JPH0987809A - 自動車排気系材料用Cr含有オーステナイト系熱延鋼板 - Google Patents

自動車排気系材料用Cr含有オーステナイト系熱延鋼板

Info

Publication number
JPH0987809A
JPH0987809A JP24906295A JP24906295A JPH0987809A JP H0987809 A JPH0987809 A JP H0987809A JP 24906295 A JP24906295 A JP 24906295A JP 24906295 A JP24906295 A JP 24906295A JP H0987809 A JPH0987809 A JP H0987809A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
hot
exhaust system
automobile exhaust
grain size
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24906295A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Miyazaki
宮崎  淳
Susumu Sato
佐藤  進
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP24906295A priority Critical patent/JPH0987809A/ja
Publication of JPH0987809A publication Critical patent/JPH0987809A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Exhaust Silencers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱延板のままで、自動車排気系材料として利
用できる耐スケール剥離性、加工性、高温強度の高いC
r含有耐熱オーステナイト系熱延鋼板を提供する。 【解決手段】 C:0.15%以下、Si:1〜4%、Cr:6
〜25%、Ni:6〜20%、N:0.001 〜0.05%のオーステ
ナイト系ステンレス鋼において、P,S,Moを低減し、
V,Bを添加した成分系で結晶粒度番号(G.S.No)yと
表面粗さ(Rmax)xを、10≧G.S.No≧4、Rmax ≧2
μm 、G.S.No≧6・Rmax /7−74/7を同時に満足す
る領域内となるように調整することにより、振動負荷が
加わる環境下での耐スケール剥離性が向上する。Al,RE
M ,Ca,Cu,Nb,Ti,Ta等を添加するとさらに性能は向
上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐酸化性の優れた
Cr含有オーステナイト系熱延鋼板に関し、とくに高温の
酸化性雰囲気中で繰り返し加熱冷却の熱サイクルを受
け、さらに振動が負荷される環境下で用いられる自動車
排気系材料用Cr含有オーステナイト系熱延鋼板に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車の排気系に用いられる材料は、高
温の燃焼ガス雰囲気にさらされ、繰り返し加熱冷却を受
けるため充分な高温強度を有し、しかも、高温における
耐酸化性、酸化スケールの耐剥離性、耐ガス腐食性など
に優れていることが要求されてきた。従来、たとえば、
エキゾーストマニーホールド、フロントパイプ、コンバ
ータシェル材には、SUH409、SUS430J1L などのフェライ
ト系ステンレス鋼が用いられてきた。これら鋼は、 700
〜800 ℃程度の耐熱性を有し、かつ比較的安価であるた
めである。
【0003】しかしながら最近では、エンジン性能が向
上し、排気ガス温度が上昇する傾向にあり、高温強度を
高くするため、Moが添加されたSUS444のようなフェライ
ト系ステンレス鋼の使用が検討されている。さらに最近
では、排気ガス温度が 900℃以上になる場合が考えられ
ている。しかし、排気ガス温度が 900℃以上に上昇する
と、上記した高温強度を向上したフェライト系ステンレ
ス鋼でも、もはや高温強度不足となる。
【0004】さらに、高温強度を増加させるためには、
高合金元素を添加する必要がある。フェライト系ステン
レス鋼では、これ以上合金元素を添加すると、室温での
加工性が劣化し、部品への加工が困難となる問題があ
り、加工形状、排気ガス温度に制限が加えられている。
エンジン性能を最適に発揮させ、燃費、出力を向上させ
るためには、 900℃以上というより高い排気ガス温度に
耐え得る高耐熱性と室温での加工性のよい材料が要求さ
れている。
【0005】一方、オーステナイト系ステンレス鋼は、
フェライト系ステンレス鋼に比べ、高温強度が著しく高
いことは知られている。しかし、自動車排気系のような
高温、酸化性雰囲気で加熱冷却を繰り返し受ける環境下
では、オーステナイト系ステンレス鋼は、スケールが剥
離しやすいという問題を有しており、しかも高価である
ことから、従来から自動車の排気系材料としては使用さ
れていなかった。
【0006】しかし、特開平3−191039号公報には、高
温塩腐食または溶融塩腐食等の塩を含む腐食が問題とな
る雰囲気で繰り返し加熱冷却を受ける用途に適した耐熱
用オーステナイト系ステンレス鋼が提案されている。こ
の鋼は、SiとMoを限定添加した高Si高Moオーステナイト
系ステンレス鋼であり、冷間圧延して用いるもので、耐
高温塩腐食性を改善し、さらに、B、REM を添加し、熱
間加工性、溶接高温割れ性を改善したものである。しか
しながら、自動車排気系材料として重要な耐スケール剥
離性については何の検討もされていないし、また、冷延
板であるためコストも高い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱延板のま
まで自動車排気系材料として利用できる安価なCr含有オ
ーステナイト系熱延鋼板を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため、まず成分組成の見直しを行った。耐酸
化性を向上した材料には、AISI302Bのような高Si−高Al
添加したものや、REM 、Caが添加された耐熱用オーステ
ナイト系ステンレス鋼が、冷延焼鈍板として一般に使用
されている。そこで本発明者らは、この成分組成の熱延
板について、自動車排気系部材としての適用性をまず検
討した。
【0009】しかし、成分組成のうち、Si、Alを高めた
り、REM 、Caを添加する手段により、単なる加熱冷却の
繰り返しに対しては耐用温度を向上させ得るが、振動と
いう負荷が加わる自動車排気系の環境ではスケール剥離
を抑制することができず、耐久性が不足することが判明
した。そこで本発明者らは、上記課題を解決するため、
熱延板を用い、さらに成分組成についてはもとより、結
晶粒度、鋼板の表面粗度について鋭意検討した。その結
果、 900℃以上の繰り返し加熱冷却に加えて、振動が加
わる環境下においては、振動によるスケール剥離の進行
を抑制するためには、成分組成として、Mo含有量を可
能なかぎり低減すること、微量のVを添加することに
加え、熱延板の表面粗度と結晶粒度を関連づけて調整
することが重要である、という新規な知見を得た。本発
明は、加工性は高く保持したまま、繰り返し加熱冷却の
みならず、振動環境下での優れた耐スケール剥離性を有
するための成分系と表面性状、結晶粒度番号の関係とい
った新規な知見をもとに構成したものである。
【0010】すなわち本発明は、重量%で、C:0.15%
以下、Si:1〜4%、Mn:2%以下、P:0.04%以下、
S:0.005 %以下、Cr:6〜25%、Ni:6〜20%、Mo:
0.1%以下、V:0.05〜1%、B:0.0001〜0.01%、
N:0.001 〜0.05%を含有し、残部Feおよび不可避的不
純物からなり、かつ結晶粒度番号(y)とRmax (μ
m)で定義する表面粗さ(x)の関係が、下記(1) 〜(3)
式を同時に満足する結晶粒および表面粗さを有するこ
とを特徴とする自動車排気系材料用Cr含有オーステナイ
ト系熱延鋼板である。ここに、下記式とは、 10≧y≧4 ……………(1) y≧6・x/7−74/7 ……………(2) x≧2 ……………(3) である。
【0011】さらに、上記組成に加えて、重量%で、A
l:0.1 〜2%を、REM ,Caのうち1種又は2種を合計
で0.005 〜0.1 %を、Ta:0.005 〜1.0 %を、Cu:0.05
〜2%を、Ti,Nbのうち1種又は2種を合計で0.01〜1
%を、それぞれ単独あるいは複合して含有することが好
適である自動車排気系材料用Cr含有オーステナイト系熱
延鋼板である。
【0012】
【発明の実施の形態】まず、本発明者らが行った本発明
の基礎をなす実験結果について説明する。0.03%C−15
%Cr−15%Ni−0.02%P−0.001 〜0.003 %S−0.13%
V−0.01%Nを基本組成とし、Mo含有量を0.35%以下の
各レベルに変化したCr含有オーステナイト系熱延鋼板
(板厚2mm)から、2mmt×20mmw×30mmLの試片を採
取し、熱サイクルと振動の複合環境下でスケールの剥離
性を調査した。試験条件を表1に、試験結果を表2に示
す。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】表2に示す結果から、熱サイクルと振動の
複合環境下における、Cr含有オーステナイト系熱延鋼板
では、Mo含有量が多くなるとスケールの剥離が著しく進
行することがわかる。このことから、熱サイクルの上限
温度 900℃の場合には、スケール剥離を抑制するため
に、Moは 0.1%以下、望ましくは0.05%以下に制限する
ことが肝要となる。熱サイクルの上限温度が高くなれ
ば、Mo含有量はさらに低く、望ましくは0.01%以下に制
限する必要がある。
【0016】本発明者らは、振動下の耐スケール剥離性
の向上のためには、さらに結晶粒度と表面粗さが重要で
あることを見い出した。板厚2mmの 0.003%C− 2.8%
Si−15%Cr−15%Ni−0.07%V− 0.005%P−0.0003%
S−0.0005%B−0.07%Mo−0.033%Nの熱延鋼板を用
い、熱延板焼鈍条件( 900〜1250℃)を変化し、結晶粒
度(G.S.No)を3〜9.5 、また圧延ロールを変化させ表
面粗さをRmax で2〜25μm に変化させた。
【0017】表1に示す条件のうち、I−A(上限温度
900℃)の条件で耐スケール剥離性を調べ、図1に表面
粗さと結晶粒度番号の関係で図示した。図中、Aはスケ
ールが密着したまま、Bはややスケールが剥離、Cは著
しくスケールが剥離したことを示す実験点である。斜線
部内では、上限 900℃という高い温度でもスケールの剥
離が若干生じる程度であるが、この範囲をはずれると、
著しい剥離が生じている。この範囲は、x=2、y=
4、y=6・x/7−74/7、y=10の4つの直線で囲
まれる範囲内、すなわち、10≧y≧4……(1) 、y≧6
・x/7−74/7……(2) 、x≧2……(3) の条件を同
時に満足するx,y、すなわち表面粗さ(Rmax )、結
晶粒度番号(G.S.No)の範囲内である。
【0018】V、Bを含有しない鋼(0.005 %C−2.71
%Si− 0.006%P− 0.001%S−15.5%Cr−15.7%Ni−
0.041 %N−0.13%Mo− 0.005%REM )を用いて同様な
実験を行ったが、図2に示すように、V、Bを含有しな
い鋼では、表面粗さ、結晶粒度を変化しても、耐スケー
ル剥離性が向上することはない。すなわち、V、Bの添
加も本発明の一つの必須要件である。
【0019】以下に本発明の限定理由を説明する。 C:0.15%以下 Cはオーステナイト生成元素であり、オーステナイト組
織の安定化の働きを有すると同時に高温強度を向上させ
るが、他方、含有量の増加は固溶強化による強度上昇を
来し、そのため0.15%を超えると加工性を劣化させる。
したがって、Cの上限を0.15%とする。
【0020】Si:1〜4% Siは溶製時の脱酸剤の役割をすると同時に耐酸化性を改
善する重要な元素の1つであり、このためには1%以
上、好ましくは2%以上必要とする。しかし、4%を超
える添加は加工性を低下させるため上限を4%とした。
さらに加工性を保ち、耐酸化性を十分高くするためには
3%以上4%以下が好ましい。
【0021】Mn:2%以下 Mnはオーステナイト生成元素であり、オーステナイト組
織安定化には有効であるが、耐酸化性を劣化させる元素
の1つであり、本発明ではできるだけ低減し、2%以
下、好ましくは1%以下とする。 P:0.04%以下 Pは不純物元素の1つであり、耐酸化性に悪影響を及ぼ
す元素であるため低減する必要があるが、特に振動下で
のスケール剥離性防止のために、含有量は0.04%以下、
望ましくは0.02%以下、さらに望ましくは0.01%以下と
する必要がある。
【0022】S:0.005 %以下 Sは不純物元素の1つであり、介在物を形成し耐食性、
耐酸化性に悪影響を及ぼす元素であり、可能なかぎり低
減する。特に振動下でのスケール剥離性防止のために、
含有量は 0.005%以下、望ましくは 0.001%以下、さら
に望ましくは0.0005%以下にする。
【0023】Cr:6〜25% Crは、耐酸化性を高めるのに最も有効な元素の1つであ
るが、そのためには少なくとも6%以上の添加が必要で
あり、一方、25%を超えると、フェライトが生成しやす
く、また熱間加工性の低下をもたらし、さらに、オース
テナイト相の安定性のために多量のNiが必要となりコス
ト高になるため好ましくない。したがってCrは6〜25%
の範囲とした。好ましくは15%以上20%以下である。
【0024】Ni:6〜20% Niはオーステナイト生成元素であり、安定なオーステナ
イト組織を得るために重要な元素で、そのためには6%
以上の添加が必要である。一方、過剰に添加すると製品
コストが上昇するため、20%を上限とする。望ましくは
8%以上12%以下、さらに望ましくは8%以上10%以下
がよい。
【0025】Mo: 0.1%以下 Moは上述したように、振動環境下におけるスケール剥離
性に悪影響を及ぼす元素であり、本発明では不純物元素
としてできるだけ低減すべき元素の1つである。上限温
度が 900℃での熱サイクルおよび振動負荷の環境下にお
いては、良好な耐スケール剥離性を得るためには、Moは
0.1%以下とする。さらに高い耐スケール剥離性を要求
する場合には0.05%以下、さらに望ましくは0.01%以下
が好ましい。
【0026】V:0.05〜1% Vは、本発明において特に重要な元素の1つである。V
は振動環境下の耐スケール剥離性を著しく向上させる。
この効果は0.05%以上で認められる。しかし1%を超え
て添加すると、VNの析出が著しくなり、析出物が粗大
化し、清浄度を劣化させ、特に粗大なVNが表面傷の原
因となるため、Vは0.05〜1%の範囲とした。耐スケー
ル剥離性と清浄度のかね合いからVの添加は、好ましく
は0.05%以上 0.5%以下であり、さらに好ましくは 0.1
%以上 0.3%以下である。
【0027】B:0.0001〜0.01% Bは、耐スケール剥離性、熱間加工性を改善する元素で
ある。その効果は、0.0001%未満では認められず、しか
し0.01%を超えて添加すると、材料が脆化するため、B
は0.0001〜0.01%の範囲とする。好ましくは0.0005%〜
0.005 %の範囲である。
【0028】N:0.001 〜0.05% Nはオーステナイト生成元素で、オーステナイト相の安
定には重要な元素で、0.001 %以上必要とする。しか
し、振動環境下での耐スケール剥離性には害を及ぼす元
素であり、0.05%を超えるとスケール剥離が著しくなる
ため、Nは0.05%を上限とした。さらに、耐スケール剥
離性の面からはNは0.005 〜0.04%が、さらに好ましく
は0.005 〜0.03%が好適である。
【0029】Al:0.1 〜2% Alは、耐スケール剥離性をさらに改善する重要な元素の
1つであり、充分な効果を得るには 0.1%以上、好まし
くは 0.5%以上を必要とする。一方、2%を超える添加
は、加工性を低下させるため、上限を2%とした。 Ta:0.005 〜1.0 % Taは振動下のスケール剥離性改善に有効な元素であり、
その効果を得るには0.005 %以上必要である。しかし、
1.0%を超えると加工性を劣化させるため、Taは0.005
%〜 1.0%の範囲に限定する。好ましくは0.02%以上
0.1%以下である。
【0030】REM ,Ca:1種又は2種合計で0.005 〜0.
1 % REM ,Caとも耐スケール剥離性をさらに改善する効果を
有する重要な元素の1つであり、その充分な効果を得る
には1種または2種合計で 0.005%以上、好ましくは0.
01%以上必要とする。一方、 0.1%を超える添加は加工
性を低下させるため、REM ,Caの1種又は2種合計で0.
005 〜0.1 %の範囲とした。
【0031】Cu:0.05〜2% Cuは加工性向上に寄与する元素である。0.05%以上、好
ましくは 0.6%以上の添加でその効果が認められるが、
2%を超えると靱性を劣化させる。そのため、Cuは0.05
〜2%の範囲に限定した。 Ti,Nb:1種又は2種合計で0.01〜1% Ti,Nbは、いずれもC、Nと結合して炭窒化物を作り、
加工性向上に寄与する。Ti,Nbの1種又は2種の添加量
の合計が0.01%以上で加工性が向上し、1%を超えると
析出物が粗大化し、靱性を劣化させる。そのため、Ti,
Nbは1種又は2種合計で0.01%以上1%以下に限定す
る。
【0032】鋼板の結晶粒度番号(y)と、Rmax (μ
m )で定義される表面粗さ(x)は、下記(1) 〜(3) 式
を同時に満足する。 10≧y≧4 ……………(1) y≧6・x/7−74/7 ……………(2) x≧2 ……………(3) 結晶粒度、粒度番号はJIS G0511 に準じて測定した値を
用いる。粒度番号が10を超えると素材料の硬化が著しく
加工性が劣化するため、結晶粒度番号の上限を10とし
た。粒度番号が4未満ではスケール剥離が著しいため、
結晶粒度番号の下限は4とした。
【0033】表面粗さの測定は、測定長さを20mmとして
三次元又は二次元表面粗さ計で測定する。表面粗さとし
て粗さ曲線から、本発明では最大高さと呼ばれるRmax
をとる。Rmax を2未満とするためには、ロール研削調
整に多くの工程を必要とし、又、ロール研削の頻度は高
くなり、ロール原単位が高くなるため下限とした。鋼板
の結晶粒度と表面粗さRmax の関係が上記(1) 〜(3) 式
を同時に満足するとき、すなわち図1の直線で囲まれる
範囲内とすることにより、耐スケール剥離性が向上す
る。この範囲外ではとくに振動負荷の環境下ではスケー
ルの剥離が著しくなる。
【0034】本発明鋼は下記に例示する方法により製造
できるが、それに限定されるものではない。製鋼法とし
ては転炉、電気炉で溶製し、RH脱ガス法、VOD法な
どが好適である。鋳造法は、生産性、品質上から連続鋳
造法が好ましい。また、所定の板厚の製品とするため、
熱間圧延を実施する。熱間圧延のための加熱温度は、結
晶粒を粗大化させないため、1150〜1270℃が好ましい。
【0035】結晶粒度を本発明範囲にするため圧延条件
を調整してもよく、また、熱延板焼鈍条件を調整しても
よい。圧延により結晶粒を本発明範囲とするには、仕上
げ圧延開始温度は 950〜1100℃で、仕上げ圧下率は80〜
95%が好ましい。熱延板焼鈍で本発明範囲の結晶粒にす
るためには 900〜1300℃で焼鈍するのが好ましい。ま
た、圧延条件と焼鈍条件の組合せでもよい。
【0036】熱延板の表面粗度は本発明範囲とするため
に、圧延に使用する圧延ロールの粗度の調整、潤滑条件
の調整、あるいは熱延後の酸洗条件を調整して行う。
【0037】
【実施例】表3、表4に示す化学組成を有する鋼を真空
溶解炉にて溶製し、鍛造、熱延により2mm厚の熱延板と
した。これら熱延板に熱延板焼鈍および酸洗を施した。
熱延板は、熱延ロールの表面粗さの調整およびその後ス
キンパスロールによって熱延板の表面粗さを変化させ
た。また熱延板焼鈍は 900〜1250℃で実施し、結晶粒を
変化させた。酸洗は公知の条件とした。
【0038】このようにして得た熱延焼鈍・酸洗済みの
鋼板を用い、大気中で耐酸化性、加工性、高温強さを調
査した。用いた試験条件および評価方法つぎのとおりで
ある。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】(1) 耐酸化性 (i) 熱サイクルによるスケール剥離性の調査 2mmt×20mmw×30mmLの試片を用い、表5に示す条
件、室温から上限温度 900℃まで加熱し30min 間保持
後、室温まで冷却するサイクルを 300回繰り返したの
ち、試片の重量変化を測定し、スケール剥離性を評価し
た。
【0042】
【表5】
【0043】(ii)熱サイクルと繰り返しによる振動のス
ケール剥離性の調査 2mmt×20mmw×30mmLの試片を用い、表1に示す条
件、すなわち室温から上限温度 900℃又は 950℃まで加
熱し30min 間保持後、室温まで冷却するサイクルを 100
回繰り返したのち、各上限温度で両振り繰り返し応力20
MPa 、繰り返し速度1700回/min を 10000回負荷した。
この振動負荷後の表面を観察し、スケールの剥離状態を
評価した。
【0044】(2) 加工性 JIS Z 2241に準じて2mmtの試片で室温で引張試験を行
い、破断伸びを測定し、加工性を評価した。 (3) 高温強度 JIS G 0567に準じ、高温引張試験を行い、2mmt試片の
900℃における 0.2%耐力を測定し、高温強度を評価し
た。50MPa 以上をA、40MPa 以上50MPa 未満をB、20MP
a 以上40MPa 未満をC、10MPa 以上20MPa 未満をD、10
MPa 未満をEとして評価した。
【0045】(4) 結晶粒度 JIS G 0551に準じて、各試片の結晶粒度番号を測定し
た。 (5) 表面粗さ JIS B 0601に準じて表面粗さ曲線を求め、各鋼板の最大
高さRmax を求めた。測定長さは20mmとした。
【0046】各鋼板の特性を調べ、結果を表6、表7に
示す。
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】本発明範囲の基本成分である鋼板1、5、
11は、いずれも振動負荷環境下(I−A、I−B試験条
件)における耐スケール剥離性は良好で、しかも加工
性、高温強度いずれも良好である。Vも添加量に応じて
鋼13、14、15にみられるように、耐スケール剥離性が向
上している。Siも添加量に応じ鋼13、1、5にみられる
ように、熱サイクルと振動が負荷される環境においての
耐スケール剥離性が良くなっている。
【0050】V,Mo,Bが本発明範囲外である鋼A、Mo
およびSiが範囲外である鋼B、Sが範囲外である鋼Cは
振動環境下(I−A、I−B試験条件)での耐スケール
剥離性が劣っている。また、鋼A、B、Cでは、単なる
繰り返し加熱環境(I−i試験条件)では、優れた耐ス
ケール剥離性を示すが、鋼AではV,Mo,Bが本発明範
囲外であり、また、鋼CではSが本発明範囲外であるた
め、たとえ結晶粒度No、表面粗度を本発明範囲内にして
も振動環境下の耐スケール剥離性は劣る。また、鋼Bの
ようにさらに高Si化しても振動環境下の耐スケール剥離
性は向上しない。しかも高Si化のために、伸びが小さ
く、加工性に劣る。
【0051】基本成分にAl添加(鋼2)、Mo低減(鋼
5)、REM 添加(鋼7、9)、Ca添加(鋼8)、Ta添加
(鋼12)した成分系は、いずれも鋼1よりも優れた耐ス
ケール剥離性を有することがわかる。また、鋼3、4、
6のように、Nb、Ti、Cu添加は、耐スケール剥離性を低
下させずに、加工性の向上に効果的であることがわか
る。また、鋼10、16、17のように、それぞれ複合添加で
も効果があることが確認できた。
【0052】従来鋼であるAISI302B(鋼E)、SUS304
(鋼F)、SUS430J1L (鋼G)、SUS444(鋼H)、SUH4
09(鋼I)の特性も示した。本発明例は、AISI302B、SU
S304よりも振動環境下での耐スケール剥離性に著しく優
れていることがわかる。また、SUS430J1L 、SUS444、SU
H409に比較して、高温強度、加工性のいずれも本発明例
の方が著しく優れていることがわかる。
【0053】
【発明の効果】本発明により、鋼組成、結晶粒度No、表
面粗度を適正化することによって、加工性、高温強度が
従来鋼よりも著しく優れ、かつ、従来の耐熱オーステナ
イト系ステンレス鋼の欠点であった、振動環境下での耐
スケール剥離性を改善したCr含有オーステナイト鋼板が
熱延板で提供でき、経済的効果は大と言わざるを得な
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】V,Bを含有する鋼の耐スケール剥離性に及ぼ
す表面粗さ(Rmax )と結晶粒度番号(G.S.No )の関係
を示す図である。
【図2】V,Bを含有しないオーステナイト系ステンレ
ス鋼の耐スケール剥離性に及ぼす表面粗さと結晶粒度番
号の関係を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.15%以下、Si:1〜4
    %、Mn:2%以下、P:0.04%以下、S:0.005 %以
    下、Cr:6〜25%、Ni:6〜20%、Mo:0.1 %以下、
    V:0.05〜1%、B:0.0001〜0.01%、N:0.001 〜0.
    05%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
    かつ結晶粒度番号(y)とRmax (μm )で定義する表
    面粗さ(x)の関係が、下記(1) 〜(3) 式を同時に満足
    する結晶粒および表面粗さを有することを特徴とする自
    動車排気系材料用Cr含有オーステナイト系熱延鋼板。 記 10≧y≧4 ……………(1) y≧6・x/7−74/7 ……………(2) x≧2 ……………(3)
  2. 【請求項2】 重量%で、Al:0.1 〜2%を含有するこ
    とを特徴とする請求項1記載の自動車排気系材料用Cr含
    有オーステナイト系熱延鋼板。
  3. 【請求項3】 重量%で、REM ,Caのうち1種又は2種
    を合計で0.005 〜0.1 %含有することを特徴とする請求
    項1又は2記載の自動車排気系材料用Cr含有オーステナ
    イト系熱延鋼板。
  4. 【請求項4】 重量%で、Ta:0.005 〜1.0 %を含有す
    ることを特徴とする請求項1、2又は3記載の自動車排
    気系材料用Cr含有オーステナイト系熱延鋼板。
  5. 【請求項5】 重量%で、Cu:0.05〜2%を含有するこ
    とを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の自動車排
    気系材料用Cr含有オーステナイト系熱延鋼板。
  6. 【請求項6】 重量%で、Ti,Nbのうち1種又は2種を
    合計で0.01〜1%含有することを特徴とする請求項1、
    2、3、4又は5記載の自動車排気系材料用Cr含有オー
    ステナイト系熱延鋼板。
JP24906295A 1995-09-27 1995-09-27 自動車排気系材料用Cr含有オーステナイト系熱延鋼板 Pending JPH0987809A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24906295A JPH0987809A (ja) 1995-09-27 1995-09-27 自動車排気系材料用Cr含有オーステナイト系熱延鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24906295A JPH0987809A (ja) 1995-09-27 1995-09-27 自動車排気系材料用Cr含有オーステナイト系熱延鋼板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0987809A true JPH0987809A (ja) 1997-03-31

Family

ID=17187450

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24906295A Pending JPH0987809A (ja) 1995-09-27 1995-09-27 自動車排気系材料用Cr含有オーステナイト系熱延鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0987809A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11211046A (ja) * 1998-01-26 1999-08-06 Nisshin Steel Co Ltd 廃棄物焼却炉
JP2006307313A (ja) * 2004-09-15 2006-11-09 Sumitomo Metal Ind Ltd 管内表面のスケールの耐剥離性に優れた鋼管
JP2008525630A (ja) * 2004-12-24 2008-07-17 マーレ ヴェンティルトリープ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 自動車内燃機関のターボチャージャのベーン支承リング
JP2010280989A (ja) * 2004-03-18 2010-12-16 Jfe Steel Corp 通電部材用ステンレス鋼の表面粗さ調整処理方法
JP2011528751A (ja) * 2008-03-21 2011-11-24 アルセロールミタル−ステンレス・フランス 高い機械的特性を有するオーステナイト系ステンレス鋼板を製造する方法およびこのようにして得られた鋼板
JP2011252208A (ja) * 2010-06-03 2011-12-15 Nisshin Steel Co Ltd メタルガスケット用耐熱オーステナイト系ステンレス鋼
KR20170123647A (ko) 2015-03-31 2017-11-08 닛폰 스틸 앤드 스미킨 스테인레스 스틸 코포레이션 단속 산화 특성이 우수한 배기계 부품용 스테인리스 강판 및 배기계 부품

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11211046A (ja) * 1998-01-26 1999-08-06 Nisshin Steel Co Ltd 廃棄物焼却炉
JP2010280989A (ja) * 2004-03-18 2010-12-16 Jfe Steel Corp 通電部材用ステンレス鋼の表面粗さ調整処理方法
JP2006307313A (ja) * 2004-09-15 2006-11-09 Sumitomo Metal Ind Ltd 管内表面のスケールの耐剥離性に優れた鋼管
JP2008525630A (ja) * 2004-12-24 2008-07-17 マーレ ヴェンティルトリープ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 自動車内燃機関のターボチャージャのベーン支承リング
JP2011528751A (ja) * 2008-03-21 2011-11-24 アルセロールミタル−ステンレス・フランス 高い機械的特性を有するオーステナイト系ステンレス鋼板を製造する方法およびこのようにして得られた鋼板
JP2011252208A (ja) * 2010-06-03 2011-12-15 Nisshin Steel Co Ltd メタルガスケット用耐熱オーステナイト系ステンレス鋼
KR20170123647A (ko) 2015-03-31 2017-11-08 닛폰 스틸 앤드 스미킨 스테인레스 스틸 코포레이션 단속 산화 특성이 우수한 배기계 부품용 스테인리스 강판 및 배기계 부품
EP3279359A4 (en) * 2015-03-31 2018-08-22 Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corporation Stainless steel sheet for exhaust system component having excellent intermittent oxidation characteristics, and exhaust system component

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI377257B (en) Excellent heat-resistance ferrite stainless steel
US9279172B2 (en) Heat-resistance ferritic stainless steel
TWI531665B (zh) 耐氧化性優異之肥粒鐵系不鏽鋼
CN100370048C (zh) 耐热性铁素体系不锈钢及其制造方法
US11365467B2 (en) Ferritic stainless steel
TW200946694A (en) Ferritic stainless steel with excellent heat resistance and toughness
JPWO2003004714A1 (ja) 排ガス流路部材用フェライト系ステンレス鋼
JP5709875B2 (ja) 耐酸化性に優れた耐熱フェライト系ステンレス鋼板
CN102770568A (zh) 弯曲性优良的超高强度冷轧钢板
JP3903855B2 (ja) 室温で軟質かつ耐高温酸化性に優れたフェライト系ステンレス鋼
JP2011190524A (ja) 耐酸化性、二次加工脆性および溶接部の靭性に優れたフェライト系ステンレス鋼
TW201326423A (zh) 肥粒鐵系不銹鋼
JP4185425B2 (ja) 成形性と高温強度・耐高温酸化性・低温靱性とを同時改善したフェライト系鋼板
KR20220073804A (ko) 페라이트계 스테인리스 강판 및 그 제조 방법 그리고 페라이트계 스테인리스 부재
JP4206836B2 (ja) 耐食性、高温強度および耐高温酸化性に優れたフェライト系ステンレス鋼
KR20080038218A (ko) 열피로 특성이 우수한 Cr 함유 강
JPH0987809A (ja) 自動車排気系材料用Cr含有オーステナイト系熱延鋼板
JP7278079B2 (ja) ステンレス冷延鋼板、ステンレス熱延鋼板及びステンレス熱延鋼板の製造方法
JP2001271148A (ja) 耐高温酸化性に優れた高Al鋼板
JP4154932B2 (ja) 高温強度、耐高温酸化性および耐高温塩害性に優れたフェライト系ステンレス鋼
JP2896077B2 (ja) 耐高温酸化性およびスケール密着性に優れたフエライト系ステンレス鋼
JP2942073B2 (ja) 高温強度に優れたエキゾースト・マニホールド用フェライト系ステンレス鋼
JPH08199237A (ja) 低温靭性に優れたフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法
JP3705391B2 (ja) 熱延板の低温靱性に優れたNb含有フェライト系ステンレス鋼
CN110312812A (zh) 铁素体系不锈钢和汽车排气路径部件用铁素体系不锈钢