JP3740834B2 - 可変バルブタイミング装置付エンジン - Google Patents

可変バルブタイミング装置付エンジン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カム軸に対するスプロケットやタイミングプーリ等の回転位相を変えて、バルブの開閉タイミングを変更するようにした可変バルブタイミング装置(以下、VVTという)付エンジンに関し、特に、該VVTに作動液を供給する液圧経路の構成の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のVVT付エンジンとして、例えば、特開平9−250310号公報に開示されるように、エンジンの吸気側のカム軸の一端部に油圧アクチュエータを設け、この油圧アクチュエータによりタイミングプーリとカム軸とを相対的に回動させるようにしたものが知られている。このものでは、油圧アクチュエータの油圧室に対し作動油圧を供給する経路として、一端がカム軸の一端面に開口する一方、他端がVVTに最も近いいわゆる1番ジャーナルのジャーナル面に開口する一対の油路を形成するとともに、上記1番ジャーナルの軸受部の軸受面に、上記一対の油路に個別に連通するように全周に亘って開口する一対の開口溝を形成し、この開口溝から上記一対の油路を介して油圧アクチュエータの油圧室に作動油圧を供給するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のVVT付エンジンでは、1番ジャーナルの潤滑のためにジャーナル面と軸受面との間に漏れる僅かな作動油を利用しているが、カム軸の端部にかなり重量のあるVVTを片持ち支持しているので、カム軸が微視的には上下方向に撓み易い。そして、カム軸の撓みによって上記1番ジャーナルにおけるカム軸と軸受部との間のクリアランスが増大すると、作動油の漏れ量が多くなって作動油圧が低下し、VVTの作動応答性を十分に確保できなくなるという不具合が生じる。
【0004】
特に、吸気バルブと排気バルブとの間のバルブ挟み角が狭く設定された狭角型のエンジンでは、バルブを開閉作動させる際にカム軸へ作用するバルブ反力によりカム軸が下方から突き上げられることから、上記の不具合が著しい。
【0005】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、VVTに対し作動油圧を供給する油圧経路の構成に工夫を凝らし、作動油圧の低下を防止して、VVTの高い作動応答性を確保することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の解決手段では、バルブタイミング可変手段に最も近い端部側軸受部の軸受面に形成する液圧経路の開口溝を、カム軸が撓んでも軸受面との間のクリアランスが広がらない位置に配置した。
【0007】
具体的には、請求項1記載の発明では、シリンダヘッドに軸受部によりそれぞれ支持され、吸気バルブを開閉作動させる吸気側カム軸と、排気バルブを開閉作動させる排気側カ ム軸と、吸気側カム軸の端部側にある端部側軸受部よりも先端側のカム軸に設けられ、無端伝動部材を介してクランク軸上の駆動輪に駆動連結された従動輪と、上記吸気側のカム軸及び従動輪にそれぞれ連結され、進角側又は遅角側液圧室への作動液の供給によりカム軸と従動輪とを相対回転させて、当該カム軸のクランク軸に対する回転位相を変更するバルブタイミング可変手段と、該バルブタイミング可変手段の進角側又は遅角側液圧室に作動液を供給切替えする液圧供給手段とを備えた可変バルブタイミング装置付エンジンを前提とする。そして、上記液圧供給手段は、上記吸気側カム軸内に形成され、かつ一端が上記バルブタイミング可変手段の進角側液室に接続される一方、他端がカム軸の外周面に開口する第1液路と、上記吸気側カム軸内に形成され、かつ一端が上記バルブタイミング可変手段の遅角側液圧室に接続される一方、他端が上記第1液路の開口端よりも先端側のカム軸外周面に開口する第2液路と、上記端部側軸受部の軸受面にカム軸の軸心に対してバルブと反対側に略半周に亘って形成され、上記第1液路の開口端に連通する第1開口溝と、上記端部側軸受部の軸受面に上記第1開口溝の直径方向反対側に略半周に亘って形成され、上記第2液路の開口端に連通する第2開口溝とを備えている構成とする。
【0008】
この構成によれば、吸気側カム軸の端部側にある端部側軸受面に形成される一対の開口溝のうち、より吸気バルブに近い側に形成されて第1液路に連通する第1開口溝は、カム軸軸心に対しバルブと反対の側(上側)に配置されているので、上記カム軸がバルブからの反力により突き上げられて撓むことにより、上記第1開口溝の近傍ではカム軸の外周面と軸受面との間のクリアランスは広がらず、むしろ狭くなる。一方、上記端部側軸受部のカム軸先端側に形成されて第2液路に連通する第2開口溝は、径方向に上記第1開口溝の反対側(下側)に配置されているので、上記カム軸が無端伝動部材からの張力の作用を受けて撓むことにより、上記第2開口溝の近傍でもカム軸の外周面と軸受面との間のクリアランスはむしろ狭くなる。
【0009】
したがって、カム軸の撓みに起因する作動液の漏れが十分に抑制されるので、バルブタイミング可変手段に供給する作動液圧を十分に確保することができ、よって、可変バルブタイミング装置の高い作動応答性を確保することができる
【0010】
た、一般に、無端伝動部材からカム軸へ作用する張力は比較的変動が少ないので、第2開口溝の近傍では、上記張力の作用によりカム軸外周面と軸受面との間のクリアランスが常に狭められ、作動液の漏れが十分に抑制される。一方、カム軸に作用するバルブ反力の変動は極めて大きいので、その辺動に伴い、第1開口溝の近傍におけるカム軸外周面と軸受面との間のクリアランスが変動してしまい、作動液の漏れを抑制する作用は相対的に小さくなる。
【0011】
これに対し、本発明では、バルブタイミング可変手段を吸気側カム軸に設けるとともに、上記第2開口溝に連通するカム軸内の第2液路を上記バルブタイミング可変手段の遅角側液圧室に連通したので、吸気バルブの開閉作動タイミングの遅角側への変更、即ち吸気バルブ及び排気バルブのバルブオーバーラップを小さくする側へのバルブタイミングの変更の際の高い応答性を確保することができる。よって、例えばエンジン回転数が急速に低下したときでも、直ちにバルブオーバーラップを小さくすることができるので、エンジン安定性を確保することができる。
【0012】
また、通常、吸気バルブは排気バルブに比べてリフト量が大きいので、吸気側カム軸へのバルブ反力は排気側カム軸よりも大きくなり易い。そこで、該吸気側カム軸に対して、上記上段の作用がより有効になる
【0013】
求項記載の発明では、請求項1記載の発明における端部側軸受部は、シリンダヘッド上面に設けられた下側軸受部と、該下側軸受部の上部に結合された上側軸受部とで構成されており、バルブタイミング可変手段が設けられているカム軸により開閉作動されるバルブは、バルブ軸のシリンダボア軸線に対する傾き角が20°以下とする。
【0014】
このことで、バルブタイミング可変手段が設けられているカム軸により開閉作動されるバルブは上下方向に延びるように配置されているので、カム軸に作用するバルブ反力の上下方向成分が大きくなり易い。しかも、端部側軸受部は上下2つの部材を結合したものなので、上下方向の微視的な変形量は一体形成されたものよりも大きくなり易い。つまり、カム軸と端部側軸受部との間での作動液の漏れ量が比較的大きくなり易い構成なので、請求項1記載の発明による作用が特に有効なものになる。
【0015】
請求項記載の発明では、請求項1又はに記載の発明におけるカム軸は、吸気バルブを開閉作動させる吸気側カム軸と、排気バルブを開閉作動させる排気側カム軸とからなり、上記吸気側及び排気側カム軸は共通の無端伝動部材を介してクランク軸に駆動連結されており、上記2本のカム軸上の各従動輪と無端伝動部材との係合範囲は、いずれも従動輪中心に対し120度以内の角度範囲とされている。
【0016】
このことで、無端伝動部材は、2つの従動輪とクランク軸に設けられた駆動輪との間に張架されたときに、該2つの従動輪間で略水平に延びるように張られているので、該各従動輪との係合範囲が従動輪中心に対して120度以内であれば、各従動輪と駆動輪との間では略上下方向に延びるように張られていることになる。そのため、上記無端伝動部材から各従動輪に対し作用する力の上下方向成分が大きくなり易く、カム軸の上下方向の撓みも大きくなり易い。従って、このような場合に請求項1記載の発明の如くカム軸と端部側軸受部との間での作動液の漏れを抑制できることが特に有効になる。
【0017】
請求項記載の発明では、請求項1〜のいずれか1つに記載の発明において、バルブタイミング可変手段が設けられたカム軸を支持する全ての軸受部は、互いに同一の軸受径を有するものとする。このことで、全ての軸受部を同時に加工することができるので、各軸受部間の同心度を高精度のものとすることができ、かつ生産コストの上昇を招くこともない。
【0018】
請求項記載の発明では、請求項1記載の発明における端部側軸受部の上部には、第1又は第2開口溝を介してカム軸側へ供給される作動液圧を調整するコントロールバルブが、カム軸と直交する向きに延びて一体的に取り付けられているものとする。
【0019】
このことで、コントロールバルブからカム軸までの液路の最短化によって、作動液圧の制御における応答性を高めることができる。しかも、剛性の高いコントロールバルブを端部側軸受部にかつ一体的にカム軸と直交する向きに延びるように取り付けることで、該端部側軸受部全体の剛性を高めることができ、よって、軸受面とカム軸外周面との間の作動液の漏れ量を低減できる。
【0020】
請求項記載の発明では、請求項1記載の発明において、端部側軸受部よりも先端側のカム軸外周に全周に亘って大径部が形成されている一方、上記端部側軸受部のカム軸先端側の側面には、上記カム軸外周の大径部に摺接してカム軸の軸線方向への移動を規制する移動規制部が第2開口溝に対応する周方向範囲に設けられているものとする。
【0021】
このことで、カム軸の大径部と端部側軸受部の移動規制部との間を通る作動液量が低下し、第2開口溝からカム軸外周面と軸受面との間のクリアランスを通ってカム軸先端側に漏出する作動液の漏れ量が低減するので、このことによっても作動液圧の低下を抑制することができる。よって、バルブタイミング可変手段の応答性をより高めることが可能になる。
【0022】
請求項記載の発明では、請求項記載の発明におけるバルブタイミング可変手段は、カム軸の端部に回転一体に連結された内側回動部材と、該記内側回動部材に対しカム軸の軸線回りに相対回転可能に外嵌合されて連結される一方、従動輪に回転一体に連結された外側回動部材とを備えている。そして、上記内側回動部材の外周面に径方向外側に突出するベーンが設けられる一方、上記外側回動部材の内周面に径方向内側に突出する突出壁部が設けられており、進角側又は遅角側液圧室が上記ベーンと突出壁部との間に周方向に交互に区画形成されている構成とする。
【0023】
このことで、バルブタイミング可変手段の構成が具体化される。そして、エンジン始動時には、上記バルブタイミング可変手段の各液圧室に十分な液圧を供給することができないので、クランク軸側からの入力によって従動輪が回転するときに内側回動部材の回転が外側回動部材の回転に対して遅れ勝ちになり、吸気バルブの開閉作動タイミングが作動液圧の制御とは無関係に遅角側に変化する。つまり、作動液圧を十分に確保できないエンジン始動時においても、吸気バルブ及び排気バルブのバルブオーバーラップが小さくなり、エンジンの始動性を安定確保できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
(実施形態1)
図1〜図3は、本発明の実施形態に係る可変バルブタイミング装置(以下、VVTという)付エンジンEを示し、このエンジンEは直列4気筒ガソリンエンジンであって、4つの気筒が車幅方向に一列に並ぶように車両のエンジンルーム内に横置き配置されるものである。
【0025】
上記図2において、1はシリンダヘッドであり、このシリンダヘッド1の上部には、吸気バルブを開閉作動させる吸気側のカム軸(同図の上側のカム軸)2と、排気バルブを開閉作動させる排気側のカム軸(同図の下側のカム軸)3とが、それぞれ5カ所の軸受部4,4,…により回転可能に支持されている。上記2本のカム軸2,3のエンジン前側の端部(同図の左端部)には、図3に示すように、それぞれカムプーリ(従動輪)5,6が取り付けられ、該2つのカムプーリ5,6と、クランク軸7に嵌合されたクランクプーリ(駆動輪)8との間にはタイミングベルト(無端伝動部材)9が張架されていて、このタイミングベルト9を介してクランク軸7の回転力がカムプーリ5,6に伝達され、2本のカム軸2,3が回転駆動されるようになっている。
【0026】
上記吸気側のカム軸2は、タイミングベルト9の張力が張り側よりも相対的に小さくなる緩み側スパン(図3の左側)に位置づけられ、その端部には後述の如くカム軸2とカムプーリ5とを油圧力により相対回転させて、カム軸2のクランク軸7に対する回転位相を変更するバルブタイミング可変手段としてのVVT10(図6参照)が設けられている。また、上記タイミングベルト9の張り側スパン(図3の右側)にはアイドラプーリ11が設けられる一方、緩み側にはベルト張力を調整するテンショナ12が設けられている。このテンショナ12は、テンショナスプリング13により支点14を中心に同図の右側に付勢されたもので、タイミングベルト9を上記カムプーリ5,6及びクランクプーリ8に取り付ける時にシリンダブロック15にボルト16により位置固定される初期張力調整用のものである。
【0027】
尚、図2における17,17,…は、燃焼室に連通されていて、図示しない点火プラグが装着されるプラグホールである。
【0028】
上記吸気側及び排気側の2本のカム軸2,3同士の間隔は、吸気側カムプーリ5の直径の1.1倍以下とされている。具体的には、上記吸気側及び排気側の2本のカム軸2,3は、図4に示すように、シリンダヘッド1に形成されたヘッドボルト孔20,20,…の中心位置にかかるようにエンジン幅方向(同図の上下方向)に互いに近づいて配置されている。上記ヘッドボルト孔20,20,…は、シリンダヘッド1をシリンダブロック15の上面に締結するシリンダボルトが螺合されるもので、1つのシリンダボア(同図に仮想線で示す)の周りに等間隔に4つづつ配置されるように形成されたものである。また、21,21,…,22,22,…は、それぞれ吸気側及び排気側のバルブ駆動系が収容される孔部である。
【0029】
この孔部21,22には、図5に示すように、それぞれ吸気バルブ23及び排気バルブ24を閉状態になる側(同図の上側)に付勢するバルブスプリング25と、バルブ軸の先端に連結されて上記バルブスプリング25による押圧付勢力を受けるバケット型のバルブリフタ26とが収容されている。また、上記吸気バルブ23は、吸気ポート27と燃焼室28とを開閉する傘部23aと、該傘部23aから図の上方に延び、スリーブを介して上記孔部21内に至るバルブ軸23bとにより構成されており、一方、上記排気バルブ24は、吸気バルブ23と同様に傘部24aとバルブ軸24bとにより構成されている。そして、上記両バルブ23,24は、それぞれバルブリフタ26を介してカム軸2,3により直接駆動され、中心軸線x1,x2に沿って往復動するようになっており、このものでは、ロッカーアームを用いたものに較べてカム軸2,3へのバルブ反力を小さくすることができる。
【0030】
また、上記吸気バルブ23及び排気バルブ24は、それぞれ中心軸線x1,x2がシリンダボアの軸線yに対し互いに反対の側に約15度傾斜して配置されていて、それらの間の挟み角が約30°と狭く設定されている。すなわち、上記吸気バルブ23及び排気バルブ24はそれぞれ上下方向に延びるように配置されており、吸気ポート27が燃焼室28から滑らかに上方に延びるように形成されていて、吸気の流通抵抗の低減が図られている。また、バルブ23,24が上下方向に延びるように配置されているので、該バルブ23,24を開閉作動させるときにカム軸2,3に作用するバルブ反力の上下方向成分が大きくなり易い。
【0031】
上記タイミングベルト9は、図3に示すように、吸気側及び排気側の2つのカムプーリ5,6の間で略水平に延びる一方、上記各カムプーリ5,6とクランクプーリ8との間では上下方向に延びるように張られており、上記各カムプーリ5,6との係合範囲はテンショナ12により張力を加えられた状態でいずれもプーリ中心に対して約110度の角度範囲とされている。そのため、上記タイミングベルト9から各カムプーリ5,6に対して作用する力は、それぞれ同図に実線の矢印で示すように上下方向成分が大きくなり易く、このことによって、同図に破線の矢印で示すようにバルブからの反力がカム軸2,3に作用したときに、該カム軸2,3及び軸受部4,4,…にかかる負担はかなり大きくなる。特に、ベルト張り側に位置する排気側のカムプーリ6では、タイミングベルト9から排気側のカム軸3に作用する力は、該排気側カム軸3に作用するバルブ反力と略正反対の向きになるので、カム軸3及び軸受部4,4,…の負担は極めて大きい。
【0032】
また、上記タイミングベルト9は、2つのカムプーリ5,6及びクランクプーリ8に張架されたときに、テンショナ12により張力を加えられていない自由状態であっても殆ど遊びのないような長さを有している。すなわち、テンショナ12により張力を加えた状態と加えない自由状態との間で、上記タイミングプーリ9と各カムプーリ5,6との係合範囲の変化量は、プーリ中心に対する角度範囲で10°以下になっている。言い換えると、各カムプーリ5,6の歯数が36なので、上記タイミングプーリ9と各カムプーリ5,6との係合範囲の変化量はプーリの歯の1ピッチ長以下となる。
【0033】
より詳しくは、上記吸気側のカムプーリ5及びクランクプーリ8に外接する接線(同図に仮想線で示す)の各接点P1,P2長さをL1とし、テンショナ12によりタイミングベルト9に張力を加えた状態で、上記接点P1と接点P2との間のタイミングベルト9の長さをL2とすれば、上記長さL1と長さL2との差は、上記カムプーリ5の歯の1ピッチ長以下になっている。
【0034】
次に、上記VVT10の構成について図6〜図10に基づいて詳細に説明する。
【0035】
図6に示すように、シリンダヘッド1の上部に設けられたシリンダヘッドカバー30(図1参照)の内部において、吸気側のカム軸2の先端部(同図の左側の端部)には、1番ジャーナルの軸受部(端部側軸受部)4よりも先端側の外周部にカムプーリ5がカム軸2に対し相対回転可能に取り付けられ、該カムプーリ5よりも外側のカム軸先端側には、VVT10が回転一体に連結されている。
【0036】
上記VVT10は、上記カム軸2の端面に回転一体に連結されたロータ(内側回動部材)31と、そのロータ31に対し相対的に所定角度だけ回動可能に連結される一方、上記カムプーリ5に回転一体に連結された円筒状のケーシング(外側回動部材)32とを備えている。上記ロータ31は、図7及び図8に示すように、円筒状のボス部の外周部から径方向外方に突出する4つのベーンが概ね等間隔に設けられたもので、座金部材33及びボルト34によりカム軸2に取り付けられて一体回転するようになっている。一方、上記ケーシング32は中空円筒状に形成され、円盤状の蓋部材35と共にボルト36により上記カムプーリ5に一体的に取り付けられ、このカムプーリ5と一体回転するようになっている。
【0037】
上記ロータ31及びケーシング32は、カム軸2の軸線z1を中心とする同心位置に位置づけられ、ロータ31のベーンとケーシング32の突出壁部とが周方向に交互に配置されており、各ベーンの先端面がケーシング32の内周面に摺接する一方、各突出壁部の先端面がロータ31のボス部の外周面に摺接している。すなわち、上記カムプーリ5、ロータ31及びケーシング32の間には、ロータ31のベーンとケーシング32の突出壁部とにより周方向に並んで8つの受圧室(液圧室)10a,10b,10a,10b,…が区画形成されている。
【0038】
上記図7及び図8において、37,37,…はベーン及び突出壁部の各先端面に設けられたオイルシールである。また、図6において、32aはケーシング32と蓋部材35との間のオイル漏れを防止するための環状のオイルシールであり、更に、32bは上記ケーシング32とカムプーリ5との間でのオイル漏れを防止するための環状のオイルシールである。
【0039】
尚、上記カムプーリ5は、内周側部材5aに外周側部材5bを嵌合したものであり、該外周側部材5bは精密な歯形を有するように焼結により成型されている。そのため、上記オイルシール32bをケーシング32とカムプーリ5の外周側部材5bとの間に設けたのでは相性が悪く、オイル漏れの生じる虞れがある。そこで、上記オイルシール32bは、ケーシング32とカムプーリ5の内周側部材5aとの間をシールするように内周側に設けられている。
【0040】
上記8つの受圧室10a,10b,10a,10b,…のうち、ロータ31の各ベーンに対しカム軸2の回転側に位置づけられた4つの受圧室(遅角側受圧室)10a,10a,…は、それぞれロータ31のボス部内に形成された油路31aに連通されており、この油路31aを介して供給される作動油圧が増大すれば、ロータ31がケーシング32に対しカム軸2の回転と反対側に回動され、これにより、吸気バルブ23の作動タイミングが遅角側に変更される。
【0041】
一方、上記ロータ31の各ベーンに対して遅角側受圧室10a,10a,…の反対側に位置づけられた4つの受圧室(進角側受圧室)10b,10b,…は、それぞれ、ロータ31のボス部内に形成された油路31bに連通されており、この油路31bを介して供給される作動油圧が増大すれば、ロータ31はケーシング32に対しカム軸2の回転する側に回動され、吸気バルブ23の作動タイミングが進角側に変更される。
【0042】
上述の如きVVT10の作動油圧の制御は、この実施形態では、エンジンEのシリンダヘッドカバー30の上面に配置された電磁式のオイルコントロールバルブ(以下OCVという)44により行われる。すなわち、作動油は、シリンダブロック15内のオイルギャラリ(図示せず)から、図1に示すように、オイルジョイント38と、エンジン外周に設けられたオイルパイプ39とを経由して、シリンダヘッドカバー30上面に設けられたバルブケース40に送られる。そして、図6に示すように、オイルジョイント41を介してユニオンボルト42内の油路に至り、ここからオイルフィルタ43を介して上記OCV44に供給される。
【0043】
上記OCV44は、図9に示すように、コイル45及びプランジャ46を有する電磁ソレノイド47と、一端部が上記プランジャ46に連結される一方、他端部がスプリング48により押圧されるスプール49と、該スプール49を収容するケーシング50とを備え、図示しないコントロールユニットからの出力信号を印加された電磁ソレノイド47により上記スプール49の位置が高精度にデューティ制御されて、供給される作動油の流量及び方向を制御するものである。尚、同図において、50aは、ケーシング50に形成され、供給される圧油を受け入れる供給ポート、50b,50bはVVT10側に接続されて作動油を給排する一対のアクチュエータポートであり、さらに、50c,50cはVVT10側から戻ってきた戻り油を排出するドレンポートである。
【0044】
そして、上記OCV44により油圧制御された作動油は、後述の中間部材52及び軸受部4内に形成された油路によりカム軸2に供給され、そのカム軸2内に形成された油路を流通してVVT10の各油圧室10a,10b,…に供給される。上記OCV44、及び該OCV44とVVT10とを接続する油路により液圧供給手段が構成されている。
【0045】
詳しくは、図6に示すように、上記バルブケース40には、カム軸間方向に延びてOCV44を収容する配設孔40aが形成され、その配設孔40aに直交して略水平方向に延びるように形成されたインレット孔40bに上記ユニオンボルト42やオイルフィルタ43が内設されている。また、上記バルブケース40の配設孔40aを隔てた反インレット孔側には、上下方向に延びて下面に開口する嵌挿部40cと、その嵌挿部40cを配設孔40aに連通する2つのポート40d,40eとが形成されている。さらに、配設孔40aの側方から下方に亘って、シリンダヘッドカバー30上面に臨んで開口するドレン孔40fが形成されており、そのドレン孔40fの下方で、シリンダヘッドカバー30の開口部30aに続く部位には、上記OCV44からリターンされる戻り油を上記開口部30aからシリンダブロック内に還流させるドレン受け部30bが形成されている。
【0046】
上記中間部材52は、図10に示すように逆T字形状とされ、上端部がシリンダヘッドカバー30の開口部30aを貫通して上方に突出して、バルブケース40の嵌挿部40cに嵌挿される一方、下端部が1番ジャーナルの軸受部4の上面に取り付け固定されている。すなわち、吸気側のカム軸2を支持する軸受部4,4,…は、それぞれシリンダヘッド1の上面に設けられた半割状の下側軸受部53(図4参照)と、この下側軸受部53の上面に配設され、セットボルト54,54により下側軸受部53に締結された半割状のカムキャップ(上側軸受部)55とにより構成されている。そして、上記軸受部4,4,…には互いに同一の軸受径を有する軸受面4a,4a,…が形成されている。
【0047】
また、上記下側軸受部53のカム軸先端側の側面には、軸受面4aの端縁部に沿って半周状にスラスト規制部(移動規制部)53aが形成されており、このスラスト規制部53aがカム軸2の外周に全周に亘って形成された大径部2aに摺接して、カム軸2の軸線z1方向への移動を規制するようになっている。
【0048】
上記中間部材52には、図6にも示すように、バルブケース40の嵌挿部40cに嵌挿された状態で2つのポート40d,40eのうちの一方40dによりOCV44に連通する横向きの油路61と、この油路61に連通して斜め下方に延びる油路62と、上記他方のポート40eによりOCV44に連通する横向きの油路63と、この油路63に連通して上下方向に延びる油路64とが形成されている。また、1番ジャーナルのカムキャップ55には、中間部材52の一方の油路62に連通して斜め下方に延び、下側軸受部53との接合面に開口する油路65と、上記中間部材52の他方の油路64に連通して上下方向に延び、軸受面4aの上側に開口する油路66と、この油路66の開口部を含んで軸受面4aの上側略半周に対応するように開口する半円周状の第1開口溝68とが形成されている。
【0049】
さらに、上記下側軸受部53には、カムキャップ55の第1開口溝68に対しカム軸先端側に離れた位置で軸受面4aの下側略半周に対応するように開口する半円周状の第2開口溝67が形成され、この開口溝67の端部が上記カムキャップ55側の油路65に連通されている(図10参照)。また、1番ジャーナルの軸受面4aの軸線z1方向の幅は上記開口溝67,68の分だけ大きくされていて、軸受面4aの面積は開口溝67,68が形成されない場合と変わらないので、軸受面4aの面圧は他の軸受部4,4,…と略同等になっている。
【0050】
一方、カム軸2には、VVT10の遅角側受圧室10a,10a,…に連通された遅角側の油路(第2液路)70と、進角側受圧室10b,10b,…に連通された進角側の油路(第1液路)71とがカム軸軸線z1方向に延びるように形成されている。上記遅角側の油路70は、一端(図6の左側端)がカム軸2の端面に開口し、VVT10のロータ31の油路31aに連通する一方、他端(同図の右側端)は、カム軸2内で該カム軸2を直径方向に貫通する貫通通路70aを介して、カム軸2の1番ジャーナル部の外周面に開口し、上記軸受面4aの下側に形成された第2開口溝67に連通する。上記貫通通路70aは、カム軸2の外周面において直径方向に対向した2カ所開口しているので、カム軸2の回転位置によらず常に上記第2開口溝67に連通される。
【0051】
また、上記進角側の油路71は、同様に、一端が上記ロータ31の油路31bに連通する一方、他端が貫通通路71aを介して上記軸受面4aに形成された第1開口溝68に連通される。
【0052】
尚、上記図6において、73はカム軸2に設けられたセンシングプレート、74はシリンダヘッドカバー30に設けられたカムアングルセンサである。また、VVT10をカム軸2に固定するボルト34内には、該VVT10から漏れた作動油をシリンダヘッド1内に還流させるリターン通路75が形成され、上記の漏れ油をカム軸2内を介してシリンダヘッド1のリターン通路76へ導き、シリンダブロック15内に還流させる。さらに、カムプーリ5とカムキャップ52及びシリンダヘッド1との間には、オイルシール77が介設されている。
【0053】
このように構成されたVVT付エンジンEにおいて、吸気バルブ23の開閉作動タイミングを遅角側に変更するときには、OCV44のデューティ制御により遅角側の受圧室10a,10a,…への作動油圧を増大させる。すなわち、オイルギャラリ側から供給される作動油は、図6に矢印で示すように、OCV44からバルブケース40のポート40d、中間部材52の油路61,62及びカムキャップ55の油路65を流通して開口溝67に至り、その開口溝67に連通されるカム軸2側の貫通通路70aから油路70を流通して、ロータ31の油路31aから4つの遅角側受圧室10a,10a,…に分配供給される。これにより、各遅角側受圧室10aの作動油圧が増大して、ロータ31がケーシング32に対しカム軸2の回転と反対側に回動される。
【0054】
その際、進角側受圧室10b,10b,…から排出された作動油は、ロータ31内の油路31bを経て、同図に矢印で示すようにカム軸2内の進角側の油路71を流通し、貫通通路71aから開口溝68を経てカムキャップ55内の油路66に流通する。そして、中間部材52の油路64,63及びバルブケース40のポート40eを通ってOCV44に戻り、ドレン孔40fから排出されて、シリンダヘッドカバー30のドレン受け部30bから開口部30aを介してシリンダブロック15側に還流される。
【0055】
反対に、吸気バルブ23の作動タイミングを進角側に変更するときには、OCV44のデューティ制御により、上記と反対の作動油の流れによって進角側受圧室10b,10b,…の作動油圧を増大させる。
【0056】
具体的に、この実施形態のVVT付エンジンEでは、例えば図11に示す運転領域に対応してバルブタイミングを変更するようにしている。すなわち、アイドリング時を含む軽負荷域(同図の I の領域)では、吸気バルブ23の開閉作動タイミングを遅角側に変更して、バルブオーバーラップ量を小さくすることにより、吸気側への吹き返しを少なくさせて、エンジン安定性及び燃費の向上を図る。
【0057】
また、中負荷低回転領域(同図の II の領域)では、吸気バルブ23の開閉作動タイミングを進角側に変更して、バルブオーバーラップ量を大きくすることにより、シリンダ内部における排気還流率を高め、かつ機械的損失を低減するようにして、排気中のNOx及びHCの低減を図る。さらに、高負荷低中回転領域(同図の III の領域)では、吸気バルブ23の開閉作動タイミングを進角側に変更して、該吸気バルブ23を早めに閉じるようにし、このことで、体積効率の向上により低中速トルクを高める。さらにまた、高負荷高回転領域(同図の IV の領域)では、吸気バルブ23の開閉作動タイミングを遅角側に変更して、該吸気バルブ23の閉じるタイミングを遅くするようにし、このことで、体積効率の向上により最高出力を高めるようにしている。
【0058】
加えて、エンジン水温が低い時やエンジン始動時及び停止時には、吸気バルブ23の開閉作動タイミングを最大限に進角側に変更してバルブオーバーラップをなくすことで、吸気側への吹き返しを最大限に抑制し、エンジン安定性の向上、始動性の確保及び燃費の向上を図るようにしている。しかも、上記エンジン始動時においては、VVT10側へ十分な作動油圧を供給することができないため、クランク軸7側からの入力によってカムプーリ5が回転するとき、ロータ31の回転はケーシング32の回転に対し遅れ勝ちになる。つまり、エンジン始動時には、吸気バルブ23の開閉作動タイミングは上記の制御とは無関係に遅角側に変化する傾向があるので、作動油圧を十分に確保できないエンジン始動時においてもバルブオーバーラップを確実に小さくすることができ、よって、エンジンの始動性を安定確保できる。
【0059】
尚、上記図11における I,II,III,IV の4つの領域以外の運転領域では、バルブタイミングは上記進角側及び遅角側の中間に制御される。
【0060】
上記の構成により、この実施形態1のVVT付エンジンEによれば、カム軸2の先端側にタイミングベルト9の張力が下向きに作用する一方、反対側にバルブ反力が上向きに作用する1番ジャーナルの軸受部4において、上記カム軸2内の油路70に連通されて作動油を吸排する第2開口溝67を軸受面4aのカム軸先端側で下側略半周に亘って形成している。このため、この第2開口溝67の近傍では、上記カム軸2がタイミングベルト9からの張力の作用により下側に撓むことにより、カム軸2の外周面と軸受面4aとの間のクリアランスはむしろ狭くなり、カム軸2の撓みに起因する作動油の漏れを十分に抑制できる。同様に、上記1番ジャーナルの軸受部4において、第1開口溝68をバルブに近い側で上側略半周に亘って形成しているので、この第1開口溝68の近傍でも、上記カム軸2がバルブ反力により撓んだときにカム軸2外周面と軸受面4aとの間のクリアランスをむしろ狭めることができ、作動油の漏れを抑制できる。
【0061】
つまり、カム軸2の撓みに起因する作動油の漏れを十分に抑制して、VVT10に供給する作動油圧を確保することで、VVT10の高い作動応答性を確保できる。
【0062】
また、上記タイミングベルト9からカム軸2へ作用する張力は比較的変動が少ないので、上述の如く第2開口溝67からの作動油の漏れが常に十分に抑制される一方、上記カム軸2に作用するバルブ反力の変動は極めて大きいので、上記第1開口溝68の近傍では、カム軸2の外周面と軸受面4aとの間のクリアランスが変動してしまい、作動液の漏れを抑制する効果は相対的に小さくなる。そこで、この実施形態では、VVT10を吸気側のカム軸2に設けるとともに、カム軸2内の遅角側油路70を上記第2開口溝67に連通している。
【0063】
このことで、吸気バルブ23の開閉作動タイミングの遅角側への変更、即ちバルブオーバーラップを小さくする側へのバルブタイミングの変更の際の制御応答性を高く確保することができ、例えば、車両の減速に伴いエンジン回転数が急速に低下したときでも、VVT10の作動により直ちにバルブオーバーラップを小さくすることができるので、エンジンEの失火等の発生を防止してエンジン安定性を確保することができる。
【0064】
さらに、この実施形態1では、カム軸2の外周に設けられた大径部2aに摺接して該カム軸2の軸線z1方向への移動を阻止するスラスト規制部53aが下側軸受部53に形成されていて、第2開口溝67からカム軸2の外周面と軸受面4aとの間のクリアランスを通る作動油の漏れ量を上記大径部2aとスラスト規制部53aとの間で低減することができるので、このことによっても作動油圧の低下を抑制することができ、VVT10の制御応答性をより高めることができる。
【0065】
さらにまた、この実施形態1に係るエンジンEにおいては、吸気バルブ23が上下方向に延びるように配置されていて、カム軸2に作用するバルブ反力の上下方向成分が大きくなり易く、しかも、軸受部4が下側軸受部53とカムキャップ55の上下2つの部材により構成されていて、微視的な変形量が大きくなり易い。その上、タイミングベルト9が各カムプーリ5,6とクランクプーリ8との間で略上下方向に延びるように張られているので、上記タイミングベルト9から各カムプーリ5,6へ作用する力の上下方向成分も大きくなり易い。つまり、上述の如く1番ジャーナルの軸受部4において、カム軸2に大きな撓みが生じ易い構造になっている。従って、特にこのような構成のエンジンEに対して、上述の如き第1及び第2の2つの開口溝68,67の配置により、カム軸2及び軸受部4の隙間からの作動油の漏れを抑制することの効果が特に有効になる。
【0066】
加えて、この実施形態1では、上記VVT10を設けた吸気側カム軸2を支持する全ての軸受部4,4,…を互いに同一の軸受径を有するものとしたので、例えば、負担のかかる1番ジャーナルの軸受部4の軸受径をそれ以外の4つの軸受部4,4,…の軸受径よりも大きくして軸受面積を広げる場合のように生産コストの著しい上昇を招くことがなく、また、各軸受部4の間の同心度を容易に維持することができる。
(実施形態2)
図12及び図13は、本発明の実施形態2に係るVVT付エンジンEを示し、このエンジンEは、オイルコントロールバルブ(OCV)44を、カム軸2の1番ジャーナルの軸受部4のカムキャップ55′に一体的に設けたものである。尚、この実施形態2におけるエンジンEの主要な構成は実施形態1の場合と同様なので、以下、同様の部分には同一の符号を付して、異なる部分のみを説明する。
【0067】
上記エンジンEにおいては、図12に示すように、シリンダヘッドカバー30の一部を、1番ジャーナルの軸受部4のカムキャップ55′が該シリンダヘッドカバー30の外部に配置されるように切り欠いている。一方、上記カムキャップ55′よりもエンジン長手方向の先端側(図12の左側)には、VVT10の上方を覆うようにベルトカバーアッパー80を設け、このベルトカバーアッパー80とベルトカバーロア81とにより上記VVT10を収納している。
【0068】
上記カムキャップ55′の上部には、図13にも示すように、カム軸2と直交する方向に延びる配設孔82が形成され、該配設孔82にOCV44のケーシング50が収容されている。また、上記配設孔82の上方のカムキャップ55′には、ユニオンボルト42を収容するインレット孔83が上記配設孔82と平行に延びるように形成され、該インレット孔83と配設孔82とは上下方向に延びる油路84により互いに連通されている。
【0069】
そして、この実施形態2では、上記実施形態1と同様にシリンダブロック15側から送給された作動油は、ユニオンボルト42内の油路と油路84とを通ってOCV44に供給され、該OCV44で油圧制御された後、カムキャップ55′内の油路66又は油路65のいずれか一方を流通して、第1開口溝68又は第2開口溝67を介してカム軸2側に供給されるようになっている。
【0070】
尚、上記図両図において、30cはカムキャップ55′と接合されるシリンダヘッドカバー30のシール面である。また、図13において、86はOCV44のからの漏れ油をシリンダブロック15側に還流させるドレン孔である。
【0071】
したがって、この実施形態2によれば、OCV44からカム軸2までの油路65,66の最短化によって、作動油圧の制御応答性を高めることができる。しかも、高剛性のOCV44をカムキャップ55′に一体的に取り付けることで、1番ジャーナルの軸受部4の剛性を全体として高めることができ、よって、軸受面4aとカム軸2の外周面との間の作動油の漏れ量を一層低減できる。
【0072】
尚、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記各実施形態では、クランク軸7からの回転入力をタイミングベルト9及びカムプーリ5,6によりカム軸2,3に伝達するようにしているが、これに限らず、例えば、チェーン及びスプロケットにより伝達するようにしてもよい。
【0073】
また、VVTの構成としては、油圧力によりカム軸2,3の軸線z1,z2方向に進退するピストン部材を設け、このピストン部材の上記軸線z1,z2方向の相対変位をヘリカルスプラインにより回転方向の相対変位に変換して、カム軸2,3とカムプーリ5,6とを相対回転させるものとしてもよい。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における可変バルブタイミング装置付エンジンによれば、バルブタイミング可変手段に最も近い端部側軸受部に形成する液圧経路の2つの開口溝を、それぞれ、カム軸が撓んでも軸受面との間のクリアランスが拡がらない位置に配置したので、カム軸の撓みに起因する作動液の漏れを十分に抑制して、上記バルブタイミング可変手段への作動液圧を十分に確保することができる。よって、可変バルブタイミング装置の高い作動応答性を確保することができる。
【0075】
また、吸気バルブの作動タイミングの遅角側への変更の際の高い応答性を確保することができるので、エンジン回転数が急速に低下したときでも、エンジン安定性を確保できる
【0076】
求項記載の発明では、カム軸へのバルブ反力の上下方向成分が大きくなり易く、かつ軸受部の上下方向の微視的変形量が大きくなり易い構成、つまり、カム軸と軸受部との間での作動液の漏れ量が比較的大きくなり易い構成なので、請求項1記載の発明による効果が特に有効なものになる。
【0077】
請求項記載の発明では、無端伝動部材から各従動輪に作用する力の上下方向成分が大きくなり易い構成なので、請求項1記載の発明による効果が特に有効になる。
【0078】
請求項記載の発明によれば、生産コストの上昇を抑えつつ各軸受部間の同心度を高精度のものとすることができる。
【0079】
請求項記載の発明によれば、作動油圧の制御応答性を一層高めることができる。しかも、軸受部全体の剛性を高めて、軸受面とカム軸外周面との間の作動液の漏れ量を低減できる。
【0080】
請求項記載の発明によれば、第2開口溝からカム軸先端側に漏出する作動液の漏れ量を低減できる。
【0081】
請求項記載の発明によれば、作動液圧を十分に確保できないエンジン始動時においてバルブオーバーラップが小さくなり、エンジンの始動性を安定確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係るエンジンEの構成を示す上面図である。
【図2】 図1のエンジンEのシリンダヘッド上部の構成を示す上面図である。
【図3】 カムプーリ及びクランクプーリにタイミングベルトを張架した構成を示すエンジンEの正面図である。
【図4】 2本のカム軸を省略して、軸受部とヘッドボルト孔との位置関係を示す図2の拡大図である。
【図5】 バルブの配置を示す説明図である。
【図6】 VVTの構成を示すための図1の VI-VI 線における断面図である。
【図7】 図6の VII-VII 線におけるVVTの断面図である。
【図8】 図6の VIII-VIII 線におけるVVTの断面図である。
【図9】 OCVの構成を示す説明図である。
【図10】 カムキャップと中間部材の構成、及びその内部に形成された油路と開口溝との連通状態を示す説明図である。
【図11】 バルブタイミング制御の基準となるエンジンの運転領域を示す説明図である。
【図12】 実施形態2に係る図6相当図である。
【図13】 図12の XIII-XIII 線におけるカムキャップの断面図である。
【符号の説明】
E VVT付エンジン
1 シリンダヘッド
2 吸気側のカム軸
2a カム軸の大径部
3 排気側のカム軸
4 軸受部
4a 軸受面
5,6 カムプーリ(従動輪)
7 クランク軸
9 タイミングベルト(無端伝動部材)
10 可変バルブタイミング装置(バルブタイミング可変手段)
10a 遅角側の受圧室(遅角側液圧室)
10b 進角側の受圧室(進角側液圧室)
23 吸気バルブ
24 排気バルブ
31 VVTのロータ(内側回動部材)
32 VVTのケーシング(外側回動部材)
44 オイルコントロールバルブ
53 下側軸受部
53a スラスト規制部(移動規制部)
55 カムキャップ(上側軸受部)
67 第2開口溝
68 第1開口溝
70 遅角側の油路(第2液路)
71 進角側の油路(第1液路)
x1 吸気バルブのバルブ軸の軸線
y シリンダボア軸線

Claims (7)

  1. シリンダヘッドに軸受部によりそれぞれ支持され、吸気バルブを開閉作動させる吸気側カム軸と、排気バルブを開閉作動させる排気側カム軸と、
    上記吸気側カム軸の端部側にある端部側軸受部よりも先端側のカム軸に設けられ、無端伝動部材を介してクランク軸上の駆動輪に駆動連結された従動輪と、
    上記吸気側のカム軸及び従動輪にそれぞれ連結され、進角側又は遅角側液圧室への作動液の供給によりカム軸と従動輪とを相対回転させて、当該カム軸のクランク軸に対する回転位相を変更するバルブタイミング可変手段と、
    上記バルブタイミング可変手段の進角側又は遅角側液圧室に作動液を供給切替えする液圧供給手段とを備えた可変バルブタイミング装置付エンジンにおいて、
    上記液圧供給手段は、
    上記吸気側カム軸内に形成され、かつ一端が上記バルブタイミング可変手段の進角側液室に接続される一方、他端がカム軸の外周面に開口する第1液路と、
    上記吸気側カム軸内に形成され、かつ一端が上記バルブタイミング可変手段の遅角側液圧室に接続される一方、他端が上記第1液路の開口端よりも先端側のカム軸外周面に開口する第2液路と、
    上記端部側軸受部の軸受面にカム軸の軸心に対してバルブと反対側に略半周に亘って形成され、上記第1液路の開口端に連通する第1開口溝と、
    上記端部側軸受部の軸受面に上記第1開口溝の直径方向反対側に略半周に亘って形成され、上記第2液路の開口端に連通する第2開口溝と
    を備えていることを特徴とする可変バルブタイミング装置付エンジン
  2. 請求項1において、
    端部側軸受部は、シリンダヘッド上面に設けられた下側軸受部と、該下側軸受部の上部に結合された上側軸受部とで構成されており、
    バルブタイミング可変手段が設けられているカム軸により開閉作動されるバルブは、バルブ軸のシリンダボア軸線に対する傾き角が20°以下とされていることを特徴とする可変バルブタイミング装置付エンジン。
  3. 請求項1又はにおいて、
    カム軸は、吸気バルブを開閉作動させる吸気側カム軸と、排気バルブを開閉作動させる排気側カム軸とからなり、
    上記吸気側及び排気側カム軸は共通の無端伝動部材を介してクランク軸に駆動連結されており、
    上記2本のカム軸上の各従動輪と無端伝動部材との係合範囲は、いずれも従動輪中心に対し120度以内の角度範囲とされていることを特徴とする可変バルブタイミング装置付エンジン。
  4. 請求項1〜のうちのいずれか1つにおいて、
    バルブタイミング可変手段が設けられたカム軸を支持する全ての軸受部は、互いに同一の軸受径を有することを特徴とする可変バルブタイミング装置付エンジン。
  5. 請求項1において、
    端部側軸受部の上部には、第1又は第2開口溝を介してカム軸側へ供給される作動液圧を調整するコントロールバルブが、カム軸と直交する向きに延びて一体的に取り付けられていることを特徴とする可変バルブタイミング装置付エンジン。
  6. 請求項1において、
    端部側軸受部よりも先端側のカム軸外周に全周に亘って大径部が形成されている一方、
    上記端部側軸受部のカム軸先端側の側面には、上記カム軸外周の大径部に摺接してカム軸の軸線方向への移動を規制する移動規制部が、第2開口溝に対応する周方向範囲に設けられていることを特徴とする可変バルブタイミング装置付エンジン。
  7. 請求項において、
    バルブタイミング可変手段は、
    カム軸の端部に回転一体に連結された内側回動部材と、
    上記内側回動部材に対しカム軸の軸線回りに相対回転可能に外嵌合されて連結される一方、従動輪に回転一体に連結された外側回動部材とを備えており、
    上記内側回動部材の外周面に径方向外側に突出するベーンが設けられる一方、上記外側回動部材の内周面に径方向内側に突出する突出壁部が設けられており、
    進角側又は遅角側液圧室が上記ベーンと突出壁部との間に周方向に交互に区画形成されていることを特徴とする可変バルブタイミング装置付エンジン。
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