JPH11257032A - 可変バルブタイミング装置付エンジン - Google Patents

可変バルブタイミング装置付エンジン

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JPH11257032A
JPH11257032A JP5793498A JP5793498A JPH11257032A JP H11257032 A JPH11257032 A JP H11257032A JP 5793498 A JP5793498 A JP 5793498A JP 5793498 A JP5793498 A JP 5793498A JP H11257032 A JPH11257032 A JP H11257032A
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剛 後藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】エンジンのカム軸1をスプロケット3に対して
回動させて、バルブ開閉タイミングを変更して出力向
上、燃費低減等を図るようにしたVVT付エンジンにお
いて、VVTの高い作動応答性を確保しつつエンジン全
長の短縮を図る。 【解決手段】1番ジャーナルの軸受部2の軸受面に、互
いに軸線X方向に離れかつ上側略半周と下側略半周とに
分かれた2つの開口溝27,28を設ける。カム軸1内
に、上側の開口溝27に連通するようジャーナル面で直
径方向に対向した2カ所に開口する一方、遅角側油圧室
9に連通する2つの油路30,30と、下側の開口溝2
8に連通する直径方向の貫通通路32と、軸線X方向に
延びて進角側油圧室10に連通する2つの油路31,3
1とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンのカム軸
に対するスプロケットやタイミングプーリ等の回転位相
を変更する液圧機構を設け、この液圧機構によりエンジ
ンの運転状態に応じてバルブの開閉タイミングを変更す
ることで、出力の向上及び燃費並びに排気エミッション
の低減を実現可能にした可変バルブタイミング装置(以
下、VVTという)付エンジンに関し、特に、上記液圧
機構の液圧経路の構成に係る技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のVVT付エンジンと
して、例えば、特開平9−250310号公報に開示さ
れるように、エンジンの吸気側のカム軸の一端部に油圧
アクチュエータを設け、この油圧アクチュエータにより
タイミングプーリとカム軸とを相対的に回動させるよう
にしたものが知られている。このものでは、油圧アクチ
ュエータの油圧室に対し作動油圧を供給する経路とし
て、一端がカム軸の一端面に開口する一方、他端が1番
ジャーナルのジャーナル面に互いに軸線方向に離れて開
口する一対の油路を形成するとともに、上記1番ジャー
ナルの軸受部の軸受面に上記一対の油路に連通するよう
に全周に亘って開口する一対の開口溝を形成し、この開
口溝及び上記一対の油路により油圧室に作動油圧を供給
するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
VVT付エンジンでは、1番ジャーナルの潤滑にジャー
ナル面と軸受面との間の僅かなオイルリークを利用して
いるが、エンジンの運転状態の変化に遅れないようにV
VTの高い作動応答性を確保するためには、作動油圧を
かなり高くする必要がある。
【0004】このため、オイルリークによる油圧低下を
抑制するために、上記1番ジャーナルの軸受幅をカム軸
線方向に広げ、さらに、一対の開口溝を軸受面で軸線方
向に十分に離して配置することが考えられる。しかし、
このように1番ジャーナルの軸受幅を軸線方向に広げる
と、その分エンジン全長が長くなるという不具合を生じ
る。
【0005】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、VVTの油圧機構に対
し作動油圧を供給する油圧経路の構成に工夫を凝らし、
VVTの高い作動応答性を確保しつつ、エンジン全長の
短縮を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の解決手段では、軸受部の軸受面に設ける一
対の開口溝を、互いに径方向の反対側に略半周に亘って
形成した。
【0007】具体的には、請求項1記載の発明では、バ
ルブを開閉作動させるカム軸の端部に回転一体に連結さ
れた内側回動部材と、該内側回動部材に対して、カム軸
の軸線回りに相対回転可能にかつ進角側及び遅角側の液
圧室を区画形成するように外嵌合されて連結され、クラ
ンク軸側からの回転入力を受ける入力部材に回転一体に
連結された外側回動部材と、上記内側及び外側回動部材
間の各液圧室に作動液を供給切り替えして、内側回動部
材を外側回動部材に対し正逆両側に相対的に回動させる
液圧機構とを備えた可変バルブタイミング装置付エンジ
ンを対象とする。そして、上記液圧機構は、上記カム軸
内に形成され、かつ一端が上記進角側液圧室に接続され
る一方、他端がカム軸の外周面に開口する進角側液路
と、上記カム軸内に形成され、かつ一端が上記遅角側液
圧室に接続される一方、他端が上記進角側液路の開口端
に対しカム軸軸線方向に離れた位置でカム軸の外周面に
開口する遅角側液路と、上記カム軸の軸受部の軸受面に
略半周に亘って形成され、上記進角側液路の開口端が連
通する進角側開口溝と、上記軸受部の軸受面に、進角側
開口溝に対して径方向の反対側に略半周に亘って形成さ
れ、上記遅角側液路の開口端が連通する遅角側開口溝と
を備える構成とする。
【0008】この構成によれば、進角側液圧室の作動液
圧を増大させる場合、作動液は軸受部に設けられた進角
側開口溝からカム軸内の進角側液路に流通し、カム軸内
を軸線方向に流れて液圧室に至る。一方、これに伴い遅
角側の液圧室から流出した作動液は遅角側の液路から上
記軸受部の遅角側開口溝に流通して、排出される。ま
た、遅角側液圧室の作動液圧を増大させる場合には、作
動液は上記の流れと反対に流れて、遅角側液圧室に供給
される一方、進角側液圧室から排出される。
【0009】その際、上記進角側及び遅角側の2つの開
口溝は共に略半周に亘って形成されているので、従来ま
での全周に亘るものに比べてオイルリーク量が少なくな
る上、互いに径方向の反対側に配置されているので、そ
れらをカム軸軸線方向に可及的に近接配置してもその間
のオイルリーク量は極く僅かなものになる。このこと
で、軸受部の軸受幅を広げることなく過度のオイルリー
クを防止することができるので、十分な作動液圧を確保
しつつエンジン全長の短縮を図ることができる。
【0010】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
発明における進角側及び遅角側の開口溝は、内側回動部
材に最も近い軸受部に設けられており、カム軸の端面の
中心部には、上記内側回動部材をカム軸に連結するため
のボルト穴が上記軸受部の中間部に対応する位置まで穿
孔され、進角側液路又は遅角側液路のいずれか一方は、
上記ボルト穴よりも深い位置のカム軸内で該カム軸を直
径方向に貫通する貫通通路と、一端が該貫通通路に連通
する一方、他端がカム軸内を軸線方向に延び、内側回動
部材を介して液圧室に連通する軸方向通路とで構成し
た。
【0011】このことで、ボルト穴がカム軸の端面から
十分に深く穿孔されているので、内側回動部材をカム軸
に強固に連結することができる。また、進角側液路又は
遅角側液路のいずれか一方を構成する貫通通路が、カム
軸の外周面において直径方向に対向した2カ所に開口し
ているので、カム軸の回転中に、その開口端のいずれか
一方が略半円周状の開口溝に常に連通されることにな
る。よって、進角側液路又は遅角側液路のいずれか一方
による作動液の供給をカム軸の回転中に途切れることな
く継続して、液圧機構の作動を安定確保することができ
る。
【0012】請求項3記載の発明では、請求項2記載の
発明における進角側液路又は遅角側液路の他方は、一端
がカム軸の外周面において直径方向に対向した2カ所に
それぞれ開口する一方、他端がカム軸内を軸線方向に延
び、内側回動部材を介して液圧室に連通する2本の独立
通路により構成した。
【0013】このことで、2本の独立通路がカム軸の外
周面において直径方向に対向した2カ所に開口してい
て、カム軸の回転中に、いずれか一方の独立通路が略半
円周状の開口溝に常に連通されることになるので、進角
側液路又は遅角側液路の他方による作動液の供給もカム
軸の回転中に途切れることなく継続することが可能にな
り、液圧機構の作動を安定確保することができる。
【0014】請求項4記載の発明では、請求項3記載の
発明における内側回動部材には、2本の独立通路を互い
に連通させる連通路が設けられているものとする。この
ことで、2本の独立通路が連通路により互いに連通され
てそれらの内部の作動液圧が互いに略同圧に保たれるの
で、液圧機構の作動安定性の向上が図られる。また、上
記連通路をカム軸内に設けていないので、カム軸の強度
の確保が容易になる。
【0015】請求項5記載の発明では、請求項1又は2
における入力部材はスプロケットである。すなわち、一
般に、スプロケットはタイミングプーリよりも幅が狭い
ので、エンジン全長の一層の短縮が図られる。
【0016】また、幅広のタイミングプーリを用いた場
合には、該タイミングプーリの内周側に軸受部を配置し
てコンパクト化を図ることも考えられるが、幅の狭いス
プロケットを用いた場合にはそのような配置ができない
ので、請求項1の構成により軸受部の軸受幅を広げない
ようにすることが極めて有効になる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0018】図1は、本発明の実施形態に係る可変バル
ブタイミング装置A(以下VVTという)付エンジンを
示し、このエンジンは例えば直列4気筒ガソリンエンジ
ンで、4つの気筒が車幅方向に一列に並ぶように車両の
エンジンルーム内に横置き配置されるものである。同図
において、1は図の左側に延びる吸気側のカム軸であっ
て、このカム軸1は、複数の軸受部2,2,…(図には
1つのみ示す)により軸線Xの回りに回転自在に支持さ
れ、クランク軸から図示しないチェーンによる回転入力
を受けるスプロケット(入力部材)3により回転され
て、吸気バルブを開閉作動させるものである。また、4
は上記カム軸1の一端部(図の右端部)に回転一体に連
結されたロータ(内側回動部材)であり、5はそのロー
タ4に対し相対的に所定角度だけ回動可能に連結される
一方、上記スプロケット3に回転一体に連結されたケー
シング(外側回動部材)である。
【0019】上記ロータ4は、図2及び図3に示すよう
に、円筒状のボス部4aの外周部から径方向外方に突出
する4つのベーン4b、4b、…が概ね等間隔に設けら
れたもので、上記ボス部4aの中心部には軸線Xに沿っ
て貫通孔4cが形成されており、ロータ4は座金部材7
を介して上記貫通孔4aを貫通するボルト6によってカ
ム軸1の一端面1aに連結されている。すなわち、上記
カム軸1には、一端面1aの中心部から軸線Xに沿って
1番ジャーナルの中間部までボルト穴1bが穿孔されて
おり、このように十分に長いボルト穴1bに上記ボルト
6を螺合させることで、ロータ4をカム軸1に強固に締
結することができる。一方、上記ケーシング5は有底円
筒状に形成され、壁部の内周面に径方向内方に突出する
4つの突出壁部5a、5a、…が概ね等間隔に形成され
たもので、ロータ4に対し一端側(図の右側)から外嵌
合された状態で、4本のボルト8,8,8,8によりス
プロケット3に連結されている。
【0020】さらに、上記ロータ4及びケーシング5は
軸線Xを中心とする同心位置に位置づけられ、ロータ4
のベーン4b、4b、…とケーシング5の突出壁部5
a,5a,…とが周方向に交互に配置されており、各ベ
ーン4bの先端面がケーシング5の内周面に摺接する一
方、各突出壁部5aの先端面がロータ4のボス部4aの
外周面に摺接している。つまり、上記スプロケット3、
ロータ4及びケーシング5の間に、ロータ4のベーン4
b、4b、…とケーシング5の突出壁部5a,5a,…
とにより周方向に並んで8つの受圧室9,10,9,1
0,…が区画形成されている。
【0021】上記8つの受圧室9,10,9,10,…
のうち、ロータ4の各ベーン4bに対しカム軸1の回転
側に位置づけられた4つの受圧室(遅角側受圧室)9,
9,…は、それぞれ、ロータ4のボス部4a内に軸線X
を中心として放射状に形成された4つの油路4c,4
c,…(図2参照)により、該ボス部4aのヘッドカバ
ー側の端面(図1の右側の端面)に形成された環状溝部
4dに連通されていて、この環状溝部4d及びケーシン
グ5の底部により環状通路が区画形成されている。ま
た、上記環状の溝部4dに臨んで軸線Xに対し対称位置
に開口する一方、該軸線X方向に延びてボス部4aのエ
ンジン側の端面(図1の左側の端面)に開口する一対の
油路4e,4eが形成されている。
【0022】一方、上記ロータ4の各ベーン4bに対し
て遅角側受圧室9,9,…の反対側に位置づけられた4
つの受圧室(進角側受圧室)10,10,…は、それぞ
れ、ロータ4のボス部4a内に軸線Xを中心として放射
状に形成された4つの油路4f,4f,…(図3参照)
により、該ボス部4aのエンジン側の端面に軸線Xに対
し対称位置に形成された一対のまゆ状溝部4g,4gに
連通されている。このまゆ状溝部4g,4g及びスプロ
ケット3に囲まれてまゆ状の油路が区画形成されてい
る。尚、図示しないが、ベーン4,4,…及び突出壁部
5a,5a,…の各先端面にはシール部材が設けられて
いる。
【0023】上記遅角側及び進角側の合計8つの受圧室
9,10,9,10,…によって、ロータ4がケーシン
グ5に対して正逆両側に回動される。すなわち、上記4
つの遅角側受圧室9,9,…に供給する作動油圧を増大
させれば、各ベーン4bが油圧力により押圧されて、ロ
ータ4はケーシング5に対しカム軸の回転と反対側に回
動されることになり、このことで、吸気バルブの作動タ
イミングが遅角側に変更される。一方、上記4つの進角
側受圧室10,10,…に供給する作動油圧を増大させ
れば、各ベーン4bが油圧力により押圧されて、ロータ
4はケーシング5に対しカム軸の回転側に回動されるこ
とになり、このことで、吸気バルブの作動タイミングが
進角側に変更される。
【0024】尚、上記図1は、図2及び図3のw−w線
における断面図になっている。
【0025】このようなVVTの作動油圧の制御は、こ
の実施形態では、エンジンのシリンダヘッドカバー12
の上面に配置された電磁式のオイルコントロールバルブ
(以下OCVという)13により行われる。すなわち、
図示しないが、作動油はシリンダブロック内のオイルギ
ャラリから、エンジン外周に設けられたオイルパイプ等
を経由してシリンダヘッドカバー12上面に設けられた
バルブケース14に至り、このバルブケース14に収容
された上記OCV13により油圧制御(流量方向制御)
されて、後述の如く中間部材15及び軸受部2内に形成
された油路によりカム軸1に供給され、そのカム軸1内
に形成された油路を流通して各油圧室9,10,…に供
給される。
【0026】詳しくは、上記バルブケース14には、カ
ム軸間方向に延びてOCV13を収容する配設孔14a
が形成され、その配設孔14aに直交して略水平方向に
延びるように形成されたインレット孔14bには、図示
しないが、油路を有するユニオンボルトやオイルフィル
タが内設されていて、オイルギャラリ側からの作動油を
OCV13に供給する。また、上記バルブケース14の
配設孔14aを隔てた反インレット孔側には、上下方向
に延びて下面に開口する嵌挿部14cと、その嵌挿部1
4cを配設孔14aに連通する2つのポート14d,1
4eとが形成されている。さらに、配設孔14aの下側
にはシリンダヘッドカバー12上面に臨んで開口するド
レンポート14fが形成されている。
【0027】上記中間部材15は、図4及び図5にも示
すように逆T字形状とされ、上端部がシリンダヘッドカ
バー12の開口部12aを貫通して上方に突出して、バ
ルブケース14の嵌挿部14cに嵌挿される一方、下端
部が1番ジャーナルの軸受部2の上面に取り付け固定さ
れている。すなわち、各軸受部2は、図示しないシリン
ダヘッドの上面に突設され、軸受面の下側略半周が形成
された半割り形状の下側軸受部2aと、この下側軸受部
2aの上面に配設され、軸受面の上側略半周が形成され
た半割り形状のカムキャップ2bとにより構成されてお
り、そのカムキャップ2b及び上記中間部材15が共に
セットボルト16,16により下側軸受部2aに締結さ
れている。
【0028】尚、上記シリンダヘッドカバー12の開口
部12aに続く部位は、バルブケース14のドレンポー
ト14bの下方に対向して、OCV13からリターンさ
れる作動油を開口部12aからシリンダブロック内に還
流させるドレン受け部12bとされている。
【0029】上記中間部材15には、バルブケース14
の嵌挿部14cに嵌挿された状態で2つのポート14
d,14eのうちの一方14dによりOCV13に連通
する横向きの油路21と、この油路21に連通して上下
方向に延びる油路22と、上記他方のポート14eによ
りOCV13に連通する横向きの油路23と、この油路
23に連通して斜め下方に延びる油路24とが形成され
ている。また、上記カムキャップ2bには、中間部材1
5の一方の油路22に連通して上下方向に延び、軸受面
以外の部分に開口する油路25(図4参照)と、上記中
間部材15の他方の油路24に連通し、斜め下方に延び
て上側の軸受面に開口する油路26(図5参照)と、こ
の油路26の開口部を含んでジャーナル面の上側略半周
に対応するように上記上側の軸受面全周に開口する半円
周状の開口溝27とが形成されている。さらに、上記下
側軸受部2aには、カムキャップ2bの開口溝27に対
し軸線X方向に離れた位置でジャーナル面の下側略半周
に対応するように開口する半円周状の開口溝28が形成
され、この開口溝28の端部がカムキャップ2bの一方
の油路25に連通されている。
【0030】一方、カム軸1には、軸線Xと略平行に延
びる4本の油路が軸線Xを中心とする同一円周上に等間
隔をあけて形成されている。上記4本の油路のうち、図
1において軸線Xを上下に挟んで互いに対称位置に配置
された2つの油路(独立通路)30,30は、カムキャ
ップ2bに形成された上側の開口溝27に連通するよう
にジャーナル面にそれぞれ開口する一方、軸線X方向に
延びて一端面1aに個別に開口して、ロータ4のボス部
4aにおける一対の油路4e,4eに連通し、さらに、
環状溝部4d及び油路4c,4c,…によって遅角側の
受圧室9,9,…に連通する。この遅角側の2つの油路
30,30は、カム軸1のジャーナル面において直径方
向に対向して2カ所に開口しており、このことで、カム
軸1の回転位置によらず、いずれか一方の油路30が常
に軸受面の上側の開口溝27に連通される。
【0031】また、カム軸1を図1の状態から90度回
転させた状態の図6に示すように、残りの2本の油路
(軸方向通路)31,31も軸線Xを挟んで互いに対称
位置に配置されていて、ボルト穴1bよりも深い位置の
カム軸1内で該カム軸1を直径方向に貫通する貫通通路
32に連通する一方、軸線X方向に延びてカム軸1の一
端面1aに個別に開口して、ロータ4のボス部4aにお
ける一対のまゆ状溝部4g,4gに連通し、さらに、そ
れぞれ油路4f,4fにより進角側の受圧室10,1
0,…に連通する。上記貫通通路32は、カム軸1のジ
ャーナル面において直径方向に対向した2カ所に開口し
ているので、カム軸1の回転位置によらず常に軸受面の
下側の開口溝28に連通される。
【0032】尚、上記貫通通路32及び2本の油路3
1,31により、カム軸1内の進角側油路が、また、上
記2つの油路30,30により遅角側油路が構成され
る。
【0033】上述の構成により、この実施形態のVVT
付エンジンにおいて、吸気バルブの作動タイミングを遅
角側に変更するときには、OCV13の作動により遅角
側の受圧室9,9,…への作動油圧を増大させる。すな
わち、オイルギャラリ側から供給される作動油は、図1
に矢印で示すように、OCV13からバルブケース14
のポート14e、中間部材15の油路23,24及びカ
ムキャップ2bの油路26を流通して上側の開口溝27
に至り、その開口溝27に連通されるカム軸1内の遅角
側の油路30,30を流通して、ロータ4のボス部4a
の一対の油路4e,4eから環状溝部4dに至る。そし
て、4つの油路4c,4c…に分配されて4つの遅角側
受圧室9,9,…に供給され、この4つの遅角側受圧室
9,9,…の油圧力が増大して、ロータ4がケーシング
5に対しカム軸の回転と反対側に回動されることで、吸
気バルブの作動タイミングが遅角側に変更される。
【0034】これに伴い、進角側受圧室10,10,…
からそれぞれ排出された作動油は、ロータ4内の4つの
油路4f,4f,…及び一対のまゆ状溝部4g,4gを
経て、図6に矢印で示すようにカム軸1内の進角側の油
路31,31を流通して貫通通路32に至り、この貫通
通路32に連通される下側の開口溝28からカムキャッ
プ2b内の油路25に流通する。そして、中間部材15
の油路22,21及びバルブケース14のポート14d
を通ってOCV13に戻り、ドレンポート14fから排
出されて、シリンダヘッドカバー12のドレン受け部1
2bから開口部12aを介してシリンダブロック内に還
流される。
【0035】反対に、吸気バルブの作動タイミングを進
角側に変更するときには、OCV13の作動により、上
記と反対の作動油の流れによって遅角側受圧室10,1
0,…の作動油圧を増大させるようにすればよい。
【0036】したがって、この実施形態では、軸受部2
の軸受面に形成する開口溝27,28を、従来までのよ
うに軸受面の全周に亘って形成せずに、それぞれ軸受面
の上側と下側とに略半周に亘って形成したので、これら
の開口溝27,28からのオイルリーク量をかなり低減
させることができる。また、2つの開口溝27,28を
周方向に互いに径方向の反対側に配置したので、両者の
軸線X方向の間隔を可及的に小さくしても、その間のオ
イルリーク量を極く僅かなものとすることができる。こ
のように、軸受部2の軸受幅を広げることなくオイルリ
ーク量を低減することができるので、十分に高い作動油
圧を確保しつつエンジン全長の短縮を図ることができ
る。
【0037】しかも、カム軸1内に形成した進角側の貫
通通路32がジャーナル面の直径方向に対向した2カ所
に開口しており、一方、遅角側の2つの油路30,30
も同様に2カ所に開口していて、上述の如く2つの開口
溝27,28を半円周上に形成していても、カム軸1の
回転中に常に遅角側及び進角側の油路がそれぞれ開口溝
27,28に連通するようになっている。このことで、
進角側及び遅角側の各油圧室9,10,…に対する作動
油の供給又は排出をカム軸1の回転中に途切れることな
く継続して、その作動を安定確保することができる。
【0038】さらに、この実施形態では、カム軸1にク
ランク軸からの回転入力を伝える入力部材として、タイ
ミングプーリよりも幅が狭いスプロケット3を用いてお
り、このことで、エンジン全長の一層の短縮が図られ
る。しかも、幅広のタイミングプーリを用いた場合に
は、軸受部2をタイミングプーリの内周側に配置してコ
ンパクト化を図ることも考えられるが、スプロケット3
を用いた場合にはそのようにしてコンパクト化を図るこ
とができないので、この実施形態のように軸受部2の軸
受幅を広げないで済むことが極めて有効になる。
【0039】加えて、この実施形態では、カム軸1内で
軸線X方向に延びる4本の油路30,30,31,31
を軸線Xを中心とする同一円周上に等間隔をあけて配置
しているので、油路のコンパクト配置とカム軸1の強度
の確保とを図ることができる。しかも、進角側の軸方向
の油路31,31を互いに貫通通路32によりカム軸1
内で連通する一方、遅角側の2つの油路30,30を連
通する環状通路はロータ4に設け、カム軸1内には設け
ていないので、カム軸1の強度の確保が容易になる。
【0040】(他の実施形態)尚、本発明は上記実施形
態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を
包含するものである。すなわち、上記実施形態では、軸
受部2の軸受面に形成する半円周状の開口溝27,28
を、互いにオーバーラップしないように上下に対向配置
しているが、これに限らず、例えば左右に対向配置して
もよく、また、斜めに対向配置することも可能である。
【0041】また、カム軸1内の油路は上記実施形態の
ものに限らず、種々の構成が可能である。
【0042】また、上記実施形態では、クランク軸から
の回転入力をチェーン及びスプロケット3によりカム軸
1に伝達するようにしているが、これに限らず、例え
ば、タイミングベルト及びタイミングプーリにより伝達
するようにしてもよい。
【0043】さらに、カム軸1をスプロケット3に対し
て回動させる油圧アクチュエータの構成として、油圧力
により軸線X方向に進退するピストン部材を設け、この
ピストン部材の軸線X方向の相対変位をヘリカルスプラ
インにより回転方向の相対変位に変換して、カム軸1を
スプロケット3に対し相対的に回動させるようにしても
よい。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明における可変バルブタイミング装置付エンジンによれ
ば、カム軸内の進角側液路又は遅角側液路にそれぞれ連
通される軸受部側の2つの開口溝を略半周に亘って形成
するとともに、互いに軸受面において径方向の反対側に
配置することで、オイルリークを抑制して可変バルブタ
イミング装置の高い作動応答性を確保しつつ、エンジン
全長の短縮を図ることができる。
【0045】請求項2記載の発明によれば、内側回動部
材をカム軸に強固に連結することができる。また、進角
側液路又は遅角側液路一方をカム軸の回転中に常に開口
溝に連通させて、液圧機構の作動を安定確保することが
できる。
【0046】請求項3記載の発明によれば、進角側液路
又は遅角側液路の他方をもカム軸の回転中に常に開口溝
に連通させて、液圧機構の作動を安定確保することがで
きる。
【0047】請求項4記載の発明によれば、液圧機構の
作動安定性の向上が図られ、また、カム軸の強度の確保
が容易になる。
【0048】請求項5記載の発明によれば、幅狭のスプ
ロケットによりエンジン全長の一層の短縮が図られる
上、請求項1又は2の発明による効果が極めて有効にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る可変バルブタイミング
装置の構成を示す断面図である。
【図2】エンジン前端のヘッドカバー側から見てロータ
の構成を示す説明図である。
【図3】エンジン側から見たロータの構成を示す説明図
である。
【図4】下側の開口溝と進角側の油路との連通状態を示
す、図1のy−y断面図である。
【図5】上側の開口溝と遅角側の油路との連通状態を示
す、図1のz−z断面図である。
【図6】カム軸が相対的に90度回転した状態を示す図
1相当図である。
【符号の説明】
A 可変バルブタイミング装置 X カム軸の軸線 1 カム軸 1a カム軸の一端面 1b カム軸のボルト穴 2 1番ジャーナルの軸受部 3 スプロケット(入力部材) 4 ロータ(内側回動部材) 4d ロータの環状溝部(連通路) 5 ケーシング(外側回動部材) 9 遅角側油圧室 10 進角側油圧室 27 遅角側開口溝 28 進角側開口溝 30,30 油路(独立通路) 31,31 油路(軸方向通路) 32 貫通通路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バルブを開閉作動させるカム軸の端部に
    回転一体に連結された内側回動部材と、 上記内側回動部材に対して、カム軸の軸線回りに相対回
    転可能にかつ進角側及び遅角側の液圧室を区画形成する
    ように外嵌合されて連結され、クランク軸側からの回転
    入力を受ける入力部材に回転一体に連結された外側回動
    部材と、 上記内側及び外側回動部材間の各液圧室に作動液を供給
    切り替えして、内側回動部材を外側回動部材に対し正逆
    両側に相対的に回動させる液圧機構とを備えた可変バル
    ブタイミング装置付エンジンにおいて、 上記液圧機構は、 上記カム軸内に形成され、かつ一端が上記進角側液圧室
    に接続される一方、他端がカム軸の外周面に開口する進
    角側液路と、 上記カム軸内に形成され、かつ一端が上記遅角側液圧室
    に接続される一方、他端が上記進角側液路の開口端に対
    しカム軸軸線方向に離れた位置でカム軸の外周面に開口
    する遅角側液路と、 上記カム軸の軸受部の軸受面に略半周に亘って形成さ
    れ、上記進角側液路の開口端が連通する進角側開口溝
    と、 上記軸受部の軸受面に、進角側開口溝に対して径方向の
    反対側に略半周に亘って形成され、上記遅角側液路の開
    口端が連通する遅角側開口溝とを備えていることを特徴
    とする可変バルブタイミング装置付エンジン。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 進角側及び遅角側の開口溝は、内側回動部材に最も近い
    軸受部に設けられており、 カム軸の端面の中心部には、上記内側回動部材をカム軸
    に連結するためのボルト穴が上記軸受部の中間部に対応
    する位置まで穿孔され、 進角側液路又は遅角側液路のいずれか一方は、上記ボル
    ト穴よりも深い位置のカム軸内で該カム軸を直径方向に
    貫通する貫通通路と、一端が該貫通通路に連通する一
    方、他端がカム軸内を軸線方向に延び、内側回動部材を
    介して液圧室に連通する軸方向通路とで構成されている
    ことを特徴とする可変バルブタイミング装置付エンジ
    ン。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 進角側液路又は遅角側液路の他方は、一端がカム軸の外
    周面において直径方向に対向した2カ所にそれぞれ開口
    する一方、他端がカム軸内を軸線方向に延び、内側回動
    部材を介して液圧室に連通する2本の独立通路により構
    成されていることを特徴とする可変バルブタイミング装
    置付エンジン。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 内側回動部材には、2本の独立通路を互いに連通させる
    連通路が設けられていることを特徴とする可変バルブタ
    イミング装置付エンジン。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2において、 入力部材はスプロケットであることを特徴とする可変バ
    ルブタイミング装置付エンジン。
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JP2008099366A (ja) * 2006-10-06 2008-04-24 Honda Motor Co Ltd 電動機

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