JPH11256287A - 耐高温酸化性およびスケール密着性に優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

耐高温酸化性およびスケール密着性に優れたフェライト系ステンレス鋼

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JPH11256287A
JPH11256287A JP10331413A JP33141398A JPH11256287A JP H11256287 A JPH11256287 A JP H11256287A JP 10331413 A JP10331413 A JP 10331413A JP 33141398 A JP33141398 A JP 33141398A JP H11256287 A JPH11256287 A JP H11256287A
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    • F28HEAT EXCHANGE IN GENERAL
    • F28FDETAILS OF HEAT-EXCHANGE AND HEAT-TRANSFER APPARATUS, OF GENERAL APPLICATION
    • F28F21/00Constructions of heat-exchange apparatus characterised by the selection of particular materials
    • F28F21/08Constructions of heat-exchange apparatus characterised by the selection of particular materials of metal
    • F28F21/081Heat exchange elements made from metals or metal alloys
    • F28F21/082Heat exchange elements made from metals or metal alloys from steel or ferrous alloys
    • F28F21/083Heat exchange elements made from metals or metal alloys from steel or ferrous alloys from stainless steel

Abstract

(57)【要約】 【課題】 700〜950℃の高温排ガスの管路部材に使用で
きる安価な鋼の提供。 【解決手段】 質量%で、C≦0.03%,Si:0.80%〜1.2
0%,Mn:0.60%〜1.50%,Cr:11.0%〜15.5%,Nb:0.20
%〜0.80%,Ti≦0.1%,Cu:0.02%〜0.30%未満,N≦
0.03%,Al≦0.05%,O≦0.012%を含有し、かつ0.7≦
Mn/Si≦1.5;1.4≦Nb+1.2Si≦2.0;1221.6(C+N)−5
5.1Si+65.7Mn−8.7Cr−99.5Ti−40.4Nb+1.1Cu+54≦0
の関係を同時に満足するようにこれらの元素を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、大気雰囲気
下900℃で100時間連続加熱後の酸化増量が0.02kg/m2
下でスケール剥離量が0.01kg/m2以下、同1000℃で100時
間連続加熱後の酸化増量が0.4kg/m2以下でスケール剥離
量が0.02kg/m2以下である、フェライト系ステンレス
鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に各種内燃機関
やガスタービン等の排ガス管路部材用途に好適な耐高温
酸化性およびスケール密着性に優れた低コストのフェラ
イト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に関する関心の高まりか
ら、燃焼効率の良い火力発電システムや機関、更には排
ガス規制をクリアできる自動車エンジンが求められてい
る。これらの要求を満足すべく対策を行なうと、燃焼ガ
スの温度が高くなり、排ガス浄化システムなどの周辺部
材の温度が高くなる。この結果、これらの部材は一層優
れた耐熱性が要求されるようになってくる。耐熱性には
高温強度に加えて高温のガス環境下で耐用できる耐高温
酸化性が必要である。
【0003】耐高温酸化性は、異常酸化を起こさず酸化
増量が少ないことと、酸化スケール(酸化皮膜)の密着
性が良好であることである。自動車のエンジンなどの内
燃機関では運転および停止の繰り返しがあり、また火力
発電システムでもDSS(毎日起動停止)操業があるた
めに耐熱部材も過熱冷却の繰り返しを受ける。従って酸
化皮膜の密着性が良くない材料は酸化皮膜が剥離し、こ
れが原因となって、配管の目づまりを起こしたり、部材
そのものの肉厚減少が起こり、そこを起点とした破損な
どの問題が生じる。
【0004】オーステナイト系ステンレス鋼は、フェラ
イト系ステンレス鋼と比較して高温強度が高い。しか
し、熱膨張が大きいため、熱ひずみが大きく、加熱およ
び冷却の繰り返しを受けると熱疲労による割れを起こし
やすい。また、オーステナイト系ステンレス鋼は、鋼素
地と酸化スケールとの熱膨張の差が大きいため、酸化皮
膜の剥離も多い。
【0005】これらの理由から、自動車の排ガス用材料
にはフェライト系ステンレス鋼が使用されている。例え
ば、自動車のエキゾーストマニホールドには、フェライ
ト系ステンレス鋼のSUS430J1Lが使用されているが、酸
化皮膜の剥離が多く、また、素材のコストが高いことが
問題視されている。
【0006】米国特許第4,640,722号明細書は、自動車
排ガス用材料に適するフェライト系ステンレス鋼とし
て、Cr:6〜25%の範囲において従来の耐熱鋼に用い
られていたAlに代えてSiを含有させ(Si:1.0〜2.0
重量%)、炭素と窒素を固定するに十分なTi(または
Zr,Ta)を加えたうえで(Ti:4C+3.5 N〜0.5
%)、炭窒化物を形成していない非結合Nbを0.1重量%
以上含有させることによって、1010〜1120℃の加熱でN
b-SiリッチのLaves相を生成させて耐高温酸化抵抗およ
びクリープ特性を改善した鋼を開示している。この鋼は
さらにMoを5%以下含有し、Cr+Mo≧8重量%と規
定している。だが、このUSP'722明細書には酸化皮膜の
剥離をどのようにしたら防止できるかについて教示がな
い。また低温靱性と加工性の改善についても教えるとこ
ろはない。自動車のエキゾーストマニホールド用途に
は、高温耐酸化性に加えて酸化皮膜の密着性、低温靱性
および加工性に優れることが併せて要求される。
【0007】米国特許第4,461,811号明細書には、重量
%でC≦0.03%,N≦0.05%,Cr:10.5〜13.5%,Al
≦0.10%,Ti≦0.12%,Al+Ti≦0.12%,Nbおよび
/またはTa:CとNを固定するに十分な量,残部がFe
からなるフェライト系ステンレス鋼が記載されている。
この鋼はCuやNi等のろう材(brazing filler)との濡
れ性がよいと教示している。このため、フェライト系ス
テンレス鋼本来の高温での耐酸化性や耐食性を必要とす
る熱交換器や排ガスシステム等を構成するろう付けされ
る用途に適するとされている。だが、このUSP'811明細
書に記載のスタビライズド鋼が酸化皮膜の密着性,低温
靱性および加工性を同時に満足するか否か不明であり、
またそのための処法について示唆も認知もない。
【0008】米国特許第4,417,921号明細書には、重量
%でC≦0.03%,N≦0.03%,C+N≦0.04%,Cr:1
1.5〜13.5%,Mn≦1.0%,Si≦1.0%,Ni≦0.5%,
Cu≦0.15%,Ni+3Cu≦0.80%,Tiおよび/または
Nb:0.1 %以上で且つ4(C+N)以上〜0.75%,残部
がFeからなるフェライト系ステンレス鋼が記載されて
いる。このTiまたはNbでCとNを固定し且つCuを添
加した鋼は溶接性,延性,加工性,耐応力腐食割れ性に
優れるので、フィンを一体成形する熱交換器用途に適す
るとされている。だが、USP'921にはこの種のフェライ
ト系ステンレス鋼の高温特性、特に高温での耐酸化性や
酸化皮膜の密着性に及ぼす各元素の影響について教示が
なく、自動車のエキゾーストマニホールド用途に必要な
諸特性について示唆するところはない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のような背景か
ら、SUS430J1Lと同等の高温強度を有しながら、一層優
れた耐高温酸化性、とくに酸化皮膜の密着性に優れた特
性を示す安価な材料であって且つ低温靱性や加工性にも
優れたフェライト系ステンレス鋼が排ガス用途、特に自
動車のエキゾーストマニホールド用途に求められるよう
になった。この要求は、最近の排ガス浄化の向上や内燃
機関の高効率化に伴って一層厳しくなっている。本発明
の課題は、この要求を満たすフェライト系ステンレス鋼
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、質量%
において、C:0.03%以下,Si:0.80%〜1.20%,M
n:0.60%〜1.50%,Cr:11.0%〜15.5%,Nb:0.20
%〜0.80%,Ti:0.1%以下(無添加を含む),Cu:
0.02%〜0.30%未満,N:0.03%以下,Al:0.05%以
下(無添加を含む),O:0.012%以下,ただし、上記
の範囲において、 0.7≦Mn/Si≦1.5 ・・・(1) 1.4≦Nb+1.2Si≦2.0 ・・・(2) 1221.6(C+N)−55.1Si+65.7Mn−8.7Cr−99.5Ti−40.4Nb+1.1Cu+54 ≦0 ・・・(3) の関係(1),(2)および(3)を同時に満足するようにこれ
らの元素を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなり、大気雰囲気下900℃で100時間連続加熱後の酸化
増量が0.02kg/m2以下でスケール剥離量が0.01kg/m2
下、同1000℃で100時間連続加熱後の酸化増量が0.4kg/m
2以下でスケール剥離量が0.02kg/m2以下である耐高温酸
化性およびスケール密着性に優れたフェライト系ステン
レス鋼を提供する。る。
【0011】本発明はまた、前記のさらに厳しい要求を
満足するフェライト系ステンレス鋼として、質量%にお
いて、C:0.03%以下,Si:0.80%〜1.20%,Mn:0.
60%〜1.50%,Cr:13.5%を越え〜15.5%,Nb:0.20
%〜0.80%,Ti:0.1%以下(無添加を含む),Cu:0.0
2%〜0.30%未満,N:0.03%以下,Al:0.05%以下
(無添加を含む),O:0.012%以下,ただし、上記の範
囲において、 0.7≦Mn/Si≦1.5 ・・・(1) 1.4≦Nb+1.2Si≦2.0 ・・・(2) 1221.6(C+N)−55.1Si+65.7Mn−8.7Cr−99.5Ti−40.4Nb+1.1Cu+54 ≦0 ・・・(3) Cr+Mn+Si≧14.7 ・・・(4) の関係(1),(2),(3)および(4)を同時に満足するように
これらの元素を含有し、残部がFeおよび不可避的不純
物からなり、大気雰囲気下930℃で200時間連続加熱後の
酸化増量が0.2kg/m2以下でスケール剥離量が0.01kg/m2
以下である耐高温酸化性およびスケール密着性に優れた
フェライト系ステンレス鋼を提供する。
【0012】さらに、(Cr+Mn+Si)の含有量の下
限値を前記(4)式の14.7から15.5に高めた場合には大気
雰囲気下950℃で200時間連続加熱後の酸化増量が0.2kg/
m2以下でスケール剥離量が0.01kg/m2以下である耐高温
酸化性およびスケール密着性に優れたフェライト系ステ
ンレス鋼を提供できる。
【0013】
【発明の実施の形態】フェライト系ステンレス鋼におい
ては、特公昭59-15976号公報に記載されているように、
La,Ce,Yなどの希土類元素を含有させれば良好な高
温酸化特性を示すことがよく知られている。また特公昭
57-2267号公報に記載されているようにC,NおよびMn
を低減し且つSi含有量を高めることにより耐酸化性,
成形性および溶接性を改善できることが知られ、米国特
許第4,640,722号明細書や特開昭60-145359号公報に記載
のように耐酸化性に有効なAlをSiで置換して耐酸化性
を保持させることが知られている。本発明者らはこれら
とは全く異なる処法によってフェライト系ステンレス鋼
の高温酸化特性(酸化増量の抑制とスケール密着性)が
改善できることを知った。それはMnとSiの相互の含有
量を或る特定範囲に厳密に調整することである。
【0014】すなわち本発明者らは、低コストの13Cr
系のフェライト系ステンレス鋼を中心として、異常酸化
を抑制し且つ優れた酸化皮膜の密着性を改善すべく合金
成分の面からの広範な研究を行った結果、異常酸化を抑
制するためにはSiを添加することが有効であることが
わかった。ところがSiを添加すると、異常酸化を抑制
し酸化増量を小さくすることができるものの、生成した
酸化物はSUS430J1Lの場合と同様に、冷却過程で剥離し
やすい性質を有することがわかった。
【0015】ところが、適正量のMnを添加すると酸化
皮膜の密着性が著しく改善されることがわかった。これ
は、高Crフェライト系ステンレス鋼においては、Mnは
高温酸化に悪影響を及ぼすという常識を覆す全く新しい
知見である。
【0016】しかし、Mnを多量に添加すると本成分系
ではオーステナイト相が生成して耐高温酸化性をかえっ
て劣化させ、そこを起点として異常酸化が発生すること
も明らかとなった。
【0017】図1は、Mn/Si比を変化させた以外は本
発明で規定する化学成分値を有するフェライト系ステン
レス鋼において、後記実施例で説明する1000℃で100時
間の連続酸化試験を行った場合の酸化増量とスケール剥
離量をSi/Mn比で整理して示したものである。
【0018】図1に見られるように、Mn/Si比が0.7以
上で1.5以下の場合には酸化増量もスケール剥離量も極
減する。この比が0.7未満ではスケール剥離量が急激に
多くなり1.5を超えると酸化増量が急増する。
【0019】この理由については必ずしも明確ではない
が、次のように考えるられる。Si量が多くなると耐高
温酸化性が良くなるが、 これはSiの増量によりCr2
3を主体とする酸化物が表層に形成されるからであると
考えられる。しかし単にSiを添加するだけではスケー
ル剥離を生じる。これはCr23を主体とする酸化物と
下層の母材との熱膨張率の差に起因するからであると考
えられる。
【0020】ところが、Mn/Si比が0.7以上となるよう
にMnが存在すると、Cr23を主とする酸化物と鋼素地
との中間の熱膨張率を有する、 Mnを含むスピネル系の
酸化物が生成する。この結果、Mnの増量によって酸化
増量が多くなっても、生成する酸化物は鋼素地との熱膨
張差が緩和されるために密着性が良くなる。しかし、M
n/Si比が1.5より高くなるような割合のMn量ではスケ
ールの密着性は良好でも、異常酸化が生じて耐熱性に問
題が生ずる。このようなことから、この系統のフェライ
ト系ステンレス鋼ではMn/Si比を0.7〜1.5の範囲に厳
密に調節すれば、酸化増量の抑制とスケール密着性の改
善が同時に達成され、 優れた耐高温酸化性を示すよう
になる。
【0021】換言すれば、Mn系の酸化物を多く形成さ
せてスケールの密着性を良くするためにはSi量にとも
なってMn量を多くさせる必要があるが、逆にSi量が少
ない場合にはそれにともなってMn量を少なくする必要
がある。Si量が少ない鋼ではMn量が多くなるとγ相が
生成しやすくなり、異常酸化の起点となる。またMn系
のスピネル酸化物そのものの生成量が多くなり異常酸化
に至る。
【0022】以下に、 本発明鋼における各成分の作用
とそれらの含有量 (質量%) の限定理由を個別に概説す
る。
【0023】CとN:CとNは一般的には高温強度を高
めるためには重要な元素であるが、反面、含有量が多く
なると耐酸化性,加工性ならびに靱性の低下を来す。ま
た、CとNはNbとの化合物をつくり、高温強度向上に
作用するフェライト相中の有効Nb量を減少せしめる。
このような理由からCとNはそれぞれ0.03%以下とす
る。
【0024】Si:Siは前述のように耐高温酸化性を改
善するために不可欠な元素である。本発明鋼のような比
較的Cr量が少ない鋼であっても優れた耐高温酸化性を
付与するのに非常に有効である。しかし、過剰に添加す
ると硬質になり、加工性および靱性の劣化をもたらすの
で、0.8%〜1.2%の範囲とする。Siの最適含有量は約
1.0%付近にある。
【0025】Mn:Mnも本発明鋼の重要な元素である。
本発明鋼のようにSiを添加することによって、酸化増
量は抑制されるが、生成した酸化物は加熱後の冷却中に
剥離しやすくなる。Mnを添加すると前述のようにスピ
ネル型酸化物を形成して表層酸化物の密着性を著しく改
善する。しかし、過剰に添加すると、オーステナイト相
の析出などによってかえって異常酸化を誘発する。この
ためその範囲を0.60%〜1.50%とする。Mnの最適含有
量は1.0%付近である。
【0026】Cr:Crは耐高温酸化性を付与するために
は非常に有効な元素であり、耐高温酸化性を維持するた
めには11%以上の添加を必要とする。一方、過剰に添加
すると鋼の脆化を招き、また硬質となって加工性を劣化
させる他、原料価格が高くなる。したがって、Crの範
囲は11.0%〜15.0%、好ましくは13.5%を越え15.5%以
下とする。とくに、エキゾーストマニホールド用途にお
いて、950℃で200時間連続加熱後の酸化増量が0.2kg/m2
以下で且つスケール剥離量が0.01kg/m2以下の要求を満
たすには、Mn/Si比がほぼ1となり且つMnとSiをい
ずれも約1.0%で含有させたうえ、Si+Mn+Crの合計
含有量が15.5以上となるようにすることが望ましいが、
この場合にはCr量は必然的に13.5%を越えて含有させ
ることが必要となる。Crの最適含有量は14%付近にあ
る。
【0027】Nb:Nbは高温強度を維持せしめるのに有
効に作用するので本発明鋼の重要な元素である。高温強
度を維持するためには少なくとも0.20%以上添加する必
要がある。一方、Nbを過剰に添加すると溶接高温割れ
感受性が高くなる。十分な高温強度を維持し、かつ溶接
高温割れ感受性に余り影響を及ぼさないようにNbの上
限を0.80%とする。好ましいNb含有量の下限値は8×
(C+N)+0.30であり、その上限値は0.60%である。N
b含有量の最適値はCとNがいずれも0.015%以下の可及
的低量の場合、約0.50%付近にある。
【0028】Cu:Cuは本発明鋼において、低温靭性と
加工性の両方を向上させるのに極めて有効に作用する。
この事実を試験結果で以下に示す。
【0029】試験は、14%Cr,1.0%Si,1.0%Mn,
0.5%Nbの鋼を基本鋼とし、Cuの含有量を変えて破面
遷移温度に及ぼすCuの影響を調べた。図2にその試験
結果を示す。破面遷移温度は、板厚2mmのVノッチシャ
ルピー衝撃試験片を用いて、−75℃から50℃の範囲で衝
撃試験を行い、延性破面率が50%となるときの温度と定
義した。低温靭性の指標となる破面遷移温度は−30℃以
下が好ましい。図2に見られるように、Cuの含有量が
0.02〜0.30%未満の範囲において破面遷移温度が−30℃
以下となることがわかる。なおCuの含有量を0.30%以
上とした場合は、Cuを添加しない場合に比較して靭性
が若干改善されるものの、破面遷移温度を上昇させる傾
向があることも明らかになった。
【0030】また上記と同じ14%Cr,1.0%Si,1.0%
Mn,0.5%Nbの鋼を基本鋼とし、Cuの含有量を変えて
全伸びと均一伸びに及ぼすCuの影響を調べた。その結
果を図3に示した。全伸びおよび均一伸びの測定は板厚
2mmの冷延焼鈍板から試片を採り、冷延方向に平行の方
向(L方向)にひずみ速度3mm/minで引張試験を実施し
て求めた。図3に見られるように、Cuの含有量が0.02
%以上0.30%未満の範囲で全伸びが上昇し、また加工性
の指標となる均一伸びも上昇することがわかる。
【0031】このように、本発明鋼においてCuを0.02
%以上0.30%未満の範囲で含有させた場合に、低温靭性
と加工性が同時に優れることがわかった。なお、この程
度の少量のCu含有量では、Cu添加による高温特性に及
ぼす悪影響(例えば熱間加工性の低下)は殆んど現れな
い。
【0032】O:O(酸素)は溶接性に悪影響を及ぼす
ので、できる限り低いことが好ましい。しかし低く抑え
るほど製造コストの上昇を招く。本発明鋼においては、
OはAlおよびSiの添加によって容易に低減でき、この
とき十分な溶接性を有する範囲としてOは0.012%以下
とする。
【0033】TiとAl:TiとAlは本発明鋼において添
加の有無を問わず各々0.10%まで許容できる。Tiは鋼
のr値(ランクフォード値)を向上させ、鋼成形性を改
善することが知られているが、Tiを添加するとTiNの
生成による鋼板表面疵(ヘゲ疵)の発生による鋼板製造
歩留りの低下を来し、また溶接性も低下させる。とくに
エキゾーストマニホールド製造のための造管時の溶接や
組立用の溶接時にTiNが生成するとその後に厳しい加
工を施す場合に悪い影響を与える。このため、本発明鋼
中のTi量は0.10%以下、好ましくは0.05%以下である
のがよく、この程度のTi量は本発明鋼において不純物
量として許容できる。
【0034】また、Alは鋼の溶製時に残存酸素を除去
する脱酸剤として有用である。すなわち、鋼中に酸素が
残存すると溶接性が悪くなるのでAl脱酸は有用である
が、本発明鋼はSiを含有させるので、このSiが脱酸剤
として機能し、Alによる脱酸は必ずしも必要としな
い。またAlが過剰に鋼中に混入すると溶接時にAl系の
酸化物が多量に生成して逆に溶接性を劣化させる結果と
もなる。したがってAlは添加の有無を問わず0.05%以
下とするのがよく、この程度のAl量は本発明鋼におい
て許容できる。
【0035】そのほかの製造上混入する不純物として
P,S,Ni等がある。これらの元素はいずれも本発明
鋼において有用な作用を供するものではないので少ない
程よいが、本発明鋼においてPは0.040%まで、Sは0.0
08%まで、またNiは0.50%まで含有しても特段の悪影
響は現れない。したがってこの程度までのこれら元素の
含有は許容される。
【0036】以上のような各成分の含有量において、 0.7≦Mn/Si≦1.5 ・・・(1) の関係が満足するようにMn量とSi量を規制することが
本発明の前記の課題を達成するうえで重要であり、この
(1)式の条件を満足すれば、図1に示したように、1000
℃で100時間の連続加熱後の酸化増量が0.4kg/m2以下で
且つスケール剥離量が0.02kg/m2以下となる耐高温酸化
性およびスケール密着性に優れたフェライト系ステンレ
ス鋼が得られる。なお図1の成果は、Mn/Si比を最適
にすると、酸化増量の上限値0.4kg/m2とスケール剥離量
の上限値0.02kg/m2よりは遥かに小さい値まで耐高温酸
化性およびスケール密着性を改善できることを示してい
る。
【0037】また、本発明に従う鋼は前記関係式(1)に
加えて関係式(2),(3),(4)の要件を充足するように各
成分量を調整されることが前記課題を解決するうえで重
要な役割を果たす。これらの点は後記の実施例から明ら
かであるが、その概要を予め説明すると次のとおりであ
る。
【0038】関係式(2)すなわち、 1.4≦Nb+1.2Si≦2.0 ・・・(2) を充足するようにNbとSiを複合添加すると、本発明鋼
は優れた高温疲労特性を示すようになる。この効果はN
b+1.2Siの量が1.4以上で発現される。しかし、Nbと
Siはいずれも過剰に添加すると加工性を低下させる作
用がある。このためNb+1.2Siの量は2.0%以内に抑え
るのがよい。
【0039】関係式(3)すなわち、 1221.6(C+N)−55.1Si+65.7Mn−8.7Cr−99.5Ti−40.4Nb+1.1Cu+54 ≦0 ・・・(3) を充足するように各成分量を調整することにより、本発
明鋼は1000℃までの温度域でオーステナイト相が生成し
ないようになる。エキゾーストマニホールドの場合、材
料面からは最高1000℃までの温度域を考慮することが必
要であるが、この耐用温度でオーステナイト相が生成す
ると、オーステナイト相を起点とする異常酸化が起こ
る。関係式(3)の関係を充足するように成分バランスを
図ると、この異常酸化が防止できる。
【0040】関係式(4)すなわち、 Cr+Mn+Si≧14.7 ・・・(4) の関係を充足するように、Cr,Mn,Siの合計量を厳
密に調整することが、エキゾーストマニホールドに要求
される耐高温酸化性を具備する上で重要であることかわ
かった。以下に試験結果を挙げてこの点を説明する。
【0041】供試鋼は、Cr:11.0〜15.5%,Si:0.8
〜1.2%,Mn:0.7〜1.5%の範囲でCr,Si,Mn量を
変化させ、且つNb=0.5%,Cu=0.1%の一定とした鋼
であり、これら各供試鋼の(Cr+Mn+Si)の合計量
と耐高温酸化特性との関係を調べた。試験は、各鋼につ
いて板厚2mmの板状試験片を大気雰囲気下で200時間の
連続加熱を行ったあと、単位面積当たりの質量増加量を
測定した。その結果を図4および図5に示した。図4は
連続加熱温度=930℃の場合、図5は連続加熱温度=950
℃の場合のものである。
【0042】図4および図5の結果から、耐高温酸化特
性の指標となる酸化増量は、鋼中の(Cr+Mn+Si)
の合計量で良く整理できることがわかる。そして、異常
酸化を生じる酸化増量の目安を0.2kg/m2とすると、図4
のように、930℃で200時間の連続加熱ではCr,Si,M
nの総量が質量%で14.7以上、また図5のように950℃で
200時間の連続加熱では該総量が15.5以上で、異常酸化
を抑制できることが明らかとなった。
【0043】したがって、この試験結果から、本発明鋼
において、930℃での連続加熱条件では式(4)、950℃で
の連続加熱条件では式(4)'、すなわち、 Cr+Mn+Si≧14.7 ・・・(4) Cr+Mn+Si≧15.5 ・・・(4)' の関係を満足すると、各温度で優れた耐高温酸化特性を
得ることができるという知見がえられた。
【0044】以上のように各成分をバランスさせた本発
明のフェライト系ステンレス鋼は、優れた耐高温酸化特
性とスケール密着性を同時に有し、併せて低温靱性、加
工性に優れ、高温強度並びに高温疲労特性も良好であ
る。しかも18Cr系ステンレス鋼よりも低コストに製造
できる。一般に排ガス管路部材は溶接部を有するが、本
発明鋼は溶接部の熱疲労特性も良好である。
【0045】このような良好な諸特性を同時に具備する
本発明鋼は、自動車エンジンに直結して高温となるエキ
ゾーストマニホールド用途に好適な材料である。エキゾ
ーストマニホールドは、プレスした板、或いは予め高周
波溶接によって造管したパイプを、必要な形状寸法に加
工および溶接して製造され、使用にあたっては振動およ
び高温の排ガスに曝され、しかも加熱冷却の繰り返しを
受ける。本発明鋼は、後記の実施例にも示すように、こ
のような用途において従来材よりも十分な耐用性を示し
且つ安価である。
【0046】エキゾーストマニホールドに限らず、本発
明の低コストフェライト系ステンレス鋼は700℃〜950℃
の高温で使用され且つ耐高温酸化性およびスケール剥離
量が重要視される部材、例えば自動車エンジンの排ガス
管路におけるメタリックコンバーターの外筒や火力発電
システムの排ガス管路用部材等にも好適に使用できる。
【0047】以下に本発明の実施例を挙げて本発明の効
果を具体的に示す。
【0048】
【実施例】表1〜3に供試材の鋼中の化学成分値(質量
%)を示した。これら表中のF01からF10まで、E01か
らE08まで、G01からG07まで、およびA1からA7の
ものは本発明鋼である。F11からF17まで、E09とE1
0、およびG08は本発明で規定する範囲を外れた鋼 (比
較鋼) である。いずれの鋼も真空溶解炉にて溶製し、鍛
造、熱延により厚さ4.5mmの熱延鋼帯とした。これを105
0℃で焼鈍したうえ厚さ2.0mmの冷延鋼帯とし、さらに10
50℃で焼鈍した。各冷延焼鈍材から各種の試験片に加工
後、試験に供した。なお、高周波造管パイプを用いた熱
疲労特性の把握にはF01とF14を用いた。
【0049】表1〜3の本発明鋼および比較鋼の900℃
および1000℃の100時間連続酸化試験結果を表4〜5に
示した。耐高温酸化性は酸化増量およびスケール剥離量
で評価した。すなわち長さ35mm,幅25mm,板厚2.0mmの
試験片を用い、各温度で100時間連続酸化試験を行った
後の単位面積あたりの酸化増量およびスケール剥離量を
測定して評価した。なお、スケール剥離量の測定は酸化
試験後の冷却中に試片表面から自然に剥離した酸化スケ
ールを収集してその重量を計測することによって行い、
単位面積当たりの剥離量を求めた。また表2中の×印で
示す異常酸化を起こしたものは、こぶ状の酸化物が試験
片を覆い、スケール剥離量で耐酸化性を評価するのは妥
当ではないと判断されたものである。
【0050】表6に、本発明鋼および比較鋼の代表的な
ものについて低温靱性および加工性の試験結果、並びに
高温引張と高温疲労試験結果を示した。これらの試験条
件は次のとおりである。
【0051】低温靭性は破面遷移温度で評価した。すな
わち「JIS Z 2202」に準拠した板厚2.0mmのVノッチ試
験片を作製し「JIS Z 2241」に規定する金属材料衝撃試
験方法(シャルピー衝撃試験)を、−75℃から50℃の温
度範囲で行い、脆性破面率が50%となる温度を破面遷移
温度とした。
【0052】加工性は引張試験と曲げ試験で評価した。
すなわち「JIS Z 2201の13B号」に準拠した引張試験片
と「JIS Z 2204の1号」に準拠した金属材料曲げ試験片
を作製し「JIS Z 2241」に規定する引張試験における伸
び(全伸および均一伸び)と「JIS Z 2248」に規定する
曲げ試験の押曲げ法による曲げ角度を測定した。
【0053】高温引張特性は「JIS G 0567」に準拠した
高温引張試験により700℃と900℃における0.2%耐力に
よって評価した。高温疲労特性は「JIS Z 2275」に準拠
した平面曲げ疲労試験を、600℃で最大応力180N/mm2
平均応力0N/mm2,繰り返し速度40Hzの条件と、900℃で
最大応力30N/mm2,平均応力0N/mm2,繰り返し速度60Hz
の条件で行い、破損繰り返し数が107以上のものを良と
判定した。
【0054】表7には、発明鋼および比較鋼のパイプを
用いた熱疲労試験結果を示した。熱疲労試験はφ42.7mm
の高周波造管パイプに対して、応力下で、下限温度200
℃と上限温度900℃の加熱冷却サイクルを繰り返し付与
した。加熱および冷却速度は3℃/minとし、上限および
下限温度での保持時間は0.5minとした。応力付与は拘束
率(材料の自由熱膨張量に対する付加ひずみの比)が50
%とした。試験結果は、破損繰り返し数(試験中の最大
引張応力が初期の応力の75%にまで低下したときの繰り
返し数)および目視による表面のスケール密着状態で評
価した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】表4〜5の結果にみられるように、本発明
鋼は、900℃の連続酸化試験で酸化増量が0.02kg/m2
下、1000℃の連続酸化試験で酸化増量が0.4kg/m2以下と
非常に良好な耐高温酸化性を示す。同時に、耐スケール
剥離性にも優れ、900℃の試験では全くスケール剥離せ
ず、1000℃の試験でもスケール剥離量は0.02kg/m2以下
と極微量である。これらの特性は、前述したように酸化
増量の抑制に対してはSiの添加が、またスケール剥離
の抑制に対してはMnの添加が有効に作用し、これら両
方の特性はMn/Si比によって支配される。
【0063】さらに表4〜5の結果を見ると、Cr,M
n,Siの総量が14.7以上である鋼は、930℃で200時間の
連続加熱を行っても酸化増量は0.2kg/m2以下であり、異
常酸化は生じていない。Cr,Mn,Siの総量が15.5以
上である鋼は、950℃で200時間の連続加熱でも酸化増量
が0.2kg/m2以下であり、異常酸化は生じていない。そし
てこれら異常酸化を生じない鋼のスケール密着性はいず
れも良好である。
【0064】これに対し、比較鋼G08に見られるよう
に、Si量とMn量が通常のフェライト系ステンレス鋼と
同程度のものでは、たとえMn/Si比が本発明で規定す
る範囲であっても、両元素の量が本発明で規定する下限
値より低いので、900℃においてすでに異常酸化を起こ
してしまい、スケール剥離量も著しい。比較鋼F12はS
i量が本発明で規定する下限未満であるため、他の成分
は本発明で規定する範囲であっても1000℃の酸化試験に
おいて異常酸化を起こしている。比較鋼F14はSi量を
本発明で規定する範囲で含むものの、スケール剥離を抑
制するMn量が本発明で規定する下限値未満であるため
に、酸化物の殆んど全部が剥離してしまう。
【0065】このような傾向は、MnとSiの相関を見る
とより顕著になる。例えば、F11のようにSiが本発明
規定の上限より多い鋼、F14のようにMn量が本発明で
規定するよりも低い鋼およびF16のようにMn/Si比が
本発明で規定する比より小さい鋼は、いずれもSi量に
対するMnの相対量が適正範囲よりも少ないのでスケー
ル剥離量が多く、また1000℃では異常酸化を招くことが
ある。
【0066】他方、F13のようにMn量が本発明で規定
するより多い鋼およびF15のようにMn/Si比が本発明
で規定する比よりも高い鋼は、Siの添加に対してMn添
加量が多いので、900℃でのスケール剥離量は抑制され
るものの、酸化増量が多く、1000℃では異常酸化を起こ
す。
【0067】さらに、前記の(3)式の要件(表1〜3に
おいて(3)式の値をGで示す)を満たさないF17は900℃
〜1000℃の温度域でオーステナイト相(室温観察時には
マルテンサイト相))が生成し、オーステナイト相を起
点として異常酸化が起こる。このため酸化増量およびス
ケール剥離量とも多く、高温酸化特性が本質的に劣って
いる。
【0068】他方、表6の低温靱性および加工性試験結
果から、本発明鋼E01〜E08並びにA1〜A7は、いず
れも破面遷移温度が−40℃以下と非常に低く、低温靱性
に優れることがわかる。これに対し、比較鋼E09,E10
の破面遷移温度は−20℃,0℃と高い温度となり、本発
明鋼に比べて低温靱性に劣っている。
【0069】また、加工性についても、本発明鋼E01〜
E08並びにA1〜A7はすべて35%以上の全伸びを示し
且つ均一伸びも25%以上であり、非常に良好な結果が得
られている。これに対し、比較鋼E09は良好であるもの
の、比較鋼E10では全伸びが30%、均一伸びが20%であ
り、本発明鋼のものより劣っている。なお、曲げ加工性
については、いずれの鋼も密着まで曲げ加工が可能であ
るという結果が得られた。
【0070】さらに表6の高温特性試験の結果から、本
発明鋼はいずれも0.2%耐力が700℃で100N/mm2以上、90
0℃で13N/mm2以上を示し、また破損繰り返し数は600℃
(180N/mm2),900℃(30N/mm2)のいずれの場合も107
サイクル以上の値を示しており、高温強度と高温疲労特
性に優れることがわかる。
【0071】表7の結果は、本発明鋼は、加熱・冷却の
繰り返しおよび引張・圧縮の繰り返し応力を受けても、
母材および溶接部ともスケールの剥離が見られないこと
を示している。本発明鋼の熱疲労特性はCr量の高いSUS
430J1Lと同程度を示す。ただしSUS430J1Lは試験中にス
ケール剥離が生じた。同様に、比較鋼F14も熱疲労特性
は本発明鋼に比べると若干劣る程度であるが、Mnの添
加量が本発明範囲から外れるためにこのような厳しい試
験条件下ではスケール剥離を生じる。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
Cr量が比較的低いフェライト系ステンレス鋼にあっ
て、700℃〜950℃の高温で使用されかつ高温酸化特性お
よびスケール剥離量が重要視される排ガス管路部材とし
て十分に耐用できる安価な材料が提供され、特に自動車
エンジンのエキゾーストマニホールドを構成する材料或
いは火力発電システムの高温排ガス管路部材を構成する
材料として経済的にも特性的にも従来材に比べると優位
な材料が提供され、この分野の技術の進展に貢献するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1000℃の耐高温酸化性およびスケール密着性に
及ぼす鋼中のSi/Mn比の関係を示す図である。
【図2】破面遷移温度に及ぼす鋼中のCu量の影響を示
す図である。
【図3】引張試験における全伸びおよび均一伸びに及ぼ
す鋼中のCu量の影響を示す図である。
【図4】大気雰囲気中で930℃で200時間連続加熱後の酸
化増量に及ぼす鋼中の(Cr+Mn+Si)の総量の影響
を示す図である。
【図5】大気雰囲気中で950℃で200時間連続加熱後の酸
化増量に及ぼす鋼中の(Cr+Mn+Si)の総量の影響
を示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%において、 C:0.03%以下,Si:0.80%〜1.20%,Mn:0.60%〜
    1.50%,Cr:11.0%〜15.5%,Nb:0.20%〜0.80%,
    Ti:0.1%以下(無添加を含む),Cu:0.02%〜0.30
    %未満,N:0.03%以下,Al:0.05%以下(無添加を
    含む),O:0.012%以下,ただし、上記の範囲におい
    て、 0.7≦Mn/Si≦1.5 ・・・(1) 1.4≦Nb+1.2Si≦2.0 ・・・(2) 1221.6(C+N)−55.1Si+65.7Mn−8.7Cr−99.5Ti−40.4Nb+1.1Cu+54 ≦0 ・・・(3) の関係(1),(2)および(3)を同時に満足するようにこれ
    らの元素を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物か
    らなり、大気雰囲気下900℃で100時間連続加熱後の酸化
    増量が0.02kg/m2以下でスケール剥離量が0.01kg/m2
    下、同1000℃で100時間連続加熱後の酸化増量が0.4kg/m
    2以下でスケール剥離量が0.02kg/m2以下である耐高温酸
    化性およびスケール密着性に優れたフェライト系ステン
    レス鋼。
  2. 【請求項2】 質量%において、 C:0.03%以下,Si:0.80%〜1.20%,Mn:0.60%〜
    1.50%,Cr:13.5%を越え〜15.5%,Nb:0.20%〜0.
    80%,Ti:0.1%以下 (無添加を含む),Cu:0.02%〜
    0.30%未満,N:0.03%以下,Al:0.05%以下 (無添
    加を含む),O:0.012%以下,ただし、上記の範囲にお
    いて、 0.7≦Mn/Si≦1.5 ・・・(1) 1.4≦Nb+1.2Si≦2.0 ・・・(2) 1221.6(C+N)−55.1Si+65.7Mn−8.7Cr−99.5Ti−40.4Nb+1.1Cu+54 ≦0 ・・・(3) Cr+Mn+Si≧14.7 ・・・(4) の関係(1),(2),(3)および(4)を同時に満足するように
    これらの元素を含有し、残部がFeおよび不可避的不純
    物からなり、大気雰囲気下930℃で200時間連続加熱後の
    酸化増量が0.2kg/m2以下でスケール剥離量が0.01kg/m2
    以下である耐高温酸化性およびスケール密着性に優れた
    フェライト系ステンレス鋼。
  3. 【請求項3】 質量%において、 C:0.03%以下,Si:0.80%〜1.20%,Mn:0.60%〜
    1.50%,Cr:13.5%を越え〜15.5%,Nb:0.20%〜0.
    80%,Ti:0.1%以下 (無添加を含む),Cu:0.02%〜
    0.30%未満,N:0.03%以下,Al:0.05%以下 (無添
    加を含む),O:0.012%以下,ただし、上記の範囲にお
    いて、 0.7≦Mn/Si≦1.5 ・・・(1) 1.4≦Nb+1.2Si≦2.0 ・・・(2) 1221.6(C+N)−55.1Si+65.7Mn−8.7Cr−99.5Ti−40.4Nb+1.1Cu+54 ≦0 ・・・(3) Cr+Mn+Si≧15.5 ・・・(4)' の関係(1),(2),(3)および(4)'を同時に満足するよう
    にこれらの元素を含有し、残部がFeおよび不可避的不
    純物からなり、大気雰囲気下950℃で200時間連続加熱後
    の酸化増量が0.2kg/m2以下でスケール剥離量が0.01kg/m
    2以下である耐高温酸化性およびスケール密着性に優れ
    たフェライト系ステンレス鋼。
  4. 【請求項4】 鋼は、内燃機関の排ガス管路を構成する
    部材に加工されている請求項1,2または3に記載の耐
    高温酸化性およびスケール密着性に優れたフェライト系
    ステンレス鋼。
  5. 【請求項5】 内燃機関の排ガス管路を構成する部材
    は、自動車エンジンに接続されたエキゾーストマニホー
    ルドである請求項4に記載のフェライト系ステンレス
    鋼。
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KR20030082124A (ko) * 2002-04-16 2003-10-22 현대자동차주식회사 내산화성을 향상시킨 배기 매니폴드용 페라이트계스테인리스 강
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