JPH11254240A - ワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置及びその方法並びに張力制御回路のフィルタの決定及び調整設定方法 - Google Patents

ワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置及びその方法並びに張力制御回路のフィルタの決定及び調整設定方法

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JPH11254240A
JPH11254240A JP10069478A JP6947898A JPH11254240A JP H11254240 A JPH11254240 A JP H11254240A JP 10069478 A JP10069478 A JP 10069478A JP 6947898 A JP6947898 A JP 6947898A JP H11254240 A JPH11254240 A JP H11254240A
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wire
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    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • B23H7/00Processes or apparatus applicable to both electrical discharge machining and electrochemical machining
    • B23H7/02Wire-cutting
    • B23H7/08Wire electrodes
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワイヤ電極の張力制御は、NCによる張力設
定信号と速度設定信号とから速度指令を生成させ、該速
度指令を、走行ワイヤ電極からの張力検出信号と、張力
設定信号とから生成させた張力補償信号により補償した
速度指令として、引取又はブレーキ装置のサーボドライ
バに供給してサーボモータを制御するとき、前記張力補
償信号をワイヤ電極張架走行系の最大の張力変動共振周
波数を遮断周波数とするノッチフィルタにより信号補償
するようにされるが、前記ノッチフィルタが遮断周波数
の帯域幅が狭いため、張架走行経路長が機械の軸移動に
よって増減変化するものでは、共振周波数が変化し振動
を取り切れなかった。 【解決手段】 張架走行経路長が最大値時と最小値時の
張架走行系の各最大の張力変動共振周波数を夫々遮断周
波数とする2つのノッチフィルタを縦続接続した多段ノ
ッチフィルタとして使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ放電加工装
置のワイヤ電極の引き取り装置とブレーキ制動力付与装
置間のワイヤ電極張架走行系に於ける走行ワイヤ電極の
張力制御装置及びその制御方法、並びに張力制御回路の
フィルタの決定及び調整設定方法に係る。
【0002】
【従来の技術】ワイヤ放電加工は、ワイヤ電極を引き取
り装置とブレーキ制動装置間で、一定速度引き取り又は
一定速度送り出しに対し他方の前記引き取り装置又はブ
レーキ装置を制御することにより前記引き取り装置とブ
レーキ装置間のワイヤ電極に所定の張力を付与させた状
態で一対の位置決めガイド間を走行更新移動させ、該ガ
イド間ワイヤ電極に被加工体を微小間隙を隔てて相対向
せしめ、前記間隙に加工液を介在させた状態で両者間に
休止時間を有する間歇的な電圧パルス等を印加し繰り返
し発生する放電により加工を行なうものであるが、上記
ワイヤ電極に付与される張力の一定維持制御が充分に行
なわれず加工中に変動すると、加工面の筋の発生、加工
寸法・精度の低下、及びワイヤ電極断線の発生等の原因
となり改善が望まれていた。
【0003】上記ワイヤ電極の張力制御の手法及び装置
としては既に種々のものがあるが、本発明者等が先に提
案した 出願日 平成9年3月7日 出願番号 特願平9−070732号 発明の名称 ワイヤ放電加工装置に於けるワイヤ電極の
張力制御方法及びその装置 の手法が有効である。即ち、この張力制御に於いては、
使用ワイヤ電極に対するNC装置からの速度設定信号と
張力設定信号とからワイヤ電極の基準速度指令信号を生
成させ、走行移動ワイヤ電極からの速度検出信号によっ
てフィードバック制御されている前記ブレーキ装置のサ
ーボドライバに、前記基準速度指令信号を速度指令とし
て供給し制御すると共に、前記ブレーキ装置と引き取り
装置間の張架走行系を移動中のワイヤ電極から検出した
張力検出信号と前記張力設定信号とを差動演算して得た
張力補償信号を、前記基準速度指令信号と加算処理した
信号を前記速度指令として前記サーボドライバを制御す
ることによりワイヤ電極の張力を一定に制御するもので
あるが、この場合の張力制御のフィードバック制御系の
制御特性を良好なものとするには、発散しないで利得
(ゲイン)余裕があり、かつ位相遅れが大きくない位相
特性の良好なものとすることが必要であり、このために
は前記張力検出信号からサーボドライバへの速度指令迄
の張力制御回路中に所定の利得特性と位相特性を持った
フィルタを挿設する必要がある。
【0004】そして、このフィルタを決定、設置する手
法の一つとして、上記先願発明は前記使用するワイヤ電
極の種類及び線径の両方又は何れか一方が相違すること
により変化するワイヤ電極の前記張架走行系に於ける前
記張力検出信号から検知可能な張力変動共振周波数を遮
断周波数とするローパスフィルタ又は遮断周波数帯域と
するノッチフィルタ(又はバンドストップフィルタ)を
予め用意しておいたフィルタから選定又は調整設定し、
前記張力補償信号を前記設定又は調整設定したフィルタ
を介して前記基準速度指令信号との加算処理に出力させ
て得た速度指令を前記サーボドライバに供給して張力制
御を行なわせるものであった。
【0005】また、フィルタを決定、設置するもう一つ
の手法として、上記先願発明に於いてはワイヤ放電加工
の加工開始時又はワイヤ電極の交換セット後の加工の開
始に際し、張力制御回路にフィルタを挿入しないでワイ
ヤ電極を走行移動させて張力検出信号を所望回数取り出
して記憶し、該記憶した張力検出信号をフーリエ級数解
析して最も振幅の大きい周波数成分の周波数を算出し、
該算出周波数をワイヤ電極の張架走行系に於ける張力変
動共振周波数として該算出周波数を遮断周波数とするロ
ーパスフィルタ又は遮断周波数帯域とするノッチフィル
タ(又はバンドストップフィルタ)を予め用意しておい
たフィルタから選定又は調整設定し、前記張力補償信号
を前記選定又は調整設定したフィルタを介して前記基準
速度指令信号との加算処理に出力させて得た速度指令を
前記サーボドライバに供給して張力制御を行なうことを
提案した。
【0006】また、上述のフィルタの決定、設置に於い
て、フィルタとしてノッチフィルタを用いると、該ノッ
チフィルタはシステムの周波数応答曲線の中で鋭い落ち
込みを示す帯域除去フィルタと言う利得特性と共に位相
遅れが少ない優れた位相特性を有するところから好まし
いものである。即ち、このノッチフィルタを挿設した張
力制御回路は、利得余裕が大きく、かつ系の安定性も良
いところから、張力変動を効率良く確実に取ることがで
きると言う優れたもので、ワイヤ放電加工機への実施効
果は顕著なものであった。
【0007】しかして、図5は上記のようなワイヤ放電
加工機のワイヤ電極張力制御で使用する周波数領域に於
いてバンドストップ特性を有するノッチフィルタ(又は
バンドストップフィルタ)の1列の振幅特性(5A)と
位相特性(5B)を示すもので、ゲイン(振幅比)特性
の良好な(ゲイン0.2以下)斯種ノッチフィルタは、
遮断周波数の帯域幅が狭いものである。そうすると、前
述張力制御回路中に於ける張力変動共振周波数の信号を
十分に(ゲイン0.2又はそれ以上)低減させるには、
ノッチフィルタの遮断周波数を上記張力変動共振周波数
により正確に合致させておくことが必要なものである。
そしてこの場合ワイヤ電極の張架走行系に於ける張力検
出信号及び該張力検出信号からフーリエ級数解析により
算出される張力変動共振周波数は、より精確を期して検
出及び求めなければならないことは当然である。
【0008】然るに図6に概略構成を示す側面図として
示したワイヤ放電加工機は、最も一般的な構成機構のも
のであるが、一対のガイド間のワイヤ電極を所定角度傾
斜させた所謂テーパ加工と傾斜角度零の加工とではワイ
ヤ電極引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の張
架走行経路長が相違し、前記張力変動共振周波数が互に
相違しており、このことは加工途中でもテーパの傾斜角
度が変化すれば、上記共振周波数が変化して行っている
ことになる。図に於いて、1はワイヤ放電加工機本体の
ベッド、2は該ベッド1上に水平なXY二軸方向に移動
可能に設けた加工テーブルであって、XY二軸平面を形
成する。3,4は該加工テーブル2を移動させるX及び
Y軸駆動サーボモータであり、これ等加工テーブル2及
びモータ3,4によって加工送り装置を構成する。5は
前記ベッド1上に起立して設けたコラム、6,7は該コ
ラム5から前記加工テーブル2上に伸長させて設けた上
下一対の上アームと下アームである。8,9は加工部に
加工液を噴射供給する上下一対のノズル装置であり、被
加工物26と対向する加工部のワイヤ電極10を案内位
置決めするガイド該11,12及び加工用電源27に接
続する給電子28,29が該ノズル装置8,9内に夫々
固定配置されている。上側ノズル装置8は、X軸と平行
なU軸及びY軸と平行なV軸方向に移動可能に基板13
に設けたUVクロステーブル14に固定支持されてお
り、該基板13は上アーム6の先端側に設けたZ軸駆動
機構15の先端に吊持固定支持され、加工テーブル2平
面と直交するZ軸方向にZ軸駆動サーボモータ16によ
って位置決め移動する。下側ノズル装置9は、下アーム
7の先端側に固定支持されている。17,18は、UV
クロステーブル14を駆動するU軸駆動サーボモータ及
びV軸駆動サーボモータであり、これ等UVクロステー
ブル14、Z軸駆動機構15、及び各サーボモータ1
6,17,18によって上ガイド11駆動装置を構成す
る。ワイヤ電極10は貯蔵リール19から繰り出され、
上アーム部プーリ20、上部ガイド11、下部ガイド1
2、下アーム部プーリ21を経て巻取り回収リール22
に至る走行経路に装架され、引っ張り引き取り装置23
とブレーキ装置24間の張架走行経路中を所定の張力と
速度で走行移動する。又25は被加工体26が載置固定
される載物台であり載物面が加工テーブル2平面と平行
になるように加工テーブル2上に固定される。27はワ
イヤ放電加工用の電源で、被加工体26とワイヤ電極1
0への給電子28,29に接続される。30はワイヤ放
電加工用のコンピュータ制御の数値制御装置で、前記加
工用電源27のプログラム等に応ずる設定制御の外、X
Y軸駆動サーボモータ3,4による加工輪郭形状の形成
及びその加工送り制御、UV軸駆動サーボモータ17,
18によるテーパ加工の傾斜角度及びその追従の作動制
御、及びZ軸駆動モータ16による上側ノズル装置8
(上ガイド11)の位置を制御する。なお、31はキー
ボード等の入力装置であり、その他各種外部記憶装置や
その読み込み装置等は省略してある。又、図示の例で
は、加工使用済のワイヤ電極10を回収リール22に巻
取り回収する構成として示しているが、回収の量的問
題、特に巻取操上の多トラブル問題から、ベッド1の側
部や後部に可成り大きなバケット32を配置し、引き取
り装置23から排出されるワイヤ電極10を受けて回収
する構成とするのが普通である。
【0009】図6のワイヤ放電加工機の場合、ワイヤ電
極10の、引き取り装置23とブレーキ装置24間の張
架走行経路長は、UVクロステーブル14がU軸方向の
中心又は中央位置及びV軸方向の中心又は中央位置にあ
ってテーパの傾斜角度零度、即ち、上下プーリ20,2
1間のワイヤ電極10がXYクロステーブルに垂直で
で、Z鉛直軸に平行のとき、上及び下ガイド11,12
によって案内位置決めされる加工部ワイヤ電極10の長
さは最小値で、テーパの傾斜角度が大きくなるにつれ
て、上ガイド11と下ガイド12間のワイヤ電極及び上
ガイド11と上アーム部プーリ20間のワイヤ電極の各
長さは、上ガイド11のUV軸中央位置からの送り変位
により傾斜するから順次大きくなり、UV各軸のストロ
ーク端、即ち、U軸がプラス方向のストローク端でV軸
がプラス及びマイナスストローク端にあるとき、及びU
軸がマイナス方向のストローク端でV軸がプラス及びマ
イナスストローク端にあるとき夫々上記ワイヤ電極の長
さが最大で張架走行経路長が最大値となることが明らか
である。
【0010】
【発明が解決しようする課題】而して上記U及びV軸の
ストロークは、機械の大きさ、各部の寸法等によっても
種々なものがあるが、上述図6に示したようなUVテー
ブルの構成配置のものではその剛性等の問題から、UV
各軸のストロークは約70mm(各軸中央位置からプラ
ス及びマイナス方向に各約35mm)前後程度である
が、機械の大きさや各部の寸法等によっては、ワイヤ電
極の張架走行経路の長さが最大値時と最小値時とで、長
さの差が少なくなく、他方張力制御回路に挿入使用する
ノッチフィルタ(又はバンドストップフィルタ)の遮断
周波数を決めるフィルタ係数を求めるための張力変動共
振周波数(の最大値)は、上記張架走行経路長にリンク
して変化するものである所から、フィルタ係数(遮断周
波数)の決め方によっては、テーパの傾斜角度の設定に
よってはワイヤ電極の張力制御が出来ないとか、又加工
の途中でテーパの傾斜角度が徐々に又は部分的に変化す
るもの等の場合に、加工場所によって張力制御が正確に
行なわれる所とそうでない所があって精密加工が出来な
かったり、ワイヤ電極断線事故が発生するなどの問題が
生じていた。
【0011】これは、例えば、張力制御回路中に挿入す
るノッチフィルタ(又はバンドストップフィルタ)を選
定又はフィルタ係数を調整設定するために、張架走行系
のワイヤ電極から張力(変動)を検出し、該張力検出信
号をフーリエ級数解析して最も振幅の大きい周波数成分
の振動を、ノッチフィルタの遮断周波数として決定する
ための張力変動共振周波数として算定する際、上記ワイ
ヤ電極の張架走行経路長が最小値時のテーパの傾斜角度
が零度の、U及びV軸が何れも軸方向中心又は中央位置
にある状態の設定で、上述のワイヤ電極の張力変動の検
出をし、該張力検出信号から張力変動共振周波数を算定
し、次いで該共振周波数を遮断周波数とするようにフィ
ルタ係数を設定したノッチフィルタ(又はバンドストッ
プフィルタ)を使用して張力制御をした場合と、上記ワ
イヤ電極の張架走行経路長が最大時の、テーパの傾斜角
度が仕様最大時の、U及びV軸が何れも軸端位置にある
状態の設定で、ワイヤ電極の張力変動の検出をし、該張
力検出信号から張力変動共振周波数を算定し、次いで該
共振周波数を遮断周波数とするようにフィルタ係数を設
定したノッチフィルタ(又は、バンドストップフィル
タ)を使用して張力制御をした場合について検討すると
次の通りである。
【0012】前記図6に示したワイヤ放電加工機と同種
の機械に於いて、ワイヤ電極の張架走行経路長(mm)
と張力変動共振周波数(Hz)を測定した所、下記のよ
うな値が得られた。なお、ワイヤ電極は、φ0.2mm
黄銅の場合であり、又下記には張架走行経路長が、最小
値時及び最大値時の場合と、その中間値近くの場合とが
示してある。 張架走行経路長 張力変動共振周波数 (mm) (Hz) 最大 約2600 43.8 約2200 44.8 最小 約1900 48.3
【0013】以上の如き測定結果から、張力制御回路に
挿設するノッチフィルタの遮断周波数を、ワイヤ電極の
張架走行経路長を最小値として測定した張力変動共振周
波数に合致させるようにフィルタ係数を設定してワイヤ
放電加工を実行すると、テーパ加工をしたり、加工中に
テーパ度が変化する何れの加工をするにしてもその時の
ワイヤ電極の張架走行経路長は最小時よりも必ず長くな
る訳で、張力変動共振周波数は低くなる訳であるから、
この低い周波数の振動は挿設ノッチフィルタによって充
分取り切れず、張力制御が充分出来ないと言うことにな
る。又上述とは逆に、張力制御回路中に挿設するノッチ
フィルタの遮断周波数を、ワイヤ電極の張架走行経路長
を最大値として測定した張力変動共振周波数に合致させ
るようにフィルタ係数を設定してワイヤ放電加工を実行
すると、テーパ度が最大時よりも少し小さい位のテーパ
加工では、その条件での張力変動共振周波数の振動を取
り切れ張力制御を良好に行なうことが出来るものの前記
ノッチフィルタの帯域幅が狭い所から、テーパ度が小さ
く変化したり又は小さい設定になると、その条件での周
波数の振動は充分取り切れなくなる可能性が大きくなる
ものである。このため、使用する機械や、該機械を使用
して実行する加工の態様、加工条件、設定等にもよる
が、仮にノッチフィルタの遮断周波数を、ワイヤ電極の
張架走行経路長の最大値と最小値の場合のほぼ中間値の
場合に対応する張力変動共振周波数に合致するように、
フィルタ係数を設定したものを使用しても、帯域幅が狭
い所から、例えば上記最大値時と最小値時の場合の周波
数の振動を充分取り切れなくなる可能性が高いものであ
る。
【0014】近時、ワイヤ放電加工機は、高性能化は勿
論高度の高精度化、及び多様な高機能化が進み、数値制
御プログラム作成の簡易化及びAPT化、加工用電圧パ
ルス電源やその制御等だけでなく、加工機本体の構成型
式等も、高操作性化、高精度大板厚被加工体、及び大テ
ーパ度加工に対応するため、例えば各種の構成の被加工
体の加工液中浸漬加工機や被加工体側固定式加工機等種
々の工夫や変形したものが製作されて来ており、そして
その中には、加工機の移動軸(X,Y,Z,U,又は
V、或はさらにW)を単独又は組合せ移動させたとき
に、ワイヤ電極の前記引き取り装置とブレーキ装置間の
張架走行経路長が、付与テーパ度や加工送りによって増
減変化する構成型式のもの、そしてその増減変化の割合
が小さくない、又大きくなるものがあり、張力制御回路
の改良対応が望まれていた。
【0015】図7のワイヤ放電加工機は、被加工体26
を載物台25を介して固定する加工テーブル2側をベッ
ド1に固定し、加工工具としてのワイヤ電極10側をX
Y二軸に可動で加工送りする構成とすると共に、所謂加
工液中浸漬加工を可能とするための加工槽33が加工テ
ーブル2に取り付けられた加工機の例で、各軸の送りを
説明するための概略側面図のため各部の詳細は省略して
ある。図に於いて34はベッド1上に紙面に直角なX軸
方向移動可能に設けたX軸コラム(X軸移動ユニット)
で、該X軸コラム34上にY軸方向移動可能にY軸ラム
35(Y軸移動ユニット)を設け、該Y軸ラム35の加
工槽33、加工テーブル2側に張り出した先端側の前面
に加工ヘッド36が、Z軸方向(X−Y軸と直交方向)
に移動可能に配置され、該加工ヘッド36の下端にテー
パ加工用のU軸スライダ14UとV軸スライダ14Vを
有するUVクロステーブル14が取付けられている。こ
のUVクロステーブル14には先端部に上ノズル装置8
を取付けた上側アーム6Aとワイヤ電極10の自動挿通
ユニット37とが取付けられ、上記上ノズル装置8と対
向する下ノズル装置9はX軸コラム34に対しY軸ラム
駆動サーボモータ3AによりY軸方向に移動するY軸ラ
ム35と一体の下側アーム7Aの先端部に取付けられて
いる。そして図示してないが、加工ヘッド36の前面側
にはワイヤ電極の貯蔵リール及び前述ブレーキ装置等の
ワイヤリングユニットが設けられている。そして図示の
装置での使用済ワイヤ電極10の排出回収装置の構成、
配置としては種々考えられるものの、或る程度の大きさ
のバケット32を使用する以上引き取り装置23は、可
動部のX軸コラム34やY軸ラム35と一体の下側アー
ム7A部等ではなく、ベッド1等の固定部に設ける必要
があるものである。即ち、上記引き取り装置23を、例
えば下側アーム7A下側後端へ設けたとすると、上記引
き取り装置23からY軸に沿って後方にY軸移動ストロ
ークの約1/2の長さ伸長して排出パイプ等を設け得た
として、バケット32の上方開口面積を、大凡本機のX
軸コラム34の全送りストローク長さとY軸ラム35の
全送りストローク長さの積の大きさとする必要性が高
く、現実性のない構成となってしまうからである。
【0016】この図示したワイヤ放電加工機のワイヤ電
極の張架走行経路長は、UVクロステーブル14による
テーパ加工の傾斜角度変化又は設定により先に図示説明
の図6の場合と同様増減変化する丈でなく、ワイヤ電極
貯蔵リールと共にブレーキ装置がZ軸方向移動可能な加
工ヘッド36に設けられている所から、該加工ヘッド3
6のZ軸方向の位置の変化又は設定によっても増減変化
し、そして更に加工送りに伴なって絶えず位置が変化す
るX軸コラム34及びY軸ラム35の移動で引き取り装
置23との間で大きく増減変化する。そして、前記ワイ
ヤ電極の張架走行経路長の最小値時は、UVクロステー
ブル14によるテーパの傾斜角度が零で、加工ヘッド3
6が最大降下位置にあり、かつX軸コラム34がX軸ス
トロークの中心又は中央位置でY軸ラム35がY軸スト
ロークの中心又は中央位置にあるときで、逆に最大値時
は、UVクロステーブル14によるテーパの傾斜角度が
最大で、加工ヘッド36が最大上昇位置にあり、かつX
軸コラム34がX軸ストロークの何れかのストローク端
にあると共にY軸ラム35がY軸ストロークの何れかの
ストローク端に位置している時と言うことになり、最小
値時と最大値時との経路長の違いは極めて大きなものと
なる。なお、上記の場合、引き取り装置23は、X軸コ
ラム34のX軸方向ストロークの中央で、Y軸ラム34
のY軸上の後方(図示の場合右側)の固定位置にある場
合であるが、紙面表裏方向のベッド1につながる側方位
置にあっても良い。
【0017】図8は、より大テーパ度のワイヤ放電加工
を実現すべく前記図7のワイヤ放電加工機の加工ヘッド
36、特にUVテーブル14部分の構成を変更したもの
で、前記図7のワイヤ放電加工機の前記Y軸ラム35上
にX軸方向に移動可能にU軸コラム38を設けると共
に、該U軸コラム38上にY軸方向に移動可能にV軸ラ
ム39を設けた積層構造で、該V軸ラム30の加工テー
ブル2側に張り出した先端側の前面に加工ヘッド36A
がZ軸方向に移動可能に配置され、該加工ヘッド36A
の下端部には上ノズル装置8を取付ける上アーム6Bが
取付けられている。又、前記加工ヘッド36Aの前面パ
ネル40には、ワイヤ電極10の貯蔵リール19、及び
図示では省略されているが、ワイヤ電極の張架走行系を
構成するブレーキ装置24や、自動挿通ユニット37等
が設けられており、41はEMC機能を有する装置全体
を覆うカバーである。かかる構成のワイヤ放電加工機に
よると、加工送りを担うX軸コラム34とY軸ラム35
軸方向全送りストロークが、例えば約400〜600m
m(ストローク中央位置からプラス及びマイナスに夫々
約200〜300mm)に対し、主としてテーパの傾斜
角度を付与するU軸コラム38とV軸ラム39の軸方向
全ストロークを、例えば約200mm(ストローク中央
位置から両側に各約100mm)程度の設定とすること
ができ、加工ヘッド36AのZ軸移動ストローク、例え
ば約200mmを加えて、大板厚の被加工体26の垂直
加工から大傾斜角度のテーパ加工まで対応可能となる
が、ワイヤ電極の張架走行経路長が、加工中に大きく変
ったり、設定により大きく相違する所から、ワイヤ電極
の良好な張力制御を困難にし、目的とするワイヤ放電加
工が充分できないと言う問題があった。そして、この形
式のワイヤ放電加工機では、互に平行方向に移動可能な
二軸(X軸とU軸、及びY軸とV軸)が同一方向に移動
する場合、機械剛性等に対するオーバハングの問題か
ら、夫々同一方向のストローク端迄移動させ得るとは限
らないが、上述したUV軸の構成の関係からワイヤ電極
の張架走行経路長の最大値時の長さが、前述図7のもの
の場合よりも長くなっていることが明らかである。
【0018】上述の図7乃至図8に示したものの外に、
例えば図6のワイヤ放電加工機に於いて、下側ガイドを
有する下ノズル装置をUVクロステーブルを介して下ア
ームに取り付けるか、或いは更に上記下ノズル装置にZ
軸移動が付与される形式、構成のもの、又は載物台がY
軸テーブル上で、上下アームを有するコラムがX軸テー
ブル上に設置され、上側又は下側ガイド(ノズル装置)
がアーム先端のUVクロステーブルを介して取付けられ
た構成のもの、或いはさらに、載物台を固定として、ベ
ッド上に第1のXYクロステーブルと第2のXYクロス
テーブル並設し、第1のXYクロステーブルに下アーム
を設けて該アームの先端に下側ガイドを設けると共に、
第2のXYクロステーブルに上アームを設けて該アーム
の先端に上側ガイド取付ける構成のもの等、各種形式の
ワイヤ放電加工機に適用して有効なワイヤ電極張力の制
御方法及び装置の提供が望まれていたものである。従っ
て、本発明は、ワイヤ放電加工機の移動軸(X,Y,
Z,U,又はV軸)を単独又は組合せて移動又は移動変
位させたときに、前記引き取り装置とブレーキ装置間の
ワイヤ電極の張架走行経路長が増減等変化する形式、構
成のワイヤ放電加工機に於いても良好で、より完全なワ
イヤ電極の張力制御を行なうことができるワイヤ電極張
力制御装置、ワイヤ電極張力制御方法、及びワイヤ電極
張力制御回路のフィルタの決定及び調整設定方法を提供
することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】前述の本発明の目的は、
(1)ワイヤ電極を引き取り装置とブレーキ装置間で、
一定速度引き取り又は一定速度送り出しに対して前記引
き取り装置又はブレーキ装置を制御することにより前記
ワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で一対の位置
決めガイド間を走行更新移動させ、該ガイド間ワイヤ電
極に被加工体を微小間隙を隔てて相対向せしめ、加工液
を介在させた状態で間歇放電を発生させて加工するワイ
ヤ放電加工であって、加工機の移動軸(X,Y,Z,
U,又はV)を単独又は組合せ移動させたときに、前記
引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の張架走行
経路長が増減変化する型式構造のワイヤ放電加工機のワ
イヤ電極張力制御装置に於いて、加工に際してのNC装
置からのワイヤ電極の速度設定信号と張力設定信号とか
らワイヤ電極の基準速度指令信号を生成する基準速度指
令生成手段と、該生成基準速度指令信号と走行移動する
ワイヤ電極からの速度検出信号によってフィードバック
制御されている前記引き取り装置又はブレーキ装置のサ
ーボドライバと、前記引き取り装置とブレーキ装置間の
ワイヤ電極の張力を検出するように設けられた張力検出
手段と、該張力検出手段による前記走行移動中のワイヤ
電極の張力検出信号と前記張力設定信号とを差動演算し
て張力補償信号を生成する手段と、前記基準速度指令信
号と張力補償信号とを加算処理して前記サーボドライバ
に速度指令を付与する速度指令手段とを備えると共に、
前記ワイヤ放電加工機に於けるワイヤ電極の前記張架走
行経路長の実質上の最大値時と最小値時との各ワイヤ電
極張架走行系の各張力変動共振周波数を各遮断周波数と
するノッチフィルタを前記張力検出信号からサーボドラ
イバへの速度指令入力迄の張力制御回路中に挿設して成
るワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置とするこ
とにより、(2)又、前記ノッチフィルタが、ワイヤ電
極の前記張架走行経路長が実質上最大値時のワイヤ電極
張架走行系の張力変動共振周波数を遮断周波数とするノ
ッチフィルタと、ワイヤ電極の張架走行経路長が実質上
最小値時の張力変動共振周波数を遮断周波数とするノッ
チフィルタとの縦続接続フィルタである(1)に記載の
ワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置とすること
により、(3)又、前記縦続接続フィルタが、更に、前
記ワイヤ電極張架走行経路長の実質上の最大値と最小値
の中間値時のワイヤ電極張架走行系の張力変動共振周波
数を遮断周波数とするノッチフィルタを縦続接続して成
るものである前記(2)に記載のワイヤ放電加工機のワ
イヤ電極張力制御装置とすることにより、又(4)前記
複数個のノッチフィルタ中前記遮断周波数が高い側のノ
ッチフィルタの前記遮断周波数が当該ノッチフィルタの
上限側の遮断周波数であり、又前記遮断周波数が低い側
のノッチフィルタの前記遮断周波数が当該ノッチフィル
タの下限側の遮断周波数である前記(1)、(2)又は
(3)に記載のワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御
装置とすることにより良く達成される。
【0020】又、前述の本発明の目的は、(5)ワイヤ
電極を引き取り装置とブレーキ装置間で、一定速度引き
取り又は一定速度送り出しに対して前記引き取り装置又
はブレーキ装置を制御することにより前記ワイヤ電極に
所定の張力を付与させた状態で一対の位置決めガイド間
を走行更新移動させ、該ガイド間ワイヤ電極に被加工体
を微小間隙を隔てて相対向せしめ、加工液を介在させた
状態で間歇放電を発生させて加工するワイヤ放電加工で
あって、加工機の移動軸(X,Y,Z,U,又はV)を
単独又は組合せ移動させたときに、前記引き取り装置と
ブレーキ装置間のワイヤ電極の張架走行経路長が増減変
化する型式構造のワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制
御方法に於いて、加工に際してNC装置から出力される
ワイヤ電極の速度設定信号と張力設定信号とからワイヤ
電極の基準速度指令信号を生成させ、走行移動するワイ
ヤ電極からの速度検出信号によってフィードバック制御
されている前記引き取り装置又はブレーキ装置のサーボ
ドライバに、前記基準速度指令信号を速度指令として供
給する際に、前記引き取り装置とブレーキ装置間の張架
走行系を移動中のワイヤ電極から検出した張力検出信号
と前記張力設定信号とを差動演算して得た張力補償信号
を、前記基準速度指令信号と加算処理し、該加算処理に
よって得た信号を前記速度指令として供給しサーボドラ
イバを制御する際、前記張力検出信号からサーボドライ
バへの速度指令迄の張力制御回路中に前記ワイヤ電極の
張架走行経路長が実質上最大値時と最小値時との各ワイ
ヤ電極張架走行系の各張力変動共振周波数を各遮断周波
数とするノッチフィルタが設けられているワイヤ放電加
工機のワイヤ電極張力制御方法とすることにより達成さ
れる。
【0021】又、前述の本発明の目的は、(6)ワイヤ
電極を引き取り装置とブレーキ装置間で、一定速度引き
取り又は一定速度送り出しに対して前記引き取り装置又
はブレーキ装置を制御することにより前記ワイヤ電極に
所定の張力を付与させた状態で一対の位置決めガイド間
を走行更新移動させ、該ガイド間ワイヤ電極に被加工体
を微小間隙を隔てて相対向せしめ、加工液を介在させた
状態で間歇放電を発生させて加工するワイヤ放電加工で
あって、加工機の移動軸(X,Y,Z,U,又はV)を
単独又は組合せ移動させたときに、前記引き取り装置と
ブレーキ装置間のワイヤ電極の張架走行経路長が増減変
化する型式構造のワイヤ放電加工機に於いて、加工に際
してNC装置から出力されるワイヤ電極の速度設定信号
と張力設定信号とからワイヤ電極の基準速度指令信号を
生成させ、走行移動するワイヤ電極からの速度検出信号
によってフィードバック制御されている前記引き取り装
置又はブレーキ装置のサーボドライバに、前記基準速度
指令信号を速度指令として供給する際に、前記引き取り
装置とブレーキ装置間の張架走行系を移動中のワイヤ電
極から検出した張力検出信号と前記張力設定信号とを差
動演算して得た張力補償信号を、前記基準速度指令信号
と加算処理し、該加算処理によって得た信号を前記速度
指令として供給しサーボドライバを制御する際、前記張
力検出信号からサーボドライバへの速度指令迄の張力制
御回路中に挿設するフィルタの決定及び調整設定する方
法に於いて、遮断周波数を設定するためのフィルタ係数
の設定が可能な少なくとも2個のノッチフィルタを用意
し、当該放電加工機の前記軸移動により前記ワイヤ電極
の張架走行経路長を実質上最大値にセットした状態でワ
イヤ電極を張架走行移動させ、該ワイヤ電極から検出し
た張力検出信号を所望回数取り出して記憶し、該記憶し
た張力検出信号をフーリエ級数解析して最も振幅の大き
い周波数成分の周波数をワイヤ電極の当該張架走行系に
おける張力変動共振周波数として算定し、該張力変動共
振周波数が前記ノッチフィルタ中の1個のフィルタの遮
断周波数となるようにそのフィルタ係数を算出してフィ
ルタに設定し、次いで、軸移動によりワイヤ電極の張架
走行経路長を実質上最小値にセットした状態でのワイヤ
電極の張力検出信号を同様に処理して得た第2の張力変
動共振周波数が前記ノッチフィルタ中の他の1個のフィ
ルタの遮断周波数となるようにそのフィルタ係数を算出
してフィルタに設定し、更に上記両ノッチフィルタを縦
続接続してなるワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御
回路のフィルタの決定及び調整設定方法とすることによ
り達成されるものである。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は、ワイヤ電極10の張架走
行系の概念図に、本発明の張力制御装置のブロックダイ
アグラム図を付加して示したもので、ワイヤ電極10は
加工中ワイヤ電極貯蔵リール19からガイドプーリ20
A、ブレーキ装置24のブレーキプーリ24A等複数の
プーリを経由して、一対の位置決めガイドを内包する上
下のノズル装置8,9が所望間隔を配置される加工部分
10Aに供給され、必要に応じて1つ以上設けられるガ
イドプーリ21A等を経由して引き取り装置23のピン
チローラ23B付き引き取りプーリ23Aを経てバケッ
ト等の回収装置に回収される。図示の場合引き取り装置
23の引き取りプーリ23Aを駆動する引き取りサーボ
モータ23Cは、数値制御装置30Aから設定速度指令
信号が入力するサーボドライバ23Dに図示しない速度
検出器の検出速度をフィードバックしてワイヤ電極10
を一定速度で引き取り排出するよう制御されており、他
方のブレーキ装置24のブレーキプーリ24Aを制動駆
動するブレーキサーボモータ24Bのサーボドライバ2
4Cも同じく数値制御装置30Aから入力する速度設定
値SSと張力設定値TSから造られる速度指令(又はト
ルク指令)SCが入力し、該速度指令SCに対してサー
ボモータ24Bの速度検出器からの速度検出信号をフィ
ードバックさせて一定のブレーキ力となるように制御し
ているが、ワイヤ電極10は引き取り装置23とブレー
キ装置24間の張架走行経路中に於いて、介在プーリの
偏心やサーボモータ23C,24Bによる引き取りや制
動力の変動等による外乱等との共振により、使用ワイヤ
電極の材質・種類や線径及び張架経路長により固有の周
波数の張力変動共振を生じ張力変動を生ずることにな
る。
【0023】このため、上述のような引き取り装置23
とブレーキ装置24の制御によっては防げない張力変動
を制御又は除去するために、例えば特開平4−2617
16号公報の如き更に速度補償信号を検出してブレーキ
サーボモータを制御するものがあるが、本発明では図示
の如く、又一部先に提案のように、ワイヤ電極10の加
工部分10Aの直前の上流部分等張架走行経路上の一部
に於いて、例えば、種々の力、圧力センサ等を用いた張
力検出器42を設けて前述の張力変動を検出し、該検出
した実測の張力信号TMを増幅器43で増幅し、一例を
示す図4で示すような張力制御装置44を設けたもので
ある。この張力制御装置44に於いては、後に詳述する
ように、予め対象としたワイヤ放電加工機に於けるワイ
ヤ電極の張架走行経路長の最大値時と最小値時の各張力
検出信号から張力変動共振周波を求め、使用するアナロ
グ又はディジタルノッチフィルタの遮断周波数を所定に
調整設定するフィルタ係数を求めノッチフィルタに設定
する外、ワイヤ放電加工中に前記調整設定したノッチフ
ィルタを挿設した張力制御回路を用いて、精密に制御さ
れ張力変動が殆んど無い状態でのワイヤ放電加工を実現
させるものである。即ち、ワイヤ放電加工の実行中は、
数値制御装置30Aから設定により出力しているワイヤ
電極の速度設定信号SSと張力設定信号TSとから基準
速度指令信号を生成させ、該基準速度指令信号をサーボ
ドライバ24Cに速度指令(又はトルク指令)SCとし
て与え、走行移動するワイヤ電極からの速度検出信号を
前記サーボドライバ24Cにフィードバックしてブレー
キ装置24のサーボモータ24Bを制御する際、前記引
き取り装置23とブレーキ装置24間の張架走行系を移
動中のワイヤ電極10から張力検出器42によって検出
して得た実測の張力検出信号TMを前記張力設定信号T
Sと差動演算処理して張力補償信号TCを得、この張力
補償信号TCを前記基準速度指令信号に加算処理して張
力補償された前記速度指令SCを生成させるのである
が、上記張力補償信号に含まれている機械毎に固有のワ
イヤ電極張架走行系に於ける最大の張力変動共振周波数
を除去するために、該周波数を遮断周波数とするノッチ
フィルタを前記張力検出信号部からサーボドライバ24
Cへの速度指令部迄の張力制御回路中に設けた構成とす
るものである。
【0024】然るに、斯種ノッチフィルタ(又はバンド
ストップフィルタ)は、図5で説明したように、振幅特
性及び位相特性とも優れたもので張力制御回路に使用す
るのに好適なものであるが、遮断周波数の帯域幅が狭い
と言う名称通りのものであり、このため前述図6〜8、
特に図7や図8のようなワイヤ電極の張架走行経路長が
加工中に大きく変る又は大きく違う設定の出来る形式の
ワイヤ放電加工機には適用し難いか適用効果を挙げ難
い、又は加工中に加工面筋発生の原因等となるフィルタ
切換えをする必要のない適用可能な工夫が望まれてい
た。そこで本発明は、ノッチフィルタの特性を損なわな
いように、ノッチフィルタを使用し、その遮断周波数の
帯域幅が増大又は拡大したフィルタとするために、遮断
周波数の帯域幅が、周波数の低い方の上部と周波数の高
い方の下部とが重なるような互いに遮断周波数が異なる
ノッチフィルタを縦続接続して使用するようにしたもの
で、そして本発明は前述のようにワイヤ放電加工機のワ
イヤ電極張架走行系に掛わるものであるところから前記
の異なる2つの遮断周波数を、そのワイヤ放電加工機の
ワイヤ電極張架走行経路長の実際上使用される最小値時
と最大値時の各最大振幅の張力変動共振周波数により決
定するようにしたものである。
【0025】之を図2と図3の異なる遮断周波数を有
し、周波数帯域の一方の上部と他方の下部とが重なる各
ディジタルノッチフィルタ1とノッチフィルタ2とを縦
続接続(図3)した2段ノッチフィルタの振幅(ゲイ
ン)及び位相特性図(図2の2A及び2B)により説明
すると、その振幅特性(2A)に於いて、遮断周波数が
低い方のノッチフィルタ1の帯域の上側と遮断周波数が
高い方のノッチフィルタ2の帯域の下側とが重なって、
前者の(又は後者の)フィルタ1(又は2)の遮断周波
数の帯域が高周波側(又は低周波側)へ平行移動したよ
うに格段に広がった2段ノッチフィルタの特性になって
おり、他方の位相特性(2B)を見ても大幅は悪化はな
く、使用するワイヤ放電加工機のワイヤ電極の張架走行
経路長が最小値時の張力変動共振周波数をノッチフィル
タ2の遮断周波数とし、他方の最大値時の張力変動共振
周波数をもう1つのノッチフィルタ1の遮断周波数とす
るようフィルタ係数を調整設定することにより、好適に
本発明に適用可能なことが明らかである。
【0026】図4は、張力制御装置44に設けられる縦
続接続ノッチフィルタ1及び2のフィルタ係数を、該フ
ィルタ付き張力制御装置44を設けるワイヤ放電加工機
から走行ワイヤ電極からの張力検出から順次演算等して
求めて決定し、これをアナログ又はディジタルノッチフ
ィルタ1及び2に調整設定して本発明の張力制御回路を
完成させる手法を説明する部分等を含む張力制御装置の
実施例のブロックダイアグラム説明図である。図に於い
て、45は前記数値制御装置30Aに於けるキーボード
等からの入力設定又は読み込み入力等したプログラム等
からの読み出しにより出力されるワイヤ電極10の速度
設定信号SSと張力設定信号TSとからワイヤ電極10
の基準速度指令信号を生成出力する基準速度設定回路、
46は前述基準速度指令信号が、未だフィルタを使用す
ることなく後述張力変動補償等をした状態でサーボドラ
イバ24Cに速度指令SCを出力させた状態とし、数値
制御装置30Aからフィルタ係数の演算決定及び決定フ
ィルタ係数のノッチフィルタ1及び2への調整設定プロ
グラムよりワイヤ電極の走行開始指令信号を出力させて
ワイヤ電極を走行させ、張力検出器42により検出した
ワイヤ電極の張力検出信号TMを適宜増幅して加算回路
46に供給し、張力設定信号TSと差動演算して張力補
償信号TCを造り加算回路46から出力することになる
が、この時一方に於いて前記ワイヤ電極の走行開始指令
信号はフィルタ係数演算制御装置47に入力し、該信号
の入力により演算制御装置47は切換回路48に切換え
信号を出力してBに切換え、前記加算回路46から出力
する張力補償信号を張力変動共振周波数の信号を取るフ
ィルタを介せずに増幅回路49から加算回路50に出力
して該加算回路50で基準速度指令信号を張力補償信号
TCで補償処理して速度指令SCを生成し、サーボドラ
イバ24Cに供給し速度指令を更新する。51及び52
は、フィルタ係数演算制御装置47により演算により求
められたフィルタ係数が調整設定される縦続接続用の2
つのノッチフィルタ1及び2である。
【0027】以上の状態で、ワイヤ電極10を張架走行
を現に走行中のワイヤ電極から張力検出TMをし、張力
補償信号TCを造って張力制御をしつつワイヤ電極を走
行させる加工中の状態として、前記張力検出信号TMを
フィルタ係数演算制御装置47に取り込みフィルタ1又
は2のフィルタ係数を演算等して求めることになるが、
本発明は前述のように対象ワイヤ放電加工機につきワイ
ヤ電極の張架走行経路長が最小値時と実質上有効に使用
される最大値時とに夫々設定した状態で、夫々の前記張
力検出信号TMを検出して取り出しフィルタ係数を求め
るもので、例えば前述図8のワイヤ放電加工機に於いて
ワイヤ電極の張架走行経路長を最小値にセットした状態
で、張力検出信号TMを検出して張力補償信号TCを造
り、該補償信号により基準速度指令信号を補償した新た
な速度指令SCによりサーボドライバ24Cの速度指令
を更新してワイヤ電極10を張力制御をしつつ走行させ
る状態としている毎に前記張力検出信号TMをフィルタ
係数演算制御装置47に繰り返し、例えば100回取り
込み、この100個の張力値データをFFT解析のため
の前記100データのフーリエ級数へ展開し、該フーリ
エ級数から周波数毎の振幅を算出し、最も振幅の大きい
周波数成分(共振周波数)の算出をし、これからノッチ
フィルタの係数を算出し、該フィルタ係数をノッチフィ
ルタ2に出力してそのフィルタ係数を調整設定する。
【0028】次に、前記図8のワイヤ放電加工機の移動
軸(X,Y,Z,U,及びV)を動作移動させて、ワイ
ヤ電極の張架走行経路長が最大値又は実質上実用範囲で
の最大値状態にセットし、前述ワイヤ電極の走行開始指
令信号出力から、前述した同じ手法によりワイヤ電極の
張架走行経路長が最大値時のフィルタ係数を求め、該フ
ィルタ係数をノッチフィルタ1に出力してそのフィルタ
係数をノッチフィルタ1に調整設定する。
【0029】上記のようにしてフィルタ係数が調整設定
されたノッチフィルタ1及びノッチフィルタ2を縦続接
続すれば、前述図2で説明したのと同様な振幅特性と位
相特性を有する2段ノッチフィルタが得られる訳で、フ
ィルタ係数演算制御装置47から切換え回路48に切換
え信号を出力して切換回路48を回路Bから回路Aに切
換えることにより、前記縦続接続2段ノッチフィルタ
(フィルタ1及び2)が、張力制御装置44の張力補償
信号の回路に挿入されたことになり、ワイヤ電極10は
好適に張力制御された状態で張架走行させられることに
なる。
【0030】而して、前述のワイヤ電極の張架走行経路
長の最小値時と最大値時の長さの差が大きい場合には、
図2の振幅特性(2A)からも判るように、ノッチフィ
ルタ1とノッチフィルタ2の高低遮断周波数間の周波数
帯域に於いて、2段ノッチフィルタの振幅特性を好まし
くはよりフラットな帯域幅の広いものとするには、前記
複数個のノッチフィルタ中前記遮断周波数が高い方のノ
ッチフィルタの前記遮断周波数が当該ノッチフィルタの
上限側の遮断周波数であり、又前記遮断周波数が低い方
のノッチフィルタの前記遮断周波数が当該ノッチフィル
タの下限側の遮断周波数であるように調整設定すること
が好ましいものである。又前述ワイヤ電極の張架走行経
路長と最小値時との最大値時の長さの差が大きく、ノッ
チフィルタ1とノッチフィルタ2の高低遮断周波数間の
周波数帯域に於いて無視できない振幅波状特性が出現す
る場合には、前記ワイヤ電極張架走行経路長の実質上の
最大値と最小値時の中間値時のワイヤ電極張架走行系の
張力変動共振周波を遮断周波数(前記ノッチフィルタ1
とノッチフィルタ2の各遮断周波数のほぼ中間の周波
数)とする第3のノッチフィルタ3を調整、設定し、前
記ノッチフィルタ1とノッチフィルタ2との縦続接続2
段ノッチフィルタに対し、更に縦続接続して使用するよ
うにするものである。
【0031】以上は、本発明を図示した実施例により説
明したが、本発明は本発明の精神を逸脱しない範囲で、
各部に変更を加えての実施が可能なこと当業者に明らか
なことである。例えば、前述図示実施例では、本発明に
よりフィルタ係数が決定設定され所望複数個を縦続接続
した多段ノッチフィルタを、張力制御装置、引いては張
力補償制御回路中の張力補償信号を生成させる加算回路
46の出力と該張力補償信号を基準速度指令信号に加算
処理してサーボドライバ24Cに新たな速度指令SCを
生成する供給加算回路50との間に設けられているが、
上記多段ノッチフィルタはワイヤ電極10から張力変動
検出器42によって検出された張力検出信号TM中から
所定の張力変動共振周波数の信号を、最終的にサーボド
ライバ24Cに速度指令SCとして供給される迄の間に
取り除けば良いのであるから、前記多段ノッチフィルタ
は所望により前記張力検出器42の検出信号出力部位か
ら前記サーボドライバ24Cへの速度指令SCの信号入
力の部位間の任意の部位に設けられるものである。又、
前述図示実施例では、ワイヤ電極10を引き取り装置2
3によって一定速度で引き取るのに対し、ブレーキ装置
24のサーボモータ24Bをそのサーボドライバ24に
対する張力制御指令を与えるように構成して張力制御を
行なっているが、之とは逆に、即ち、ワイヤ電極10を
ブレーキ装置24側から一定速度で送り出すように構成
して置いて、引き取り装置23側のサーボモータ23を
そのサーボドライバ23Dに対する本発明の張力制御指
令を与えて制御する構成とすることができること当業者
には明らかである。
【0032】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、ワイヤ放電
加工に於ける従来形のワイヤ電極張力制御装置及び張力
制御方法によれば、ワイヤ電極の張架走行経路長が、加
工中のテーパ傾斜角度の変化や加工送り、或いは加工前
のテーパ傾斜角度外の設定によって長短又は大小変化す
る構成のワイヤ放電加工機の場合、ワイヤ電極張架走行
系に於ける走行中のワイヤ電極張力変動共振周波数が変
化するか相違するため、上記種々異なる張力変動共振周
波数を遮断周波数とする多数のノッチフィルタを用意し
て置いて切換え使用するとか、加工や作業を中断して張
力変動を測定し、必要とする遮断周波数のノッチフィル
タを作成したりする必要があり、作業効率が悪く又張力
制御が充分に行なえていないことによる不具合の解消が
難しかったのであるが、本発明のワイヤ電極張力制御装
置及び張力制御方法によれば、張力制御装置の張力制御
回路中に設けるノッチフィルタを、当該対象ワイヤ放電
加工機に於けるワイヤ電極の張架走行経路長の実質上の
最大値時と最小値時との各ワイヤ電極張架走行系の各最
大の張力変動共振周波数を求め、該異なる2つの共振周
波数を夫々遮断周波数とするノッチフィルタを縦続接続
した縦続接続多段ノッチフィルタとしたから、フィルタ
の位相特性を悪化させずに遮断周波数の領域の帯域幅が
広がった振幅特性とすることができ、ワイヤ電極張架走
行経路長の変化にかかわりなくワイヤ電極の張力を充分
制御した状態で中断なく加工を進めることができ、加工
面の筋の発生や太鼓の発生がなく、加工の寸法・形状精
度が高く、ワイヤ電極断線の少ない良好なワイヤ放電加
工を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例装置全体の概略構成の説明
図。
【図2】本発明に用いる多段ノッチフィルタの振幅特性
(2A)と位相特性(2B)の説明図。
【図3】本発明に用いるディジタル多段ノッチフィルタ
の一構造例の図。
【図4】本発明のフィルタ係数の決定及び調整設定部を
含む張力制御装置部分の一実施例の構成を説明するため
のブロックダイアグラム図。
【図5】ノッチフィルタの典型的な振幅特性(5A)と
位相特性(5B)を示す図。
【図6】通常型のワイヤ放電加工機の一構成例を説明す
るための側面図。
【図7】他の従来型のワイヤ放電加工機の構成例を説明
するための側面図。
【図8】又他のワイヤ放電加工機の異なる構成例を説明
するための側面図。
【符号の説明】
1 ベッド 2 加工テーブル 3,4 サーボモータ 5 コラム 6,7 上アーム、下アーム 8,9 上ノズル装置、下ノズル装置 10 ワイヤ電極 11,12 上ガイド、下ガイド 13 基板 14 UVクロステーブル 15 Z軸駆動機構 16,17,18 サーボモータ 19 貯蔵リール 20 上アーム部プーリ 21 下アーム部プーリ 22 回収リール 23 引き取り装置 24 ブレーキ装置 25 載物台 26 被加工体 27 加工用電源 28,29 給電子 30 数値制御装置 31 入力装置 32 バケット 33 加工槽 34 X軸コラム 35 Y軸ラム 36 加工ヘッド 37 自動挿通ユニット 38 U軸コラム 39 V軸ラム 40 前面パネル 41 カバー 42 張力検出器 43 増幅器 44 張力制御装置 45 基準速度設定回路 46,50 加算回路 47 フィルタ係数演算制御装置 48 切換回路 49 増幅回路 51 ノッチフィルタ1 52 ノッチフィルタ2

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイヤ電極を引き取り装置とブレーキ装
    置間で、一定速度引き取り又は一定速度送り出しに対し
    て前記引き取り装置又はブレーキ装置を制御することに
    より前記ワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で一
    対の位置決めガイド間を走行更新移動させ、該ガイド間
    ワイヤ電極に被加工体を微小間隙を隔てて相対向せし
    め、加工液を介在させた状態で間歇放電を発生させて加
    工するワイヤ放電加工であって、加工機の移動軸(X,
    Y,Z,U,又はV)を単独又は組合せ移動させたとき
    に、前記引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の
    張架走行経路長が増減変化する型式構造のワイヤ放電加
    工機のワイヤ電極張力制御装置に於いて、加工に際して
    のNC装置からのワイヤ電極の速度設定信号と張力設定
    信号とからワイヤ電極の基準速度指令信号を生成する基
    準速度指令生成手段と、該生成基準速度指令信号と走行
    移動するワイヤ電極からの速度検出信号によってフィー
    ドバック制御されている前記引き取り装置又はブレーキ
    装置のサーボドライバと、前記引き取り装置とブレーキ
    装置間のワイヤ電極の張力を検出するように設けられた
    張力検出手段と、該張力検出手段による前記走行移動中
    のワイヤ電極の張力検出信号と前記張力設定信号とを差
    動演算して張力補償信号を生成する手段と、前記基準速
    度指令信号と張力補償信号とを加算処理して前記サーボ
    ドライバに速度指令を付与する速度指令手段とを備える
    と共に、前記ワイヤ放電加工機に於けるワイヤ電極の前
    記張架走行経路長の実質上の最大値時と最小値時との各
    ワイヤ電極張架走行系の各張力変動共振周波数を各遮断
    周波数とするノッチフィルタを前記張力検出信号からサ
    ーボドライバへの速度指令入力迄の張力制御回路中に挿
    設して成ることを特徴とするワイヤ放電加工機のワイヤ
    電極張力制御装置。
  2. 【請求項2】 前記ノッチフィルタが、ワイヤ電極の前
    記張架走行経路長が実質上最大値時のワイヤ電極張架走
    行系の張力変動共振周波数を遮断周波数とするノッチフ
    ィルタと、ワイヤ電極の張架走行経路長が実質上最小値
    時の張力変動共振周波数を遮断周波数とするノッチフィ
    ルタとの縦続接続フィルタであることを特徴とする請求
    項1に記載のワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記縦続接続フィルタが、更に、前記ワ
    イヤ電極張架走行経路長の実質上の最大値と最小値の中
    間値時のワイヤ電極張架走行系の張力変動共振周波数を
    遮断周波数とするノッチフィルタを縦続接続して成るも
    のであることを特徴とする請求項2に記載のワイヤ放電
    加工機のワイヤ電極張力制御装置。
  4. 【請求項4】 前記複数個のノッチフィルタ中前記遮断
    周波数が高い側のノッチフィルタの前記遮断周波数が当
    該ノッチフィルタの上限側の遮断周波数であり、又前記
    遮断数が低い側のノッチフィルタの前記遮断周波数が当
    該ノッチフィルタの下限側の遮断周波数であることを特
    徴とする前記請求項1、2、又は3に記載のワイヤ放電
    加工機のワイヤ電極張力制御装置。
  5. 【請求項5】 ワイヤ電極を引き取り装置とブレーキ装
    置間で、一定速度引き取り又は一定速度送り出しに対し
    て前記引き取り装置又はブレーキ装置を制御することに
    より前記ワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で一
    対の位置決めガイド間を走行更新移動させ、該ガイド間
    ワイヤ電極に被加工体を微小間隙を隔てて相対向せし
    め、加工液を介在させた状態で間歇放電を発生させて加
    工するワイヤ放電加工であって、加工機の移動軸(X,
    Y,Z,U,又はV)を単独又は組合せ移動させたとき
    に、前記引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の
    張架走行経路長が増減変化する型式構造のワイヤ放電加
    工機のワイヤ電極張力制御方法に於いて、加工に際して
    NC装置から出力されるワイヤ電極の速度設定信号と張
    力設定信号とからワイヤ電極の基準速度指令信号を生成
    させ、走行移動するワイヤ電極からの速度検出信号によ
    ってフィードバック制御されている前記引き取り装置又
    はブレーキ装置のサーボドライバに、前記基準速度指令
    信号を速度指令として供給する際に、前記引き取り装置
    とブレーキ装置間の張架走行系を移動中のワイヤ電極か
    ら検出した張力検出信号と前記張力設定信号とを差動演
    算して得た張力補償信号を、前記基準速度指令信号と加
    算処理し、該加算処理によって得た信号を前記速度指令
    として供給しサーボドライバを制御する際、前記張力検
    出信号からサーボドライバへの速度指令迄の張力制御回
    路中に前記ワイヤ電極の張架走行経路長が実質上最大値
    時と最小値時との各ワイヤ電極張架走行系の各張力変動
    共振周波数を各遮断周波数とするノッチフィルタが設け
    られているものであることを特徴とするワイヤ放電加工
    機のワイヤ電極張力制御方法。
  6. 【請求項6】 ワイヤ電極を引き取り装置とブレーキ装
    置間で、一定速度引き取り又は一定速度送り出しに対し
    て前記引き取り装置又はブレーキ装置を制御することに
    より前記ワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で一
    対の位置決めガイド間を走行更新移動させ、該ガイド間
    ワイヤ電極に被加工体を微小間隙を隔てて相対向せし
    め、加工液を介在させた状態で間歇放電を発生させて加
    工するワイヤ放電加工であって、加工機の移動軸(X,
    Y,Z,U,又はV)を単独又は組合せ移動させたとき
    に、前記引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の
    張架走行経路長が増減変化する型式構造のワイヤ放電加
    工機に於いて、加工に際してNC装置から出力されるワ
    イヤ電極の速度設定信号と張力設定信号とからワイヤ電
    極の基準速度指令信号を生成させ、走行移動するワイヤ
    電極からの速度検出信号によってフィードバック制御さ
    れている前記引き取り装置又はブレーキ装置のサーボド
    ライバに、前記基準速度指令信号を速度指令として供給
    する際に、前記引き取り装置とブレーキ装置間の張架走
    行系を移動中のワイヤ電極から検出した張力検出信号と
    前記張力設定信号とを差動演算して得た張力補償信号
    を、前記基準速度指令信号と加算処理し、該加算処理に
    よって得た信号を前記速度指令として供給しサーボドラ
    イバを制御する際、前記張力検出信号からサーボドライ
    バへの速度指令迄の張力制御回路中に挿設するフィルタ
    の決定及び調整設定する方法に於いて、遮断周波数を設
    定するためのフィルタ係数の設定が可能な少なくとも2
    個のノッチフィルタを用意し、当該放電加工機の前記軸
    移動により前記ワイヤ電極の張架走行経路長を実質上最
    大値にセットした状態でワイヤ電極を張架走行移動さ
    せ、該ワイヤ電極から検出した張力検出信号を所望回数
    取り出して記憶し、該記憶した張力検出信号をフーリエ
    級数解析して最も振幅の大きい周波数成分の周波数をワ
    イヤ電極の当該張架走行系における張力変動共振周波数
    として算定し、該張力変動共振周波数が前記ノッチフィ
    ルタ中の1個のフィルタの遮断周波数となるようにその
    フィルタ係数を算出してフィルタに設定し、次いで、軸
    移動によりワイヤ電極の張架走行経路長を実質上最小値
    にセットした状態でのワイヤ電極の張力検出信号を同様
    に処理して得た第2の張力変動共振周波数が前記ノッチ
    フィルタ中の他の1個のフィルタの遮断周波数となるよ
    うにそのフィルタ係数を算出してフィルタに設定し、更
    に上記両ノッチフィルタを縦続接続してなることを特徴
    とするワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御回路のフ
    ィルタの決定及び調整設定方法。
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