JPH11263623A - 磁性粉体の製造方法 - Google Patents

磁性粉体の製造方法

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JPH11263623A
JPH11263623A JP8831298A JP8831298A JPH11263623A JP H11263623 A JPH11263623 A JP H11263623A JP 8831298 A JP8831298 A JP 8831298A JP 8831298 A JP8831298 A JP 8831298A JP H11263623 A JPH11263623 A JP H11263623A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粒子径が従来のものよりも大きく、かつ均一
な磁性粉体を得ることができ、更に、その形状も所望に
より変化させることができる磁性粉体の製造方法を提供
する。 【解決手段】 第一鉄塩のゲル化物を圧力容器中で水熱
反応を行い磁性粉体を製造する方法において、水熱反応
時の昇温速度が160〜300℃/hr.であり、昇温
終了後に180〜300℃で0.5〜10時間保持する
ことを特徴とし、前記水熱反応の昇温前に圧力容器中の
雰囲気を不活性ガスにより置換し、第一鉄塩のゲル化物
として脱酸素処理されたものを用いることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】磁性粉体の製造方法に関し、
特に粒径が均一で、さらに粒子形状も均一な、磁性粉体
を得るための、磁性粉体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁性粉体が、コピー用磁性トナ
ー、磁性インク、MR流体等の新しい素材に用いられ、
その需要も増加傾向にあり、またその品質および性能向
上も期待されている。この需要増加並びに品質および性
能向上の期待に応じるため、磁性粉体およびその製造方
法が重要である。以前より、磁性粉体の製造方法として
は、共沈法、湿式酸化法、ゾル・ゲル法、水熱反応法等
が公知の技術として実施されていた。
【0003】共沈法とは、70℃以下のアルカリ溶液中
で第一鉄イオンと第二鉄イオンを1:2の割合で混合す
ることによってマグネタイト粒子を製造する方法であ
る。湿式酸化法とは、70℃以下のアルカリ溶液中で第
一鉄イオンを空気などの酸化性ガスで酸化することによ
ってマグネタイト粒子を製造する方法である。また工業
的には鉄塩を中和したゲルを加熱して、脱水し均一なマ
グネタイト結晶粒子を得る方法が一般的であるが、最大
0.5μmが限界である。
【0004】サブミクロン(0.05〜0.2μm)で
均一な粒径のマグネタイト粒子の製造方法として、ゾル
・ゲル法がある。これは、水酸化第1鉄と第2鉄の塩を
ゲル化した後、ゲルの脱水反応を利用して、マグネタイ
ト単分散粒子を得る方法である。この方法では外見上は
均一な粒子径のマグネタイト粒子となるが、実際にはマ
グネタイト超微粒子が結合した2次粒子であって、単結
晶ではなく、したがって多孔質で磁性も弱い。ゾル・ゲ
ル法は、金属鉄のアルコキシドを原料として、これを加
水分解して得られるマグネタイト微粒子である。粒径は
0.05〜0.2μmが得られ、均一であるが、完全な
酸化物結晶とならず磁性が弱い。
【0005】水熱反応法とは、オートクレーブを使用し
て150℃以上のアルカリ溶液中で第一鉄イオンのシッ
コール(Schikorr)反応と呼ばれる酸化加水分
解反応によってマグネタイト粒子を製造する方法であ
り、天然マグネタイトの生成条件に近似している。シッ
コール反応とは鉄鋼腐食の分野でボイラー水中にマグネ
タイトの沈積が起こる際の反応であり、例えば、 3Fe(OH)2 → Fe3 4 + 2H2 O +
2 のようにして、加圧雰囲気下の熱水中で、第一鉄塩から
マグネタイトと水素と水が生じるものである。
【0006】特開平4−317422号公報は、これを
利用して粒径の整ったマグネタイトの製造方法について
開示している。水酸化第一鉄と水酸化第二鉄とを160
〜300℃の温度範囲で保持し反応させ、その際、第一
鉄イオンへの第二鉄イオンの混入割合を1%以下にする
事によりマグネタイト粒子の粒径が整うとしている。し
かし、本発明の検討結果では、0.1%以下であること
が必要でなければ、整った粒径は得られない。また上記
の第一鉄イオンへの第二鉄イオンの混入割合を1%以下
としながらも、第二鉄イオンの量で粒径を制御しようと
したため、第二鉄イオンが粒子成長エネルギーを低くす
る事により粒径の増減は可能であるが、逆に、第二鉄イ
オンの混入により、平均粒径より小さい微粒子が形成さ
れやすくなり、粒径にばらつきが生じる事が明らかにな
っている。また昇温速度についても2.5℃/min.
(150℃/時間)で反応を行ったことを開示している
が、昇温速度が遅いと不定型微粒子ができやすく粒径が
揃いにくい。さらに、pHを制御する事により粒子径が
制御できる事を開示しているが、形が不揃いになりやす
く、例えば、多層膜被覆粉体の核粒子として利用する場
合、膜厚設計が複雑になるなどの不都合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
共沈法、湿式酸化法、ゾル・ゲル法は、一回の反応で
は、0.3μmを超える大きさの単分散粒子を得ること
ができなかった。粒子径が0.3μmより小さいと前記
の素材として満足することができないものとなる。また
上記の方法で作った磁性粉体は結晶度が悪く、磁性も弱
かった。また水熱反応法(以後、シッコール反応ともい
う)においては、平均粒径0.3μm程度の比較的粒度
分布の広い粒子が得られるが、単一の粒子径の粒子のみ
は得られず、小さい粒子から大きい粒子まで混在したも
のとなっていた。
【0008】そこで本発明は、従来の技術の問題点を克
服し、粒子径が従来のものよりも大きく、かつ均一な磁
性粉体を得ることができる磁性粉体の製造方法を提供し
ようとするものである。また本発明は、前記の如く粒径
が均一であることに加え、その形状も所望により変化さ
せることができる磁性粉体の製造方法を提供しようとす
るものである。
【0009】
【課題が解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、シッコール反応における反応条件を改良すること
により、従来技術の欠点を克服し、粒径が比較的大き
く、かつ均一な磁性粉体が得られることを見出し、本発
明を成すに至った。即ち本発明は以下の通りである。 (1)第一鉄塩のゲル化物を圧力容器中で水熱反応を行
い磁性粉体を製造する方法において、水熱反応時の昇温
速度が160〜300℃/hr.であり、昇温終了後に
180〜300℃で0.5〜10時間保持することを特
徴とする磁性粉体の製造方法。 (2)平均粒径が0.1〜10μmであることを特徴と
する前記(1)の磁性粉体の製造方法。
【0010】 (3)前記水熱反応の昇温前に圧力容器中の雰囲気を不
活性ガスにより置換し、第一鉄塩のゲル化物として脱酸
素処理されたものを用いることを特徴とする前記(1)
の磁性粉体の製造方法。 (4)還元性弱酸もしくは還元性弱酸と強塩基との塩を
用いて、反応溶液中の酸素分圧とOH- 濃度を同時に制
御して粒子生成、成長速度を制御すると共に、OH-
は別の単一種もしくは複数種の陰イオンA- を用いて、
粒子の結晶成長面を制御することにより、サイズと形状
の揃った粒子を多量に得ることを特徴とする前記(1)
の磁性粉体の製造方法。 (5)前記還元性弱酸もしくは還元性弱酸と強塩基との
塩もしくは陰イオンA-がSO3 2-を含むものであること
を特徴とする前記(4)の磁性粉体の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の方法において使用する第
一鉄塩としては特に限定されず、塩化第一鉄、硫酸第一
鉄、硝酸第一鉄等が例示でき、高炉や電炉の鉄洗廃液な
ども安価な原料として良い。これを、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニアな
どのアルカリ水溶液を加えて水酸化第一鉄ゲルとし、シ
ッコール反応の原料とする。本発明の方法において使用
する反応用圧力容器としては高圧反応容器であれば良
く、オートクレーブ、圧力釜、ボイラー等が例示できる
が、汎用性等からオートクレーブ等が好ましい。
【0012】本発明の方法における反応は、常温より開
始され、所定の昇温速度で、所定の温度になるまで加熱
される。本発明の反応における昇温の停止温度は、18
0〜350℃の範囲であれば特に限定されない。本発明
の方法における反応は、所定の温度になるまで昇温後、
その昇温を停止した温度で0.5〜10時間保持するこ
とが好ましい。本発明の水熱反応が終了した後は、洗
浄、乾燥等を行い、磁性粉体の乾燥粉体を得ることがで
きる。
【0013】本発明の方法の反応においては、昇温前に
その反応雰囲気を不活性ガスにより置換し、かつ第一鉄
塩のゲル化物として脱酸素処理されたものを用いること
が好ましい。これは反応系中の酸素により第一鉄塩であ
る2価鉄が3価鉄に酸化されることを防ぐためのもので
ある。3価鉄が存在すると、目的としない粒径の球状微
粒子が発生しこの球状微粒子が得ようとする磁性粉体の
粒度分布を悪くさせたり、また結晶度が悪くなりその結
果磁性も弱くなるという問題がある。上記不活性ガスと
しては、Heガス、Arガス、Neガス、窒素(N2
ガスなどがあるが、窒素(N2 )ガスが安全で、一般的
で、コスト面からも好ましい。
【0014】第一鉄塩のゲル化物の脱酸素処理として
は、特に限定されないが、該ゲル化物の調製工程におい
て行うのが確実と思われる。例えば該ゲル化物が水酸化
第一鉄である場合は、硫酸第1鉄(FeSO4 )の水溶
液に水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を混合し、 FeSO4 + 2NaOH → Fe(OH)2
Na2 SO4 の反応にて調製できるが、その際、水酸化ナトリウム
(NaOH)水溶液は、N2 ガスで30分以上脱気処理
された脱イオン水で溶解・希釈することが好ましい。
【0015】また、本発明の方法の反応においては、反
応系におけるOH- を少なくするため、別の陰イオンA
- を用いて〔OH- 〕/〔Fe2+〕を変化させることに
より、得られる磁性粉体の形状・サイズを適宜変化でき
るものである。本発明者らは、本発明の反応による磁性
粉体(マグネタイト)の結晶化のプロセスとして、熱水
中におけるFe2+錯イオン生成反応 3Fe(OH)2 → 3Fe2+ + 6OH- 2Fe2+ + 6OH- → 2HFeO2 - + 2H2 O と、結晶成長時に陽イオンと陰イオンの直接反応 Fe2+ + 2HFeO2 - → Fe3 4 + H2 のような形を想定し、これらの素反応の速度を律するこ
とによって粒子の形状・サイズを制御できる可能性を見
出した。
【0016】本発明においてシッコール反応で形成され
る粒子の粒径を律するものは、反応溶液中の、保持温
度、昇温速度などのエネルギー条件、酸素分圧、水素分
圧、水蒸気圧などの圧力条件および[OH- ]、[OH
- ]とは別の陰イオンA- など溶液化学組成である。こ
れらのうち、エネルギー条件、圧力条件および溶液化学
組成は粒子粒径を均一にし、同時に大きさを制御する事
に関与する。また、酸素分圧、水素分圧、水蒸気圧など
の圧力条件を制御することにより、金属鉄を含んだ磁性
の強い磁性粉体も製造可能である。
【0017】さらに、[OH- ]、[OH- ]とは別の
陰イオンA- など溶液化学組成は粒子の粒径を制御し、
均一にするために作用するだけでなく、同時に粒子結晶
面の成長速度を制御する事に関与し、その結果、均一な
粒径で形状の揃った磁性粒子を多量に製造することが可
能となった。よって本発明の反応開始前に、該反応系に
OH- とは別の陰イオンA- を用いて、OH- 量を制御
することに着目した。陰イオンA- としては、S
3 2-、SO4 2-など(SO3 2-およびSO4 2-を総括して
SOX 2-とする)が主なものとして現在検討されている
が、その中でもSO3 2-が代表的なものとして着目され
ている。
【0018】例えば、第一鉄塩のゲル化物が水酸化第一
鉄である場合は、硫酸第1鉄(FeSO4 )の水溶液に
水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を混合し、 FeSO4 + 2NaOH → Fe(OH)2
Na2 SO4 の反応にて調製できるが、硫酸第1鉄(FeSO4 )の
水溶液として、希硫酸または亜硫酸水溶液を用いた場合
には、上記式の反応の他に中和反応 H2 SOX + 2NaOH → 2H2 O + Na
2 SOX が行われる。この反応によりアルカリが消費されるとす
れば、シッコール反応に関与するOH- はその分減少す
ると考えられる。更に具体的には、本発明の反応開始前
の系内の([OH- ]/[Fe2+])/([SOX 2-
/[Fe2+])の関係式で導かれる値を制御するよう
に、OH-量を制御すればよい。なおこの場合、[SOX
2-]は反応系中の[SO3 2-]と[SO4 2-]の総量を意
味するものである。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いてさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 〔実施例1〕原試料溶液であるアルカリFe(OH)2
溶液は、12M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液2
00mlに1.3M硫酸第1鉄(FeSO4 )溶液60
0mlを混合し、 FeSO4 + 2NaOH → Fe(OH)2
Na2 SO4 の反応を起こすことにより調製した。なお、NaOH水
溶液は和光純薬社製NaOH顆粒を30分以上N2 ガス
で脱気処理した脱イオン水で溶解・希釈したものであ
り、FeSO4 水溶液は和光純薬社製FeSO4 ・7H
2 Oを和光純薬社製5wt%(SO3 として)亜硫酸水
で希釈したものである。
【0020】この原試料溶液を700rpmで攪拌しな
がら、N2 ガスでオートクレーブ内上部空間を置換した
後、N2 ガスにより10kg/cm2 まで昇圧した。昇
圧後、昇温速度200℃/hr.で250℃まで昇温し
た後、2時間保持した。これを室温まで徐冷したのち、
脱イオン水を用いて、希釈・洗浄した。この希釈・洗浄
を数回繰り返した後、吸引濾過・乾燥(室温1日、11
0℃半日)することにより粉体試料を得た。得られた粉
体試料をSEM観察することによって、各条件と形状・
粒径との関係について検討を行った。
【0021】得られた粉体試料のSEM写真を図1に示
す。得られた粉体試料の粒径はほぼ均一に揃っており、
形状は菱形12面体であった。一辺の長さはおよそ1.
2μmであった。また、この試料粉体の収量は57.9
g(乾燥後)であり、理論量(60.2g)の96%で
あった。このことから、反応はほぼ100%進行したと
考えられる。この粉体試料と同条件で作成した粉体試料
の比表面積は、0.59m2 /gで、この測定値からこ
の菱形12面体試料の1辺の長さの平均を算出すると
1.20μmであり、SEM観察結果に一致した。この
菱形12面体は面心立方格子(bcc)であり、立方晶
系であり、12の{110}面からなり、体積に対し
て、表面積が最小となる晶癖である。また、僅かの割合
で比較的大きな粉体も混入しているが、これらも粒径が
ほぼ均一に揃っており、公知の方法により容易に分級で
きるものである。なお、この粉体の磁化は10kOeに
おいて92emu/gであった。
【0022】〔比較例1〕原試料溶液の調製に用いる脱
イオン水の脱気を行わない以外は前記実施例1と同様の
操作を行い粉体試料を得た。得られた粉体試料のSEM
写真を図2に示す。得られた粉体試料の粒度分布は広
く、不均一であった。(平均粒径0.81μm) 〔比較例2〕原試料溶液の調製に用いる硫酸第1鉄溶液
の希釈液として、亜硫酸水を用いなかった以外は前記実
施例1と同様の操作を行い粉体試料を得た。得られた粉
体試料は比較例1と同様に、粒度分布は広く、不均一で
あった。(平均粒径1.25μm)
【0023】〔実施例2〕反応開始前の系中の[O
- ]/[Fe2+]が3.68、[SOX 2-]/[Fe
2+]が1.50になるように亜硫酸添加量を制御した以
外は、前記実施例1と同様の操作を行い粉体試料を得
た。得られた粉体試料のSEM写真を図3に、その結晶
構造の模式図を図6に(a)として示す。得られた粉体
試料は8面体形状に制御されていた。なお、この粉体の
磁化は10kOeにおいて105emu/gであった。
【0024】〔実施例3〕反応開始前の系中の[O
- ]/[Fe2+]が2.66、[SOx 2-]/[Fe
2+]が1.67になるようにした以外は、前記実施例2
と同様の操作を行い粉体試料を得た。得られた粉体試料
のSEM写真を図4に、その結晶構造の模式図を図6に
(b)として示す。得られた粉体試料は14面体形状に
制御されていた。なお、この粉体の磁化は10kOeに
おいて91emu/gであった。
【0025】〔実施例4〕反応開始前の系中の[O
- ]/[Fe2+]が2.00、[SOX 2-]/[Fe
2+]が2.00になるようにした以外は、前記実施例2
と同様の操作を行い粉体試料を得た。得られた粉体試料
のSEM写真を図5に、その結晶構造の模式図を図6に
(c)として示す。得られた粉体試料は正6面体形状に
制御されていた。なお、この粉体の磁化は10kOeに
おいて90emu/gであった。 〔実施例5〜17〕反応開始前の系中の[OH- ]/
[Fe2+]および[SOX 2-]/[Fe2+]を表1のよ
うにした以外は、前記実施例2と同様の操作を行い粉体
試料を得た。
【0026】
【表1】
【0027】実施例2〜4および表1に示す粉体試料の
反応開始前の系中の[OH- ]/[Fe2+]を縦軸と
し、[SOX 2-]/[Fe2+]を横軸として、図7に示
すグラフを作成した。なお、このグラフのプロットの左
肩に付した数字は実施例No.である。このグラフによ
り [OH- ]/[Fe2+]および[SO3 2-]/[F
2+]と、得られる粉体試料の形状との間に、特別な関
係があることが見出された。図7のグラフにおいて、
[OH- ]/[Fe2+]と[SOX 2-]/[Fe2+]の
比が約2より大きい場合には粉体試料の形状は正8面体
となり、約1.5〜約2の場合には14面体となり、約
1〜約1.5の場合には正6面体となり、約1より小さ
い場合にはその他の形状となった。
【0028】
【発明の効果】本発明の磁性粉体の製造方法は、水熱反
応時の昇温速度を150〜300℃/hr.とすること
により、粒径の揃った磁性粉体を得ることができるもの
である。得られる磁性粉体の平均粒径は0.1〜10μ
mと実用に好適なものである。また本発明の磁性粉体の
製造方法において、水熱反応の昇温前に圧力容器中の雰
囲気を不活性ガスで置換し、第一鉄塩のゲル化物として
脱酸素処理されたものを用いることにより、3価鉄の発
生を防止し、粒径の揃った磁性の強い磁性粉体をより確
実に得ることができるものである。さらに、反応溶液中
のOH- を少なくするため、別の陰イオンA- を用いて
〔OH- 〕/〔Fe2+〕を適宜変化させることにより、
所望の形状の磁性粉体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の粉体試料のSEM写真である。
【図2】比較例1の粉体試料のSEM写真である。
【図3】実施例2の粉体試料のSEM写真である。
【図4】実施例3の粉体試料のSEM写真である。
【図5】実施例4の粉体試料のSEM写真である。
【図6】実施例2〜5の粉体試料の結晶構造の模式図で
ある。
【図7】実施例2〜17の反応系中のイオン構成と粉体
試料の結晶構造の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中塚 勝人 宮城県仙台市太白区茂庭台四丁目3番5の 1403号 (72)発明者 新子 貴史 東京都西多摩郡日の出町平井字欠下2−1 日鉄鉱業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一鉄塩のゲル化物を圧力容器中で水熱
    反応を行い磁性粉体を製造する方法において、水熱反応
    時の昇温速度が160〜300℃/hr.であり、昇温
    終了後に180〜300℃で0.5〜10時間保持する
    ことを特徴とする磁性粉体の製造方法。
  2. 【請求項2】 平均粒径が0.1〜10μmであること
    を特徴とする請求項1記載の磁性粉体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記水熱反応の昇温前に圧力容器中の雰
    囲気を不活性ガスにより置換し、第一鉄塩のゲル化物と
    して脱酸素処理されたものを用いることを特徴とする請
    求項1記載の磁性粉体の製造方法。
  4. 【請求項4】 還元性弱酸もしくは還元性弱酸と強塩基
    との塩を用いて、反応溶液中の酸素分圧とOH- 濃度を
    同時に制御して粒子生成、成長速度を制御すると共に、
    OH- とは別の単一種もしくは複数種の陰イオンA-
    用いて、粒子の結晶成長面を制御することにより、サイ
    ズと形状の揃った粒子を多量に得ることを特徴とする請
    求項1記載の磁性粉体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記還元性弱酸もしくは還元性弱酸と強
    塩基との塩もしくは陰イオンA- がSO3 2-を含むもの
    であることを特徴とする請求項4記載の磁性粉体の製造
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012102360A (ja) * 2010-11-09 2012-05-31 Shinshu Univ 銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法
WO2017086068A1 (ja) * 2015-11-18 2017-05-26 コニカミノルタ株式会社 二酸化バナジウム含有粒子の製造方法及び二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法
CN108704602A (zh) * 2018-06-04 2018-10-26 梁瀚予 一种Fe3O4@SiO2纳米磁珠的制备方法

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