JP3883690B2 - ワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置及びその方法並びに張力制御回路のフィルタの決定及び調整設定方法 - Google Patents

ワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置及びその方法並びに張力制御回路のフィルタの決定及び調整設定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤ放電加工装置のワイヤ電極の引き取り装置とブレーキ制動力付与装置間のワイヤ電極張架走行系に於ける走行ワイヤ電極の張力制御装置及びその制御方法、並びに張力制御回路のフィルタの決定及び調整設定方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
ワイヤ放電加工は、ワイヤ電極を引き取り装置とブレーキ制動装置間で、一定速度引き取り又は一定速度送り出しに対し他方の前記引き取り装置又はブレーキ装置を制御することにより前記引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で一対の位置決めガイド間を走行更新移動させ、該ガイド間ワイヤ電極に被加工体を微小間隙を隔てて相対向せしめ、前記間隙に加工液を介在させた状態で両者間に休止時間を有する間歇的な電圧パルス等を印加し繰り返し発生する放電により加工を行なうものであるが、上記ワイヤ電極に付与される張力の一定維持制御が充分に行なわれず加工中に変動すると、加工面の筋の発生、加工寸法・精度の低下、及びワイヤ電極断線の発生等の原因となり改善が望まれていた。
【0003】
上記ワイヤ電極の張力制御の手法及び装置としては既に種々のものがあるが、本発明者等が先に提案した
出願日 平成9年3月7日
出願番号 特願平9−070732号
発明の名称 ワイヤ放電加工装置に於けるワイヤ電極の張力制御方法及びその装置
の手法が有効である。
即ち、この張力制御に於いては、使用ワイヤ電極に対するNC装置からの速度設定信号と張力設定信号とからワイヤ電極の基準速度指令信号を生成させ、走行移動ワイヤ電極からの速度検出信号によってフィードバック制御されている前記ブレーキ装置のサーボドライバに、前記基準速度指令信号を速度指令として供給し制御すると共に、前記ブレーキ装置と引き取り装置間の張架走行系を移動中のワイヤ電極から検出した張力検出信号と前記張力設定信号とを差動演算して得た張力補償信号を、前記基準速度指令信号と加算処理した信号を前記速度指令として前記サーボドライバを制御することによりワイヤ電極の張力を一定に制御するものであるが、この場合の張力制御のフィードバック制御系の制御特性を良好なものとするには、発散しないで利得(ゲイン)余裕があり、かつ位相遅れが大きくない位相特性の良好なものとすることが必要であり、このためには前記張力検出信号からサーボドライバへの速度指令迄の張力制御回路中に所定の利得特性と位相特性を持ったフィルタを挿設する必要がある。
【0004】
そして、このフィルタを決定、設置する手法の一つとして、上記先願発明は前記使用するワイヤ電極の種類及び線径の両方又は何れか一方が相違することにより変化するワイヤ電極の前記張架走行系に於ける前記張力検出信号から検知可能な張力変動共振周波数を遮断周波数とするローパスフィルタ又は遮断周波数帯域とするノッチフィルタ(又はバンドストップフィルタ)を予め用意しておいたフィルタから選定又は調整設定し、前記張力補償信号を前記設定又は調整設定したフィルタを介して前記基準速度指令信号との加算処理に出力させて得た速度指令を前記サーボドライバに供給して張力制御を行なわせるものであった。
【0005】
また、フィルタを決定、設置するもう一つの手法として、上記先願発明に於いてはワイヤ放電加工の加工開始時又はワイヤ電極の交換セット後の加工の開始に際し、張力制御回路にフィルタを挿入しないでワイヤ電極を走行移動させて張力検出信号を所望回数取り出して記憶し、該記憶した張力検出信号をフーリエ級数解析して最も振幅の大きい周波数成分の周波数を算出し、該算出周波数をワイヤ電極の張架走行系に於ける張力変動共振周波数として該算出周波数を遮断周波数とするローパスフィルタ又は遮断周波数帯域とするノッチフィルタ(又はバンドストップフィルタ)を予め用意しておいたフィルタから選定又は調整設定し、前記張力補償信号を前記選定又は調整設定したフィルタを介して前記基準速度指令信号との加算処理に出力させて得た速度指令を前記サーボドライバに供給して張力制御を行なうことを提案した。
【0006】
また、上述のフィルタの決定、設置に於いて、フィルタとしてノッチフィルタを用いると、該ノッチフィルタはシステムの周波数応答曲線の中で鋭い落ち込みを示す帯域除去フィルタと言う利得特性と共に位相遅れが少ない優れた位相特性を有するところから好ましいものである。即ち、このノッチフィルタを挿設した張力制御回路は、利得余裕が大きく、かつ系の安定性も良いところから、張力変動を効率良く確実に取ることができると言う優れたもので、ワイヤ放電加工機への実施効果は顕著なものであった。
【0007】
しかして、図5は上記のようなワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御で使用する周波数領域に於いてバンドストップ特性を有するノッチフィルタ(又はバンドストップフィルタ)の1列の振幅特性(5A)と位相特性(5B)を示すもので、ゲイン(振幅比)特性の良好な(ゲイン0.2dB以下)斯種ノッチフィルタは、遮断周波数の帯域幅が狭いものである。そうすると、前述張力制御回路中に於ける張力変動共振周波数の信号を十分に(ゲイン0.2dB又はそれ以上)低減させるには、ノッチフィルタの遮断周波数を上記張力変動共振周波数により正確に合致させておくことが必要なものである。そしてこの場合ワイヤ電極の張架走行系に於ける張力検出信号及び該張力検出信号からフーリエ級数解析により算出される張力変動共振周波数は、より精確を期して検出及び求めなければならないことは当然である。
【0008】
然るに図6に概略構成を示す側面図として示したワイヤ放電加工機は、最も一般的な構成機構のものであるが、一対のガイド間のワイヤ電極を所定角度傾斜させた所謂テーパ加工と傾斜角度零の加工とではワイヤ電極引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の張架走行経路長が相違し、前記張力変動共振周波数が互に相違しており、このことは加工途中でもテーパの傾斜角度が変化すれば、上記共振周波数が変化して行っていることになる。
図に於いて、1はワイヤ放電加工機本体のベッド、2は該ベッド1上に水平なXY二軸方向に移動可能に設けた加工テーブルであって、XY二軸平面を形成する。3,4は該加工テーブル2を移動させるX及びY軸駆動サーボモータであり、これ等加工テーブル2及びモータ3,4によって加工送り装置を構成する。5は前記ベッド1上に起立して設けたコラム、6,7は該コラム5から前記加工テーブル2上に伸長させて設けた上下一対の上アームと下アームである。8,9は加工部に加工液を噴射供給する上下一対のノズル装置であり、被加工物26と対向する加工部のワイヤ電極10を案内位置決めするガイド該11,12及び加工用電源27に接続する給電子28,29が該ノズル装置8,9内に夫々固定配置されている。上側ノズル装置8は、X軸と平行なU軸及びY軸と平行なV軸方向に移動可能に基板13に設けたUVクロステーブル14に固定支持されており、該基板13は上アーム6の先端側に設けたZ軸駆動機構15の先端に吊持固定支持され、加工テーブル2平面と直交するZ軸方向にZ軸駆動サーボモータ16によって位置決め移動する。下側ノズル装置9は、下アーム7の先端側に固定支持されている。17,18は、UVクロステーブル14を駆動するU軸駆動サーボモータ及びV軸駆動サーボモータであり、これ等UVクロステーブル14、Z軸駆動機構15、及び各サーボモータ16,17,18によって上ガイド11駆動装置を構成する。ワイヤ電極10は貯蔵リール19から繰り出され、上アーム部プーリ20、上部ガイド11、下部ガイド12、下アーム部プーリ21を経て巻取り回収リール22に至る走行経路に装架され、引っ張り引き取り装置23とブレーキ装置24間の張架走行経路中を所定の張力と速度で走行移動する。又25は被加工体26が載置固定される載物台であり載物面が加工テーブル2平面と平行になるように加工テーブル2上に固定される。27はワイヤ放電加工用の電源で、被加工体26とワイヤ電極10への給電子28,29に接続される。30はワイヤ放電加工用のコンピュータ制御の数値制御装置で、前記加工用電源27のプログラム等に応ずる設定制御の外、XY軸駆動サーボモータ3,4による加工輪郭形状の形成及びその加工送り制御、UV軸駆動サーボモータ17,18によるテーパ加工の傾斜角度及びその追従の作動制御、及びZ軸駆動モータ16による上側ノズル装置8(上ガイド11)の位置を制御する。なお、31はキーボード等の入力装置であり、その他各種外部記憶装置やその読み込み装置等は省略してある。又、図示の例では、加工使用済のワイヤ電極10を回収リール22に巻取り回収する構成として示しているが、回収の量的問題、特に巻取操上の多トラブル問題から、ベッド1の側部や後部に可成り大きなバケット32を配置し、引き取り装置23から排出されるワイヤ電極10を受けて回収する構成とするのが普通である。
【0009】
図6のワイヤ放電加工機の場合、ワイヤ電極10の、引き取り装置23とブレーキ装置24間の張架走行経路長は、UVクロステーブル14がU軸方向の中心又は中央位置及びV軸方向の中心又は中央位置にあってテーパの傾斜角度零度、即ち、上下プーリ20,21間のワイヤ電極10がXYクロステーブルに垂直でで、Z鉛直軸に平行のとき、上及び下ガイド11,12によって案内位置決めされる加工部ワイヤ電極10の長さは最小値で、テーパの傾斜角度が大きくなるにつれて、上ガイド11と下ガイド12間のワイヤ電極及び上ガイド11と上アーム部プーリ20間のワイヤ電極の各長さは、上ガイド11のUV軸中央位置からの送り変位により傾斜するから順次大きくなり、UV各軸のストローク端、即ち、U軸がプラス方向のストローク端でV軸がプラス及びマイナスストローク端にあるとき、及びU軸がマイナス方向のストローク端でV軸がプラス及びマイナスストローク端にあるとき夫々上記ワイヤ電極の長さが最大で張架走行経路長が最大値となることが明らかである。
【0010】
【発明が解決しようする課題】
而して上記U及びV軸のストロークは、機械の大きさ、各部の寸法等によっても種々なものがあるが、上述図6に示したようなUVテーブルの構成配置のものではその剛性等の問題から、UV各軸のストロークは約70mm(各軸中央位置からプラス及びマイナス方向に各約35mm)前後程度であるが、機械の大きさや各部の寸法等によっては、ワイヤ電極の張架走行経路の長さが最大値時と最小値時とで、長さの差が少なくなく、他方張力制御回路に挿入使用するノッチフィルタ(又はバンドストップフィルタ)の遮断周波数を決めるフィルタ係数を求めるための張力変動共振周波数(の最大値)は、上記張架走行経路長にリンクして変化するものである所から、フィルタ係数(遮断周波数)の決め方によっては、テーパの傾斜角度の設定によってはワイヤ電極の張力制御が出来ないとか、又加工の途中でテーパの傾斜角度が徐々に又は部分的に変化するもの等の場合に、加工場所によって張力制御が正確に行なわれる所とそうでない所があって精密加工が出来なかったり、ワイヤ電極断線事故が発生するなどの問題が生じていた。
【0011】
これは、例えば、張力制御回路中に挿入するノッチフィルタ(又はバンドストップフィルタ)を選定又はフィルタ係数を調整設定するために、張架走行系のワイヤ電極から張力(変動)を検出し、該張力検出信号をフーリエ級数解析して最も振幅の大きい周波数成分の振動を、ノッチフィルタの遮断周波数として決定するための張力変動共振周波数として算定する際、上記ワイヤ電極の張架走行経路長が最小値時のテーパの傾斜角度が零度の、U及びV軸が何れも軸方向中心又は中央位置にある状態の設定で、上述のワイヤ電極の張力変動の検出をし、該張力検出信号から張力変動共振周波数を算定し、次いで該共振周波数を遮断周波数とするようにフィルタ係数を設定したノッチフィルタ(又はバンドストップフィルタ)を使用して張力制御をした場合と、上記ワイヤ電極の張架走行経路長が最大時の、テーパの傾斜角度が仕様最大時の、U及びV軸が何れも軸端位置にある状態の設定で、ワイヤ電極の張力変動の検出をし、該張力検出信号から張力変動共振周波数を算定し、次いで該共振周波数を遮断周波数とするようにフィルタ係数を設定したノッチフィルタ(又は、バンドストップフィルタ)を使用して張力制御をした場合について検討すると次の通りである。
【0012】
前記図6に示したワイヤ放電加工機と同種の機械に於いて、ワイヤ電極の張架走行経路長(mm)と張力変動共振周波数(Hz)を測定した所、下記のような値が得られた。なお、ワイヤ電極は、φ0.2mm黄銅の場合であり、又下記には張架走行経路長が、最小値時及び最大値時の場合と、その中間値近くの場合とが示してある。
Figure 0003883690
【0013】
以上の如き測定結果から、張力制御回路に挿設するノッチフィルタの遮断周波数を、ワイヤ電極の張架走行経路長を最小値として測定した張力変動共振周波数に合致させるようにフィルタ係数を設定してワイヤ放電加工を実行すると、テーパ加工をしたり、加工中にテーパ度が変化する何れの加工をするにしてもその時のワイヤ電極の張架走行経路長は最小時よりも必ず長くなる訳で、張力変動共振周波数は低くなる訳であるから、この低い周波数の振動は挿設ノッチフィルタによって充分取り切れず、張力制御が充分出来ないと言うことになる。
又上述とは逆に、張力制御回路中に挿設するノッチフィルタの遮断周波数を、ワイヤ電極の張架走行経路長を最大値として測定した張力変動共振周波数に合致させるようにフィルタ係数を設定してワイヤ放電加工を実行すると、テーパ度が最大時よりも少し小さい位のテーパ加工では、その条件での張力変動共振周波数の振動を取り切れ張力制御を良好に行なうことが出来るものの前記ノッチフィルタの帯域幅が狭い所から、テーパ度が小さく変化したり又は小さい設定になると、その条件での周波数の振動は充分取り切れなくなる可能性が大きくなるものである。
このため、使用する機械や、該機械を使用して実行する加工の態様、加工条件、設定等にもよるが、仮にノッチフィルタの遮断周波数を、ワイヤ電極の張架走行経路長の最大値と最小値の場合のほぼ中間値の場合に対応する張力変動共振周波数に合致するように、フィルタ係数を設定したものを使用しても、帯域幅が狭い所から、例えば上記最大値時と最小値時の場合の周波数の振動を充分取り切れなくなる可能性が高いものである。
【0014】
近時、ワイヤ放電加工機は、高性能化は勿論高度の高精度化、及び多様な高機能化が進み、数値制御プログラム作成の簡易化及びAPT化、加工用電圧パルス電源やその制御等だけでなく、加工機本体の構成型式等も、高操作性化、高精度大板厚被加工体、及び大テーパ度加工に対応するため、例えば各種の構成の被加工体の加工液中浸漬加工機や被加工体側固定式加工機等種々の工夫や変形したものが製作されて来ており、そしてその中には、加工機の移動軸(X,Y,Z,U,又はV、或はさらにW)を単独又は組合せ移動させたときに、ワイヤ電極の前記引き取り装置とブレーキ装置間の張架走行経路長が、付与テーパ度や加工送りによって増減変化する構成型式のもの、そしてその増減変化の割合が小さくない、又大きくなるものがあり、張力制御回路の改良対応が望まれていた。
【0015】
図7のワイヤ放電加工機は、被加工体26を載物台25を介して固定する加工テーブル2側をベッド1に固定し、加工工具としてのワイヤ電極10側をXY二軸に可動で加工送りする構成とすると共に、所謂加工液中浸漬加工を可能とするための加工槽33が加工テーブル2に取り付けられた加工機の例で、各軸の送りを説明するための概略側面図のため各部の詳細は省略してある。図に於いて34はベッド1上に紙面に直角なX軸方向移動可能に設けたX軸コラム(X軸移動ユニット)で、該X軸コラム34上にY軸方向移動可能にY軸ラム35(Y軸移動ユニット)を設け、該Y軸ラム35の加工槽33、加工テーブル2側に張り出した先端側の前面に加工ヘッド36が、Z軸方向(X−Y軸と直交方向)に移動可能に配置され、該加工ヘッド36の下端にテーパ加工用のU軸スライダ14UとV軸スライダ14Vを有するUVクロステーブル14が取付けられている。このUVクロステーブル14には先端部に上ノズル装置8を取付けた上側アーム6Aとワイヤ電極10の自動挿通ユニット37とが取付けられ、上記上ノズル装置8と対向する下ノズル装置9はX軸コラム34に対しY軸ラム駆動サーボモータ3AによりY軸方向に移動するY軸ラム35と一体の下側アーム7Aの先端部に取付けられている。そして図示してないが、加工ヘッド36の前面側にはワイヤ電極の貯蔵リール及び前述ブレーキ装置等のワイヤリングユニットが設けられている。そして図示の装置での使用済ワイヤ電極10の排出回収装置の構成、配置としては種々考えられるものの、或る程度の大きさのバケット32を使用する以上引き取り装置23は、可動部のX軸コラム34やY軸ラム35と一体の下側アーム7A部等ではなく、ベッド1等の固定部に設ける必要があるものである。即ち、上記引き取り装置23を、例えば下側アーム7A下側後端へ設けたとすると、上記引き取り装置23からY軸に沿って後方にY軸移動ストロークの約1/2の長さ伸長して排出パイプ等を設け得たとして、バケット32の上方開口面積を、大凡本機のX軸コラム34の全送りストローク長さとY軸ラム35の全送りストローク長さの積の大きさとする必要性が高く、現実性のない構成となってしまうからである。
【0016】
この図示したワイヤ放電加工機のワイヤ電極の張架走行経路長は、UVクロステーブル14によるテーパ加工の傾斜角度変化又は設定により先に図示説明の図6の場合と同様増減変化する丈でなく、ワイヤ電極貯蔵リールと共にブレーキ装置がZ軸方向移動可能な加工ヘッド36に設けられている所から、該加工ヘッド36のZ軸方向の位置の変化又は設定によっても増減変化し、そして更に加工送りに伴なって絶えず位置が変化するX軸コラム34及びY軸ラム35の移動で引き取り装置23との間で大きく増減変化する。そして、前記ワイヤ電極の張架走行経路長の最小値時は、UVクロステーブル14によるテーパの傾斜角度が零で、加工ヘッド36が最大降下位置にあり、かつX軸コラム34がX軸ストロークの中心又は中央位置でY軸ラム35がY軸ストロークの中心又は中央位置にあるときで、逆に最大値時は、UVクロステーブル14によるテーパの傾斜角度が最大で、加工ヘッド36が最大上昇位置にあり、かつX軸コラム34がX軸ストロークの何れかのストローク端にあると共にY軸ラム35がY軸ストロークの何れかのストローク端に位置している時と言うことになり、最小値時と最大値時との経路長の違いは極めて大きなものとなる。なお、上記の場合、引き取り装置23は、X軸コラム34のX軸方向ストロークの中央で、Y軸ラム34のY軸上の後方(図示の場合右側)の固定位置にある場合であるが、紙面表裏方向のベッド1につながる側方位置にあっても良い。
【0017】
図8は、より大テーパ度のワイヤ放電加工を実現すべく前記図7のワイヤ放電加工機の加工ヘッド36、特にUVテーブル14部分の構成を変更したもので、前記図7のワイヤ放電加工機の前記Y軸ラム35上にX軸方向に移動可能にU軸コラム38を設けると共に、該U軸コラム38上にY軸方向に移動可能にV軸ラム39を設けた積層構造で、該V軸ラム30の加工テーブル2側に張り出した先端側の前面に加工ヘッド36AがZ軸方向に移動可能に配置され、該加工ヘッド36Aの下端部には上ノズル装置8を取付ける上アーム6Bが取付けられている。又、前記加工ヘッド36Aの前面パネル40には、ワイヤ電極10の貯蔵リール19、及び図示では省略されているが、ワイヤ電極の張架走行系を構成するブレーキ装置24や、自動挿通ユニット37等が設けられており、41はEMC機能を有する装置全体を覆うカバーである。かかる構成のワイヤ放電加工機によると、加工送りを担うX軸コラム34とY軸ラム35軸方向全送りストロークが、例えば約400〜600mm(ストローク中央位置からプラス及びマイナスに夫々約200〜300mm)に対し、主としてテーパの傾斜角度を付与するU軸コラム38とV軸ラム39の軸方向全ストロークを、例えば約200mm(ストローク中央位置から両側に各約100mm)程度の設定とすることができ、加工ヘッド36AのZ軸移動ストローク、例えば約200mmを加えて、大板厚の被加工体26の垂直加工から大傾斜角度のテーパ加工まで対応可能となるが、ワイヤ電極の張架走行経路長が、加工中に大きく変ったり、設定により大きく相違する所から、ワイヤ電極の良好な張力制御を困難にし、目的とするワイヤ放電加工が充分できないと言う問題があった。
そして、この形式のワイヤ放電加工機では、互に平行方向に移動可能な二軸(X軸とU軸、及びY軸とV軸)が同一方向に移動する場合、機械剛性等に対するオーバハングの問題から、夫々同一方向のストローク端迄移動させ得るとは限らないが、上述したUV軸の構成の関係からワイヤ電極の張架走行経路長の最大値時の長さが、前述図7のものの場合よりも長くなっていることが明らかである。
【0018】
上述の図7乃至図8に示したものの外に、例えば図6のワイヤ放電加工機に於いて、下側ガイドを有する下ノズル装置をUVクロステーブルを介して下アームに取り付けるか、或いは更に上記下ノズル装置にZ軸移動が付与される形式、構成のもの、又は載物台がY軸テーブル上で、上下アームを有するコラムがX軸テーブル上に設置され、上側又は下側ガイド(ノズル装置)がアーム先端のUVクロステーブルを介して取付けられた構成のもの、或いはさらに、載物台を固定として、ベッド上に第1のXYクロステーブルと第2のXYクロステーブル並設し、第1のXYクロステーブルに下アームを設けて該アームの先端に下側ガイドを設けると共に、第2のXYクロステーブルに上アームを設けて該アームの先端に上側ガイド取付ける構成のもの等、各種形式のワイヤ放電加工機に適用して有効なワイヤ電極張力の制御方法及び装置の提供が望まれていたものである。
従って、本発明は、ワイヤ放電加工機の移動軸(X,Y,Z,U,又はV軸)を単独又は組合せて移動又は移動変位させたときに、前記引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の張架走行経路長が増減等変化する形式、構成のワイヤ放電加工機に於いても良好で、より完全なワイヤ電極の張力制御を行なうことができるワイヤ電極張力制御装置、ワイヤ電極張力制御方法、及びワイヤ電極張力制御回路のフィルタの決定及び調整設定方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前述の本発明の目的は、
(1)ワイヤ電極を引き取り装置とブレーキ装置間で、一定速度引き取り又は一定速度送り出しに対して前記引き取り装置又はブレーキ装置を制御することにより前記ワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で一対の位置決めガイド間を走行更新移動させ、該ガイド間ワイヤ電極に被加工体を微小間隙を隔てて相対向せしめ、加工液を介在させた状態で間歇放電を発生させて加工するワイヤ放電加工であって、加工機の移動軸(X,Y,Z,U,又はV)を単独又は組合せ移動させたときに、前記引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の張架走行経路長が増減変化する型式構造のワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置に於いて、加工に際してのNC装置からのワイヤ電極の速度設定信号と張力設定信号とからワイヤ電極の基準速度指令信号を生成する基準速度指令生成手段と、前記引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の張力を検出するように設けられた張力検出手段と、該張力検出手段による前記走行移動中のワイヤ電極の張力検出信号と前記張力設定信号とを差動演算して張力補償信号を生成する手段と、前記基準速度指令信号と張力補償信号とを加算処理して得た信号を、前記走行移動するワイヤ電極からの速度検出信号によってフィードバック制御されている前記引き取り装置又はブレーキ装置のサーボドライバに速度指令として付与する速度指令手段とを備えると共に、前記ワイヤ放電加工機に於けるワイヤ電極の前記張架走行経路長の実質上の最大値時と最小値時との各ワイヤ電極張架走行系の各張力変動共振周波数を各遮断周波数とするノッチフィルタを前記張力検出信号からサーボドライバへの速度指令入力迄の張力制御回路中に挿設して成るワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置とすることにより、
(2)又、前記ノッチフィルタが、ワイヤ電極の前記張架走行経路長が実質上最大値時のワイヤ電極張架走行系の張力変動共振周波数を遮断周波数とするノッチフィルタと、ワイヤ電極の張架走行経路長が実質上最小値時の張力変動共振周波数を遮断周波数とするノッチフィルタとの縦続接続フィルタである(1)に記載のワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置とすることにより、
(3)又、前記縦続接続フィルタが、更に、前記ワイヤ電極張架走行経路長の実質上の最大値と最小値の中間値時のワイヤ電極張架走行系の張力変動共振周波数を遮断周波数とするノッチフィルタを縦続接続して成るものである前記(2)に記載のワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置とすることにより、
又(4)前記複数個のノッチフィルタ中前記遮断周波数が高い側のノッチフィルタの前記遮断周波数が当該ノッチフィルタの上限側の遮断周波数であり、又前記遮断周波数が低い側のノッチフィルタの前記遮断周波数が当該ノッチフィルタの下限側の遮断周波数である前記(1)、(2)又は(3)に記載のワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置とすることにより良く達成される。
【0020】
又、前述の本発明の目的は、(5)ワイヤ電極を引き取り装置とブレーキ装置間で、一定速度引き取り又は一定速度送り出しに対して前記引き取り装置又はブレーキ装置を制御することにより前記ワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で一対の位置決めガイド間を走行更新移動させ、該ガイド間ワイヤ電極に被加工体を微小間隙を隔てて相対向せしめ、加工液を介在させた状態で間歇放電を発生させて加工するワイヤ放電加工であって、加工機の移動軸(X,Y,Z,U,又はV)を単独又は組合せ移動させたときに、前記引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の張架走行経路長が増減変化する型式構造のワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御方法に於いて、加工に際してNC装置から出力されるワイヤ電極の速度設定信号と張力設定信号とからワイヤ電極の基準速度指令信号を生成させ、走行移動するワイヤ電極からの速度検出信号によってフィードバック制御されている前記引き取り装置又はブレーキ装置のサーボドライバに、前記基準速度指令信号を速度指令として供給する際に、前記引き取り装置とブレーキ装置間の張架走行系を移動中のワイヤ電極から検出した張力検出信号と前記張力設定信号とを差動演算して得た張力補償信号を、前記基準速度指令信号と加算処理し、該加算処理によって得た信号を前記速度指令として供給しサーボドライバを制御する際、前記張力検出信号からサーボドライバへの速度指令迄の張力制御回路中に前記ワイヤ電極の張架走行経路長が実質上最大値時と最小値時との各ワイヤ電極張架走行系の各張力変動共振周波数を各遮断周波数とするノッチフィルタが設けられているワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御方法とすることにより達成される。
【0021】
又、前述の本発明の目的は、(6)ワイヤ電極を引き取り装置とブレーキ装置間で、一定速度引き取り又は一定速度送り出しに対して前記引き取り装置又はブレーキ装置を制御することにより前記ワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で一対の位置決めガイド間を走行更新移動させ、該ガイド間ワイヤ電極に被加工体を微小間隙を隔てて相対向せしめ、加工液を介在させた状態で間歇放電を発生させて加工するワイヤ放電加工であって、加工機の移動軸(X,Y,Z,U,又はV)を単独又は組合せ移動させたときに、前記引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の張架走行経路長が増減変化する型式構造のワイヤ放電加工機に於いて、加工に際してNC装置から出力されるワイヤ電極の速度設定信号と張力設定信号とからワイヤ電極の基準速度指令信号を生成させ、走行移動するワイヤ電極からの速度検出信号によってフィードバック制御されている前記引き取り装置又はブレーキ装置のサーボドライバに、前記基準速度指令信号を速度指令として供給する際に、前記引き取り装置とブレーキ装置間の張架走行系を移動中のワイヤ電極から検出した張力検出信号と前記張力設定信号とを差動演算して得た張力補償信号を、前記基準速度指令信号と加算処理し、該加算処理によって得た信号を前記速度指令として供給しサーボドライバを制御する際、前記張力検出信号からサーボドライバへの速度指令迄の張力制御回路中に挿設するフィルタの決定及び調整設定する方法に於いて、遮断周波数を設定するためのフィルタ係数の設定が可能な少なくとも2個のノッチフィルタを用意し、当該放電加工機の前記軸移動により前記ワイヤ電極の張架走行経路長を実質上最大値にセットした状態でワイヤ電極を張架走行移動させ、該ワイヤ電極から検出した張力検出信号を所望回数取り出して記憶し、該記憶した張力検出信号をフーリエ級数解析して最も振幅の大きい周波数成分の周波数をワイヤ電極の当該張架走行系における張力変動共振周波数として算定し、該張力変動共振周波数が前記ノッチフィルタ中の1個のフィルタの遮断周波数となるようにそのフィルタ係数を算出してフィルタに設定し、次いで、軸移動によりワイヤ電極の張架走行経路長を実質上最小値にセットした状態でのワイヤ電極の張力検出信号を同様に処理して得た第2の張力変動共振周波数が前記ノッチフィルタ中の他の1個のフィルタの遮断周波数となるようにそのフィルタ係数を算出してフィルタに設定し、更に上記両ノッチフィルタを縦続接続してなるワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御回路のフィルタの決定及び調整設定方法とすることにより達成されるものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、ワイヤ電極10の張架走行系の概念図に、本発明の張力制御装置のブロックダイアグラム図を付加して示したもので、ワイヤ電極10は加工中ワイヤ電極貯蔵リール19からガイドプーリ20A、ブレーキ装置24のブレーキプーリ24A等複数のプーリを経由して、一対の位置決めガイドを内包する上下のノズル装置8,9が所望間隔を配置される加工部分10Aに供給され、必要に応じて1つ以上設けられるガイドプーリ21A等を経由して引き取り装置23のピンチローラ23B付き引き取りプーリ23Aを経てバケット等の回収装置に回収される。図示の場合引き取り装置23の引き取りプーリ23Aを駆動する引き取りサーボモータ23Cは、数値制御装置30Aから設定速度指令信号が入力するサーボドライバ23Dに図示しない速度検出器の検出速度をフィードバックしてワイヤ電極10を一定速度で引き取り排出するよう制御されており、他方のブレーキ装置24のブレーキプーリ24Aを制動駆動するブレーキサーボモータ24Bのサーボドライバ24Cも同じく数値制御装置30Aから入力する速度設定値SSと張力設定値TSから造られる速度指令(又はトルク指令)SCが入力し、該速度指令SCに対してサーボモータ24Bの速度検出器からの速度検出信号をフィードバックさせて一定のブレーキ力となるように制御しているが、ワイヤ電極10は引き取り装置23とブレーキ装置24間の張架走行経路中に於いて、介在プーリの偏心やサーボモータ23C,24Bによる引き取りや制動力の変動等による外乱等との共振により、使用ワイヤ電極の材質・種類や線径及び張架経路長により固有の周波数の張力変動共振を生じ張力変動を生ずることになる。
【0023】
このため、上述のような引き取り装置23とブレーキ装置24の制御によっては防げない張力変動を制御又は除去するために、例えば特開平4−261716号公報の如き更に速度補償信号を検出してブレーキサーボモータを制御するものがあるが、本発明では図示の如く、又一部先に提案のように、ワイヤ電極10の加工部分10Aの直前の上流部分等張架走行経路上の一部に於いて、例えば、種々の力、圧力センサ等を用いた張力検出器42を設けて前述の張力変動を検出し、該検出した実測の張力信号TMを増幅器43で増幅し、一例を示す図4で示すような張力制御装置44を設けたものである。この張力制御装置44に於いては、後に詳述するように、予め対象としたワイヤ放電加工機に於けるワイヤ電極の張架走行経路長の最大値時と最小値時の各張力検出信号から張力変動共振周波を求め、使用するアナログ又はディジタルノッチフィルタの遮断周波数を所定に調整設定するフィルタ係数を求めノッチフィルタに設定する外、ワイヤ放電加工中に前記調整設定したノッチフィルタを挿設した張力制御回路を用いて、精密に制御され張力変動が殆んど無い状態でのワイヤ放電加工を実現させるものである。即ち、ワイヤ放電加工の実行中は、数値制御装置30Aから設定により出力しているワイヤ電極の速度設定信号SSと張力設定信号TSとから基準速度指令信号を生成させ、該基準速度指令信号をサーボドライバ24Cに速度指令(又はトルク指令)SCとして与え、走行移動するワイヤ電極からの速度検出信号を前記サーボドライバ24Cにフィードバックしてブレーキ装置24のサーボモータ24Bを制御する際、前記引き取り装置23とブレーキ装置24間の張架走行系を移動中のワイヤ電極10から張力検出器42によって検出して得た実測の張力検出信号TMを前記張力設定信号TSと差動演算処理して張力補償信号TCを得、この張力補償信号TCを前記基準速度指令信号に加算処理して張力補償された前記速度指令SCを生成させるのであるが、上記張力補償信号に含まれている機械毎に固有のワイヤ電極張架走行系に於ける最大の張力変動共振周波数を除去するために、該周波数を遮断周波数とするノッチフィルタを前記張力検出信号部からサーボドライバ24Cへの速度指令部迄の張力制御回路中に設けた構成とするものである。
【0024】
然るに、斯種ノッチフィルタ(又はバンドストップフィルタ)は、図5で説明したように、振幅特性及び位相特性とも優れたもので張力制御回路に使用するのに好適なものであるが、遮断周波数の帯域幅が狭いと言う名称通りのものであり、このため前述図6〜8、特に図7や図8のようなワイヤ電極の張架走行経路長が加工中に大きく変る又は大きく違う設定の出来る形式のワイヤ放電加工機には適用し難いか適用効果を挙げ難い、又は加工中に加工面筋発生の原因等となるフィルタ切換えをする必要のない適用可能な工夫が望まれていた。
そこで本発明は、ノッチフィルタの特性を損なわないように、ノッチフィルタを使用し、その遮断周波数の帯域幅が増大又は拡大したフィルタとするために、遮断周波数の帯域幅が、周波数の低い方の上部と周波数の高い方の下部とが重なるような互いに遮断周波数が異なるノッチフィルタを縦続接続して使用するようにしたもので、そして本発明は前述のようにワイヤ放電加工機のワイヤ電極張架走行系に掛わるものであるところから前記の異なる2つの遮断周波数を、そのワイヤ放電加工機のワイヤ電極張架走行経路長の実際上使用される最小値時と最大値時の各最大振幅の張力変動共振周波数により決定するようにしたものである。
【0025】
之を図2と図3の異なる遮断周波数を有し、周波数帯域の一方の上部と他方の下部とが重なる各ディジタルノッチフィルタ1とノッチフィルタ2とを縦続接続(図3)した2段ノッチフィルタの振幅(ゲイン)及び位相特性図(図2の2A及び2B)により説明すると、その振幅特性(2A)に於いて、遮断周波数が低い方のノッチフィルタ1の帯域の上側と遮断周波数が高い方のノッチフィルタ2の帯域の下側とが重なって、前者の(又は後者の)フィルタ1(又は2)の遮断周波数の帯域が高周波側(又は低周波側)へ平行移動したように格段に広がった2段ノッチフィルタの特性になっており、他方の位相特性(2B)を見ても大幅は悪化はなく、使用するワイヤ放電加工機のワイヤ電極の張架走行経路長が最小値時の張力変動共振周波数をノッチフィルタ2の遮断周波数とし、他方の最大値時の張力変動共振周波数をもう1つのノッチフィルタ1の遮断周波数とするようフィルタ係数を調整設定することにより、好適に本発明に適用可能なことが明らかである。
【0026】
図4は、張力制御装置44に設けられる縦続接続ノッチフィルタ1及び2のフィルタ係数を、該フィルタ付き張力制御装置44を設けるワイヤ放電加工機から走行ワイヤ電極からの張力検出から順次演算等して求めて決定し、これをアナログ又はディジタルノッチフィルタ1及び2に調整設定して本発明の張力制御回路を完成させる手法を説明する部分等を含む張力制御装置の実施例のブロックダイアグラム説明図である。
図に於いて、45は前記数値制御装置30Aに於けるキーボード等からの入力設定又は読み込み入力等したプログラム等からの読み出しにより出力されるワイヤ電極10の速度設定信号SSと張力設定信号TSとからワイヤ電極10の基準速度指令信号を生成出力する基準速度設定回路、46は前述基準速度指令信号が、未だフィルタを使用することなく後述張力変動補償等をした状態でサーボドライバ24Cに速度指令SCを出力させた状態とし、数値制御装置30Aからフィルタ係数の演算決定及び決定フィルタ係数のノッチフィルタ1及び2への調整設定プログラムよりワイヤ電極の走行開始指令信号を出力させてワイヤ電極を走行させ、張力検出器42により検出したワイヤ電極の張力検出信号TMを適宜増幅して加算回路46に供給し、張力設定信号TSと差動演算して張力補償信号TCを造り加算回路46から出力することになるが、この時一方に於いて前記ワイヤ電極の走行開始指令信号はフィルタ係数演算制御装置47に入力し、該信号の入力により演算制御装置47は切換回路48に切換え信号を出力してBに切換え、前記加算回路46から出力する張力補償信号を張力変動共振周波数の信号を取るフィルタを介せずに増幅回路49から加算回路50に出力して該加算回路50で基準速度指令信号を張力補償信号TCで補償処理して速度指令SCを生成し、サーボドライバ24Cに供給し速度指令を更新する。51及び52は、フィルタ係数演算制御装置47により演算により求められたフィルタ係数が調整設定される縦続接続用の2つのノッチフィルタ1及び2である。
【0027】
以上の状態で、ワイヤ電極10を張架走行を現に走行中のワイヤ電極から張力検出TMをし、張力補償信号TCを造って張力制御をしつつワイヤ電極を走行させる加工中の状態として、前記張力検出信号TMをフィルタ係数演算制御装置47に取り込みフィルタ1又は2のフィルタ係数を演算等して求めることになるが、本発明は前述のように対象ワイヤ放電加工機につきワイヤ電極の張架走行経路長が最小値時と実質上有効に使用される最大値時とに夫々設定した状態で、夫々の前記張力検出信号TMを検出して取り出しフィルタ係数を求めるもので、例えば前述図8のワイヤ放電加工機に於いてワイヤ電極の張架走行経路長を最小値にセットした状態で、張力検出信号TMを検出して張力補償信号TCを造り、該補償信号により基準速度指令信号を補償した新たな速度指令SCによりサーボドライバ24Cの速度指令を更新してワイヤ電極10を張力制御をしつつ走行させる状態としている毎に前記張力検出信号TMをフィルタ係数演算制御装置47に繰り返し、例えば100回取り込み、この100個の張力値データをFFT解析のための前記100データのフーリエ級数へ展開し、該フーリエ級数から周波数毎の振幅を算出し、最も振幅の大きい周波数成分(共振周波数)の算出をし、これからノッチフィルタの係数を算出し、該フィルタ係数をノッチフィルタ2に出力してそのフィルタ係数を調整設定する。
【0028】
次に、前記図8のワイヤ放電加工機の移動軸(X,Y,Z,U,及びV)を動作移動させて、ワイヤ電極の張架走行経路長が最大値又は実質上実用範囲での最大値状態にセットし、前述ワイヤ電極の走行開始指令信号出力から、前述した同じ手法によりワイヤ電極の張架走行経路長が最大値時のフィルタ係数を求め、該フィルタ係数をノッチフィルタ1に出力してそのフィルタ係数をノッチフィルタ1に調整設定する。
【0029】
上記のようにしてフィルタ係数が調整設定されたノッチフィルタ1及びノッチフィルタ2を縦続接続すれば、前述図2で説明したのと同様な振幅特性と位相特性を有する2段ノッチフィルタが得られる訳で、フィルタ係数演算制御装置47から切換え回路48に切換え信号を出力して切換回路48を回路Bから回路Aに切換えることにより、前記縦続接続2段ノッチフィルタ(フィルタ1及び2)が、張力制御装置44の張力補償信号の回路に挿入されたことになり、ワイヤ電極10は好適に張力制御された状態で張架走行させられることになる。
【0030】
而して、前述のワイヤ電極の張架走行経路長の最小値時と最大値時の長さの差が大きい場合には、図2の振幅特性(2A)からも判るように、ノッチフィルタ1とノッチフィルタ2の高低遮断周波数間の周波数帯域に於いて、2段ノッチフィルタの振幅特性を好ましくはよりフラットな帯域幅の広いものとするには、前記複数個のノッチフィルタ中前記遮断周波数が高い方のノッチフィルタの前記遮断周波数が当該ノッチフィルタの上限側の遮断周波数であり、又前記遮断周波数が低い方のノッチフィルタの前記遮断周波数が当該ノッチフィルタの下限側の遮断周波数であるように調整設定することが好ましいものである。
又前述ワイヤ電極の張架走行経路長と最小値時との最大値時の長さの差が大きく、ノッチフィルタ1とノッチフィルタ2の高低遮断周波数間の周波数帯域に於いて無視できない振幅波状特性が出現する場合には、前記ワイヤ電極張架走行経路長の実質上の最大値と最小値時の中間値時のワイヤ電極張架走行系の張力変動共振周波を遮断周波数(前記ノッチフィルタ1とノッチフィルタ2の各遮断周波数のほぼ中間の周波数)とする第3のノッチフィルタ3を調整、設定し、前記ノッチフィルタ1とノッチフィルタ2との縦続接続2段ノッチフィルタに対し、更に縦続接続して使用するようにするものである。
【0031】
以上は、本発明を図示した実施例により説明したが、本発明は本発明の精神を逸脱しない範囲で、各部に変更を加えての実施が可能なこと当業者に明らかなことである。
例えば、前述図示実施例では、本発明によりフィルタ係数が決定設定され所望複数個を縦続接続した多段ノッチフィルタを、張力制御装置、引いては張力補償制御回路中の張力補償信号を生成させる加算回路46の出力と該張力補償信号を基準速度指令信号に加算処理してサーボドライバ24Cに新たな速度指令SCを生成する供給加算回路50との間に設けられているが、上記多段ノッチフィルタはワイヤ電極10から張力変動検出器42によって検出された張力検出信号TM中から所定の張力変動共振周波数の信号を、最終的にサーボドライバ24Cに速度指令SCとして供給される迄の間に取り除けば良いのであるから、前記多段ノッチフィルタは所望により前記張力検出器42の検出信号出力部位から前記サーボドライバ24Cへの速度指令SCの信号入力の部位間の任意の部位に設けられるものである。
又、前述図示実施例では、ワイヤ電極10を引き取り装置23によって一定速度で引き取るのに対し、ブレーキ装置24のサーボモータ24Bをそのサーボドライバ24に対する張力制御指令を与えるように構成して張力制御を行なっているが、之とは逆に、即ち、ワイヤ電極10をブレーキ装置24側から一定速度で送り出すように構成して置いて、引き取り装置23側のサーボモータ23をそのサーボドライバ23Dに対する本発明の張力制御指令を与えて制御する構成とすることができること当業者には明らかである。
【0032】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、ワイヤ放電加工に於ける従来形のワイヤ電極張力制御装置及び張力制御方法によれば、ワイヤ電極の張架走行経路長が、加工中のテーパ傾斜角度の変化や加工送り、或いは加工前のテーパ傾斜角度外の設定によって長短又は大小変化する構成のワイヤ放電加工機の場合、ワイヤ電極張架走行系に於ける走行中のワイヤ電極張力変動共振周波数が変化するか相違するため、上記種々異なる張力変動共振周波数を遮断周波数とする多数のノッチフィルタを用意して置いて切換え使用するとか、加工や作業を中断して張力変動を測定し、必要とする遮断周波数のノッチフィルタを作成したりする必要があり、作業効率が悪く又張力制御が充分に行なえていないことによる不具合の解消が難しかったのであるが、本発明のワイヤ電極張力制御装置及び張力制御方法によれば、張力制御装置の張力制御回路中に設けるノッチフィルタを、当該対象ワイヤ放電加工機に於けるワイヤ電極の張架走行経路長の実質上の最大値時と最小値時との各ワイヤ電極張架走行系の各最大の張力変動共振周波数を求め、該異なる2つの共振周波数を夫々遮断周波数とするノッチフィルタを縦続接続した縦続接続多段ノッチフィルタとしたから、フィルタの位相特性を悪化させずに遮断周波数の領域の帯域幅が広がった振幅特性とすることができ、ワイヤ電極張架走行経路長の変化にかかわりなくワイヤ電極の張力を充分制御した状態で中断なく加工を進めることができ、加工面の筋の発生や太鼓の発生がなく、加工の寸法・形状精度が高く、ワイヤ電極断線の少ない良好なワイヤ放電加工を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例装置全体の概略構成の説明図。
【図2】本発明に用いる多段ノッチフィルタの振幅特性(2A)と位相特性(2B)の説明図。
【図3】本発明に用いるディジタル多段ノッチフィルタの一構造例の図。
【図4】本発明のフィルタ係数の決定及び調整設定部を含む張力制御装置部分の一実施例の構成を説明するためのブロックダイアグラム図。
【図5】ノッチフィルタの典型的な振幅特性(5A)と位相特性(5B)を示す図。
【図6】通常型のワイヤ放電加工機の一構成例を説明するための側面図。
【図7】他の従来型のワイヤ放電加工機の構成例を説明するための側面図。
【図8】又他のワイヤ放電加工機の異なる構成例を説明するための側面図。
【符号の説明】
1 ベッド
2 加工テーブル
3,4 サーボモータ
5 コラム
6,7 上アーム、下アーム
8,9 上ノズル装置、下ノズル装置
10 ワイヤ電極
11,12 上ガイド、下ガイド
13 基板
14 UVクロステーブル
15 Z軸駆動機構
16,17,18 サーボモータ
19 貯蔵リール
20 上アーム部プーリ
21 下アーム部プーリ
22 回収リール
23 引き取り装置
24 ブレーキ装置
25 載物台
26 被加工体
27 加工用電源
28,29 給電子
30 数値制御装置
31 入力装置
32 バケット
33 加工槽
34 X軸コラム
35 Y軸ラム
36 加工ヘッド
37 自動挿通ユニット
38 U軸コラム
39 V軸ラム
40 前面パネル
41 カバー
42 張力検出器
43 増幅器
44 張力制御装置
45 基準速度設定回路
46,50 加算回路
47 フィルタ係数演算制御装置
48 切換回路
49 増幅回路
51 ノッチフィルタ1
52 ノッチフィルタ2

Claims (6)

  1. ワイヤ電極を引き取り装置とブレーキ装置間で、一定速度引き取り又は一定速度送り出しに対して前記引き取り装置又はブレーキ装置を制御することにより前記ワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で一対の位置決めガイド間を走行更新移動させ、該ガイド間ワイヤ電極に被加工体を微小間隙を隔てて相対向せしめ、加工液を介在させた状態で間歇放電を発生させて加工するワイヤ放電加工であって、加工機の移動軸(X,Y,Z,U,又はV)を単独又は組合せ移動させたときに、前記引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の張架走行経路長が増減変化する型式構造のワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置に於いて、加工に際してのNC装置からのワイヤ電極の速度設定信号と張力設定信号とからワイヤ電極の基準速度指令信号を生成する基準速度指令生成手段と、前記引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の張力を検出するように設けられた張力検出手段と、該張力検出手段による前記走行移動中のワイヤ電極の張力検出信号と前記張力設定信号とを差動演算して張力補償信号を生成する手段と、前記基準速度指令信号と張力補償信号とを加算処理して得た信号を、前記走行移動するワイヤ電極からの速度検出信号によってフィードバック制御されている前記引き取り装置又はブレーキ装置のサーボドライバに速度指令として付与する速度指令手段とを備えると共に、前記ワイヤ放電加工機に於けるワイヤ電極の前記張架走行経路長の実質上の最大値時と最小値時との各ワイヤ電極張架走行系の各張力変動共振周波数を各遮断周波数とするノッチフィルタを前記張力検出信号からサーボドライバへの速度指令入力迄の張力制御回路中に挿設して成ることを特徴とするワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置。
  2. 前記ノッチフィルタが、ワイヤ電極の前記張架走行経路長が実質上最大値時のワイヤ電極張架走行系の張力変動共振周波数を遮断周波数とするノッチフィルタと、ワイヤ電極の張架走行経路長が実質上最小値時の張力変動共振周波数を遮断周波数とするノッチフィルタとの縦続接続フィルタであることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置。
  3. 前記縦続接続フィルタが、更に、前記ワイヤ電極張架走行経路長の実質上の最大値と最小値の中間値時のワイヤ電極張架走行系の張力変動共振周波数を遮断周波数とするノッチフィルタを縦続接続して成るものであることを特徴とする請求項2に記載のワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置。
  4. 前記複数個のノッチフィルタ中前記遮断周波数が高い側のノッチフィルタの前記遮断周波数が当該ノッチフィルタの上限側の遮断周波数であり、又前記遮断周波数が低い側のノッチフィルタの前記遮断周波数が当該ノッチフィルタの下限側の遮断周波数であることを特徴とする前記請求項1、2、又は3に記載のワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御装置。
  5. ワイヤ電極を引き取り装置とブレーキ装置間で、一定速度引き取り又は一定速度送り出しに対して前記引き取り装置又はブレーキ装置を制御することにより前記ワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で一対の位置決めガイド間を走行更新移動させ、該ガイド間ワイヤ電極に被加工体を微小間隙を隔てて相対向せしめ、加工液を介在させた状態で間歇放電を発生させて加工するワイヤ放電加工であって、加工機の移動軸(X,Y,Z,U,又はV)を単独又は組合せ移動させたときに、前記引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の張架走行経路長が増減変化する型式構造のワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御方法に於いて、加工に際してNC装置から出力されるワイヤ電極の速度設定信号と張力設定信号とからワイヤ電極の基準速度指令信号を生成させ、走行移動するワイヤ電極からの速度検出信号によってフィードバック制御されている前記引き取り装置又はブレーキ装置のサーボドライバに、前記基準速度指令信号を速度指令として供給する際に、前記引き取り装置とブレーキ装置間の張架走行系を移動中のワイヤ電極から検出した張力検出信号と前記張力設定信号とを差動演算して得た張力補償信号を、前記基準速度指令信号と加算処理し、該加算処理によって得た信号を前記速度指令として供給しサーボドライバを制御する際、前記張力検出信号からサーボドライバへの速度指令迄の張力制御回路中に前記ワイヤ電極の張架走行経路長が実質上最大値時と最小値時との各ワイヤ電極張架走行系の各張力変動共振周波数を各遮断周波数とするノッチフィルタが設けられているものであることを特徴とするワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御方法。
  6. ワイヤ電極を引き取り装置とブレーキ装置間で、一定速度引き取り又は一定速度送り出しに対して前記引き取り装置又はブレーキ装置を制御することにより前記ワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で一対の位置決めガイド間を走行更新移動させ、該ガイド間ワイヤ電極に被加工体を微小間隙を隔てて相対向せしめ、加工液を介在させた状態で間歇放電を発生させて加工するワイヤ放電加工であって、加工機の移動軸(X,Y,Z,U,又はV)を単独又は組合せ移動させたときに、前記引き取り装置とブレーキ装置間のワイヤ電極の張架走行経路長が増減変化する型式構造のワイヤ放電加工機に於いて、加工に際してNC装置から出力されるワイヤ電極の速度設定信号と張力設定信号とからワイヤ電極の基準速度指令信号を生成させ、走行移動するワイヤ電極からの速度検出信号によってフィードバック制御されている前記引き取り装置又はブレーキ装置のサーボドライバに、前記基準速度指令信号を速度指令として供給する際に、前記引き取り装置とブレーキ装置間の張架走行系を移動中のワイヤ電極から検出した張力検出信号と前記張力設定信号とを差動演算して得た張力補償信号を、前記基準速度指令信号と加算処理し、該加算処理によって得た信号を前記速度指令として供給しサーボドライバを制御する際、前記張力検出信号からサーボドライバへの速度指令迄の張力制御回路中に挿設するフィルタの決定及び調整設定する方法に於いて、遮断周波数を設定するためのフィルタ係数の設定が可能な少なくとも2個のノッチフィルタを用意し、当該放電加工機の前記軸移動により前記ワイヤ電極の張架走行経路長を実質上最大値にセットした状態でワイヤ電極を張架走行移動させ、該ワイヤ電極から検出した張力検出信号を所望回数取り出して記憶し、該記憶した張力検出信号をフーリエ級数解析して最も振幅の大きい周波数成分の周波数をワイヤ電極の当該張架走行系における張力変動共振周波数として算定し、該張力変動共振周波数が前記ノッチフィルタ中の1個のフィルタの遮断周波数となるようにそのフィルタ係数を算出してフィルタに設定し、次いで、軸移動によりワイヤ電極の張架走行経路長を実質上最小値にセットした状態でのワイヤ電極の張力検出信号を同様に処理して得た第2の張力変動共振周波数が前記ノッチフィルタ中の他の1個のフィルタの遮断周波数となるようにそのフィルタ係数を算出してフィルタに設定し、更に上記両ノッチフィルタを縦続接続してなることを特徴とするワイヤ放電加工機のワイヤ電極張力制御回路のフィルタの決定及び調整設定方法。
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