JP2008106261A - 芳香族ポリアミドを含む多孔質膜 - Google Patents

芳香族ポリアミドを含む多孔質膜 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、耐薬品性、薄膜化に優れ、安定した多孔質特性を容易に制御しうる芳香族ポリアミドを含む多孔質膜を提供する。
【解決手段】芳香族ポリアミドを含む多孔質膜において、該多孔質膜が開口率の異なる表面を有し、開口率の小さい方の表面(小開口率面)の開口率Paと、開口率の大きい方の表面(大開口率面)の開口率Pbとの比Pa/Pbを0.05以上0.90以下とし、かつ、少なくとも一方の表面の酸素原子と炭素原子との比(O/C)を0.05以上0.40以下とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、フィルター、分離膜、電池用セパレーター、プリント基板などに好適に使用できる芳香族ポリアミドを含む多孔質膜に関する。
従来、多孔質膜としては、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂が広く用いられており、例えば、ポリオレフィンなどと炭酸カルシウムを溶融混練した後、延伸して多孔質膜を得る方法が提案されている(特許文献1参照)。また、ポリマー溶液に金属酸化物微粒子を分散させたものをキャストし膜を得た後、金属酸化物微粒子を溶解除去する方法も提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、これらの方法では、空孔の大きさが混練分散させた粒子より小さいものが得られず、前者の方法では粒子そのものの残留、また、耐熱性が低く、高温での使用に耐えることができないという問題があった。また、後者の方法においても、膜厚に対して金属酸化物微粒子の径を小さくしていくと、溶解除去が困難となり膜中に残存してしまい、耐薬品性が著しく低下するという問題があった。
また、このような多孔質膜は、電池用セパレーターなど厳しい環境で使用されることが多くなってきた。このような場合、耐熱性、耐薬品性が共に優れている芳香族ポリアミドを使用することが好ましいと考えられる。例えば、芳香族ポリアミド繊維からなる不織布または紙状シートを電池用セパレーターなどに使用することなどがその用途として提案されている(例えば、特許文献3〜5参照)。しかしながら、不織布または紙状シートでは、実質的に50μm以下の薄い厚みで、なおかつ十分な強度を有し、しかも繊維などの有無などによる局部的な不均一がなく、変形時に繊維の離脱がないものを工業的に製造することは困難であった。
特開平8−225680号公報 特開2001−98106号公報 特開平5−335005号公報 特開平7−78608号公報 特開平7−37571号公報
本発明は、上記した従来の問題点を解決し、耐熱性、耐薬品性、薄膜化に優れ、安定した多孔質特性を容易に制御しうる芳香族ポリアミドを含む多孔質膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
(1)芳香族ポリアミドを含む多孔質膜において、該多孔質膜が開口率の異なる表面を有し、開口率の小さい方の表面(小開口率面)の開口率Paと、開口率の大きい方の表面(大開口率面)の開口率Pbとの比Pa/Pbが0.05以上0.90以下であり、かつ、少なくとも一方の表面の酸素原子と炭素原子との比(O/C)が0.05以上0.40以下である多孔質膜。
(2)酸素原子と炭素原子との比(O/C)が、0.05以上0.40以下である表面が小開口率面である、上記(1)に記載の多孔質膜。
(3)小開口率面に存在する全開口部の5%以上がコロナ放電によって穿孔されている、上記(1)または(2)に記載の多孔質膜。
本発明によれば、以下に説明するとおり、所望の開口率、空孔率、ガーレ値を有しつつ、耐熱性、耐薬品性に優れ、高強度であり、薄膜化が可能な多孔質膜を生産性良く得ることができ、フィルター、分離膜、電池用セパレーター、プリント基板など、特に電気絶縁用途に好適に使用できる。
本発明の芳香族ポリアミドとしては、次の化学式(1)および/または化学式(2)で表される繰り返し単位を有するものが好適である。
化学式(1):
Figure 2008106261
化学式(2):
Figure 2008106261
ここで、Ar1、Ar2、Ar3の基としては、例えば、次の化学式(3)〜(7)
化学式(3)〜(7):
Figure 2008106261
などが挙げられ、X、Yの基は、
A群: −O−、−CO−、−CO2−、−SO2−、
B群: −CH2−、−S−、−C(CH32
などから選択することができる。
さらに、これらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ素や臭素、塩素などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチルやエチル、プロピルなどのアルキル基(特にメチル基)、メトキシやエトキシ、プロポキシなどのアルコキシ基等の置換基で置換されているものが、吸湿率を低下させ湿度変化による寸法変化が小さくなるため好ましい。また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されていてもよい。
本発明に用いられる芳香族ポリアミドは、上記の芳香環がパラ配向性を有しているものが、全芳香環の80モル%以上を占めていることが好ましく、より好ましくは90モル%以上を占めていることである。ここでいうパラ配向性とは、芳香核上主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸または平行にある状態をいう。このパラ配向性が80モル%未満の場合、高分子重合体多孔質膜の剛性および耐熱性が不十分となる場合がある。さらに、芳香族ポリアミドが下記化学式(8)で表される繰り返し単位を60モル%以上含有する場合、延伸性及び多孔質特性が特に優れることから好ましい。
化学式(8):
Figure 2008106261
また、本発明の芳香族ポリアミドには多孔質膜の物性を損わない程度に、滑剤、酸化防止剤、その他の添加剤などや、また他のポリマがブレンドされていてもよい。
本発明の多孔質膜は、表裏で開口率の異なる表面を有し、開口率の小さい方の面である小開口率面(開口率Paを有する面)と、開口率の大きい方の表面である大開口率面(開口率Pbを有する面)について、それら面の開口率の比(Pa/Pb)が0.05以上0.90以下であるものである。小開口率面とは、多孔質膜両面のうち単位面積当たりの開口部の面積の占める割合の小さい面を小開口率面とする。測定方法の詳細は後述する。開口率の比(Pa/Pb)が、0.05未満であると、小開口率面、大開口率面双方とも接着剤や濾液、電解液の浸透速度が著しく低下、または、内部、特に小開口率面に近い部分に気泡としてまったく浸透していない部分ができることがある。開口率の比(Pa/Pb)が0.90を超えると、両面から接着剤や濾液、電解液を浸透させた時に厚み方向中央近くに気泡ができることがあり好ましくない。開口率の比(Pa/Pb)がこの範囲にあると、接着剤や濾液、電解液を気泡などの発生がなく、速やかに充填できることができ、生産性が向上する。この効果を向上させるために開口率の比(Pa/Pb)は、より好ましくは0.06以上0.80以下、さらに好ましくは0.07以上0.70以下である。
また、本発明の多孔質膜は、少なくとも一方の表面の酸素原子と炭素原子との比(以下(O/C)という)が、0.05以上0.40以下であるものである。(O/C)が本発明の範囲内であると良好な濡れ性、密着性、さらに耐久性を実現できる。(O/C)が0.05未満であると、濡れ性が低下し接着剤や濾液、電解液が浸透しなくなり、0.40より大きいと多孔質膜表層が脆くなり表面性の低下や多孔質膜表層/多孔質膜内層界面での剥離が起きやすくなり、接着力の低下、曲げに対する耐久性が低下しやすくなる。(O/C)は、より好ましくは0.10以上0.35以下であり、さらに好ましくは0.10以上0.30以下である。
また、本発明の多孔質膜は、上記(O/C)の範囲を満たす表層が少なくとも小開口率面であることが好ましい。両面とも(O/C)の範囲を満たすとより好ましい。小開口率面が上記(O/C)の範囲を満たすと、開口部が狭くとも接着剤や濾液、電解液が速やかに浸透するため好ましい。
また、本発明の多孔質膜は、小開口率面が有する全開口部の5%以上がコロナ放電によって穿孔されることが好ましい。より好ましくは、7%以上であり、さらに好ましくは10%以上である。上限は特に定めることはないが、いかに電圧を高め強くコロナ放電を発生させても、穿孔できる量は限られており、また、余りに強く処理すると、膜が絶縁破壊を起こしてしまうこともあるため、50%程度までの付与にとどめることが好ましい。元々有する開口部にさらにコロナ放電により穿孔された開口部を混在させることにより、開口部の存在斑を軽減できる。5%以下であると、元々存在した開口部を広げるだけにとどまり、斑の軽減効果が現れないことがある。
なお、コロナ放電によって穿孔された開口部の割合は、後述する実施例測定法の(1)開口率に記載された方法を用いて、同一製法多孔質膜についてコロナ放電処理を行ったもの、および未処理のもの両方を測定し、未処理の結果を100%として、処理した膜の結果との差を用いて算出する。
また、本発明の多孔質膜は、ガーレ値が0.5〜1,000sec/100ccであることが好ましい。本発明の多孔質膜であれば、たとえガーレ値が小さくとも、機械強度を維持することが可能であり、また、ガーレ値が大きくとも、好適な空孔率、空孔径を付与することが可能である。ガーレ値が0.5sec/100ccより小さいと、強度が著しく低下し、ガーレ値が1,000sec/100ccより大きいと、フィルターやセパレーターなどに現実的に使用することが難しくなる。
また、本発明の多孔質膜は、破断伸度が5%以上であることが好ましい。破断伸度が5%未満であると、加工する場合、工程中での突起や張力の変動により容易に破断してしまうことがある。上限は特に定めることはないが、多孔質膜であれば一般的に100%程度が限界である。
また、本発明の多孔質膜は、破断強度が50MPa以上であることが好ましい。破断強度が50MPa未満であると、加工する場合、工程中での突起や張力の変動により容易に破断してしまうことがある。上限は特に定めることはないが、多孔質膜であれば一般的に1GPa程度が限界である。
また、本発明の多孔質膜の少なくとも縦方向の熱収縮率が5%以下であることが好ましい。より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。これより大きいと例えば、電池充放電時の熱などで収縮が起き、正極と負極が直接触れてしまうことがある。
なお、熱収縮率の下限については、0%であることが好ましい。0%以下となると、電池充放電時の熱などで膨張が起き、電池ケースの限られた空間であるため、電池が変形したり、電池内部で折れが起き、それを契機として破れを起こす可能性がある。
また、本発明の多孔質膜は少なくとも縦方向の湿度膨張係数が−50×10-6cm/cm/%RH〜50×10-6cm/cm/%RHであるものが好ましい。より好ましくは−20×10-6cm/cm/%RH〜20×10-6cm/cm/%RHである。これより大きいと例えば膜を巻回して用いた場合、湿度変化によって膜にしわなどが入り、破れや平面性の低下の原因となる。
さらに多孔質膜の吸湿率は、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下である。これより大きいと、加工を行う前に除湿を行う必要があり、非常に時間がかかり好ましくない。下限については、0%が好ましいが、芳香族ポリアミドという樹脂の特性上、1%以下とすることは困難である。なお、吸湿率は、100mm×100mmに切り取ったフィルムを200℃で、1時間乾燥したときの重量T0を測定後、25℃、75%RHに調整されたデシケーター中に48時間静置したときの重量T1を測定し、以下の式で求める。
吸湿率(%)=((T1−T0)/T0)×100
また、本発明の多孔質膜は、空孔率が20%以上90%以下であるものが好ましい。
本発明の多孔質膜は、フィルター、分離膜、電池用セパレーター、プリント基板など、特に電気絶縁用途に好適に使用できる。
次に本発明の多孔質膜の製造方法について、代表例として、以下説明するが、これに限定されるものではない。
まず芳香族ポリアミドであるが、酸クロリドとジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン(NMP )、ジメチルアセトアミド(DMAc )、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒中で、溶液重合したり、水系媒体を使用する界面重合などで合成される。この時、低分子量物の生成を抑制するため、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避けるべきであり、効率的な撹拌手段をとることが好ましい。また、原料の当量性は重要であるが、製膜性を損なう恐れのある時は、適当に調整することができる。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどを添加しても良い。
単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの周期律表I族かII族のカチオンと水酸化物イオン、炭酸イオンなどのアニオンからなる塩に代表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、多孔質膜の湿度特性を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸クロリド、アニリンなどを重合の完了した系に添加し、ポリマーの末端を封鎖しても良い。また、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
これらポリマー溶液は、そのまま製膜原液として使用してもよく、あるいはポリマーを一度単離してから上記の有機溶媒や、硫酸などの無機溶剤に再溶解して製膜原液を調製してもよい。
また、以下に記す湿式製膜法で多孔質膜を製造する場合、上記芳香族ポリアミドと可溶性樹脂をブレンドし、製膜原液を調製することが好ましい。ここでいう可溶性樹脂としては、前述した芳香族ポリアミドを溶解する溶媒に、1重量%以上溶解する樹脂一種以上をブレンドするものであるが、特に限定されるものではない。芳香族ポリアミドと可溶性樹脂の両者を溶解する溶媒としては、取り扱いやすさなどを考慮すると有機系の溶媒が好ましく、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチレンホスホルアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド系極性溶媒やジメチルスルホンなどが挙げられるが、特にN−メチル−2−ピロリドンおよびN−メチル−2−ピロリドンと他のアミド系極性溶媒の混合物が好ましい。これらの溶媒を用いた場合特に、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリスルフィドスルホン、ポリエーテルイミドなどが好ましく、高温での機械特性の改良が顕著で湿度特性の優れている非晶性樹脂、例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリスルフィドスルホンがより好ましい。
芳香族ポリアミドと可溶性樹脂の混合量は、芳香族ポリアミド/可溶性樹脂=40/60〜99/1(重量比)の範囲が多孔質膜を得る点で好ましく、より好ましくは50/50〜80/20 である。
また、可溶性樹脂を混合することにより、酸素原子と炭素原子の比を容易に調整することができ、例えば、ポリエーテルスルホンやポリスルホンなどでは、混合比を増加させることで、酸素原子と炭素原子の比の値を比例的に大きくすることができる。上記の混合範囲とすることにより好ましい酸素原子と炭素原子の比を得ることができる。
上記芳香族ポリアミドと可溶性樹脂とのブレンドの方法としては、芳香族ポリアミドと可溶性樹脂のそれぞれのブレンド原液を別個に調製しその原液同士をブレンドする方法、可溶性樹脂を溶解したアミド系極性溶媒溶液を調製し、その中で前述した芳香族ポリアミドの重合を行い、重合とブレンドを同時に行う方法などが挙げられる。
製膜時の粘度は、5 〜50,000 ポイズになるように製膜原液のポリマー濃度や温度を調節することが好ましい。より好ましくは、100〜10,000ポイズである。
ここで粘度とは、回転式B型粘度計で製膜時と同一条件(濃度、温度)で測定した値をいう。
また、高湿度雰囲気下及び湿式製膜法で多孔質膜を製造する場合は、水溶性アルコール類を添加することが好ましく、中和後のポリマー溶液に、水溶性アルコール類を混合して用いてもよいし、一旦、ポリマーを単離後、非プロトン性有機極性溶媒に再溶解し、水溶性アルコール類を混合して用いてもよい。製膜原液中のポリマー濃度は2〜30重量%程度が好ましい。薄く、安定した多孔質特性の多孔質膜を効率良く得られることから、より好ましくは8〜25重量%、さらに好ましくは12〜20重量%である。また、水を吸収させた際、速やかにポリマーが析出されるため、混合される水溶性アルコール類は2重量%〜40重量%が好ましい。より好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは、10〜25重量%である。
次に、多孔質膜の作製であるが、いわゆる湿式製膜法で行われる。湿式浴としては、ポリマーが不溶でかつ溶媒が溶解するものであればよいが、取り扱い易さなどから通常は水が好ましい。また、この水浴には塩化リチウムなどの無機塩や水に可溶性の他の溶媒を含んでいてもよい。これにより、孔径や空孔率をコントロールすることができる。例を挙げると、水のみとの比較において、無機塩が含まれていると、孔径、空孔率が小さく、溶媒を含むと孔径、空孔率が大きくなる傾向がある。この製膜原液を金属ドラムやエンドレスの金属ベルトなどの支持体上にキャストし支持体とともに水中に導入されるか、あるいは、水中や水面上の口金からそのままで水中に浸された後すみやかに縦方向に1.01〜1.5倍延伸する。その後、無機塩を添加した場合は無機塩が完全に多孔質膜中からなくなるまで、また、非プロトン性極性溶媒の残存率が5%以下になるまで水中を通す。水温は、0℃以上90℃以下が好ましく20℃以上80℃以下がより好ましい。水温を変えることでも、孔径や空孔率をコントロールすることができる。水温を低くすると、孔径、空孔率が小さく、水温を高くすると、空孔率が大きくなる傾向がある。水中で縦延伸をすることにより孔径を変えることができ、しかも残存無機塩量を10ppm以下にすることが可能となる。その後、100〜350℃で乾燥、熱処理が行われる。熱収縮を小さくするためにはより高温にて熱処理が行われることが好ましく、250℃での熱収縮を小さくするためには、250℃よりも高い温度、260〜350℃での熱処理が好ましい。350℃を超える温度では、ポリマーの分解が起きる可能性があるため避けるべきである。また、吸湿率を低くするするためにも、260〜350℃での熱処理が好ましい。
乾燥中または、乾燥後に延伸が行われることが好ましく、面倍率で、好ましくは0 .8〜5 .0倍、より好ましくは1 .1〜3 .0倍で延伸あるいはリラックスを行う。面倍率とは多孔質膜長手方向(MD方向または縦方向)の延伸倍率と幅方向(TD方向または横方向)の延伸倍率の積を言う。面倍率を調節することでも孔径を自由に変えることができる。面倍率にほぼ比例して、水浴にて脱溶媒が行われた時点での孔径も拡大する。ただし、体積は変化せず、厚み方向には収縮することになるので、空孔率はほとんど変化しない。
また、上記湿式工程を高湿度雰囲気下で吸湿させる方法を採っても良い。吸湿させる方法としては、霧状の水を付着させる方法、水中に導入する方法、調湿空気中に導入する方法、いずれの方法でも差し支えないが、水の吸収速度、量を細かくコントロール可能である調湿空気中へ導入する方法が好適に用いられる。
膜形状とした溶液を調湿空気中へ導入する場合、相対湿度で5〜100%に調湿された空気中にて、ポリマーを析出させることが好ましい。この時の温度は−30℃〜80℃であると好適である。
また、1対の放電電極間に、上記多孔質膜を挿入して放電処理を施して、孔径や開口率やをコントロールすることができる。放電処理で孔径や開口率をコントロールする方法は多孔質膜製膜においてインラインでもオフラインでも良く、またその方法も上記例示に限定されない。
本発明の多孔質膜は、フィルター、分離膜、電池用セパレーター、プリント基板など、特に電気絶縁用途に好適に使用できる。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
本発明における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)開口率
電界放射型走査型顕微鏡(UHR−FE−SEM)を用いて、下記条件で多孔質膜の任意の場所を2,500μm2観察した。
装置:日立(株)製 S−900H
加速電圧:5kV
試料調製:直接法
倍率:5,000倍
得られた写真を観察し、開口部の面積の合計を求め、以下の式で開口率を求めた。
開口率(%)=(開口部面積の合計/2,500μm2)×100
また、開孔部であるかどうか判定が難しい場合は、傾斜法により観察し、その影の状態から判定してもよい。
(2)表層の酸素原子と炭素原子の比(O /C )
(株)島津製作所製ESCA750を用いて以下の条件で測定した。
励起X線:MgKα1.2線(1253 .6eV)
エネルギー補正:C1sメインピークの結合エネルギーを284.6eVに合わせた。
光電子脱出角度:90゜
(3)ガーレ値
JIS−P8117(1998)に規定された方法に従って測定を行った。まず、試料の多孔質膜を直径28.6cm、面積645mm2の円孔に締め付ける。次いで、内筒により(内筒重量567g)、筒内の空気を試験円孔部から筒外へ通過させる。空気100ccが通過する時間を測定し、ガーレ値とした。測定装置として、B型ガーレデンソメーター(安田精機製作所製)を使用した。
(4)空孔率
多孔質膜を100mm四方の正方形に切り取り、重量W(g)、厚みZ(mm)を測定した。使用したポリマーの比重H(g/mm2)を用いて、次式より空孔率を求めた。なおサンプル数は5とし、その平均値を採用した。
空孔率(%)=100−100×((W/H)/(1002×Z))
(5)厚み
関西アンリツ電子株式会社製電子マイクロメーター(検出器型番:K107C、触針半径1.5mm、触針荷重1.5g)を用いて、長さ方向に100mm間隔で5カ所測定し、その平均値を厚みとした。
(6)破断強度、破断伸度
JIS−K7127(1999)に規定された方法に従って測定を行った。ロボットテンシロンRTA(オリエンテック社製)を用いて25℃、相対湿度65%において測定した。試験片は幅10mm、長さ100mmで引っ張り速度は300mm/分である。
(7)熱収縮率
試料幅10mm、試料長200mmの試料を、250℃のオーブン中で、10分加熱してから試料を取り出し、放冷後、下式により求めた。なおサンプル数は5とし、その平均値を採用した。
熱収縮率(%)={(試料長−加熱後の長さ)/試料長}×100
(8)湿度膨脹係数
恒温恒湿槽に試料幅10mm、試料長150mmの試料を加重100g/mm2でセットし、脱湿時(約30%RH)と加湿時(約80%RH)でそれぞれ平衡になった時の多孔質膜長を読みとりその差(伸び量)を使い下式により求めた。
湿度膨脹係数(×10-6 1/RH%)=(伸び量(mm))/
(サンプル厚み(mm)×△H(%RH))
△H:加湿時湿度(%RH)−脱湿時湿度(%RH)
(9)電池特性
A.電解液の調製
LiC49SO3をリン酸トリメチルに溶解させたのち、プロピレンカーボネートを加えて混合し、プロピレンカーボネートとリン酸トリメチルとの体積比が1:2の混合溶媒にLiC49SO3を0.6モル/リットル溶解させた有機電解液を調製した。このようにして得られた有機電解液の引火点を調べるため、この電解液を所定の温度まで加熱して液面近傍に火を近づけ、引火するかどうかを調べた。100℃、150℃、200℃のいずれの温度のテストでも引火せず、この電解液の引火点は200℃以上であることが分かった。
B.電池の作成
リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)に黒鉛とポリフッ化ビニリデンとを加え、溶剤で分散させたスラリーを、厚さ10μmの正極集電体のアルミニウム箔の両面に均一に塗布して乾燥し、圧縮成形して帯状の正極を作製した。正極の厚みは40μmであった。
コークスと、粘着剤としてのポリフッ化ビニリデンとを混合して負極合剤とし、これを溶剤で分散させてスラリーにした。この負極合剤スラリーを、負極集電体としての厚さが10μmの帯状の銅箔の両面に均一に塗布して乾燥し、圧縮成形して帯状の負極前駆体を作製した。負極前駆体の処理液として、LiC49SO3をリン酸トリメチルに溶解させたのち、エチレンカーボネートを加えて混合することにより、処理液を調製した。負極前駆体の両側に処理液を含浸させたセパレータを介してリード体を圧着したLiフォイルで鋏み込み、ホルダーに入れ、負極前駆体を正極、Li極を負極として、放電および充電を行った。その後、分解し、負極前駆体をジメチルカーボネートで洗浄し、乾燥して、負極を作製した。負極の厚みは50μmであった。
次に、上記の帯状正極を、各実施例のセパレータ用多孔質膜を介して、上記シート状負極と重ね、渦巻状に巻回して渦巻状電極体としたのち、内径13mmの有底円筒状の電池ケース内に充填し、正極および負極のリード体の溶接を行った後、有機電解液を電池ケース内に注入した。電池ケースの開口部を封口し、電池の予備充電を行い、筒形の有機電解液二次電池を作製した。
C.電池容量
作成した各二次電池について、35mAで充電4.1V、放電2.7Vで放充電させ、1サイクル目と10サイクル目の放電容量を調べた。1サイクル目の放電容量を基準として、10回目の放電容量が、
A:95%以上
B:90%以上95%未満
C:90%未満
のランクで評価し、ランクB以上を合格とした。
以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでないことは言うまでもない。
(実施例1)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに80モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと20モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が11重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液を水で再沈してポリマーを取り出した。
このポリマーを15重量%、N−メチル−2−ピロリドン78重量%、ポリカーボネート(出光石油化学(株)製、タフロン、以下PC と略す)7重量%となるよう量り取り、ポリマーをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、均一に完全相溶したポリマー溶液を得た。
この製膜原液を、下半分が水中にあり回転している金属ドラム上にキャストし、25℃の水中に導き自己支持性を得た後、ドラムより剥離し、縦方向に1.05倍延伸した。さらに、多孔質膜中の残存溶媒が5%以下になるまで水中を通した後、テンターで280℃で乾燥しながら横方向に1.05倍延伸した。製造条件を表1に示す。厚み20μm、小開口率面開口率2.7%、大開口率面開口率47%、Pa/Pb=0.057、空孔率70%、ガーレ値1,302sec/100ccの多孔質膜が得られ、縦方向の熱収縮率1.2%、縦方向の湿度膨張係数30×10-6cm/cm/%RHと熱、湿度に対して寸法安定性の非常に優れた多孔質膜であった。また、O/Cは、小開口率面、大開口率面共に0.15であった。
得られた多孔質膜を用いて、電池を作製し、放電容量の低下を測定したところ、98%を維持していた。フィルム物性を表2に示す。
(実施例2)
実施例1と同様に得た多孔質膜の小開口率面にコロナ処理を施し、厚み20μm、小開口率面開口率4.4%、大開口率面開口率47%、Pa/Pb=0.094、空孔率70%、ガーレ値956sec/100ccの多孔質膜が得られ、縦方向の熱収縮率1.2%、縦方向の湿度膨張係数30×10-6cm/cm/%RHと熱、湿度に対して寸法安定性の非常に優れた多孔質膜であった。また、O/Cは、小開口率面0.38、大開口率面0.15であった。
得られた多孔質膜を用いて、電池を作製し、放電容量の低下を測定したところ、98%を維持していた。
(実施例3)
実施例1と同様に得た製膜原液を、下半分が水中にあり回転している金属ドラム上にキャストし、80℃の水中に導き自己支持性を得た後、ドラムより剥離し、縦方向に1.1倍延伸した。さらに、多孔質膜中の残存溶媒が5%以下になるまで水中を通した後、テンターで280℃で乾燥しながら横方向に1.1倍延伸した。小開口率面にコロナ処理を2度施し、厚み24μm、小開口率面開口率48%(コロナ処理前23%)、大開口率面開口率57%、Pa/Pb=0.84、空孔率76%、ガーレ値321sec/100ccの多孔質膜が得られ、縦方向の熱収縮率収2.3%、縦方向の湿度膨張係数37×10-6cm/cm/%RHと熱、湿度に対して寸法安定性の非常に優れた多孔質膜であった。また、O/Cは、小開口率面0.43、大開口率面0.15であった。
得られた多孔質膜を用いて、電池を作製し、放電容量の低下を測定したところ、93%を維持していた。
(実施例4)
実施例1と同様に得た製膜原液を、下半分が水中にあり回転している金属ドラム上にキャストし、2℃の水中に導き自己支持性を得た後、ドラムより剥離し、縦方向に1.05倍延伸した。さらに、多孔質膜中の残存溶媒が5%以下になるまで水中を通した後、テンターで280℃で乾燥しながら横方向に1.05倍延伸した。厚み23μm、小開口率面開口率2.2%、大開口率面開口率41%、Pa/Pb=0.054、空孔率59%、ガーレ値1,458sec/100ccの多孔質膜が得られ、縦方向の熱収縮率収1.3%、縦方向の湿度膨張係数80×10-6cm/cm/%RHと熱に対して寸法安定性は優れるが、湿度に対しては寸法安定性が低い多孔質膜であった。また、O/Cは、小開口率面、大開口率面共に0.17であった。
得られた多孔質膜を用いて、電池を作製し、放電容量の低下を測定したところ、91%を維持していた。
(実施例5)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに80モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと20モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が11重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液を水で再沈してポリマーを取り出した。
このポリマーを15重量%、N−メチル−2−ピロリドン70重量%、PC15重量%となるよう量り取り、ポリマーをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、均一に完全相溶したポリマー溶液を得た。
この製膜原液を、下半分が水中にあり回転している金属ドラム上にキャストし、25℃の水中に導き自己支持性を得た後、ドラムより剥離し、縦方向に1.05倍延伸した。さらに、多孔質膜中の残存溶媒が5重量%以下になるまで水中を通した後、テンターで280℃で乾燥しながら横方向に1.05倍延伸した。小開口率面にコロナ処理を施し、厚み27μm、小開口率面開口率6.5%(コロナ処理前4.1%)、大開口率面開口率50%、Pa/Pb=0.125、空孔率74%、ガーレ値725sec/100ccの多孔質膜が得られ、縦方向の熱収縮率2.7%、縦方向の湿度膨張係数40×10-6cm/cm/%RHと熱、湿度に対して寸法安定性の優れた多孔質膜であった。また、O/Cは、小開口率面0.39、大開口率面0.22であった。
得られた多孔質膜を用いて、電池を作製し、放電容量の低下を測定したところ、96%を維持していた。
(実施例6)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに80モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと20モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が11重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液を水で再沈してポリマーを取り出した。
このポリマーを15重量%、N−メチル−2−ピロリドン78重量%、ポリエーテルスルホン(住友化学製、スミカエクセルPES、以下PESと略す)7重量%となるよう量り取り、ポリマーをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、均一に完全相溶したポリマー溶液を得た。
この製膜原液を、下半分が水中にあり回転している金属ドラム上にキャストし、25℃の水中に導き自己支持性を得た後、ドラムより剥離し、縦方向に1.05倍延伸した。さらに、多孔質膜中の残存溶媒が5重量%以下になるまで水中を通した後、テンターで280℃で乾燥しながら横方向に1.05倍延伸した。小開口率面にコロナ処理を施し、厚み21μm、小開口率面開口率4.6%(コロナ処理前3.4%)、大開口率面開口率49%、Pa/Pb=0.094、空孔率71%、ガーレ値887sec/100ccの多孔質膜が得られ、縦方向の熱収縮率収1.1%、縦方向の湿度膨張係数27×10-6cm/cm/%RHと熱、湿度に対して寸法安定性が悪化した。また、小開口率面0.35、大開口率面0.17であった。
得られた多孔質膜を用いて、電池を作製し、放電容量の低下を測定したところ、95%を維持していた。
(比較例1)
実施例1と同様に得た製膜原液を、下半分が水中にあり回転している金属ドラム上にキャストし、2℃の水中に導き自己支持性を得た後、ドラムより剥離し、縦方向に0.95倍緩和した。さらに、多孔質膜中の残存溶媒が5%以下になるまで水中を通した後、テンターで280℃で乾燥しながら横方向に0.95倍緩和した。厚み26μm、小開口率面開口率1.6%、大開口率面開口率39%、Pa/Pb=0.041、空孔率58%、ガーレ値2,105sec/100ccの多孔質膜が得られ、縦方向の熱収縮率1.1%、縦方向の湿度膨張係数80×10-6cm/cm/%RHと熱に対して寸法安定性は優れるが、湿度に対しては寸法安定性が低い多孔質膜であった。また、O/Cは、小開口率面、大開口率面共に0.17であった。
得られた多孔質膜を用いて、電池を作製し、放電容量の低下を測定したところ、88%に低下していた。
(比較例2)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに80モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと20モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が11重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液を水で再沈してポリマーを取り出した。
このポリマーを15重量%、N−メチル−2−ピロリドン78重量%、ポリスチレン(PSジャパン製、GPPS、以下PSと略す)7重量%となるよう量り取り、ポリマーをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、均一に完全相溶したポリマー溶液を得た。
この製膜原液を、下半分が水中にあり回転している金属ドラム上にキャストし、25℃の水中に導き自己支持性を得た後、ドラムより剥離し、縦方向に1.05倍延伸した。さらに、多孔質膜中の残存溶媒が5%以下になるまで水中を通した後、テンターで250℃で乾燥しながら横方向に1.05倍延伸した。厚み20μm、小開口率面開口率4.1%、大開口率面開口率45%、Pa/Pb=0.091、空孔率71%、ガーレ値983sec/100ccの多孔質膜が得られ、縦方向の熱収縮率収6.1%、縦方向の湿度膨張係数60×10-6cm/cm/%RHと熱、湿度に対して寸法安定性が悪化した。また、O/Cは、小開口率面、大開口率面共に0.04であった。
得られた多孔質膜を用いて、電池を作製し、放電容量の低下を測定したところ、86%に低下した。また、1サイクル目の値が、実施例1と比較して2/3程度であった。
(比較例3)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに80モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと20モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が11重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液を水で再沈してポリマーを取り出した。
このポリマーを15重量%、N−メチル−2−ピロリドン70重量%、PC15重量%となるよう量り取り、ポリマーをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、均一に完全相溶したポリマー溶液を得た。
この製膜原液を、下半分が水中にあり回転している金属ドラム上にキャストし、25℃の水中に導き自己支持性を得た後、ドラムより剥離し、縦方向に1.05倍延伸した。さらに、多孔質膜中の残存溶媒が5%以下になるまで水中を通した後、テンターで280℃で乾燥しながら横方向に1.05倍延伸した。小開口率面、大開口率面共にコロナ処理を3度施し、厚み26μm、小開口率面開口率7.0%(コロナ処理前4.1%)、大開口率面開口率53%(コロナ処理前50%)、Pa/Pb=0.132、空孔率74%、ガーレ値653sec/100ccの多孔質膜が得られ、縦方向の熱収縮率2.7%、縦方向の湿度膨張係数40×10-6cm/cm/%RHと熱、湿度に対して寸法安定性の優れた多孔質膜であった。また、O/Cは、小開口率面0.52、大開口率面0.46であった。
得られた多孔質膜を用いて、電池を作製し、放電容量の低下を測定したところ、78%に大きく低下していた。また、電池を作製する際、多孔質膜から発塵が見られた。
Figure 2008106261
Figure 2008106261

Claims (3)

  1. 芳香族ポリアミドを含む多孔質膜において、該多孔質膜が開口率の異なる表面を有し、開口率の小さい方の表面(小開口率面)の開口率Paと、開口率の大きい方の表面(大開口率面)の開口率Pbとの比Pa/Pbが0.05以上0.90以下であり、かつ、少なくとも一方の表面の酸素原子と炭素原子との比(O/C)が0.05以上0.40以下である多孔質膜。
  2. 酸素原子と炭素原子との比(O/C)が、0.05以上0.40以下である表面が小開口率面である、請求項1に記載の多孔質膜。
  3. 小開口率面に存在する全開口部の5%以上がコロナ放電によって穿孔されている、請求項1または2に記載の多孔質膜。
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