JPH11260625A - 超電導マグネット及びその製造方法 - Google Patents

超電導マグネット及びその製造方法

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JPH11260625A
JPH11260625A JP6510498A JP6510498A JPH11260625A JP H11260625 A JPH11260625 A JP H11260625A JP 6510498 A JP6510498 A JP 6510498A JP 6510498 A JP6510498 A JP 6510498A JP H11260625 A JPH11260625 A JP H11260625A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
superconducting
resin layer
superconducting magnet
superconducting wire
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JP6510498A
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Inventor
Hisashi Hirai
久之 平井
Fumio Sawa
史雄 澤
Masayuki Hoshino
昌幸 星野
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、クエンチの発生を抑制し、製造時
間を短縮させ、また、樹脂の廃棄量の低減を図る。 【解決手段】 巻枠1と一体になった熱可塑性樹脂層3
に超電導線2が埋込まれた形状になり、熱可塑性樹脂層
3が、極低温で高い弾性率を有し、電磁力によるワイヤ
ームーブメントを抑制する超電導マグネット及びその製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超電導線が巻回さ
れてなる超電導マグネット及びその製造方法に係り、特
に、莫大な設備投資をせず、製造時間の短縮、材料の無
駄を省きつつ、クエンチの発生を抑制可能な超電導マグ
ネット及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、中形又は小形の超電導マグネッ
トは、絶縁塗膜に被覆された超電導線がFRP(fiber r
einforced plastic ;ファイバ強化プラスチック) 、ス
テンレス又はアルミニウム等からなる巻枠に巻回された
構造となっている。
【0003】また、この種の超電導マグネットは、例え
ば熱硬化型含浸樹脂により固着されて製造されている。
もしくは、巻回時に層間にプリプレグシートが挿入さ
れ、加熱硬化により固着されて製造されている。但し稀
には、巻回された構造のままで完成とされ、固着処理が
省略された製造方法もある。
【0004】これら超電導マグネットは、夫々冷却され
て通電される。しかしながら、超電導線(以下、素線と
もいう)に通電可能な最大電流の値よりもかなり低い電
流値で超電導破壊(以下、クエンチという)を発生し易
い問題がある。クエンチの原因は、製造方法に応じて次
の(a)〜(c)に述べるように推測される。 (a)固着処理が省略された超電導マグネットは、通電
電流による電磁力によって、超電導線の不安定な動き
(ワイヤームーブメント)による超電導線相互、及び巻
枠との摩擦による発熱現象が生じる。この結果、超電導
線は、臨界温度を越えてしまい、クエンチが発生してし
まう。
【0005】一方、固着処理が省略された超電導マグネ
ットであっても、ワイヤームーブメントに伴う摩擦によ
る発熱を低減する観点から、低摩擦を得るためのポリイ
ミドシート又はテフロンシートを巻枠と超電導線との間
に介在させた構造がある。しかしながら、この構造を用
いたとしても、超電導線相互間の摩擦による発熱を阻止
できないので、クエンチが発生してしまう。 (b)含浸樹脂で固着された超電導マグネットは、完全
な含浸が困難なため、微小ボイドや硬化収縮によるヒケ
等の欠陥を生じやすい。これらの欠陥は、極低温に冷却
されると、超電導線との熱膨張係数(熱収縮率)の差に
より、応力歪みが集中する。
【0006】ここで、通電電流による電磁力が欠陥に加
わると、欠陥からのクラックの発生、クラックの進展あ
るいは界面剥離等によって発熱現象が生じる。この発熱
現象は、クエンチを引き起こす原因となる。 (c)プリプレグの接着層間シートを挿入した超電導マ
グネットは、クラックや剥離の発生と進展の影響によ
り、低い電流値でもクエンチを発生することがある。
【0007】以上の(a)〜(c)に述べたように、各
種の超電導マグネットは、夫々不安定性を有している。
また、これらの問題に加え、含浸樹脂又はプリプレグシ
ートを用いる熱硬化型の製造方法は、処理作業の取扱い
が困難であり、加熱硬化時間及び仕上げ成形に多くの時
間を必要とする問題がある。特に、含浸樹脂を用いる製
造方法は、多量の含浸樹脂を廃棄するので、資源を有効
に活用できず、また、環境の保護についても劣ってい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来の超電導マグネットでは、製造方法によらず、クエ
ンチが発生し易い問題がある。これに加え、熱硬化型の
製造方法は、多くの製造時間を要する問題がある。ここ
で、含浸樹脂を用いる場合、さらに多量の含浸樹脂を廃
棄する問題がある。
【0009】本発明は上記実情を考慮してなされたもの
で、クエンチの発生を抑制し得る超電導マグネット及び
その製造方法を提供することを目的とする。また、本発
明の他の目的は、製造時間を短縮し得る超電導マグネッ
トの製造方法を提供することにある。さらに、本発明の
他の目的は、樹脂の廃棄量を低減し得る超電導マグネッ
トの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の骨子は、超電導
線を巻枠に巻回する過程において、溶融を伴う塗布又は
巻付けによって順次、溶融された熱可塑性樹脂の薄い層
を超電導線の表面に形成することにより、巻回された部
分から順々に超電導線を固着させることにある。
【0011】これにより、巻枠及び各超電導線の間が隙
間無く熱可塑性樹脂によって固着されるので、クエンチ
の発生が抑制可能となる。また、含浸工程及びその乾燥
工程を不要としたので、製造時間が短縮可能となる。さ
らに、塗布又は巻付けによって熱可塑性樹脂層を形成す
ることにより、熱可塑性樹脂の使用量が必要最小限とな
るので、熱可塑性樹脂の廃棄量を低減させることができ
る。
【0012】さて、上述した本発明の骨子に基づいて、
具体的には以下のような手段が講じられる。請求項1に
対応する発明は、巻枠に巻回された超電導線を有する超
電導マグネットにおいて、前記超電導線と前記巻枠との
間に熱可塑性樹脂層を備えた超電導マグネットである。
【0013】また、請求項2に対応する発明は、請求項
1に対応する超電導マグネットにおいて、前記熱可塑性
樹脂層としては、200℃以下の融点を有する超電導マ
グネットである。
【0014】さらに、請求項3に対応する発明は、請求
項2に対応する超電導マグネットにおいて、前記熱可塑
性樹脂層としては、アイオノマー、エチレンメタクリル
酸共重合、フェノキシ、ポリアミド11、ポリアミド1
2、ポリエチレン又はポリオレフィンである超電導マグ
ネットである。
【0015】また、請求項4に対応する発明は、請求項
2又は請求項3に対応する超電導マグネットにおいて、
前記熱可塑性樹脂層としては、平均粒径20μm以下の
充填材として、シリカ、窒化ケイ素、窒化アルミ又はア
ルミナを有する超電導マグネットである。
【0016】さらに、請求項5に対応する発明は、請求
項4に対応する超電導マグネットにおいて、前記充填材
の形状としては、球状又は亜球状である超電導マグネッ
トである。
【0017】また、請求項6に対応する発明は、請求項
3に対応する超電導マグネットにおいて、前記熱可塑性
樹脂層としては、繊維状材料を含んでテープ状に形成さ
れた超電導マグネットである。
【0018】さらに、請求項7に対応する発明は、請求
項6に対応する超電導マグネットにおいて、前記繊維状
材料としては、ガラスクロス又は不織布、あるいは両者
の紐状物である超電導マグネットである。
【0019】また、請求項8に対応する発明は、請求項
3に対応する超電導マグネットにおいて、前記熱可塑性
樹脂層としては、複数層設けられ、ポリイミドフィルム
又はポリエステルフィルムを挟んでいる超電導マグネッ
トである。
【0020】さらに、請求項9に対応する発明は、請求
項3乃至請求項5のいずれか1項に対応する超電導マグ
ネットにおいて、前記熱可塑性樹脂層としては、複数層
設けられ、且つアルミニウム箔板又は銅箔板を挟んでい
る超電導マグネットである。
【0021】また、請求項10に対応する発明は、請求
項3乃至請求項5のいずれか1項に対応する超電導マグ
ネットにおいて、前記熱可塑性樹脂層としては、複数層
設けられ、且つアルミニウム箔板と、ガラスクロス又は
ガラス積層板とを夫々挟んでいる超電導マグネットであ
る。
【0022】さらに、請求項11に対応する発明は、請
求項3乃至請求項5のいずれか1項に対応する超電導マ
グネットにおいて、前記熱可塑性樹脂層と同一材料の第
2の熱可塑性樹脂層が超電導層間に配置され、且つこの
第2の熱可塑性樹脂層が金属線を内部に保持した超電導
マグネットである。
【0023】また、請求項12に対応する発明は、請求
項11に対応する超電導マグネットにおいて、前記金属
線としては、直径が前記超電導線の直径の1/2以下で
あり、且つ材質が、銅、アルミニウム又はステンレスを
主体としている超電導マグネットである。
【0024】さらに、請求項13に対応する発明は、請
求項1乃至請求項5のいずれか1項に対応する超電導マ
グネットの製造方法において、前記熱可塑性樹脂層を加
熱して溶融する溶融工程と、前記巻枠に超電導線を巻回
する巻回工程と、前記巻回工程に並行し、巻回済みの超
電導線に前記溶融された熱可塑性樹脂層を塗布する塗布
工程とを含んでいる超電導マグネットの製造方法であ
る。
【0025】また、請求項14に対応する発明は、請求
項13に対応する超電導マグネットの製造方法におい
て、前記熱可塑性樹脂を保持するための容器を設け、前
記容器は、前記熱可塑性樹脂を加熱するためのヒータ
と、容器底部に設けられ、前記ヒータにより溶融された
熱可塑性樹脂を所定量ずつ前記超電導線に塗布するため
のダイスとを備えた超電導マグネットの製造方法であ
る。
【0026】さらに、請求項15に対応する発明は、請
求項6乃至請求項12のいずれか1項に対応する超電導
マグネットの製造方法において、前記熱可塑性樹脂層と
しては、前記超電導線の断面半径rに対し、πr以上の
幅をもつテープ状の層から形成されており、前記巻枠に
超電導線を巻回する巻回工程と、前記巻回工程に並行
し、巻回される超電導線の下に前記熱可塑性樹脂層を敷
設する敷設工程と、前記敷設された熱可塑性樹脂層を熱
風により加熱して溶融する溶融工程とを含んでいる超電
導マグネットの製造方法である。
【0027】また、請求項16に対応する発明は、請求
項15に対応する超電導マグネットの製造方法におい
て、前記巻回工程としては、前記超電導線を上方向及び
横方向から夫々抑えるロールを用いる超電導マグネット
の製造方法である。
【0028】さらに、請求項17に対応する発明は、請
求項6乃至請求項12のいずれか1項に対応する超電導
マグネットの製造方法において、前記巻枠に超電導線を
巻回する巻回工程と、前記巻回工程により巻回された超
電導線の所定層数毎に、前記巻枠の幅に対応する幅のテ
ープ状の熱可塑性樹脂層を当該超電導線上に巻付ける巻
付け工程と、前記巻付けられた熱可塑性樹脂層を熱ロー
ルにより加圧しつつ加熱して溶融する溶融工程とを含ん
でいる超電導マグネットの製造方法である。
【0029】また、請求項18に対応する発明は、請求
項16又は請求項17に対応する超電導マグネットにお
いて、前記ロールとしては、少なくとも表面の材質がテ
フロン又はシリコーンゴムである超電導マグネットの製
造方法である。 (作用)従って、請求項1に対応する発明は以上のよう
な手段を講じたことにより、巻枠と一体になった熱可塑
性樹脂層に超電導線が埋込まれた形状になり、熱可塑性
樹脂層が、極低温で高い弾性率を有し、電磁力によるワ
イヤームーブメントを抑制するので、摩擦発熱によるク
エンチの発生を抑制することができる。
【0030】また、請求項2に対応する発明は、200
℃以上の融点をもつ熱可塑性樹脂層を用いるので、請求
項1に対応する作用に加え、製造が容易であり、極低温
におけるクラックが発生し難い利点を有している。
【0031】さらに、請求項3に対応する発明は、熱可
塑性樹脂層として好ましい材料を規定しているので、請
求項2に対応する作用に加え、極低温における耐クラッ
ク性の向上を期待することができる。
【0032】また、請求項4に対応する発明は、熱可塑
性樹脂層の充填材として、平均粒径20μm以下のシリ
カ、窒化ケイ素、窒化アルミ又はアルミナを用いるの
で、請求項2又は請求項3に対応する作用に加え、充填
材による収縮率の減少作用と熱伝導率の向上作用を奏
し、20μm以下の平均粒径による超電導線の被覆の安
全を図ることができる。補足すると、平均粒径が20μ
mを超える充填材は、巻線時又は通電時の電磁力によっ
て、超電導線の被覆を損傷させて短絡を発生させる可能
性があるからである。
【0033】さらに、請求項5に対応する発明は、充填
材の形状を球状又は亜球状に規定したので、請求項4に
対応する作用に加え、局所応力の発生を阻止すると共
に、絶縁皮膜の損傷を低減させることができる。
【0034】また、請求項6及び請求項7に対応する発
明は、熱可塑性樹脂層が、ガラスクロス又は不織布、あ
るいは両者の紐状物である繊維状材料を含んでテープ状
に形成されたので、請求項3に対応する作用に加え、超
電導線間を物理的に遮断し、絶縁すると共に、収縮を減
少させ、電磁力によるワイヤームーブメントを抑制する
ので、クエンチの発生をより低減させることができる。
【0035】また、請求項8に対応する発明は、複数の
熱可塑性樹脂層がポリイミドフィルム又はポリエステル
フィルムを挟んでいるので、請求項3に対応する作用に
加え、ポリイミドフィルム又はポリエステルフィルムに
より、超電導線間の物理的な遮断作用と絶縁作用とを向
上させることができる。
【0036】さらに、請求項9に対応する発明は、複数
の熱可塑性樹脂層が、アルミニウム箔板又は銅箔板を挟
んでいるので、請求項3乃至請求項5のいずれかに対応
する作用に加え、アルミニウム又は銅などの箔板で超電
導線の固着性と共に、良好な熱伝導性を実現させること
ができる。
【0037】また、請求項10に対応する発明は、複数
の熱可塑性樹脂層が、アルミニウム箔板と、ガラスクロ
ス又はガラス積層板とを夫々挟んでいるので、請求項3
乃至請求項5のいずれかに対応する作用に加え、超電導
線の固着性と共に、絶縁性と熱伝導性とを向上させるこ
とができる。
【0038】さらに、請求項11に対応する発明は、熱
可塑性樹脂層と同一材料の第2の熱可塑性樹脂層が超電
導層間に配置され、且つこの第2の熱可塑性樹脂層が金
属線を内部に保持するので、請求項3乃至請求項5のい
ずれかに対応する作用に加え、超電導線を強固に固定
し、且つ熱伝導性を向上させることができる。
【0039】また、請求項12に対応する発明は、熱可
塑性樹脂層内に保持された金属線としては、直径が超電
導線の直径の1/2以下であり、材質が、銅、アルミニ
ウム又はステンレスを主体としているので、請求項11
に対応する作用に加え、直径が超電導線の1/2以下で
あることから、超電導線の巻線を乱すことなく、超電導
線の間に金属線を収めることができる。
【0040】さらに、請求項13に対応する発明は、巻
枠に超電導線を巻回する巻回工程に並行して、溶融され
た熱可塑性樹脂を巻回済みの超電導線に塗布することに
より、熱可塑性樹脂が冷却されて超電導線が固着される
ので、請求項1乃至請求項5のいずれかに対応する作用
に加え、巻線とほぼ同時に超電導線の固着を完成でき、
製造時間を短縮させることができる。
【0041】また、塗布により熱可塑性樹脂層を形成す
ることにより、熱可塑性樹脂の使用量を必要最小限とす
るので、樹脂の廃棄量を低減させることができる。ま
た、請求項14に対応する発明は、熱可塑性樹脂を保持
する容器において、ヒータが熱可塑性樹脂を溶解し、容
器底部のダイスが熱可塑性樹脂を巻線と連動して塗布す
るので、請求項13に対応する作用を容易且つ確実に奏
することができる。
【0042】さらに、請求項15に対応する発明は、巻
枠に超電導線を巻回する巻回工程に並行して、巻回され
た超電導線の下に熱可塑性樹脂層を敷設し、この熱可塑
性樹脂層を熱風により加熱して溶融することにより、熱
可塑性樹脂層が超電導線間を固着するので、請求項6乃
至請求項12のいずれかに対応する作用に加え、巻線と
ほぼ同時に超電導線の固着を完成させることができる。
【0043】また、超電導線の幅よりも広い幅のテープ
状の熱可塑性樹脂層を用いるので、熱可塑性樹脂の溶融
によって、線間のスペースを埋め、超電導線をより強固
に固着することができる。さらに、敷設により熱可塑性
樹脂層を形成することにより、熱可塑性樹脂層の使用量
を必要最小限とするので、樹脂の廃棄量を低減すること
ができる。
【0044】また、請求項16に対応する発明は、巻回
工程が、超電導線を上方向及び横方向から夫々抑えるロ
ールを用いるので、請求項15に対応する作用に加え、
熱可塑性樹脂層が固化する前に、超電導線を所定の位置
に固定することができる。
【0045】さらに、請求項17に対応する発明は、巻
枠に超電導線を巻回する巻回工程により巻回された超電
導線の所定層数毎に、巻線の幅に対応する幅のテープ状
の熱可塑性樹脂層を超電導線上に巻付け、この熱可塑性
樹脂層を熱ロールにより加圧しつつ加熱して溶融するこ
とにより、請求項6乃至請求項12のいずれかに対応す
る作用に加え、熱可塑性樹脂層が熱ロール通過後に冷却
により超電導線間を固着するので、巻線とほぼ同時に超
電導線の固着を完成することができる。また、巻付けに
より熱可塑性樹脂層を形成し、熱可塑性樹脂層の使用量
を必要最小限とするので、樹脂の廃棄量を低減すること
ができる。
【0046】また、請求項18に対応する発明は、ロー
ルとしては少なくとも表面の材質がテフロン又はシリコ
ーンゴムであるので、請求項16又は請求項17に対応
する作用に加え、溶融した熱可塑性樹脂層とロールとの
接着を阻止でき、もって、作業性の向上を図ることがで
きる。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施形態につい
て図面を参照して説明する。 (第1の実施形態)図1は本発明の第1の実施形態に係
る超電導マグネットの構成を模式的に示す概略図及びそ
の断面図であり、図2はこの超電導マグネットの巻枠と
超電導線との界面部分を示す拡大図である。この超電導
マグネットは、巻枠1に超電導線2が巻回され、且つ巻
枠1と超電導線2との間及び各超電導線2間が熱可塑性
樹脂層3により固着された構造となっている。
【0048】ここで、熱可塑性樹脂層3は、熱可塑性樹
脂からなり、例えば、巻枠1と超電導線2との間はフィ
ルム状の熱可塑性樹脂の溶融・固化により形成され、各
超電導線間は溶融された液状の熱可塑性樹脂の固化によ
り形成されてもよい。この熱可塑性樹脂としては、好ま
しくは200℃以上の融点を有しており、例えば、アイ
オノマー、エチレンメタクリル酸共重合、フェノキシ、
ポリアミド11、ポリアミド12、ポリエチレン又はポ
リオレフィンが使用可能となっている。
【0049】また、熱可塑性樹脂層3は、平均粒径20
μm以下の充填材を含んでもよい。この充填材として
は、例えばシリカ、窒化ケイ素、窒化アルミ又はアルミ
ナが使用可能となっている。なお、充填材の形状は、球
状又は亜球状であることが好ましい。亜球状は、丸みを
帯びた形状の意味であり、例えば破砕品の熱処理によ
り、鋭角部分が溶融され、形成可能となっている。
【0050】次に、このような超電導マグネットの製造
方法について図3及び図4を用いて説明する。本実施形
態の製造方法では、超電導線2の引出用の巻枠4と、超
電導線2が巻回されて超電導マグネットとなる巻枠1と
の間に、電気ヒータにより加熱可能に熱可塑性樹脂3a
を保持する容器5及びその底部のダイス6からなる塗布
装置が用いられる。
【0051】この容器5は、図4に示すように、超電導
線2を貫通させ、底部のダイス6を介して所定量の熱可
塑性樹脂3aを超電導線2に塗布可能としている。な
お、容器5内の熱可塑性樹脂3aは、容器5近傍に配置
された電気ヒータ(図示せず)により、予め溶融されて
いる。
【0052】一方、ダイス6は、超電導線2の寸法と熱
可塑性樹脂3aの塗布量に合わせて、超電導線2を貫通
させる穴の形状、大きさが調整可能であり、また、フェ
ルト等で構成してもよい。ダイス6の材質は、超電導線
2を傷付けないものが用いられ、例えば熱可塑性樹脂が
適しており、特にテフロン系及びポリアミド(ナイロ
ン)系が耐久性もあって最適である。
【0053】従って、始めに、塗布装置内では、電気ヒ
ータによる加熱により、容器5内の熱可塑性樹脂3aが
溶融され、以後、この溶融状態で容器5内に保持され
る。次に、超電導線2の引出用の巻枠4から引き出され
た超電導線2は、塗布装置内の容器5を貫通するときに
ダイス6によって外表面に所定量の熱可塑性樹脂3aが
塗布され、しかる後、巻枠1に巻回される。
【0054】巻枠1では、超電導線2が巻回されると共
に、超電導線2外表面の熱可塑性樹脂3aが冷却され、
熱可塑性樹脂3aの固化によって各超電導線2間に熱可
塑性樹脂層3が形成され、もって、各超電導線2間が互
いに固着される。これにより、巻線とほぼ同時に超電導
線2の固着を完成させて、超電導マグネットが製造され
る。従って、第1の実施形態によれば、巻枠1と一体に
なった熱可塑性樹脂層3に超電導線2が埋込まれた形状
になり、熱可塑性樹脂層3が、極低温で高い弾性率を有
し、電磁力によるワイヤームーブメントを抑制するの
で、摩擦発熱によるクエンチの発生を抑制することがで
きる。
【0055】また、200℃以上の融点をもつ熱可塑性
樹脂層3を用いるので、製造が容易であり、極低温にお
けるクラックが発生し難い利点を有している。さらに、
熱可塑性樹脂層3としてアイオノマー、エチレンメタク
リル酸共重合、フェノキシ、ポリアミド11、ポリアミ
ド12、ポリエチレン又はポリオレフィンといった好ま
しい材料が用いられることにより、極低温における耐ク
ラック性の向上を期待することができる。
【0056】また、熱可塑性樹脂層3の充填材として、
平均粒径20μm以下のシリカ、窒化ケイ素、窒化アル
ミ又はアルミナを用いる場合、充填材による収縮率の減
少作用と熱伝導率の向上作用を奏し、20μm以下の平
均粒径により、超電導線2の被覆の安全を図ることがで
きる。補足すると、平均粒径が20μmを超える充填材
は、巻線時又は通電時の電磁力によって、超電導線の被
覆を損傷させて短絡を発生させる可能性があるからであ
る。
【0057】さらに、充填材の形状を球状又は亜球状に
規定したので、局所応力の発生を阻止すると共に、絶縁
皮膜の損傷を低減させることができる。また、製造方法
に関しては、巻枠1に超電導線2を巻回する巻回工程に
並行して、溶融された熱可塑性樹脂3aを巻回済みの超
電導線2に塗布することにより、熱可塑性樹脂3aが冷
却されて超電導線2が固着されるので、上述した効果に
加え、巻線とほぼ同時に超電導線2の固着を完成でき
る。すなわち、本実施形態は、従来の含浸工程及びその
乾燥工程を不要としたので、製造時間を短縮できる。
【0058】また、熱可塑性樹脂3aを保持する容器5
において、ヒータが熱可塑性樹脂3aを溶解し、容器5
底部のダイス6が熱可塑性樹脂3aを巻線と連動して塗
布するので、上述した効果を容易且つ確実に奏すること
ができる。また、塗布により、熱可塑性樹脂層3が形成
されるので、熱可塑性樹脂の使用量が必要最小限となっ
て、樹脂の廃棄量を低減させることができる。 (第2の実施形態)図5は本発明の第2の実施形態に係
る超電導マグネットの構成を示す断面図であり、図1と
同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略
し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。なお、以
下同様にして重複した説明を省略する。
【0059】本実施形態は、第1の実施形態の変形例で
あり、具体的には図1中の熱可塑性樹脂層3に代えて、
図5に示すように、熱可塑性樹脂3aにより上下方向か
ら支持体層7を挟んでなる熱可塑性樹脂層3xを備えて
いる。
【0060】ここで、支持体層7としては、アルミニウ
ム箔板又は銅箔板等の熱伝導体、ガラスクロス又は不織
布等の繊維状絶縁材料、あるいはガラス積層板等の絶縁
体のいずれかが使用可能となっている。
【0061】すなわち、熱可塑性樹脂層3xは、熱可塑
性樹脂3aによって支持体層7を挟んだ層構造であり、
超電導線2の断面半径rに対してπr以上の幅をもつテ
ープ状の樹脂テープの溶解及び冷却により、形成された
ものである。但し、πは円周率である。
【0062】次に、このような超電導マグネットの製造
方法について図6を用いて説明する。図6に示すよう
に、図3とは異なり、塗布装置に代えて、テープ状の熱
可塑性樹脂層3xがテープ用巻枠8から引き出されてプ
ーリ9により超電導線2を下側から略U字形に包んでい
る。また、超電導マグネットとなる巻枠1は、上方に熱
風の吹付口10が配置されている。
【0063】従って、プーリ9により熱可塑性樹脂層3
xに包まれた超電導線2は、超電導マグネットとなる巻
枠1に巻回される。ここで、超電導線2は、巻回と共
に、吹付け口10から熱風が吹付けられて熱可塑性樹脂
層3xの熱可塑性樹脂3aが溶解され、各超電導線2間
に入り込む。
【0064】また、巻回の進行により、熱風から外れた
熱可塑性樹脂3aは冷却により固化して超電導線2間を
固着させる。これにより、巻回終了とほぼ同時に、超電
導線2間の固着を完成させて、超電導マグネットが製造
される。上述したように第2の実施形態によれば、第1
の実施例の効果に加え、以下のような効果を得ることが
できる。
【0065】すなわち、熱可塑性樹脂層3xが、ガラス
クロス又は不織布、あるいは両者の紐状物である繊維状
材料を含んでテープ状に形成されたので、超電導線2間
を物理的に遮断し、絶縁すると共に、収縮を減少させ、
電磁力によるワイヤームーブメントを抑制するので、ク
エンチの発生をより低減させることができる。
【0066】また、複数の熱可塑性樹脂3aがポリイミ
ドフィルム又はポリエステルフィルムを挟んでいる場
合、ポリイミドフィルム又はポリエステルフィルムによ
り、超電導線2間の物理的な遮断作用と絶縁作用とを向
上させることができる。
【0067】さらに、複数の熱可塑性樹脂3aが、アル
ミニウム箔板又は銅箔板を挟んでいる場合、アルミニウ
ム又は銅などの箔板で超電導線2の固着性と共に、良好
な熱伝導性を実現させることができる。
【0068】また、複数の熱可塑性樹脂3aが、アルミ
ニウム箔板と、ガラスクロス又はガラス積層板とを夫々
で挟んでいる場合、超電導線2の固着性と共に、絶縁性
と熱伝導性とを向上させることができる。
【0069】さらに、巻枠1に超電導線2を巻回する巻
回工程に並行して、巻回された超電導線2の下に熱可塑
性樹脂層3xを巻き付けて敷設し、この熱可塑性樹脂層
3xを熱風により加熱して溶融することにより、熱可塑
性樹脂3aが超電導線2間を固着するので、巻線とほぼ
同時に超電導線2の固着を完成させることができる。す
なわち、第1の実施形態と同様に製造時間を短縮でき
る。また同様に、巻付けによって熱可塑性樹脂層を形成
することにより、熱可塑性樹脂の使用量が必要最小限と
なるので、熱可塑性樹脂の廃棄量を低減できる。
【0070】また、超電導線2の幅よりも広い幅のテー
プ状の熱可塑性樹脂層3xを用いるので、熱可塑性樹脂
3aの溶融によって、線間のスペースを埋め、超電導線
をより強固に固着することができる。 (第3〜第5の実施形態)第3〜第5の実施形態は、第
2の実施形態の超電導マグネットにおける製造方法の変
形例であるので、第2の実施形態の効果の重複した記載
と超電導マグネットの構成の説明とを省略し、製造方法
についてのみ述べる。 (第3の実施形態)第3の実施形態に係る製造方法は、
図6(第2実施形態)に示した製造方法にロールを付加
し、図7に巻枠周辺を拡大して示すように、図7(a)
に示すように吹付け口10から熱風を当てた後、図7
(b)に示すように超電導線2の外側の熱可塑性樹脂層
3xを上方向及び横方向から夫々ロール11,12で抑
えるものである。
【0071】このような製造方法としても、第2の実施
形態の効果に加え、巻回工程が、超電導線を上方向及び
横方向から夫々抑えるロールを用いるので、熱可塑性樹
脂層が固化する前に、超電導線を所定の位置に固定する
ことができる。
【0072】なお、各ロール11,12は、熱可塑性樹
脂の急激な固化を防ぐ観点から、保温又は溶融に適した
温度を保持する熱ロールを用いることが好ましい。ま
た、ロール11,12の表面の材質をテフロン又はシリ
コーンゴムとすることにより、溶融した熱可塑性樹脂層
とロールとの接着を阻止でき、もって、作業性の向上を
図ることができる。このロール表面の材質に伴う作用効
果は、以下の各実施例でも同様である。 (第4の実施形態)第4の実施形態に係る製造方法は、
図6に示した製造方法に対し、熱風の吹付け口10を省
略する一方、図8に巻枠1周辺を拡大して示すように、
加熱用の熱ロール13,14を付加し、超電導線2の外
側の熱可塑性樹脂層3xを上方向及び横方向から夫々熱
ロール13,14で抑えることにより、熱可塑性樹脂層
3xを加圧しつつ加熱して溶融するものである。
【0073】この方式では、熱可塑性樹脂層3xの熱可
塑性樹脂3aが熱ロール13,14を通過後に冷却によ
り超電導線2間を固着するので、巻線とほぼ同時に超電
導線2の固着を完成でき、また、超電導線2の幅よりも
広い幅のテープ状の熱可塑性樹脂層3xを用いるので、
熱可塑性樹脂3aの溶融によって、線間のスペースを埋
め、超電導線2をより強固に固着することができる。 (第5の実施形態)第5の実施形態に係る製造方法は、
図6に示した製造方法に対し、プーリ9及び吹付け口1
0を省略する一方、図9に巻枠周辺を拡大して示すよう
に、熱ロール13を付加し、巻枠1に超電導線2を巻回
すると共に、巻回された超電導線2の所定層数毎に、テ
ープ状の熱可塑性樹脂層3xを巻付け、この熱可塑性樹
脂層3xを熱ロール13により加圧しつつ加熱して溶融
するものである。
【0074】この方式では、熱可塑性樹脂層3xが熱ロ
ール13を通過後に冷却されることにより、超電導線2
間を固着するので、巻線とほぼ同時に超電導線2の固着
を完成することができる。 (第6の実施形態)図10は本発明の第6の実施形態に
係る超電導マグネットの構成を示す断面図であり、図1
1はこの超電導マグネットに適用される熱可塑性樹脂層
の構成を示す模式図である。本実施形態は、第1の実施
形態の変形例であり、具体的には図1内の熱可塑性樹脂
層3に代えて、図10に示すように、超電導線2の長手
方向に沿って紐状物16が熱可塑性樹脂3aの内部に保
持された構造となっている。
【0075】ここで、紐状物16としては、ガラスクロ
ス又は不織布等の繊維状材料、あるいは銅、アルミニウ
ム又はステンレス等の金属線等が使用可能となってい
る。なお、紐状物16が金属線のとき、金属線の直径
は、超電導線の直径の1/2以下であることが超電導線
2の巻線を乱さない観点から好ましい。
【0076】なお、この構造は、図11に示すように、
この種の紐状物16を内部に保持する熱可塑性樹脂3a
からなるテープ状の熱可塑性樹脂層3yの溶融及び冷却
による固化によって、形成されている。
【0077】次に、このような超電導マグネットの製造
方法について説明する。本実施形態の製造方法は、第5
の実施形態と同様に、図6に示した製造方法に対し、プ
ーリ9及び吹付け口10を省略する一方、熱ロール13
を付加し、図12に巻枠1周辺を拡大して示すように、
巻枠1に超電導線2を巻回すると共に、巻回された超電
導線2の所定層数毎に、テープ状の熱可塑性樹脂層3y
を巻付け、この熱可塑性樹脂層3yを熱ロール13によ
り加圧しつつ加熱して溶融するものである。
【0078】この方式では、熱可塑性樹脂層3yの熱可
塑性樹脂3aが熱ロール13を通過後に冷却により、超
電導線2間を固着するので、巻線とほぼ同時に超電導線
2の固着を完成することができる。
【0079】また、第1の実施形態の効果に加え、熱可
塑性樹脂層3yが超電導層2間に配置され、且つこの熱
可塑性樹脂層3yが金属線等の紐状物16を内部に保持
するので、超電導線を強固に固定し、且つ熱伝導性を向
上させることができる。
【0080】また、紐状物16が金属線のとき、直径が
超電導線2の直径の1/2以下であることから、超電導
線2の巻線を乱すことなく、超電導線2の間に金属線を
収めることができる。なお、本発明は、上記各実施形態
には限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形
して実施できる。
【0081】
【実施例】次に、このような本発明の具体的な実施例1
〜8及び比較例(従来例)について図13に結果を示し
て説明する。なお、図13中、初期クエンチは、Ic値
の%で示した。 (第1の実施例)図2と同様に、熱可塑性樹脂層3とし
ての50μm厚のエチレンメタクリル酸共重合(以下、
ニュクレル(三井石油化学社の商品名)という)をFR
Pの表面に一体成形した材料を巻枠1に巻付けて固着し
た。
【0082】巻枠には、一層目として、絶縁被覆された
直径1mmの超電導線2を120℃以上の熱風で加熱し
ながら密巻にした。超電導線2は、表面のニュクレルに
埋込まれた形で冷却と同時に固着された。
【0083】2層目以降の層構造は、図3と同様に、容
器5内で溶融されたニュクレルがダイス6を通して塗布
された超電導線2が所定回数だけ巻枠1に巻回されるこ
とにより、製造された。結果は図13に示した通りであ
る。(第2の実施例)巻枠1と1層目の層構造は、第1
の実施例と同一構成である。2層目以降の層構造は、図
6と同様に、テープ状のニュクレルが巻枠1の前段のプ
ーリ9で超電導線2と一体にされ、巻回と同時に熱風で
溶融され、上と横の熱ロール13,14によって成形さ
れることにより、製造される。 (第3の実施例)巻枠1と1層目の層構造は、第1の実
施例と同一構成である。2層目以降の層構造は、図9と
同様に、熱可塑性樹脂としてのアイオノマー(以下、ハ
イミラン(三井石油化学社の商品名)という)のシート
を表面テフロン製の熱ロール13で溶融し、超電導線2
間の空間を埋込む程度に溶融塗布することにより、製造
される。 (第4の実施例)1層目及びそれ以降の層構造は、図3
及び図4に示したように、容器5内で150℃程度に溶
融されたニュクレルがダイス6を通して塗布された超電
導線2が所定回数だけ巻枠1に巻回されることにより、
製造された。本実施例は、最も製造性が優れている。 (第5の実施例)巻枠1と1層目の層構造は、第1の実
施例と同一構成である。2層目以降の層構造は、第3の
実施例のハイミランに代えて、充填材として平均粒径1
3μmの球状シリカ(MSV−13N(龍森社の商品
名))が30体積率(vol.%)複合されたシートが使用
された。 (第6の実施例)巻枠1と1層目の層構造は、第1の実
施例と同一構成である。2層目以降の層構造は、第3の
実施例のハイミランに代えて、ガラスクロスにエポキシ
樹脂を含浸させ、ニュクレルフィルムが両面に付けられ
硬化された0.2mm厚のFRPシートが使用された。
ガラスクロスは、0.1mm厚であり、しなやかで使い
やすい。また、基材(ガラスクロス)があるため、下層
の超電導線2の凹凸の影響が少なく、平滑に巻くことが
できる。 (第7の実施例)巻枠1と1層目の層構造は、第1の実
施例と同一構成である。2層目以降の層構造は、図9に
示したように、0.2mm厚の純アルミニウムのシート
にニュクレルフィルムが両面に接着された熱可塑性樹脂
層3xが、第3の実施例のハイミランに代えて、超電導
線2の層間に挿入され、1層毎に熱ロール13で超電導
線2と融着固化されている。本実施例の構造は、冷凍機
直接冷却方式の超電導マグネットとして、熱伝導で冷却
される。また、巻線性、冷却特性ともに優れている。 (第8の実施例)巻枠1と1層目の層構造は、第1の実
施例と同一構成である。2層目以降の層構造は、第3の
実施例のハイミランに代えて、図11及び図12に示し
たように、紐状物16としての金属線をストライプ状に
保持する熱可塑性樹脂のテープが超電導線2の層間に配
置され、超電導マグネットが製造された。このように、
構成した超電導マグネットは、冷却特性に優れている。 (比較例1)ガラスエポキシFRP(G10)の巻枠
に、超電導線が巻回され、超電導線の層間には30μm
厚のガラステープが所々に配置される。しかる後、コイ
ル、巻枠に離型処理が施され、型枠に収められる。含浸
は、低温用のエポキシ樹脂が使用される。真空・加圧含
浸においては、加圧した状態で硬化が所定時間実施され
る。硬化の終了後、型枠が取外され、コイルの表面に付
着したエポキシ樹脂が欠き落とされ、成形される。
【0084】このように、含浸は、多くの工程を必要と
し、長時間がかかってしまう。さらに、欠き落とした樹
脂は、廃棄物として処理されるので、熱硬化性樹脂の有
効利用率が低くなる。なお、熱硬化性樹脂の有効利用率
=超電導マグネット内の樹脂量/製造中の樹脂使用量×
100(%)である。
【0085】使用樹脂の有効利用率は、比較例1が約3
0%であるものの、本発明の実施例1〜実施例8がほぼ
95%以上である。すなわち、本発明に係る超電導マグ
ネット及びその製造方法は、使用樹脂のほぼ全てを有効
に用いることができる。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ク
エンチの発生を抑制でき、製造時間を短縮でき、また、
樹脂の廃棄量を低減できる超電導マグネット及びその製
造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る超電導マグネッ
トの構成を模式的に示す概略図及びその断面図
【図2】同実施形態における超電導マグネットの巻枠と
超電導線との界面部分を示す拡大図
【図3】同実施形態における超電導マグネットの製造方
法を説明するための模式図
【図4】同実施形態における製造方法に適用される容器
を説明するための模式図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る超電導マグネッ
トの構成を示す断面図
【図6】同実施形態における超電導マグネットの製造方
法を説明するための図
【図7】本発明の第3の実施形態に係る超電導マグネッ
トの製造方法を説明するための図
【図8】本発明の第4の実施形態に係る超電導マグネッ
トの製造方法を説明するための図
【図9】本発明の第5の実施形態に係る超電導マグネッ
トの製造方法を説明するための図
【図10】本発明の第6の実施形態に係る超電導マグネ
ットの構成を示す断面図
【図11】同実施形態における熱可塑性樹脂層の構成を
示す模式図
【図12】同実施形態における超電導マグネットの製造
方法を説明するための図
【図13】本発明の各実施例の結果を従来の比較例と共
に示す図
【符号の説明】
1,4…巻枠 2…超電導線 3,3a,3x,3y…熱可塑性樹脂層 5…容器 6…ダイス 7…支持体層 8…テープ用巻枠 9…プーリ 10…吹付口 11,12…ロール 13,14…熱ロール 16…紐状物

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻枠に巻回された超電導線を有する超電
    導マグネットにおいて、 前記超電導線と前記巻枠との間に熱可塑性樹脂層を備え
    たことを特徴とする超電導マグネット。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の超電導マグネットにお
    いて、 前記熱可塑性樹脂層は、200℃以下の融点を有するこ
    とを特徴とする超電導マグネット。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の超電導マグネットにお
    いて、 前記熱可塑性樹脂層は、アイオノマー、エチレンメタク
    リル酸共重合、フェノキシ、ポリアミド11、ポリアミ
    ド12、ポリエチレン又はポリオレフィンであることを
    特徴とする超電導マグネット。
  4. 【請求項4】 請求項2又は請求項3に記載の超電導マ
    グネットにおいて、 前記熱可塑性樹脂層は、平均粒径20μm以下の充填材
    として、シリカ、窒化ケイ素、窒化アルミ又はアルミナ
    を有することを特徴とする超電導マグネット。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の超電導マグネットにお
    いて、 前記充填材の形状は、球状又は亜球状であることを特徴
    とする超電導マグネット。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の超電導マグネットにお
    いて、 前記熱可塑性樹脂層は、繊維状材料を含んでテープ状に
    形成されたことを特徴とする超電導マグネット。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の超電導マグネットにお
    いて、 前記繊維状材料は、ガラスクロス又は不織布、あるいは
    両者の紐状物であることを特徴とする超電導マグネッ
    ト。
  8. 【請求項8】 請求項3に記載の超電導マグネットにお
    いて、 前記熱可塑性樹脂層は、複数層設けられ、ポリイミドフ
    ィルム又はポリエステルフィルムを挟んでいることを特
    徴とする超電導マグネット。
  9. 【請求項9】 請求項3乃至請求項5のいずれか1項に
    記載の超電導マグネットにおいて、 前記熱可塑性樹脂層は、複数層設けられ、且つアルミニ
    ウム箔板又は銅箔板を挟んでいることを特徴とする超電
    導マグネット。
  10. 【請求項10】 請求項3乃至請求項5のいずれか1項
    に記載の超電導マグネットにおいて、 前記熱可塑性樹脂層は、複数層設けられ、且つアルミニ
    ウム箔板と、ガラスクロス又はガラス積層板とを夫々挟
    んでいることを特徴とする超電導マグネット。
  11. 【請求項11】 請求項3乃至請求項5のいずれか1項
    に記載の超電導マグネットにおいて、 前記熱可塑性樹脂層と同一材料の第2の熱可塑性樹脂層
    が超電導層間に配置され、且つこの第2の熱可塑性樹脂
    層が金属線を内部に保持したことを特徴とする超電導マ
    グネット。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の超電導マグネット
    において、 前記金属線は、直径が前記超電導線の直径の1/2以下
    であり、且つ材質が、銅、アルミニウム又はステンレス
    を主体としていることを特徴とする超電導マグネット。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至請求項5のいずれか1項
    に記載の超電導マグネットの製造方法において、 前記熱可塑性樹脂層を加熱して溶融する溶融工程と、 前記巻枠に超電導線を巻回する巻回工程と、 前記巻回工程に並行し、巻回済みの超電導線に前記溶融
    された熱可塑性樹脂層を塗布する塗布工程とを含んでい
    ることを特徴とする超電導マグネットの製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の超電導マグネット
    の製造方法において、 前記熱可塑性樹脂を保持するための容器を設け、 前記容器は、前記熱可塑性樹脂を加熱するためのヒータ
    と、容器底部に設けられ、前記ヒータにより溶融された
    熱可塑性樹脂を所定量ずつ前記超電導線に塗布するため
    のダイスとを備えたことを特徴とする超電導マグネット
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項6乃至請求項12のいずれか1
    項に記載の超電導マグネットの製造方法において、 前記熱可塑性樹脂層は、前記超電導線の断面半径rに対
    し、πr以上の幅をもつテープ状の層から形成されてお
    り、 前記巻枠に超電導線を巻回する巻回工程と、 前記巻回工程に並行し、巻回される超電導線の下に前記
    熱可塑性樹脂層を敷設する敷設工程と、 前記敷設された熱可塑性樹脂層を熱風により加熱して溶
    融する溶融工程とを含んでいることを特徴とする超電導
    マグネットの製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の超電導マグネット
    の製造方法において、 前記巻回工程は、前記超電導線を上方向及び横方向から
    夫々抑えるロールを用いることを特徴とする超電導マグ
    ネットの製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項6乃至請求項12のいずれか1
    項に記載の超電導マグネットの製造方法において、 前記巻枠に超電導線を巻回する巻回工程と、 前記巻回工程により巻回された超電導線の所定層数毎
    に、前記巻枠の幅に対応する幅のテープ状の熱可塑性樹
    脂層を当該超電導線上に巻付ける巻付け工程と、 前記巻付けられた熱可塑性樹脂層を熱ロールにより加圧
    しつつ加熱して溶融する溶融工程とを含んでいることを
    特徴とする超電導マグネットの製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項16又は請求項17に記載の超
    電導マグネットにおいて、 前記ロールは、少なくとも表面の材質がテフロン又はシ
    リコーンゴムであることを特徴とする超電導マグネット
    の製造方法。
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