JP2679330B2 - 超電導コイルの製造方法 - Google Patents
超電導コイルの製造方法Info
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- JP2679330B2 JP2679330B2 JP2873890A JP2873890A JP2679330B2 JP 2679330 B2 JP2679330 B2 JP 2679330B2 JP 2873890 A JP2873890 A JP 2873890A JP 2873890 A JP2873890 A JP 2873890A JP 2679330 B2 JP2679330 B2 JP 2679330B2
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- resin
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- reinforcing layer
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、液体ヘリウム中に全体が浸漬されて超電
導状態となる超電導コイルの製造方法、ことに含浸樹脂
硬化物の熱応力によるクラックの発生を回避する製造方
法に関する。
導状態となる超電導コイルの製造方法、ことに含浸樹脂
硬化物の熱応力によるクラックの発生を回避する製造方
法に関する。
〔従来の技術〕 超電導コイルはコイルに作用する電磁機械力によって
コイル導体としての超電導線が機械的ストレスを受け、
さらには相互に摩擦して僅かな摩擦熱が発生すると、こ
れが引き金となって超電導が局部的に破れるクエンチを
発生するので、コイル全体を熱硬化性含浸樹脂の硬化物
で固めて一体化した構造とし、クエンチの発生を未然に
防ぐ対策がとられる。
コイル導体としての超電導線が機械的ストレスを受け、
さらには相互に摩擦して僅かな摩擦熱が発生すると、こ
れが引き金となって超電導が局部的に破れるクエンチを
発生するので、コイル全体を熱硬化性含浸樹脂の硬化物
で固めて一体化した構造とし、クエンチの発生を未然に
防ぐ対策がとられる。
第5図は従来の超電導コイルの構造とその製造方法を
説明するための断面図であり、中空部1Cを有するアルミ
ニウム製の巻枠1は巻き軸1Aおよび一対のつば1Bからな
り、その巻線スペースを3方向から囲う面にはガラス繊
維強化された絶縁層3が設けられ、コイル2との間の絶
縁性能が強化される。コイル2はNbTi,Nb3Sn,V3Ga等の
化合物系超電導細線を銅などの安定化材で被覆し、さら
に外側に耐熱ガラス被覆を施した例えば直径1mm程度の
超電導線7を整列巻きしたものからなり、例えば16層程
度重ね巻きされる。コイル2はその外周側を補強層4に
よって覆われており、補強層4は例えば直径2mm程度の
ステンレス鋼線を3層程度整列状態で重ね巻きすること
により、コイル2を強固に緊縛するよう構成される。こ
のように構成された未含浸の超電導コイルには一対のつ
ば1Bの外周部に気密に係合してコイル2の外周側を覆う
含浸金型5が取り付けられ、金型内部を排気した状態で
樹脂注入口5Aから熱硬化性のエポキシ系含浸樹脂8が真
空含浸され、さらに雰囲気圧力を高めて加圧含浸が行わ
れる。含浸処理を終了した超電導コイルは加熱硬化槽で
含浸樹脂が半硬化状態になるまで加熱され、含浸金型5
を離型し、さらに追硬化することにより含浸樹脂の硬化
物によって一体化した超電導コイルが得られる。
説明するための断面図であり、中空部1Cを有するアルミ
ニウム製の巻枠1は巻き軸1Aおよび一対のつば1Bからな
り、その巻線スペースを3方向から囲う面にはガラス繊
維強化された絶縁層3が設けられ、コイル2との間の絶
縁性能が強化される。コイル2はNbTi,Nb3Sn,V3Ga等の
化合物系超電導細線を銅などの安定化材で被覆し、さら
に外側に耐熱ガラス被覆を施した例えば直径1mm程度の
超電導線7を整列巻きしたものからなり、例えば16層程
度重ね巻きされる。コイル2はその外周側を補強層4に
よって覆われており、補強層4は例えば直径2mm程度の
ステンレス鋼線を3層程度整列状態で重ね巻きすること
により、コイル2を強固に緊縛するよう構成される。こ
のように構成された未含浸の超電導コイルには一対のつ
ば1Bの外周部に気密に係合してコイル2の外周側を覆う
含浸金型5が取り付けられ、金型内部を排気した状態で
樹脂注入口5Aから熱硬化性のエポキシ系含浸樹脂8が真
空含浸され、さらに雰囲気圧力を高めて加圧含浸が行わ
れる。含浸処理を終了した超電導コイルは加熱硬化槽で
含浸樹脂が半硬化状態になるまで加熱され、含浸金型5
を離型し、さらに追硬化することにより含浸樹脂の硬化
物によって一体化した超電導コイルが得られる。
巻枠1に超電導線7およびステンレス線4Aを複数層整
列巻きしてコイル2および補強層4を形成する場合、線
材外径の不整や整列巻きの不整などが原因で補強層4の
外径が規定寸法より大きくなる通称巻き太りが発生し、
補強層4の外径にバラッキが発生する。したがって、含
浸金型5を取り付けた際、金型の内面と補強層4の外周
面との間に隙間が生じ、この部分に含水樹脂だまりが発
生し、含浸樹脂が硬化した時点では補強層4の表面に厚
みが不均一な樹脂層9が形成される。このような超電導
コイルを真空断熱容器に収納して液体ヘリウムを注入す
ると、アルミニウム製の巻枠1および樹脂層9の表面を
伝熱面としてコイル2および補強層4の冷却が行われる
が、金属線材の数倍の熱膨張係数を有する樹脂層9が大
きく収縮し、熱応力によって樹脂層にクラックが発生す
る。このようにして樹脂層にクラックが生じた超電導コ
イルに直流大電流を流すと、その投入,遮断時にコイル
2に大きな電磁機械力が作用し、樹脂層9のクラックが
補強層4やコイル2の線材のターン間にまで進展する事
態が発生する。したがって、ターン間にクラックが生じ
た超電導コイルは、励磁電流が変化するたびに電磁機械
力によってターン間の超電導線7が相互に摩擦して摩擦
熱を発生したり、あるいは安定化導体中に埋設された化
合物超電導細線に機械力が作用することにより、これら
が引き金となってクエンチを生ずるという問題が生ず
る。
列巻きしてコイル2および補強層4を形成する場合、線
材外径の不整や整列巻きの不整などが原因で補強層4の
外径が規定寸法より大きくなる通称巻き太りが発生し、
補強層4の外径にバラッキが発生する。したがって、含
浸金型5を取り付けた際、金型の内面と補強層4の外周
面との間に隙間が生じ、この部分に含水樹脂だまりが発
生し、含浸樹脂が硬化した時点では補強層4の表面に厚
みが不均一な樹脂層9が形成される。このような超電導
コイルを真空断熱容器に収納して液体ヘリウムを注入す
ると、アルミニウム製の巻枠1および樹脂層9の表面を
伝熱面としてコイル2および補強層4の冷却が行われる
が、金属線材の数倍の熱膨張係数を有する樹脂層9が大
きく収縮し、熱応力によって樹脂層にクラックが発生す
る。このようにして樹脂層にクラックが生じた超電導コ
イルに直流大電流を流すと、その投入,遮断時にコイル
2に大きな電磁機械力が作用し、樹脂層9のクラックが
補強層4やコイル2の線材のターン間にまで進展する事
態が発生する。したがって、ターン間にクラックが生じ
た超電導コイルは、励磁電流が変化するたびに電磁機械
力によってターン間の超電導線7が相互に摩擦して摩擦
熱を発生したり、あるいは安定化導体中に埋設された化
合物超電導細線に機械力が作用することにより、これら
が引き金となってクエンチを生ずるという問題が生ず
る。
この発明の目的は、クラックの発生を防止することに
より、クエンチを生じ難い超電導コイルを得ることにあ
る。
より、クエンチを生じ難い超電導コイルを得ることにあ
る。
上記課題を解決するために、この発明によれば、金属
製の巻枠と、この巻枠に繊維強化シート層を介して超電
導線を整列巻きしたコイルと、このコイルの外周面を覆
うよう巻装された補強層とからなり、熱硬化性の含浸樹
脂の硬化物により一体化した超電導コイルにおいて、前
記補強層の外周を独立気泡を含むゴム弾性シートで覆っ
た後、その外周側を密接して覆う含浸金型を装着して前
記含浸樹脂を真空加圧含浸し、しかる後含浸樹脂が半硬
化状態となった時点で前記含浸金型から離型する際前記
ゴム弾性シートを取り除くこととする。
製の巻枠と、この巻枠に繊維強化シート層を介して超電
導線を整列巻きしたコイルと、このコイルの外周面を覆
うよう巻装された補強層とからなり、熱硬化性の含浸樹
脂の硬化物により一体化した超電導コイルにおいて、前
記補強層の外周を独立気泡を含むゴム弾性シートで覆っ
た後、その外周側を密接して覆う含浸金型を装着して前
記含浸樹脂を真空加圧含浸し、しかる後含浸樹脂が半硬
化状態となった時点で前記含浸金型から離型する際前記
ゴム弾性シートを取り除くこととする。
また、コイルの外周面に金属線を整列巻きして補強層
を形成することとするとよい。
を形成することとするとよい。
また、コイルの外周面にガラステープを重ね巻きして
未含浸の補強層を形成することとするとよい。
未含浸の補強層を形成することとするとよい。
また、コイルの外周面にふっ素樹脂シートからなるは
く離層を形成し、その外側にガラステープを重ね巻きし
て未含浸の補強層を形成するとともに、コイルの軸方向
端面に接する繊維強化シート層に樹脂含浸通路となる凹
溝をあらかじめ形成しておくこととするとよい。
く離層を形成し、その外側にガラステープを重ね巻きし
て未含浸の補強層を形成するとともに、コイルの軸方向
端面に接する繊維強化シート層に樹脂含浸通路となる凹
溝をあらかじめ形成しておくこととするとよい。
この発明の構成において、補強層の外周を独立気泡を
含むゴム弾性シートで覆った後含浸金型を取り付けるよ
う構成したことにより、補強層と金型との間の空間には
樹脂の浸透性を持たないゴム弾性シートが充填された状
態となり、ゴム弾性シートに設けられた孔を介して樹脂
含浸半硬化処理を行った後、離型時にゴム弾性シートを
取り除けば、補強層の表面に極めて薄い樹脂層が均一に
形成された超電導コイルが得られるので、厚みが不均一
な樹脂層の存在に起因するクラックの発生を回避してク
エンチが生じ難い超電導コイルを得ることができる。
含むゴム弾性シートで覆った後含浸金型を取り付けるよ
う構成したことにより、補強層と金型との間の空間には
樹脂の浸透性を持たないゴム弾性シートが充填された状
態となり、ゴム弾性シートに設けられた孔を介して樹脂
含浸半硬化処理を行った後、離型時にゴム弾性シートを
取り除けば、補強層の表面に極めて薄い樹脂層が均一に
形成された超電導コイルが得られるので、厚みが不均一
な樹脂層の存在に起因するクラックの発生を回避してク
エンチが生じ難い超電導コイルを得ることができる。
また、コイルの外側にガラステープを重ね巻きして未
含浸の補強層として、その外側をゴム弾性シートで覆う
という製造方法とすれば、厚みの不均一な樹脂層を排除
できるとともに、補強層は含浸樹脂の含浸硬化によって
FRP層なり、このFRP層からなる補強層がクラックの発生
を阻止する機能を発揮するので、よりクエンチが発生し
難い超電導コイルが得られる。
含浸の補強層として、その外側をゴム弾性シートで覆う
という製造方法とすれば、厚みの不均一な樹脂層を排除
できるとともに、補強層は含浸樹脂の含浸硬化によって
FRP層なり、このFRP層からなる補強層がクラックの発生
を阻止する機能を発揮するので、よりクエンチが発生し
難い超電導コイルが得られる。
さらに、ガラステープを重ね巻きして形成される未含
浸の補強層とコイルとの間にふっ素樹脂シートからなる
はく離層を巻装するとともに、巻枠のつばに樹脂含浸通
路を設けるよう構成すれば、補強層とコイルとの間に作
用する熱応力が緩和されてよりクラックが発生し難い超
電導コイルが得られるとともに、巻枠のつば側からコイ
ルに含浸樹脂を供給できるので、ふっ素樹脂シートを巻
装したことによる樹脂含浸性の低下を回避することがで
きる。
浸の補強層とコイルとの間にふっ素樹脂シートからなる
はく離層を巻装するとともに、巻枠のつばに樹脂含浸通
路を設けるよう構成すれば、補強層とコイルとの間に作
用する熱応力が緩和されてよりクラックが発生し難い超
電導コイルが得られるとともに、巻枠のつば側からコイ
ルに含浸樹脂を供給できるので、ふっ素樹脂シートを巻
装したことによる樹脂含浸性の低下を回避することがで
きる。
以下この発明を実施例に基づいて説明する。
第1図はこの発明の実施例になる超電導コイルの製造
方法を示す断面図であり、従来技術と同じ部分には同一
参照符号を用いることにより詳細な説明を省略する。図
において、アルミニウム製の巻枠1に絶縁層3を介して
超電導線7を複数層整列巻きしたコイル2と、その外側
にステンレス線4Aを複数層整列巻きした補強層4とを有
する未含浸の超電導コイルには、補強層4の外周に独立
気泡を含むゴム弾性シート11(例えば信越ポリマー社
製,商品名独立発泡形シリコーンゴムシート,厚み8m
m)が巻装され、このゴム弾性シート11を補強層4に向
けて押圧するよう含浸金型5が取り付けられることによ
り、ゴム弾性シート11は表面が平坦でない補強層4に密
着した状態で金型5との間の空間を埋めた状態となる。
ゴム弾性シート11は含浸樹脂8に対して透過性を持たな
いので、金型5の樹脂注入口5Aに対応する部分に孔11A
が形成され、この孔11Aを介してエポキシ系の含浸樹脂
8を真空含浸,加圧含浸し、さらに含浸樹脂を半硬化状
態とした時点で含浸金型5の離形が行われる。その際、
ゴム弾性シート11を孔11Aに残った樹脂とともに引きは
がすと、補強層4の表面は極めて薄い樹脂膜が均一に付
着した状態となり、さらに100℃3時間程度の後加熱硬
化することにより含浸樹脂8の硬化物によって強固に一
体化した超電導コイルが得られる。
方法を示す断面図であり、従来技術と同じ部分には同一
参照符号を用いることにより詳細な説明を省略する。図
において、アルミニウム製の巻枠1に絶縁層3を介して
超電導線7を複数層整列巻きしたコイル2と、その外側
にステンレス線4Aを複数層整列巻きした補強層4とを有
する未含浸の超電導コイルには、補強層4の外周に独立
気泡を含むゴム弾性シート11(例えば信越ポリマー社
製,商品名独立発泡形シリコーンゴムシート,厚み8m
m)が巻装され、このゴム弾性シート11を補強層4に向
けて押圧するよう含浸金型5が取り付けられることによ
り、ゴム弾性シート11は表面が平坦でない補強層4に密
着した状態で金型5との間の空間を埋めた状態となる。
ゴム弾性シート11は含浸樹脂8に対して透過性を持たな
いので、金型5の樹脂注入口5Aに対応する部分に孔11A
が形成され、この孔11Aを介してエポキシ系の含浸樹脂
8を真空含浸,加圧含浸し、さらに含浸樹脂を半硬化状
態とした時点で含浸金型5の離形が行われる。その際、
ゴム弾性シート11を孔11Aに残った樹脂とともに引きは
がすと、補強層4の表面は極めて薄い樹脂膜が均一に付
着した状態となり、さらに100℃3時間程度の後加熱硬
化することにより含浸樹脂8の硬化物によって強固に一
体化した超電導コイルが得られる。
上述のように製造された超電導コイルを真空断熱容器
に収納し、液体ヘリウムを注入すると、表面に極めて薄
い樹脂膜を有する補強層4が主たる冷却面となってコイ
ル2を急速に冷却することができ、その際クラック発生
の原因となる厚みが不均一でかつ厚い樹脂層9(第5図
参照)が排除されているので、コイル2に励磁電流を供
給することによって電磁機械力が作用してもコイル内に
クラックが発生せず、したがって含浸樹脂硬化物のクラ
ックが原因で生ずるクエンチを回避することができる。
に収納し、液体ヘリウムを注入すると、表面に極めて薄
い樹脂膜を有する補強層4が主たる冷却面となってコイ
ル2を急速に冷却することができ、その際クラック発生
の原因となる厚みが不均一でかつ厚い樹脂層9(第5図
参照)が排除されているので、コイル2に励磁電流を供
給することによって電磁機械力が作用してもコイル内に
クラックが発生せず、したがって含浸樹脂硬化物のクラ
ックが原因で生ずるクエンチを回避することができる。
第2図はこの発明の異なる実施例になる製造方法を示
す断面図であり、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)
で補強層を形成した点が前述の実施例と異なっている。
すなわち、コイル2の外周側には補強層14の基材として
のガラステープを所定の厚みで巻装した後、さらにその
外側をゴム弾性シート11で覆い、含浸金型5を装着す
る。この状態でエポキシ樹脂系の含浸樹脂8をゴム弾性
シート11の孔11Aを介して真空含浸すると、含浸樹脂8
はガラステープの隙間を通してコイル2に含浸され、加
圧含浸処理によって含浸樹脂を十分含浸した後半硬化状
態で離型およびゴム弾性シートのはく離作業を行い、さ
らに後硬化を行う。その結果、ガラステープ層は含浸樹
脂の硬化物によって一様な厚みのFRP層からなる補強層1
4となる。
す断面図であり、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)
で補強層を形成した点が前述の実施例と異なっている。
すなわち、コイル2の外周側には補強層14の基材として
のガラステープを所定の厚みで巻装した後、さらにその
外側をゴム弾性シート11で覆い、含浸金型5を装着す
る。この状態でエポキシ樹脂系の含浸樹脂8をゴム弾性
シート11の孔11Aを介して真空含浸すると、含浸樹脂8
はガラステープの隙間を通してコイル2に含浸され、加
圧含浸処理によって含浸樹脂を十分含浸した後半硬化状
態で離型およびゴム弾性シートのはく離作業を行い、さ
らに後硬化を行う。その結果、ガラステープ層は含浸樹
脂の硬化物によって一様な厚みのFRP層からなる補強層1
4となる。
このような製造方法によって得られた超電導コイル
は、熱衝撃に対する耐クラック性が極めて優れたFRPか
らなる補強層14によりコイル2の外周側が強化されるの
で、コイル2内の含浸樹脂硬化物のクラックの発生を効
果的に防止でき、したがってクエンチ防止性能に優れた
超電導コイルを得ることができる。
は、熱衝撃に対する耐クラック性が極めて優れたFRPか
らなる補強層14によりコイル2の外周側が強化されるの
で、コイル2内の含浸樹脂硬化物のクラックの発生を効
果的に防止でき、したがってクエンチ防止性能に優れた
超電導コイルを得ることができる。
第3図はこの発明の他の実施例になる製造方法を示す
断面図であり、コイル2の表面に厚み50μm程度のポリ
テトラフルオロエチレン(商品名テフロン)シートを巻
回した後補強層14の基材であるガラステープを巻回し、
さらにその外側をゴム弾性シート層11で覆った後、含浸
金型5を装着するよう構成するとともに、樹脂不透過性
のはく離層21が存在することによって樹脂含浸性が阻害
されることを防ぐために、巻枠1のつばの部分に相当す
るリング状の絶縁層23のコイル2に面する側に第4図に
示すように放射状のスペーサ23Aで画成された樹脂含浸
通路23Bを形成した点が前述の異なる実施例と異なって
いる。この製造方法によれば、ゴム弾性シート11の孔11
Aを介してガラスシート層に流入した含浸樹脂8は、ガ
ラスシート層をその沿層方向に流れて樹脂含浸通路23B
に流入し、コイル2の軸方向端面から含浸が行われるの
で、樹脂含浸性を損うことなく一体化した超電導コイル
が得られるとともに、コイル2と補強層14との間に作用
する熱応力がはく離層21によって緩和されるので、耐ク
ラック性能がより安定した超電導コイルを得ることがで
きる。
断面図であり、コイル2の表面に厚み50μm程度のポリ
テトラフルオロエチレン(商品名テフロン)シートを巻
回した後補強層14の基材であるガラステープを巻回し、
さらにその外側をゴム弾性シート層11で覆った後、含浸
金型5を装着するよう構成するとともに、樹脂不透過性
のはく離層21が存在することによって樹脂含浸性が阻害
されることを防ぐために、巻枠1のつばの部分に相当す
るリング状の絶縁層23のコイル2に面する側に第4図に
示すように放射状のスペーサ23Aで画成された樹脂含浸
通路23Bを形成した点が前述の異なる実施例と異なって
いる。この製造方法によれば、ゴム弾性シート11の孔11
Aを介してガラスシート層に流入した含浸樹脂8は、ガ
ラスシート層をその沿層方向に流れて樹脂含浸通路23B
に流入し、コイル2の軸方向端面から含浸が行われるの
で、樹脂含浸性を損うことなく一体化した超電導コイル
が得られるとともに、コイル2と補強層14との間に作用
する熱応力がはく離層21によって緩和されるので、耐ク
ラック性能がより安定した超電導コイルを得ることがで
きる。
なお、前述の各実施例による耐クラック性の向上効果
は、機械的ストレスを受けることによって超電導性が低
下しやすい性能を有する化合物系超電導線について高い
有効性を発揮するものであるが、合金系超電導線を用い
た超電導コイルの製造方法としてもクエンチ防止性能を
高めるのに役立つ。
は、機械的ストレスを受けることによって超電導性が低
下しやすい性能を有する化合物系超電導線について高い
有効性を発揮するものであるが、合金系超電導線を用い
た超電導コイルの製造方法としてもクエンチ防止性能を
高めるのに役立つ。
この発明は前述のように、コイルの巻き太りなどが原
因で平坦でなくなる補強層の外周と含浸金型との間の空
間を独立気泡を含むゴム弾性シートで充填した状態で樹
脂含浸を行うよう構成した。その結果、従来の製造方法
で補強層の外周側に厚く不均一な樹脂層が形成され、熱
衝撃によってこの樹脂層に生ずるクラックが原因でクエ
ンチが生じ易くなるという問題点が排除され、耐クラッ
ク性および耐クエンチ性に優れた超電導コイルを安定し
て製造できる超電導コイルの製造方法を提供することが
できる。
因で平坦でなくなる補強層の外周と含浸金型との間の空
間を独立気泡を含むゴム弾性シートで充填した状態で樹
脂含浸を行うよう構成した。その結果、従来の製造方法
で補強層の外周側に厚く不均一な樹脂層が形成され、熱
衝撃によってこの樹脂層に生ずるクラックが原因でクエ
ンチが生じ易くなるという問題点が排除され、耐クラッ
ク性および耐クエンチ性に優れた超電導コイルを安定し
て製造できる超電導コイルの製造方法を提供することが
できる。
また、コイルの外周面にガラステープを重ね巻きして
未含浸の補強層を形成するようにすれば、この補強層は
含浸樹脂の含浸硬化によってFRP層となるので、FRP層の
優れた耐熱衝撃性および耐クラック性を活用して耐クエ
ンチ性能の優れた超電導コイルを製造できる。さらに、
ガラステープを重ね巻きして形成される未含浸の補強層
とコイルとの間にはく離層を設け、かつコイルの軸方向
端面側に樹脂含浸通路を設けるよう構成すれば、補強層
とコイルとの間の熱応力を吸収してより耐クラック性お
よび耐クエンチ性が安定した超電導コイルを提供するこ
とに貢献できる利点が得られる。
未含浸の補強層を形成するようにすれば、この補強層は
含浸樹脂の含浸硬化によってFRP層となるので、FRP層の
優れた耐熱衝撃性および耐クラック性を活用して耐クエ
ンチ性能の優れた超電導コイルを製造できる。さらに、
ガラステープを重ね巻きして形成される未含浸の補強層
とコイルとの間にはく離層を設け、かつコイルの軸方向
端面側に樹脂含浸通路を設けるよう構成すれば、補強層
とコイルとの間の熱応力を吸収してより耐クラック性お
よび耐クエンチ性が安定した超電導コイルを提供するこ
とに貢献できる利点が得られる。
第1図はこの発明の実施例になる超電導コイルの製造方
法を示す断面図、第2図はこの発明の異なる実施例にな
る製造方法を示す断面図、第3図はこの発明の他の実施
例なる製造方法を示す断面図、第4図は他の実施例にお
ける要部の拡大図、第5図は従来の製造方法を示す断面
図である。 1……巻枠、2……コイル、3,23……絶縁層、4,14……
補強層、5……含浸金型、7……超電導線、4A……ステ
ンレス線、8……含浸樹脂、9……不均一な樹脂層、11
……ゴム弾性シート、11A……孔、14……補強層(ガラ
ステープ層→FRP層)21……はく離層、23A……スペー
サ、23B……樹脂含浸通路。
法を示す断面図、第2図はこの発明の異なる実施例にな
る製造方法を示す断面図、第3図はこの発明の他の実施
例なる製造方法を示す断面図、第4図は他の実施例にお
ける要部の拡大図、第5図は従来の製造方法を示す断面
図である。 1……巻枠、2……コイル、3,23……絶縁層、4,14……
補強層、5……含浸金型、7……超電導線、4A……ステ
ンレス線、8……含浸樹脂、9……不均一な樹脂層、11
……ゴム弾性シート、11A……孔、14……補強層(ガラ
ステープ層→FRP層)21……はく離層、23A……スペー
サ、23B……樹脂含浸通路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 充 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 田川 義夫 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 榊 喜善 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−166202(JP,A) 特開 昭61−104508(JP,A)
Claims (4)
- 【請求項1】金属製の巻枠と、この巻枠に繊維強化シー
ト層を介して超電導線を整列巻きしたコイルと、このコ
イルの外周面を覆うよう巻装された補強層とからなり、
熱硬化性の含浸樹脂の硬化物により一体化した超電導コ
イルにおいて、前記補強層の外周を独立気泡を含むゴム
弾性シートで覆った後、その外周側を密接して覆う含浸
金型を装着して前記含浸樹脂を真空加圧含浸し、しかる
後含浸樹脂が半硬化状態となった時点で前記含浸金型か
ら離型する際前記ゴム弾性シートを取り除くことを特徴
とする超電導コイルの製造方法。 - 【請求項2】コイルの外周面に金属線を整列巻きして補
強層を形成することを特徴とする請求項1記載の超電導
コイルの製造方法。 - 【請求項3】コイルの外周面にガラステープを重ね巻き
して未含浸の補強層を形成することを特徴とする請求項
1記載の超電導コイルの製造方法。 - 【請求項4】コイルの外周面にふっ素樹脂シートからな
るはく離層を形成し、その外側にガラステープを重ね巻
きして未含浸の補強層を形成するとともに、コイルの軸
方向端面に接する繊維強化シート層に樹脂含浸通路とな
る凹溝をあらかじめ形成しておくことを特徴とする請求
項1記載の超電導コイルの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2873890A JP2679330B2 (ja) | 1990-02-08 | 1990-02-08 | 超電導コイルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2873890A JP2679330B2 (ja) | 1990-02-08 | 1990-02-08 | 超電導コイルの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03232210A JPH03232210A (ja) | 1991-10-16 |
JP2679330B2 true JP2679330B2 (ja) | 1997-11-19 |
Family
ID=12256768
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2873890A Expired - Lifetime JP2679330B2 (ja) | 1990-02-08 | 1990-02-08 | 超電導コイルの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2679330B2 (ja) |
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-
1990
- 1990-02-08 JP JP2873890A patent/JP2679330B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH03232210A (ja) | 1991-10-16 |
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