24,25と、デジタルシグナルプロセッ
サ(DSP)26と、パーソナルコンピュータ(PC)
27と、CRT等の表示装置28と、D/A変換器2
9,30,31と、駆動回路32とを備えている。
【0043】前記発振回路24は、DSP26の制御下
において、前記撓み振動の共振周波数に近い周波数の励
振信号(正弦波信号)を前記振動子14に与えるととも
に、当該励振信号を参照信号としてロックインアンプ2
0に与える。また、前記発振回路25は、DSP26の
制御下において、前記ねじれ振動の共振周波数に近い周
波数の励振信号(正弦波信号)を前記振動子14に与え
るとともに、当該励振信号を参照信号としてロックイン
アンプ21に与える。
【0044】前記レーザ光源17及び4分割フォトダイ
オード18は、それぞれ位置調整されてブロック9に固
定されている。レーザ光源17は、図3(a)及び図3
(b)に示すように、プローブ1のカンチレバー部3の
上面の先端側の位置にレーザ光40を照射する。4分割
フォトダイオード18は、レーザ光源17から発せられ
てカンチレバー部3にて反射されたレーザ光を受光す
る。該4分割フォトダイオード18の受光部を図2
(b)に示す。該受光部は、互いに直交するX’軸及び
Y’軸をそれぞれ境界線として4つの領域18a,18
b,18c,18dに分割されている。カンチレバー部
3が図3(a)に示す撓み振動モードの共振状態になる
と、カンチレバー部3の上面で反射されるレーザ光40
は、軌跡41のように反射する向きを変える。一方、カ
ンチレバー部3が図3(b)に示すねじれ振動モードの
共振状態になると、カンチレバー部3の上面で反射され
たレーザ光40は、軌跡42のように反射する向きを変
える。両軌跡41,42の向きは互いに直交している。
軌跡41が4分割フォトダイオード18の受光部のX’
軸と一致するとともに軌跡42が4分割フォトダイオー
ド18の受光部のY’軸と一致するように、4分割フォ
トダイオード18が位置調整されている。したがって、
前記撓み振動と前記ねじれ振動とが別々に行われる場合
のみならず同時に重畳して行われる場合であっても、4
分割フォトダイオード18の受光部の各領域18a,1
8b,18c,18dからの出力信号を、後述するよう
にして処理することにより、プローブ1のカンチレバー
部3の撓み振動の成分の振動状態を示す検出信号とカン
チレバー部3のねじれ振動の成分の振動状態を示す検出
信号とを、互いに干渉することなく得ることができる。
【0045】前記信号処理回路19は、4分割フォトダ
イオード18の受光部の各領域18a,18b,18
c,18dからの出力信号をそれぞれ増幅する。そし
て、信号処理回路19は、領域18aからの出力信号と
領域18bからの出力信号との和と、領域18cからの
出力信号と領域18dからの出力信号との和との差を示
す第1の信号を出力する。この第1の信号がカンチレバ
ー部3の撓み振動の成分の振動状態を示すことになる。
また、信号処理回路19は、領域18aからの出力信号
と領域18dからの出力信号との和と、領域18bから
の出力信号と領域18cからの出力信号との和との差を
示す第2の信号を出力する。この第2の信号がカンチレ
バー部3の撓み振動の成分の振動状態を示すことにな
る。
【0046】前記ロックインアンプ20は、信号処理回
路19からの前記第1の信号の周波数成分のうち、発振
回路24から振動子14に与えられた励振信号の周波数
と同じ周波数成分の振幅に比例したレベルの信号(縦方
向(Z方向)の振動振幅信号)を出力する。この信号
は、A/D変換器22によりA/D変換されて前記DS
P26に供給される。また、前記ロックインアンプ21
は、信号処理回路19からの前記第2の信号の周波数成
分のうち、発振回路25から振動子14に与えられた励
振信号の周波数と同じ周波数成分の振幅に比例したレベ
ルの信号(横方向(X方向)の振動振幅信号)を出力す
る。この信号は、A/D変換器23によりA/D変換さ
れて前記DSP26に供給される。このようにして、D
SP26には、A/D変換器22から縦方向(Z方向)
の振動の振幅の検出値が、A/D変換器23から横方向
(X方向)の振動振幅の検出値がそれぞれ入力される。
【0047】以上の説明からわかるように、本実施の形
態では、前記各要素17,18,19,20,21が、
プローブ1のカンチレバー部3の撓み振動の成分の振動
状態を検出する検出手段、及び、カンチレバー部3のね
じれ振動の成分の振動状態を検出する検出手段を、構成
している。もっとも、このような各検出手段は、前述し
たような構成に限定されるものではなく、例えば、光干
渉法等による検出手段や、カンチレバー部3に形成した
圧電特性又は電歪特性を持った薄膜などであってもよ
い。
【0048】前記DSP26は、基本的には、発振回路
24,25を介して振動子14,15の動作を制御し、
また、A/D変換器22,23からの縦方向及び横方向
の振動の振幅の検出値に基づいて、D/A変換器29,
30,31及び駆動回路32を介してX,Y,Z方向用
圧電駆動部材10,11,8にそれぞれ駆動信号を与
え、プローブ1の試料表面に対する相対的な移動を制御
する。なお、D/A変換器29,30,31は、DSP
26からのX,Y,Z方向の各移動指令値をそれぞれD
/A変換し、駆動回路32はD/A変換された各信号を
増幅して各圧電駆動部材10,11,8にそれぞれ供給
する。そして、DSP26は、この際に得られた試料表
面の形状を示すデータ(本実施の形態では、後述する順
次得られた探針駆動ベクトル)をDSP26内のメモリ
(図示せず)に記憶する。
【0049】DSP26の前記メモリ内の前記データ
は、パーソナルコンピュータ27に取り込まれ、表示装
置28により画像表示される。
【0050】本実施の形態では、DSP26は、発振回
路24,25を介して振動子14,15を同時に作動さ
せつつ、各Y方向位置におけるXZ平面と平行な各面内
において、当該面内の方向であって、前記縦方向(Z方
向)の振動の振幅及び前記横方向(X方向)の振動の振
幅が一定となるような方向に、プローブ1が移動するよ
うに、A/D変換器22,23からの縦方向及び横方向
の振動の振幅の検出値に基づいて、D/A変換器29,
30,31及び駆動回路32を介してX,Y,Z方向用
圧電駆動部材10,11,8にそれぞれ駆動信号を与
え、プローブ1の試料表面に対する相対的な移動を制御
する。すなわち、A/D変換器22,23からの縦方向
及び横方向の振動の振幅の検出値は、DSP26により
絶えず探針部2のXZ平面と平行な面内における移動方
向にフィードバックされる。
【0051】ここで、このようなDSP26の動作の一
具体例について、図4を参照して説明する。図4は、本
実施の形態におけるDSP26の動作の一例を示す概略
フローチャートである。
【0052】まず、DSP26は、オートチューニング
動作を行う(ステップS1)。すなわち、DSP26
は、発振回路24,25をそれぞれ同時又は順次に作動
させてその各励振周波数を変化させつつ、A/D変換器
22,23からの信号を得、このデータに基づいて以後
の動作において使用する各励振周波数を自動的に決定す
る。
【0053】本実施の形態では、以後の動作において
は、DSP26は、この決定した各励振周波数で発振回
路24,25を同時に作動させ続ける。
【0054】次に、DSP26は、予め定めたY方向位
置及びX方向位置において、探針部2が試料表面から十
分に離れたZ方向位置からZ方向に移動して試料に近接
していくように、駆動指令を発生してプローブ1をZ方
向に移動させていく。そして、DSP26は、A/D変
換器22からの縦方向の振動の振幅の検出値が所定の目
標値になったときに、駆動指令を停止し、探針部2の試
料への接近を止める(ステップS2)。
【0055】以上のステップS1,S2がいわば測定の
準備段階である。
【0056】その後、DSP26は、現時点で得られて
いる最新の探針駆動ベクトルに従った駆動指令を発生
し、当該探針駆動ベクトルに従ってプローブ1ひいては
探針部2を移動させる(ステップS3)。探針駆動ベク
トルは、1ステップの駆動により、現時点の位置から移
動させるべき次の時点の位置までの、XZ平面と平行な
面内における方向と移動距離を示すベクトルである。し
たがって、ステップS3では、当該探針駆動ベクトルの
X成分が示す距離だけ探針部2をX方向に移動させると
ともに、当該探針駆動ベクトルのZ成分が示す距離だけ
探針部2をZ方向に移動させることとなる。ステップS
2からステップS3に最初に移行し場合には、未だ後述
するステップS4,S5,S6を経ておらずに探針駆動
ベクトルが得られていないので、本実施の形態では、初
期の探針駆動ベクトルとしてX成分が所定値でZ成分が
ゼロのベクトルを用いる。すなわち、最初にステップS
3に移行した際には、探針部2をZ方向に移動させるこ
となく、X方向に所定距離移動させる。もっとも、初期
の探針駆動ベクトルはこのようなベクトルに限定される
ものではなく、任意のベクトルを採用することができ
る。本実施の形態では、探針駆動ベクトルの長さ(1ス
テップの駆動により移動させる距離)は常に一定とし、
その方向のみを制御することとしている。
【0057】次に、DSP26は、A/D変換器22,
23から縦方向の振動の振幅及び横方向の振動の振幅の
検出値をそれぞれ取り込み、縦方向の振動の振幅の検出
値とその振幅の所定の目標値との偏差ΔAv、及び、横
方向の振動の振幅の検出値とその振動の所定の目標値と
の偏差ΔAhを算出する(ステップS4)。
【0058】その後、DSP26は、ステップS4で算
出した偏差ΔAv,ΔAhに基づいて、新たな探針駆動
ベクトルを下記の数1及び数2による演算により決定す
る(ステップS5)。
【0059】すなわち、DSP26は、ステップS5に
おいて、まず、下記の数1によって、前記偏差ΔAv,
ΔAhから、サーボ角(すなわち、プローブ1ひいては
探針部2のXZ平面と平行な当該面内の移動方向の補正
量)θを求める。つまり、前記偏差ΔAvに所定のゲイ
ン(所定係数)Gvを乗算した値と、前記偏差ΔAhに
所定のゲイン(所定係数)Ghを乗算した値との加算値
のアークタンジェントにより求めた角度を、サーボ角θ
とする。
【0060】
【数1】
【0061】DSP26は、ステップS5において、次
に、下記の数2によって、ベクトルの回転の行列を計算
することにより、現時点で得られている最新の探針駆動
ベクトルを前記サーボ角θだけ回転して新たな探針駆動
ベクトルを求める。
【0062】
【数2】
【0063】数2において、現時点t=nにおける探針
駆動ベクトルのX成分及びZ成分をXn,Znとし、そ
れをθ回転して得る次の時点t=n+1の探針駆動ベク
トル(新たに得る探針駆動ベクトル)のX成分及びZ成
分をXn+1,Zn+1とする。ここで、nはゼロ以上
の整数とする。
【0064】ステップS5の後に、DSP26は、ステ
ップS5で決定された新たな探針駆動ベクトルを、当該
DSP26内のメモリに記憶する(ステップS6)。
【0065】ステップS6が終了すると、ステップS3
に戻り、ステップS3〜S6の動作を繰り返す。
【0066】図4においては省略しているが、ステップ
S3〜S6を繰り返すことにより、探針部2がX方向の
所定の位置まで到達すると(すなわち、探針がX方向の
所定の範囲をトレースすると)、DSP26は、プロー
ブ1をY方向に所定距離移動させる移動指令を発生し、
その後、当該Y方向位置におけるXZ平面内において、
ステップS3〜S6を繰り返し、これらの動作を繰り返
してXY平面における所定の2次元の範囲について探針
部2を移動させる。これにより、測定が完了する。この
ように、本実施の形態では、各Y方向位置においてステ
ップS3〜6を繰り返すが、場合によっては、1つのY
方向位置においてのみステップS3〜S6を繰り返すだ
けでもよい。
【0067】以上の説明からわかるように、ステップS
6において順次記憶された探針駆動ベクトルは試料形状
を反映するものであり、Y方向位置と関連付けられてパ
ーソナルコンピュータ27に取り込まれ、表示装置28
により画像表示される。
【0068】次に、図4を参照して説明したDSP26
動作に従った探針部2の制御の具体的な様子の一例とそ
の物理的な意味について、図5を参照して説明する。図
5は、本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡におけ
る探針部2の制御の様子を模式的に示す図である。
【0069】前記ステップS1の動作が終了した後、試
料100から遠く離れた自由空間において、前記手法に
よりプローブ1を縦方向(Z方向)及び横方向(X方
向)に励振し、以後測定が完了するまでこれらの励振を
継続する。それらの励振による探針部2の縦方向の振動
の振幅及び横方向の振動の振幅を、それぞれ図5中に垂
直の矢印51及び水平の矢印52で示す。また、理解を
容易にするため、図5には、前記矢印51,52を軸と
した楕円53も示している。探針部2は自由空間におい
て振動しているため、その縦方向の振幅51及び横方向
の振幅52は共に比較的大きい。
【0070】次に、前記ステップS2によって、探針部
2をZ方向の矢印54の方向に動かし、探針部2を試料
100に近づける。すると、探針部2には試料100か
らのファンデルワールス力が作用し始める。探針部2が
近づく試料100の箇所がXY平面と略平行であるとす
ると、縦方向の振幅はファンデルワールス力の周期的な
変化によるプローブ1の共振周波数の変化により、横方
向の振幅はファンデルワールス力がシェアーフォースと
して働くためのダンピングにより、それぞれ減少する。
その減少により、縦方向の振幅が予め決められた目標値
となったところで、探針部2の試料1への接近を止め
る。この状態が前記ステップS2が終了して試料観察の
準備が整った状態である。このときの縦方向の振幅の目
標値及び横方向の振幅の目標値を、円55として示す。
なお、図5に示す例では、探針部2の試料1への接近が
終了したとき縦方向の振幅が予め決められた目標値とな
ったものとしている。
【0071】次に、前記ステップS3により、測定開始
時(時点t=0)において、予め決めておいた長さの水
平方向(X方向)の探針駆動ベクトル56の指示する地
点に探針部2を駆動する。この地点に探針部2が移動し
た時点が時点t=1である。時点t=1において、探針
部2と試料100との相対距離は時点t=0の時と変わ
らないため、縦横振幅共に目標値からの差はない。その
ため、時点t=1のときの探針部2の縦横方向の振幅を
示す円57は、時点t=0のときの円55と同じ大きさ
である。したがって、前記ステップS4,S5により求
められた新たな探針駆動ベクトルは前記探針駆動ベクト
ル56と同じになり、この探針駆動ベクトル56が新た
な探針駆動ベクトルとして前記ステップS6によりDS
P26内のメモリに記憶される。
【0072】そして、前記ステップS3により、再び探
針駆動ベクトル56の指示する地点に探針部2を駆動す
る。時点t=2の時より、探針部2と試料100の表面
の凸部の側壁との間の相対距離が狭くなる。すると、試
料側壁からのファンデルワールス力がカンチレバー部3
のねじれ振動の共振周波数を変化させ、探針部2の横方
向の振動の振幅が減少する。また、前記ファンデルワー
ルス力が探針部2の縦方向の振動に対してもダンピング
をかけるため、縦方向の振動の振幅も多少減少する。そ
のため、時点t=2において縦方向及び横方向の振動の
振幅がそれぞれ各目標値から小さくなり、時点t=2の
ときの探針部2の縦横方向の振幅を示す楕円58は、t
=0のときの円55及びt=1のときの円57より小さ
くなる。そのため、時点t=2において、前記ステップ
S4で求めた縦方向の振幅の偏差ΔAv及び横方向の振
幅の偏差はΔAhは、ゼロでなくある値をとる。このた
め、時点t=2において前記ステップS5で求めたサー
ボ角θはゼロではなくそれらの偏差ΔAv,ΔAhに応
じたある値をとり、時点t=2において前記ステップS
5で求めた探針駆動ベクトル56は、時点t=1で求め
られた探針駆動ベクトル56に対して当該サーボ角θだ
け回転したものとなる。前記ステップS5でこの新たに
求められた探針駆動ベクトル56は、前記ステップS6
によりDSP26内のメモリに記憶される。
【0073】次に、前記ステップS3により、新しく得
られた探針駆動ベクトル56の指示する地点に探針部2
を駆動する。時点t=3において、依然として探針部2
と試料側壁との相対距離が近いため、試料側壁からのフ
ァンデルワールス力が探針部2の先端に強く作用する。
そのため、探針部2の縦方向の振幅及び横方向の振幅
は、共に各目標値(円55)より小さい。前記ステップ
S4によりそれらの偏差ΔAv,ΔAhを算出し、前記
ステップS5により、それらの偏差ΔAv,ΔAhに応
じたサーボ角θを決定し、時点t=2で求められた探針
駆動ベクトル56に対して当該サーボ角θだけ回転し
て、時点t=3における新たな探針駆動ベクトル56を
決定する。前記ステップS5でこの新たに求められた探
針駆動ベクトル56は、前記ステップS6によりDSP
26内のメモリに記憶される。
【0074】次に、前記ステップS3により、新しく得
られた探針駆動ベクトル56の指示する地点に探針部2
を駆動する。時点t=4において、探針部2の先端と試
料側壁との相対距離は増加し、探針部2の先端に強く作
用していたファンデルワールス力は弱くなり、探針部2
の振幅は縦横共に目標値(円25)より大きくなる。前
記ステップS4によりそれらの偏差ΔAv,ΔAhを算
出し、前記ステップS5により、それらの偏差ΔAv,
ΔAhに応じたサーボ角θを決定する。このとき、偏差
ΔAv,ΔAhの符号は時点t=3のときと異なるた
め、サーボ角θはマイナスとなる。前記ステップS5に
おいて、サーボ角θは今までのものに対して反対の符号
を有したものなので、今までとは角度変化の方向が反対
に回転させられる。したがって、新たな探針駆動ベクト
ル56は時計回りに回転する。前記ステップS5でこの
新たに求められた探針駆動ベクトル56は、前記ステッ
プS6によりDSP26内のメモリに記憶される。
【0075】次に、前記ステップS3により、新しく得
られた探針駆動ベクトル56の指示する地点に探針部2
を駆動する。t=4において新たに得られた探針駆動ベ
クトル56が前述したように時計回りに回転したもので
あるため、時点t=5においては、探針部2の先端は再
び試料100に接近し、探針部2と試料100との間の
距離はほぼ理想状態となる。理想状態となると、探針部
2の振幅の目標値(円25)との偏差が少なくなり、探
針駆動ベクトル56の向きは大きく変化しない。
【0076】このように順次探針部2の縦横の振幅の偏
差ΔAv,ΔAhから、サーボ角θを決定し、探針駆動
ベクトル56に作用させて行くことにより、試料100
の表面の凸部又は凹部の側壁部も正確にトレースするこ
とができる。
【0077】以上説明したように、本実施の形態では、
従来の走査型プローブ顕微鏡と異なり、試料100と探
針部2との間の相互作用の変化を試料表面と垂直な縦方
向(Z方向)にのみフィードバックするのではなく、試
料100と探針部2との間の相互作用の変化をXZ平面
と平行な面内における探針部2の移動方向にフィードバ
ックしている。このため、本実施の形態によれば、試料
表面の凸部又は凹部の急峻な側壁においてもデータ数を
多くすることができるとともに、急峻な側壁に対し探針
部2がそれを乗り越える場合であっても探針部2のフィ
ードバックを安定させることができて探針部2が試料表
面を正確にトレースできることとなる。したがって、試
料表面の凸部又は凹部の側面等に関しても、高精度な測
定を行うことができる。
【0078】また、本実施の形態では、探針部2に縦横
両方向の励振を重畳させているので、探針部と試料10
0との相対的距離の変化を、縦横方向共に瞬時に、高感
度に検出できる。さらに、本実施の形態では、相対距離
の変化による探針部2の振幅の変化が急激に起こったと
しても、その偏差ΔAv,ΔAhにゲインGv,Ghを
掛けた項をアークタンジェントでサーボ角θを求めてい
るため、サーボ角θはプラス、マイナス90°を超える
ことがないように設定している。それは、探針部2が逆
戻りするようなことがなく、探針部2の移動制御を安定
させる上で好ましい。アークタンジェントにより角度の
補正量θを求めると、θが+−90゜以下となり、探針
が逆戻りしないという利点があるが、観察対象の表面が
非常に急峻な凹凸をもつ場合、補正量θを+−180゜
にまで広げた方がより試料表面を正確にトレースできる
場合、前記アークタンジェントを使って求めたθに所定
数、この場合1から2の数を掛けると、得られる補正量
θは+−180゜以内となる。
【0079】なお、本実施の形態では、前述したよう
に、探針駆動ベクトルの長さ(1ステップの駆動により
移動させる距離)は常に一定とし、その方向のみを制御
することとしているが、本発明では、必要に応じて、探
針駆動ベクトルの長さも制御してもよい。この場合、例
えば、前記ステップS5において新たな探針駆動ベクト
ルを決定する際に、前記偏差ΔAv,ΔAhが大きい場
合には探針駆動ベクトルの長さを短くし、前記偏差ΔA
v,ΔAhが小さい場合には探針駆動ベクトルの長さを
長くすれば、試料表面の形状変化の大きい箇所ではデー
タ数を多くするとともに形状変化の小さい箇所ではデー
タ数を小さくすることができ、測定の高精度化と測定の
高速化やメモリ容量の低減化との両立を図ることができ
る。また、本実施の形態ではアークタンジェントを使っ
て補正量θを求めたが、偏差にある値を掛けた値をその
まま補正量θとしてもよい。この場合、アークタンジェ
ントを計算する時間が必要なくなり、より高速に探針に
フィードバックをかけることができる。ただし、偏差が
大きいと、補正量θが90゜以上となり、探針が逆戻り
してしまったり、180゜以上となり、フィードバック
が意味を成さなくなってしまう場合が起こり得る。この
場合、偏差が所定の量以上となった場合、所定量以上を
切り捨て、所定量に補正量θをまるめる。
【0080】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡について、図
6を参照して説明する。
【0081】なお、本実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡は、前記第1の実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡の一部を変形したものであるので、以下の説明に
おいては、図1乃至図4も参照する。
【0082】本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡
が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する
点のみである。
【0083】本実施の形態では、従来の非接触モードの
原子間力顕微鏡のように、探針部2を縦方向(Z方向)
にのみ振動させる。したがって、本実施の形態では、図
1中のロックインアンプ21、A/D変換器23及び発
振回路25は不要となり、また、図1中の4分割フォト
ダイオード18に代えて2分割フォトディテクタを用い
ることができ、図2中の振動子15に代えて単なる支持
ブロックを用いることができる。
【0084】本実施の形態では、探針部2を縦方向にの
み振動させることに応じて、DSP26は次のように動
作する。
【0085】すなわち、本実施の形態では、DSP26
は、発振回路24を介して振動子14を作動させつつ、
各Y方向位置におけるXZ平面と平行な各面内におい
て、当該面内の方向であって、前記縦方向(Z方向)の
振動の振幅が一定となるような方向に、プローブ1が移
動するように、A/D変換器22からの縦方向の振動の
振幅の検出値に基づいて、D/A変換器29,30,3
1及び駆動回路32を介してX,Y,Z方向用圧電駆動
部材10,11,8にそれぞれ駆動信号を与え、プロー
ブ1の試料表面に対する相対的な移動を制御する。すな
わち、A/D変換器22からの縦方向の振動の振幅の検
出値は、DSP26により絶えず探針部2のXZ平面と
平行な面内における移動方向にフィードバックされる。
【0086】ここで、このようなDSP26の動作の一
具体例について、説明する。このDSP26の動作の基
本的な流れは、前記第1の実施の形態におけるDSP2
6の動作の基本的な流れと同様であるので、再び図4を
参照することとする。
【0087】まず、DSP26は、オートチューニング
動作を行う(ステップS1)。すなわち、DSP26
は、発振回路24を作動させてその励振周波数を変化さ
せつつ、A/D変換器22からの信号を得、このデータ
に基づいて以後の動作において使用する励振周波数を自
動的に決定する。
【0088】本実施の形態では、以後の動作において
は、DSP26は、この決定した励振周波数で発振回路
24を作動させ続ける。
【0089】次に、DSP26は、予め定めたY方向位
置及びX方向位置において、探針部2が試料表面から十
分に離れたZ方向位置からZ方向に移動して試料に近接
していくように、駆動指令を発生してプローブ1をZ方
向に移動させていく。そして、DSP26は、A/D変
換器22からの縦方向の振動の振幅の検出値が所定の目
標値になったときに、駆動指令を停止し、探針部2の試
料への接近を止める(ステップS2)。
【0090】以上のステップS1,S2がいわば測定の
準備段階である。
【0091】その後、DSP26は、現時点で得られて
いる最新の探針駆動ベクトルに従った駆動指令を発生
し、当該探針駆動ベクトルに従ってプローブ1ひいては
探針部2を移動させる(ステップS3)。このステップ
S3の動作は、前記第1の実施の形態におけるステップ
S3の動作と同一である。
【0092】次に、DSP26は、A/D変換器22か
ら縦方向の振動の振幅の検出値を取り込み、縦方向の振
動の振幅の検出値とその振幅の所定の目標値との偏差Δ
Avを算出する(ステップS4)。
【0093】その後、DSP26は、ステップS4で算
出した偏差ΔAvに基づいて、新たな探針駆動ベクトル
を下記の数3及び前述した数2による演算により決定す
る(ステップS5)。
【0094】すなわち、DSP26は、ステップS5に
おいて、まず、下記の数3によって、前記偏差ΔAvか
ら、サーボ角(すなわち、プローブ1ひいては探針部2
のXZ平面と平行な当該面内の移動方向の補正量)θを
求める。つまり、前記偏差ΔAvに所定のゲイン(所定
係数)Gvを乗算した値のアークタンジェントにより求
めた角度を、サーボ角θとする。
【0095】
【数3】
【0096】DSP26は、ステップS5において、次
に、前述した数2によって、ベクトルの回転の行列を計
算することにより、現時点で得られている最新の探針駆
動ベクトルを前記サーボ角θだけ回転して新たな探針駆
動ベクトルを求める。
【0097】ステップS5の後に、DSP26は、ステ
ップS5で決定された新たな探針駆動ベクトルを、当該
DSP26内のメモリに記憶する(ステップS6)。
【0098】ステップS6が終了すると、ステップS3
に戻り、ステップS3〜S6の動作を繰り返す。
【0099】図4においては省略しているが、ステップ
S3〜S6を繰り返すことにより、探針部2がX方向の
所定の位置まで到達すると(すなわち、探針がX方向の
所定の範囲をトレースすると)、DSP26は、プロー
ブ1をY方向に所定距離移動させる移動指令を発生し、
その後、当該Y方向位置におけるXZ平面内において、
ステップS3〜S6を繰り返し、これらの動作を繰り返
してXY平面における所定の2次元の範囲について探針
部2を移動させる。これにより、測定が完了する。この
ように、本実施の形態では、各Y方向位置においてステ
ップS3〜6を繰り返すが、場合によっては、1つのY
方向位置においてのみステップS3〜S6を繰り返すだ
けでもよい。
【0100】以上の説明からわかるように、ステップS
6において順次記憶された探針駆動ベクトルは試料形状
を反映するものであり、Y方向位置と関連付けられてパ
ーソナルコンピュータ27に取り込まれ、表示装置28
により画像表示される。
【0101】次に、図4を参照して説明したDSP26
動作に従った探針部2の制御の具体的な様子の一例とそ
の物理的な意味について、図6を参照して説明する。図
6は、本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡におけ
る探針部2の制御の様子を模式的に示す図である。
【0102】前記ステップS1の動作が終了した後、試
料100から遠く離れた自由空間において、前記手法に
よりプローブ1を縦方向(Z方向)に励振し、以後測定
が完了するまでこの励振を継続する。その励振による探
針部2の縦方向の振動の振幅を、図6中に垂直の矢印5
1で示す。探針部2は自由空間において振動しているた
め、その縦方向の振幅51は比較的大きい。
【0103】次に、前記ステップS2によって、探針部
2をZ方向の矢印54の方向に動かし、探針部2を試料
100に近づける。すると、探針部2には試料100か
らのファンデルワールス力が作用し始める。探針部2が
近づく試料100の箇所がXY平面と略平行であるとす
ると、縦方向の振幅は、ファンデルワールス力の周期的
な変化によるプローブ1の共振周波数の変化により、減
少する。その減少により、縦方向の振幅が予め決められ
た目標値となったところで、探針部2の試料100への
接近を止める。この状態が前記ステップS2が終了して
試料観察の準備が整った状態である。このときの縦方向
の振幅の目標値を、矢印55として示す。
【0104】次に、前記ステップS3により、測定開始
時(時点t=0)において、予め決めておいた長さの水
平方向(X方向)の探針駆動ベクトル56の指示する地
点に探針部2を駆動する。この地点に探針部2が移動し
た時点が時点t=1である。時点t=1において、探針
部2と試料100との相対距離は時点t=0の時と変わ
らないため、縦方向の振幅は目標値からの差はない。そ
のため、時点t=1のときの探針部2の縦方向の振幅を
示す矢印57は、時点t=0のときの矢印55と同じ大
きさである。したがって、前記ステップS4,S5によ
り求められた新たな探針駆動ベクトルは前記探針駆動ベ
クトル56と同じになり、この探針駆動ベクトル56が
新たな探針駆動ベクトルとして前記ステップS6により
DSP26内のメモリに記憶される。
【0105】そして、前記ステップS3により、再び探
針駆動ベクトル56の指示する地点に探針部2を駆動す
る。時点t=2において、探針部2と試料100の表面
の凸部の側壁との間の相対距離が狭くなる。すると、試
料側壁からのファンデルワールス力が探針部2の縦方向
の振動に対してダンピングを与えるため、縦方向の振動
の振幅が減少する。そのため、時点t=2において縦方
向の振動の振幅が目標値から小さくなり、時点t=2の
ときの探針部2の縦方向の振幅を示す矢印58は、t=
0のときの矢印55及びt=1のときの矢印57より小
さくなる。そのため、時点t=2において、前記ステッ
プS4で求めた縦方向の振幅の偏差ΔAvは、ゼロでな
くある値をとる。このため、時点t=2において前記ス
テップS5で求めたサーボ角θはゼロではなくその偏差
ΔAvに応じたある値をとり、時点t=2において前記
ステップS5で求めた探針駆動ベクトル56は、時点t
=1で求められた探針駆動ベクトル56に対して当該サ
ーボ角θだけ回転したものとなる。前記ステップS5で
この新たに求められた探針駆動ベクトル56は、前記ス
テップS6によりDSP26内のメモリに記憶される。
【0106】次に、前記ステップS3により、新しく得
られた探針駆動ベクトル56の指示する地点に探針部2
を駆動する。この地点に探針部2が移動した時点が時点
t=3である。
【0107】このように順次探針部2の縦方向の振動の
振幅の偏差ΔAvから、サーボ角θを決定し、探針駆動
ベクトル56に作用させて行くことにより、試料100
の表面の凸部又は凹部の側壁部も正確にトレースするこ
とができる。
【0108】以上説明したように、本実施の形態におい
ても、試料100と探針部2との間の相互作用の変化を
XZ平面と平行な面内における探針部2の移動方向にフ
ィードバックしている。このため、本実施の形態によっ
ても、試料表面の凸部又は凹部の側面等に関しても、デ
ータの数を多くすることができるとともに、探針部2を
試料表面に対して両者に作用する相互作用に応じて正確
にトレースさせることができ、高精度な測定を行うこと
ができる。
【0109】また、本実施の形態では、探針部を縦方向
のみに励振しているが、試料100の側壁からのファン
デルワールス力によるダンピングも検出できるため、試
料100の底面との相対距離のみならず、側壁との相対
距離も検出することができる。さらに、本実施の形態に
おいても、検出された振幅の変化からは、やはりアーク
タンジェントによりサーボ角θが決められているため、
探針が逆戻りするようなことがなく、探針部2の移動制
御を安定させる上で好ましい。
【0110】なお、本実施の形態においても、探針駆動
ベクトルの長さ(1ステップの駆動により移動させる距
離)は常に一定とし、その方向のみを制御することとし
ているが、必要に応じて、探針駆動ベクトルの長さも制
御してもよい。
【0111】(第3の実施の形態)次に、本発明の第3
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡について、図
7を参照して説明する。
【0112】なお、本実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡は、前記第1の実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡の一部を変形したものであるので、以下の説明に
おいては、図1乃至図4も参照する。
【0113】本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡
が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する
点のみである。
【0114】本実施の形態では、探針部2を横方向(X
方向)にのみ振動させる。したがって、本実施の形態で
は、図1中のロックインアンプ20、A/D変換器22
及び発振回路24は不要となり、また、図1中の4分割
フォトダイオード18に代えて2分割フォトディテクタ
を用いることができ、図2中の振動子14に代えて単な
る支持ブロックを用いることができる。
【0115】本実施の形態では、探針部2を横方向にの
み振動させることに応じて、DSP26は次のように動
作する。
【0116】すなわち、本実施の形態では、DSP26
は、発振回路25を介して振動子15を作動させつつ、
各Y方向位置におけるXZ平面と平行な各面内におい
て、当該面内の方向であって、前記横方向(X方向)の
振動の振幅が一定となるような方向に、プローブ1が移
動するように、A/D変換器23からの横方向の振動の
振幅の検出値に基づいて、D/A変換器29,30,3
1及び駆動回路32を介してX,Y,Z方向用圧電駆動
部材10,11,8にそれぞれ駆動信号を与え、プロー
ブ1の試料表面に対する相対的な移動を制御する。すな
わち、A/D変換器23からの横方向の振動の振幅の検
出値は、DSP26により絶えず探針部2のXZ平面と
平行な面内における移動方向にフィードバックされる。
【0117】ここで、このようなDSP26の動作の一
具体例について、説明する。このDSP26の動作の基
本的な流れは、前記第1の実施の形態におけるDSP2
6の動作の基本的な流れと同様であるので、再び図4を
参照することとする。
【0118】まず、DSP26は、オートチューニング
動作を行う(ステップS1)。すなわち、DSP26
は、発振回路25を作動させてその励振周波数を変化さ
せつつ、A/D変換器23からの信号を得、このデータ
に基づいて以後の動作において使用する励振周波数を自
動的に決定する。
【0119】本実施の形態では、以後の動作において
は、DSP26は、この決定した励振周波数で発振回路
25を作動させ続ける。
【0120】次に、DSP26は、予め定めたY方向位
置及びX方向位置において、探針部2が試料表面から十
分に離れたZ方向位置からZ方向に移動して試料に近接
していくように、駆動指令を発生してプローブ1をZ方
向に移動させていく。そして、DSP26は、A/D変
換器23からの横方向の振動の振幅の検出値が所定の目
標値になったときに、駆動指令を停止し、探針部2の試
料への接近を止める(ステップS2)。
【0121】以上のステップS1,S2がいわば測定の
準備段階である。
【0122】その後、DSP26は、現時点で得られて
いる最新の探針駆動ベクトルに従った駆動指令を発生
し、当該探針駆動ベクトルに従ってプローブ1ひいては
探針部2を移動させる(ステップS3)。このステップ
S3の動作は、前記第1の実施の形態におけるステップ
S3の動作と同一である。
【0123】次に、DSP26は、A/D変換器23か
ら横方向の振動の振幅の検出値を取り込み、横方向の振
動の振幅の検出値とその振幅の所定の目標値との偏差Δ
Ahを算出する(ステップS4)。
【0124】その後、DSP26は、ステップS4で算
出した偏差ΔAhに基づいて、新たな探針駆動ベクトル
を下記の数4及び前述した数2による演算により決定す
る(ステップS5)。
【0125】すなわち、DSP26は、ステップS5に
おいて、まず、下記の数4によって、前記偏差ΔAhか
ら、サーボ角(すなわち、プローブ1ひいては探針部2
のXZ平面と平行な当該面内の移動方向の補正量)θを
求める。つまり、前記偏差ΔAhに所定のゲイン(所定
係数)Ghを乗算した値のアークタンジェントにより求
めた角度を、サーボ角θとする。
【0126】
【数4】
【0127】DSP26は、ステップS5において、次
に、前述した数2によって、ベクトルの回転の行列を計
算することにより、現時点で得られている最新の探針駆
動ベクトルを前記サーボ角θだけ回転して新たな探針駆
動ベクトルを求める。
【0128】ステップS5の後に、DSP26は、ステ
ップS5で決定された新たな探針駆動ベクトルを、当該
DSP26内のメモリに記憶する(ステップS6)。
【0129】ステップS6が終了すると、ステップS3
に戻り、ステップS3〜S6の動作を繰り返す。
【0130】図4においては省略しているが、ステップ
S3〜S6を繰り返すことにより、探針部2がX方向の
所定の位置まで到達すると(すなわち、探針がX方向の
所定の範囲をトレースすると)、DSP26は、プロー
ブ1をY方向に所定距離移動させる移動指令を発生し、
その後、当該Y方向位置におけるXZ平面内において、
ステップS3〜S6を繰り返し、これらの動作を繰り返
してXY平面における所定の2次元の範囲について探針
部2を移動させる。これにより、測定が完了する。この
ように、本実施の形態では、各Y方向位置においてステ
ップS3〜6を繰り返すが、場合によっては、1つのY
方向位置においてのみステップS3〜S6を繰り返すだ
けでもよい。
【0131】以上の説明からわかるように、ステップS
6において順次記憶された探針駆動ベクトルは試料形状
を反映するものであり、Y方向位置と関連付けられてパ
ーソナルコンピュータ27に取り込まれ、表示装置28
により画像表示される。
【0132】次に、図4を参照して説明したDSP26
動作に従った探針部2の制御の具体的な様子の一例とそ
の物理的な意味について、図7を参照して説明する。図
7は、本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡におけ
る探針部2の制御の様子を模式的に示す図である。
【0133】前記ステップS1の動作が終了した後、試
料100から遠く離れた自由空間において、前記手法に
よりプローブ1を横方向(X方向)に励振し、以後測定
が完了するまでこの励振を継続する。その励振による探
針部2の横方向の振動の振幅を、図7中に水平の矢印5
2で示す。探針部2は自由空間において振動しているた
め、その縦方向の振幅52は比較的大きい。
【0134】次に、前記ステップS2によって、探針部
2をZ方向の矢印54の方向に動かし、探針部2を試料
100に近づける。すると、探針部2には試料100か
らのファンデルワールス力が作用し始める。探針部2が
近づく試料100の箇所がXY平面と略平行であるとす
ると、横方向の振幅は、ファンデルワールス力がシェア
ーフォースとして働くためのダンピングにより、減少す
る。その減少により、横方向の振幅が予め決められた目
標値となったところで、探針部2の試料100への接近
を止める。この状態が前記ステップS2が終了して試料
観察の準備が整った状態である。このときの横方向の振
幅の目標値を、矢印55として示す。
【0135】次に、前記ステップS3により、測定開始
時(時点t=0)において、予め決めておいた長さの水
平方向(X方向)の探針駆動ベクトル56の指示する地
点に探針部2を移動する。この地点に探針部2が移動し
た時点が時点t=1である。時点t=1において、探針
部2と試料100との相対距離は時点t=0の時と変わ
らないため、横方向の振幅は目標値からの差はない。そ
のため、時点t=1のときの探針部2の横方向の振幅を
示す矢印57は、時点t=0のときの矢印55と同じ大
きさである。したがって、前記ステップS4,S5によ
り求められた新たな探針駆動ベクトルは前記探針駆動ベ
クトル56と同じになり、この探針駆動ベクトル56が
新たな探針駆動ベクトルとして前記ステップS6により
DSP26内のメモリに記憶される。
【0136】そして、前記ステップS3により、再び探
針駆動ベクトル56の指示する地点に探針部2を駆動す
る。時点t=2において、探針部2と試料100の表面
の凸部の側壁との間の相対距離が狭くなる。すると、試
料側壁からのファンデルワールス力が横方向の振動して
いる探針部2に周期的に作用するため、カンチレバー部
3のねじれ共振周波数が変化し、横方向の振動の振幅が
減少する。そのため、時点t=2において横方向の振動
の振幅が目標値から小さくなり、時点t=2のときの探
針部2の横方向の振幅を示す矢印58は、t=0のとき
の矢印55及びt=1のときの矢印57より小さくな
る。そのため、時点t=2において、前記ステップS4
で求めた横方向の振幅の偏差ΔAhは、ゼロでなくある
値をとる。このため、時点t=2において前記ステップ
S5で求めたサーボ角θはゼロではなくその偏差ΔAh
に応じたある値をとり、時点t=2において前記ステッ
プS5で求めた探針駆動ベクトル56は、時点t=1で
求められた探針駆動ベクトル56に対して当該サーボ角
θだけ回転したものとなる。前記ステップS5でこの新
たに求められた探針駆動ベクトル56は、前記ステップ
S6によりDSP26内のメモリに記憶される。
【0137】次に、前記ステップS3により、新しく得
られた探針駆動ベクトル56の指示する地点に探針部2
を駆動する。この地点に探針部2が移動した時点が時点
t=3である。
【0138】このように順次探針部2の横方向の振動の
振幅の偏差ΔAhから、サーボ角θを決定し、探針駆動
ベクトル56に作用させて行くことにより、試料100
の表面の凸部又は凹部の側壁部も正確にトレースするこ
とができる。
【0139】以上説明したように、本実施の形態におい
ても、試料100と探針部2との間の相互作用の変化を
XZ平面と平行な面内における探針部2の移動方向にフ
ィードバックしている。このため、本実施の形態によっ
ても、試料表面の凸部又は凹部の側面等に関しても、デ
ータの数を多くすることができるとともに、探針部2を
試料表面に対して両者に作用する相互作用に応じて正確
にトレースさせることができ、高精度な測定を行うこと
ができる。
【0140】また、本実施の形態では、探針部を横方向
のみに励振しているが、試料100の側壁からのファン
デルワールス力によるダンピングも検出できるため、試
料100の側壁との相対距離のみならず、底面との相対
距離も検出することができる。さらに、本実施の形態に
おいても、検出された振幅の変化からは、やはりアーク
タンジェントによりサーボ角θが決められているため、
探針が逆戻りするようなことがなく、探針部2の移動制
御を安定させる上で好ましい。
【0141】なお、本実施の形態においても、探針駆動
ベクトルの長さ(1ステップの駆動により移動させる距
離)は常に一定とし、その方向のみを制御することとし
ているが、必要に応じて、探針駆動ベクトルの長さも制
御してもよい。
【0142】(第4の実施の形態)次に、本発明の第4
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡について、図
8及び図9を参照して説明する。
【0143】なお、本実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡は、前記第1の実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡の一部を変形したものであるので、以下の説明に
おいては、図1乃至図3も参照する。
【0144】本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡
が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する
点のみである。
【0145】本実施の形態では、探針部2に励起する縦
方向の励振と横方向の励振とを、同時には行わず、探針
部2と試料との相対関係により使い分ける。
【0146】このため、本実施の形態では、DSP26
は、第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替え
て行う。
【0147】DSP26は、前記第1の制御モードで
は、発振回路24を介して振動子14を作動させるとと
もに発振回路25を介して振動子15の作動を停止させ
つつ、各Y方向位置におけるXZ平面と平行な各面内に
おいて、当該面内の方向であって、前記縦方向(Z方
向)の振動の振幅が一定となるような方向に、プローブ
1が移動するように、A/D変換器22からの縦方向の
振動の振幅の検出値に基づいて、D/A変換器29,3
0,31及び駆動回路32を介してX,Y,Z方向用圧
電駆動部材10,11,8にそれぞれ駆動信号を与え、
プローブ1の試料表面に対する相対的な移動を制御す
る。すなわち、第1の制御モードでは、A/D変換器2
2からの縦方向の振動の振幅の検出値は、DSP26に
より絶えず探針部2のXZ平面と平行な面内における移
動方向にフィードバックされる。
【0148】一方、DSP26は、前記第2の制御モー
ドでは、発振回路24を介して振動子14の作動を停止
させるとともに発振回路25を介して振動子15を作動
させつつ、当該面内において、当該面内の方向であっ
て、前記横方向(X方向)の振動の振幅が一定となるよ
うな方向に、プローブ1が移動するように、A/D変換
器23からの横方向の振動の振幅の検出値に基づいて、
D/A変換器29,30,31及び駆動回路32を介し
てX,Y,Z方向用圧電駆動部材10,11,8にそれ
ぞれ駆動信号を与え、プローブ1の試料表面に対する相
対的な移動を制御する。すなわち、第2の制御モードで
は、A/D変換器23からの縦方向の振動の振幅の検出
値は、DSP26により絶えず探針部2のXZ平面と平
行な面内における移動方向にフィードバックされる。
【0149】そして、DSP26は、プローブ1ひいて
は探針部2の移動指令方向がX方向に対してなす角度の
絶対値が所定角度(本実施の形態では、45゜)より小
さくなる場合には前記第1の制御モードを行い、プロー
ブ1ひいては探針部2の移動指令方向がX方向に対して
なす角度の絶対値が所定角度(本実施の形態では、45
゜)より大きくなる場合には前記第2の制御モードを行
う。
【0150】ここで、このようなDSP26の動作の一
具体例について、図8を参照して説明する。図8は、本
実施の形態におけるDSP26の動作の一例を示す概略
フローチャートである。
【0151】まず、DSP26は、オートチューニング
動作を行う(ステップS11)。すなわち、DSP26
は、発振回路24,25をそれぞれ同時又は順次に作動
させてその各励振周波数を変化させつつ、A/D変換器
22,23からの信号を得、このデータに基づいて以後
の動作において使用する各励振周波数を自動的に決定す
る。
【0152】次に、DSP26は、発振回路24(した
がって、振動子14)を作動させるとともに発振回路2
5(したがって、振動子15)の作動を停止させつつ、
予め定めたY方向位置及びX方向位置において、探針部
2が試料表面から十分に離れたZ方向位置からZ方向に
移動して試料に近接していくように、駆動指令を発生し
てプローブ1をZ方向に移動させていく。そして、DS
P26は、A/D変換器22からの縦方向の振動の振幅
の検出値が所定の目標値になったときに、駆動指令を停
止し、探針部2の試料への接近を止める(ステップS1
2)。
【0153】以上のステップS11,S12がいわば測
定の準備段階である。
【0154】その後、DSP26は、発振回路24を作
動させるとともに発振回路25の作動を停止させる(ス
テップS13)。ステップS13以後は、後述するステ
ップS19に至るまで、発振回路24を作動させるとと
もに発振回路25の作動を停止させる状態が継続され
る。
【0155】次に、DSP26は、現時点で得られてい
る最新の探針駆動ベクトルに従った駆動指令を発生し、
当該探針駆動ベクトルに従ってプローブ1ひいては探針
部2を移動させる(ステップS14)。このステップS
14の動作は、前記第1の実施の形態におけるステップ
S3の動作と同一である。
【0156】次に、DSP26は、A/D変換器22か
ら縦方向の振動の振幅の検出値を取り込み、縦方向の振
動の振幅の検出値とその振幅の所定の目標値との偏差Δ
Avを算出する(ステップS15)。
【0157】その後、DSP26は、ステップS4で算
出した偏差ΔAvに基づいて、新たな探針駆動ベクトル
を前述した数3及び前述した数2による演算により決定
する(ステップS16)。
【0158】すなわち、DSP26は、ステップS16
において、まず、前述した数3によって、前記偏差ΔA
vから、サーボ角(すなわち、プローブ1ひいては探針
部2のXZ平面と平行な当該面内の移動方向の補正量)
θを求める。つまり、前記偏差ΔAvに所定のゲイン
(所定係数)Gvを乗算した値のアークタンジェントに
より求めた角度を、サーボ角θとする。
【0159】DSP26は、ステップS16において、
次に、前述した数2によって、ベクトルの回転の行列を
計算することにより、現時点で得られている最新の探針
駆動ベクトルを前記サーボ角θだけ回転して新たな探針
駆動ベクトルを求める。
【0160】ステップS16の後に、DSP26は、ス
テップSで決定された新たな探針駆動ベクトルを、当該
DSP26内のメモリに記憶する(ステップS6)。
【0161】次いで、DSP26は、ステップS16で
決定された探針駆動ベクトルによって定まる駆動指令方
向がX方向となす角度θ’が45゜以下であるか否かを
判定する(ステップS18)。45゜以下であれば、ス
テップS13に戻り、ステップS13〜ステップS18
の動作を繰り返す。
【0162】ステップS18において45゜以下ではな
い(すなわち、45゜より大きい)と判定されると、ス
テップS19へ移行する。
【0163】ステップS19において、DSP26は、
発振回路24の作動を停止させるとともに発振回路25
を作動させる。ステップS19以後は、後述する前記ス
テップS13に至るまで、発振回路24の作動を停止さ
せるとともに発振回路25を作動させる状態が継続され
る。
【0164】その後、DSP26は、現時点で得られて
いる最新の探針駆動ベクトルに従った駆動指令を発生
し、当該探針駆動ベクトルに従ってプローブ1ひいては
探針部2を移動させる(ステップS20)。このステッ
プS20の動作は、前記第1の実施の形態におけるステ
ップS3の動作と同一である。
【0165】次に、DSP26は、A/D変換器23か
ら横方向の振動の振幅の検出値を取り込み、横方向の振
動の振幅の検出値とその振幅の所定の目標値との偏差Δ
Ahを算出する(ステップS21)。
【0166】その後、DSP26は、ステップS21で
算出した偏差ΔAhに基づいて、新たな探針駆動ベクト
ルを前述した数4及び前述した数2による演算により決
定する(ステップS22)。
【0167】すなわち、DSP26は、ステップS22
において、まず、前述した数4によって、前記偏差ΔA
hから、サーボ角(すなわち、プローブ1ひいては探針
部2のXZ平面と平行な当該面内の移動方向の補正量)
θを求める。つまり、前記偏差ΔAhに所定のゲイン
(所定係数)Ghを乗算した値のアークタンジェントに
より求めた角度を、サーボ角θとする。
【0168】DSP26は、ステップS22において、
次に、前述した数2によって、ベクトルの回転の行列を
計算することにより、現時点で得られている最新の探針
駆動ベクトルを前記サーボ角θだけ回転して新たな探針
駆動ベクトルを求める。
【0169】ステップS22の後に、DSP26は、ス
テップS22で決定された新たな探針駆動ベクトルを、
当該DSP26内のメモリに記憶する(ステップS2
3)。
【0170】次いで、DSP26は、ステップS22で
決定された探針駆動ベクトルによって定まる駆動指令方
向がX方向となす角度θ’が45゜以下であるか否かを
判定する(ステップS24)。45゜以下であれば、ス
テップS19に戻り、ステップS19〜ステップS24
の動作を繰り返す。
【0171】ステップS18において45゜以下ではな
い(すなわち、45゜より大きい)と判定されると、ス
テップS13へ戻り、ステップS13〜ステップS24
の動作を繰り返す。
【0172】図4においては省略しているが、ステップ
S13〜S24を繰り返すことにより、探針部2がX方
向の所定の位置まで到達すると(すなわち、探針がX方
向の所定の範囲をトレースすると)、DSP26は、プ
ローブ1をY方向に所定距離移動させる移動指令を発生
し、その後、当該Y方向位置におけるXZ平面内におい
て、ステップS13〜S24を繰り返し、これらの動作
を繰り返してXY平面における所定の2次元の範囲につ
いて探針部2を移動させる。これにより、測定が完了す
る。このように、本実施の形態では、各Y方向位置にお
いてステップS13〜24を繰り返すが、場合によって
は、1つのY方向位置においてのみステップS13〜S
24を繰り返すだけでもよい。
【0173】なお、ステップS13〜S17が前述した
第1の制御モードに相当し、ステップS19〜ステップ
S23が前述した第2の制御モードに相当している。
【0174】以上の説明からわかるように、ステップS
17,S23において順次記憶された探針駆動ベクトル
は試料形状を反映するものであり、Y方向位置と関連付
けられてパーソナルコンピュータ27に取り込まれ、表
示装置28により画像表示される。
【0175】次に、図8を参照して説明したDSP26
動作に従った探針部2の制御の具体的な様子の一例とそ
の物理的な意味について、図9を参照して説明する。図
9は、本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡におけ
るプローブ1の移動制御の様子を模式的に示す図であ
る。
【0176】前記ステップS11の動作が終了した後、
試料観察の準備段階においては、探針部2は試料100
から高さ方向(Z方向)に遠く離れていると仮定され
る。つまり、試料100は探針部2の下方向に位置する
と仮定される。そこで、前記ステップS12において、
探針部2と試料100の存在する方向と平行な方向の振
動である縦方向の振動を探針部2に励起する。この時の
探針部2の振幅を図9中に矢印51で示す。探針部2は
自由空間において振動しているため、その縦方向の振幅
51は比較的大きい。
【0177】次に、前記ステップS12によって、探針
部2を矢印54の方向に動かし、探針部2を試料100
に近づける。すると、探針部2には試料100からのフ
ァンデルワールス力が作用し始める。縦方向の振幅は、
ファンデルワールス力の主基的な変化によるプローブ1
の共振周波数の変換により、減少する。その減少によ
り、縦方向の振幅が予め決められた目標値となったとこ
ろで、探針部2の試料100への接近を止める。この状
態が前記ステップS12が終了して試料観察の準備が整
った状態である。このときの縦方向の振幅の目標値を、
矢印55として示す。
【0178】次に、前記ステップ13により、探針部2
を縦方向に振動させるとともに横方向には振動させない
状態が継続される。
【0179】次に、前記ステップS14により、測定開
始時(時点t=0)において、予め決めておいた長さの
水平方向(X方向)の探針駆動ベクトル56の指示する
地点に探針部2を駆動する。この地点に探針部2が移動
した時点が時点t=1である。時点t=1において、探
針部2と試料100との相対距離は時点t=0の時と変
わらないため、縦方向の振幅は目標値からの差はない。
そのため、時点t=1のときの探針部2の縦方向の振幅
を示す矢印57は、時点t=0のときの矢印55と同じ
大きさである。したがって、前記ステップS15,S1
6により求められた新たな探針駆動ベクトルは前記探針
駆動ベクトル56と同じになり、この探針駆動ベクトル
56が新たな探針駆動ベクトルとして前記ステップS1
7によりDSP26内のメモリに記憶される。
【0180】次に、前記ステップS18によりステップ
S16で決定された探針駆動ベクトル26によって定ま
る駆動指令方向がX方向となす角度θ’が45゜以下で
あるか否かを判定するが、時点t=1の場合には当該角
度θ’が0゜であるので、前記ステップS13戻る。
【0181】そして、前記ステップS13により、再び
探針駆動ベクトル56の指示する地点に探針部2を駆動
する。時点t=2において、探針部2と試料100の表
面の凸部の側壁との間の相対距離が狭くなる。すると、
試料側壁からのファンデルワールス力が探針部2の縦方
向の振動に対してダンピングを与えるため、縦方向の振
動の振幅が減少する。そのため、時点t=2において縦
方向の振動の振幅が目標値から小さくなり、時点t=2
のときの探針部2の縦方向の振幅を示す矢印58は、t
=0のときの矢印55及びt=1のときの矢印57より
小さくなる。そのため、時点t=2において、前記ステ
ップS14で求めた縦方向の振幅の偏差ΔAvは、ゼロ
でなくある値をとる。このため、時点t=2において前
記ステップS5で求めたサーボ角θはゼロではなくその
偏差ΔAvに応じたある値をとり、時点t=2において
前記ステップS16で求めた探針駆動ベクトル56は、
時点t=1で求められた探針駆動ベクトル56に対して
当該サーボ角θだけ回転したものとなる。前記ステップ
S16でこの新たに求められた探針駆動ベクトル56
は、前記ステップS17によりDSP26内のメモリに
記憶される。
【0182】次に、時点t=2において前記ステップS
18によりステップS16で決定された探針駆動ベクト
ル26によって定まる駆動指令方向がX方向となす角度
θ’が45゜以下であるか否かを判定する。45゜以下
ではない場合、すなわち、時点t=2において得られた
探針駆動ベクトル26の方向がX方向から45゜以上回
転された場合、探針部2は試料100の底面より試料1
00の側面に接近していると考えられる。そこで、この
場合、前記ステップS19により、探針部2を縦方向に
振動させないとともに横方向には振動させる状態とし、
この状態を継続する。次いで、前記ステップS20によ
り、新しく得られた探針駆動ベクトル56の指示する地
点に探針部2を駆動する。この地点に探針部2が移動し
た時点が時点t=3である。以後、前述したのと同様の
サーボ動作を繰り返す。
【0183】図9に示す例では、時点t=7において再
び探針駆動ベクトルの向きが水平方向から45°以下と
なっている。そのため、次の時点t=8においては、探
針部2は横方向の振動から再び縦方向の振動に切り替え
られている。
【0184】以上説明したように、本実施の形態におい
ても、試料100と探針部2との間の相互作用の変化を
XZ平面と平行な面内における探針部2の移動方向にフ
ィードバックしている。このため、本実施の形態によっ
ても、試料表面の凸部又は凹部の側面等に関しても、デ
ータの数を多くすることができるとともに、探針部2を
試料表面に対して両者に作用する相互作用に応じて正確
にトレースさせることができ、高精度な測定を行うこと
ができる。
【0185】そして、前述したように、本実施の形態で
は、探針駆動ベクトルの方向(すなわち、探針部2の移
動指令方向)が45゜以下の場合(すなわち、探針部2
が試料表面の底面等に接近している場合)には、探針部
2に縦方向の振動のみを励起して縦方向の振動の振幅値
を探針部2の移動方向にフィードバックし、探針駆動ベ
クトルの方向(すなわち、探針部2の移動指令方向)が
45゜以下の場合(すなわち、探針部2が試料表面の側
面等に接近している場合)には、探針部2に横方向の振
動のみを励起して横方向の振動の振幅値を探針部2の移
動方向にフィードバックしている。したがって、本実施
の形態では、試料表面の凸部又は凹部の底面であっても
側面であっても、従来の非接触モードの原子間力顕微鏡
と同様の相互作用の検出を行うことになり、探針部2が
試料100のごく狭い領域との相互作用のみを検出する
ことになり、従来の非接触モードの原子間力顕微鏡に匹
敵する高い面分解能を得ることができる。
【0186】さらに、本実施の形態においても、検出さ
れた振幅の変化からは、やはりアークタンジェントによ
りサーボ角θが決められているため、探針が逆戻りする
ようなことがなく、探針部2の移動制御を安定させる上
で好ましい。
【0187】なお、本実施の形態においても、探針駆動
ベクトルの長さ(1ステップの駆動により移動させる距
離)は常に一定とし、その方向のみを制御することとし
ているが、必要に応じて、探針駆動ベクトルの長さも制
御してもよい。
【0188】(第5の実施の形態)次に、本発明の第5
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡について、説
明する。
【0189】本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡
は、前記第4の態様による走査型プローブ顕微鏡を変形
したものであり、以下の点のみが異なる。
【0190】すなわち、DSP26の動作において、図
8中のステップS13,S19が取り除かれ、ステップ
S14〜S18,S20〜S24においても(すなわ
ち、前記第1及び第2の制御モードのいずれにおいて
も)、常に、発振回路24,25を同時に作動させて探
針部2に縦方向の振動と横方向の振動とを重畳させたも
のである。
【0191】本実施の形態によっても、前記第4の実施
の形態と同じ利点が得られる。
【0192】なお、本実施の形態では、探針部の縦方向
の振動の振動方向と横方向の振動の振動方向とが完全に
直交していれば、縦方向の振動と横方向の振動とのクロ
ストークの影響は生じないはずであるが、実際には両振
動方向を完全に直交させることは困難であることから、
本実施の形態においてはこのクロストークの影響を受け
ることになる。これに対し、前記第4の実施の形態で
は、各制御モードにおいては探針部2を当該制御モード
において必要な方向にのみ振動させているので、そのよ
うなクロストークの影響が全くなくなる。
【0193】(第6の実施の形態)最後に、本発明の第
6の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡において、
図10を参照して説明する。
【0194】図10は、本実施の形態による走査型プロ
ーブ顕微鏡を示す概略構成図である。図10において、
図1中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付
し、その重複した説明は省略する。
【0195】本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡
が前記第1の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡と
異なる所は、以下の点のみである。
【0196】本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡
は、いわゆる接触モードの原子間力顕微鏡として構成さ
れている。
【0197】本実施の形態では、図1中のロックインア
ンプ20,21、A/D変換器22及び発振回路24,
25が取り除かれ、A/D変換器22から光てこ法によ
るプローブ1の撓み量に相当する値が得られ、これがD
SP26に供給されるように構成されている。すなわ
ち、本実施の形態では、レーザ光源17、4分割フォト
ダイオード(2分割フォトダイオードでもよい)18、
信号処理回路19及びA/D変換器22が、いわゆる光
てこ法によりカンチレバー部3の撓みを検出する撓み検
出手段を構成している。もっとも、撓み検出手段はこの
ような構成に限定されるものではなく、光干渉法等によ
るものであってもよい。また、プローブ1としては、シ
リコンレバー等として市販されているもの(カンチレバ
ー部3の先端側領域にピラミッド型の探針部2を有する
もの)が用いられている。図2中の振動子14,15及
びボール16が取り除かれ、プローブ1の支持体4は単
にクリップにより保持されている。
【0198】本実施の形態では、DSP26は、各Y方
向位置におけるXZ平面と平行な各面内において、当該
面内の方向であって、プローブ1のカンチレバー部3の
撓みが一定となるような方向に、プローブ1が移動する
ように、A/D変換器22からのカンチレバー部3の撓
みの検出値に基づいて、D/A変換器29,30,31
及び駆動回路32を介してX,Y,Z方向用圧電駆動部
材10,11,8にそれぞれ駆動信号を与え、プローブ
1の試料表面に対する相対的な移動を制御する。すなわ
ち、A/D変換器22からのカンチレバー部3の撓みの
検出値は、DSP26により絶えず探針部2のXZ平面
と平行な面内における移動方向にフィードバックされ
る。
【0199】ここで、このようなDSP26の動作の一
具体例について、説明する。このDSP26の動作の基
本的な流れは、前記第1の実施の形態におけるDSP2
6の動作の基本的な流れと同様であるので、再び図4を
参照することとする。ただし、図4中のステップS1に
対応するステップはない。
【0200】まず、DSP26は、予め定めたY方向位
置及びX方向位置において、探針部2が試料表面から十
分に離れたZ方向位置からZ方向に移動して試料に近接
していくように、駆動指令を発生してプローブ1をZ方
向に移動させていく。そして、DSP26は、A/D変
換器22からのプローブ1のカンチレバー部3の撓みの
検出値が所定の目標値になったときに、駆動指令を停止
し、探針部2の試料への接近を止める(ステップS
2)。このステップS2がいわば測定の準備段階であ
る。
【0201】その後、DSP26は、現時点で得られて
いる最新の探針駆動ベクトルに従った駆動指令を発生
し、当該探針駆動ベクトルに従ってプローブ1ひいては
探針部2を移動させる(ステップS3)。このステップ
S3の動作は、前記第1の実施の形態におけるステップ
S3の動作と同一である。
【0202】次に、DSP26は、A/D変換器22か
らカンチレバー部3の撓みの検出値を取り込み、撓みの
検出値とその所定の目標値との偏差ΔAtを算出する
(ステップS4)。
【0203】その後、DSP26は、ステップS4で算
出した偏差ΔAtに基づいて、新たな探針駆動ベクトル
を前述した数3と同様の式と前述した数2による演算に
より決定する(ステップS5)。
【0204】すなわち、DSP26は、ステップS5に
おいて、まず、前記偏差ΔAtから、サーボ角(すなわ
ち、プローブ1ひいては探針部2のXZ平面と平行な当
該面内の移動方向の補正量)θを求める。つまり、前記
偏差ΔAvに所定のゲイン(所定係数)Gtを乗算した
値のアークタンジェントにより求めた角度を、サーボ角
θとする。
【0205】DSP26は、ステップS5において、次
に、前述した数2によって、ベクトルの回転の行列を計
算することにより、現時点で得られている最新の探針駆
動ベクトルを前記サーボ角θだけ回転して新たな探針駆
動ベクトルを求める。
【0206】ステップS5の後に、DSP26は、ステ
ップS5で決定された新たな探針駆動ベクトルを、当該
DSP26内のメモリに記憶する(ステップS6)。
【0207】ステップS6が終了すると、ステップS3
に戻り、ステップS3〜S6の動作を繰り返す。
【0208】図4においては省略しているが、ステップ
S3〜S6を繰り返すことにより、探針部2がX方向の
所定の位置まで到達すると(すなわち、探針がX方向の
所定の範囲をトレースすると)、DSP26は、プロー
ブ1をY方向に所定距離移動させる移動指令を発生し、
その後、当該Y方向位置におけるXZ平面内において、
ステップS3〜S6を繰り返し、これらの動作を繰り返
してXY平面における所定の2次元の範囲について探針
部2を移動させる。これにより、測定が完了する。この
ように、本実施の形態では、各Y方向位置においてステ
ップS3〜6を繰り返すが、場合によっては、1つのY
方向位置においてのみステップS3〜S6を繰り返すだ
けでもよい。
【0209】以上の説明からわかるように、ステップS
6において順次記憶された探針駆動ベクトルは試料形状
を反映するものであり、Y方向位置と関連付けられてパ
ーソナルコンピュータ27に取り込まれ、表示装置28
により画像表示される。
【0210】本実施の形態においても、試料100と探
針部2との間の相互作用の変化をXZ平面と平行な面内
における探針部2の移動方向にフィードバックしてい
る。このため、本実施の形態によっても、試料表面の凸
部又は凹部の側面等に関しても、データの数を多くする
ことができるとともに、探針部2を試料表面に対して両
者に作用する相互作用に応じて正確にトレースさせるこ
とができ、高精度な測定を行うことができる。
【0211】(第7の実施の形態)次に、本発明の第7
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡について説明
する。
【0212】図12は、これまでの実施の形態で用いた
プローブ1とは異なる形状を有するプローブ101と、
試料100の表面とで生ずる相互作用を検出する方法を
示す概念斜視図である。
【0213】まず、図12を用いてこの第7の実施の形
態で用いたプローブ101の構成について説明する。プ
ローブ101は、反射面を有するミラー部201と、探
針部202と、ねじれ部203とを備えている。そし
て、探針部202先端は少し曲がっており、試料100
の表面にほぼ垂直に切り立った側壁がある場合にも、そ
の側壁と探針部202先端との相互作用が検出しやすく
なるようにしている。
【0214】なお、このプローブ101の変位は、ミラ
ー部201に光を照射し、ミラー部201を反射して光
をポジションセンサーダイオードや分割フォトディテク
ターで受光し、その光スポットの位置を検出すること
で、得られる。
【0215】ところで、プローブ101は、ねじれ部2
03を介し、図示していない支持部に固定される。そし
て、このプローブ101は図12(a)(b)に示すね
じれ方向207に加振させて用いる。なお、加振させる
ときの回転軸は、軸209を中心に回転させる。
【0216】なお、図12(a)は、プローブ101の
探針部202の先端が、他の物体と相互作用を受けてお
らず、プローブ101がねじれ共振状態であるときの様
子を示している。図12(b)は、プローブ101の探
針部202の先端が、試料100と相互作用を受けた時
の状態を示している。なお、図12(a)および(b)
の矢印208は、探針部202の先端の軌跡を示してお
り、軸209は、プローブ101がねじれ共振にあると
きのプローブ101の回転軸を示している。
【0217】この様にプローブ101は加振を受けてい
るため、プローブ101の一番細い部分であるねじれ部
203が捻れながら、左右に回転する。そのため、ねじ
れ部204より先にあるミラー部201と探針部202
はねじれ共振の状態になり、軸209を中心に周期的に
左右に回転する。この状態を図12(a)に示す。この
様に、プローブ101がねじれ共振にある状態で、探針
部202の先端が試料100等からの相互作用を受ける
と、例えば試料からのファンデルワールス力などの力を
探針部202の先端が矢印204が示す方向に受ける
と、探針先端がその方向に引き寄せられる。この状態を
図12(b)に示す。そうすると、ミラー部201と探
針部202が回転軸209から外れるため、軸周りの慣
性モーメントが急激に増大する。慣性モーメントが増大
すると、ねじれ方向の共振周波数低くなるため、プロー
ブ101自体のねじれ共振状態から外れ、ミラー部20
1が軸209を中心に振られる角度範囲は小さくなる。
なお、以降、ミラー部201の振られる角度量をねじれ
方向の振幅と言う。このミラー部201の振幅の減少を
検出することにより、探針部202の先端と試料100
に存在する側壁との距離の変化を検出することができ
る。
【0218】また、プローブ101が試料底面に近づい
たときは、試料底面と探針先端との間にダンピングが働
き、同じくプローブ101のねじれ共振の振幅が減少す
る。そのことにより、探針202の先端と試料底面との
距離の変化も検出することができる。
【0219】次に、図13を用いて本第7の実施の形態
による走査型プローブ顕微鏡の全体系を説明する。図1
3は、本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡の構成斜視
図である。なお、以下、本発明の第1の実施の形態で挙
げたものと同一図番のものは同一部材なので、ここでの
説明は省略する。
【0220】ところで、この走査型プローブ顕微鏡は、
本発明の第1の実施の形態とプローブ101とそのプロ
ーブ101を支持する支持体211、クリップ212、
及び振動子213以外は、同じ部材からなっている。プ
ローブ101は支持体211に連続して形成されてお
り、その支持体211は、クリップ212によりZ方向
用圧電駆動部材8の自由端側に保持されている。Z方向
用圧電駆動部材8の他端には、ブロック9に固定されて
いる。また、X方向用圧電駆動部材10、Y方向用圧電
駆動部材11の一端は、共にブロック9に固定されてい
る。X方向用圧電駆動部材10、Y方向用圧電駆動部材
11の他端は、それぞれフレーム12に固定されてい
て、このフレーム12は3つのマイクロメータ13によ
り支えられている。
【0221】また、プローブ101のミラー部201の
変位を検出するために、ブロック9に固定された発光部
材である半導体レーザ17と4分割フォトディテクター
18が備えられており、かつプローブ101の支持体2
11に固定されたミラー47を備えている。半導体レー
ザ17から放射された光は、支持体211からアームを
介して固定されたミラー47で反射されることで、ミラ
ー部201に照射される。そして、ミラー部201を反
射した光は、再びミラー47を反射して、4分割フォト
ディテクター18に入射する。そして、この4分割フォ
トディテクター18で入射した光スポットの位置の変化
を検出することで、ミラー部201の反射面の角度の変
位量を検出する。このミラー201の反射面の角度の変
位量がプローブ101のねじれ方向の振幅となる。
【0222】なお、半導体レーザ17の発光や、4分割
フォトダイオード18からの出力は、フレーム12に備
えている電気回路により処理されている。なお、この電
気回路は、図1に示されているブロック図と同じ構成を
有している。
【0223】なお、プローブ101にねじれ共振を励起
させるために、クリップ212の一方の面に振動子21
3が設けられている。この振動子213とクリップの構
成は、図2(a)に示す機構と同等なもので、図2
(a)中の振動子15の位置に振動子213が配置さ
れ、図2(a)中の振動子14の位置及びボール16の
位置にそれぞれ支持部材としてのボールが備えられてい
る。
【0224】次に、このプローブ101を用いて試料1
00の表面をトレースするアルゴリズム説明する。図1
4は本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡のプロー
ブ101のねじれ方向の振幅の大きさの状態を模式的に
表した図である。プローブ101のねじれ方向の振幅の
大きさは、矢印の長さに応じて大きいことを意味してい
る。
【0225】ところで、本実施の形態による走査型プロ
ーブ顕微鏡は、図4に示すフローチャートにしたがっ
て、探針駆動が行われる。
【0226】要するに、本実施の形態による走査型プロ
ーブ顕微鏡は、第1の実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡と比較して、プローブの励振方法およびプローブ
の変位検出こそは異なるが、基本的なフローは一緒であ
る。
【0227】基本的にはプローブ101を共振状態に励
振しておき(図4のS1)、プローブ101の振動状態
が所定の値になるまで探針部202を試料表面へ近接さ
せ(図4のS2)、与えられた探針駆動ベクトルに応じ
てプローブ101を移動させて(図4のS3)、プロー
ブ101の振動状態の変化を検出し(図4のS4)、プ
ローブ101の振動状態の変化から新たに探針駆動ベク
トルを決定し(図4のS5)、新たに決定された探針駆
動ベクトルをメモリーにストアーする(図4のS6)。
そして、再び、図4のS3に戻り、新たに決定された探
針駆動ベクトルでプローブ101を移動させて、また、
同様に探針駆動ベクトルを決定する。
【0228】次に図14を用いて実際の探針駆動ベクト
ルの決定について説明する。まず最初に、試料100か
ら遠い位置でプローブ101にねじれ共振を起こさせ
る。そして、予め決めておいたねじれ方向の振幅になる
まで、プローブ101の探針部202を近接させる。こ
の様にして、試料表面にプローブ101の近接が終了し
た時のプローブ101のねじれ方向の振幅の大きさを、
図14中の測定開始時刻t=0が記載された位置にある
矢印の長さで示している。なお、この時刻t=0におけ
るプローブ101のねじれ方向の振幅の大きさを目標値
として扱う。これは、本発明の第1の実施の形態と同じ
である。
【0229】そして、最初は、予め決まった探針移動ベ
クトルでプローブ101を移動させる。なお、時刻t=
1は、本第1の実施の形態と同じなので説明を省略す
る。そして、時刻t=2になると探針部202と試料1
00との距離が短くなる。特に試料表面に形成された凸
部の側壁との距離が短くなる。したがって、試料側壁と
探針部202との相互作用(例えば、この場合は、ファ
ンデルワールス力による作用)が働き、プローブ101
のねじれ方向の振幅が減少する。そのときのねじれ方向
の振幅が目標値とどれだけ変化しているかを電気回路に
よって求められる。なお、目標値と各時点におけるねじ
れ方向の振幅との偏差をΔArとすると、電気回路内で
は、例えば下記の数5でもって、新たに探針駆動ベクト
ルの方向を決定する。
【0230】
【数5】
【0231】なお、数5におけるゲインGrとは、本発
明の第1の実施の形態のゲインGvおよびゲインGhと
同じ目的で用いる係数であるので、ここでの詳細な説明
は省略する。
【0232】この様にして、各時点において、探針駆動
ベクトルが順次決定される。
【0233】なお、後の電気回路内での動作は、本発明
の各実施の形態と基本的なところは同じなので、詳細な
説明は省略する。
【0234】この様に本発明では、プローブの形状が異
なろうとも、ある基準の状態に対して変化分を求めて、
その変化分を基に、探針の移動方向の決定することは何
ら変わりない。
【0235】以上、本発明の各実施の形態について説明
したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるもの
ではない。
【0236】例えば、アークタンジェントにより角度の
補正量θを求めると、θが+−90゜以下となり、探針
が逆戻りしないという利点があるが、観察対象の表面が
非常に急峻な凹凸をもつ場合、補正量θを+−180゜
にまで広げた方がより試料表面を正確にトレースできる
場合、前記アークタンジェントを使って求めたθに所定
数、この場合1から2の数を掛けると、得られる補正量
θは+−180゜以内となる。さらに、前述した数1、
数3、数4及び数5におけるゲインGv、Gh、Gr
は、単純に偏差に係数を掛ける比例制御であったが、こ
こに周波数成分を考慮した微分項や積分項を付け足し
て、PDI制御等としてもよい。また、前述した実施の
形態ではアークタンジェントを使って補正量θを求めた
が、偏差にある値を掛けた値をそのまま補正量θとして
もよい。この場合、アークタンジェントを計算する時間
が必要なくなり、より高速に探針にフィードバックをか
けることができる。ただし、偏差が大きいと、補正量θ
が90゜以上となり、探針が逆戻りしてしまったり、1
80゜以上となり、フィードバックが意味を成さなくな
ってしまう場合が起こり得る。この場合、偏差が所定の
量以上となった場合、所定量以上を切り捨て、所定量に
補正量θをまるめる。
【0237】なお、前述した各実施の形態は本発明を原
子間力顕微鏡に適用した例であったが、本発明は、走査
型電気容量顕微鏡、走査型静電気力顕微鏡、走査型磁気
力顕微鏡及び走査型トンネル顕微鏡などの他の種々の走
査型プローブ顕微鏡用についても適用することができ
る。
【0238】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
試料表面の凸部又は凹部の側面等に関しても、データの
数を多くすることができるとともに、探針部を試料表面
に対して両者に作用する相互作用に応じて正確にトレー
スさせることができ、高精度な測定を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す走査型プローブ顕微鏡の一部を示す
図であり、図2(a)はその要部拡大斜視図、図2
(b)は4分割フォトダイオードの受光部を示す図であ
る。
【図3】振動子を振動させたときの様子を模式的に示す
図であり、図3(a)はプローブのカンチレバー部の撓
み振動の様子を示す概念斜視図、図3(b)はプローブ
のカンチレバー部のねじれ振動の様子を示す概念斜視図
である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡におけるデジタルシグナルプロセッサ(DS
P)の動作を示す概略フローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡における探針部の制御の様子を模式的に示す図
である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡における探針部の制御の様子を模式的に示す図
である。
【図7】本発明の第3の実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡における探針部の制御の様子を模式的に示す図
である。
【図8】本発明の第4の実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡におけるデジタルシグナルプロセッサ(DS
P)の動作を示す概略フローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡における探針部の制御の様子を模式的に示す図
である。
【図10】本発明の第6の実施の形態による走査型プロ
ーブ顕微鏡を示す概略構成図である。
【図11】シェアーフォース検出法を模式的に示す図で
あり、図11(a)はファイバーが試料から遠い状態、
図11(b)はファイバーが試料に接近した状態を示
す。
【図12】本発明の第7の実施の形態による走査型プロ
ーブ顕微鏡において用いられるプローブのねじれ振動の
様子を示す概念斜視図であり、図12(a)は探針部先
端が相互作用を受けていない状態を示す図、図12
(b)は探針部先端が相互作用を受けている状態を示す
図である。
【図13】本発明の第7の実施の形態による走査型プロ
ーブ顕微鏡を示す概略構成図である。
【図14】本発明の第7の実施の形態による走査型プロ
ーブ顕微鏡における探針部の制御の様子を模式的に示す
図である。
【符号の説明】
1,101 プローブ 2,202 探針部 3 カンチレバー部 4 支持体 7 クリップ 8 Z方向用圧電駆動部材 9 ブロック 10 X方向用圧電駆動部材 11 Y方向用圧電駆動部材 12 フレーム 13 マイクロメーター 14,15,213 振動子 16 ボール 17 レーザ光源 18 4分割フォトダイオード 19 信号処理回路 20,21 ロックインアンプ 22,23 A/D変換器 24,25 発振回路 26 デジタルシグナルプロセッサ(DSP) 27 パーソナルコンピュータ(PC) 28 表示装置 29,30,31 D/A変換器 32 駆動回路 100 試料 201 ミラー部 203 ねじれ部 208 探針部の軌跡 209 回転軸 211 支持体 212 クリップ

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プローブと、 前記プローブと試料表面とを相対的に前記試料表面と略
    垂直な第1の方向及び前記試料表面と略平行な第2の方
    向に移動させるプローブ駆動部と、 前記プローブを励振するための励振部材と、 前記プローブの振動状態を検出する検出手段と、 前記検出手段で検出されたプローブの振動状態が所定の
    振動状態になるように前記プローブの移動方向を変え、
    前記移動方向に前記プローブを移動させるよう前記プロ
    ーブ駆動部を制御する制御手段と、 を備えたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記検出手段で検出さ
    れたプローブの振動状態とあらかじめ決められた振動状
    態とを比較し、新たに決定する前記プローブの移動方向
    にするための前記移動方向の変化量を角度として算出す
    る移動方向決定手段を備え、前記移動方向決定手段で決
    定された角度に応じて、前記移動方向を変更することで
    前記プローブ駆動部を制御することを特徴とする請求項
    1記載の走査型プローブ顕微鏡。
  3. 【請求項3】 前記励振部材は、少なくとも一方向に前
    記プローブを振動させる部材であることを特徴とする請
    求項1または2記載の走査型プローブ顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記励振部材は、前記プローブに対し
    て、前記第1の方向とほぼ平行な方向に振動する第1の
    モードの振動を励振させるために前記支持体に備えら
    れ、 前記検出手段は、前記プローブにおける前記第1のモー
    ドの振動を検出する第1の検出器を備え、 前記制御手段は、前記第1の検出器から得られる信号を
    基に、前記第1のモードの振動成分の振動状態が一定と
    なるように、前記プローブの移動方向を決定することを
    特徴とする請求項3記載の走査型プローブ顕微鏡。
  5. 【請求項5】 前記励振部材は、前記プローブが捻れる
    方向に振動する第2のモードの振動を励振させるために
    前記支持体に備えられ、 前記検出手段は、前記プローブにおける前記第2のモー
    ドの振動を検出する第2の検出器を備え、 前記制御手段は、前記第2の検出器から得られる信号を
    基に、前記第2のモードの振動成分の振動状態が一定と
    なるように、前記プローブの移動方向を決定することを
    特徴とする請求項3記載の走査型プローブ顕微鏡。
  6. 【請求項6】 前記励振部材は、前記プローブに対し
    て、前記第1の方向に振動する第1のモードの振動を励
    振させるための第1の励振部材と、前記プローブが捻れ
    る方向に振動する第2のモードの振動を励振させるため
    の第2の励振部材とを備え、 前記検出手段は、前記プローブでの前記第1のモードの
    振動の成分の振動状態を検出する第1の検出手段と、前
    記プローブでの前記第2のモードの成分の状態を検出す
    る第2の検出手段とを備え、 前記制御手段は、前記第1の方向及び前記第2の方向を
    含む面と平行面内において当該面内の方向で前記プロー
    ブの移動方向を変えて、前記プローブの振動状態が所定
    の状態となるように前記プローブ駆動部材を制御するこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の走査型プローブ
    顕微鏡。
  7. 【請求項7】 前記制御手段は、前記プローブの移動方
    向に応じて、前記第1の検出手段から得られる信号と前
    記第2の検出手段から得られる信号とのどちらか一方を
    選択する選択手段を更に備え、前記選択手段で選択され
    た信号から前記プローブの振動状態が所定の状態になる
    ようプローブ駆動部材を制御することを特徴とする請求
    項6記載の走査型プローブ顕微鏡。
  8. 【請求項8】 前記制御手段は、前記第1の励振部材と
    前記第2の励振部材とのどちらか一方のみが駆動するよ
    うに選択する励振部材選択手段を備えたことを特徴とす
    る請求項7記載の走査型プローブ顕微鏡。
  9. 【請求項9】 前記選択手段は、前記第2の方向に対す
    る前記プローブの移動方向のなす角度と所定の値とを比
    較することで、駆動する励振部材を決定することを特徴
    とする請求項8記載の走査型プローブ顕微鏡。
  10. 【請求項10】 前記プローブは、先端部に探針を有す
    るレバー部を備え、前記レバー部を支持する支持体に備
    えられたことを特徴とする請求項1乃至9項のうちいづ
    れか一項記載の走査型プローブ顕微鏡。
  11. 【請求項11】 前記プローブは、前記試料との相互作
    用を受ける探針部と、前記プローブを支持する支持体と
    前記探針部との間に設けられ、前記探針部と試料との相
    互作用を検出する検出部とを具備し、前記検出部および
    前記探針部が実質的に同一軸上に形成されていることを
    特徴とする請求項1乃至9項のうちいづれか一項記載の
    走査型プローブ顕微鏡。
  12. 【請求項12】 プローブと、 前記プローブと試料表面とを相対的に前記試料表面と略
    垂直な第1の方向及び前記試料表面と略平行な第2の方
    向に移動させるプローブ駆動部と、 前記プローブと前記試料との間の相互作用に応じた検出
    信号を得る検出手段と、 前記検出手段からの検出信号が所定の状態になる様に前
    記プローブの移動方向を変化させ、かつ前記プローブの
    移動方向に前記プローブを走査させるよう前記プローブ
    駆動部を制御する制御手段と、 を備えたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  13. 【請求項13】 前記検出手段は、前記プローブの変位
    を検出することを特徴とする請求項12記載の走査型プ
    ローブ顕微鏡。
  14. 【請求項14】 前記制御手段は、前記検出手段で検出
    された信号があらかじめ定められた信号であるか否かを
    比較し、新たに決定する前記プローブの移動方向にする
    ための前記移動方向の変化量を角度として算出する移動
    方向決定手段を備え、前記移動方向決定手段で決定され
    た角度に応じて、前記移動方向を変更することで前記プ
    ローブ駆動部を制御することを特徴とする請求項12記
    載の走査型プローブ顕微鏡。
JP9363129A 1997-11-28 1997-12-15 走査型プローブ顕微鏡 Pending JPH11174066A (ja)

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US09/200,437 US6223591B1 (en) 1997-11-28 1998-11-27 Probe needle arrangement and movement method for use in an atomic force microscope

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005022124A1 (ja) * 2003-08-27 2005-03-10 Hitachi Kenki Fine Tech Co., Ltd 走査型プローブ顕微鏡とその探針移動制御方法
JP2006329973A (ja) * 2005-04-28 2006-12-07 Hitachi Ltd 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料観察方法およびデバイス製造方法
WO2007129587A1 (ja) * 2006-05-09 2007-11-15 Kyoto University 分子配向装置及び分子配向方法

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