JPH11246602A - 湿潤バクテリアセルロースの保存方法 - Google Patents

湿潤バクテリアセルロースの保存方法

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JPH11246602A
JPH11246602A JP6772798A JP6772798A JPH11246602A JP H11246602 A JPH11246602 A JP H11246602A JP 6772798 A JP6772798 A JP 6772798A JP 6772798 A JP6772798 A JP 6772798A JP H11246602 A JPH11246602 A JP H11246602A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 腐敗し易いBCを経済的且つ効果的に保存す
る方法を提供すること。 【解決手段】 湿潤バクテリアセルロース中に硫酸アル
キル塩、或いは、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カ
リウムを存在させることを特徴とするバクテリアセルロ
ースの保存方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース性物質
を生産する能力を有する微生物(以下、「セルロース生
産菌」という)に属する菌を通気攪拌等の培養系で培養
して得られた、セルロース性物質(以下、「バクテリア
セルロース」又は「BC」という)を保存する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】BC(バクテリアセルロース)は可食性
であり食品分野で利用されるほか水系分散性に優れてい
るので食品、化粧品又は塗料等の粘度の保持、食品原料
生地の強化、水分の保持、食品安定性向上、低カロリー
添加物又は乳化安定化助剤としての産業上利用価値があ
る。BCは木材パルプ等から製造されるセルロースに較
べ、フィブリルの断片幅が2ケタ程度も小さいことを特
徴とする。従って、BCの離解物はミクロフィブリルの
かかる構造的物理的特徴に基づき高分子、特に水系高分
子用補強剤として各種の産業用用途がある。このような
セルロース性離解物を紙状または固形状に固化した物質
は高い引張弾性率を示すのでミクロフィブリルの構造的
特徴に基づくすぐれた機械特性が期待され、各種産業用
素材としての応用がある。
【0003】さて一般に、約25重量%以上の水分含有
量を有するBC(以下、「湿潤BC」という。)は腐敗
しやすい為に、それ以下の水分しか含まないBC乾燥物
とは異なり、保存にあたって殺菌等の処理を施す必要が
ある。従来の例として、オートクレーブ精製したBCを
殺菌したり,BCにソルビン酸、次亜塩素酸ナトリウ
ム、エタノール、スライムコントロール剤等の防腐剤を
添加することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、オート
クレーブ等による熱処理は最も確実な方法ではあるが、
大量のBCを処理する場合には、熱伝導を考慮してそれ
ら大量のBCを小分けにしてから処理する必要がある。
一方、防腐剤をBC精製の最終工程前に添加しようとす
ると、かなり大量の防腐剤を使用せざるを得ない為に経
済的に効率が悪い。又、最終製品である精製したBCに
添加する場合には、防腐剤を均一に混ぜ混むことが実質
的に無理であった。従って、腐敗しやすいBCを経済的
且つ効果的に保存することが出来る方法が求められてい
る。
【0005】又、セルロースを常温で2規定以上の濃度
の水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウム溶液中に
入れると、セルロースの結晶が転移したり、セルロース
の繊維が収縮したりすることが知られていた。この反応
は温度が低い程起こりやすいことも知られている。更
に、酸素の存在下でアルカリ中に放置すると、セルロー
スの還元末端から酸化され、その重合度が低下していく
ことが知られていた。又、アルカリ性においては、一般
的な微生物は増殖しないが、アルカリ性を好む特殊な微
生物は生育することが知られていた。こうした微生物の
中には、セルロースを分解するセルラーゼを分泌するも
のがあることも知られている。ところが、上記のような
アルカリによるセルロースの構造・物性の変化に関し
て、アルカリ濃度及び放置時間等の諸条件が実質的にど
の程度影響を与えるかについてはこれまで明らかにされ
ていない。更に、アルカリ性において、微生物によるセ
ルロースの分解が実際にどの程度進行するかに関しても
これまでに調べられてこなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、硫酸アルキ
ル塩を存在させることで湿潤BCの保存状態が飛躍的に
向上すること、及び、特定条件のアルカリ下で湿潤BC
を保存することにより、BCの実質的な構造変化なしに
BCの保存状態を飛躍的に向上させ得ることを見出し、
本発明の完成に至った。即ち、本発明は、湿潤バクテリ
アセルロース中に硫酸アルキル塩を存在させることを特
徴とするバクテリアセルロースの保存方法に係わる。硫
酸アルキル塩の代表例としてはドデシル硫酸ナトリウム
を挙げることができる。硫酸アルキル塩の添加量は当業
者が適宜決めることが出来るが、通常、湿潤BC全体の
約0.03重量%〜約2重量%、好ましくは、約0.0
5重量%〜約1.5重量%、更に好ましくは、約0.0
7重量%〜約1.2重量%存在させることができる。本
発明の保存方法に於いて、硫酸アルキル塩に加えて、更
に水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムを共存さ
せることも可能である。このような場合に、水酸化ナト
リウム及び/又は水酸化カリウムの添加量も当業者が適
宜決めることが出来、通常、湿潤BC全体の約0.00
1重量%〜約4重量%、好ましくは、約0.002重量
%〜約2重量%存在させることが可能である。従って、
本発明は、硫酸アルキル塩を約0.03重量%〜約2重
量%を含有する湿潤バクテリアセルロースにも係わる。
この湿潤バクテリアセルロースは、更に水酸化ナトリウ
ム及び/又は水酸化カリウムを約0.001重量%〜約
4重量%含有することもできる。更に、本発明は、湿潤
バクテリアセルロース中に水酸化ナトリウム及び/又は
水酸化カリウムを存在させることを特徴とするバクテリ
アセルロースの保存方法に係わる。水酸化ナトリウム及
び/又は水酸化カリウムの濃度は当業者が適宜決めるこ
とが出来るが、通常、1.5規定以下で、湿潤バクテリ
アセルロースのpHが10.5以上、特に、pH10.
5から12.5となるように、水酸化ナトリウム及び/
又は水酸化カリウムを存在させることが好ましい。従っ
て、本発明は、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリ
ウムの濃度が1.5規定以下で、湿潤バクテリアセルロ
ースのpHが10.5以上、特に、pH10.5から1
2.5となるように、水酸化ナトリウム及び/又は水酸
化カリウムを含有する湿潤バクテリアセルロースにも係
わるものである。
【0007】湿潤バクテリアセルロースは、セルロース
生産菌の培養終了時からBC精製に至る如何なる工程か
ら得られたものでも良い。通常、ブロス分離後に水酸化
ナトリウムで溶菌処理した後、フィルタープレス等で濃
縮して得られる、湿潤状態にあるBCが好ましい。例え
ば、溶菌処理の際に洗浄の目的で硫酸アルキル塩を添加
したような場合には、その後の水洗処理等によりかかる
硫酸アルキル塩を除去しない限り、特に外部から更めて
硫酸アルキル塩を添加する必要はない。尚、本発明の湿
潤BCには、BCの他にも、例えば、各種培地成分及び
溶菌残査等の不純物が混在していても構わない。又、湿
潤BCに於けるBCの濃度に特に制限はない。又、保存
の終了後にBCを使用するときは、通常の方法で湿潤B
Cに水洗等の処理を施してBC精製物を調製することが
出来る。
【0008】本発明におけるバクテリアセルロースの生
産に使用されるセルロース生産菌は、例えば、BPR2
001株に代表されるアセトバクター・キシリナム・サ
ブスピーシーズ・シュクロファーメンタンス(Acetobac
ter xylinum subsp. sucrofermentans)、アセトバクタ
ー・キシリナム(Acetobacter xylinum )ATCC23
768、アセトバクター・キシリナムATCC2376
9、アセトバクター・パスツリアヌス(A. pasteurianu
s )ATCC10245、アセトバクター・キシリナム
ATCC14851、アセトバクター・キシリナムAT
CC11142及びアセトバクター・キシリナムATC
C10821等の酢酸菌(アセトバクター属)、その他
に、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、サルシナ
属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリ
ゲネス属、アエロバクター属、アゾトバクター属及びズ
ーグレア属並びにそれらをNTG(ニトロソグアニジ
ン)等を用いる公知の方法によって変異処理することに
より創製される各種変異株である。尚、BPR2001
株は、平成5年2月24日に通商産業省工業技術院生命
工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託され
(受託番号FERM P−13466)、その後199
4年2月7日付で特許手続上の微生物の寄託の国際的承
認に関するブダペスト条約に基づく寄託(受託番号FE
RM BP−4545)に移管されている。NTG等の
変異剤を用いての化学的変異処理方法には、例えば、Bi
o Factors,Vol. l, p.297−302 (1988)及び J. Gen. Mi
crobiol, Vol. 135, p.2917−2929(1989) 等に記載され
ているものがある。従って、当業者であればこれら公知
の方法に基づき本発明で用いる変異株を得ることができ
る。また、本発明で用いる変異株は他の変異方法、例え
ば放射線照射等によっても得ることができる。
【0009】培養に用いる培地の組成物中、炭素源とし
てはシュクロース、グルコース、フラクトース、マンニ
トール、ソルビトール、ガラクトース、マルトース、エ
リスリット、グリセリン、エチレングリコール、エタノ
ール等を単独或いは併用して使用することができる。更
にはこれらのものを含有する澱粉水解物、シトラスモラ
セス、ビートモラセス、ビート搾汁、サトウキビ搾汁、
柑橘類を始めとする果汁等を炭素源に加えて使用するこ
ともできる。 また、窒素源としては硫酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモ
ニウム塩、硝酸塩、尿素等有機或いは無機の窒素源を使
用することができ、或いはBacto−Pepton
e、Bacto−Soytone、Yeast−Ext
ract、豆濃などの含窒素天然栄養源を使用してもよ
い。有機微量栄養素としてアミノ酸、ビタミン、脂肪
酸、核酸、2,7,9−トリカルボキシ−1Hピロロ
〔2,3,5〕−キノリン−4,5−ジオン、亜硫酸パ
ルプ廃液、リグニンスルホン酸等を添加してもよい。
【0010】生育にアミノ酸等を要求する栄養要求性変
異株を使用する場合には、要求される栄養素を補添する
ことが必要である。無機塩類としてはリン酸塩、マグネ
シウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩、コバルト
塩、モリブデン酸塩、赤血塩、キレート金属類等が使用
される。BCの製造方法に関しては、特開昭62−26
5990号、特開昭63−202394号及び特公平6
−43443号等にBCの製造方法に関する記載があ
る。セルロース生産菌の培養を行なう際に適当とされて
いる栄養培地としては、炭素源、ペプトン、酵母エキ
ス、燐酸ナトリウム及びクエン酸からなる Schramm/He
strin 培地(Schramm ら、J. General Biology, 11, p
p.123〜129, 1954 ) が知られている。また、このよう
な栄養培地に、培地中の特定栄養素によるセルロース生
成促進因子である,イノシトール、フィチン酸及びピロ
ロキノリンキノン(PQQ)(特公平5−1718号公
報;高井光男、紙パ技協誌、第42巻、第3号、第23
7〜244頁)等を添加したり、更には、カルボン酸又
はその塩(特願平5−191467号)、インベルター
ゼ(特願平5−331491号)及びメチオン(特願平
5−335764号)を添加することによって、セルロ
ース性物質の生産性が向上することが見出されている。
【0011】本発明で用いるBCは従来公知の培養方法
を任意に選択することができる。例えば、酢酸菌を生産
菌として用いる場合には、培養のpHは3ないし7に、
好ましくは5付近に制御する。培養温度は10〜40
℃、好ましくは25〜35℃の範囲で行う。培養装置に
供給する酸素濃度は1〜100%、望ましくは21〜8
0%であれば良い。これら培地中の各成分の組成割合及
び培地に対する菌体の接種等は培養方法に応じて当業者
が適宜選択し得るものである。バクテリアセルロース
は、従来より公知の静置、振盪又は通気攪拌培養形式
で、培養操作法としては、いわゆる回分発酵法、流加回
分発酵法、反復回分発酵法及び連続発酵法等の公知の方
法によって製造することができる。
【0012】尚、攪拌培養とは、インペラー、エアーリ
フト発酵槽、発酵ブロスのポンプ駆動循環及びこれら手
段の組合せ等で培養液を攪拌しながら行なう培養法であ
り、当該攪拌培養中に受ける攪拌作用によって、バクテ
リアセルロースの構造が、例えば、結晶化指数が低下し
て非晶部が増すように変化する。更に、本出願人名義の
特開平8−33494号公報に記載された培養装置と分
離装置の間で菌体を含む培養液を循環させるセルロース
性物質の製造方法であって、該分離装置に於いて、生産
物であるセルロース性物質を菌体及び培養液から分離す
ることを特徴とする前記方法や、同じく、本出願人名義
の特開平8−33495号公報に記載されたセルロース
生産菌を培養してセルロース性物質を製造する方法であ
って、培養期間中、培養系からの培養液の引き抜き及び
該引き抜き量とほぼ等容量の新たな培地の供給を連続的
に行なうことによって、培養中の培養液に於けるセルロ
ース性物質の濃度を低く維持することを特徴とする前記
製造方法がある。本発明でいう攪拌培養においては、攪
拌と同時に、必要に応じて、通気を行なう。
【0013】攪拌培養により得たバクテリアセルロース
を遠心分離法又は濾過法等により培養液から分離する。
バクテリアセルロースは菌体と一緒に回収してもよく、
さらに本物質中に含まれる菌体を含むセルロース性物質
以外の不純物を取り除く処理を施すことが出来る。不純
物を取り除くためには、水洗、加圧脱水、希酸洗浄、ア
ルカリ洗浄、次亜塩素酸ソーダ及び過酸化水素などの漂
白剤による処理、リゾチームなどの菌体溶解酵素による
処理、ドデシル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸など
の界面活性剤による処理、常温から200℃の範囲の加
熱洗浄などを単独及び併用して行い、セルロース性物質
から不純物をほぼ完全に除去することができる。このよ
うにして得られたバクテリアセルロースは、セルロース
及び、セルロースを主鎖としたヘテロ多糖を含むもの及
びβ−1,3、β−1,2等のグルカンを含むものであ
る。ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成成分はマ
ンノース、フラクトース、ガラクトース、キシロース、
アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の六炭糖、
五炭糖及び有機酸等である。なおこれ等の多糖が単一物
質である場合もあるし2種以上の多糖が水素結合等によ
り混在してもよい。
【0014】本発明の湿潤BCに含まれるBCは離解処
理を受けたものでも良い。BCの離解現象は、機械的外
力等によってセルロース内部に発生した応力が、これを
変形・破壊することによる現象と考えられる。従って、
BCの離解処理は、BCに機械的外力を与えることによ
り行なえる。更に酸加水分解、酵素加水分解及び漂白剤
によっても離解処理を行なうことができる。ここでいう
機械的外力とは、例えば、引っ張り、曲げ、圧縮、ねじ
り、衝撃及び剪断等の応力が挙げられるが、一般的には
圧縮、衝撃及び剪断応力が主体である。実際にこれら機
械的外力をBCに与える場合は、例えば、ミキサー、ポ
リトロン又は自励式超音波破砕機のような超音波発振機
等を使用することで達成できる。
【0015】ミキサーによる離解処理においては、機械
的外力は攪拌羽根とBCが衝突することによる衝撃力
と、媒体の速度差によるズレ現象によって発生する剪断
力が主体となる。ポリトロンによる離解処理において
は、機械的外力はBCが外歯と内歯に挟まることによる
圧縮力、高速に回転する歯とBCが衝突することによる
衝撃力、静止している外歯と高速に回転する内歯の隙間
に存在する媒体に発生する剪断応力が主体となる。超音
波破砕機による離解においては、機械的外力は超音波発
振部の発振により媒体中にキャビテーション(空洞現
象)が連続的に発生し、局部的に生じる著しい剪断応力
が主体となる。本発明の離解処理は、BCに一定の負荷
(機械的外力)を与えることができれば、上記具体例以
外のいかなる方法でも行ない得る。その他の離解処理条
件は当業者が適宜選択することが出来る。更に、所定の
目開きを有するスクリーンで篩い分けすることもでき
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、実施例を参照しながら本発
明を詳細に説明するが、該実施例は本発明の範囲を何等
限定するものではない。
【0017】
【実施例】実施例1 BPR−2001株をグリセロールストックよりCSL
−Fru培地100mlを仕込んだ750ml容ルーフラス
コに1%植菌し28℃で3日間静置培養した。培養後ル
ーフラスコをよく振って菌体をセルロース膜よりはがし
た後、菌液12.5mlを112.5mlの培地を含む50
0mlフラスコに植菌し、28℃、180rpm 、3日間培
養した。得られた培養物をブレンダーにより無菌的に離
解し、その60mlを540mlのCSL−Fru培地を仕
込んだ1lジャーに植菌し、pHをNH3 ガスおよび1
規定H2 SO4 で4.9〜5.1に制御しながら、溶存
酸素量(DO)が3.0%以上になるように回転数を自
動制御しながら、通気攪拌下でメイン培養を行った。
尚、以上の実施例で用いたCSL−Fruの組成は以下
に示す。
【0018】
【表1】 培地組成 CSL−Fru培地 フラクトース 4.0 (%) KH2 PO4 0.1 MgSO4 ・7H2 O 0.025 (NH4 2 SO4 0.33 ビタミン混合液 1.0 塩類混合液 1.0 CSL(コーンステープリカー) 4.0 pH 5.0
【0019】
【表2】ビタミン混合液 化合物 mg/L イノシトール 200 ナイアシン 40 ピリドキシンHCl 40 チアミンHCl 40 パントテン酸カルシウム 20 リボフラビン 20 p−アミノ安息香酸 20 葉 酸 0.2 ビオチン 0.2
【0020】
【表3】塩類混合液 FeSO4 ・7H2 O 360mg/L CaCl2 ・2H2 O 1470mg/L Na2 MoO2 ・2H2 O 242mg/L ZnSO4 ・7H2 O 173mg/L MnSO4 ・5H2 O 139mg/L CuSO4 ・5H2 O 5mg/L
【0021】培養終了後、得られたBC含有培養液を希
釈したもの(BC濃度:0.5重量%,液量600L)
を80℃まで加熱した後、以下の仕様のスクリューデカ
ンターで遠心分離し沈殿物を回収した。沈殿物を水で希
釈分散させた後、最終濃度が0.2N NaOH及びド
デシル硫酸ナトリウム(SDS)0.1重量%となるよ
うにこれらの薬剤を添加して調製し、80℃、60分間
加熱することで溶菌した。その液を硫酸で中和し、以下
の仕様のフィルタープレスを用いて濾過回収し,本発明
の湿潤BCを得た。尚、比較の為、同じ沈殿物を、最終
濃度が0.1NNaOHなるように薬剤を添加し、以
下、同様にして調製して、硫酸アルキル塩を含まない比
較湿潤BCを得た。又、これらの溶菌処理の後、それぞ
れの湿潤BCを水に懸濁し80℃で60分間加熱後、フ
ィルタープレスにより濾過分離し沈殿物を回収すること
によりセルロースの洗浄を行い、本発明湿潤BCからの
水洗処理物(1)及び比較湿潤BCからの水洗物(2)
を得た。更に、同様の洗浄を行ない、本発明湿潤BCか
らの水洗処理物(3)及び比較湿潤BCからの水洗物
(4)を得た。
【0022】(1)スクリューデカンター仕様 最大遠心力: 3100G(6,000rpm) 差速: 5〜30rpm 公称処理能力: 最大1000L/hr (2)フィルタープレス仕様 濾過面積2.67m2 (濾過板サイズ750mm角)、
濾室数4室、圧搾機構付: 濾過方法:濾過圧力4kg/cm2 の定圧濾過、圧搾方
法:圧搾圧力7kg/cm2 、圧搾時間:20分間、処
理温度:80℃、濾布:テトロン製、通気度:30cc
/cm2 /sec
【0023】実施例2 実施例1で得られた本発明湿潤BC、比較湿潤BC及び
水洗処理物(1)〜水洗処理物(4)のそれぞれを実験
試料として用いて以下の実験を行った。窒素含量の測定 :各実験試料を乾燥させた後に、それら
に含まれている窒素の含有量を全炭素・全窒素分析装置
(スミグラフNC−90A;住化分析センター製)を用
いて測定し、これを汚れの尺度とした。得られた結果を
以下の表4に示す。
【0024】
【表4】 ────────────────────────────────── 窒素の含有量 (ppm) ────────────────────────────────── 本発明湿潤BC (0.2N NaOH + SDS) 520 一回水洗処理物(1) 310 二回水洗処理物(3) 380 ────────────────────────────────── 比較湿潤BC (0.1N NaOH) 2,020 一回水洗処理物(2) 1,400 二回水洗処理物(4) 1,750 ──────────────────────────────────
【0025】保存安定性:次に各実験試料を5℃及び3
0℃で6カ月間にわたり保存して、各時期に於ける一般
の細菌数を測定した。尚、一般の細菌数の測定は、標準
寒天平板培養法で実施した。得られた結果を以下の表5
及び表6に示す。
【0026】
【表5】 ────────────────────────────────── 5℃保存 細菌数 (個/g試料) 開始時 3ヶ月後 6ヶ月後 ────────────────────────────────── 本発明湿潤BC 1.9x103 1.0x103 8.2x102 (0.2N NaOH + SDS) 一回水洗処理物(1) 6.7x102 4.1x107 2.4x108 二回水洗処理物(3) 2.4x104 4.5x106 4.1x108 ────────────────────────────────── 比較湿潤BC 1.5x103 8.6x107 7.8x108 (0.1N NaOH) 一回水洗処理物(2) 4.5x103 9.1x107 2.9x108 二回水洗処理物(4) 1.4x103 4.3x107 2.7x107 ──────────────────────────────────
【0027】
【表6】 ────────────────────────────────── 30℃保存 細菌数 (個/g試料) 開始時 3ヶ月後 6ヶ月後 ────────────────────────────────── 本発明湿潤BC 1.9x103 1.9x105 9.6x102 (0.2N NaOH + SDS) 一回水洗処理物(1) 6.7x102 4.4x108 5.4x108 二回水洗処理物(3) 2.4x104 4.4x108 1.2x109 ────────────────────────────────── 比較湿潤BC 1.5x103 7.8x108 2.1x109 (0.1N NaOH) 一回水洗処理物(2) 4.5x103 8.2x108 7.7x108 二回水洗処理物(4) 1.4x103 6.4x108 1.4x107 ──────────────────────────────────
【0028】実施例3 実施例1の方法に従い、湿潤BCを調製した。但し、ド
デシル硫酸ナトリウムを添加しての洗浄は行わなかっ
た。得られた湿潤BCのpHは10.8であった。この
湿潤BCをガラスビンの中に入れて密閉し、2年間常温
で保存した。保存後の色、性状、外観は保存前のそれら
と差が認められなかった。又、重合度にも変化は見られ
なかった。更に、保存前と保存後の湿潤BCから調製し
たセルロース濃度0.5重量%の離解物懸濁液の粘度、
乳化安定性、填料歩留まり向上効果等を当該技術分野で
周知の方法で測定したが、差は認められなかった。又、
セルロース自体の重合度を当該技術分野で周知の方法で
測定したところ、保存後に、7〜8%の低下が見られた
が、この差は測定上の誤差を考慮すると有意なものとは
認められなかった。更に、離解物懸濁液からシートを調
製し、そのヤング率を測定したが、これも両者の間に全
く差が認められなかった。これらの結果から、保存前と
保存後とで、セルロースの構造及び物性が変化していな
いことが判明した。更に、実施例2の方法に従い、細菌
数、カビ数、及び酵母数等を調べたが、2年間の保存に
もかかわらず、いずれも検出されなかった。水酸化ナト
リウムの代わりに水酸化カリウムを使用した場合にも、
同様の結果が得られた。
【0029】
【発明の効果】硫酸アルキル塩を含有する本発明の湿潤
BCは、5℃及び30℃で6カ月間にわたり長期間保存
しても、一般細菌数は実質的に増加しないことが確認さ
れた。一方、本発明湿潤BCを水洗処理して得られた水
洗処理物(1)及び水洗処理物(3)のいずれも一般細
菌数の増加が見られるので、かかる本発明湿潤BCの効
果は硫酸アルキル塩を湿潤BC中に存在させたことに因
るものと思われる。更に、水酸化ナトリウム及び/又は
水酸化カリウムを湿潤BCに特定の濃度で存在させ密閉
状態に保つことによって、BCの構造又は物性を変化さ
せることなく、又、微生物により汚染されることなく、
湿潤BCを長期間にわたり保存することが可能となっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡部 乙比古 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 株式会社バイオポリマー・リサーチ内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿潤バクテリアセルロース中に硫酸アル
    キル塩を存在させることを特徴とするバクテリアセルロ
    ースの保存方法。
  2. 【請求項2】 硫酸アルキル塩がドデシル硫酸ナトリウ
    ムである請求項1に記載の保存方法。
  3. 【請求項3】 硫酸アルキル塩を約0.03重量%〜約
    2重量%存在させることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の保存方法。
  4. 【請求項4】 硫酸アルキル塩を約0.03重量%〜約
    2重量%含有する湿潤バクテリアセルロース。
  5. 【請求項5】 湿潤バクテリアセルロース中に水酸化ナ
    トリウム及び/又は水酸化カリウムを存在させることを
    特徴とするバクテリアセルロースの保存方法。
  6. 【請求項6】 水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリ
    ウムの濃度が1.5規定以下で、湿潤バクテリアセルロ
    ースのpHが10.5以上となるように、水酸化ナトリ
    ウム及び/又は水酸化カリウムを存在させることを特徴
    とする請求項5に記載の保存方法。
  7. 【請求項7】 水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリ
    ウムの濃度が1.5規定以下で、湿潤バクテリアセルロ
    ースのpHが10.5以上となるように、水酸化ナトリ
    ウム及び/又は水酸化カリウムを含有する湿潤バクテリ
    アセルロース。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9663588B2 (en) 2012-02-13 2017-05-30 Upm-Kymmene Corporation Method for concentrating fibril cellulose and fibril cellulose product

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