JP3823505B2 - バクテリアセルロースより成る填料歩留まり向上剤 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の水溶性多糖を添加した培地中で、セルロース性物質を生産する能力を有する微生物(以下、「セルロース生産菌」という)に属する菌を通気攪拌等の培養系で培養し、セルロース性物質(以下、「バクテリアセルロース」又は「BC」という)を製造する方法、該製造方法により得られるバクテリアセルロース、及び該バクテリアセルロースより成る填料歩留まり向上剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
BC(バクテリアセルロース)は可食性であり食品分野で利用されるほか水系分散性に優れているので食品、化粧品又は塗料等の粘度の保持、食品原料生地の強化、水分の保持、食品安定性向上、低カロリー添加物又は乳化安定化助剤としての産業上利用価値がある。
BCは木材パルプ等から製造されるセルロースに較べ、フィブリルの断片幅が2ケタ程度も小さいことを特徴とする。
従って、BCの離解物はミクロフィブリルのかかる構造的物理的特徴に基づき高分子、特に水系高分子用補強剤として各種の産業用用途がある。このようなセルロース性離解物を紙状または固形状に固化した物質は高い引張弾性率を示すのでミクロフィブリルの構造的特徴に基づくすぐれた機械特性が期待され、各種産業用素材としての応用がある。
【0003】
さて一般に、印刷用紙及び筆記用紙等の各種の用途に使用される紙には、不透明度の向上、平滑性の増加、白色度の向上、紙ぐせの改良、及び繊維分の節減等を目的として填料が含まれているが、かかる填料等の微細成分は湿式抄紙法等の脱水に伴って流出する傾向が強く、紙中に留まり難いという問題があった。
そこで、上に述べたようなBCの有する優れた特性に基づいて、これまでにもBCを填料歩留まり向上剤として使用する技術が開発されている。
【0004】
例えば、填料の歩留まり効率を高める目的で、抄紙原料懸濁液にバクテリアセルロース離解物とカオチン性高分子電解質を添加する方法(特開平1−246495号公報)、又は攪拌培養で得られたバクテリアセルロースを填料歩留まり向上剤として使用する技術(特開平7−305295号公報)等が試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に填料歩留まり向上剤の添加量を多くすると、紙の強度の低下を招くことになる。
又、特に高攪拌条件下での通気攪拌培養によって得られるBCに於いては、培養中に受ける高剪断力の為にBCの填料歩留まり効果が低下するという問題点もあった。
そこで、このような培養条件下でも製造することが出来、より少量で優れた填料歩留まり向上効果を有する物質が求められていた。
本発明者はかかる物質を提供すべく研究を重ねた結果、CMC等の水溶性多糖を添加した培地でセルロース生産菌を培養することにより、優れた填料歩留まり向上効果を有するバクテリアセルロースが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、水溶性多糖を添加した培地中でセルロース生産菌を培養することを特徴とするバクテリアセルロースの製造方法、及びこうして得られた、バクテリアセルロース(以下、単に「本発明バクテリアセルロース(BC)」という)に係わる。
水溶性多糖の例としては、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム及びメチルセルロース等を挙げることができる。これら水溶性多糖の分子量は特に問わない。又、これらの物質は市販されており当業者であれば容易に入手することができる。
本発明の製造方法は、特に通気攪拌培養系で行なうことに適している。
培地中への水溶性多糖の添加量は当業者によりその種類等に応じて適宜選択することができるが、経済的観点等からはあまり多く添加する必要はない。
本発明の製造方法に於いては、水溶性多糖は培地に対して、好ましくは約0.01〜0.1重量%、特に好ましくは、約0.01〜0.05重量%の範囲の添加量で優れた効果を奏功することができる。
水溶性多糖は培養開始時から培地中に添加されていることが好ましいが、培養中の任意の段階で添加することも可能である。
【0007】
本発明におけるバクテリアセルロースの生産に使用されるセルロース生産菌は、例えば、BPR2001株に代表されるアセトバクター・キシリナム・サブスピーシーズ・シュクロファーメンタンス(Acetobacter xylinum subsp. sucrofermentans)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum )ATCC23768、アセトバクター・キシリナムATCC23769、アセトバクター・パスツリアヌス(A. pasteurianus )ATCC10245、アセトバクター・キシリナムATCC14851、アセトバクター・キシリナムATCC11142及びアセトバクター・キシリナムATCC10821等の酢酸菌(アセトバクター属)、その他に、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、サルシナ属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリゲネス属、アエロバクター属、アゾトバクター属及びズーグレア属並びにそれらをNTG(ニトロソグアニジン)等を用いる公知の方法によって変異処理することにより創製される各種変異株である。
尚、BPR2001株は、平成5年2月24日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託され(受託番号FERM P−13466)、その後1994年2月7日付で特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づく寄託(受託番号FERM BP−4545)に移管されている。
NTG等の変異剤を用いての化学的変異処理方法には、例えば、Bio Factors, Vol. l, p.297−302 (1988)及び J. Gen. Microbiol, Vol. 135, p.2917−2929 (1989) 等に記載されているものがある。従って、当業者であればこれら公知の方法に基づき本発明で用いる変異株を得ることができる。また、本発明で用いる変異株は他の変異方法、例えば放射線照射等によっても得ることができる。
【0008】
培養に用いる培地の組成物中、炭素源としてはシュクロース、グルコース、フラクトース、マンニトール、ソルビトール、ガラクトース、マルトース、エリスリット、グリセリン、エチレングリコール、エタノール等を単独或いは併用して使用することができる。更にはこれらのものを含有する澱粉水解物、シトラスモラセス、ビートモラセス、ビート搾汁、サトウキビ搾汁、柑橘類を始めとする果汁等を炭素源に加えて使用することもできる。 また、窒素源としては硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸塩、尿素等有機或いは無機の窒素源を使用することができ、或いはBacto−Peptone、Bacto−Soytone、Yeast−Extract、豆濃などの含窒素天然栄養源を使用してもよい。有機微量栄養素としてアミノ酸、ビタミン、脂肪酸、核酸、2,7,9−トリカルボキシ−1Hピロロ〔2,3,5〕−キノリン−4,5−ジオン、亜硫酸パルプ廃液、リグニンスルホン酸等を添加してもよい。
【0009】
生育にアミノ酸等を要求する栄養要求性変異株を使用する場合には、要求される栄養素を補添することが必要である。無機塩類としてはリン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、モリブデン酸塩、赤血塩、キレート金属類等が使用される。
BCの製造方法に関しては、特開昭62−265990号、特開昭63−202394号及び特公平6−43443号等にBCの製造方法に関する記載がある。
セルロース生産菌の培養を行なう際に適当とされている栄養培地としては、炭素源、ペプトン、酵母エキス、燐酸ナトリウム及びクエン酸からなる Schramm/Hestrin 培地(Schramm ら、J. General Biology, 11, pp.123〜129, 1954 ) が知られている。また、このような栄養培地に、培地中の特定栄養素によるセルロース生成促進因子である,イノシトール、フィチン酸及びピロロキノリンキノン(PQQ)(特公平5−1718号公報;高井光男、紙パ技協誌、第42巻、第3号、第237〜244頁)等を添加したり、更には、カルボン酸又はその塩(特願平5−191467号)、インベルターゼ(特願平5−331491号)及びメチオン(特願平5−335764号)を添加することによって、セルロース性物質の生産性が向上することが見出されている。
本発明に於いては、上記の各方法も含めて従来公知の方法を任意に選択することができる。
例えば、酢酸菌を生産菌として用いる場合には、培養のpHは3ないし7に、好ましくは5付近に制御する。培養温度は10〜40℃、好ましくは25〜35℃の範囲で行う。培養装置に供給する酸素濃度は1〜100%、望ましくは21〜80%であれば良い。これら培地中の各成分の組成割合及び培地に対する菌体の接種等は培養方法に応じて当業者が適宜選択し得るものである。
バクテリアセルロースは、従来より公知の静置、振盪又は通気攪拌培養形式で、培養操作法としては、いわゆる回分発酵法、流加回分発酵法、反復回分発酵法及び連続発酵法等の公知の方法によって製造することができる。
【0010】
尚、攪拌培養とは、インペラー、エアーリフト発酵槽、発酵ブロスのポンプ駆動循環及びこれら手段の組合せ等で培養液を攪拌しながら行なう培養法であり、当該攪拌培養中に受ける攪拌作用によって、バクテリアセルロースの構造が、例えば、結晶化指数が低下して非晶部が増すように変化する。
更に、本出願人名義の特開平8−33494号公報に記載された培養装置と分離装置の間で菌体を含む培養液を循環させるセルロース性物質の製造方法であって、該分離装置に於いて、生産物であるセルロース性物質を菌体及び培養液から分離することを特徴とする前記方法や、同じく、本出願人名義の特開平8−33495号公報に記載されたセルロース生産菌を培養してセルロース性物質を製造する方法であって、培養期間中、培養系からの培養液の引き抜き及び該引き抜き量とほぼ等容量の新たな培地の供給を連続的に行なうことによって、培養中の培養液に於けるセルロース性物質の濃度を低く維持することを特徴とする前記製造方法がある。
本発明でいう攪拌培養においては、攪拌と同時に、必要に応じて、通気を行なう。
【0011】
攪拌培養により得たバクテリアセルロースを遠心分離法又は濾過法等により培養液から分離する。
バクテリアセルロースは菌体と一緒に回収してもよく、さらに本物質中に含まれる菌体を含むセルロース性物質以外の不純物を取り除く処理を施すことが出来る。
不純物を取り除くためには、水洗、加圧脱水、希酸洗浄、アルカリ洗浄、次亜塩素酸ソーダ及び過酸化水素などの漂白剤による処理、リゾチームなどの菌体溶解酵素による処理、ラウリル硫酸ソーダ、デオキシコール酸などの界面活性剤による処理、常温から200℃の範囲の加熱洗浄などを単独及び併用して行い、セルロース性物質から不純物をほぼ完全に除去することができる。
このようにして得られたバクテリアセルロースは、セルロース及び、セルロースを主鎖としたヘテロ多糖を含むもの及びβ−1,3、β−1,2等のグルカンを含むものである。ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成成分はマンノース、フラクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の六炭糖、五炭糖及び有機酸等である。
なおこれ等の多糖が単一物質である場合もあるし2種以上の多糖が水素結合等により混在してもよい。
【0012】
本発明に於いて填料歩留まり向上剤に使用するBCに更に離解処理をすることも可能である。
BCの離解現象は、機械的外力等によってセルロース内部に発生した応力が、これを変形・破壊することによる現象と考えられる。従って、BCの離解処理は、BCに機械的外力を与えることにより行なえる。更に酸加水分解、酵素加水分解及び漂白剤によっても離解処理を行なうことができる。
ここでいう機械的外力とは、例えば、引っ張り、曲げ、圧縮、ねじり、衝撃及び剪断等の応力が挙げられるが、一般的には圧縮、衝撃及び剪断応力が主体である。
実際にこれら機械的外力をBCに与える場合は、例えば、ミキサー、ポリトロン又は自励式超音波破砕機のような超音波発振機等を使用することで達成できる。
【0013】
ミキサーによる離解処理においては、機械的外力は攪拌羽根とBCが衝突することによる衝撃力と、媒体の速度差によるズレ現象によって発生する剪断力が主体となる。
ポリトロンによる離解処理においては、機械的外力はBCが外歯と内歯に挟まることによる圧縮力、高速に回転する歯とBCが衝突することによる衝撃力、静止している外歯と高速に回転する内歯の隙間に存在する媒体に発生する剪断応力が主体となる。
超音波破砕機による離解においては、機械的外力は超音波発振部の発振により媒体中にキャビテーション(空洞現象)が連続的に発生し、局部的に生じる著しい剪断応力が主体となる。
本発明の離解処理は、BCに一定の負荷(機械的外力)を与えることができれば、上記具体例以外のいかなる方法でも行ない得る。
その他の離解処理条件は当業者が適宜選択することが出来る。
更に、所定の目開きを有するスクリーンで篩い分けすることもできる。
【0014】
このようにして製造される本発明BCは優れた歩留まり向上効果を有する。従って、本発明は、かかるバクテリアセルロースから成る填料歩留まり向上剤にも係わる。
更に、填料と本発明BCとを水中で混合分散せしめ、凝集剤を用いて予め凝集塊を形成させておくことによりより効果的に紙の強度を低下させることなく不透明性を向上させることができる。
本発明で使用される填料としては、例えば、タルク、クレー、二酸化チタン、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、活性白土、合成シリケート、カオリン、焼成カオリン、プラスチックピグメント等の紙に通常使用されうる填料を単独又は混合して使用することができる。充分な不透明性と強度を得る為には、填料の平均粒子径は2.0μm以下が好ましい。
本発明における平均粒子径とは、填料の水分散液を5分間超音波分散器にて分散後、光透過式粒度分布測定器(SKN式、セイシン企業社製)にかけ得られる粒度分布曲線を用い、求めた累積重量パーセントが50%に相当する粒子の直径である。
【0015】
本発明における凝集剤としてはカチオン性高分子電解質のうち、分子量10万以上のカチオン性ポリアクリルアマイド、カチオンでんぷん、カチオン性グアーガムなどを使用することができる。なお、その添加量は使用する填料およびBCの種類により異なるが、0.005重量パーセント以上10.0重量パーセント以下が適当である。更に、これらのカチオン性高分子電解質と複合体を形成し凝集を強化するようなアニオン性高分子電解質、例えばアニオン性ポリアクリルアマイド等、あるいはアニオン性無機微粒子、例えばコロイダルシリカやベントナイト水分散物、更にあるいは両性の高分子電解質や両性の無機微粒子水分散物等を併用することによって、填料と本発明バクテリアセルロース離解物との凝集物とすることも可能である。
【0016】
填料(A)と本発明BC(乾物換算)(B)との含有比率(A/B)は、重量で0.5以上で50.0以下、好ましくは20.0以下が好ましい。(A/B)が0.5未満の場合は所要の紙の強度に対して十分な不透明性向上効果が得られず、(A/B)が50.0を超えると填料歩留まり効率が悪くなり、不透明性を満足させようとすると紙の強度が低下する。
填料内添紙には、本発明の填料歩留まり向上剤の他にも、通常抄紙で用いられる添加剤、例えばサイズ剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料、着色顔料、蛍光剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、撥水性向上剤、及び歩留まり剤等を必要に応じて含ませることが出来る。
また、填料内添紙の表面にでんぷん、ポリビニルアルコール、各種表面サイズ剤等を塗抹することも可能である。
【0017】
填料とBCとを予め凝集させた後、紙料に添加し抄造することにより、不透明性及び強度のすぐれた填料内添紙が製造出来る理由としては、填料のみを凝集させると光の散乱に有効な界面が著しく減少するが、填料とは屈折率が異なり、かつ微細なBCを填料とともに凝集させるため、光の散乱に有効な界面を減少させることの少ないことが考えられる。
また填料が凝集塊として繊維間に保持されるため、繊維間の結合を阻害する微細な填料が少なく,強度の低下が減少すると考えられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を参照しながら本発明を詳細に説明するが、該実施例は本発明の範囲を何等限定するものではない。
【実施例】
【0019】
実施例1
757−3−5−11株(平成8年4月12日付で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託済;受託番号FERM P−15564、その後1997年2月10日付でブダペスト条約に基づく国際寄託に移管済;受託番号FERM BP−5815)及び67−2株(平成9年5月29日付で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託済;受託番号FERM P−16249)のそれぞれをグリセロールストックよりCSL−Suc培地100mlを仕込んだ750ml容ルーフラスコに1%植菌し28℃で3日間静置培養した。培養後ルーフラスコをよく振って菌体をセルロース膜よりはがした後、菌液12.5mlを112.5mlの培地を含む500mlフラスコに植菌し、28℃、180rpm 、3日間培養した。
得られた培養物をブレンダーにより無菌的に離解し、その60mlを540mlのCSL−Suc培地を仕込んだ1lジャーに植菌し、pHをNH3 ガスおよび1規定H2 SO4 で4.9〜5.1に制御しながら、溶存酸素量(DO)が3.0%以上になるように回転数を自動制御しながら、通気攪拌下でメイン培養を行った。
終了後、得られた培養液を酢酸緩衝液で約5倍に希釈した後、遠心分離し沈殿物を回収した。沈殿を蒸留水で最初の培養液量の約8倍に希釈後、80℃、20分間加熱し、加熱後遠心分離により沈殿物を回収した。沈殿物を同じく8倍量の0.1N NaOHに懸濁し80℃、20分間加熱することにより溶菌し、溶菌後遠心分離により沈殿物を回収した。この後、さらに8倍量の蒸留水に沈殿を懸濁し80℃、20分間加熱し、加熱後遠心分離し沈殿物を回収することによりセルロースの洗浄を行った。同様の洗浄を3回行うことにより本発明の精製BCを得た。
尚、以上の実施例で用いたCSL−Sucの組成は以下に示す。又、通気攪拌培養に際して、培地中に表4に示す所定の各濃度のCMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム:ナカライテスク製 Code 073-26 )を添加した。
【0020】
【表1】
Figure 0003823505
【0021】
【表2】
Figure 0003823505
【0022】
【表3】
Figure 0003823505
【0023】
実施例2 填料歩留まり試験
実施例1で調製した本発明BCをJIS−P−8209に準拠して離解したLBKPと重量比2.5:97.5又は5:95で混合して調製したパルプ100部に対し、軽質炭酸カルシウム100部、陽性澱粉1部を添加し、この抄紙原料を用いてTAPPI標準法T261に準拠して、スクリーン通過分より填料歩留まりを求めた。尚、填料分の定量はTAPPI標準法T269に準拠し、400℃、8時間で灰化して行った。結果を表4に示した。
【0024】
【表4】
Figure 0003823505
【0025】
尚、比較の為に、精製後の本発明BC(CMCを培地中に0.05重量%添加して培養して得られたもの)の場合とほぼ等しい割合でCMCを含むように、培地中にCMCを添加しないで培養して得られた上記精製後のBCに対してCMCを後から添加したもの(BC11gに対してCMCを0.5g添加)を使用して同様の填料歩留まり試験を実施した。その結果を表5に示す。
【0026】
【表5】
Figure 0003823505
【0027】
以上の表4及び表5に示された結果から明らかなように、本発明の製造方法で得られるバクテリアセルロースは、バクテリアセルロース単独のものに較べて優れた填料歩留まり向上効果を有するものである。また、このような効果は、精製BCと水溶性多糖とを培養後に単に混合するだけでは得られないことが判る。
【0028】
実施例3
実施例1でCMCを添加した培地で67−2株を培養して得られた本発明BCの懸濁液とCMCを添加しないで67−2株を培養して得られたBCの懸濁液のそれぞれを透過型電子顕微鏡観察用の銅製メッシュに載せ、乾燥させた。次にそれぞれの試料を1%リンタングステン酸カリウム水溶液でネガティブ染色・乾燥させた後、透過型電子顕微鏡(JEM1200-EX II, 日本電子社製)で観察した。
得られた結果を図1及び図2に示す。CMCを添加しないで67−2株を培養して得られたBC(図1)では数多くのネイティブバンド(セルロースII) が観察されるのに対して、CMCを添加した培地で67−2株を培養して得られた本発明BC(図2)では、このネイティブバンドはほとんど観察されなかった。ネイティブバンドについては、空閑ら(Polymer, 34, 3293(1993))の報告を参照のこと。
【0029】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られるBCは少量で優れた填料歩留まり向上効果を有し、填料歩留まり向上剤として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 CMCを添加しないで67−2株を培養して得られたBCの透過型電子顕微鏡写真(倍率10,000倍)である。
【図2】 CMCを添加した培地で67−2株を培養して得られた本発明BCの透過型電子顕微鏡写真(倍率10,000倍)である。

Claims (1)

  1. カルボキシメチルセルロースを0.01〜0.1重量%添加した培地中でセルロース生産菌を通気攪拌培養することにより得られたバクテリアセルロースより成る填料歩留まり向上剤。
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