JPH11242916A - 透明導電膜の製造方法及び透明導電膜 - Google Patents

透明導電膜の製造方法及び透明導電膜

Info

Publication number
JPH11242916A
JPH11242916A JP10194567A JP19456798A JPH11242916A JP H11242916 A JPH11242916 A JP H11242916A JP 10194567 A JP10194567 A JP 10194567A JP 19456798 A JP19456798 A JP 19456798A JP H11242916 A JPH11242916 A JP H11242916A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transparent conductive
metal oxide
conductive film
binder
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10194567A
Other languages
English (en)
Inventor
Yutaka Adegawa
豊 阿出川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP10194567A priority Critical patent/JPH11242916A/ja
Publication of JPH11242916A publication Critical patent/JPH11242916A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の蒸着法、イオンプレーティング法、ス
パッタリング法によった場合よりも安価な塗布法で低抵
抗で膜強度が十分な透明導電膜を繰り返し塗布すること
なく製造できる方法を提供する。 【解決手段】 透明支持体上に成膜された金属酸化物系
の透明導電膜の製造方法において、次の2つの工程を含
むことを特徴とする透明導電膜の製造方法。 (a)透明支持体の一方の面に、金属酸化物系の透明導
電性微粒子をバインダー及び溶剤もしくは水に分散させ
たものを塗布し、200℃以下で乾燥する工程 (b)乾燥皮膜に紫外光線ないし赤外線の波長領域の電
磁波を照射する工程

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明導電膜の製造
方法および透明導電膜に関する。
【0002】
【従来の技術】透明導電膜は、可視光透過性が良く、導
電性も良好なため、液晶表示素子、タッチパネル、セン
サー、太陽電池、無機EL、及び有機ELなどの電極や太陽
熱利用のための選択透過膜、電磁波シールドなどに用い
られている。
【0003】このような、透明導電膜の中でも、金属酸
化物系の透明導電膜(特に酸化スズ(SnO2)系や酸化イ
ンジウム(In2O3)系の透明導電膜)は他の材料系の透
明導電膜に比べその比抵抗が低く、可視光の透過率が高
く安定性もよいため、一般的に用いられている。更に、
エッチングのしやすさなどの点から、スズをドープした
酸化インジウム、いわゆるITOが広く用いられている。
【0004】ところで、これらの透明導電膜は、従来か
ら蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法
などによって、ガラス基板上に結晶性もしくは、非晶性
の金属酸化物を付着させることにより形成されている。
しかしながら、これらの真空性膜法では、装置コストや
製造コストが高くなるため、安価な塗布法による成膜が
望まれている。
【0005】金属酸化物系の透明導電性微粒子をバイン
ダーや溶剤に分散させたものを基板上に塗布し乾燥させ
ることにより透明導電膜を製造する方法は、比較的低温
で製造できるため、汎用の有機高分子フィルム上に塗布
成膜できる方法である。特開平4−26768号、同8
−176794号、同8−185797号、同9−86967号には、I
TO粉体を樹脂あるいは無機バインダーや有機溶剤に分
散させたものを塗布乾燥してITO透明導電膜を形成さ
せる方法が開示されている。しかしながら、200℃程度
の低温成膜では、表面抵抗が数キロΩ/□であり、真空
成膜法にくらべ性能が劣ることが示されている。
【0006】ところで、従来より半導体に紫外線を照射
して抵抗値が低下する、いわゆる、光導電性は知られて
いるが、この性質は一時的なものである。これに対し
て、特開平1−57520号には、コロイド状超微粒子
を塗布乾燥し、可視光線ないしは赤外線を照射して低下
した抵抗値が1000時間変化しないという技術が開示
されている。しかしながら、高温処理をせずに低抵抗と
するためには繰り返し塗布をして膜厚を数μmと厚くし
なければならない。繰り返し塗布は製造コストが高くつ
くという問題を有する。さらに、膜強度が弱いという性
能上の問題も生じる。
【0007】特開平6−12920号には、ITO微粒子を珪素
化合物、及び、In化合物、Sn化合物及びTi化合物を塗布
し、加熱および/または紫外線を照射して透明導電膜を
得る技術が開示されているが、この系ではIn化合物は高
価であり、また表面抵抗値の再現性が悪いという問題点
がある。
【0008】特開平5−257153号には、着色材料
と透明導電性微粒子を光硬化性オリゴマーと光重合開始
剤を塗布し、紫外線照射するという技術が開示されてい
るが、これも、表面抵抗の悪化と透過性の悪化をまね
く。
【0009】特開平9−269406号には、顔料とITO微粒子
を電界により荷電する界面活性剤で取り囲み、電界をか
けてミセルを破壊して析出させ、マスクをかけて短波長
紫外線を照射するという技術が開示されているが、これ
も表面抵抗の悪化をまねく。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法
によった場合よりも安価な塗布法で低抵抗で膜強度が十
分な透明導電膜を繰り返し塗布することなく製造できる
方法を提供することである。また、本発明の目的は、上
述したような安価な塗布法で製造され、低い抵抗値を有
する透明導電膜を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、以下の
手段によって達成された。 (イ) 透明支持体上に成膜された金属酸化物系の透明
導電膜の製造方法において、次の2つの工程を含むこと
を特徴とする透明導電膜の製造方法。 (a)透明支持体の上に、金属酸化物系の透明導電性微
粒子をバインダーを用いて溶剤もしくは水に分散させた
ものを塗布し、200℃以下で乾燥する工程 (b)乾燥被膜に紫外光線ないしは赤外光線の波長領域
の電磁波を照射する工程本発明のより好ましい製造法
は、以下の(ロ)〜(リ)であり、また、これらにより
得られる透明導電膜は(ヌ)である。 (ロ) 透明支持体上に成膜された金属酸化物系の透明
導電膜の製造方法において、次の2つの工程を含むこと
を特徴とする透明導電膜の製造方法。 (a)透明支持体の上に、金属酸化物系の透明導電性微
粒子をバインダーを用いて溶剤もしくは水に分散させた
ものを塗布し、200℃以下で乾燥して被膜形成をする工
程(ただし、前記分散させたものには、インジウム塩も
しくは有機インジウムから選ばれるインジウム化合物、
及び、電界により荷電する界面活性剤、及び光重合性開
始剤、着色材料のいずれもを含まない。) (b)乾燥被膜に短波長紫外光線の波長領域の電磁波を
照射する工程 (ハ) 透明支持体上に成膜された金属酸化物系の透明
導電膜の製造方法において、次の2つの工程を含むこと
を特徴とする透明導電膜の製造方法。 (a)透明支持体の上に、金属酸化物系の透明導電性微
粒子をバインダーを用いて溶剤もしくは水に分散させた
ものを塗布し、200℃以下で乾燥して被膜形成をする工
程(ただし、前記分散させたものには、インジウム塩も
しくは有機インジウムから選ばれるインジウム化合物、
及び光重合性開始剤、及び、着色材料のいずれもを含ま
ない。) (b)乾燥被膜に長波長紫外光線の波長領域の電磁波を
照射する工程 (ニ) 透明支持体上に成膜された金属酸化物系の透明
導電膜の製造方法において、次の2つの工程を含むこと
を特徴とする透明導電膜の製造方法。 (a)透明支持体の上に、金属酸化物系の透明導電性微
粒子をバインダーを用いて溶剤もしくは水に分散させた
ものを塗布し、200℃以下で乾燥する工程 (b)乾燥被膜に可視光線の波長領域の電磁波を照射す
る工程 (ホ) 透明支持体上に成膜された金属酸化物系の透明
導電膜の製造方法において、次の2つの工程を含むこと
を特徴とする透明導電膜の製造方法。 (a)透明支持体の上に、金属酸化物系の透明導電性微
粒子をバインダーを用いて溶剤もしくは水に分散させた
ものを塗布し、200℃以下で乾燥する工程 (b)乾燥被膜に赤外線の波長領域の電磁波を照射する
工程 (ヘ) (a)工程で用いられるバインダーと透明導電
性微粒子の重量比が、1/99ないし80/20である
ことを特徴とする上記(イ)ないし(ホ)記載の透明導
電膜の製造方法。 (ト) (b)工程で、紫外光線ないし赤外線の波長領
域の電磁波を照射するに当たり、空気との接触を遮断し
た状態で行うことを特徴とする上記(イ)ないし(ヘ)
記載の透明導電膜の製造方法。 (チ) 透明支持体が有機高分子フィルムであることを
特徴とする上記(イ)ないし(ト)記載の透明導電膜の
製造方法。 (リ) 透明導電性微粒子がインジウム酸化物を主体と
する金属酸化物であることを特徴とする上記(イ)ない
し(チ)記載の透明導電膜の製造方法。 (ヌ) 上記(イ)ないし(ホ)記載の製造方法によっ
て製造された透明導電膜。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。本発明において、透明導電性微粒子とは下から選ば
れる少なくとも一種の金属の酸化物からなる微粒子であ
る。Li,Be,B,Na,Mg,Al,Si,K,Ca,Sc,V,Cr,M
n,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Rb,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,
Cd,In,Sn,Sb,Cs,Ba,La,Hf,Ta,W,Tl, Pb, B
i,Ce,Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb,Dy, Ho,
Er, Tm,Yb,及びLuなどが挙げられる。これらは単一
で用いられてもよいし、2つ以上組み合わせて用いられ
てもよい。これらのうち、好ましくは、B,Mg,Al,S
i,Ca,V,Mn,Fe,Cu,Zn,Ga,Sr,Y,Zr,Nb,Cd,I
n,Sn,Sb,Ba,La,Ta,W, Pb, Bi,及びCeから選ば
れる。特に、Inを好ましくは原子比で50%以上含む、
Inを主体として選ばれる組み合わせが好ましい。
【0013】透明導電性微粒子がInとSnからなる酸化物
の場合、金属の比率は、 InとSnの原子比において、 In
/Sn =99/1〜80/20であることが好ましい。さらに好ま
しくは、 In/Sn =97/3〜85/15である。Snの量が減る
と、キャリアー密度が低くなり、導電性が悪化する等の
点で不十分であり、一方、Snの量が増えるとキャリアー
の散乱が起こるため、キャリアー移動度が低下して導電
性が悪化する等の点で不十分である。
【0014】本発明における透明導電性微粒子の形状
は、球状、針状、フレーク状、いずれでも良い。
【0015】本発明における透明導電性微粒子の粒径
は、球状粒子の場合、体積平均粒径で150nm以下である
ことが好ましい。より好ましくは、100nm以下、さらに
好ましくは、50nm以下である。針状、あるいはフレーク
状粒子では、投影最大長が150nm以下であることが好ま
しい。より好ましくは、100nm以下、さらに好ましくは5
0nm以下である。
【0016】本発明における透明導電性微粒子は、市販
品を用いても、合成したものを用いてもよい。金属酸化
物薄膜がITOの場合、市販品では住友金属鉱山製、三菱
マテリアル製、白水化学製、富士化学製のものなどを用
いることができる。合成法については、ゾル-ゲル法、
水熱合成、グリコサーマル法などの他通常の焼結、ある
いはガス流中での合成などが挙げられる。ゾル-ゲル法
については、「ゾル-ゲル法の科学、作花済夫、アグネ
承風社、1988」や「ゾル-ゲル法の現状と展望、山根正
之監修、技術情報サービス懇談会[ATIS]ゾル-ゲル法リ
ポート刊行会、1992」などに詳しく記述されている。ま
た、微粒子とバインダーと溶剤の分散物として利用でき
る市販品もある。
【0017】本発明におけるバインダーは、有機高分
子、いわゆる樹脂やゴム、あるいは、無機高分子である
が、その前駆体である低分子量体でもよい。樹脂やゴム
の例としては、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、ア
クリル系熱硬化性樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステ
ル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、
スチレン−ブタジエンゴムなどが挙げられるが、この限
りではない、無機高分子としては、シリコン系高分子、
シリコンゴムなどが挙げられる。また、前駆体低分子量
体としては、シリケート加水分解物などが挙げられる。
【0018】本発明において、バインダーと透明導電性
微粒子の重量比は、1/99ないし80/20である。
より好ましくは、3/97ないし70/30であり、さ
らに好ましくは、5/95ないし60/40である。1
/99未満であるとバインダーの結着性が低下し、層の
ひび割れや粉落ち等が発生するなどにより抵抗値が高く
なり、一方、80/20を超えると、透明導電性微粒子
の接触確率が低下し、鎖上の導電経路が形成されにくく
なるため抵抗値が高くなる。各種の化合物をバインダー
に添加した場合でも、バインダーと添加物の合計の量が
上記のバインダー重量比であることが好ましい。
【0019】また、透明導電性微粒子とバインダーから
なる透明導電膜の乾燥膜厚は、層の透明性を悪化させる
ことなく、抵抗値を低下させることができるため、0.
1μmないしは20μmであることが好ましい。より好ま
しくは0.3μmないし15μm、さらに好ましくは、
0.5μmないし15μmである。
【0020】また、用いるバインダーと溶剤もしくは水
の組み合わせによって、導電性微粒子が適宜表面処理さ
れていてもよい。水溶性ポリマーをバインダーとする場
合は、表面親水化処理されているものが、疎水性ポリマ
ーをバインダーとする場合は、表面疎水化処理されたも
のの効果が大きい。例えば、シランカップリング剤によ
り処理されるが、この限りではない。
【0021】本発明における塗布方法は、スピンコート
法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコー
ト法、スクリーン印刷法等の公知の方法がいずれも使用
することができる。大量生産を安価に行うためには、ロ
ールコートが好ましい。特に、バーを用いる方法、ギー
サーを用いる方法は好ましい方法である。また、パター
ニングを塗布時にできるという点で、スクリーン印刷法
やオフセット印刷法も好ましい。透明導電膜の塗布量
は、得られる透明導電膜の用途によって異なるが、一般
的には、溶媒以外の有効成分塗量として、0.1〜20
ml/m2である。より好ましくは、0.3〜15 ml/m2
であり、さらに好ましくは0.5〜15 ml/m2であ
る。
【0022】本発明において、塗布液の媒体は使用する
導電性微粒子およびバインダーの組み合わせによって適
宜選ばれる。例として水が挙げられる。また、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコー
ル、ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコー
ル、トリメチレングリコールなどのグリコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセチル
アセトン、イソホロンなどのケトン類、酢酸エチル、酢
酸ブチル、酢酸ベンジルなどのエステル類、メトキシエ
タノール、エトキシエタノール等のエーテルアルコール
類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミ
ドなどの酸アミド類、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素類などが挙げられる。またこれらの媒体に水が含
まれても良い。
【0023】また、以後に述べる乾燥負荷を減らす溶媒
として低沸点化合物を用いることができるが、その揮発
性のため取り扱いには注意を要する。このような例とし
て、アセトンが挙げられる。一方、光照射あるいは加熱
によって分解する高沸点低分子量溶媒を使用してもよ
い。このような例としてイソホロン、酢酸ベンジルが挙
げられる。
【0024】上記溶媒の使用量は使用する導電性微粒子
とバインダーの組み合わせによって適宜選ばれるが、一
般的には、上記導電性微粒子とバインダーの重量成分が
1〜30重量%にすることが好ましい。より好ましくは、2
〜25重量%であり、さらに好ましくは、3〜20重量%で
ある。溶媒の量が不足すると、塗布性が悪化する等、溶
媒の量が多すぎると、得られる透明導電膜の膜厚が低下
し、欠陥が生じやすくなる等の問題が生じる。
【0025】塗布被膜の乾燥は主に、溶媒の除去のため
に行われる。塗布後の乾燥条件は任意であるが、基板に
ダメージをあたえないために、低温で行われることが好
ましい。好ましくは、30℃〜200℃、より好ましくは
40℃〜150℃、更に好ましくは50℃〜100℃で行わ
れる。
【0026】本発明では、短波長紫外光線とは、波長10
0nmから300nmまでの電磁波をいい、長波長紫外線とは、
波長300nmから400nmまでの電磁波をいい、可視光線とは
波長400nmから700nmまでの電磁波をいい、赤外光線とは
波長700nmから2000nmをいう。
【0027】本発明において、乾燥被膜に紫外光線ない
しは赤外線の波長領域の電磁波を照射する光源は、この
波長領域の光を発生する限りにおいてどんなものを用い
てもよい。例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ラン
プ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンラン
プ、ナトリウムランプなどが挙げられる。好ましくは、
超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、
キセノンランプ、ハロゲンランプである。また、フォト
マスクを併用することによって透明導電性パターンが形
成できる。また、レーザー発振装置を使用することもで
きる。レーザー発振装置としては、エキシマレーザー、
アルゴンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、半導体レ
ーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー、色素レーザ
ー等が挙げられる。レーザー光を用いた場合、照射部分
以外は低抵抗とならないような塗布物組成を用いること
によって、塗布時にスクリーン印刷等を用いることなく
パターン形成ができる。また、シンクロトロン放射光を
利用することもできる。これらの装置は、照射したい波
長を考慮して選ぶ事ができる。また、光照射の時間は、
20秒以上であることが好ましく、1分以上であることが
より好ましく、3分以上1000時間以内であることがさら
に好ましい。
【0028】本発明において、短波長紫外光線のうち波
長200nm以上の波長領域、及び長波長紫外光線ないしは
赤外線の波長領域の電磁波照射プロセスでの雰囲気は自
由であるが、空気を遮断して照射プロセスをおこなうこ
とは好ましい。酸素欠陥の増大によるキャリアー密度の
増大及び/あるいは粒界への酸素分子の吸着が抑制され
たものと考えられる低抵抗化が生じる。空気を遮断する
方法としては、窒素ガスなど不活性ガス雰囲気下で行
う、真空中で行う。あるいは、ガラス、ポリマーフィル
ム、紙、セラミック板、金属板などによる覆いを利用す
るなどの方法を用いることができる。また、光照射時の
温度は、室温以上200℃未満であることが好ましい。一
方、短波長紫外光線のうち波長200nm以下の波長領域、
いわゆる真空紫外光線領域においては、空気を遮断した
照射プロセスは、酸素による真空紫外光線の吸収をさけ
るために必須である。
【0029】本発明において、透明支持体とは、有機高
分子、ガラス繊維強化プラスチックス、ガラス等からな
る、平板、立体物、フィルムをいう。なかでも有機高分
子のフィルムが好ましく、例としては、セルローストリ
アセテート、セルロースジアセテート、ニトロセルロー
ス、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、シンジオタクチックポリスチレ
ン、ポリエチレン被覆紙、ポリエーテルスルホン、ポリ
アリレート、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、テフロ
ンなどを用いることができる。これらを単独あるいは張
り合わせて用いることができるが、特にポリエステルフ
ィルム、ポリエーテルスルホン、ポリアリレートに耐熱
処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。また、こ
れらの支持体には温度や湿度の変化によって寸法が変化
する、いわゆる寸度安定性を向上する目的で、ポリ塩化
ビニリデン系ポリマーを含む防水層を設けてもよい。ま
た、ガスバリアーの目的で、有機及び/あるいは無機化
合物の薄膜を設けてもよい。有機薄膜の例としてはポリ
ビニルアルコール、ポリ(エチレン-co-ビニルアルコー
ル)等があげられ、無機化合物の例としては、シリカ、
アルミナ、タルク、バーミキュライト、カオリナイト、
雲母、合成雲母等が挙げられる。また、その他諸機能の
ため基板中に各種有機及び/あるいは無機添加物が加え
られていてもよい。
【0030】支持体の厚みとしては、25〜250μm
のものが用いられ、特に50〜200μmのものが好ま
しい。合成高分子フィルムは着色されているものであっ
ても良い。着色されたフィルムは、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル
樹脂に青色染料を混練して成形されたフィルムに、耐
熱、延伸処理等を施したものを使用することが好まし
い。
【0031】本発明における透明導電性膜を発光素子の
部材として用いるような場合には、透過光により画像が
見にくくなることを防止する観点から、色度座標(JI
SZ8701)上の、A(x=0.2805,y=0.
3005)、B(x=0.2820,y=0.297
0)、C(x=0.2885,y=0.3015)、及
びD(x=0.2870,y=0.3040)の4点で
形成される四角形の領域内にある、青く着色された合成
高分子フィルムを使用することが好ましい。
【0032】本発明の透明導電膜においては、支持体と
して導電層が剥離することを防止するために、支持体上
に下塗り層を設けてもよい。下塗り層の素材としては、
アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ス
チレン−ブタジエンゴム、ポリエステル等を用いること
ができる。下塗り層の厚さは、0.05〜0.5μmで
あることが好ましい。
【0033】下塗り層は、その上に層が塗布された時
に、含まれる媒体により、膨潤して上層の性能を悪化さ
せることがあるので、硬膜剤を用いて硬化させることが
望ましい。硬膜剤としては、例えば、グルタルアルデヒ
ド、アジポアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4
−ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平
2−141279号に記載のものを挙げることができ
る。これらの硬膜剤の添加量は、下塗り層の重量に対し
て、0.20重量%から3.0重量%となる範囲で、塗
布方法や望む硬化度に合わせて適切な添加量を選ぶこと
ができる。
【0034】本発明の透明導電性膜には、透明導電層を
スティッキングなどから保護するために、保護層を設け
ても良い。この保護膜を形成する際には、通常の保護膜
形成用塗布液、例えばアルコキシシラン加水分解物を含
むシリカ系被膜形成用塗布液が用いられる。これらのゾ
ル-ゲル法については、「ゾル-ゲル法の科学、作花済
夫、アグネ承風社、1988」、「ゾル-ゲル法による薄膜
コーティング技術、技術情報協会編、1994」や「ゾル-
ゲル法の現状と展望、山根正之監修、技術情報サービス
懇談会[ATIS]ゾル-ゲル法リポート刊行会、1992」など
に詳しく記述されている。
【0035】本発明の透明導電性膜には、カールバラン
スを補正するために、透明導電層と反対側の支持体表面
に、保護層と類似したバック層を設けることもできる。
また、バック層に光反射防止能を付与させることもでき
る。
【0036】本発明では、照射電磁波の波長範囲が可視
光線ないしは赤外線の領域の場合は、塗布液中に透明導
電性微粒子とバインダー以外の添加物として、染料、有
機顔料、及び/あるいはカーボンブラックなどの無機顔
料を本発明の目的を損なわない範囲の量加えてもよい。
このような着色材料を含むことにより着色された透明導
電膜を得ることもできる。照射電磁波の波長範囲が短波
長紫外光線ないしは長波長紫外光線の領域の場合は、前
記の着色材料は含まない。この場合、前記の着色顔料を
含むことにより照射の効果が著しく低下するためであ
る。
【0037】本発明では、照射電磁波の波長範囲が可視
光線ないしは赤外線の領域の場合は、塗布液中に透明導
電性微粒子とバインダー以外の添加物として、インジウ
ム塩もしくは有機インジウムから選ばれるインジウム化
合物が含まれてもよい。インジウム塩もしくは有機イン
ジウムから選ばれるインジウム化合物の例として、有機
インジウムとしては、金属メトキシド、金属エトキシ
ド、金属プロポキシド、金属イソプロポキシド、金属ブ
トキシド等が挙げられる。金属塩の例としては、ギ酸
塩、酢酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、金属ハロゲン化物等
及び/あるいはこれらの水和物、及びこれらの化合物
と、α-またはβ-ジケトン類、α-又はβ-ケト酸類、前
記ケト酸類のエステル類、α-又はβ-アミノアルコール
類等とのキレート化合物、酸アミド類のようにキレート
より弱い配位を行う化合物との配位化合物、さらには、
前記化合物を中和及び/あるいは加水分解して得られる
水酸化金属等も含む。照射電磁波の波長範囲が短波長お
よび長波長紫外光線の領域の場合は、前記のインジウム
化合物は含まない。この場合、前記のインジウム化合物
を含むことにより照射の効果が著しく低下するため及び
製造コストが高価になるためである。
【0038】本発明では、照射電磁波の波長範囲が可視
光線ないしは赤外線の領域の場合は、塗布液中に透明導
電性微粒子とバインダー以外の添加物として、光重合開
始剤を含んでもよい。この場合は、バインダーとして高
分子の前駆体である低分子量体を含むものを開始剤との
組み合わせによって適宜用いるとよい。例えば、エチレ
ン性不飽和基を有する低分子量体、カチオン重合性基を
有する低分子量体とは、可視光感光性を有する可視光光
重合開始剤であれば、例えば、チタノセン、鉄アレーン
錯体、有機過酸化物、ヘキサアリールビイミダゾール、
N−フェニルグリシン、ジアリールヨウドニウム塩等の
ラジカル発生剤の少なくとも1種と、更に必要に応じて
3−置換クマリン、シアニン色素、メロシアニン色素、
チアゾール系色素、ピリリウム系色素等の増感色素、更
に必要であれば連鎖移動剤等を組み合わせた公知の可視
光光重合開始剤等から選ばれ、赤外光感光性を有する光
重合開始剤であれば、例えば、近赤外光吸収性陽イオン
染料を使用する。近赤外光吸収性陽イオン染料として
は、650〜1500nmの領域の光エネルギーで励起
する、例えば特開平3−111402号、特開平5−1
94619号公報等に開示されている近赤外光吸収性陽
イオン染料−ポレート陰イオン錯体などを用いるのが好
適であり、さらに必要に応じてホウ素系増感剤を併用す
ることが望ましい。その他、可視光光重合開始剤では、
特開平8−202035号記載の化合物,Chem. Rev.
93,435ページ記載の化合物、表面、27巻、548ペ
ージ(1989年)記載の化合物などがあげられる。また、
赤外光光重合開始剤では、高分子学会年次大会予稿集、
41巻(3)541ページ、同じく43巻(3)791ページ記載
の化合物などが挙げられる。照射電磁波の波長範囲が短
波長紫外光線および長波長紫外光線の領域の場合は、前
記類似の光重合開始剤は含まない。この場合、光重合開
始剤を含むことにより照射の効果が著しく低下するため
及び製造コストが効果になるためである。光重合開始剤
の例は特開平5−257153号等に記載されている。
【0039】本発明において、照射電磁波の波長範囲が
短波長および長波長紫外光線の領域の場合は、塗布液中
に透明導電性微粒子とバインダー以外の添加物として電
界により荷電する界面活性剤は含まない。電界により荷
電する界面活性剤の例は、特開平9−269406号等
に記載されている。この場合、前記の界面活性剤を含む
ことにより照射の効果が著しく低下するため及び製造コ
ストが高価になるためである。
【0040】本発明の透明導電性膜は、例えば、電磁波
シールド、液晶パネル、タッチパネル、太陽電池、さら
には有機あるいは無機ELの材料として用いることができ
る。
【0041】
【実施例】以下に、本発明を実施例によってさらに詳し
く説明するが、本発明はこれによって限定されるもので
はない。また、特に断らない限り、以下に記載する部及
び%は、それぞれ重量部及び重量%を表す。
【0042】[シート抵抗] 表面抵抗は、三菱化学
(株)製 LORESTA-FPを用いて四探針法によって測定し
た。 [抵抗経時変化] 電磁波照射直後の表面抵抗値を1000
時間後の表面抵抗値を比較し、変化がないものを経時許
容(○)、抵抗値上昇が大きいものを不可(×)とし
た。 [光透過率] 空気をリファレンスとして、波長550nm
の透過率を、自記分光光度計UV2400-PC(島津製)用い
て測定した。 [膜厚の測定]膜厚は、王水エッチングしたサンプルを
用いて表面形状顕微鏡(キーエンス社)測定するか、も
しくは、SEM〔JEOL JSM-5400〕断面を測定することによ
り求めた。 [膜強度] 得られた試料の鉛筆硬度測定(JIS K5400)
を行った。判定は4H以上が許容(○)、4H未満は不可
(×)とした。
【0043】実施例1 10モル%の錫をドープした酸化インジウム微粒子(粒
径40nm)90gをアクリル樹脂10gとケトン系溶媒2
00gで分散した分散液をポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルム(100μm)上にワイアーバーで塗布
し、80℃で乾燥して、透明導電膜を得た。表面抵抗値
は1000Ω/□であった。次に、この透明導電膜に、
高圧水銀灯(アイグラフィックス社)で光照射を20秒行
った。表面抵抗値は、350Ω/□に低下した。膜厚、
光透過率、膜強度、抵抗経時変化の判定を行った。
【0044】実施例2 光照射をハロゲンランプ(フジエレクトリックランプイ
ンダストリアル社)とした以外は、実施例同様の操作を
した。
【0045】実施例3 光照射時に、薄膜をPETフィルム(100μm)で覆ったこ
と以外は、実施例1と同様の操作をした。
【0046】実施例4 光照射時に、薄膜をPETフィルム(100μm)で覆ったこ
と以外は、実施例2と同様の操作をした。
【0047】実施例5 ITO微粒子分散物(住友金属鉱山製、X-101)をPETフィル
ム(100μm)上にワイアーバーで塗布し、80℃で乾燥
して、透明導電膜を得た。次に、この透明導電膜に、高
圧水銀灯で光照射を20秒行った。膜厚、光透過率、膜強
度、抵抗経時変化の判定を行った。
【0048】実施例6 光照射をハロゲンランプで行ったこと以外は、実施例5
と同様の操作をした。
【0049】実施例7 光照射時に、薄膜を紙で覆ったこと以外は、実施例1と
同様の操作をした。
【0050】実施例8 光照射時に、薄膜を紙で覆ったこと以外は、実施例2と
同様の操作をした。
【0051】実施例9 光照射時に、薄膜をガラスで覆ったこと以外は、実施例
1と同様の操作をした。
【0052】実施例10 光照射時に、薄膜をガラスで覆ったこと以外は、実施例
2と同様の操作をした。
【0053】実施例11 光照射時に、薄膜をアルミナ板で覆ったこと以外は、実
施例1と同様の操作をした。
【0054】実施例12 光照射時に、薄膜をアルミナ版で覆ったこと以外は、実
施例2と同様の操作をした。
【0055】実施例13 光照射を窒素雰囲気下で行ったこと以外は、実施例1と
同様の操作をした。
【0056】実施例14 光照射を窒素雰囲気下で行ったこと以外は、実施例2と
同様の操作をした。
【0057】実施例15 光照射を真空中で行ったこと以外は、実施例1と同様の
操作をした。
【0058】実施例16 光照射を真空中で行ったこと以外は、実施例2と同様の
操作をした。
【0059】実施例17 光照射時に120℃の加熱をしたこと以外は、実施例1と
同様の操作をした。
【0060】実施例18 10モル%の錫をドープした酸化インジウム微粒子(粒
径40nm)90gをポリエステル樹脂10gとトルエン2
00gで分散した分散液をPETフィルム(100μm)上に
ワイアーバーで塗布し、80℃で乾燥して、透明導電膜
を得た。この後実施例1と同様の操作をした。
【0061】実施例19 塗布基板をガラス板(1.1mm)とした以外は実施例
1と同様の操作をした。
【0062】実施例20 10モル%の錫をドープした酸化インジウム微粒子(粒
径40nm)を15モル%の亜鉛をドープした酸化インジウ
ム微粒子(粒径40nm)に変えたこと以外は実施例1と同
様の操作を行った。
【0063】実施例21 10モル%の錫をドープした酸化インジウム微粒子(針
状、投影最大長40nm)60gをアクリル樹脂40gとケ
トン系溶媒200gで分散した分散液を、PETフィルム
(100μm)上にワイアーバーで塗布し、80℃で乾燥し
て、透明導電膜を得た。以下、実施例1と同様な操作を
した。
【0064】実施例22 照射光源を低圧水銀灯とした以外は、実施例1と同様な
操作をした。
【0065】実施例23 照射光源をキセノンランプとした以外は、実施例1と同
様な操作をした。
【0066】実施例24 照射光源を超高圧水銀ランプとした以外は、実施例1と
同様な操作をした。
【0067】実施例25 照射光源をアルゴンレーザーとした以外は、実施例1と
同様な操作をした。
【0068】実施例26 照射光源を低圧水銀灯とした以外は、実施例5と同様な
操作をした。
【0069】実施例27 照射光源をキセノンランプとした以外は、実施例5と同
様な操作をした。
【0070】実施例28 照射光源を超高圧水銀ランプとした以外は、実施例5と
同様な操作をした。
【0071】実施例29 照射光源をアルゴンレーザーとした以外は、実施例5と
同様な操作をした。
【0072】実施例30 照射光源を高圧水銀灯とした以外は、実施例18と同様
な操作をした。
【0073】実施例31 照射光源をハロゲンランプとした以外は、実施例18と
同様な操作をした。
【0074】実施例32 照射光源を低圧水銀灯とした以外は、実施例18と同様
な操作をした。
【0075】実施例33 照射光源をキセノンランプとした以外は、実施例18と
同様な操作をした。
【0076】実施例34 照射光源を超高圧水銀ランプとした以外は、実施例18
と同様な操作をした。
【0077】実施例35 照射光源をアルゴンレーザーとした以外は、実施例18
と同様な操作をした。
【0078】実施例36 照射光源を高圧水銀灯とした以外は、実施例21と同様
な操作をした。
【0079】実施例37 照射光源をハロゲンランプとした以外は、実施例21と
同様な操作をした。
【0080】実施例38 照射光源を低圧水銀灯とした以外は、実施例21と同様
な操作をした。
【0081】実施例39 照射光源をキセノンランプとした以外は、実施例21と
同様な操作をした。
【0082】実施例40 照射光源を超高圧水銀ランプとした以外は、実施例21
と同様な操作をした。
【0083】実施例41 照射光源をアルゴンレーザーとした以外は、実施例18
と同様な操作をした。
【0084】実施例42 照射光源をエキシマレーザーとし、Third Harmonic G
enerationのフェーズマッチングコンディションを満た
したクリプトン中を通過させて照射したこと以外は、実
施例15と同様な操作をした。
【0085】比較例1 10モル%の錫をドープした酸化インジウムコロイド分
散液をスピンナで塗布し、乾燥を繰り返して厚さ3μmの
透明導電膜を作製した。次に、この透明導電膜に、高圧
水銀灯(アイグラフィックス社)で光照射を20秒行っ
た。膜厚、光透過率、抵抗経時変化の判定を行った。
【0086】比較例2 比較例1で使用した高圧水銀灯をハロゲンランプに変更
したこと以外は比較例1と同様の操作をした。
【0087】比較例3 2-エチルヘキサン酸インジウムに5モル%の2-エチルヘ
キサン酸スズを添加し、石油系溶剤に溶解してガラス上
に塗布した。この後、530℃で焼成して透明導電膜を製
造した。この後、実施例1と同様の操作をした。
【0088】比較例4 2-エチルヘキサン酸インジウムに5モル%の2-エチルヘ
キサン酸スズを添加し、石油系溶剤に溶解してPETフィ
ルム上に塗布した。この後、530℃で焼成したところ、
ベースとともに焼失した。
【0089】比較例5 2-エチルヘキサン酸インジウムに5モル%の2-エチルヘ
キサン酸スズを添加し、石油系溶剤に溶解してPETフィ
ルム上に塗布した。この後、200℃で焼成した。この
膜の表面抵抗値は、抵抗測定ができないレベル(107
Ω/□以上)であった。
【0090】比較例6 光照射時間を5秒とした以外は、実施例1と同様の操作
をした。
【0091】比較例7 光照射時の温度を250℃としたこと以外は、実施例1と
同様の操作をした。
【0092】比較例8 分散物にインジウムアセチルアセトナートを2.1g加
えたこと以外は、実施例1と同様の操作をした。
【0093】比較例9 分散物に、電界により荷電する界面活性剤としてフェロ
セニルPEG(同仁化学製)を15g加えたこと以外は、
実施例1と同様の操作をした。
【0094】比較例10 10モル%の錫をドープした酸化インジウム微粒子(粒
径40nm)90g、ダイロキュア(メルク社製)0.26
g、PS GREEN B(三井東圧染料社製)0.30gをア
クリル樹脂5g、5gのアロニクスM9050、及びケトン
系溶媒200gで分散した分散液をポリエチレンテレフ
タレート(PET)フィルム(100μm)上にワイアーバー
で塗布し、80℃で乾燥して、透明導電膜を得た。以下
実施例1と同様の操作をした。
【0095】これら試料の、表面抵抗、光透過率、膜
厚、膜強度、抵抗経時変化の評価を行った結果を表1に
示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【発明の効果】以上のように、本発明の製造方法は、表
面抵抗値が低く、光透過性が良く、膜強度も良好で、表
面抵抗値の経時変化もなく、良好な性能を示す透明導電
膜を安価な塗布法で繰り返し塗布することなく製造でき
ることが分かる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年8月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】本発明では、照射電磁波の波長範囲が可視
光線ないしは赤外線の領域の場合は、塗布液中に透明導
電性微粒子とバインダー以外の添加物として、光重合開
始剤を含んでもよい。この場合は、バインダーとして高
分子の前駆体である低分子量体を含むものを開始剤との
組み合わせによって適宜用いるとよい。例えば、エチレ
ン性不飽和基を有する低分子量体、カチオン重合性基を
有する低分子量体とは、可視光感光性を有する可視光光
重合開始剤であれば、例えば、チタノセン、鉄アレーン
錯体、有機過酸化物、ヘキサアリールビイミダゾール、
N−フェニルグリシン、ジアリールヨウドニウム塩等の
ラジカル発生剤の少なくとも1種と、更に必要に応じて
3−置換クマリン、シアニン色素、メロシアニン色素、
チアゾール系色素、ピリリウム系色素等の増感色素、更
に必要であれば連鎖移動剤等を組み合わせた公知の可視
光光重合開始剤等から選ばれ、赤外光感光性を有する光
重合開始剤であれば、例えば、近赤外光吸収性陽イオン
染料を使用する。近赤外光吸収性陽イオン染料として
は、650〜1500nmの領域の光エネルギーで励起
する、例えば特開平3−111402号、特開平5−1
94619号公報等に開示されている近赤外光吸収性陽
イオン染料−ポレート陰イオン錯体などを用いるのが好
適であり、さらに必要に応じてホウ素系増感剤を併用す
ることが望ましい。その他、可視光光重合開始剤では、
特開平8−202035号記載の化合物,Chem. Rev.
93,435ページ記載の化合物、表面、27巻、548ペ
ージ(1989年)記載の化合物などがあげられる。また、
赤外光光重合開始剤では、高分子学会年次大会予稿集、
41巻(3)541ページ、同じく43巻(3)791ページ記載
の化合物などが挙げられる。照射電磁波の波長範囲が短
波長紫外光線および長波長紫外光線の領域の場合は、前
記類似の光重合開始剤は含まない。この場合、光重合開
始剤を含むことにより照射の効果が著しく低下するため
及び製造コストが高価になるためである。光重合開始剤
の例は特開平5−257153号等に記載されている。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持体上に成膜された金属酸化物系
    の透明導電膜の製造方法において、次の2つの工程を含
    むことを特徴とする透明導電膜の製造方法。 (a)透明支持体上に、金属酸化物系の透明導電性微粒
    子をバインダーを用いて溶剤もしくは水に分散させたも
    のを塗布し、200℃以下で乾燥する工程 (b)乾燥被膜に紫外光線ないしは赤外光線の波長領域
    の電磁波を照射する工程
  2. 【請求項2】 透明支持体上に成膜された金属酸化物系
    の透明導電膜の製造方法において、次の2つの工程を含
    むことを特徴とする透明導電膜の製造方法。 (a)透明支持体上に、金属酸化物系の透明導電性微粒
    子をバインダーを用いて溶剤もしくは水に分散させたも
    のを塗布し、200℃以下で乾燥して被膜形成をする工程
    (ただし、前記分散させたものには、インジウム塩もし
    くは有機インジウムから選ばれるインジウム化合物、及
    び、電界により荷電する界面活性剤、及び光重合性開始
    剤、着色材料のいずれもを含まない。) (b)乾燥被膜に短波長紫外光線の波長領域の電磁波を
    照射する工程
  3. 【請求項3】 透明支持体上に成膜された金属酸化物系
    の透明導電膜の製造方法において、次の2つの工程を含
    むことを特徴とする透明導電膜の製造方法。 (a)透明支持体上に、金属酸化物系の透明導電性微粒
    子をバインダーを用いて溶剤もしくは水に分散させたも
    のを塗布し、200℃以下で乾燥して被膜形成をする工程
    (ただし、前記分散させたものには、インジウム塩もし
    くは有機インジウムから選ばれるインジウム化合物、及
    び光重合性開始剤、及び、着色材料のいずれもを含まな
    い。) (b)乾燥被膜に長波長紫外光線の波長領域の電磁波を
    照射する工程
  4. 【請求項4】 透明支持体上に成膜された金属酸化物系
    の透明導電膜の製造方法において、次の2つの工程を含
    むことを特徴とする透明導電膜の製造方法。 (a)透明支持体上に、金属酸化物系の透明導電性微粒
    子をバインダーを用いて溶剤もしくは水に分散させたも
    のを塗布し、200℃以下で乾燥する工程 (b)乾燥被膜に可視光線の波長領域の電磁波を照射す
    る工程
  5. 【請求項5】 透明支持体上に成膜された金属酸化物系
    の透明導電膜の製造方法において、次の2つの工程を含
    むことを特徴とする透明導電膜の製造方法。 (a)透明支持体上に、金属酸化物系の透明導電性微粒
    子をバインダーを用いて溶剤もしくは水に分散させたも
    のを塗布し、200℃以下で乾燥する工程 (b)乾燥被膜に赤外線の波長領域の電磁波を照射する
    工程
  6. 【請求項6】 (a)工程で用いられるバインダーと透
    明導電性微粒子の重量比が、1/99ないし80/20
    であることを特徴とする請求項1ないし5記載の透明導
    電膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 (b)工程で、紫外光線ないし赤外線の
    波長領域領域の電磁波を照射するに当たり、空気との接
    触を遮断した状態で行うことを特徴とする請求項1ない
    し6記載の透明導電膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 透明支持体が有機高分子フィルムである
    ことを特徴とする請求項1ないし7記載の透明導電膜の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 透明導電性微粒子がインジウム酸化物を
    主体とする金属酸化物であることを特徴とする請求項1
    ないし8記載の透明導電膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9記載の製造方法によ
    って製造された透明導電膜。
JP10194567A 1997-12-25 1998-07-09 透明導電膜の製造方法及び透明導電膜 Pending JPH11242916A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10194567A JPH11242916A (ja) 1997-12-25 1998-07-09 透明導電膜の製造方法及び透明導電膜

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-357604 1997-12-25
JP35760497 1997-12-25
JP10194567A JPH11242916A (ja) 1997-12-25 1998-07-09 透明導電膜の製造方法及び透明導電膜

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11242916A true JPH11242916A (ja) 1999-09-07

Family

ID=26508576

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10194567A Pending JPH11242916A (ja) 1997-12-25 1998-07-09 透明導電膜の製造方法及び透明導電膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11242916A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001075905A1 (fr) * 2000-04-03 2001-10-11 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Matiere transparente thermoscellable electroconductrice et recipient a couvercle pour ruban porteur, faisant appel audit materiau
JP2002001880A (ja) * 2000-06-20 2002-01-08 Inoac Corp 導電性プラスチック成形品およびその製造方法
JP2005353505A (ja) * 2004-06-14 2005-12-22 Nippon Soda Co Ltd 酸化インジウム膜の製造方法
JP2008091126A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Dowa Holdings Co Ltd 透明導電膜及びその製造方法
JP2008282738A (ja) * 2007-05-11 2008-11-20 Kaneka Corp 酸化亜鉛透明導電膜付き支持基板の製造方法。
JP2010015770A (ja) * 2008-07-02 2010-01-21 Seiko Epson Corp 透明導電膜の製造方法
US7695805B2 (en) 2004-11-30 2010-04-13 Tdk Corporation Transparent conductor
JP2014518589A (ja) * 2011-04-12 2014-07-31 ダイパワー 金属酸化物系配合物の焼結法
CN104766675A (zh) * 2015-03-11 2015-07-08 中山大学 微波在制备透明导电薄膜中的应用

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001075905A1 (fr) * 2000-04-03 2001-10-11 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Matiere transparente thermoscellable electroconductrice et recipient a couvercle pour ruban porteur, faisant appel audit materiau
US6635343B2 (en) 2000-04-03 2003-10-21 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Transparent conductive heat sealing material and carrier tape lid using the same
KR100768280B1 (ko) * 2000-04-03 2007-10-17 다이니폰 인사츠 가부시키가이샤 투명 도전성 히트 실링재 및 이를 이용한 캐리어 테이프커버체
JP2002001880A (ja) * 2000-06-20 2002-01-08 Inoac Corp 導電性プラスチック成形品およびその製造方法
JP2005353505A (ja) * 2004-06-14 2005-12-22 Nippon Soda Co Ltd 酸化インジウム膜の製造方法
JP4705340B2 (ja) * 2004-06-14 2011-06-22 日本曹達株式会社 酸化インジウム膜の製造方法
US7695805B2 (en) 2004-11-30 2010-04-13 Tdk Corporation Transparent conductor
US7964281B2 (en) 2004-11-30 2011-06-21 Tdk Corporation Transparent conductor
EP1947214A2 (en) 2006-09-29 2008-07-23 DOWA Electronics Materials Co., Ltd. Transparent conducting film and manufacturing method thereof
JP2008091126A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Dowa Holdings Co Ltd 透明導電膜及びその製造方法
TWI485070B (zh) * 2006-09-29 2015-05-21 Dowa Electronics Materials Co 透明導電膜
JP2008282738A (ja) * 2007-05-11 2008-11-20 Kaneka Corp 酸化亜鉛透明導電膜付き支持基板の製造方法。
JP2010015770A (ja) * 2008-07-02 2010-01-21 Seiko Epson Corp 透明導電膜の製造方法
JP2014518589A (ja) * 2011-04-12 2014-07-31 ダイパワー 金属酸化物系配合物の焼結法
CN104766675A (zh) * 2015-03-11 2015-07-08 中山大学 微波在制备透明导电薄膜中的应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR960002743B1 (ko) 투명한 도전성 피막형성용 도포액, 그의 제조방법, 도전성 기판, 그의 제조방법 및 투명한 도전성 기판재를 구비한 표시장치
JP4031624B2 (ja) 透明被膜付基材、透明被膜形成用塗布液、および表示装置
JP4626284B2 (ja) 日射遮蔽体形成用タングステン酸化物微粒子の製造方法、および日射遮蔽体形成用タングステン酸化物微粒子
US20090233086A1 (en) Metal oxide microparticles, transparent conductive film, and dispersion
TWI356769B (ja)
US20030180521A1 (en) Functional film having functional layer and article provided with the functional layer
JP3973330B2 (ja) 透明被膜付基材、透明被膜形成用塗布液、および表示装置
JPH11242916A (ja) 透明導電膜の製造方法及び透明導電膜
JP2000123658A (ja) 透明導電膜の製造方法及び透明導電膜
JPH11106935A (ja) 金属酸化物薄膜の製造方法及び金属酸化物薄膜
JP2005226008A (ja) 日射遮蔽体形成用分散液及び日射遮蔽体並びにその製造方法
JP4522505B2 (ja) 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置
JP4068993B2 (ja) 透明導電性積層フィルム
JP3473272B2 (ja) 導電膜形成用塗布液および導電膜
JP5068298B2 (ja) 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置
TW200300950A (en) Conductive film, manufacturing method thereof, and substrate having the same
JP4074692B2 (ja) 透明導電性フィルム
JP2005071901A (ja) 透明導電性積層フィルム
TWI604751B (zh) Electronic device and electronic device sealing method
JP2001060416A (ja) 透明導電性フイルムおよびそのアース方法
JPH11106934A (ja) 金属酸化物薄膜の製造方法及び金属酸化物薄膜
JP3979967B2 (ja) 低反射低抵抗膜の製造方法
JPH05166423A (ja) 導電膜及び低反射導電膜の製造方法
JP4902048B2 (ja) 透明導電性被膜付基材および表示装置
JP7069562B2 (ja) エレクトロクロミック調光装置