JPH11250890A - 電池セパレータ用多孔性高分子フィルム - Google Patents

電池セパレータ用多孔性高分子フィルム

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JPH11250890A
JPH11250890A JP10064355A JP6435598A JPH11250890A JP H11250890 A JPH11250890 A JP H11250890A JP 10064355 A JP10064355 A JP 10064355A JP 6435598 A JP6435598 A JP 6435598A JP H11250890 A JPH11250890 A JP H11250890A
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JP
Japan
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film
porous polymer
battery separator
polymer film
separator according
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JP10064355A
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Masashi Takeda
正史 竹田
Hiroyuki Tanaka
裕之 田中
Akimitsu Tsukuda
佃  明光
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機電解液二次電池、とくにリチウムイオン
電池のセパレータ用フィルムの薄膜性、耐熱性、強度、
電解液に対する寸法安定性を向上する。 【解決手段】 厚みが0.5〜20μmの範囲にあるポ
リエステル系フィルム、あるいはポリアミド系フィルム
またはポリイミド系フィルムからなり、短径1.5μm
以下、長径6μm以下の空孔を有するとともに、空孔率
が5%以上であることを特徴とする、電池セパレータ用
多孔性高分子フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機電解液二次電
池中において、対向配置される正極および負極間で電解
液とともに使用されるセパレータ用の多孔性高分子フィ
ルムに関し、とくに、耐熱性、強度、薄膜性、微多孔
性、電解液中に浸漬後の寸法安定性に優れた電池セパレ
ータ用多孔性高分子フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】高容量、高電圧、高エネルギー密度の達
成が可能な電池として、種々の有機電解液二次電池が知
られている。この有機電解液二次電池(例えば、リチウ
ムイオン電池)においては、対向配置される正極および
負極間に、電解液とともに、両極間にイオンの流通が可
能な多孔性高分子フィルムがセパレータとして設けられ
ている。
【0003】有機電解液二次電池、例えば、リチウムイ
オン電池においては、電池中に不安定な金属が存在して
おり、ショートや引火等を生じる危険性があるため、特
に溶融した金属リチウムは反応性に富むため、安全性を
確保するために、電池中の温度がリチウムの融点(=1
86℃)になる前に回路を遮断する必要がある。従来こ
の対策として、電池内のセパレータに、リチウムの融点
よりも低融点である厚みが約25μm程度の多孔性ポリ
エチレンフィルムあるいはポリプロピレンフィルムが使
用されており、リチウムが溶融する以前にセパレータフ
ィルムを溶融させ、該溶融により空孔が潰れて絶縁体と
なるような機能(シャットダウン特性)を持たせること
が広く知られている。例えば特開平3−203160公
報では、ポリエチレンフィルムがリチウムの融点よりも
低温度で上記シャットダウン特性を有することを指摘
し、該フィルムを使用した、防爆型二次電池を提案して
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなセ
パレータとして使われているポリエチレンフィルムある
いはポリプロピレンフィルムには、耐熱性に劣るだけで
なく、必要とされる強度を保って薄膜化することに限界
があり、制限された電池サイズを考慮すると、蓄電能力
の大幅な向上は期待できないという問題がある。すなわ
ち、このようなフィルムを単に薄膜化すると、局部的に
強度が不十分な箇所や、とくに高温時にセパレータとし
ての形態保持性が不十分になる箇所の生じるおそれがあ
り、それによって、電池中で引火等の不都合が生じるお
それがあるとともに、所望のイオン透過性を備えたセパ
レータが形成されなくなるおそれがあるので、あるレベ
ル以上には薄くできない。
【0005】一方、近年特開平8−111238号公報
に記載されているように、実質的に引火点をもたない電
解液が提案された。このような電解液を使用すると、引
火等に対する安全性が大幅に高められるので、所望のイ
オン透過性さえクリアできれば、セパレータを薄膜化で
きる可能性が出てきた。
【0006】また、有機電解液二次電池としては、一層
の小型化、あるいは、同じサイズであっても一層の高容
量化、高電圧化等が求められつつあり、これらに用いる
セパレータフィルムとして、より一層の薄膜性、耐熱
性、強度、電解液に対する寸法安定性を兼ね備えた多孔
性のフィルムが要求されている。
【0007】本発明の課題は、かかる要求やとくに近年
の電解液に関する技術レベルに対応して、有機電解液二
次電池、とくにリチウムイオン電池のセパレータ用フィ
ルムの薄膜性、耐熱性、強度、電解液に対する寸法安定
性を格段に向上させることにある。とくに、実質的に引
火点を持たない電解液とともに使用されるリチウムイオ
ン電池セパレータ用フィルムとして優れた多孔性高分子
フィルムを提供し、リチウムイオン電池の蓄電容量の大
幅な向上、大幅な小型化を可能にせんとするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る電池セパレータ用多孔性高分子フィル
ムは、厚みが0.5〜20μmの範囲にあるポリエステ
ル系フィルムからなり、短径1.5μm以下、長径6μ
m以下の空孔を有するとともに、空孔率が5%以上であ
ることを特徴とするものからなる。
【0009】この電池セパレータ用多孔性高分子フィル
ムにおいては、主成分として80重量%以上のポリエス
テルを含むことが好ましく、融点が240℃〜280℃
の範囲にあることが好ましい。
【0010】また、本発明に係る電池セパレータ用多孔
性高分子フィルムは、厚みが0.5〜20μmの範囲に
あるポリアミド系フィルムまたはポリイミド系フィルム
からなり、短径1.5μm以下、長径6μm以下の空孔
を有するとともに、空孔率が5%以上であることを特徴
とするものからなる。
【0011】この電池セパレータ用多孔性高分子フィル
ムにおいては、主成分として40重量%以上の芳香族ポ
リアミドまたは芳香族ポリイミドを含むことが好まし
く、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは
80重量%以上である。また、融点は、300℃以上、
あるいは実質的に融点をもたないことが好ましい。
【0012】このような電池セパレータ用多孔性高分子
フィルムは、有機電解液二次電池、とくにリチウムイオ
ン電池のセパレータ用フィルムとして好適である。そし
て、該セパレータ用多孔性高分子フィルムは、少なくと
も100℃において引火しない電解液、より好ましくは
実質的に引火点をもたない電解液とともに使用されるこ
とが望ましい。また、空孔率のより好ましい範囲は8%
以上である。
【0013】このようなポリエステル系フィルム、ある
いはポリアミド系フィルムまたはポリイミド系フィルム
からなるセパレータ用フィルムは、従来のポリエチレン
フィルムあるいはポリプロピレンフィルムに比べ格段に
高い強度、耐熱性、電解液に対する寸法安定性を有する
ので、所定のイオン透過性をもたせながら、フィルム自
身を大幅に薄膜化することが可能になる。とくに、前記
のような少なくとも100℃において引火しない電解
液、中でも、実質的に引火点をもたない電解液とともに
使用されることにより、安全性を確保しつつ、大幅に薄
膜化することが可能になる。したがって、5μm未満の
厚みであっても、優れた特性のセパレータ用フィルムが
得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について、望まし
い実施の形態とともに詳細に説明する。本発明に係る電
池セパレータ用多孔性高分子フィルムは、ポリエステル
系フィルム、あるいはポリアミド系フィルムまたはポリ
イミド系フィルムからなる。本発明でいうポリエステル
系フィルムのポリエステルとは、エステル結合を主鎖の
主要な結合鎖とする高分子の総称であるが、耐熱性、製
膜性等の点からエチレンテレフタレート及び/またはエ
チレンナフタレート単位を主構成成分とするものが好ま
しく、耐熱性、製膜性の点から、ポリエステルの融点が
240〜280℃であることが好ましく、特に好ましく
は250〜275℃である。融点が240℃よりも低下
するとセパレータ用フィルムとしての耐熱性が低下す
る。
【0015】本発明におけるポリエステルには、その特
性を損ねない範囲で他の共重合成分を含有してもよく、
共重合成分のジカルボン酸成分としては、例えば、ジフ
ェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の芳香
族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、エイコ酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、
マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロ
ヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オ
キシ安息香酸等のオキシカルボン酸、トリメリット酸、
ピロメリット酸等の多官能酸等を挙げることができる。
一方、グリコール成分としては例えばプロパンジオー
ル、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコー
ル等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール
等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール、
ポリアルキレングリコール等が挙げられる。さらにポリ
エチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等
のポリエーテルを共重合してもよい。
【0016】なお、これらのジカルボン酸成分、グリコ
ール成分は2種以上を併用してもよく、2種以上のポリ
エステルをブレンドして使用してもよい。さらに2層以
上に共押出し、積層フィルムとしてもよい。
【0017】フィルム構成としては、上述の様に単層、
互いに異なる組成のA/Bの2層、B/A/Bあるいは
A/B/Cの3層、さらには3層より多層の積層構成で
あってもよく、積層厚み比も任意に設定してよい。さら
に、これら以外の層を積層してもよく、具体的には、帯
電防止層、マット層、ハードコート層、易滑コート層、
易接着層、粘着層などが例示される。
【0018】上述したポリエステルフィルムの極限粘度
(25℃オルソクロロフェノール中で測定)は、好まし
くは0.4〜1.2dl/g、更に好ましくは0.5〜
0.85dl/g、特に好ましくは0.6〜0.75d
l/gの範囲にあるものが本発明のセパレータ用フィル
ムに適したものである。
【0019】更に電解液との濡れ性を向上させる点か
ら、基材となるポリエステルフィルムのカルボキシル末
端基量は30当量/トン以上が好ましく、さらに好まし
くは35当量/トン以上であることが望ましい。
【0020】本発明に係る電池セパレータ用多孔性高分
子フィルムは、ポリアミド系フィルムまたはポリイミド
系フィルムから構成してもよい。これらフィルムは、と
くに芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドから構成
される。これらフィルムは、主成分として40重量%以
上の芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドを含むこ
とが好ましい。
【0021】本発明で言う芳香族ポリアミドとは、次の
化1の一般式(I)及び/または化2の一般式(II)で
表される繰り返し単位を50モル%以上、好ましくは7
0モル%以上有するものから構成される。
【0022】
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】ここで、Ar1 、Ar2 、Ar3 としては
それぞれ、例えば化3に示すようなものが挙げられる。
【0025】
【化3】
【0026】化3において、X、Yは、−O−,−CH
2 −,−CO−,−SO2 −,−S−,−C(CH3
2 −,−C(CF3 2 −等から選択することができる
が、これらに限定されるわけではない。
【0027】更にこれらの芳香環上の水素原子がハロゲ
ン基、ニトロ基、C1〜C3のアルキル基、C1〜C3
のアルコキシ基、トリアルキルシリル基、アリール基、
オキシアリール基、チオアリール基等の置換基で置換さ
れた芳香環が全体の30%以上、好ましくは50%以
上、更に好ましくは70%以上であると、耐湿性が向上
し、吸湿による寸法変化、剛性低下などの特性が改善さ
れるために好ましく、また、アミド基上の水素が他の置
換基で置換されていても構わない。
【0028】特性面からは上記の芳香環がパラ配向性を
もって結合されたものが、全芳香環の50%以上、好ま
しくは70%以上、更に好ましくは75%以上を占める
ことが好ましい。ここで言うパラ配向性とは主鎖を構成
するアミド結合に結合した芳香核上の二価の結合鎖が互
いに平行あるいは同軸である状態を言う。かかる芳香族
ポリアミドはフィルムあるいはシート状成形体としたと
きに薄膜化に好ましい強度、伸度、剛性、耐熱性等の機
能を具備する。このようなパラ配向性芳香核の例として
は次の化4に示すようなものがある。
【0029】
【化4】
【0030】かかる芳香族ポリアミドを得る方法には、
例えば低温溶液重合法、界面重合法、イソシアネートと
カルボン酸を反応させる方法、脱水触媒を用い直接縮重
合させる方法などがあるが、低温溶液重合法が高重合度
のポリマーが得やすいため適している。すなわち、酸ク
ロリドとジアミンから、N−メチルピロリドン(NM
P)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホ
ルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒
中で重合する。ポリマー溶液は、単量体として酸クロリ
ドとジアミンを使用すると塩化水素が副生するが、これ
を中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオ
キサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエ
チルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミ
ンなどの有機の中和剤が使用される。
【0031】これらのポリマー溶液はそのまま製膜原液
として使用してもよく、あるいはポリマーを一度単離し
てから上記の有機溶媒や、硫酸等の無機溶剤に再溶解し
て製膜原液を調製してもよい。
【0032】また、ポリマーの固有粘度(ポリマー0.
5gを硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定し
た値)は、0.5以上であることが好ましい。
【0033】ポリマー溶液には溶解助剤として無機塩、
例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウ
ム、硝酸リチウムなどを添加する場合もある。ポリマー
溶液中のポリマー濃度は2〜40重量%程度が好まし
い。
【0034】また、本発明で言う芳香族ポリイミドと
は、重合体の繰り返し単位の中に芳香環とイミド環を1
つ以上含むものであり、下記化5の一般式(III)お
よび/または化6の一般式(IV)で示される構造単位
で表される。
【0035】
【化5】
【0036】
【化6】
【0037】ここでAr4 、Ar6 は少なくとも1個の
芳香環を含み、イミド環を形成する2つのカルボニル基
は芳香環上の隣接する炭素原子に結合している。このA
4は、芳香族テトラカルボン酸あるいはこの無水物に
由来する。代表例としては次の化7に示すようなものが
挙げられる。
【0038】
【化7】
【0039】ここでZは、−O−,−CH2 −,−CO
−,−SO2 −,−S−,−C(CH3 2 −等から選
ばれるが、これに限定されるものではない。
【0040】また、Ar6 は無水カルボン酸あるいはこ
のハライドに由来する。Ar5 、Ar7 としては例えば
化8に示すようなものが挙げられる。
【0041】
【化8】
【0042】化8において、X’、Y’は、−O−,−
CH2 −,−CO−,−SO2 −,−S−,−C(CH
3 2 −等から選ばれるが、これらに限定されるもので
はない。更にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、ハ
ロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、C1 〜C3 のアルキ
ル基(特にメチル基)、C1 〜C3 のアルコキシ基など
の置換基で置換されているものも含み、また、重合体を
構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換
されているものも含む。
【0043】かかる芳香族ポリイミドあるいはポリアミ
ド酸の溶液は次のようにして得られる。即ち、ポリアミ
ド酸はN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセ
トアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DM
F)などの非プロトン性有機極性溶媒中で、テトラカル
ボン酸二水物と芳香族ジアミンを反応させて調製するこ
とができる。また芳香族ポリイミドは前記のポリアミド
酸を含有する溶液を加熱したり、ピリジンなどのイミド
化剤を添加してポリイミドの粉末を得、これを再度溶媒
に溶解して調製できる。製膜原液中のポリマー濃度は5
〜40重量%程度が好ましい。
【0044】次に有機高分子体溶液のもう一つの成分で
ある溶媒としては、上記の有機高分子体が溶解するもの
であれば特に制限はなく、また、混合溶媒であっても溶
解助剤などの無機塩が含有されていても構わないが、製
膜溶液として調製後に常温下に密閉しておいたとき、1
週間以上外観上の濁りなどの変化あるいは有機高分子体
の析出の見られないものが好ましい。
【0045】また、溶液とする手段には特に制限はな
く、公知の溶解手段の他、上述のように該溶媒中で重合
を実施して直接に有機高分子体溶液を得る方法も含まれ
る。
【0046】また、安定に溶液状態を維持できるのであ
れば該有機高分子体溶液には可溶性の有機物あるいは無
機塩が溶解されていてもよく、また、溶液溶媒には可溶
であるが有機高分子体は単独では溶解しない溶媒が少量
混合されていても構わない。また、必要であれば物性を
損なわない程度に滑剤、酸化防止剤その他の添加剤等が
ブレンドされていてもよく、また、有機あるいは無機の
粒子などの不溶性成分が分散されていてもよい。
【0047】上記のように調製された製膜原液は、濾過
精度が6000nm以下のフィルターによって濾過され
た後、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化が行われ
る。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがあ
る。湿式法で製膜する場合には該原液を濾過後、口金か
ら直接製膜用浴中に押し出すか、または一旦ドラムやベ
ルト等の支持体上に押し出し、支持体ごと湿式浴中に導
入する方法が採用される。この浴は一般に水系媒体から
なるものであり、水の他に有機、無機の溶媒や無機塩等
を含有してもよい。該浴温度は通常0〜100℃で使用
され、湿式浴を通すことでフィルム中に含有された塩
類、溶媒の抽出が行われる。ここで湿式浴に導入される
ときのフィルムは未だ充分な表面硬度をもっていないた
め、湿式浴媒体にコンタミ等があるとフィルム表面に付
着し表面性が悪化する。このため湿式浴に使用される媒
体は、濾過精度6000nm以下、好ましくは5000
nm以下、さらに好ましくは3000nm以下のフィル
ターを通して供給される必要がある。これら湿式浴全体
を通過する時間はフィルムの厚みにもよるが10秒〜3
0分である。さらに必要に応じフィルムの長手方向に延
伸が行われる。次いで乾燥、熱処理が行われるがこれら
の処理は一般に200〜500℃で、合計で1秒〜30
分で行われるのが好ましい。なおこの過程で必要に応じ
て横延伸が行われる。
【0048】乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金か
らドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して
製膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜
が自己保持性をもつまで乾燥する。乾燥条件は室温〜2
20℃、60分以内の範囲であり、好ましくは室温〜2
00℃の範囲である。乾式工程を終えたフィルムは支持
体から剥離されて湿式工程に導入され、上記の湿式法と
同様に脱塩、脱溶媒などが行われ、さらに延伸、乾燥、
熱処理が行われてフィルムとなる。
【0049】乾式法のプロセスを採用した場合には、ド
ラム、あるいはエンドレスベルト等の上で乾燥され、自
己保持性をもったフィルムを、これら支持体から剥離
し、フィルムの長手方向に延伸を行う。さらに残存溶媒
を除去するための乾燥や、延伸、熱処理が行われるが、
これらの処理は200〜500℃で1秒〜30分で行わ
れるのが好ましい。
【0050】以上のように形成されるフィルムはその製
膜工程中で、機械特性、熱特性を向上させることを目的
として延伸が行われてもよく、延伸倍率は面倍率で0.
8〜8.0(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前
のフィルムの面積で除した値で定義する。1以下はリラ
ックスを意味する。)の範囲内にあることが好ましく、
より好ましくは1.1〜5.0の範囲である。
【0051】また、本発明に係るセパレータ用フィルム
中には、本発明の効果を阻害しない範囲で公知の添加
剤、例えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫
外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無
機の微粒子、充填剤、核剤などを配合してもよい。
【0052】さらに本発明のフィルムには各種コーティ
ングを施こしてもよく、特に限定するものではないが、
製造面、環境面を考慮すると水系または水分散系塗剤を
フィルム製膜中に塗布したものが好ましい。
【0053】本発明のフィルムとしてポリエステルフィ
ルムを用いる場合は二軸配向されたものが好ましい。二
軸配向フィルムとは、無延伸状態のシートまたはフィル
ムを長手方向および幅方向に各々2.5〜6倍程度延伸
されて作られるものであり、広角X線回折で二軸配向の
パターンを示すものをいう。
【0054】本発明のセパレータ用フィルムの厚みは
0.5〜20μmであることがリチウム電池の小型化の
点からも必要であり、好ましくは1〜15μmであり、
更に好ましくは2〜12μmであり、とくに好ましくは
5μm未満のものである。フィルムの厚みが20μmを
越えると電池中に占めるフィルムの容積が大きくなり、
リチウム電池の小型化が困難となる。また厚みが0.5
μm未満であると、フィルムの製膜が不安定となるばか
りか、セパレータ用フィルムとしてのフィルム強度を維
持できなくなる。
【0055】本発明においては、フィルムの空孔率が5
%以上であることが必要であり、好ましくは8%以上、
更に好ましくは10%以上である。空孔率が5%以上で
あることにより、放電特性やサイクル特性、イオンの透
過性を付与できる。空孔率が5%未満の場合、イオンの
充分な透過性を付与できない。
【0056】本発明では、電池内部の電解液に溶出した
作用物質微粒子や金属の通過を抑止する点から、空孔の
大きさは短径1.5μm以下、長径6μm以下が必要で
あり、好ましくは短径1μm以下、長径5μm以下であ
る。短径が1.5μm、長径が6μmを越えると電池内
部の電解液に溶出した作用物質微粒子や金属の通過を抑
止できず電池内部の短絡が発生するなどの問題となる。
【0057】本発明においては、薄膜化、電池組立工程
適性向上、短絡を防止する点から、空孔が付与されたフ
ィルムの強度が長手方向で1000kg/cm2以上であるこ
とが好ましく、より好ましくは1500kg/cm2以上、更
に好ましくは2000kg/cm2以上である。とくに、ポリ
アミドまたはポリイミド系フイルムでは、2000kg/c
m2以上の強度の達成が可能であり、より好ましくは30
00kg/cm2以上である。また、フィルム幅方向の強度に
ついては幅方向に抗張力が働くため、800kg/cm2以上
であることが好ましく、より好ましくは1000kg/cm2
以上、更に好ましくは1500kg/cm2以上である。
【0058】本発明においては、電池特性の劣化を防止
する点から、フィルムが電解液中で80℃、20日間の
環境下で膨潤率が5%以下であることが好ましく、より
この好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下であ
る。膨潤率が5%を越える場合、電池特性の劣化が著し
く起こる。
【0059】本発明におけるセパレータ用フィルムの空
孔は、電池特性を向上させる点から貫通していることが
好ましい。また、フィルムに空孔を付与する方法として
は特に限定は無いが、下記に例示する方法等を適用でき
る。例えば原料組成を任意に選択し、延伸時にボイドを
発生させる方法や、未延伸または少なくとも1方向に延
伸した後に孔あけ処理を行う方法や、これらを組み合わ
せた方法などを採用することができる。更に原料組成を
任意に選択しボイドを発生させる方法としては、二酸化
チタンやカーボンブラックなど、ポリエステルあるいは
芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドと親和性の低
い粒子を1〜20重量%添加する方法、ポリオレフィン
などポリエステルあるいは芳香族ポリアミドまたは芳香
族ポリイミドと相溶性が悪く、かつ延伸性の異なる高分
子を1〜20重量%添加し、分散させる方法などがあ
る。このような添加物を含有したポリエステルあるいは
芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドを溶融押出し
たあと二軸延伸を行う際、添加物とポリエステルあるい
は芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドの延伸性の
違いから界面からボイドが成長し、好ましい大きさ、空
孔率を満たす空孔を含有したポリエステルあるいは芳香
族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドフィルムを得るこ
とができる。
【0060】また、例えば鋭い角部を有する多数のモー
ス硬度5以上の粒子を付着したロールを用いて機械的に
貫通孔を形成する方法、1対の放電電極間にポリエステ
ルあるいは芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドフ
ィルムを挿入して放電処理を施して空孔を形成する方法
なども有用である。高硬度粒子付着ロールを用いて貫通
孔を形成する場合は、高硬度粒子の粒子径や付着量を任
意に設定することにより、好ましい大きさおよび空孔率
を満たす空孔を含有したポリエステルあるいは芳香族ポ
リアミドまたは芳香族ポリイミドフィルムを得ることが
できる。また、放電処理による空孔形成法においては、
一方の放電電極として表面に金属粒体を付着させた電極
を用いるか、あらかじめエンボス処理により表面に微細
な窪みを形成したポリエステルあるいは芳香族ポリアミ
ドまたは芳香族ポリイミドフィルムに放電処理を行い窪
み部分にのみ貫通孔を形成する方法をとることにより、
好ましい大きさ、空孔率を満たす空孔を含有したポリエ
ステルあるいは芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミ
ドフィルムを得ることができる。これら空孔を付与する
方法はフィルム製膜においてインラインでもオフライン
でも良く、またその方法も上記例示に限定されない。
【0061】さらに、芳香族ポリアミドフィルムまたは
芳香族ポリイミドフィルムに空孔を付与する方法として
以下の方法も挙げられる。まず、ポリマーは前述した芳
香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドと可溶性樹脂の
ブレンドポリマーを調製する。ここでいう可溶性樹脂と
は、前述した芳香族ポリアミドを溶解する溶媒に、1重
量%以上溶解する樹脂一種以上を意味し、特に限定され
るものではない。芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイ
ミドと可溶性樹脂の両者を溶解する溶媒としては、取り
扱いやすさなどを考慮すると有機系の溶媒が好ましく、
N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、
ヘキサメチレンホスホルアミド、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド系極性溶媒
やジメチルスルホンなどが挙げられるが、特にN−メチ
ル−2−ピロリドンおよびN−メチル−2−ピロリドン
と他のアミド系極性溶媒の混合物が好ましい。これらの
溶媒を用いた場合特に、ポリカーボネート、ポリフッ化
ビニリデン、ポリメチルメタアクリレート、ポリスチレ
ン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルスルホン、ポ
リスルホン、ポリアリレート、ポリスルフィドスルホ
ン、ポリエーテルイミドなどが好ましく、高温での機械
特性の改良が顕著で湿度特性の優れている非晶性樹脂、
例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポ
リスルホン、ポリアリレート、ポリスルフィドスルホン
がより好ましい。
【0062】芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミド
と可溶性樹脂の混合量は、芳香族ポリアミドまたは芳香
族ポリイミド/可溶性樹脂=40/60〜99/1(重
量比)の範囲が空孔フィルムを得る点で好ましく、より
好ましくは50/50〜80/20である。
【0063】上記芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイ
ミドと可溶性樹脂とのブレンドの方法としては、芳香族
ポリアミドと可溶性樹脂のそれぞれのブレンド原液を別
個に調製しその原液同士をブレンドする方法、可溶性樹
脂を溶解したアミド系極性溶媒溶液を調製し、その中で
前述した芳香族ポリアミドの重合を行い、重合とブレン
ドを同時に行う方法などが挙げられる。
【0064】次に、フィルムの作製であるが、いわゆる
湿式製膜法で行われる。湿式浴としては、ポリマーが不
溶でかつ溶媒が溶解するものであればよいが、取り扱い
易さなどから通常は水が好ましい。また、この水浴には
塩化リチウムなどの無機塩や水に可溶性の他の溶媒を含
んでいてもよい。これにより、孔径や空孔率をコントロ
ールすることができる。この製膜原液を金属ドラムやエ
ンドレスの金属ベルトなどの支持体上にキャストし支持
体とともに水中に導入されるか、あるいは、水中や水面
上の口金からそのままで水中に浸された後すみやかに縦
方向に1.01〜1.5倍延伸する。その後、無機塩を
添加した場合は無機塩が完全にフィルム中からなくなる
まで、また、非プロトン性極性溶媒の残存率が5%以下
になるまで水中を通す。水温は、0℃以上90℃以下が
好ましく20℃以上80℃以下がより好ましい。水温を
変えることでも、孔径や空孔率をコントロールすること
ができる。水中で縦延伸をすることにより孔径を変える
ことができ、しかも残存無機塩量を10ppm以下にす
ることが可能となった。その後、100〜250℃で乾
燥が行われる。製膜時の粘度は、5〜50000ポイズ
になるように製膜原液のポリマー濃度や温度を調節する
ことが好ましい。より好ましくは、100〜10000
ポイズである。
【0065】ここで粘度とは、回転式B型粘度計で製膜
時と同一条件(濃度、温度)で測定した値をいう。金属
ドラムやエンドレスの金属ベルトなどの支持体上にキャ
ストした場合はここで乾燥した後水中へ導いてもよい。
この際溶媒が急激に飛散して面荒れを起こさないように
調節する必要があり、一般に室温〜300℃、好ましく
は50〜250℃で60分以内の範囲で行われる。
【0066】面倍率は、好ましくは0.8〜5.0倍、
より好ましくは1.1〜3.0倍で延伸あるいはリラッ
クスを行う。面倍率とはフィルム長手方向(MD方向)
の延伸倍率と幅方向(TD方向)の延伸倍率の積を言
う。面倍率を調節することでも孔径を自由に変えること
ができる。
【0067】上記空孔の形成方法のうち、製膜、延伸後
に機械的に空孔を形成する場合には、比較的円形に近い
空孔を形成できるが、延伸を利用して空孔を形成する場
合、あるいは溶媒除去により空孔を形成しその後に延伸
を行う場合には、空孔が長形になる場合が多く、したが
ってとくにこのような場合に、本発明の如く、短径、長
径を特定値以下に規定する意味がある。
【0068】〔物性の測定方法ならびに効果の評価方
法〕本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価
方法は次の通りである。 (1)フィルム厚み フィルム長手方向に約100mmの試験片を10枚と
り、これを全て重ねあわせて厚みを測定した。測定には
芯棒の径が約6.35mm,測定長さ25mm以下のJ
IS−B7502(外側マイクロメーター)の測定圧力
500±100gのマイクロメーターを用いた。測定子
の先端が約0.05mm/秒の速度で進む速さでスピン
ドルを回転させ、測定面が試験片の測定箇所の表面に軽
く接触したのち、ラチェットが3回音をたてたときの、
またはフィクション・ストップが働いたときの目盛りを
読んだ。10箇所についての測定値の平均値を求め、さ
らにこれを試験片の重ね合わせ枚数で除した値をもって
厚さとした。厚み測定には上記マイクロメータの他に同
等以上の精度を有する測定器を用いてもよい。
【0069】(2)フィルムの空孔の短径、長径 フィルムロールの任意の箇所より、50mm角の試験片
をとり、光学顕微鏡にて拡大した表面の一部を1点任意
に選択し、300倍の倍率条件で写真に撮影し、撮影後
の画像にある任意の空孔10点をとり、短径と長径を測
定した。
【0070】(3)フィルム空孔率の測定方法 JIS−P8117に規定された方法にしたがって、
(株)安田精機製作所製のガーレー式デンソメーターを
用いて測定した。サンプルは、50×130mmに切り
出し、JIS−P8111(試験用紙の前処置)の条件
に一致させて準備し、10枚以上の試験を行い、異常値
を捨て残りを平均してフィルムの空孔率を測定した。
【0071】(4)フィルム破断強度 JIS−K7127に規定された方法にしたがって、東
洋測器(株)製の引張試験機を用いて、25℃、65%
RHにて測定した。サンプルは測定方向に長さ200m
m、幅10mmの短冊状に切り出し、初期引張チャック
間距離は100mmとし、引張速度は300mm/分と
した。
【0072】(5)フィルムの融点 パーキングエルマー社製のDSC(示差走査熱量計)II
型を用いて測定した。フィルム試料10mgをアルミ製
パンに封入し、室温から300℃まで10℃/分で昇温
し吸熱ピークの温度から融点を求めた。
【0073】(6)電池特性 A.電解液の調製 LiC4 9 SO3 をリン酸トリメチルに溶解させたの
ち、プロピレンカーボネートを加えて混合し、プロピレ
ンカーボネートとリン酸トリメチルとの体積比が1:2
の混合溶媒にLiC4 9 SO3 を0.6モル/リット
ル溶解させた有機電解液を調製した。このようにして得
られた有機電解液の引火点を調べるため、この電解液を
所定の温度まで加熱して液面近傍に火を近づけ、引火す
るかどうかを調べた。100℃、150℃、200℃の
いずれの温度のテストでも引火せず、この電解液の引火
点は200℃以上であることが分かった。
【0074】B.電池の作成 リチウムコバルト酸化物(LiCoO2 )に黒鉛とポリ
フッ化ビニリデンとを加え、溶剤で分散させたスラリー
を、厚さ10μmの正極集電体のアルミニウム箔の両面
に均一に塗布して乾燥し、圧縮成形して帯状の正極を作
製した。正極の厚みは40μmであった。
【0075】コークスと、粘着剤としてのポリフッ化ビ
ニリデンとを混合して負極合剤とし、これを溶剤で分散
させてスラリーにした。この負極合剤スラリーを、負極
集電体としての厚さが10μmの帯状の銅箔の両面に均
一に塗布して乾燥し、圧縮成形して帯状の負極前駆体を
作製した。負極前駆体の処理液として、LiC4 9
3 をリン酸トリメチルに溶解させたのち、エチレンカ
ーボネートを加えて混合することにより、処理液を調製
した。負極前駆体の両側に処理液を含浸させたセパレー
タを介してリード体を圧着したLiフォイルで鋏み込
み、ホルダーに入れ、負極前駆体を正極、Li極を負極
として、放電および充電を行った。その後、分解し、負
極前駆体をジメチルカーボネートで洗浄し、乾燥して、
負極を作製した。負極の厚みは50μmであった。
【0076】次に、上記の帯状正極を、各実施例のセパ
レータ用フィルムを介して、上記シート状負極と重ね、
渦巻状に巻回して渦巻状電極体としたのち、内径13m
mの有底円筒状の電池ケース内に充填し、正極および負
極のリード体の溶接を行った後、有機電解液を電池ケー
ス内に注入した。電池ケースの開口部を封口し、電池の
予備充電を行い、筒形の有機電解液二次電池を作製し
た。
【0077】C.電池容量 作成した各二次電池について、35mAで電圧2.7〜
4.1Vの範囲で放充電させ、1サイクル目の放電容量
を調べた。比較例1の電池の放電容量を基準として、 A:1.21倍以上 B:1.18倍以上1.21倍未満 C:1.10倍以上1.18倍未満 D:1.02倍以上1.10倍未満 E:1.02倍未満 のランクで評価し、ランクC以上を合格とした。
【0078】
【実施例】実施例1 常法により、平均粒径1.2μmの凝集シリカを0.1
重量%含有するポリエチレンテレフタレート(PET)
を重合した。このポリエステルペレットを、180℃で
3時間乾燥後、公知の押出機を用いて、290℃で溶融
押出しを行い、静電印加キャスト法を用いて、表面温度
20℃の金属キャスティングドラム上に巻き付けて、冷
却、固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィル
ムをロール/ロール間で長手方向に95℃で4倍延伸し
た後、テンターを用いて、110℃で幅方向に3.5倍
延伸し、しかる後に、幅方向に5%弛緩させながら23
5℃で6秒間熱処理を行い、厚み8μmの二軸配向ポリ
エステルフィルムを得た。
【0079】このポリエステルフィルムを、50〜60
μmの粒径で鋭い角部を有する多数の合成ダイアモンド
粒子が表面に電着された鉄製ロールとシリコーンゴム製
ロール間を圧力下で通過させた。得られたフィルムの特
性は表1に示した通りであり、優れた容量特性を有する
ものであった。
【0080】実施例2〜7、比較例1、2 用いるダイアモンドロールの種類を変更して空孔のサイ
ズ、空孔率を変え、かつフィルム厚みを変更した以外は
実施例1と同じ製法を用いて表1に記載の特性を有する
フィルムを得た。ただし、実施例4には酸成分としてイ
ソフタル酸を12モル%共重合した共重合ポリエチレン
テレフタレートを、比較例2には酸成分としてイソフタ
ル酸を6モル%共重合した共重合ポリエチレンテレフタ
レートを用いた。
【0081】実施例8 ポリエステルとしてポリエチレン−2、6ナフタレート
を用いた以外は実施例1と同様にして表1に記載の特性
を有するフィルムを得た。
【0082】
【表1】
【0083】実施例9 N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に芳香族ジアミ
ン成分として80モル%に相当する2−クロルパラフェ
ニレンジアミンと、20モル%に相当する4,4′−ジ
アミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに100
モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添
加し、2時間攪拌して重合を完了した。次いで、水酸化
リチウムにより重合で発生した塩化水素を中和して、ポ
リマー濃度10重量%、粘度3000ポイズの芳香置く
ポリアミド溶液を得た。
【0084】このポリマー溶液を濾過精度5000のフ
ィルターを通した後、エンドレスベルト上に流延し、1
80℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保
持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次
に濾過精度4000nmのフィルターで濾過された40
℃の水槽内へフィルムを導入して残存溶媒と中和で生じ
た無機塩の水抽出を行い、テンターでまず80℃で30
秒予備乾燥を行った後、280℃で1.5分間水分の乾
燥と熱処理を行い、20℃/秒の速度で徐冷を行って厚
さ4.5μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。この
間、縦方向に1.2倍、横方向に1.3倍の延伸を行っ
た。このフィルムを実施例1と同一のダイアモンドロー
ルを用いて、空孔フィルムを得た。得られたフィルムお
よび電池の特性を表2に記す。
【0085】実施例10、11、比較例3 用いるダイアモンドロールの種類を変更して空孔のサイ
ズ、空孔率、厚みを変えた以外は実施例9と同じ製法を
用いて表2に示すフィルムおよび電池を得た。
【0086】実施例12 NMPに溶解させたポリエーテルスルホン(三井東圧化
学(株)製E2010)を実施例9で得られたポリマー
にポリエーテルスルホン/芳香族ポリアミド=40/6
0(重量比)となるようにブレンドした。このブレンド
ポリマー溶液を濾過精度5000nmのフィルターを通
した後、口金より、NMP濃度3%の50℃の水浴中
に、直接押し出し、次いで、NMP濃度0%の水浴を通
した。その後、テンターにフィルムを導入し、80℃で
30秒予備乾燥を行った後、250℃で1.5分間の乾
燥・熱処理を行い、20℃/秒の速度で徐冷を行って厚
さ4.5μmの空孔を有する芳香族ポリアミドフィルム
を得た。この間、縦方向に1.05倍、横方向に1.2
倍の延伸を行った。このフィルムの特性および電池の特
性を表2に示す。
【0087】実施例13 NMPに芳香族ジアミン成分として2−クロルパラフェ
ニレンジアミンを溶解させ、次いで、ビフェニルテトラ
カルボン酸を加えて重合を行い、ポリマー濃度13%、
粘度3000ポイズのポリアミド酸溶液を得た。このポ
リマーを濾過精度5000nmのフィルターを通した
後、エンドレスベルト上に流延し、160℃の熱風で3
分間加熱してベルトより剥離した。このフィルムをテン
ターに導入し、400℃で1分の乾燥・熱処理を行い、
厚さ5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルム
を実施例1と同一のダイアモンドロールを用いて、空孔
フィルムを得た。得られたフィルムおよび電池の特性を
表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電池セパ
レータ用多孔性高分子フィルムによれば、所望の空孔、
空孔率を有しつつ、強度の高いセパレータ用フィルムが
得られ、安全性が高く、かつ、電池の小型化、高容量化
に好適な電池セパレータ用多孔性高分子フィルムを得る
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 77:00 B29L 7:00

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚みが0.5〜20μmの範囲にあるポ
    リエステル系フィルムからなり、短径1.5μm以下、
    長径6μm以下の空孔を有するとともに、空孔率が5%
    以上であることを特徴とする、電池セパレータ用多孔性
    高分子フィルム。
  2. 【請求項2】 主成分として80重量%以上のポリエス
    テルを含む、請求項1の電池セパレータ用多孔性高分子
    フィルム。
  3. 【請求項3】 融点が240℃〜280℃の範囲にあ
    る、請求項1または2の電池セパレータ用多孔性高分子
    フィルム。
  4. 【請求項4】 厚みが0.5〜20μmの範囲にあるポ
    リアミド系フィルムまたはポリイミド系フィルムからな
    り、短径1.5μm以下、長径6μm以下の空孔を有す
    るとともに、空孔率が5%以上であることを特徴とす
    る、電池セパレータ用多孔性高分子フィルム。
  5. 【請求項5】 主成分として40重量%以上の芳香族ポ
    リアミドまたは芳香族ポリイミドを含む、請求項4の電
    池セパレータ用多孔性高分子フィルム。
  6. 【請求項6】 少なくとも100℃において引火しない
    電解液とともに使用される、請求項1ないし5のいずれ
    かに記載の電池セパレータ用多孔性高分子フィルム。
  7. 【請求項7】 実質的に引火点をもたない電解液ととも
    に使用される、請求項6の電池セパレータ用多孔性高分
    子フィルム。
  8. 【請求項8】 空孔率が8%以上である、請求項1ない
    し7のいずれかに記載の電池セパレータ用多孔性高分子
    フィルム。
  9. 【請求項9】 5μm未満の厚みを有する、請求項1な
    いし8のいずれかに記載の電池セパレータ用多孔性高分
    子フィルム。
  10. 【請求項10】 JIS−K7124で規定されるフィ
    ルム長手方向の破断強度が1000kg/cm2以上である、
    請求項1ないし11のいずれかに記載の電池セパレータ
    用多孔性高分子フィルム。
  11. 【請求項11】 JIS−K7124で規定されるフィ
    ルム長手方向の破断強度が2000kg/cm2以上である、
    請求項4ないし12のいずれかに記載の電池セパレータ
    用多孔性高分子フィルム。
  12. 【請求項12】 空孔が機械的穿孔により形成されてい
    る、請求項1ないし11のいずれかに記載の電池セパレ
    ータ用多孔性高分子フィルム。
  13. 【請求項13】 空孔が製膜時の延伸により形成されて
    いる、請求項1ないし11のいずれかに記載の電池セパ
    レータ用多孔性高分子フィルム。
  14. 【請求項14】 空孔が可溶性樹脂との混合ポリマーを
    湿式製膜することにより形成されている、請求項4ない
    し11のいずれかに記載の電池セパレータ用多孔性高分
    子フィルム。
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