JPH11246533A - アルキルグリオキサール付加体およびその製造方法 - Google Patents

アルキルグリオキサール付加体およびその製造方法

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JPH11246533A
JPH11246533A JP4582898A JP4582898A JPH11246533A JP H11246533 A JPH11246533 A JP H11246533A JP 4582898 A JP4582898 A JP 4582898A JP 4582898 A JP4582898 A JP 4582898A JP H11246533 A JPH11246533 A JP H11246533A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】構成アミノ酸の1つであるアルギニンを含む蛋
白質、ペプチドあるいはアルギニン自体とアルキルグリ
オキサールとの新規付加体の提供、およびその製造方法
の提供。 【解決手段】蛋白質、ペプチドの構成アミノ酸の1つで
あるアルギニン残基あるいはアセチル化したアルギニン
自体とアルキルグリオキサールとを反応させるとアルギ
ニンに2モルのアルキルグリキサールが付加した新規付
加体ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なアルキルグ
リオキサール付加体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】これまでメチルグリオキサール(MGと略
す。)と蛋白質、ペプチドあるいはアミノ酸との反応
は、既に知られている。特に、アミノ酸のアルギニン
(Arg)、リジン(Lys)あるいはシステイン(C
ys)とMGの反応がかなり詳細に論じられている
(J.Biol.Chem.,vol.269,p32
299−323305(1994年)、J.Prot.
Chem.V14(5)p359−372(1995
年))。
【0003】例えば、アミノ酸のアルギニン(Arg)
とMGの反応では、蛋白質やペプチドのアルギニン残基
あるいはアミノ酸のアルギニンとMGと反応して次の一
般式式[IV]
【化4】 (式中、R2、R3は、蛋白質残基、ペプチド残基あるい
はR2=OH基、R3=Ac基であり、R2=OH基、R3
=Ac基のときN−アセチルアルギニンを示す。)で表
されるアルグピリミジン構造を有する化合物を生成する
ことが知られている。
【0004】また、リジン(Lys)とMGの反応で
は、蛋白質やペプチドのリジン残基あるいはアミノ酸の
リジンとMGと反応して次の一般式[V]
【化5】 (式中、R2、R3は蛋白質残基、ペプチド残基あるいは
2=OH基、R3=Ac基であり、R2=OH基、R3
Ac基のときN−アセチルリジンを示す。)で表される
リジン残基2モルとMG1モルとの化合物を生成するこ
とが知られている。
【0005】またさらに、システイン(Cys)とMG
の反応では、蛋白質やペプチドのシステイン残基あるい
はアミノ酸のシステインとMGと反応して次の一般式
[VI]
【化6】 (式中、R2、R3は蛋白質残基、ペプチド残基あるいは
2=OH基、R3=Ac基であり、R2=OH基、R3
Ac基のときN−アセチルシステインを示す。)で表さ
れるシステイン残基1モルとMG1モルとの化合物を生
成することが知られている。以上のようなメチルグリオ
キサールとアミノ酸との反応の型は知られているが、ア
ルギニン1分子にメチルグリオキサール2分子が反応し
た化合物は知られていない。
【0006】MGと蛋白質の反応により生じる化合物は
生体内でも一部知られており、これらの構造体を明確に
することは、臨床学上、あるいは分析方法上非常に有用
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、アルギニン残基とアルキルグリオキサールの2分子
が結合した構造の新規化合物を提供することにある。本
発明の第2の目的は、前記のアルギニン残基とアルキル
グリオキサールの2分子が結合した構造の新規化合物の
製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アミノ基
をアセチル化したアルギニンにメチルグリオキサールを
反応させるとグリオキサール付加体の新規化合物ができ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本
発明は次の(1)〜(5)である。 (1)下記の一般式[I]
【化7】 (式中、Rは、蛋白質、ペプチドあるいはアルギニンの
残基を示す。またR1はアルキルグリオキサール由来の
炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表されるアルキ
ルグリオキサール付加体。
【0009】(2)R1がメチル基である、下記一般式
[II]
【化8】 (式中、Rは前記に同じ)で表される前記のアルキルグ
リオキサール付加体。
【0010】(3)下記の式[III]
【化9】 (式中、Acはアセチル基を示す)で表されるアルギニ
ンのメチルグリオキサール付加体である前記のアルキル
グリオキサール付加体。
【0011】(4)蛋白質、ペプチドあるいはN−アセ
チル化したアルギニンを原料として、アルキルグリオキ
サールと反応させてなる前記のグリオキサール付加体の
製造方法。 (5)N−アセチル化したアルギニンを原料として、メ
チルグリオキサールと水溶液中で反応させ、その際のア
ルギニン残基/メチルグリオキサールのモル比は1/5
〜100/1である前記グリオキサール付加体の製造方
法。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明では、蛋白質、ペプチドあ
るいはアルギニンを次の式[VII]
【化10】 で示す。ここで、Rは、アミノ酸の構成単位としてアル
ギニンを含む蛋白質、ペプチドあるいはアルギニン自体
の残基を示し、例えばRが次式[VIII]のとき、アセチ
ル化アルギニンを示す。
【化11】 ただしこの場合Acはアセチル基を示す。
【0013】また、一般式[I]で表されるアルキルグ
リオキサール付加体において、R1はアルキルグリオキ
サール由来のアルキル基であり、アルキルグリオキサー
ルは、次式[IX]で表される。
【化12】 ここで、R1は炭素数1〜6のアルキル基を示す。アル
キルグリオキサールとして、具体的には、メチルグリオ
キサール、エチルグリオキサール、プロピルグリオキサ
ール、ブチルグリオキサール、ペンチルグリオキサー
ル、ヘキシルグリオキサール等が挙げられる。
【0014】前記の一般式[I]で表されるアルキルグ
リオキサール付加体は、例えば前記の一般式[VII]で
表される蛋白質、ペプチドあるいはアルギニンと、一般
式[IX]で表されるアルキルグリオキサールの原料を水
溶液でかき混ぜることにより反応させることができる。
一般式[VII]で表されるアルギニンの当量と一般式[I
X]で表されるアルキルグリオキサールとのモル比は、
アルギニンの当量/アルキルグリオキサールのモル比
で、1/5〜100/1であり、好ましくは、1/3〜
50/1である。より好ましくは、アルギニンの等量
/アルキルグリオキサールのモル比で、1/2〜10/
1である。一般式[VII]で表されるアルギニンの当量
と一般式[IX]で表されるアルキルグリオキサールとの
モル比が1/5より小さいとアルキルグリオキサール付
加体の収率が少なくなり、100/1より大きいとアル
キルグリオキサール付加体の収率は多くなるものの精製
が困難となるので好ましくない。
【0015】反応のときに用いる溶媒としては、水、あ
るいはメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、
アセトン等のケトン系溶媒を用いることができる。また
これらの溶媒と水との混合溶媒も好ましく挙げられる。
より好ましくは水である。用いる溶媒は、pH緩衝剤を
含有していてもよい。緩衝剤としては、リン酸塩、炭酸
塩等が挙げられる。好ましくは、リン酸塩が挙げられ
る。緩衝剤を含有する場合のpHは、反応が進行するp
Hであればよく、特に限定されないが、好ましくはpH
6〜11、より好ましくはpH7〜9が挙げられる。ま
た緩衝液の濃度は1mM〜0.5Mであり、好ましくは
10〜200mMである。反応時間は、1時間〜20
日、好ましくは、1〜10日が挙げられる。また反応温
度は、5〜60℃、好ましくは、30〜40℃である。
触媒は特に必要としない。
【0016】精製方法としては、反応液を凍結乾燥後、
分取型高速液体クロマトグラフィーにより分取して精製
する方法、溶剤抽出、凍結乾燥、晶析−再結晶等の方法
により精製することができる。また、カラムクロマトグ
ラフィによる分離精製を行ってもかまわない。好ましく
は、凍結乾燥後、分取型高速液体クロマトグラフィーに
より分取して精製する方法が挙げられる。
【0017】反応方法および精製方法としては、具体的
には、例えば所定量の原料のアルギニンをpH緩衝剤の
水溶液に溶かし、これに所定量のメチルグリオキサール
を加えて所定温度で所定時間かき混ぜた後、凍結乾燥で
固形分とし、ついでこれに溶媒を加えて化合物を抽出
し、次にその溶媒を留去してから水に溶解し高速液体ク
ロマトグラフィーにより分取して精製した目的物を得る
ことができる。なお、適宜保護基として用いたN−アセ
チル基は、加水分解で取り除いてもよい。
【0018】
【発明の効果】本発明の化合物は、アルギニン残基に2
分子のアルキルグリオキサールが付加した新規化合物で
ある。この化合物は、生体内で生じるメチルグリオキサ
ールと蛋白質のアルギニン残基との反応物類似体とし
て、臨床学上、あるいは分析上有用である。また、本発
明のアルギニン残基に2分子のアルキルグリオキサール
が付加した新規化合物の製造方法は、原料の水溶液をか
き混ぜておくだけで粗生成物が得られ、抽出精製、分取
精製することにより簡便に精製したアルキルグリオキサ
ール付加体を得ることができる方法である。
【0019】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明する。 実施例1−1 N−アセチルアルギニン(シグマ社製)0.215g
(10mmol)とメチルグリオキサール(シグマ社
製)0.072g(10mmol)を100mMのリン
酸緩衝液(pH7.4)10mlに溶解し、この反応液
を37℃で7日間反応した。その後、反応液を凍結乾燥
した後、25mlのエタノールで3回抽出した。得られ
た抽出液をエバポレーターで濃縮した後、高速液体クロ
マトグラフィーで次の条件により分取して目的物の溶液
を得た。これを凍結乾燥して目的物11.5mgを得た
(収率4%)。 <高速液体クロマトグラフィーの条件> 高速液体クロマトグラフィーの機種;日本分光社製ガリ
バーPV980 カラム;Develosil ODA−HG−5(径8
mm×長さ250mm) 溶剤;50mM酢酸水溶液 流量;2.0ml/min 検出波長;215nmのUV波長
【0020】実施例1−2 前記の得られたメチルグリオキサール付加体は、1H−
NMR、13C−NMR、FAS−MASS、元素分析を
行った。結果を次に示した。1H−NMR分析の結果を
次に示した。 (1H−NMR(δ(ppm)、D2O/TMS); 1.49−1.52;C(g)3 ,s、 1.53−1.57;C(f)3 s、 1.59−1.63;C(d)2 m、 1.65−1.88;C(c)2 m、 1.98 ;C(a)3 s、 3.17−3.23;C(e)2 t、 3.66−3.93;C(h) s、 4.18−4.24;C(b) m。
【0021】13C−NMR分析の結果を次に示した。13 C−NMR(δ(ppm)、D2O/TMS);2
2.6(C(a),C(f)),24.7(C
(d)),25.2(C(g)),29.0(C
(c)),41.1(C(e)),54.4(C
(b)),58.4(C(h)),72.5(C
(n)),75.4(C(l)),80.2(C
(m)),151.6(C(k)),174.8(C
(i)),177.9(C(j))。
【0022】FAS−MASSの分析結果を次に示し
た。 FAS−MASS(M/Z);361(M++1)
【0023】元素分析の結果; (C142446として) 理論値C=46.65;H=6.72;N=15.55 計算値C=46.64;H=6.68;N=15.53
【0024】以上の結果から、実施例1−1で得られた
化合物は次式の構造であると確認した。
【化13】
【0025】以上の結果からアルギニンのメチルグリオ
キサール2モル付加体が確認された。また本発明の製造
方法で前記の化合物が合成できることがわかった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式[I] 【化1】 (式中、Rは、蛋白質、ペプチドあるいはアルギニンの
    残基を示す。またR1はアルキルグリオキサール由来の
    炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表されるアルキ
    ルグリオキサール付加体。
  2. 【請求項2】R1がメチル基である、下記一般式[II] 【化2】 (式中、Rは前記に同じ)で表される請求項1記載のア
    ルキルグリオキサール付加体。
  3. 【請求項3】下記の式[III] 【化3】 (式中、Acはアセチル基を示す)で表されるアルギニ
    ンのメチルグリオキサール付加体である請求項1または
    2記載のアルキルグリオキサール付加体。
  4. 【請求項4】蛋白質、ペプチドあるいはN−アセチル化
    したアルギニンを原料として、アルキルグリオキサール
    と反応してなる請求項1ないし3項のいずれか1項に記
    載のグリオキサール付加体の製造方法。
  5. 【請求項5】N−アセチル化したアルギニンを原料とし
    て、メチルグリオキサールと水溶液中で反応させ、その
    際のアルギニン残基/メチルグリオキサールのモル比
    は、1/5〜100/1で反応させてなる請求項4記載
    のグリオキサール付加体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113121489A (zh) * 2021-04-20 2021-07-16 暨南大学 芸香苷-丙酮醛加合物、制备方法及应用

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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