JPH11247067A - ポリエステル系合成繊維製品の親水化加工方法 - Google Patents

ポリエステル系合成繊維製品の親水化加工方法

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JPH11247067A
JPH11247067A JP10063969A JP6396998A JPH11247067A JP H11247067 A JPH11247067 A JP H11247067A JP 10063969 A JP10063969 A JP 10063969A JP 6396998 A JP6396998 A JP 6396998A JP H11247067 A JPH11247067 A JP H11247067A
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JP
Japan
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chitosan
polyethylene glycol
derivative
synthetic fiber
solution
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JP10063969A
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English (en)
Inventor
Mitsunori Itoyama
糸山  光紀
清久 ▲高橋▼
Kiyohisa Takahashi
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Fuji Spinning Co Ltd
Original Assignee
Fuji Spinning Co Ltd
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Publication date
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗濯後も親水性能を維持し、繰り返しての使
用にも充分耐えられるポリエステル系合成繊維製品の親
水化加工方法を提供する。 【解決手段】 ポリエステル系合成繊維製品をキトサン
誘導体溶液とグリシジルエーテル基を有するポリエチレ
ングリコール誘導体溶液で処理後熱処理するポリエステ
ル系合成繊維製品の親水化加工方法であり、更にキトサ
ン誘導体がキトサンヒドロキシル酸塩,O−3級アミノ
化キトサン,部分N−3級アミノ化キトサン,O−4級
アミノ化キトサン,部分N−4級アミノ化キトサンから
選ばれ、又、グリシジルエーテル基を有するポリエチレ
ングリコール誘導体がポリエチレングリコールグリシジ
ルエーテルであるポリエステル系合成繊維製品の親水化
加工方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル系合
成繊維製品に耐久性に優れた親水性能を付与する加工方
法に関し、更に詳しくはポリエステル系合成繊維製品を
用いたワイシャツ,ブラウス等の衣料品,外着用品,家
庭用品等に利用するのに好適な親水性能を付与させる親
水化加工方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル系合成繊維は、天然繊維に
比べて強度や耐候性等の物理的特性や加工特性に優れ、
又、洗濯後の形態安定性にも優れているが、吸水性や吸
湿性に劣り、ポリエステル系合成繊維製品を着用した場
合にムレ感やベタツキ感等の不快感を与えると共に、静
電気を生じ易い欠点がある。これらの欠点を改善するた
め、従来よりポリエステル系合成繊維製品を後加工方法
により親水性能(吸湿性,帯電防止性や防汚性等の性
質)を付与しようとする多くの試みがなされている。
【0003】例えば、糊材を含む親水性物質の溶液に含
浸又はこのような溶液をスプレー処理等で繊維表面に付
着させる方法、親水基を有する重合可能な単量体を繊維
表面で重合させ被膜を形成する方法(特開昭53−13
0396号他)、親水性の酸性基を具備したビニル系モ
ノマーをグラフト重合し、更に親水性加工剤で処理する
方法(特開平7−90774号)や、ポリエステルポリ
エーテルブロック共重合体の水分散物を水溶性熱反応型
ウレタンと酸性アミノ酸又はその誘導体を含む水溶液で
処理し、次いで熱処理する方法(特開平6−41872
号)等が開示されている。
【0004】しかし、これらの方法では洗濯処理をする
と効果が低減し、又耐久性を高めるために処理剤の付与
量を増すと繊維製品の風合を損なう等の多くの問題があ
る。天然多糖のもつ親水性,風合改善性と機能性,安全
性,生分解性等が取り上げられ、これらの素材を利用す
る試みがなされている。中でも多糖の1種であるキトサ
ン及びその誘導体を合成繊維に固着させると、高い親水
性,染色性の改善,抗菌性,生体適合性をも付与できる
ので、例えば、粉体状キトサンを熱可塑性の合成樹脂と
混合し、布地上に付着させる方法(特開平3−7680
1号)、コラーゲン混入キトサン乳酸塩水溶液で処理す
る方法(特開平7−229064号)等が開示されてい
るが、これらは単にキトサンが付着されたものであり、
洗濯による剥離を生ずる問題がある。キトサンの脱離を
防ぐために、特開平3−76871号や特開平4−25
7301号等で種々の架橋化試薬によってキトサンの繊
維製品への付着と同時に架橋化処理をすることが提案さ
れている。
【0005】しかし、キトサン誘導体とポリエチレング
リコール誘導体を用いてポリエステル系合成繊維製品の
耐久性に優れた親水性能を具備させる方法についての開
示は全くなされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の如き
欠点を解決すべくポリエステル系合成繊維製品をアミノ
基を有するキトサン誘導体とグリシジルエーテル基を有
するポリエチレングリコール誘導体で処理後熱処理する
ことにより、洗濯後も親水性能を維持し、繰り返しての
使用にも充分耐えられるポリエステル系合成繊維製品の
親水化加工方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリエス
テル系合成繊維製品をキトサン誘導体で処理することに
より、ポリエステル系合成繊維を構成するエステル結合
を切断しアミド結合を形成させ、これにキトサン誘導体
が結合し、キトサン誘導体が本来具備している親水性が
付与されることに着目し、更に耐久的な親水性を発揮さ
せるためにポリエチレングリコール誘導体を用いること
によって、優れた親水性を発揮し、洗濯しても親水性を
保持させることができ、帯電防止性,防汚性にも優れた
製品が得られることを見出し、本発明に至った。
【0008】即ち、本発明は、ポリエステル系合成繊維
製品を、キトサン誘導体溶液とグリシジルエーテル基を
有するポリエチレングリコール誘導体溶液で処理後熱処
理するポリエステル系合成繊維製品の親水化加工方法で
あり、更にキトサン誘導体が、キトサンヒドロキシル酸
塩,O−3級アミノ化キトサン,部分N−3級アミノ化
キトサン,O−4級アミノ化キトサン,部分N−4級ア
ミノ化キトサンから選ばれ、又、グリシジルエーテル基
を有するポリエチレングリコール誘導体がポリエチレン
グリコールジグリシジルエーテルであるポリエステル系
合成繊維製品の親水化加工方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるポリエステル
系合成繊維は、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチ
レンテレフタレート等の合成繊維のいずれでもよく、
又、該繊維製品の形態は糸状,編織布状等のいずれであ
ってもよい。更にポリウレタン弾性糸を芯糸にし、該合
成繊維を鞘糸として被覆した被覆糸や、該合成繊維以外
の繊維例えばアクリル,ポリビニルアルコール,ポリプ
ロピレン,ポリエチレン等の合成繊維,綿,絹,羊毛,
麻等の天然繊維,ビスコースレーヨン,銅アンモニアレ
ーヨン,アセテート等の再生繊維等が混繊或いは交編織
されているものでもよく、予めこれらを浸染や捺染等の
染色処理したものでもよい。
【0010】本発明では、ポリエステル系合成繊維製品
をキトサン誘導体溶液とグリシジルエーテル基を有する
ポリエチレングリコール誘導体溶液で処理するが、本発
明で用いられるキトサン誘導体は、アミノ基を有する親
水性高分子で、溶媒特に加工処理上水に可溶であること
が好ましい。又、本来、キトサンはその結晶構造に由来
し水に不溶であるが、例えば化学修飾,アミノ基を利用
した塩を形成さす等でキトサン誘導体とし、水に可溶と
することができる。水に可溶なキトサン誘導体の一つと
してキトサンの各種有機酸塩が挙げられるが、有機酸塩
とするのに用いられる有機酸の量がキトサンのアミノ基
よりも多いとポリエステル系合成繊維との反応部位とな
る1級アミノ基が殆ど残存しなくなるため好ましくな
く、又、有機酸として酢酸,酪酸等のアルキル型有機酸
では疎水性の増加によりポリエステル系合成繊維の親水
化処理に用いることは好ましくなく、グリセリン酸,グ
ルコン酸等のヒドロキシル酸等による有機酸塩が好適で
ある。例えば、キトサングルコン酸塩は、キトサンをδ
−グルコノラクトン溶液に溶解反応させて得ることがで
き、化学式(1)にキトサングルコン酸塩を示す。
【0011】
【化1】
【0012】本発明でキトサン誘導体として上述以外に
O−3級アミノ化キトサン,部分N−3級アミノ化キト
サン,O−4級アミノ化キトサン,部分N−4級アミノ
化キトサンか挙げられ、O−3級アミノ化キトサンとO
−4級アミノ化キトサンは、キトサンを酢酸水溶液等の
有機酸水溶液に溶解した後に塩基性水溶液で凝固再生さ
せ、得られた再生キトサンの6位の−CH2 OH基を水
酸化ナトリウム処理し、O−3級アミノ化キトサンは、
例えば2−クロロエチルジエチルアミン塩酸塩、2−ク
ロロメチルジアミン塩酸塩、N,N−ジメチルグリシン
クロライド等を反応させて得、O−4級アミノ化キトサ
ンは、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチル
アンモニウムクロライド、2,3−エポキシプロピルト
リメチルアンモニウム等を反応させて得られ、例示する
と、化学式(2),化学式(3)に示したキトサン誘導
体である。
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】又、部分N−3級アミノ化キトサンと部分
N−4級アミノ化キトサンは、キトサンを酢酸水溶液で
処理しキトサン酢酸塩とした溶液中に、例えば部分N−
3級アミノ化キトサンは3級化試薬として2−クロロエ
チルジエチルアミン塩酸塩、2−クロロメチルジアミン
塩酸塩、N,N−ジメチルグリシンクロライド等を反応
させて得られ、部分N−4級アミノ化キトサンは、4級
化試薬として3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリ
メチルアンモニウムクロライド、2,3−エポキシプロ
ピルトリメチルアンモニウム等を反応させて得られ、例
示すると、化学式(4),化学式(5)に示したキトサ
ン誘導体である。
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】本発明において、用いられるキトサン誘導
体にはその構造上未反応の1級アミノ基が残っているこ
とがポリエステル系合成繊維製品の親水化には必要であ
る。そして用いられるキトサン誘導体の分子量は約1
0,000〜100,000が好ましく、平均分子量が
100,000以上であると吸湿性には問題がないが、
繊維製品の風合が硬くなり帯電防止性が悪くなり、1
0,000以下のものは誘導基量が少なくなり好ましく
ない。キトサンへの誘導基の導入量が少ないと、該キト
サン誘導体の水溶性が劣るので取扱上好ましくない。本
発明で用いられるキトサン誘導体は水に可溶であるので
水に溶解させればよい。他の溶媒を用いることも出来る
が取扱上水が好ましい。
【0019】本発明で用いるキトサン誘導体水溶液濃度
は0.5〜5%で充分であり、キトサンヒドロキシル酸
塩、O−3級アミノ化キトサン、部分N−3級アミノ化
キトサン、O−4級アミノ化キトサン、部分N−4級ア
ミノ化キトサンから選ばれる1種のみならず2種以上を
混合して使用してもよい。
【0020】本発明で用いられるポリエチレングリコー
ル誘導体は、主としてキトサンの水酸基と反応させるた
めに用いられるのでグリシジルエーテル基,クロルヒド
リン,酸無水物,酸ハロゲン化物,アルキルハライド等
の反応性官能基を有するものが挙げられ、反応性が高
く、水溶液中での反応が容易なグリシジルエーテル基を
有しているものが好ましい。グリシジルエーテル基を有
するポリエチレングリコール誘導体としては、グリシジ
ルエーテルが1官能のものでも多官能のものでも特に限
定されず、化学式(6)に示したポリエチレングリコー
ルジグリシジルエーテルが好適である。
【0021】
【化6】
【0022】本発明では、上述のキトサン誘導体溶液に
よるポリエステル系合成繊維製品の処理では、繊維表面
のみが親水化されるために帯電防止効果等は非常に優れ
るが、キトサン誘導体単独処理では吸湿性の向上が十分
ではない。従って、キトサン誘導体溶液での処理と共
に、親水性の高いポリエチレングリコール誘導体溶液で
処理することが吸湿性向上のために必要である。ポリエ
チレングリコール誘導体は水に可溶であるので水に溶解
させればよく、他の溶媒を用いることも出来る。ポリエ
チレングリコール誘導体の化学式(6)で示した化学式
中のXが10以下であると吸湿性に劣り、10以上が好
ましい。又、Xの値が1種のみか、異なるものを混合し
て使用することも出来る。ポリエチレングリコール誘導
体溶液の濃度は、前述のキトサン誘導体溶液の濃度によ
って適宜決定すればよいが、0.5〜5%が好ましい。
用いるポリエチレングリコール誘導体溶液を5%以上の
濃度にしても、その効果には著しい向上は望めない。
【0023】本発明のポリエステル系合成繊維製品の親
水化加工方法は、キトサン誘導体溶液とポリエチレング
リコール誘導体溶液で処理するが、キトサン誘導体とポ
リエチレングリコール誘導体の混合溶液で処理するとき
は、キトサン誘導体とポリエチレングリコール誘導体と
同一の溶媒に溶解させた溶液とすることは当然である。
キトサン誘導体溶液とポリエチレングリコール誘導体溶
液とで別々に処理するときは、キトサン誘導体溶液で先
に処理することが必須である。キトサン誘導体溶液とポ
リエチレングリコール誘導体溶液でポリエステル系合成
繊維製品を処理するときは、該混合溶液中に含浸させた
後、絞って通常の乾燥を行う。乾燥後100〜160℃
で、1.5〜3分間熱処理すればよい。次いで加工処理
されたポリエステル系合成繊維製品に残存しているキト
サン誘導体、ポリエチレングリコール誘導体を十分に水
洗し、通常の乾燥処理をする。
【0024】
【実施例】以下、本発明について実施例により具体的に
説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものではな
い。尚、実施例に記載した各測定値の測定は次の方法で
行った。
【0025】《洗濯処理》 JIS L 0217-1995 「繊維製品の取り扱いに関する
表示方法」2.1. (1)洗い方番号103に準じて洗濯を行った。
【0026】《吸湿率の測定》温度35℃、湿度90%
にセットした恒温恒湿機内に、4.5cm×4.5cm
の試験布をふたを開けた秤量瓶に入れ、60分後に秤量
瓶のふたを閉めて取り出し、重量を測定した。予め何も
入れない秤量瓶のふたを閉めた際の重量を測定してお
き、これらの重量の差から吸湿量を求め、試験布の絶乾
重量の比から次式で吸湿率を求めた。 吸湿率(%)=((W60−W0 )/W0 )×100 但し、W0 =絶乾時の試料重量、W60=60分後の試料
重量
【0027】《帯電圧》JIS L 1904(199
7)「織物及び編物の帯電性試験方法」の5.2「摩擦
帯電圧測定法」に従い、試料の帯電圧を調べた。
【0028】《防汚性》10cm×10cmの試験布を
2枚ずつ採取し、平らな面に置きそれぞれの中央に油を
1ml垂らし付着させた。24時間放置後、1枚を洗濯
処理(JISL 0217 103法、1回、自然乾
燥)した。洗濯前と洗濯処理後の試料を並べておき、汚
れの脱落程度を観察し次のように判定した。 5級−完全に脱落する 4級−かなり脱落する 3級−脱落する 2級−僅かに脱落する 1級−脱落しない
【0029】〔実施例1〕0.8デニール、38mm長
のポリエステル合成繊維と綿を50対50で混繊し、こ
れを紡績糸として織成した目付136g/m2 の織物
(30cm×30cm)を6片準備し、1,5,10,
20,50,70gのキトサンをキトサンのアミノ基に
対し、0.9mol等量のδ−グルコノラクトン水溶液
で処理したキトサングルコン酸塩(平均分子量約10,
000)とナガセ化成工業(株)製商品名デナコールE
X−861であるポリエチレングリコールジグリシジル
エーテル(X=22)の20gを1Lの水に溶解した混
合水溶液6つにそれぞれを浸漬し、絞った後(絞り率9
0%)乾燥し、次いで150℃、1.5分間の熱処理を
した。その後充分に水洗し乾燥をして試料No.1〜6
を得た。得られた試料と未処理織物の洗濯前、10回洗
濯後の吸湿率,帯電圧,防汚性を測定し表1に示した。
【0030】
【表1】
【0031】表1より、試料No.1は充分な吸湿性が
認められず、又、試料No.6では吸湿性と防汚性は充
分であるが布帛が硬くなるために帯電防止性が充分でな
い。試料No.2〜5は未処理品に比べて吸湿性,帯電
防止性,防汚性に優れ、洗濯後でも殆ど変化が認められ
ない。
【0032】〔実施例2〕実施例1と同じ織物(30c
m×30cm)を5片準備し、実施例1で用いたキトサ
ングルコン酸塩、そして平均分子量が約10,000で
ある化学式(3)で示したO−4級アミノ化キトサン
(置換度0.3)、化学式(5)で示した部分N−4級
アミノ化キトサン(置換度0.3)、化学式(2)で示
したO−3級アミノ化キトサン(置換度0.3)と化学
式(4)で示した部分N−3級アミノ化キトサン(置換
度0.3)をそれぞれ20gと、実施例1で用いたポリ
エチレングリコールジグリシジルエーテルの20gを水
1Lに溶解させた混合水溶液5つに織物をそれぞれ1片
ずつ浸漬し、絞った後(絞り率90%)乾燥し、次いで
150℃、1.5分間の熱処理をした。その後充分に水
洗し、乾燥して試料No.7〜11を得た。得られた試
料の洗濯前、10回洗濯後の吸湿率,帯電圧,防汚性を
測定し表2に示した。
【0033】
【表2】
【0034】表2より、いずれも優れた吸湿性,帯電防
止性,防汚性が認められ、洗濯後もその効果に変化が認
められない。
【0035】〔実施例3〕実施例1と同じ織物(30c
m×30cm)を4片準備し、平均分子量が約10,0
00、約50,000、約100,000及び約20
0,000のキトサングルコン酸塩(グルコン酸0.9
mol等量)の4種各20gと、実施例1で用いたポリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル20gを1L
の水に溶解させた混合水溶液4つを用意して、それぞれ
に織物片を浸漬し、絞った後(絞り率90%)乾燥し、
次いで150℃、1.5分間の熱処理をした。その後充
分に水洗し、乾燥して試料No.12〜15を得た。得
られた試料の洗濯前、10回洗濯後の吸湿率,帯電圧,
防汚性を測定し表3に示した。
【0036】
【表3】
【0037】表3より、試料No.15のキトサン誘導
体の平均分子量が約200,000では吸湿性と防汚性
は良好であるが、布帛が硬くなるために帯電防止性が劣
っている。試料No.12〜14の平均分子量が10
0,000以下では未処理品と比較して吸湿性,帯電防
止性,防汚性が優れ、洗濯後も殆どその性能に変化が認
められない。
【0038】〔実施例4〕実施例1と同じ織物(30c
m×30cm)を5片準備し、実施例1で用いたキトサ
ングルコン酸塩20gと実施例1で用いたポリエチレン
グリコールジグリシジルエーテルをそれぞれ5,10,
20,50,100gを水1Lに溶解した混合水溶液を
5つ用意して、それぞれに織物片を浸漬し、絞った後
(絞り率90%)乾燥し、次いで150℃、1.5分間
熱処理した。その後充分に水洗し、乾燥して試料No.
16〜20を得た。得られた試料の洗濯前、10回洗濯
後の吸湿性,帯電圧,防汚性について測定し表4に示し
た。
【0039】
【表4】
【0040】表4より、試料No.16〜20は未処理
品に比較して吸湿性,帯電防止性,防汚性に優れ、洗濯
後もその性能は変わりがない。ポリエチレングリコール
ジグリシジルエーテルを100g溶解させたときの試料
No.20と、50g溶解させたときの試料No.19
とではその効果は殆ど変わりが認められない。従ってポ
リエチレングリコール誘導体溶液の濃度は0.5〜5%
の範囲であれば充分である。
【0041】〔実施例5〕実施例1と同じ織物(30c
m×30cm)を3片準備し、実施例1で用いたキトサ
ングルコン酸塩20gと実施例1で用いたポリエチレン
グリコールジグリシジルエーテル(X=22)、ナガセ
化成工業(株)製商品名デナコールEX−841のポリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル(X=1
1)、ナガセ化成工業(株)製商品名デナコールEX−
810のエチレングリコールジグリシジルエーテル(X
=1)のそれぞれ20gを水1Lに溶解させ混合水溶液
3つを用意して、それぞれに織物片を浸漬し、絞った後
(絞り率90%)乾燥し、次いで150℃、1.5分間
熱処理をした。その後充分に水洗し、乾燥をして試料N
o.21〜23を得た。得られた試料の洗濯前、10回
洗濯後の吸湿率,帯電圧,防汚性について測定し表5に
示した
【0042】
【表5】
【0043】表5より、エチレングリコールジグリシジ
ルエーテルで処理した試料No.23では吸湿性,帯電
防止性,防汚性が好ましくなく、化学式(6)で示した
化学式のXが11以上であれば、洗濯前後でも吸湿性,
帯電防止性,防汚性に優れている。
【0044】〔比較例1〕実施例1と同じ織物(30c
m×30cm)を6片準備し、実施例1で用いたキトサ
ングルコン酸塩のそれぞれ1,5,10,30,50,
70gを1Lの水に溶解させ、ポリエチレングリコール
ジグリシジルエーテルを混合しない水溶液6つを用意し
て、それぞれに織物片を浸漬し、絞った後(絞り率90
%)乾燥し、次いで150℃、1.5分間熱処理をし
た。その後充分に水洗し、乾燥して試料No.24〜2
9を得た。得られた試料の洗濯前、10回洗濯後の吸湿
率,帯電圧,防汚性を測定し表6に示した。
【0045】
【表6】
【0046】表6より、キトサン誘導体溶液のみの処理
では、帯電防止性,防汚性には優れるが、実施例1の結
果に比較して吸湿性の効果が低いことが認められる。
【0047】〔比較例2〕実施例1と同じ織物(30c
m×30cm)を5片準備し、実施例1で用いたポリエ
チレングリコールジグリシジルエーテルをそれぞれ5,
10,20,50,100gをそれぞれ水1Lに溶解さ
せ、キトサン誘導体を混合しない水溶液を5つ用意し
て、それぞれに織物片を浸漬し、絞った後(絞り率90
%)乾燥し、次いで150℃、1.5分間熱処理をし
た。その後充分に水洗し、乾燥して試料No.30〜3
4を得た。得られた試料の洗濯前、10回洗濯後の吸湿
率,帯電圧,防汚性を測定し表7に示した。
【0048】
【表7】
【0049】表7より、実施例4の結果に比べキトサン
誘導体を用いていないので吸湿性,帯電防止性,防汚性
のいずれも劣っていることが認められる。
【0050】〔実施例6〕0.8デニール、38mm長
のポリエステル系合成繊維100%の紡績糸より得られ
た目付100g/m2 の織物(30cm×30cm)を
6片準備し、実施例1で用いたキトサングルコン酸塩の
1,5,10,20,50,70gをそれぞれと、実施
例1で用いたポリエチレングリコールジグリシジルエー
テル20gを1Lの水に溶解した混合水溶液を6つ用意
し、それぞれに織物片を浸漬し、絞った後(絞り率90
%)乾燥し、次いで150℃、1.5分間熱処理をし
た。その後充分水洗し、乾燥をして試料No.35〜4
0を得た。得られた試料と未処理織物の洗濯前、10回
洗濯後の吸湿率,帯電圧,防汚性を測定し表8に示し
た。
【0051】
【表8】
【0052】表8より、キトサン誘導体溶液の濃度が
0.1%でポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ルが2%の水溶液で処理した試料No.35は充分な吸
湿性,帯電防止性が得られず、試料No.40のキトサ
ン誘導体溶液の濃度7.0%では吸湿性,防汚性は良好
となるものの、布帛が硬くなるので帯電防止性に劣って
いる。試料No.36〜39のキトサン誘導体溶液の濃
度が0.5〜5.0%の範囲では、未処理品と比べて吸
湿性,帯電防止性,防汚性が優れ、洗濯後もその性能は
殆ど変化していないことが認められる。
【0053】
【発明の効果】本発明のポリエステル系合成繊維製品の
親水化加工方法は、該繊維製品をキトサン誘導体溶液と
グリシジルエーテル基を有するポリエチレングリコール
誘導体溶液で処理した後熱処理する方法であり、キトサ
ン誘導体がポリエステル系合成繊維に共有結合で保持さ
れ、ポリエチレングリコール誘導体を併用しているため
優れた吸湿性,帯電防止性,防汚性の親水性を発揮する
とともに、洗濯によっても親水性が保持される効果を発
揮する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル系合成繊維製品を、キトサ
    ン誘導体溶液とグリシジルエーテル基を有するポリエチ
    レングリコール誘導体溶液で処理後熱処理することを特
    徴とするポリエステル系合成繊維製品の親水化加工方
    法。
  2. 【請求項2】 キトサン誘導体が、キトサンヒドロキシ
    ル酸塩,O−3級アミノ化キトサン,部分N−3級アミ
    ノ化キトサン,O−4級アミノ化キトサン及び部分N−
    4級アミノ化キトサンから選ばれる請求項1記載のポリ
    エステル系合成繊維製品の親水化加工方法。
  3. 【請求項3】 グリシジルエーテル基を有するポリエチ
    レングリコール誘導体が、ポリエチレングリコールジグ
    リシジルエーテルである請求項1記載のポリエステル系
    合成繊維製品の親水化加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2020196823A (ja) * 2019-06-03 2020-12-10 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 キチン・キトサン系複合体組成物及びキチン・キトサン系複合体の製造方法

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